JP2010152230A - 異方性光反射積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】光拡散度や輝度に優れかつ経済性にも優れた照明器具や表示装置のための異方性光反射積層体を提供すること。
【解決手段】金属層を含む光反射体の少なくとも片面に、ポリプロピレン系樹脂(A)、エチレンおよび/またはブテンが含まれたポリオレフィン樹脂(B)およびナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(C)の配合物よりなり、連続相と分散相を含む構造又は共連続相構造からなる光拡散フィルムが積層された異方性光反射積層体であって、上記光拡散フィルムの分散相又は共連続相の配向方向が水平横方向になるように試料を固定して測定した反射光の拡散度(DRh)に対する分散相又は共連続相の配向方向を垂直方向になるように試料を固定して測定した反射光の拡散度(DRv)の比(DRv/DRh)が1.3〜10であり、かつ異方性光反射積層体の拡散層側の反射度及び拡散度がそれぞれ0.5〜8及び10〜30であることを特徴とする異方性光反射積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属層を含む光反射体に光拡散フィルムが積層された異方性光反射積層体に関するものである。詳しくは、光反射が特定方向に広げられる、いわゆる異方性光反射特性を有し、かつ光の反射度と拡散度の両方の特性が優れた異方性光反射用積層体に関するものである。
室内などの照明、内照式電飾パネルにおける照明、複写機における光照射あるいは液晶ディスプレイにおける照明などにおいて、光源の光量を有効に活用し上記照明における照度や輝度を高めるために、反射シートや反射板(以下、単に反射体と称すことがある)が用いられている。
反射体としては、例えば、白色PETフィルムよりなる拡散反射部材が多く用いられている。該拡散反射部材は拡散性に重きをなした特性を有しており正反射性は低い。そのために均質性の高い反射が付与されるが反射度が低いという課題を有している。
一方、上記課題を解決する方法としてアルミニウムや銀などの金属の光沢を利用した正反射性の高い反射体が開発されている。しかしながら、該方法は反射度を高めることができるが、反射の指向性が強いので、例えば、室内や社内の照明においては、特定方向に強い反射が起こるので、方向による均質性に欠け、かつ、特定方向においては眩しさが強くなるという問題点を有する。また、内照式電飾パネルにおける照明や液晶ディスプレイの照明においては輝度の均質性が悪化するという問題点がある。さらに、該反射の指向性が強いために反射体に部分的に皺やそりが発生した場合にさらに反射の均一性が低下するという問題点を有している。
上記課題を解決する方法として、上記の金属層の金属光沢を利用した反射体において、反射体の表層に光の拡散性を制御する拡散層を積層して反射の拡散性を制御する方法が提案されている。
しかしながら、該提案技術は、拡散層の光線透過率が高いものと、逆に低いものとの両極端な領域に限定されている。
例えば、光線透過率の高い領域に限定された方法として、例えば、特許文献1〜3が知られている。
上記特許文献において開示されている方法は、単に金属光沢を利用した反射体よりは拡散性が改善されているが、まだ指向性が強く金属光沢を利用した反射シートの有する課題が解決されてはいない。
特開平7−108643号公報 特開2007−127751号公報 特開2007−157566号公報
一方、光線透過率の低い領域に限定された方法として、例えば、特許文献4〜9が知られている。
上記特許文献において開示されている方法は、拡散性が大幅に改善されているが、正反射性が大幅に低下しており、白色PETフィルムよりなる拡散反射体と同様の課題を有する。
実開平5−73602号公報 特開平8−76112号公報 特開2002−1484145号公報 特開2004−341067号公報 特開2004−341068号公報 特開2005−114777号公報
近年、地球温暖化問題や資源の枯渇問題より、上記照明分野においても省エネルギー要求が強くなってきている。
例えば、液晶ディスプレイは、薄型、小型、低消費電力などの特長を生かし、現在、時計、電卓、TV、パソコンなどの表示部に用いられている。更に近年、カラーLCDが開発されOA・AV機器を中心にナビゲーションシステム、ビュウファインダー、パソコンのモニター用など数多くの用途に使われ始めており、その市場は今後、急激に拡大するものと予想されている。特に、外部から入射した光を反射させて表示を行う反射型液晶ディスプレイは、バックライトが不要であるために消費電力が少なく、薄型、軽量化が可能である点で携帯用端末機器用途として注目されている。
上記反射型液晶ディスプレイの場合、携帯端末使用においては、反射シートへの入射角度が±20度以内の光に対する反射度が高いことが好ましいことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
日立化成テクニカルレポートNo.30P15〜18(2002.1)
一方、金属層を含む光反射体と光拡散層とからなる光反射用積層体に光反射の異方性(以下、単に異方性と称することもある)を付与する方法として、金属層表面にヘアーライン加工する方法が開示されている(特許文献10参照)。
上記方法は、異方性が充分でない場合がある。また、均一な加工が困難であるので均質な製品が得にくいという課題を有している。
特開平11−23111号公報
また、異方性付与する他の方法としてレンズシートやプリズムシートと金属層を含む光反射体とを複合する方法が開示されている(例えば、特許文献11〜13参照)。
上記特許文献で開示されている方法は、レンズシートやプリズムシートが高価であり経済的に不利である。
また、特許文献11においては、本文中では金属層を含む光反射体を複合する方法について言及されているが、実施例において例示はされていない。該特許文献の方法は光拡散層が白色反射フィルムよりなっており、金属層を含む光反射体と複合しても反射度の向上は少ないと推察される。
また、特許文献12及び13においては異方性の効果に関しての言及がされていない。
特開2006−318724号公報 特開2007−65268号公報 特開2005−173546号公報
また、白色反射フィルムにおいて、ヘアーライン加工で異方性を付与する方法が開示されている(特許文献14参照)。
上記特許文献で開示されている方法は、光反射体が白色反射フィルムであるので、拡散度は優れているが、反射度が低いという課題を有する。
特開2004−219437号公報
本発明の目的は、上記の従来技術における問題点を解決するものであり、白色PETフイルムで代表されるフィルム中に存在する微小ボイドによる光の散乱作用を利用した白色反射体に比べて高い反射度を有し、かつ拡散度が高く、さらに低角度の入射光に対する光反射において、反射度と拡散度の両方が高く、反射効率に優れた異方性光反射用積層体を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の構成よりなる。
1.金属層を含む光反射体の少なくとも片面に、ポリプロピレン系樹脂(A)、エチレンおよび/またはブテンが含まれたポリオレフィン樹脂(B)およびナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(C)の配合物よりなり、連続相と分散相を含む構造又は共連続相構造からなる光拡散フィルムが積層された異方性光反射積層体であって、前記光拡散フィルムの分散相又は共連続相の配向方向が水平横方向になるように試料を固定して変角光度計にて入射角15度で測定した反射光の拡散度(DRh)に対する分散相又は共連続相の配向方向を垂直方向になるように試料を固定して前記と同様の方法で測定した反射光の拡散度(DRv)の比(DRv/DRh)が1.3〜10であり、かつ異方性光反射積層体の異方性光拡散フィルム側の反射度及び拡散度がそれぞれ0.5〜8及び10〜30であることを特徴とする異方性光反射積層体。
2.前記光拡散フィルム表面の前記分散相又は共連続相の配向方向の平均表面粗さ(RaV)および分散相又は共連続相の配向方向と直行する方向の平均表面粗さ(RaH)の比(RaH/RaV)が1.2〜5.0であることを特徴とする1に記載の異方性光反射積層体。
3.前記光拡散フィルムの平行光線透過率が20〜85%、ヘーズが10〜80%そして表面光沢度が10〜70%あることを特徴とする1.または2.に記載の異方性光反射積層体。
本発明における異方性光反射積層体は、光反射において、反射度と拡散度の両方が高いので、室内の照明、内照式電飾パネルにおける照明、複写機における光照射あるいは液晶ディスプレイにおける照明などの各種照明において光源の光量を有効に活用し、前記照明における照度や輝度を高めることができる。
また、反射度と拡散度の両方が高いので金属光沢を有した反射体のような強い反射度と白色反射フィルムの有する穏やかな反射とを兼ね揃えた特性を併せ持った優れた反射特性を有するといえる。そのため、高い照度や輝度を維持し、室内の照明、内照式電飾パネルにおける照明等において求められる眩しさが抑制された穏やかな照明が可能となる。すなわち、現在市場で求められている省エネルギーと感性の充足を両立することが可能となる。
また、本発明における異方性光反射積層体は、低角度で入射する光に対する反射において上記特性を有するので、例えば、反射型液晶ディスプレイ用の反射体として好適である。
また、本発明における異方性光反射積層体は、その反射光が異方性を有しており、特定方向に反射光を集光する機能を有しているので、光源の形状に合わせた位置関係で設置することで、反射光の反射度や反射度の均一性を向上させることができるという特長を有する。
本発明の異方性光反射積層体は、金属層を含む光反射体の少なくとも片面に、ポリプロピレン系樹脂(A)、エチレンおよび/またはブテンが含まれたポリオレフィン樹脂(B)およびナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(C)の配合物よりなり、連続相と分散相を含む構造又は共連続相構造からなる光拡散フィルムが積層された異方性光反射積層体において、上記光拡散フィルムの分散相又は共連続相の配向方向が水平横方向になるように試料を固定して変角光度計にて入射角15度で測定した反射光の拡散度(DRh)に対する分散相又は共連続相の配向方向を垂直方向になるように試料を固定して前記と同様の方法で測定した反射光の拡散度(DRv)の比(DRv/DRh)が1.3〜10であり、かつ異方性光反射積層体の拡散層側の反射度及び拡散度がそれぞれ0.5〜8及び10〜30であることが重要である。
(金属層を含む光反射体)
金属層を含む光反射体は、光反射機能を有した金属層を含むものであればその素材、形態及びその構成等は限定されない。
例えば、金属板や金属箔であってもよいし、プラスチックフィルムやシート(以下単に基材フィルムと称することもある)と金属との積層体であってもよい。また、後述の光拡散フィルムの片面に金属層を直接形成しても良い。
金属板や金属箔の場合は、例えば、鉄、各種ステンレス、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、錫合金、鋼板、ニッケル、亜鉛などの各種金属を挙げることができる。
金属板や金属箔の厚みは限定されないが、0.05mm〜0.8mmが一応の目安であるが、このような厚みに限定されるものではなく、用途に応じて適宜選択することができる。
該金属板や金属箔の表面には、単層めっき、複層めっき又は合金めっきが施されていてもよいし、また、浸漬クロム酸処理、リン酸クロム酸処理が施されていてもよい。
また、後述の光拡散フィルムとの密着性を向上させる目的で、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等によるカップリング剤処理、酸処理、アルカリ処理、オゾン処理、イオン処理等の化学処理、プラズマ処理、グロー放電処理、アーク放電処理、コロナ処理等の放電処理、紫外線処理、X線処理、ガンマ線処理、レーザー処理等の電磁波照射処理、その他火炎処理等の表面処理やプライマー処理等の各種表面処理が施されていてもよい。
金属として、アルミニウム、銅又はこれらの合金を用いることにより、アルミニウム、銅又はこれらの合金は熱伝導率が高いため、光源からの局部的な発熱を基体全面に拡散して放熱することができる好ましい実施対応である。
金属層を含む光反射体として基材フィルムと金属との積層体を使用する場合に用いられる基材フィルムとしては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアレリート、ポリエーテルイミド、ポリイミドなどのホモポリマー又は、コポリマー等よりなるものが挙げられる。基材フィルムの厚みは、ハンドリング性及び、形状保持性を考慮し、好ましくは、5〜2000μmであり、より好ましくは10〜1500μm以下である。
該材質や厚みは、光反射体の用途やその用途に対する要求特性により適宜選択される。
金属層を含む光反射体として基材フィルムと金属との積層体を使用する場合に用いられる金属層としては、上記の金属板や箔であっても構わないが、薄膜金属層を用いるのが好ましい実施態様である。
該金属薄膜層を形成する金属の種類は金属光沢を有するものであれば限定されないが、銀もしくは、アルミニウム、あるいはそれらを主成分とする合金の薄膜層を用いることがと好ましい。この金属薄膜層に、他の微量の金属化合物を含有することやこの金属薄膜層と他の金属薄膜層や金属酸化物層などを2層以上積層することは本発明の目的を損なわない範囲において可能である。また、金属薄膜層の最外層にTi、Ni、Crやそれらの金属酸化物などの防蝕性のある金属薄膜層を形成することも可能である。
該金属薄膜層は基材フィルムの一方、もしくは両方の主面上形成されてなるものである。この際、当該基材フィルムの主面側から見て、全体に金属薄膜層が視認できることが好ましい。例えば、一方の主面上には面積比で50%金属薄膜層が形成されており、他方には80%で金属薄膜層が形成されていた場合であっても、一方の主面上から見ると、全面に金属薄膜層が視認できるものも含まれる。
上記基材フィルムに金属薄膜層を形成する方法としては、メッキ法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオン化蒸着法、イオンクラスタービーム蒸着法等、公知の方法を制限無く用いることが出来る。
また、該金属薄膜層の厚みは10〜500nmが好ましく、コストパフォーマンスより50〜200nmがより好ましい。更に好ましくは80〜150nmである。
該金属薄膜層を基材フィルムの表面に形成する際に、基材フィルム表面に、コロナ放電処理、グロー放電処理、表面化学処理、粗面化処理等を行い両者の密着性を向上することも好ましい実施対応である。
(光拡散フィルム)
本発明おける光拡散フィルムは、ポリプロピレン系樹脂(A)、エチレン及び/又はブテンが含まれたポリオレフィン樹脂(B)及びナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(C)の配合物よりなり、連続相と分散相を含む構造又は共連続相構造であることが重要である。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(A)としては、ホモポリプロピレン樹脂及び/又は他のオレフィンモノマーを共重合した共重合体が挙げられる。ホモポリプロピレン樹脂及び/又は共重合成分の含有量が5質量%以下のポリプロピレン系樹脂の使用が好ましい。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(A)の製造方法、分子量、結晶性等は特に限定されない。光拡散フィルムとしての要求特性や最終製品である異方性光反射積層体に対する市場の要求特性に合わせてポリプロピレン系樹脂(A)は適宜選択されるが、耐熱性や機械的強度が優れることから、結晶性のものが好ましい。具体的には示差走査熱量計(DSC)による融解熱で判断される。該融解熱が65J/g以上のものが好ましい。
以下、該樹脂を熱可塑性樹脂(A)と称することもある。
本発明におけるエチレン及び/又はブテンが含まれたポリオレフィン樹脂(B)としては、ホモポリエチレン樹脂、ホモポリブテン樹脂及びこれらの樹脂の他のオレフィン系モノマーとの共重合体、アクリル酸やメタクリル酸及びこれらのエステル誘導体との共重合体等が挙げられる。他のオレフィン系モノマーとの共重合体の場合は、ランダム、ブロック及びグラフト共重合のいずれでもよい。また、EPラバー等の分散体でも構わない。該樹脂の製造方法や分子量等も特に限定されず、上記と同様の要求特性に合わせて適宜選択される。
以下、該樹脂を熱可塑性樹脂(B)と称することもある。
上記熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)とはお互いに相溶しないために両者を混合して製膜すると、どちらかの樹脂が分散相として存在するか、あるいはお互い共連続相として存在することになる。従って、該分散相や共連続相の界面で光が屈折や散乱することにより、得られたフィルムの中を光が透過する時に透過光が拡散される。
本発明においては、上記の分散相あるいは共連続相の構造、形状及びその大きさは限定されない。また、両構造が混在しても良い。
形状も限定されないが、光拡散に異方性を付与する点より一定方向に配向形状のものを含むのが好ましい。
分散相や共連続相の大きさや大きさ分布も得られる上記と同様の要求特性に合わせて適宜選択される。
本発明におけるナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(C)は、ポリマーの結晶/非晶構造をナノオーダーで制御され、該結晶がナノオーダーで網目構造を有した熱可塑性のポリオレフィン系エラストマーで、例えば、三井化学社製のノティオ(商標登録)が上げられる。銘柄は限定されない。上記と同様の要求特性に合わせて適宜選択される。
本発明におけるナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(C)は、従来のポリオレフィン系エラストマー樹脂は結晶サイズがミクロンオーダーであるのに対して、結晶サイズがナノオーダーで制御されている。このため従来のポリオレフィン系エラストマー樹脂に比べて、透明性、耐熱性、柔軟性、ゴム弾性などに優れている場合が多い。
以下、該ナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(C)をエラストマー樹脂(C)と称することもある。
本発明においては該エラストマー樹脂(C)を配合することによって、得られるポリオレフィン系光拡散フィルムの外観が著しく向上する。エラストマー樹脂(C)を配合しないで上記熱可塑性樹脂(A)及び(B)の2種の配合物を用いた場合は、得られる光拡散フィルムの表面に細かいさざ波状の不均一感を与える外観が発生する場合があるが、エラストマー樹脂(C)の配合により該外観の不良の発生を抑制することができ、外観の良好な光拡散フィルムを安定して得ることができる。
また、該エラストマー樹脂(C)の配合により光の拡散性や透過性の光学特性も変化するので、上記熱可塑性樹脂(A)及び(B)の2種の配合物を用いた場合に比べて光学特性制御範囲を広げることができるという利点もある。
上記3種の樹脂の配合割合も限定されない。得られる上記と同様の要求特性に合わせて適宜選択される。
例えば、熱可塑性樹脂(A)/熱可塑性樹脂(B)の配合比は10/90〜90/10(質量比)で適宜に選択される。熱可塑性樹脂(A)/熱可塑性樹脂(B)の配合比は20/80〜80/20(質量比)がより好ましい。
上記範囲を外れた場合は、光の拡散性が低下するので好ましくない。
また、エラストマー樹脂(C)の配合量は熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計量100質量部に対して2〜50質量部が好ましい。5〜40質量部がより好ましい。
2質量部未満では、得られる光拡散フィルムの外観改良や光学特性の改良効果が低下するので好ましくない。逆に、50質量部を超えた場合は、得られる光拡散フィルムの外観改良や光学特性の改良効果が飽和する上に経済的不利となるので好ましくない。
上記光拡散フィルムは単層であってもよいし、2層以上の多層体であっても構わない。多層構成の場合は、少なくとも一層が上記の構成よりなる光拡散性を有する層であれば、他の層は、光拡散性を有しない単なる透明層であってもよい。この場合は、光拡散層が最表層になるように構成するのが好ましい。
また、全層が光拡散性を有した層の構成であっても良い。この場合は、各層の配合組成を変えて光の拡散性等の特性を変えても良い。
本発明においては、熱可塑性樹脂の配合により光学特性の制御をするので、前記した公知技術で使用されている非熔融の光拡散性付与剤である微粒子を配合しないので製膜工程における樹脂の濾過における目詰まりが低減できる。また、得られるフィルムの清澄度も高くなるという利点を有する。
前記の熱可塑性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)及びエラストマー樹脂(C)の全部あるいは少なくとも1種に、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の安定剤や帯電防止剤等の添加剤を配合しても良い。あるいは、上記3種の樹脂配合物に上記添加剤を配合してもよい。また、本発明の特徴を阻害しない範囲であれば、無機粒子やポリマービーズ等の微粒子を添加してもよい。
本発明においては、前記した反射特性を満たすには、上記構成よりなる光拡散フィルムが以下の特性を有することが好ましい。
本発明においては、分散相や共連続相の配向方向のフィルムの平均表面粗さ(RaV)及び分散相の配向方向と直行する方向の平均表面粗さ(RaH)の比(RaH/RaV)が1.2〜5.0であることが好ましい。1.3〜4.5がより好ましい。
以下、該平均表面粗さの比であるRaH/RaVの値を、単に平均表面粗さ比と称することがある。
該平均表面粗さ比は、分散相の配向度合いの尺度になる。該平均表面粗さ比が高い程分散相の配向度が高くなる。
該分散相の配向度に比例して透過光の拡散度の異方性が高くなる。
従って、該平均表面粗さ比が1.2未満では、透過光の拡散度の異方性が小さくなるので、該異方性付与による効果の発現が低減するので好ましくない。一方、該平均表面粗さ比が5.0を超えた場合は、該異方性付与による効果の発現が飽和する。
なお、分散相又は共連続相の配向方向の確認方法は特に限定されないが、例えば、共焦点レーザ顕微鏡観察等により行うのが好ましい。
本発明においては、上記構成よるなる光拡散フィルムは平行光線透過率が20〜85%、ヘーズが10〜80%そして表面光沢度が10〜70%あることが好ましい。
平行光線透過率は25〜83%がより好ましい。
平行光線透過率が20%未満では光透過度が低下するので好ましくない。逆に、80%を超えた場合は、透過光の拡散度が低下するので好ましくない。
ヘーズは15〜75%であることがより好ましい。ヘーズが10%未満では透過光の拡散度が低下するので好ましくない。逆に、80%を超えた場合は、光透過度が低下するので好ましくない。
上記特性を満足することにより、後述の光透過度や透過光の拡散度が好ましい範囲になる理由は定かでないが、平行光線透過率が反射度に、ヘーズが拡散度により大きく寄与しており、両特性の最適化により光透過度や透過光の拡散度が好ましい範囲になるものと推察している。すなわち、光透過度は、平行に透過されてくる透過光の影響を大きく受けると推察される。例えば、従来技術で開示されている全光線透過率は散乱光を含めた光線透過率であるので、透過光の拡散性の尺度としては有効であるが、光透過度と透過光の拡散度の両立を目指す本発明においては、必ずしも有効な特性とは言い難い面がある。実際に、本発明においては、全光線透過率は85〜97%という狭い範囲に設定するのが好ましい。全光線透過87〜95%がより好ましい。全光線透過率が85%未満では光透過度が低下するので好ましくない。逆に、97%を超えた場合は、透過光の拡散度が低下するので好ましくない。
上記特性を満たし、さらに、上記光拡散フィルムの表面光沢度が10〜70%であることがより好ましい実施態様である。表面光沢度は15〜65%がより好ましい。
表面光沢度が10%未満では光透過度が低下するので好ましくない。逆に、70%を超えた場合は、透過光の拡散度が低下するので好ましくない。
本発明においては、上記光学特性の測定は、それぞれJIS法に準拠して実施されるが、上記光拡散フィルムは分散相又は共連続相が特定方向に配向している場合を含むので、以下に示す方向に測定試料を固定して測定した測定値を用いる。すなわち、全光線透過率、平行光線透過率及びヘーズの測定においては、配向方向が上下方向に平行になるように試料を固定部に固定して測定することにより得た測定値を用いる。また、光沢度の場合は、配向方向が測定器の前後方向と平行になるように試料を固定して測定することにより得た測定値を用いる。また、異方性のない等方性の試料については、フィルム又はシートの長尺方向が異方性試料の配向に相当するとして試料を固定して測定をする。
上記特性を満足することにより、後述の反射度や拡散度が好ましい範囲になる理由は定かでないが、平行光線透過率が反射度に、ヘーズが拡散度により大きく寄与しており、両特性の最適化により反射度や拡散度が好ましい範囲になるものと推察している。すなわち、反射度は反射した光が平行に反射されてくることにより高くなると推察されることより平行光線透過率が反射度との相関に対する寄与が大きくなるものと考えられる。
例えば、従来技術で開示されている全光線透過率は散乱光を含めた光線透過率であるので、従来技術で注目されて拡散性の尺度としては有効である。反射度と拡散度の両立を目指す本発明においては、必ずしも有効な特性とは言い難い面がある。実際に、本発明においては全光線透過率は85〜97%という狭い範囲に設定するのが好ましい。全光線透過87〜95%がより好ましい。全光線透過率が85%未満では反射度が低下するので好ましくない。逆に、97%を超えた場合は、拡散度が低下するので好ましくない。
上記特性を満たし、さらに、上記光拡散フィルムの表面光沢度が10〜70%であることがより好ましい実施態様である。表面光沢度は15〜65%がより好ましい。
表面光沢度が10%未満では反射度が低下するので好ましくない。逆に、70%を超えた場合は、拡散度が低下するので好ましくない。また、例えば、蛍光灯用の反射体として用いた場合に蛍光灯の管影が映り眩しさを引き起こす場合がある。
本発明における光拡散フィルムは、上記特性を満たすと共に、実施例に記載の測定方法によって測定される上記光拡散フィルムの分散相又は共連続相の配向方向が水平方向になるように試料を固定して変角光度計にて入射角60度で測定した透過光の拡散度(DTh)に対する分散相又は共連続相の配向方向が垂直方向になるように固定して上記と同様の方法で測定した透過光の拡散度(DTv)の比である透過光の拡散度比(DTv/DTh)が1.2〜6.0であることが好ましい。
以下、上記透過光の拡散度比を単に拡散度比と称することがある。上記拡散度比は透過光の異方性の尺度であり、数値が大きくなるに従い異方性が高くなる。該異方性の付与により特定方向に透過光が集光され、該集光効果により、特定方向に対する透過度が高くなるものと推察される。
本発明における光拡散フィルムの上記拡散度比は1.3〜6がより好ましく、1.4〜6が更に好ましい。拡散度比が1.2未満では、異方性付与による効果が低下する。一方、上限は高い方が好ましいが、本発明においては、経済的な方法で達成できる上限は6程度である。
なお、分散相又は共連続相の配向方向の確認は、前述のごとく、例えば、共焦点レーザ顕微鏡観察等により行うことができる。
以下、上記拡散度(DTv)を主拡散度と称することもある。また、該主拡散度を示す方向を主拡散方向と称することもある。
上記拡散度比を満たす方法は特に限定されないが、前記した連続相中の分散相又は共連続相の配向を高めることにより達成する方法が好ましい。分散相又は共連続相の配向方向の直行方向が主拡散方向となり、一般には分散相又は共連続相の配向度が高まるに従い拡散度比が高くなる。
上記分散相又は共連続相の配向度を高める方法は特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)及び熱可塑性樹脂(C)の組成、これらの樹脂の流動特性、押し出し製膜時のドラフト比及び延伸条件等の最適化が挙げられる。
また、押し出し製膜時のドラフト比は高く設定するのが好ましい。また、延伸は一方向の倍率を高くするのが好ましい。分散相又は共連続相の配向度を高めるには一軸延伸が最も好ましいが、市場要求や他の物性とのバランスより適宜設定するのがよい。
本発明における光拡散フィルムの主拡散方向における拡散度は、50度以上であることが好ましい。55度以上がより好ましい。一方、上限は高い方が好ましいが、本発明においては、経済的な方法で達成できる上限は120度程度である。
該拡散度が50度未満では、光拡散フィルムとして用いた場合の拡散度が低くなるために、照度や輝度の均一性が低下し、光源の管影やスポットが見えるようになるので好ましくない。
本発明における光拡散フィルムの主拡散方向における透過度(T%v)は、5%以上であることが好ましい。8%以上がより好ましい。10%以上がさらに好ましい。一方、上限は高い方が好ましいが、本発明においては、経済的な方法で達成できる上限は90%程度である。該光透過度が5%未満では、光拡散フィルムとして用いた場合の照度や輝度が低くなるので好ましくない。
なお、上記透過度(T%v)は、実施例において記載された拡散度比の測定方法で得られた主拡散方向における変角光度計測定チャートのピークトップのフルスケールに対する割合を%で表示した値である(図1参照)。
本発明における光拡散フィルムは、さらに、前記光拡散フィルムの分散相又は共連続相の配向方向が垂直方向になるように試料を固定して測定される透過度(T%v)と前記DTvとが、下記(1)式又は(2)式を満たすことがより好ましい態様である。
60<DTv≦120、 10≦T%v≦90・・・(1)
35≦DTv≦60、 −3.2×DTv+203≦T%v≦90 (2)
上記の好ましい範囲を図2に示す範囲である。該範囲を満たすことにより、光の透過度と拡散度の両方の特性がより有効に発現することができる。
本発明における光拡散フィルムの厚みは特に限定されないが、5〜350μmである。10〜250μmがより好ましい。
(異方性光反射積層体)
本発明の異方性光反射積層体は、上記光拡散フィルムと前述した金属層を含む反射体とを積層することにより得られる。また、上記光拡散フィルムの片面に金属層を直接形成しても良い。
上記光拡散フィルムの片面に金属層を直接形成する方法の場合は、前述の基材フィルムに金属薄膜層を形成する方法と同様の方法が適用される。
上記光拡散フィルムと前述した金属層を含む反射体とを積層する方法は限定されない。例えば、金属板、金属箔及び基材フィルムと金属との積層体と光拡散フィルムとを接着剤や粘着剤で貼り合わせる方法、金属板、金属箔及び基材フィルムと金属との積層体の表面に光拡散フィルムを押し出して、押し出しラミネート法で積層する方法等が挙げられる。また、金属板、金属箔及び基材フィルムと金属との積層体と光拡散フィルムとを、単に重ね合わせて使用してもよい。接着剤や粘着剤で貼り合わせる場合の、接着剤や粘着剤の種類などは限定されないが、透明性の優れた光学用の銘柄を使用するのが好ましい。
例えば、金属板、金属箔及び基材フィルムと金属との積層体と光拡散フィルムとを接着剤や粘着剤で貼り合わせる方法の場合の一例を記述する。
上記の粘着剤は、具体的に例示するとゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニル系粘着剤等である。本発明の反射体は高温で使用する可能性があるため、常温〜120℃でも安定な粘着剤が好ましい。中でもアクリル系粘着剤は、安価であるために広く用いられる。どの粘着剤を使用した場合でもその厚みは、0.5μm〜50μmが好ましい。
上記の接着剤は、熱又は触媒の助けにより接着される接着剤であり、具体的には、シリコン系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、アクリル系接着剤など一般的な接着剤を用いることができるが、本発明の反射体は高温で使用する可能性があるため、常温〜120℃でも安定な接着剤が好ましい。これらの中で、エポキシ系接着剤は強度、耐熱性に優れているため、好適に利用できる。シアノアクリレート系接着剤は、即効性と強度に優れているため、効率的な反射体作製に利用できる。ポリエステル系接着剤は、強度、加工性に優れているため、反射体作製に特に好適である。これらの接着剤は、接着方法によって熱硬化型、ホットメルト型、2液混合型に大別されるが、好ましくは連続生産が可能な熱硬化型あるいはホットメルト型が使用される。どの接着剤を使用した場合でもその厚みは、0.5μm〜50μmが好ましい。
上記の金属板、金属箔及び基材フィルムと金属との積層体と光拡散フィルムとを接着剤や粘着剤で貼り合わせる方法は、ラミネーターを用いたロールトゥロールやロールトゥーシートプロセスなどで貼り合わせ、ロール形状や枚葉形状の製品が得られる。例えば、接着剤を用いる場合、金属反射体あるいは拡散フィルムのいずれかに接着剤をコーティング、乾燥後に相手材料とローラーによるラミネートにより積層される。
接着剤のコーティング方法は、基材や接着剤の種類によって多くの方法があるが、広く使用されているのは、グラビアコーター方式、コンマコーター方式、及び、リバースコーター方式である。グラビアコーター方式では、接着剤に一部浸されているグラビアロールを回転させ、バックアップロールによって送られるフィルムを接着剤の付着したグラビアロールに接触させることによりコーティングする。コーティング量はロールの回転数、接着剤の粘度を制御することで調整できる。リバースコーター方式も、グラビアコーター方式に類似した方法だが、コーティングロールに付着する接着剤の量を、それに接して設置されているメタリングロールによって調整する。
上記の貼り合わせる際に必要に応じて加温することもできる。また、必要な接着強度を得るためにラミネート後に熱処理することもできる。
粘着剤で貼り合わせる場合は、両面粘着シートを用いてもよい。該方法の場合は、光学用の高透明タイプの粘着剤を用いるのが好ましい実施態様であるが、限定されない。例えば、光拡散性を有した粘着シートを用いても良い。
本発明においては、押し出しラミネート法で実施しても良い。該方法の場合、光反射体と光拡散フィルムとをラミネートしてもよいし、光反射体表面に前記した組成の光拡散フィルムを直接押し出ししてラミネートしても良い。
上記光拡散フィルムに反射特性に悪影響を及ぼさない範囲で紫外線吸収剤や酸化防止剤などの安定剤を配合しても良い。
本発明における異方性光反射積層体は実施例において示す方法により測定される光拡散フィルム側の反射度及び拡散度がそれぞれ0.3〜8及び7.0〜30であることが重要である。
反射度は0.4〜8がより好ましい。反射度が0.3未満では光の反射度が低く反射シートとして用いた場合に照明器具の照度あるいは輝度が低くなるので好ましくない。上限は高い方が好ましいが、本発明方法においては8がほぼ限界と思われる。
また、拡散度は、8.0〜30がより好ましい。7.0未満の場合は反射光の拡散性が低く、指向性が強くなり照明器具の照度あるいは輝度の均一性が悪化するので好ましくない。また、反射光の眩しさが増大するので、例えば、室内照明等において求められる穏やかな反射が阻害されるので好ましくない。上限は高い方が好ましいが、本発明方法においては30がほぼ限界と思われる。
上記両特性を同時に満たすことにより反射度及び拡散度の両方が高くなるので、反射度が高いにも関わらず反射の均一性が保たれる。すなわち、照明器具の照度あるいは輝度の均一性を落とすことなく照度あるいは輝度を高めることができる。また、穏やかで高い照度や輝度を付与することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、もとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、実施例で採用した測定・評価方法は次の通りである。また、実施例中で「部」とあるのは断りのない限り「質量部」を意味し、「%」とあるのは断りのない限り「質量%」を意味する。
1.平均表面粗さ比
株式会社小坂研究所製 万能表面形状測定器 MODEL SE−3Cを用い、縦倍率:10000、カットオフ:0.25mm、測定長:8mm、測定速度:0.5mm/分の条件で測定した。
上記測定は、分散相又は共連続相の配向方向と同じ方向及び該方向と直行する方向について測定し、分散相又は共連続相の配向方向のフィルムの平均表面粗さ(RaV)及び分散相又は共連続相の配向方向と直行する方向の平均表面粗さ(RaH)を求めて両者の比RaH/RaVで表示した。該測定はそれぞれ5回づつ行い、その平均値を用いた。
上記測定は、分散相又は共連続相の配向方向と同じ方向及び該方向と直行する方向について測定し、分散相又は共連続相の配向方向のフィルムの平均表面粗さ(RaV)及び分散相又は共連続相の配向方向と直行する方向の平均表面粗さ(RaH)を求めて両者の比RaH/RaVで表示した。該測定はそれぞれ5回づつ行い、その平均値を用いた。
2.透過光の拡散度及び拡散度比の測定
自動変角光度計(GP−200:株式会社村上色彩研究所製)を用いて測定を行う。
透過測定モード、光線入射角:60°、受光角度:−90°〜90°、SENSITIVITY:150、HIGH VOLTON:500、フィルター:ND10使用、光束絞り:10.5mm(VS−1 3.0)、受光絞り:9.1mm(VS−3 4.0)及び変角間隔0.1度の条件で測定し得られる透過ピークの立ち上がりの開始角度より立下りの終了角度までの角度幅(度)及びピーク高さを求める。角度幅が拡散度であり、ピーク高さが透過度である(図1参照)。
上記測定は、分散相又は共連続相の配向方向が垂直方向及び水平方向になるように試料固定部に固定して測定する。また、異方性のない等方性の試料については、フィルム又はシートの長尺方向が異方性試料の配向に相当するものとして測定をする。
分散相又は共連続相の配向方向を垂直方向に、あるいは、巻きの縦方向を垂直方向に固定して測定された透過光の拡散度をDTvとし、分散相又は共連続相の配向方向を水平方向に、又は、巻きの縦方向を水平方向に固定して測定された透過光の拡散度をDThとして、拡散度比であるDTv/DTh求める。
なお、分散相又は共連続相の配向方向の確認は共焦点レーザ顕微鏡観察等により行った。
3.透過光の透過度(T%v)の測定
上記の拡散度比測定方法で得られた主拡散方向における変角光度計測定チャートのピークトップのフルスケールに対する割合(%)を透過度(T%v)とした。
4.全光線透過率、平行光線透過率及びヘーズ
日本電色工業株式会社製ヘーズ測定器「NDH−2000」を用いて、JIS K 7105−1981に準拠して測定した。
異方性光拡散層の分散相又は共連続相が特定方向に配向している測定試料の場合は、配向方向が上下方向に平行になるように試料固定部に固定して測定することにより得た測定値を用いた。また、異方性のない等方性の試料については、フィルム又はシートの長尺方向が異方性試料の配向に相当するとして測定をする。
5.光沢度
日本電色工業社製の光沢計VG2000を用いて、JIS Z 8741に準拠して測定した。
異方性光拡散層の分散相又は共連続相が特定方向に配向している測定試料の場合は、配向方向が測定器の前後方向と平行になるように試料を固定して測定することにより得た測定値を用いた。また、異方性のない等方性の試料については、フィルム又はシートの長尺方向が異方性試料の配向に相当するとして測定をする。
6.反射光の拡散度比及び反射度の測定
自動変角光度計(GP−200:株式会社村上色彩研究所製)を用いて測定を行う。
反射モード、光線入射角:15°、受光角度:−90°〜90°、SENSITIVITY:150、HIGH VOLTON:500、フィルター:ND10使用、光束絞り:10.5mm(VS−1 3.0)、受光絞り:9.1mm(VS−3 4.0)及び変角間隔0.1度の条件で測定し得られる反射ピークの立ち上がりの開始角度より立下りの終了角度までの角度幅(度)及びピーク高さを求める。角度幅が拡散度であり、ピーク高さが反射度である(図2参照)。
反射度は主拡散方向の測定値である。
上記測定を又は共連続相の配向方向が水平方向及び垂直方向になるように試料固定部に試料を固定して測定する。また、異方性のない等方性の試料については、フィルム又はシートの長尺方向が異方性試料の配向に相当するとして測定をする。
同じ条件で光沢度測定標準板(日本電色工業(株)社製G−16732 角度20度の光沢度82.0%)の反射ピークの測定を行い、それぞれ、該測定値との相対値で表示する。上記測定は異方性光拡散層側を測定面として測定した。
分散相又は共連続相の配向方向を垂直方向に、あるいは、フィルム又はシートの長尺方向を垂直方向に固定して測定された反射光の拡散度をDRvとし、分散相又は共連続相の配向方向を水平方向に、又は、フィルム又はシートの長尺方向を水平方向に固定して測定された反射光の拡散度をDRhとして、拡散度比であるDRv/DRhを求める。
7.蛍光灯の反射に対する反射特性の目視評価
点灯した蛍光灯直下2mの位置に光反射積層体を水平に置き、光反射積層体の上部より目視観察をして、反射性、反射のひろがりおよび蛍光灯の管影の写り込み状況を官能評価した。
反射性および反射のひろがりは比較例24の光反射積層体を基準として、以下の基準で判定した。
比較例24の光反射積層体より優れているもの:○
比較例24の光反射積層体と同等のもの:△
比較例24の光反射積層体より劣るもの:×
また、管影の写り込み性は、以下の基準で判定した。
管影の写り込みの見えない場合:○
僅かに管影の写り込みの見える場合:△
管影の写り込みがはっきり見える場合:×
なお、上記評価においては、異方性を有した光反射積層体の場合は、蛍光灯の長さ方向に主拡散方向が平行になる方向に設置して評価した。等方性の光反射積層体については、光反射積層体の長手方向が蛍光灯の長さ方向と平行する方向で設置して評価をした。
(実施例1)
(光拡散フィルムの調製)
ポリプロピレン樹脂(住友化学社製、住友ノーブレン FS2011DG3)50質量部、エチレン・ブテン共重合体(三井化学社製、タフマー A0585X)30質量部及びナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(三井化学社製、ノティオ PN3560)20質量部を予め2軸の押し出し機で溶融押し出しすることにより得た混練されたポリオレフィン系樹脂組成物を、60mmφ単軸押出機(L/D;22)内で樹脂温度240℃にて溶融混合してTダイで押出した後、20℃のキャスティングロールで冷却することにより未延伸シートを得た。次いでこの未延伸シートを縦延伸機のロール周速差を利用して延伸温度118℃で4.5倍に延伸し、引き続きその片面にコロナ処理をして厚み200μmの光拡散フィルムを得た。該光拡散フィルムには実質的に空洞が含まれていなかった。
得られたポリオレフィン系光拡散フィルムの特性を表1に示す。本実施例で得られた光拡散フィルムは透過度、拡散度及び拡散度比のいずれも優れており、かつフィルムの外観が良好であり高品質であった。
〔金属層を含む光反射体〕
東洋紡績(株)社製の二軸延伸ポリエステルフィルム(A4300、100μm)に金属アルミニウムを80nmの厚みで蒸着したアルミニウム金属蒸着ポリエステルフィルムを準備した。
〔異方性光反射積層体の調製〕
上記アルミニウム金属蒸着フィルムのアルミニウム蒸着面に上記方法で調製した光拡散フィルムを光学両面粘着シートで張り合わせた。異方性光反射積層体の拡散度比は5.7であった。
光拡散フィルムの特性及び異方性光反射積層体の特性を表3に示す。本実施例で得られた光反射積層体は反射度及び拡散度の両方に優れており、かつ光拡散の異方性が高く高品質であった。
(比較例1)
アルミニウム金属蒸着ポリエステルフィルムのみの特性を表4に示す。
反射度は極めて高いが拡散度が低く、蛍光灯の管影の写り込み性が悪かった。
(比較例2)
実施例1で調製した光拡散フィルムのみの特性を表4に示す。
反射度が著しく低かった。
(比較例3)
実施例1の方法において、光拡散フィルムとして東洋紡績(株)社製の透明タイプの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(P2241、25μm)を用いる以外は、実施例1と同様の方法で異方性光反射積層体を得た。
光拡散フィルムの特性及び光反射積層体の特性を表4に示す。拡散度比は1.0でああり、異方性は見られなかった。本比較例で得られた光反射積層体は反射度が良好であったが、拡散度が低く、反射光の広がりおよび蛍光灯の管影の写り込み性が悪かった。
(比較例4)
実施例1の方法において、光拡散フィルムとして東洋紡績(株)社製の発泡タイプの白色二軸延伸ポリプロピレンフィルム(P4835、厚さ39μm)を用いる以外は、実施例1と同様の方法で異方性光反射積層体を得た。
特性を表4に示す。拡散度比は1.0であり、異方性は見られなかった。本比較例で得られた異方性光反射積層体は拡散度が良好であったが、反射度が著しく低かった。
(比較例5)
実施例1の方法において、下記方法で調製した光拡散フィルムを用いる以外は、実施例1と同様の方法で異方性光拡散フィルムを得た。
特性を表4に示す。
拡散度比は1.2であり、異方性が低かった。
本比較例で得られた異方性光反射積層体は反射度が低かった。
(光拡散フィルムの調整)
2台の溶融押し出し機を用い、第1の押し出し機にてポリプロピレン樹脂(住友化学社製、住友ノーブレン WF836DG3)100質量部を溶融して基層Aとし、第2の押し出し機にてポリプロピレン樹脂(住友化学社製、住友ノーブレン WF836DG3)17質量部とプロピレン・エチレン共重合体(日本ポリプロ社製 HF3101C)83質量部を、溶融混合して異方性光拡散層Bとした、ダイス内にてA/Bとなるように、Tダイ方式にて溶融共押出し後、20℃のキャスティングロールで冷却することにより未延伸シートを得た。次いでこの未延伸シートを縦延伸機のロール周速差を利用して延伸温度120℃で4.8倍に延伸し、引き続いてテンタ―式延伸機により、165℃で加熱後、155℃の延伸温度で横方向に9倍延伸する。ついで166℃で熱固定を行って、A/B構成の厚みがそれぞれ順に22.2μm、2.8μmである光拡散フィルムを得た。巻き取り直前において基層A表面にコロナ処理を行った。
得られた光拡散フィルムの特性を表2に示す。本光拡散フィルムは拡散度は優れているが、透過度が劣る。また、拡散度比も低い。
(比較例6〜10)
実施例1の方法において、下記方法で調製した光拡散フィルムを用いる以外は、実施例1と同様の方法で異方性光拡散フィルムを得た。
なお、上記積層は光拡散フィルムの拡散層の反対側と光反射体のアルミニウム蒸着面とが接するように行った。
得られた異方性光反射積層体の特性を表4に示す。拡散度と透過度のバランスが良くなくどちらかの特性が劣っていた。さらに、これらの比較例で得られた光反射積層体は、いずれもが拡散度比が著しく劣っており、異方光拡散性が求められる用途には不向きであった。
特性を表4に示す。
(光拡散フィルムの調製)
厚み100μmのポリエステルフィルムの片面にポリスチレン系ポリマービーズとアクリル系樹脂よりなる拡散層を塗工法で積層することにより光拡散フィルムを得た。
得られた光拡散フィルムの特性を表1に示す。
本比較例で得られた光拡散フィルムはいずれもが拡散度比が低く、かつ透過度と拡散度のバランスが良くなかった。
(比較例11)
実施例1の光拡散フィルムの調製方法において、ポリオレフィン系樹脂の配合組成をポリプロピレン樹脂(住友化学社製、住友ノーブレン FS2011DG3)50質量部及びエチレン・ブテン共重合体(三井化学社製、タフマー A0585X)50質量部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で異方性光反射積層体を得た。得られた光拡散フィルム及び異方性光反射積層体の特性を表2及び4に示す。
本比較例で得られた光拡散フィルム及び光反射用積層フィルムは、光学特性は良好であったが、フィルム表面にさざ波調の斑があり外観が良くなかった。
(実施例2)
実施例1の方法において、金属層を含む光反射体として、アルメコ社製の増反射タイプのアルミニウム反射板(V95−110)を用いる以外は、実施例1と同様の方法で異方性光反射積層体を得た。
特性を表3に示す。本実施例で得られた光反射積層体は、実施例1で得られた異方性光反射積層体より優れた反射特性を有しており高品質であった。
(実施例3)
実施例1の方法において、光反射体として、東洋紡績(株)社製の二軸延伸ポリエステルフィルム(A4300、100μm)に銀金属をスッパタリング法で150nmの厚みで積層したポリエステルフィルムを用いる以外は、実施例1と同様の方法で異方性光反射積層体を得た。
特性を表3に示す。本実施例で得られた光反射積層体は、実施例1で得られた異方性光反射積層体より優れた反射特性を有しており高品質であった。
(実施例4)
実施例1の方法において調製した光拡散フィルムの片面に金属アルミニウムを150nmの厚みで蒸着することにより、異方性光反射積層体を得た。
特性を表3に示す。本実施例で得られた光反射積層体は、実施例1で得られた光反射積層体と同等の反射特性を有しており高品質であった。
(実施例5)
(光拡散フィルムの調製)
実施例1で調製した一軸延伸フィルムを、さらに横方向に3.5倍に延伸することにより光拡散フィルムを得た。
得られた光拡散フィルムの特性を表1に示す。
本光拡散フィルムは、透過度、拡散度及び拡散度比のいずれも優れており、かつフィルムの外観が良好であり高品質であった。
(異方性光反射積層体の調製)
実施例1の方法において、光拡散フィルムとして上記フィルムを用いる以外は、実施例1と同様の方法で異方性光反射積層体を得た。
特性を表3に示す。本実施例で得られた光反射積層体は反射度及び拡散度の両方に優れており、かつ光拡散の異方性が高く高品質であった。
(実施例6)
(光拡散フィルムの調製)
実施例5の方法で調製した光拡散フィルム2枚を光学両面粘着シートで貼り合わせた。
特性を表1に示す。本実施例の光拡散フィルムは、実施例2で得られた光拡散フィルムよりも拡散度がより向上した。
(異方性光反射積層体の調製)
実施例1の方法において、光拡散フィルムとして上記フィルムを用いる以外は、実施例1と同様の方法で異方性光反射積層体を得た。
特性を表3に示す。本実施例で得られた光反射積層体は反射度及び拡散度の両方に優れており、かつ光拡散の異方性が高く高品質であった。
(実施例7)
(光拡散フィルムの調製)
実施例1の方法において、ポリオレフィン系樹脂の配合組成をポリプロピレン樹脂(住友化学社製、住友ノーブレン FS2011DG3)53質量部及びエチレン・ブテン共重合体(三井化学社製、タフマー A1085S)28質量部及びナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(三井化学社製、ノティオ PN3560)19質量部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で光拡散フィルムを得た。
得られた光拡散フィルムの特性を表1に示す。該光拡散フィルムは、透過度、拡散度及び拡散度比のいずれも優れており、かつフィルムの外観が良好であり高品質であった。
(異方性光反射積層体の調製)
実施例1の方法において、光拡散フィルムとして上記フィルムを用いる以外は、実施例1と同様の方法で異方性光反射積層体を得た。
特性を表3に示す。本実施例で得られた光反射積層体は反射度及び拡散度の両方に優れており、かつ光拡散の異方性が高く高品質であった。
(実施例8)
(光拡散フィルムの調製)
実施例4で調製した一軸延伸フィルムを、さらに横方向に3.5倍に延伸することにより光拡散フィルムを得た。該光拡散フィルム4枚を光学両面粘着シートで貼り合わせた。特性を表1に示す。該貼り合わせた光拡散フィルムは、透過度、拡散度及び拡散度比のいずれも優れており、かつフィルムの外観が良好であり高品質であった。
(異方性光反射積層体の調製)
実施例1の方法において、光拡散フィルムとして上記フィルムを用いる以外は、実施例1と同様の方法で異方性光反射積層体を得た。
特性を表3に示す。本実施例で得られた光反射積層体は反射度及び拡散度の両方に優れており、かつ光拡散の異方性が高く高品質であった。
(実施例9)
(光拡散フィルムの調製)
実施例1の方法において、ポリオレフィン系樹脂の配合組成をポリプロピレン樹脂(住友化学社製、住友ノーブレン FS2011DG3)35質量部及びエチレン・ブテン共重合体(三井化学社製、タフマー A1085S)46質量部及びナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(三井化学社製、ノティオ PN3560)19質量部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で光拡散フィルムを得た。得られた光拡散フィルムの特性を表1に示す。
該光拡散フィルムは、透過度、拡散度及び拡散度比のいずれも優れており、かつフィルムの外観が良好であり高品質であった。
(異方性光反射積層体の調製)
実施例1の方法において、光拡散フィルムとして上記フィルムを用いる以外は、実施例1と同様の方法で異方性光反射積層体を得た。
特性を表3に示す。本実施例で得られた光反射積層体は反射度及び拡散度の両方に優れており、かつ光拡散の異方性が高く高品質であった。
(実施例10)
(光拡散フィルムの調製)
実施例1の方法において、ポリオレフィン系樹脂の配合組成をポリプロピレン樹脂(住友化学社製、住友ノーブレン FS2011DG3)53質量部及び高密度ポリエチレン樹脂(プライムポリマー社製、ハイゼックス 2208J)28質量部及びナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(三井化学社製、ノティオ PN3560)19質量部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で光拡散フィルムを得た。得られた光拡散フィルム2枚を光学両面粘着シートで貼り合わせた。特性を表1に示す。該貼り合わせた光拡散フィルムは、透過度、拡散度及び拡散度比のいずれも優れており、かつフィルムの外観が良好であり高品質であった。
(異方性光反射積層体の調製)
実施例1の方法において、光拡散フィルムとして上記フィルムを用いる以外は、実施例1と同様の方法で異方性光反射積層体を得た。
特性を表3に示す。本実施例で得られた光反射積層体は反射度及び拡散度の両方に優れており、かつ光拡散の異方性が高く高品質であった。
(実施例11)
(光拡散フィルムの調製)
実施例1で得られた光拡散フィルム3枚を光学両面粘着シートで貼り合わせた。特性を表1に示す。該貼り合わせた光拡散フィルムは、透過度、拡散度及び拡散度比のいずれも優れており、かつフィルムの外観が良好であり高品質であった。
(異方性光反射積層体の調製)
実施例1の方法において、光拡散フィルムとして上記フィルムを用いる以外は、実施例1と同様の方法で異方性光反射積層体を得た。
特性を表3に示す。本実施例で得られた光反射積層体は反射度及び拡散度の両方に優れており、かつ光拡散の異方性が高く高品質であった。実施例1で得られた光拡散フィルムよりも拡散度がより向上した。
以上の実施例及び比較例で得られた光拡散フィルムの透過度と主拡散方向の拡散度(DTv)と透過光度(T%v)の関係を図3に示す。
異方性光拡散フィルムの方が等方性の光拡散性フィルムに比べて拡散度が高く、かつ透過度も高いという拡散度と透過度の両立を達成することが有効な手段であることが理解できる。
(参考例−1)
市販のポリエステル系の白色反射フィルム三種類について反射度と拡散度を測定した。
反射特性を表5に示す。いずれの白色反射フィルムも本願の異方性光反射積層体に比べ反射度が低い。
(参考例−2)
室内照明蛍光灯の反射板部に実施例、比較例及び参考例−1の光反射積層フィルムや反射フィルムを貼り付けて明るさと明るさの斑を官能評価にて判定した。
実施例で得られた異方性光反射積層体はいずれもが、蛍光灯の光の反射光が眩しくなく穏やかな反射であり、反射光の角度依存性が抑制されていた。
一方、比較例1、3、6及び7で得られた光反射積層体は反射光が眩しく、かつ特定の角度のみ照度が高かった。また、比較例1、2、4、5及び10で得られた光反射積層体は反射度が低かった。
また、市販の白色反射フィルムも反射度が低かった。
(参考例−3)
(有)ゼロコア社の全周配光特性評価計測装置(ZERO−FP)を用いて、照度を測定した。また、該測定時の反射光の眩しさを観察した。結果を表5に示す。
本発明の実施例で得た光反射積層体は、比較例22や参考例3の市販白色反射フィルムと同様に穏やかな反射光でありながら、照度が高い。一方、比較例14のアルミニウム金属蒸着ポリエステルフィルムは高い照度を有するがその反射光は眩しいという課題を有する。従って、本発明で得られる光反射積層体は、アルミニウム金属蒸着ポリエステルフィルム等の金属光沢を有した光反射体のような強い反射度と白色反射フィルムの有する穏やかな反射とを兼ね揃えた特性を併せ持った優れた反射特性を有するといえる。
(参考例−4)
市販の反射型液晶装置を有した携帯電話の液晶ディスプレイ部を分解した。図4のような構造になっていた。該液晶ディスプレイ部の光反射体を本発明の実施例、比較例及び参考例1の光反射体に置き換えて外光による反射による表示画面の視認性を官能評価した。なお、異方性光反射積層体の場合は、分散相又は共連続相の配向軸の方向を液晶ディスプレイの横方向になるように設置した。本発明の実施例で得られた異方性光反射積層体は、表示が明るく鮮明に見えた。一方、反射度の低い比較例や参考例の白色反射フィルムは明るさが不十分で、表示が見えにくかった。また、比較例1のアルミニウム金属蒸着ポリエステルフィルムを用いた場合は入射角の依存性が高く外光入射の方向により明るさが不十分で、表示が見えにくい所があった。
以上の実施例、比較例及び参考例で得られた異方性光反射積層体及び光反射体の拡散度(DRv)と反射度の関係を図5に示す。
本願の異方性光反射積層体は、等方性(拡散度が1.3未満)の光反射体に比べて拡散度が高く、かつ反射度も高いという拡散度と反射度の両立を達成することができる臨界的な範囲であることが理解できる。
本発明における異方性光反射積層体は、光反射において、反射度と拡散度の両方が高いので、室内の照明、内照式電飾パネルにおける照明、複写機における光照射あるいは液晶ディスプレイにおける照明などの各種照明において光源の光量を有効に活用し、上記照明における照度や輝度を高めることができる。
また、反射度と拡散度の両方が高いので金属光沢を有した反射体のような強い反射度と白色反射フィルムの有する穏やかな反射とを兼ね揃えた特性を併せ持った優れた反射特性を有するといえる。そのため、高い照度や輝度を維持し、室内の照明、内照式電飾パネルにおける照明等において求められる眩しさが抑制された穏やかな照明が可能となる。すなわち、現在市場で求められている省エネルギーと感性の充足を両立することが可能となる。
また、本発明における異方性光反射積層体は、低角度で入射する光に対する反射において上記特性を有するので、例えば、反射型液晶ディスプレイ用の反射体として好適である。
また、本発明における異方性光反射積層体は、その反射光が異方性を有しており、特定方向に反射光を集光する機能を有しているので、光源の形状に合わせた位置関係で設置することで、反射光の反射度や反射度の均一性を向上させることができるという特長を有する。従って、産業界への寄与は大きい。
自動変角光度計の入射角60°における測定カーブと透過度、拡散度の関係。 自動変角光度計の入射角15°における測定カーブと反射度、拡散度の関係。 光拡散フィルムの透過度T%vと拡散度DTvとの関係。 反射型液晶装置を有した携帯電話の液晶ディスプレイ部の分解図である。 異方性光反射積層体及び光反射体の拡散度(DRv)と反射度の関係。
符号の説明
1:光学変調層(偏光板・位相差板)
2:ガラス基板
3:透明電極
4:絶縁層
5:配向層
6:液晶層
7:配向層
8:透明電極
9:透明平坦化層
10:カラーフィルター層
11:透明介在層
12:光反射体(供試フイルム)
13:ガラス基板

Claims (3)

  1. 金属層を含む光反射体の少なくとも片面に、ポリプロピレン系樹脂(A)、エチレンおよび/またはブテンが含まれたポリオレフィン樹脂(B)およびナノ結晶構造制御型ポリオレフィン系エラストマー樹脂(C)の配合物よりなり、連続相と分散相を含む構造又は共連続相構造からなる光拡散フィルムが積層された異方性光反射積層体であって、前記光拡散フィルムの分散相又は共連続相の配向方向が水平横方向になるように試料を固定して変角光度計にて入射角15度で測定した反射光の拡散度(DRh)に対する分散相又は共連続相の配向方向を垂直方向になるように試料を固定して前記と同様の方法で測定した反射光の拡散度(DRv)の比(DRv/DRh)が1.3〜10であり、かつ異方性光反射積層体の拡散層側の反射度及び拡散度がそれぞれ0.5〜8及び10〜30であることを特徴とする異方性光反射積層体。
  2. 前記光拡散フィルム表面の前記分散相又は共連続相の配向方向の平均表面粗さ(RaV)および分散相又は共連続相の配向方向と直行する方向の平均表面粗さ(RaH)の比(RaH/RaV)が1.2〜5.0であることを特徴とする請求項1に記載の異方性光反射積層体。
  3. 前記光拡散フィルムの平行光線透過率が20〜85%、ヘーズが10〜80%そして表面光沢度が10〜70%あることを特徴とする請求項1または2に記載の異方性光反射積層体。
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