JP2016192506A - フィルムコンデンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重ねられた2個のコンデンサ素子が互いに対向する面側の各メタリコン電極が、それぞれ複数ずつの引き出し端子板と接続するフィルムコンデンサ。
【選択図】図4
Description
フィルムコンデンサのコンデンサ素子は、フィルムに蒸着により薄膜金属電極を設けたものを、巻回又は積層したもので、両端面に亜鉛、銅又はアルミニウム等の金属をメタリコン(溶射)により付着させ、素子外部電極(以下、メタリコン電極という。)を形成している。
このようなフィルムコンデンサにおいて、等価直列抵抗を低減して低損失・低発熱なコンデンサにするための改善として、蒸着膜の導電値を向上させるために蒸着膜厚を厚くすると、コンデンサ素子のセルフヒーリング性が低下し、コンデンサ素子の耐圧性が低下してしまう。そのため、特許文献1には、蒸着膜厚は厚くせず、コンデンサ素子のメタリコン電極までの距離を短くする方法として、ひとつのコンデンサ素子を分割して、少なくとも二つのコンデンサ素子を並列に接続する方法が記載されている。
又、特許文献2には、等価直列抵抗を低減するために、二つのコンデンサ素子を並列に接続する方法として、このコンデンサ素子を巻き軸方向に重ねて上端面に開口部のある有底筒状の金属ケース内に収容し、各コンデンサ素子のメタリコン電極からそれぞれ箔状の金属板の引き出し端子を引き出す方法が記載されている。
引き出し端子板の断面積を大きくするための手段としては、引き出し端子板の厚さを厚くする、又は、引き出し端子板の幅を広くする方法がある。
引き出し端子板は、コンデンサ素子の外周に沿って折り曲げて配置されるため、厚さを厚くすると、引き出し端子板とコンデンサ素子を収容するケースの内周面との距離が小さくなり、ケースを絶縁樹脂等で充填する際にボイドが発生しやすくなる虞があるとともに、メタリコン電極と半田付けで接続する場合の入熱量が大きくなりコンデンサ素子を損傷させてしまう虞もある。又、引き出し端子板の幅を広くする場合も、図2に示すように、引き出し端子板の幅方向の両端部がコンデンサ素子の外周面から大きく離れるため、引き出し端子板の幅方向の外周側両端部とコンデンサ素子を収容するケースの内周面との距離が小さくなり、ケースを絶縁樹脂等で充填する際にボイドが発生しやすくなる虞がある。コンデンサ素子を収容するケースと引き出し端子板との距離を確保するために、ケースの内径寸法を大きくする方法もあるが、コンデンサ全体の外径が大きくなってしまうため好ましくない。
(1)誘電体にフィルムを使用し巻回してその両端面にメタリコン電極を設けた2個のコンデンサ素子と、2個の前記コンデンサ素子を巻き軸方向に重ねて収容する上端面に開口部のある有底筒状のケースと、前記メタリコン電極にそれぞれ接続する引き出し端子板とを有するフィルムコンデンサであって、重ねられた2個の前記コンデンサ素子が互いに対向する面側の各メタリコン電極が、それぞれ複数の前記引き出し端子板と接続するフィルムコンデンサ。
(2)重ねられた2個の前記コンデンサ素子が互いに対向する側の各メタリコン電極に接続される前記複数の引き出し端子板が、一端側で全て一体に形成されている上記(1)に記載のフィルムコンデンサ。
(3)前記コンデンサ素子の前記引き出し端子板の幅方向の外周側両端部と前記ケースとの間にスペーサが設けられている上記(1)又は(2)に記載のフィルムコンデンサ。
(4)重ねられた2個の前記コンデンサ素子が互いに対向する側の各メタリコン電極に接続され、前記コンデンサ素子の外周部で折り曲げられて前記ケース開口部側に引き出される前記複数の引き出し端子板が前記コンデンサ素子の外周面に沿って配置されている部分において、前記引き出し端子板の幅方向の外周側両端部と前記ケースの内周面との距離が2.0mm以上である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルムコンデンサ。
ケース内には、コンデンサ素子を収容し、絶縁樹脂等で充填する。絶縁樹脂は、一般的にフィルムコンデンサの充填用に使用している絶縁材料であり、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂にフィラー等を混ぜたものを用いることができる。フィラーとしては、珪素、チタン、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、マグネシウム等の水酸化物、酸化物、炭化物、窒化物、これらの複合物等が使用できる。必要があれば、難燃剤、酸化防止剤を添加してもよい。
図1は、本実施形態のフィルムコンデンサを構成する2個のコンデンサ素子とそれに接続する引き出し端子板を示している。
2個のコンデンサ素子1は、それぞれ誘電体にフィルムを使用し、このフィルムに蒸着により薄膜金属電極を設けたものを使用し巻き回して円柱形とし、両端面にメタリコン電極a,2bを設け、巻き軸方向に重ねる。この2個のコンデンサ素子1を並列に接続し外部と接続するために、コンデンサ素子1の上端面側に設けた一対の外部端子8と各メタリコン電極2a,2bとをつなぐ引き出し端子板3a,3bを設ける。これらの引き出し端子板3a,3bは、それぞれ金属板を切り出し折り曲げたものを使用する。
図1において引き出し端子板3aは、図3(b)に示す形状に切り出した金属板を使用して、2個のコンデンサ素子1間の向かい合った各メタリコン電極2aと、それぞれ2枚ずつ半田付けにより接続する。
上記のように配線した2個のコンデンサ素子1と引き出し端子板3a,3bを上端面に開口部のある有底筒状のケース6に収容する。前記コンデンサ素子1の外周面と前記ケースとの間にはスペーサ5が設けられる。封口体により前記ケース6の開口部を封止し、前記封口体には、外表面と内表面とを貫通する一対の外部端子8を設け、前記外部端子8が前記封口体から抜けないように留め具等を設け、前記ケース内を充填樹脂で充填して、本実施形態のフィルムコンデンサとする。
外径107mm、高さ78mmのコンデンサ素子を2個、この2個のコンデンサ素子間の向かい合った各メタリコン電極にそれぞれ2枚ずつ接続する引き出し端子板としては、幅20mm、厚さ0.3mmのものを用い、上述の方法で内径114mmの有底筒状のケースに収容し(引き出し端子板の幅方向の外周側両端部とケースの内周面との距離:2mm)、ケース内をウレタン樹脂で充填し、フィルムコンデンサを製作した。
製作したコンデンサ10個をX線CTにより観察し、ボイドの有無を確認した。
結果を表1に示す。
2個のコンデンサ素子間の向かい合った各メタリコン電極に幅33mm、厚さ0.3mmの引き出し端子板をそれぞれ1枚ずる接続した(引き出し端子板の幅方向の外周側両端部とケースの内周面との距離:0.5mm)以外は、実施例と同様にして、フィルムコンデンサを製作した。
製作したコンデンサ10個をX線CTにより観察し、ボイドの有無を確認した。
結果を表1に示す。
Claims (4)
- 誘電体にフィルムを使用し巻回してその両端面にメタリコン電極を設けた2個のコンデンサ素子と、2個の前記コンデンサ素子を巻き軸方向に重ねて収容する上端面に開口部のある有底筒状のケースと、前記メタリコン電極にそれぞれ接続する引き出し端子板とを有するフィルムコンデンサであって、
重ねられた2個の前記コンデンサ素子が互いに対向する面側の各メタリコン電極が、それぞれ複数の前記引き出し端子板と接続するフィルムコンデンサ。 - 重ねられた2個の前記コンデンサ素子が互いに対向する側の各メタリコン電極に接続される前記複数の引き出し端子板が、一端側で全て一体に形成されている請求項1に記載のフィルムコンデンサ。
- 重ねられた2個の前記コンデンサ素子の外周面と前記ケースとの間にスペーサが設けられている請求項1又は2に記載のフィルムコンデンサ。
- 重ねられた2個の前記コンデンサ素子が互いに対向する側の各メタリコン電極に接続され、前記コンデンサ素子の外周部で折り曲げられて前記ケース開口部側に引き出される前記複数の引き出し端子板が前記コンデンサ素子の外周面に沿って配置されている部分において、前記引き出し端子板の幅方向の外周側両端部と前記ケースの内周面との距離が2.0mm以上である請求項1〜3のいずれかに記載のフィルムコンデンサ。
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