JP2016193969A - 固化材及び固化材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】土壌を固化改良する固化材100の製造方法は、粒状の製鋼スラグである原料スラグ3と粒状の二水石膏である原料石膏4とを混合して混合物6を生成する混合ステップと、混合物6を粉砕して粉砕物7を生成する粉砕ステップと、粉砕物7にセメント8の粉末を添加し混合する添加ステップとを含む。なお、固化材100は、原料スラグ3を30〜60質量%とし、原料石膏4を10〜40質量%とし、セメント8を5〜30質量%とする配合を有する。
【選択図】図1
Description
上記二水石膏は、原料用二水石膏に対してフッ素の水に対する溶出量を低下させる前処理が混合前になされて形成された石膏であってよい。
上記固化材は、ブレーン比表面積が2000〜5000cm2/gの範囲内となる粉末度を有してよい。
上記方法は、混合ステップの前に、原料用二水石膏に対してフッ素の水に対する溶出量を低下させる前処理を実施して上記二水石膏を生成する前処理ステップを含んでよい。
粉砕ステップでは、混合物を、ブレーン比表面積が2000〜5000cm2/gの範囲内となる粉末度に粉砕してよい。
上記粒状の製鋼スラグは、ステンレス鋼スラグから選鉱処理をして地金を回収した後の塊状の製鋼スラグ及び砂粒状の製鋼スラグの少なくとも一方であってよい。
図1及び図2をあわせて参照すると、固化材100を製造する工程は、大別すると、原料スラグ生成工程10、原料石膏前処理工程20、混合処理工程30、粉砕処理工程40、及びセメント添加工程50によって構成されている。
固化材100は、土壌に添加されることによって、土壌に含まれる水分と水和反応を起こして固化し、土壌の強度を向上させるものである。
原料石膏前処理工程20は、石膏ボードなどの廃建材から再生される廃石膏、発電ボイラーからの排ガスを脱硫処理する際に発生する排煙脱硫石膏、化学工場での化学合成における副産物である化学合成石膏、天然石膏等の原料石膏4を、原料スラグ3との混合の前に、フッ素の水に対する溶出量(以下、フッ素溶出量を称す)を低位安定化させるように処理する工程である。
混合処理工程30は、原料石膏前処理工程20で生成された前処理後石膏5と原料スラグ3とを混合して混合物6を生成する工程である。
粉砕処理工程40は、混合物6を粉砕して粉砕物7を生成する工程である。
セメント添加工程50は、粉砕物7にセメント8の粉末を添加して固化材100を生成する工程である。
混合処理工程30と粉砕処理工程40とは、竪型ローラーミルのように、同じ設備で混合と粉砕とを同時に行う工程であってもよい。
図2を参照すると、原料スラグ生成工程10は、製鋼スラグ2が生成されるステンレス鋼1の製鋼工程11、製鋼スラグ2を冷却する冷却工程12、及び、冷却後の製鋼スラグ2から粒状の原料スラグ3を分級するスラグ選鉱処理工程13の3つの工程によって構成されている。
ジョークラッシャー破砕処理13aでは、製鋼スラグ2は、気中にある状態で、ジョークラッシャーにおける固定歯と固定歯に対して接近及び離脱するように可動な可動歯との間に挟まれて押圧されることによって圧縮破砕される。製鋼スラグ2は、この処理によって、大まかに乾式破砕される。このとき、製鋼スラグ2では、硬質な鉱物相の間にあるCaO等の軟質な部分の層が崩壊することによって、鉱物相が多数の塊状に分離する。
上記の2つの破砕処理を受ける過程では、製鋼スラグ2に含まれる地金9が、鉱物相及びCaO等の微粉などの成分によって構成されるスラグから分離される。そして、製鋼スラグ2が冷却工程12で十分に固化していることによって、破砕処理時における地金9とスラグとの分離が容易になる。
また、篩い分級処理13eでは、比重選別機から取り出されて処理水中に含まれた状態の低比重の製鋼スラグ2が、振動篩い機の振動するスクリーン(篩い)上に供給され、そのうちのスクリーンの目開きの大きさ(本実施の形態では5mm)以下のものが選別される。なお、スクリーンを通過しなかった粒径5mmを超える製鋼スラグ2は、これが含まれている処理水と共に、再びロッドミル破砕処理13bに戻され、湿式破砕処理を受ける。
原料スラグ3が除去された後の製鋼スラグ2は、その微小粉状粒子及び処理水が混在したスライム状態であり、シックナー・脱水処理13gを受けて、微小粉状粒子が処理水から分離される。この処理では、処理水に含まれた状態の製鋼スラグ2が、処理水と共にシックナーに送られて分級を受け、微小粉状粒子で構成される製鋼スラグ2がスライムから分離される。さらに、水分を含んだ状態で分離された製鋼スラグ2が脱水処理を受けてパウダー状の微粉スラグ3aとして回収される。エーキンス分級処理13f及びシックナー・脱水処理13gもスラグ選鉱処理工程13を構成する。
原料スラグ3は、冷却処理を受ける前の製鋼スラグ2が下記の条件を満たし且つ冷却工程12において上述の冷却処理を受けることによって、単位容積質量が1.9〜2.1kg/L(リットル)であり、フッ素(F)の水に対する溶出量が0.8mg/L以下であり、六価クロム(Cr6+)の水に対する溶出量(以下、六価クロム溶出量と称す)が0.05mg/L以下である特性を有するようになる。
なお、土壌の汚染に係る環境基準つまり土壌環境基準には、土壌のフッ素溶出量を0.8mg/L以下とし、六価クロム溶出量とする0.05mg/L以下とすべきことが規定されている。
そして、製鋼スラグ2では、原料の配合比と、スラグ及びステンレス鋼1の間の元素分配比とについての経験則に基づき、溶製する鋼種ごとにスラグ発生源の原料の種類と配合比とを調節することによって、塩基度及び組成を上述のように調節することができる。
フッ素溶出量を少なくとも2.5mg/Lにまで下げておけば、原料スラグ3と前処理後石膏5とを混合・粉砕して得られる粉砕物7にさらにセメント8を適正量配合して固化材100を生成した場合に、固化材100におけるフッ素溶出量を確実に土壌環境基準以下に下げることができる。
もし、前処理後石膏5において、フッ素溶出量を2.5mg/Lよりも過剰に下げようとすると、低濃度のセメント含有物の混合量が増加し、それにより、六価クロムの溶出量が高くなる。そこで、上記のような前処理後石膏5と原料スラグ3との混合・粉砕後の粉砕物7にさらにセメント8を添加する際には、固化材100の六価クロムの溶出量を抑えるために、セメント添加量を低下する必要がある。その結果、目的の土壌固化における強度不足が発生する可能性がある。
8.0mg/Lを超えるフッ素溶出量をもつ廃石膏原料を原料石膏4として使用すると、前処理に必要な低濃度のセメント含有物の添加量が増加する。その結果、上記と同様の理由により、土壌固化における強度不足が発生する可能性がある。このため、最終製品である固化材100が固化性能及びフッ素溶出量を満足するためには、フッ素溶出量8.0mg/L以下の原料石膏4に対して、フッ素溶出量を、前処理により少なくとも2.5mg/Lにまで下げることが適正である。
2Al(OH)3+3Ca(OH)2+3CaSO4・2H2O+24H2O
→Ca6Al2(SO4)3(OH)12・26H2O
このように、エトリンガイトは、レディーミクストコンクリートにおけるセメントの水和反応によって発生するため、セメントスラッジに含まれている。
なお、エトリンガイトは、原料スラグ3、セメント8等に含まれる酸化カルシウム及びアルミナ(Al2O3)等と、前処理後石膏5の二水石膏(CaSO4・2H2O)とが、水を利用して反応することによっても生成される。
また、低濃度のセメント含有物を使用することによって、前処理後石膏5では、原料石膏4に対する六価クロムの含有率の増加が抑えられる。これにより、前処理後石膏5は、前処理後石膏5を含む固化材100が固化処理した土壌において、前処理後石膏5に起因する六価クロム溶出量を低く抑える。
なお、前処理後石膏5は、その結晶質が上述のように比較的大きい。さらに、原料スラグ3も、粒径5mm以下の粒状体であり、砂のような態様を有している。このため、原料スラグ3と前処理後石膏5とは、容易に互いに均一に混合されることができる。原料スラグ3の代わりに或いは原料スラグ3と共に微粉スラグ3aを使用すると、スラグ及び前処理後石膏5は、互いの粒子間に均等に入り込みにくく、均一に混合されにくい。
固化材100における原料スラグ3の含有率が30質量%未満となると、原料スラグ3中に含まれるCaO等の水硬性成分が不足するため、固化材100が加えられた土壌に発現する長期的な強度が低くなる。CaO等の水硬性成分は、土壌に含まれる水分と水和反応して固化し、土壌の強度を向上させる。これに加え、原料スラグ3の含有率が30質量%未満となると、固化材100における前処理後石膏5及びセメント8の含有率が多くなるため、石膏に含有されるフッ素及びセメントに含まれるフッ素及び六価クロムの溶出量が増加するという問題がある。
上述の点から、固化材100に対する原料スラグ3及び前処理後石膏5の含有率を、上記範囲に設定している。
2000〜5000cm2/gという粉砕物7のブレーン比表面積つまり粉末度は、以下に説明する理由によるためである。粉末度の下限値2000cm2/gは、土粒子と固化材100の構成粒子との間の接触表面積を確保して、互いの間での水和反応を十分に実施させるための値である。また、2000cm2/g以上の粉末度に粉砕することによって、セメント添加工程50においてセメント8の粉末と粉砕物7とを、均等に混合することができる。一方、粉末度の上限値5000cm2/gは、過度に微細な粉砕物7に粉砕することでの長時間のローラーミルの稼動を抑制し、固化材100の生産性を確保するための値である。
セメント8は、固化材100が加えられた土壌に対して、例えば添加後1日後などの初期強度の発現に寄与する。セメント8は、土壌に含まれる水分と水和反応して早期に固化し、土壌の強度を向上させる。また、セメント8は、クロム及びフッ素を含有する一方で、エトリンガイトの生成のための主要構成成分であるCaO、SiO2及びAl2O3を含み、エトリンガイトの生成に貢献する。
一方、固化材100におけるセメント8の含有率が30質量%超となると、セメント8中に含まれるクロムを起因とした六価クロムの溶出量が多くなるため、固化材100が加えられた土壌は、土壌環境基準を満たすことができなくなる。
このため、本実施の形態では、固化材100による改良後の土壌のpHについて、改良から7日経過後でのpHの目標値を、9.5未満としている。さらに、固化材100を水に溶出させた際の溶出液のpHの目標値を11以下とし、固化材100自体のアルカリ性も抑えている。
固化材100を土壌に添加することにより、原料スラグ3の水硬反応が起こるが、この水硬反応は、遅延性である。固化処理7日後以降では、遅延性の製鋼スラグの水硬反応が進行することによって、pHの増加が抑えられる。このため、上記のように、改良から7日経過後でのpHの目標値を定めている。
また、改良から7日経過後での土壌のpHは、pH測定用に密閉された容器の中で10倍量の水に、改良から7日経過後の土を浸漬・攪拌して、アルカリ分を溶出させた時の溶出液のpH値であり、実際の土壌改良の施工現場における降雨時に土壌から流れ出す水のpH値ではない。
改良後の土壌の使用目的にもよるが、固化材100の土壌に対する添加量は、1割程度である。従って、水素イオン濃度を示すpHが11程度のものは、希釈効果により10倍に薄まることが経験上認められているので、改良後の土壌のpHは10前後にまで下がる。
よって、実際の土壌改良の施工現場の土壌から流出する水にアルカリ分が含まれる条件は、pH測定用に密閉された容器を用いた上述のpHの測定条件よりも、緩くなる。
従って、固化材100を水に溶出させた際の溶出液のpHの目標値を11以下とし、且つ改良から7日経過後の土壌のpHの目標値を9.5未満とすることによって、施工現場での流出水のpHを、確実に8.5未満とすることができ、水質汚濁防止法の排水基準の8.6以下を満足するものとすることができる。
このため、セメント8は、粉砕物7内において安定した状態にある原料スラグ3と二水石膏を主成分とする前処理後石膏5と共に、混合されるだけである。よって、セメント添加工程50では、セメント8は、原料スラグ3及び前処理後石膏5と、水和反応による固化反応及びエトリンガイトの生成反応をほとんど起こさない。例えば、原料石膏前処理工程20の前又はこの工程においてセメント8を添加すると、セメント8がセメントスラッジの水分と水和反応して、固化材100製造完了前に固化が始まる。混合処理工程30又は粉砕処理工程40においてセメント8を添加すると、セメント8は、粉砕により生じる原料スラグ3からの水分(具体的には、気化状態となっている水分)及び前処理後石膏5からの水分と水和反応を起こして、固化を始める。
そして、セメント添加工程50の後に得られる固化材100は、含まれる各構成成分が安定した状態にあるため、吸湿性が低く、例えばセメントよりも長い1ヶ月以上の長期保存を可能にする。
固化材100中のセメント材料が、土壌に含まれる水分と水和反応して早期に固化し、土壌の初期強度を発現させる。
固化材100中のスラグ材料のCaO等の水硬性成分が、土壌に含まれる水分と水和反応して、セメント材料よりも遅延して固化して固化状態を持続し、土壌の長期強度を発現させる。
固化材100中のセメント材料に含まれるCaO、SiO2及びAl2O3と、石膏材料のCaSO4・2H2Oと、土壌の水分とが反応し、エトリンガイトを生成する。
固化材100中のスラグ材料に含まれるCaO及びAl2O3と、石膏材料のCaSO4・2H2Oと、土壌の水分とが反応し、エトリンガイトを生成する。
特に、固化材100中のセメント材料及び石膏材料によるエトリンガイトの生成量が多い。エトリンガイトは、固化材100の各材料中の含まれるFイオン及びCrイオンを、自身に固定して、溶出を防ぐ。また、土壌がFイオンや重金属類を含有する場合にも、固化材100中のセメント材料に含まれる成分と土壌の水分とが反応し、エトリンガイトが生成され、これらの溶出を防ぐ。
よって、固化材100を用いて改良を受けた土壌は、十分な初期強度及び長期強度を発現すると共に、フッ素及び六価クロムの溶出を低く抑制する。
以下、本実施の形態の製造方法を用いて製造した固化材100の実施例と、原料の配合を変更して本実施の形態の製造方法を用いて製造した固化材の比較例とを比較検証する。
実施例及比較例の固化材の製造で使用した原料スラグとしてのステンレス鋼の製鋼スラグ、フッ素溶出量を低位化する前処理を行っていない原料石膏、原料石膏を前処理した前処理後石膏、及びセメントにおける組成及び各元素の溶出量等を表1に示す。表1中及び以下の表中で、NDで示す欄は、各元素についての溶出試験値が検出限界値未満であったことを示す
実施例及比較例では、原料石膏としては、廃石膏を破砕処理して得られる二水石膏が用いられ、前処理後石膏としては、上記原料石膏をセメントスラッジで前処理したものが用いられている。前処理つまり原料石膏前処理工程20での原料石膏とセメントスラッジとの混合質量比率は、80:20とした。セメントとしては、普通ポルトランドセメントの粉末が用いられている。
実施例4〜14の固化材は、製鋼スラグ、前処理後石膏及びセメントによって生成されている。実施例4〜14の固化材では、製鋼スラグが30〜60質量%、前処理後石膏が12〜40質量%、セメントが7〜30質量%含まれている。
比較例2〜11の固化材は、製鋼スラグ、前処理後石膏及びセメントによって生成されている。比較例2〜11の固化材では、製鋼スラグが25〜70質量%、前処理後石膏が5〜50質量%、セメントが3〜35質量%含まれている。比較例2〜11の固化材では、製鋼スラグ、前処理後石膏及びセメントのうちの少なくとも1つが、実施の形態で規定した固化材100の配合割合を満たしていない。
実施例4〜14及び比較例2〜11の固化材は、原料スラグ生成工程10、原料石膏前処理工程20、混合処理工程30、粉砕処理工程40及びセメント添加工程50が実施の形態で説明したように実施されることによって、生成されている。
一方、実施例1〜14の固化材による改良土では、フッ素溶出試験値、六価クロム溶出試験値、砒素溶出試験値、ホウ素溶出試験値のいずれも土壌環境基準を超えていない。
コーン指数は、固化処理した後の7日経過後の土壌に対して測定した。コーン指数400kN/m2以上ある土壌については、建設工事において盛土、堤防構築、宅地造成に適用することができ、土壌を取り扱い易く作業性が良好である。つまり、コーン指数400kN/m2以上ある土壌は、建設工事遂行のための十分な強度を有していると評価できる。さらに、コーン指数800kN/m2以上ある土壌については、建設工事において道路の路床等のあらゆる工種に適用することができ、構造物としての十分な強度を有していると評価できる。例えば、固化処理前の汚泥の場合、コーン指数は200kN/m2以下となる。
目視評価では、直立して水中に配置された供試体が原形を留め且つ直立状態を維持している場合、良好つまり○と評価した。直立して水中に配置された供試体がその輪郭をほぼ維持しているが直立状態を維持できていない場合、可つまり△と評価した。直立して水中に配置された供試体がその輪郭及び直立状態を維持できないほど崩れている場合、不良つまり×と評価した。
実施例1〜14の固化材と土壌Iによる改良土はすべて、耐再泥化については、良好な特性を示した。なお、実施例13及び14の固化材と土壌Iによる改良土は、固化処理7日後のコーン指数が400kN/m2に近い値であったが、良好な耐再泥化特性を示した。
実施例1〜14の固化材と土壌IIによる改良土はすべて、耐再泥化については、良好な特性を示した。なお、実施例13及び14の固化材と土壌IIによる改良土は、固化処理7日後のコーン指数が400kN/m2に近い値であったが、良好な耐再泥化特性を示した。
比較例1、4〜7及び11の固化材と土壌Iとによる改良土が、耐再泥化について、良好な特性を示した。比較例2、3、8及び9の固化材と土壌Iによる改良土が、耐再泥化について、可となる特性を示した。比較例10の固化材と土壌Iによる改良土が、耐再泥化について、不良となる特性を示した。なお、比較例2、3、8及び9の固化材と土壌Iによる改良土では、固化処理7日後のコーン指数が400kN/m2に近い値であり、比較例10の固化材と土壌Iに改良土では、固化処理7日後のコーン指数が400kN/m2未満である。
比較例1、4〜7及び11の固化材と土壌IIとによる改良土が、耐再泥化について、良好な特性を示した。比較例2、3及び8〜10の固化材と土壌IIとによる改良土が、耐再泥化について、不良である特性を示した。なお、比較例2、3及び8〜10の固化材と土壌IIに改良土では、固化処理7日後のコーン指数も400kN/m2未満である。
一方、比較例2、3、5及び8〜10の固化材と土壌Iとによる改良土では、pHは、9.5未満であったが、比較例1、4、6、7及び11の固化材と土壌Iとによる改良土では、pHは、9.5以上であった。
そして、比較例のように、固化材の配合について製鋼スラグ材料30〜60質量%、石膏材料10〜40質量%、セメント材料5〜30質量%のうちの少なくとも1つの含有率条件を満たさない固化材では、改良土におけるフッ素溶出量、六価クロム溶出量、pHのうちの少なくとも1つが、基準値又は目標値を満たさない。
さらに、固化材100が上記配合を有することによって、固化材100により固化処理された改良土は、その初期強度及び長期強度を確保すると共に、フッ素及び六価クロムの溶出量を低く抑えることができる。固化材100では、セメント8を原料として含むが、原料スラグ3及び原料石膏4を主原料とするため、セメント8に由来するフッ素及び重金属の溶出量が低く抑えられる。
さらに、セメント8を添加する前に、原料スラグ3と原料石膏4との混合及び粉砕が完了している。これにより、セメント8が、上記粉砕処理中に、粉砕により生じる原料スラグ3からの水分及び原料石膏4からの水分と水和反応を起こし固化することが防がれる。そして、固化材100中では、セメント8は、安定した状態にある原料スラグ3及び原料石膏4と共に、安定した状態で共存する。よって、固化材100の品質の向上及び長期保存が可能になる。
さらにまた、フッ素溶出量の低位安定化処理に、本来廃棄されるセメントスラッジを使用すれば、製造コストの低減も可能になる。
また、実施の形態に係る固化材100では、原料用の製鋼スラグとして、ステンレス鋼の製鋼スラグが使用されていたが、これに限定されるものでなく、いかなる鉄鋼スラグが使用されてもよい。
Claims (7)
- 土壌を固化改良する固化材において、
製鋼スラグを30〜60質量%とし、二水石膏を10〜40質量%とし、セメントを5〜30質量%とする配合で、前記製鋼スラグ、前記二水石膏及び前記セメントを混合して形成される固化材。 - 前記二水石膏は、原料用二水石膏に対してフッ素の水に対する溶出量を低下させる前処理が前記混合前になされて形成された石膏である請求項1に記載の固化材。
- ブレーン比表面積が2000〜5000cm2/gの範囲内となる粉末度を有する請求項1または2に記載の固化材。
- 土壌を固化改良する固化材の製造方法において、
粒状の製鋼スラグと粒状の二水石膏とを混合して混合物を生成する混合ステップと、
前記混合物を粉砕して粉砕物を生成する粉砕ステップと、
前記粉砕物にセメント粉末を添加し混合する添加ステップと
を含み、
前記固化材が、前記製鋼スラグを30〜60質量%とし、前記二水石膏を10〜40質量%とし、前記セメントを5〜30質量%とする配合を有する方法。 - 前記混合ステップの前に、原料用二水石膏に対してフッ素の水に対する溶出量を低下させる前処理を実施して前記二水石膏を生成する前処理ステップを含む請求項4に記載の方法。
- 前記粉砕ステップでは、前記混合物を、ブレーン比表面積が2000〜5000cm2/gの範囲内となる粉末度に粉砕する請求項4または5に記載の方法。
- 前記粒状の製鋼スラグは、ステンレス鋼スラグから選鉱処理をして地金を回収した後の塊状の製鋼スラグ及び砂粒状の製鋼スラグの少なくとも一方である請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
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