JP2012072301A - 土質改良固化材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 半水セッコウでは得られない可使時間を確保するために、セッコウ、特に廃セッコウボードを地盤改良、建設残土の固化処理等の土壌改良に好適な無水セッコウに少量のセメントを添加してなる土質改良固化材を提供する。
【解決手段】 土質改良固化材を、半水セッコウに代え、2型無水セッコウを用い、これに少量のセメントを加え、土壌固化に用いる。セメントとしてはポルトランドセメント、混合セメント等何れを用いても構わない。
【選択図】なし

Description

この発明は、セッコウ、特に廃セッコウボードを地盤改良、建設残土の固化処理等の土壌改良に好適な無水セッコウに少量のセメントを添加してなる土質改良固化材に関する。
セメント系固化材は、一般に、セメントに20%以内のセッコウを加えて製造されている。添加されるセッコウとしては、二水セッコウ、半水セッコウ、無水セッコウの何れでも用いることができる。
セッコウを多量に用いる固化材として、従来、半水セッコウに高炉セメントを加えた固化材が提案されている(土木構造・材料論文集 第25号 2009年12月 亀井健史他 「半水石膏を利した締固め土の強度特性に及ぼす養生条件の影響」)。
セッコウボードの生産量は年間500万トンに迫っており、今後さらに増加すると予想されている。これに伴い、セッコウボード廃材も今後増大が予想される。しかし、セッコウボード廃棄物は硫酸還元菌による硫化水素の発生、フッ素含有等の問題が有り、廃棄処理に当たっては管理型廃棄物処分場への処分が義務付けられ、処理費が高い他、処分場が満杯になり処分出来なくなる事態も予想される。
また、廃セッコウボードをセッコウボード生産の原料として用いる事が検討されているが、廃セッコボードを用いた半水セッコウは水和反応が速過ぎるため、原料中に数%混入し使用しているにすぎない。
さらに、他の用途が種々検討されているが、使用量の多い固化材への用途が期待されている。
セメント系固化材は、セメントとセッコウによるエトリンガイト生成を目的に普通セメントより多量にセッコウを加えているが、セッコウ量が15%を超えると固化後のエトリンガイト生成による遅れ膨張が発生するため、これ以上セッコウの使用量を増加することはできない。
しかしながら、上記文献著者の亀井らは、半水セッコウをベースに少量の高炉セメントを添加した固化材を提案している。この固化材は、セメント量が少なければ生成するエトリンガイト量も一定量以下に制御できるので膨張亀裂の発生も防止でき、また、セッコウとして廃セッコウボードを焼成した半水セッコウを用いている点で、好都合な優れた固化材である。
しかし、この固化材を用いて路体、路床等地盤改良を行う場合にあっては、廃セッコウボード使用で2〜3分、一般半水セッコウで20分程度で固化し始めるため、施工中に固化し始めてしまい、施工できないケースが発生した。
セッコウ系固化材は、半水セッコウが水と水和反応し、微細な二水セッコウの針状結晶を生成する反応を利用するものである。2型無水セッコウはそれだけでは反応速度が極めて遅く、これを固化用途に用いるためには硫酸カリウムや明礬などの凝結促進剤が必要な事が知られている。
しかしながら、セメント系固化材に用いられている2型無水セッコウは全量セメントと反応してエトリンガイト等を生成する。
2型無水セッコウに少量のセメントを加えると、水中に溶解している微量のセッコウをエトリンガイト生成のために消費し、新たな石膏溶出を促進し、硫酸カリウム等と同様の促進作用を発揮するのではないかと考えられる。
また、セッコウの弱点である硫化水素の発生、フッ素の溶出についてはセメントのカルシウムイオンによりpHが高くなり、抑制することができる。
セッコウは、高含水比土壌固化の場合や固化処理土を水中に投入したりすると、析出した微細な結晶が付着水等に溶解し再結晶化する事により固化能力が減少し、再泥化したり、水中では崩壊したりするが、少量のセメントを添加する事によりこれらを防止することができる。
ところで、特許文献1には、無水セッコウおよび/または半水セッコウを80%以上含有する中性固化材で、無機硫酸塩およびリン酸二水素カリウムのうち1種以上を必須成分とし、請求項3で2%以下の消石灰ないしセメント添加も挙げている。中性域を確保する為2%以下とし添加目的は土とのポゾラン反応であると説明している。
また、特許文献2には、無水セッコウ100に対し0.5〜10の硬化促進剤を用いる、硬化促進剤の中にセメントも含まれているが、実施例ではカリ明礬と組み合わせ使用している。低アルカリ性の固化材が目的である。
特開平7−179854号公報 特開平7−134712号公報
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、半水セッコウでは得られない可使時間を確保するために、セッコウ、特に廃セッコウボードを地盤改良、建設残土の固化処理等の土壌改良に好適な無水セッコウに少量のセメントを添加してなる土質改良固化材を提供しようとするものである。
上記目的を達成するため、この発明に係る土質改良固化材は、半水セッコウに代え、2型(本来はローマ数字の大きい方で表す。以下同じ)無水セッコウを用い、これに少量のセメントを加え、土壌固化に用いる。セメントとしてはポルトランドセメント、混合セメント等何れを用いてもかまわない。2型無水セッコウとしては天然無水セッコウ、フッ酸製造等の副産無水セッコウ、廃セッコウボード焼成品の何れを用いてもかまわないが、将来多量に発生が予想される廃セッコウボードを用いる事がコスト的に有利である。
この発明に係る土質改良固化材によれば、半水セッコウを用いた固化材は可使時間が短いが、無水セッコウを用いると、水和速度が遅く、可使時間を確保することができる。
また、この発明に係る土質改良固化材によれば、2型無水セッコウは反応速度が遅すぎるが、少量のセメントを加える事により、固化材として適正な反応速度が得られる。セッコウを15%含有するセメント系固化材が生成するエトリンガイト量と同量のエトリンガイトを生成する2型無水石膏に対するセメント量は42%と計算されるのでセメント量はこれ以下にしなければならない。
さらに、この発明に係る土質改良固化材によれば、少量のセメントの効果によりセッコウ系固化材の欠点である再泥化、水中崩壊を防止できる。
以下、この発明の実施形態例を、以下に説明をする。
〔実施例〕
1.脱水量試験
廃セッコウボードから紙等を除去し粉砕した二水セッコウ及びこれを焼成して得られたα型半水セッコウ、2型無水セッコウ(何れも市販品)を用い、これら単独、及び25%の普通ポルトランドセメントを添加したものについて試験した。
各固化材に重量比50%の水を加え、28日密封養生した各試料を90℃で乾燥し、これをさらに210℃に加熱、脱水させた。その結果を表1に示す。
Figure 2012072301
表1から明らかなように、No.2の半水セッコウはほぼ全量二水セッコウに変化したが、No.3の2型無水セッコウはほとんど水和していない。No.4〜6は、生成されたセメント水和物エトリンガイト等が210℃では全部は分解しないため、セッコウ単味より数値は低いがNo.6がNo.4,5と大差がなく減量となった。
以上から明らかなように、2型無水セッコウは単味では28日間では水とほとんど反応しなかったが、セメントはほとんど水和していない。混合する事により大半が水和反応したものと思われる。
2.固化試験
次に、セッコウ−少量セメント固化試験の試験結果を表2に示す。
Figure 2012072301
この試験の結果、半水セッコウは、再泥化により著しく低強度となった。
また、Bは無水セッコウ単身で混練り後次第にソフトクリーム状になったが固化には至らなかった。
さらに、二水セッコウは水和しないため、添加されたセメントのみによる強度で他のセッコウに比べて強度が低かった。
また、流動性保持時間を比較したが、二水、無水では3時間程度流動性を維持した。

Claims (2)

  1. 2型無水セッコウに少量のセメントを加えてなる土壌固化に用いる土質改良固化材。
  2. 2型無水セッコウに加えるセメント量を全体の42%以下とした土質改良固化材。
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