JP2011029555A - フィルムコンデンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィルムコンデンサ1は、誘電体フィルム5の表面に金属膜が形成された金属化フィルムを少なくとも2枚重ね合わせて巻回または積層して形成される。一方の金属化フィルム4の重ね合わされる表面には、金属膜が複数に分割された分割電極部6aが形成され、他方の金属化フィルム4の重ね合わされる表面には、金属膜としてヒューズ機能を備えた保安電極部9が形成され、保安電極部9の膜抵抗が分割電極部6aの膜抵抗より高く設定されている。
【選択図】図4
Description
しかしながら、電圧が高くなり絶縁破壊のエネルギーが過大になると自己回復機能を発揮できず、絶縁破壊点が短絡して、コンデンサがショートしてしまう場合がある。
保安性を向上させる方法としては、ヒューズ部の膜厚を薄くする方法が考えられる。ヒューズ部の膜厚を薄くすると、ヒューズ部を飛散させるために要するエネルギーレベルが下がるため、絶縁破壊が生じた際、より小さい放電エネルギーでヒューズ部を飛散させることができる。同時に、ヒューズ部の膜厚を薄くすることによって膜抵抗が高くなるため、発熱量が大きくなり、速やかにヒューズ部を飛散させることができる。
このように、保安性の向上と発熱量の低減とは相反する要求であり、同時に実現することが困難であった。
ここで、分割電極部は一方の金属化フィルムの重ね合わされる表面に形成され、保安電極部は他方の金属化フィルムの重ね合わされる表面に形成されることから、分割電極部を構成する金属膜の膜厚と保安電極部を構成する金属膜の膜厚とを異なる値に自在に設定することができる。
このため、分割電極部の膜厚を厚くして膜抵抗を低くすることにより、通電時の発熱を抑制する一方で、保安電極部の膜厚を薄くして膜抵抗を高くすることにより、保安性を向上させることができる。つまり、保安性の向上と通電時の発熱低減との両立を図ることができる。
図1に示すように、本実施形態のフィルムコンデンサ1は、直方体状の樹脂製のケース21内に、複数(本実施形態では5個)のコンデンサ素子2が収納されると共に、熱硬化性樹脂からなる充填材(図示省略)が充填された構成を有する。
各コンデンサ素子2の両端部に形成されたメタリコン電極3、3には、それぞれ引出部材22、23が接続されている。
接続部23bは、引出電極板23aの長辺端部から図1中の下方に延びて形成されており、コンデンサ素子2の他方端部のメタリコン電極3にはんだ付けによって接続されている。
まず、実施例1のコンデンサ素子2について説明する。実施例1のコンデンサ素子2は、図5〜7に示すように、2枚の帯状の金属化フィルム4、4を、後述する電極部が形成されている面5aと、後述する保安電極部(線状電極)9が形成されている面5bとが対向するように重ね合わせ、巻回することによって形成されている。一方の金属化フィルム4の電極部6と、該電極部6に接触する他方の金属化フィルム4の保安電極部(線状電極)9とによって、1つの電極(陽極または陰極)が構成される。
以下のコンデンサ素子2の説明において、金属化フィルム4の長手方向および幅方向を単に長手方向および幅方向と定義して説明する。
誘電体フィルム5の面5aの幅方向一端部には、金属蒸着されていない絶縁マージン8aが設けられている。電極部6は、複数の分割電極部(島状電極)6aとメタリコン接続部6bとから構成されており、これらは非蒸着部である絶縁スリット7によって分割されている。
絶縁スリット7は、長手方向に沿って延在する3本のスリット7aと、幅方向に沿って延在する複数のスリット7bとから構成されている。
スリット7aは幅方向に等間隔で配置されており、スリット7bは長手方向に等間隔で配置されている。
メタリコン接続部6bは、誘電体フィルム5の面5aの、絶縁マージン8aが形成されている端部と反対側の端部に形成されており、メタリコン電極3に電気的に接続される(図7参照)。
複数の分割電極部6aは、全て同じ矩形状に形成されており、幅方向および長手方向に間隔を空けて配置されている。
メタリコン接続部6bと、分割電極部6aの膜厚は、本実施例では互いに同じであるが、メタリコン接続部6bの膜厚を分割電極部の膜厚よりも大きくしてもよい。
上述したように、保安電極部9は、誘電体フィルム5の面5bに形成されている。保安電極部9は、長手方向に沿って延在する3本のライン部9aと、幅方向に沿って延在する複数のライン部9bとから構成されている。ライン部9bは、面5bの幅方向一端から途中部分まで延びている。つまり、誘電体フィルム5の面5bの幅方向一端(メタリコン接続部6b側)には、金属蒸着されていない領域である絶縁マージン8bが形成されている。
ライン部9aは幅方向に等間隔で配置されており、ライン部9bは長手方向に等間隔で配置されている。ライン部9aの配置間隔は、スリット7aの配置間隔とほぼ同じであり、ライン部9bの配置間隔は、スリット7bの配置間隔とほぼ同じである。
なお、図4は、2枚の金属化フィルム4、4の接触面における電極部6と保安電極部9のみを表示しており、それ以外の電極部6、9は省略している。
具体的には、保安電極部9は、膜厚0.01μm、膜抵抗10Ω/□に設定し、分割電極部6aは、膜厚0.03μm、膜抵抗3Ω/□に設定した。
なお、本実施例では上記の数値に限定したが、この数値に限定されるものではない。保安電極部9の膜厚は例えば0.001〜0.01μmであり、膜抵抗は例えば10〜30Ω/□である。また、分割電極部6aの膜厚は例えば0.01〜0.05μmであり、膜抵抗は例えば1〜7Ω/□である。
そして、ヒューズ部の幅は0.3mmとした。
ここで、誘電体フィルムとしては、厚さ3μm、幅50mmのPPフィルムを使用し、金属蒸着電極の材料としては、全てアルミニウムを使用した。コンデンサの静電容量は100μFとした。
図5〜7に示すように、2枚の金属化フィルム4、4は、面5aに形成された分割電極部6aと面5bに形成された保安電極部9とが接触し、かつ、2枚の金属化フィルム4、4の絶縁マージン8a、8aが幅方向に関して反対側に位置するように重ね合わされて巻回されている。
より詳細には、図4に示すように、一方の金属化フィルム4のライン部9aが、他方の金属化フィルム4の長手方向に並んだ複数の分割電極部6aを通り、かつ、一方の金属化フィルム4のライン部9bが、他方の金属化フィルム4の幅方向に並んだ3つの分割電極部6aを通るように、2枚の金属化フィルム4、4が重ね合わされている。
そのため、分割電極部6aの膜厚を厚くして膜抵抗を低くすることにより、通電時の発熱を抑制し、同時に、保安電極部9の膜厚を薄くすることにより、保安性を向上させることができる。
次に、実施例2のコンデンサ素子2について説明する。なお、ここで、実施例1と重複する内容は説明を省略する。
実施例2では、図10に示すように、誘電体フィルム5の片面に複数の分割電極部6aが形成された金属化フィルム40と、誘電体フィルム5の片面に保安電極部9が形成された金属化フィルム41とを、分割電極部6aと保安電極部9とが接触するように、また、金属化フィルム40、41の電極が形成されていない面同士が接触するように2枚ずつ重ね合わせ、巻回することによってコンデンサ素子を形成している。
なお、上記構成とした以外、分割電極部6a、保安電極部9の形状、寸法、膜厚、およびコンデンサ仕様は実施例1と同様とした。
従来例1、2のコンデンサ素子として、図11および図12(a)に示すような金属化フィルム90を2枚用意した。この金属化フィルム90は、帯状の誘電体フィルム91の一方の面に、メタリコン電極97に接続されるメタリコン接続部94と、幅方向および長手方向に配列された複数の分割電極部92と、分割電極部92同士を接続するヒューズ部93と、金属蒸着されていない絶縁マージン部96とが形成されたものである。メタリコン接続部94および複数の分割電極部92は、絶縁スリット95によって区画されている。
なお、分割電極部92およびヒューズ部93の膜抵抗と、メタリコン接続部94の膜抵抗を、表1に示す値にそれぞれ設定した。また、従来例1、2とも、ヒューズ部の幅を0.3mmとした。
表1中の保安性の欄には、10個全ての試料が、オープンモード(絶縁性を維持した状態)で破損した場合に○印を表示し、1個以上の試料がショートモードで破損した場合には×印を表示した。
また、上記実施例では、幅方向に延在する3本のスリット7bは、長手方向に関して等間隔に配置されているが、等間隔でなくてもよい。
例えば、図8に示すように、幅方向に延びる複数のライン部9bのみで構成される保安電極部109であってもよい。
また、図示は省略するが、長手方向に延びる複数のライン部9aのみで構成される保安電極部であってもよい。
この場合、複数枚の金属化フィルム4は、上記実施例と同様に、面5aと面5bとが向かい合うように積層される(図5、6)。
なお、最上段の金属化フィルムの上面と、最下段の金属化フィルムの下面には、電極部6、9は形成されていなくてもよい。
2 コンデンサ素子
3 メタリコン電極
4 金属化フィルム
5 誘電体フィルム
5a、5b 面
6 電極部
6a 分割電極部
6b メタリコン接続部
7 絶縁スリット
7a、7b スリット
8a 絶縁マージン(分割電極側)
8b 絶縁マージン(保安電極側)
9 保安電極部(線状電極)
9a、9b ライン部
9c ヒューズ部
21 ケース
22、23 引出部材
22a、23a 引出電極板
22b、23b 接続部
24、25 引出端子
90 金属化フィルム
91 誘電体フィルム
92 分割電極部
93 ヒューズ部
94 メタリコン接続部
95 絶縁スリット
96 絶縁マージン部
97 メタリコン電極
109 保安電極部
209 保安電極部
209a 線分状電極部(長手方向)
209b 線分状電極部(幅方向)
Claims (4)
- 誘電体フィルムの表面に金属膜が形成された金属化フィルムを少なくとも2枚重ね合わせて巻回または積層してなるフィルムコンデンサにおいて、
一方の金属化フィルムの重ね合わされる表面に前記金属膜が複数に分割された分割電極部が形成され、
他方の金属化フィルムの重ね合わされる表面に前記金属膜としてヒューズ機能を備えた保安電極部が形成され、
前記保安電極部の膜抵抗が前記分割電極部の膜抵抗より高く設定されていることを特徴とするフィルムコンデンサ。 - 前記金属化フィルムの両面のうち一方主面に前記分割電極部が形成され、他方主面に前記保安電極部が形成され、
前記金属化フィルムの一方の表面に形成された前記分割電極部と、前記金属化フィルムの他方の表面に形成された前記保安電極部とが接触した状態で前記金属化フィルムが重ね合わされていることを特徴とする請求項1記載のフィルムコンデンサ。 - 前記一方の金属化フィルムの片面に前記分割電極部が形成され、
前記他方の金属化フィルムの片面に前記保安電極部が形成され、
前記一方の金属化フィルムの分割電極部が形成されていない表面と前記他方の金属化フィルムの保安電極部が形成されていない表面とを当接させるとともに、
前記一方の金属化フィルムの片面に形成された前記分割電極部と、前記他方の金属化フィルムの片面に形成された前記保安電極部とが接触した状態で前記金属化フィルムが重ね合わされていることを特徴とする請求項1記載のフィルムコンデンサ。 - 前記分割電極部は前記金属膜が格子状の絶縁スリットにより島状に分割された複数の島状電極を有し、前記保安電極部は線状の前記金属膜が格子状に形成された線状電極を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフィルムコンデンサ。
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