JP5912795B2 - 金属化フィルムコンデンサ - Google Patents
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Description
i)個々の分割電極を直列に接続する部分にヒューズを設けたもの(図3参照)であるか、あるいは、
ii)外部接続電極との間にヒューズを設けたもの(図4参照)であるか、
のいずれかである。
特許文献1には、図3a)に示される、幅方向中央に長手方向に沿って絶縁マージンが設けられた第1の金属化フィルムと、幅方向両端側に長手方向に沿って絶縁マージンが設けられ、幅方向中央部に共通電極部を有する第2の金属化フィルムを重ねて巻回した金属化フィルムコンデンサが記載されている。
この金属化フィルムコンデンサは、分割電極部で絶縁破壊が生じた場合、幅方向中央部の共通電極部のヒューズに、分割電極からヒューズを動作させるだけの十分な電流が流れ込まず、特に高温時においてヒューズが動作しないおそれがあった。
しかし、このような金属化フィルムコンデンサは、従来のTマージン品である金属蒸着フィルムを用いたものに比べて保安性および長期安定性の点では優れるが、ヒューズが外部電極の近傍に配置されているために、充放電電流でヒューズが動作してしまい、高い耐電圧性能が得られないという問題を有する。
この金属化フィルムコンデンサは、陽極とした一方の金属化フィルムのスリットが、他方の金属化フィルムのスリットより少ないので、酸化保護膜の形成による電気特性の低下を抑制できる点においては優れているが、絶縁マージン側に電極面積が小さな分割電極を長手方向に配列した分割電極部が配置され、端子接続部側に、分割されていない非分割電極部が配置されているので、高温時における保安性が必ずしも十分に確保されているものではなかった。
具体的には、分割電極部で絶縁破壊が生じた場合、絶縁破壊が生じた分割電極部を構成する分割電極に隣接する分割電極からヒューズを動作させるだけの十分な電流が流れ込まず、特に高温時においてヒューズが動作しないおそれがあった。
このため、複数の分割電極の各々が互いに並列接続され、絶縁破壊が発生した際、比較的大きなエネルギーが流入し、安定したヒューズ動作を実現することができる。また、各ヒューズ部は第1誘電体フィルムの幅方向中央に設けられた絶縁マージンに対向しているため、素子巻回時にヒューズ部にかかる応力が小さくなり、ヒューズ動作性が向上する。
しかも、上記構成を有する金属化フィルムコンデンサの場合、分割電極を小さくしても安定した保安性が得られ、絶縁破壊発生時の容量減少を小さくすることが可能である。さらに、十分な保安性を保ったままでヒューズの抵抗値を小さくすることも可能である。
また、十分な保安性を保ったままで分割電極の面積を小さくすることができ、絶縁破壊発生時の容量減少を小さくすることができ、安全で、優れた耐電圧性能(寿命)を示す。その上、ヒューズの抵抗値を小さくすることも可能であるので、優れた電気特性(ESR)を有する。
本発明の金属化フィルムコンデンサにおけるコンデンサ素子は、図1a)に示されるような表面に金属蒸着層を有する2枚の金属化フィルムが重なり合った状態で巻回して構成されたものであり、電極引き出し側蒸着フィルムに相当する第1誘電体フィルム(図面において「フィルム1」と表記されている)の幅方向中央には、長手方向に沿って一定幅の絶縁マージン(センターマージン)が設けられており、この絶縁マージンによって、金属蒸着層からなる蒸着電極が2つの部分に分割されている。
この絶縁マージンに挟まれる部分には、図1a)に示すように、第2誘電体フィルムの幅方向中央でT字の横線スリット部が互いに向かい合って、該第2誘電体フィルムの長手方向に一定のピッチで複数のT字形絶縁スリット(非蒸着部)が配置され、このT字形絶縁スリットによって分割された金属蒸着層からなる小面積の分割電極が長手方向に配列して形成されている。
この際、第2誘電体フィルム表面に配置された各T字形絶縁スリットは、図1a)に示されるようにして、T字の縦線スリット部の端が、第2誘電体フィルムの両端部に設けられた絶縁マージンと接続しており、第2誘電体フィルムの長手方向において隣接するT字形絶縁スリットの、T字の横線スリット部の端部と端部との間には幅の狭いヒューズが形成されており、このヒューズの幅は0.2〜1.0mm程度であることが好ましい。
このように、T字形絶縁スリットの横線スリット部が互いに向かい合ってフィルム長手方向に配置されることで、フィルム幅方向に2列にわたって複数の分割電極からなる分割電極部が形成されている。2列にわたって形成された分割電極部の間には、フィルム長手方向に延びる接続電極部が形成されている。第2誘電体フィルムに形成された複数の分割電極の各々に独立して設けられたヒューズ(フィルム長手方向において互いに隣接するT字形絶縁スリットの横線スリット部の端部と端部との間に形成された幅の狭い蒸着部分)の各々は、接続電極部を介して互いに接続されている。このため、複数の分割電極の各々が互いに並列接続され、絶縁破壊が発生した際、比較的大きなエネルギーが流入し、安定したヒューズ動作を実現することができる。
また、フィルム幅方向中央で向かい合うように設置されるT字形絶縁スリットの配置に関しても、図2a)に示されるようにしてT字の縦線スリット部がフィルム長手方向に約1/2ピッチずれて交互に配置されても良く、図2b)に示されるようにしてT字の縦線スリット部が同一直線上に配置されて、T字の横線スリット部の幅方向における位置がずれていても良い。
そして、巻回後に小判形に成形して得られたコンデンサ素子の両端部に電極引き出し用のメタリコン部を形成し、このコンデンサ素子を電極板で結線して引き出し端子を接続し、ケースに収納してエポキシ樹脂を充填、硬化して金属化フィルムコンデンサとする。
この際、T字形絶縁スリットのT字の横線スリット部は、第1誘電体フィルムの蒸着電極‐絶縁マージン境界位置(電極境界)よりも絶縁マージン中央方向に位置して、T字の横線スリット部が電極境界よりも0.5mm以上内側の位置にあることが好ましい。
本発明の金属化フィルムコンデンサは、図1b)に示される内部回路を有しており、ヒューズが外部電極の近傍に存在しないために充放電電流でヒューズが動作するのを防止でき、高い耐電圧性能が得られ、絶縁破壊が生じた場合であっても分断される電極面積が小さいために容量減少を抑えることができる。
第1誘電体フィルムとして、幅40mmのポリプロピレンフィルムの表面に、図1a)のような絶縁マージン(幅4mm)を有する、アルミニウム蒸着膜からなる金属化フィルムを作製した。
一方、第2誘電体フィルムとして、幅38mmのポリプロピレンフィルムの表面に、図1a)のような絶縁マージンを有し、かつ、T字形の絶縁スリットが配列された、アルミニウム蒸着膜からなる金属化フィルムを作製した。
この際、第2誘電体フィルムに設けられたT字形絶縁スリットのT字の横線スリット部が、第1誘電体フィルムの蒸着電極‐絶縁マージン境界位置よりも絶縁マージン中央方向に0.5mm離れて位置するようにした。
そして、この第1誘電体フィルムおよび第2誘電体フィルムを、電極形成面が同一方向を向くようにして重ね合わせて巻回し、小判形に成形した後、得られたコンデンサ素子の両端面に電極引き出し用のメタリコンを接続し、次いで引き出し端子を接続してケース内に収納し、エポキシ樹脂を充填、硬化することにより、1000V、5μFの本発明の金属化フィルムコンデンサを作製した。
第1誘電体フィルムとして、実施例1と同様の金属化フィルムを作製し、第2誘電体フィルムとして、幅38mmのポリプロピレンフィルムの表面に、図2a)のような絶縁マージンを有し、かつ、T字形の絶縁スリットがフィルム長手方向に約1/2ピッチずれて交互に配置された形状のアルミニウム蒸着膜からなる金属化フィルムを作製した。
この際、第2誘電体フィルムに設けられたT字形絶縁スリットのT字の横線スリット部が、第1誘電体フィルムの蒸着電極‐絶縁マージン境界位置よりも絶縁マージン中央方向に0.5mm離れて位置するようにした。
そして、この第1誘電体フィルムおよび第2誘電体フィルムを、電極形成面が同一方向を向くようにして重ね合わせて巻回し、小判形に成形した後、得られたコンデンサ素子の両端面に電極引き出し用のメタリコンを接続し、次いで引き出し端子を接続してケース内に収納し、エポキシ樹脂を充填、硬化することにより、1000V、5μFの本発明の金属化フィルムコンデンサを作製した。
第1誘電体フィルムとして、実施例1と同様の金属化フィルムを作製し、第2誘電体フィルムとして、幅38mmのポリプロピレンフィルムの表面に、図2a)のような絶縁マージンを有し、かつ、T字形の絶縁スリットのT字の縦線スリット部が同一直線上に配置され、T字の横線スリット部の幅方向における位置がずれた形状のアルミニウム蒸着膜からなる金属化フィルムを作製した。
この際、第2誘電体フィルムに設けられたT字形絶縁スリットのT字の横線スリット部が、第1誘電体フィルムの蒸着電極‐絶縁マージン境界位置よりも絶縁マージン中央方向に0.5mm離れて位置するようにした。
そして、この第1誘電体フィルムおよび第2誘電体フィルムを、電極形成面が同一方向を向くようにして重ね合わせて巻回し、小判形に成形した後、得られたコンデンサ素子の両端面に電極引き出し用のメタリコンを接続し、次いで引き出し端子を接続してケース内に収納し、エポキシ樹脂を充填、硬化することにより、1000V、5μFの本発明の金属化フィルムコンデンサを作製した。
なお、実施例1〜3では誘電体としてポリプロピレンを使用しているが、ポリエチレンテレフタレートなどの、一般的に使用されているその他のプラスチックフィルムを用いても良い。
また、蒸着金属はアルミニウムを使用しているが、亜鉛、銅などを用いても良い。
第1誘電体フィルムとして、実施例1と同様の金属化フィルムを作製し、第2誘電体フィルムとして、幅38mmのポリプロピレンフィルムの表面に、図3a)のような絶縁マージンを有し、個々の分割電極を直列に接続した形状のアルミニウム蒸着膜からなる金属化フィルムを作製した。
この際、第2誘電体フィルムに設けられた絶縁スリットの長手方向スリット部が、第1誘電体フィルムの蒸着電極‐絶縁マージン境界位置よりも絶縁マージン中央方向に0.5mm離れて位置するようにした。
そして、この第1誘電体フィルムおよび第2誘電体フィルムを、電極形成面が同一方向を向くようにして重ね合わせて巻回し、小判形に成形した後、得られたコンデンサ素子の両端面に電極引き出し用のメタリコンを接続し、次いで引き出し端子を接続してケース内に収納し、エポキシ樹脂を充填、硬化することにより、1000V、5μFの金属化フィルムコンデンサを作製した。
第1誘電体フィルムとして、幅40mmのポリプロピレンフィルムの表面に、図4a)フィルム1のような絶縁マージンを有し、外部接続電極との間にヒューズを設けた形状のアルミニウム蒸着膜からなる、金属化フィルムを作製し、第2誘電体フィルムとして、図4a)フィルム2のように幅方向両端に、長手方向に伸延する絶縁マージンを設けたアルミニウム蒸着膜からなる金属化フィルムを作製した。
この際、第1誘電体フィルムに設けられた絶縁スリットの長手方向スリット部が、第2誘電体フィルムの長手方向に伸延する絶縁マージンと同じ位置に合わせるようにした。
そして、この第1誘電体フィルムおよび第2誘電体フィルムを、電極形成面が同一方向を向くようにして重ね合わせて巻回し、小判形に成形した後、得られたコンデンサ素子の両端面に電極引き出し用のメタリコンを接続し、次いで引き出し端子を接続してケース内に収納し、エポキシ樹脂を充填、硬化することにより、1000V、5μFの金属化フィルムコンデンサを作製した。
一方、比較例1による金属化フィルムコンデンサは、静電容量減少率が若干大きく、静電容量減少率のばらつきも大きいこと、また、耐電流性能も劣り、保安性試験では20台の試料のうち7台が短絡破壊に到ることが確認された。
さらに、比較例2による金属化フィルムコンデンサは、ヒューズ部の発熱の影響により静電容量減少が大きく、また、耐電流性能も劣り、保安性試験では20台の試料のうち2台が短絡破壊に到ることが確認された。
Claims (4)
- 蒸着電極が表面に形成された第1および第2誘電体フィルムを互いに重ね合わせて巻回してコンデンサ素子を形成し、該コンデンサ素子の両端面に電極引き出し用のメタリコンを接続した金属化フィルムコンデンサにおいて、
前記第1誘電体フィルムは、前記蒸着電極がフィルム幅方向中央に長手方向に沿って設けられた絶縁マージンによって2つの部分に分割されてなり、
前記第2誘電体フィルムの幅方向両端側には、長手方向に沿って絶縁マージンが設けられ、前記第2誘電体フィルムの幅方向中央に前記蒸着電極が長手方向に分割、配列した複数の分割電極からなる分割電極部が、前記第1誘電体フィルムの2つに分割された蒸着電極の各々に対応して、フィルム幅方向に2列にわたって形成され、
前記第2誘電体フィルムに形成された前記複数の分割電極の各々に独立してヒューズ部が設けられ、各ヒューズ部は、2列の分割電極部の間に形成された、フィルム長手方向に延びる接続電極部を介して接続されるとともに、前記第1誘電体フィルムの幅方向中央に設けられた絶縁マージンに対向していることを特徴とする金属化フィルムコンデンサ。 - 前記第2誘電体フィルムに形成される分割電極は、前記蒸着電極がフィルム長手方向に配列した複数のT字形絶縁スリットによって分割されて形成され、
前記T字形絶縁スリットのT字の縦線スリット部の端が前記第2誘電体フィルムの前記絶縁マージンと接続され、フィルム長手方向において隣接する前記T字形絶縁スリットのT字の横線スリット部の端部と端部との間に前記ヒューズ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の金属化フィルムコンデンサ。 - 前記第2誘電体フィルムに配置された前記T字形絶縁スリットのT字の横線スリット部が、前記第1誘電体フィルムの蒸着電極‐絶縁マージン境界よりも0.5mm以上、絶縁マージン中央方向に位置することを特徴とする請求項2に記載の金属化フィルムコンデンサ。
- 前記第2誘電体フィルムは、前記第1誘電体フィルムの幅よりも小さい幅を有し、該第1誘電体フィルムの幅の内側に位置するように重ね合わせられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の金属化フィルムコンデンサ。
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