JP2016192411A - ナノ構造触媒及び分散した触媒副層を有する燃料電池電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】本開示は、低温動作で改善された性能を提供するポリマー電解質膜(PEM)燃料電池電極を提供する。
【解決手段】ナノ構造薄膜(NSTF)触媒電極と、更に、NSTF触媒と膜電極接合体(MEA)のポリマー電解質膜(PEM)との間に置かれた分散した触媒の副層と、を有する、ポリマー電解質膜(PEM)燃料電池膜電極接合体が提供される。
【選択図】図1
【解決手段】ナノ構造薄膜(NSTF)触媒電極と、更に、NSTF触媒と膜電極接合体(MEA)のポリマー電解質膜(PEM)との間に置かれた分散した触媒の副層と、を有する、ポリマー電解質膜(PEM)燃料電池膜電極接合体が提供される。
【選択図】図1
Description
本発明は、DOE(《米》エネルギー省)に付与されたCooperative Agreement DE−FG36−07GO17007の下、政府の支援により行われた。政府は本発明に対し特定の権利を有する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年12月22日に出願された米国特許仮出願第61/288882号の利益を主張し、その開示内容の全体を参照として本明細書に援用する。
本出願は、2009年12月22日に出願された米国特許仮出願第61/288882号の利益を主張し、その開示内容の全体を参照として本明細書に援用する。
(発明の分野)
本開示は、ナノ構造薄膜(NSTF)触媒電極を有し、更に、NSTF触媒と膜電極接合体(MEA)のポリマー電解質膜(PEM)との間に分散した触媒の副層を有する、ポリマー電解質膜燃料電池膜電極接合体に関する。
本開示は、ナノ構造薄膜(NSTF)触媒電極を有し、更に、NSTF触媒と膜電極接合体(MEA)のポリマー電解質膜(PEM)との間に分散した触媒の副層を有する、ポリマー電解質膜燃料電池膜電極接合体に関する。
米国特許第6,238,534号は、ある特定のハイブリッド膜電極接合体を開示する。
米国特許第5,879,827号は、針状のナノスケールの触媒粒子を担持する針状微細構造支持ウイスカを含む、ナノ構造要素を開示する。この触媒粒子は、組成、合金度又は結晶度が異なり得る、異なる触媒材料が交互に並んだ層を含んでいてもよい。
米国特許第6,482,763号は、白金含有交代層及びCO酸化の早期開始を示す第2の金属の亜酸化物を含有する層を含む、燃料電池電極触媒を開示する。
米国特許第5,338,430号、同第5,879,828号、同第6,040,077号、及び同第6,319,293号も、ナノ構造薄膜触媒に関する。
米国特許第4,812,352号、同第5,039,561号、同第5,176,786号、及び同第5,336,558号は、微細構造に関する。
米国特許第7,419,741号は、白金の交代層及び第2の層を、三成分触媒を形成し得る微細構造支持体の上に沈着させることにより形成されるナノ構造を含む、燃料電池カソード触媒を開示する。
米国特許出願第11/248,561号は、白金及びマンガン並びに少なくとも1つの別の金属を所定の体積比及びMn含量で含むナノスケールの触媒粒子を支持する微細構造担体ウイスカを含み、別の金属は典型的にはNi又はCoである、燃料電池用カソード触媒を開示している。
特許出願第10/945,178号及び同第10/944,998号は、燃料電池膜電極接合体、及び結合されたアニオン性官能基及びMn又はRuカチオンを含むか、あるいは増加した耐久性を示す酸化マンガンを含む、燃料電池ポリマー電解質膜を開示する。
本開示は、低温動作で改善された性能を提供するPEM燃料電池電極を提供する。電極は、膜に隣接した分散した触媒電極層(副層)及びナノ構造薄膜(NSTF)電極層からなる。性能利点は、高圧動作の条件下において特に明白である。副層は、カソードのみ、アノードのみ、又は両電極において使用され得る。
一態様では、本開示は、a)カソード側と、アノード側と、を有する、ポリマー電解質膜と、b)ポリマー電解質膜のうちの少なくとも1つの側面に隣接する第1の触媒材料を含む副層と、c)副層に隣接する第2の触媒材料を含むナノ構造薄膜触媒層と、を備える、燃料電池膜電極接合体を提供する。いくつかの実施形態では、副層は、ポリマー電解質膜のカソード側に隣接し、副層に隣接するナノ構造薄膜触媒層は、カソード触媒層である。いくつかの実施形態では、副層は、ポリマー電解質膜のアノード側に隣接し、副層に隣接するナノ構造薄膜触媒層は、アノード触媒層である。いくつかの実施形態では、副層中の第1の触媒材料の平均密度は、1.0mg/mm3未満であり、ナノ構造薄膜触媒層中の第2の触媒材料の平均密度は、1.0mg/mm3を超える。いくつかの実施形態では、副層中の第1の触媒材料の電気化学的表面積/体積比は、200cm2/mm3未満であり、ナノ構造薄膜触媒層中の第2の触媒材料の電気化学的表面積/体積比は、200cm2/mm3を超える。いくつかの実施形態では、副層中の第1の触媒材料は、3未満の平均アスペクト比を有する担持粒子上に担持され、ナノ構造薄膜触媒層中の第2の触媒材料は、3を超える平均アスペクト比を有する担持粒子上に担持される。
この出願では:
ポリマーの「当量」(EW)は、塩基の1当量を中和するポリマーのグラム単位の重量を意味する。
ポリマーの「当量」(EW)は、塩基の1当量を中和するポリマーのグラム単位の重量を意味する。
「高フッ素化」は、40重量%以上、典型的には50重量%以上、より典型的には60重量%以上の量のフッ素を含有することを意味する。
「電気化学的表面積」は、H2吸着/脱着によって決定される電気化学反応での関与に利用可能である表面積を意味する。
「マイクロテクスチャ」は、インプレッション、モールディング、若しくはエッチングを含む任意のプロセスによって作製される表面構造、特徴、又は畳み込みを意味し、その平均深度は、1〜100マイクロメートルである。
「ナノ構造要素」は、表面の少なくとも一部に触媒材料を含む、針状で分離性の微細構造を意味する。
「微細構造」は、針状の分離性顕微鏡的構造を意味する。
「ナノスケールの触媒粒子」は、標準の2シータX線回折スキャンにおいて回折ピーク半値幅として測定される、約10nm以下の少なくとも1つの次元を有するか、あるいは約10nm以下の微結晶の寸法を有する触媒材料の粒子を意味する。
「針状」は、平均断面幅に対する長さの比が3以上であることを意味する。
「分離性」は、異なる性質を有する別個の要素を意味するが、要素が互いに接触していることを除外しない。
「顕微鏡的」は、約1マイクロメートル以下の少なくとも1つの次元を有することを意味する。
「置換」は、化学種において、所望の生成物又はプロセスに干渉しない従来の置換基によって置換されることを意味し、例えば、それらの置換基は、アルキル、アルコキシ、アリール、フェニル、ハロ(F、Cl、Br、I)、シアノ、ニトロ等であり得る。
本開示は、ナノ構造薄膜(NSTF)層と、NSTF層と膜との間に分散した触媒副層とを含む、PEM燃料電池電極を提供する。
本開示に従う膜電極組立体(MEA)は、燃料電池において使用されてよい。MEAは、プロトン交換膜燃料電池(例えば水素燃料電池)の中心要素である。燃料電池は、水素などの燃料と酸素などの酸化剤との触媒的化合によって、使用可能な電気を発生する電気化学電池である。典型的なMEAは、固体電解質として機能するポリマー電解質膜(PEM)(イオン導電膜(ICM)としても既知である)を含む。PEMの1つの面はアノード電極層と接触し、反対側の面はカソード電極層と接触する。典型的な用途では、プロトンが、水素酸化によってアノードで形成され、PEMを通ってカソードに輸送されて酸素と反応し、電流が電極を接続する外部回路内に流れる。それぞれの電極層は、白金金属を典型的に含む電気化学触媒を含む。PEMは、反応ガス間に、耐久性のある無孔の非導電性機械的障壁を形成するが、それでもやはりH+イオンを容易に通過させる。気体拡散層(GDL)が、アノード電極材料及びカソード電極材料への、並びにアノード電極材料及びカソード電極材料からのガス輸送を容易にし、電流を発生させる。GDLは多孔質であり、導電性でもあり、典型的には炭素繊維で構成される。GDLは、流体輸送層(FTL)又はディフューザ/集電体(DCC)と呼んでもよい。いくつかの実施形態では、アノード及びカソードの電極層はGDLに適用され、得られた触媒コーティングされたGDLがPEMで挟まれて、5層構造のMEAが形成される。5層MEAの5層は、アノードGDL、アノード電極層、PEM、カソード電極層、及びカソードGDLの順である。他の実施形態では、アノード及びカソード電極層はPEMの両側に適用され、得られた触媒コーティングされた膜(CCM)が2つのGDL間に挟まれて、5層構造のMEAが形成される。
本開示のMEAに有用なPEMは、任意の好適なポリマー電解質を含んでよい。典型的に、本開示において有用なポリマー電解質は、共通の骨格鎖に結合するアニオン性官能基を持ち、これは、典型的にスルホン酸基であるが、カルボン酸基、イミド基、アミド基、又は他の酸性官能基を含んでもよい。本開示において有用なポリマー電解質は、典型的には高度にフッ素化されており、最も典型的にはペルフルオロ化されているが、部分的にフッ素化されていても又はフッ素化されていなくてもよい。本開示において有用なポリマー電解質は、典型的にはテトラフルオロエチレン及び1つ以上のフッ素化された酸官能性コモノマーのコポリマーである。典型的なポリマー電解質としては、Nafion(登録商標)(DuPont Chemicals,Wilmington DE)及びFlemion(商標)(Asahi Glass Co.Ltd.,Tokyo,Japan)が挙げられる。ポリマー電解質は、米国特許出願第10/322,254号、同第10/322,226号、及び同第10/325,278号に記載される、テトラフルオロエチレン(TFE)及びFSO2−CF2CF2CF2CF2−O−CF=CF2のコポリマーであり得る。このポリマーは、典型的には1200以下、より典型的には1100以下、より典型的には1050以下、より典型的には1000以下、いくつかの実施形態では950以下、900以下、850以下、又は800以下の当量(EW)を有する。フッ素化された膜に加えて、本開示に有用な膜には、芳香族ポリマーを含む炭化水素ポリマーを挙げることができる。有用な炭化水素ポリマーの例には、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリスルホン及びスルホン化ポリスチレンを挙げることができる。
このポリマーから任意の適切な方法で膜を形成することができる。ポリマーは、典型的には、懸濁液から成型される。バーコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティング、はけ塗りなどを含む任意の適切な成型法を使用することができる。あるいは、溶融プロセス(例えば押出成形)においてニートポリマーから膜を作製してもよい。形成後、膜は、典型的には、120℃以上、より典型的には130℃以上、最も典型的には150℃以上の温度でアニールされ得る。PEMの厚さは、典型的には50マイクロメートル未満、より典型的には40マイクロメートル未満、より典型的には30マイクロメートル未満、及び最も典型的には約25マイクロメートル未満である。
本開示の一実施形態では、マンガン又はセリウムの塩又は酸化物、より典型的には塩、より典型的にはマンガンが、膜の形成前に酸形態のポリマー電解質に添加される。典型的には、この塩をポリマー電解質に十分に混合するか、又はポリマー電解質に溶解して、実質的に均一な分布を達成する。この塩は、塩化物、臭化物、硝酸塩、炭酸塩などを含む任意の適切なアニオンを含んでよい。遷移金属塩と酸形態のポリマーとの間でカチオン交換が起こると、遊離したプロトンと、元の塩アニオンとを組み合わせることによって形成される酸が除去されるのが望ましい場合がある。したがって、揮発性又は可溶性の酸を生成するアニオン(例えば塩化物又は硝酸塩)を用いることが好ましい場合がある。マンガンカチオンは、Mn2+、Mn3+、及びMn4+を含む任意の適切な酸化状態であり得るが、最も典型的にはMn2+である。塩の添加量は、典型的には、ポリマー電解質中に存在する酸官能基のモル量の0.001〜0.5電荷当量、より典型的には0.005〜0.2電荷当量、より典型的には0.01〜0.1電荷当量、より典型的には0.02〜0.05電荷当量である。
任意の好適な分散した触媒は、本開示の副層の中で使用され得る。典型的には、炭素担持触媒粒子が使用される。典型的な炭素担持触媒粒子は、50〜90重量%の炭素及び10〜50重量%の触媒金属であり、触媒金属は、典型的には、カソード用にPt、並びにアノード用にPt及びRuを2:1の重量比で含む。典型的には、触媒は、触媒インクの形態でPEMに塗布される。代替として、触媒インクは、移動基質に塗布され、乾燥し、その後、デカールとしてPEMに塗布され得る。触媒インクは、典型的には、PEMを構成するポリマー電解質材料と同じであっても同じでなくてもよいポリマー電解質材料を含む。触媒インクは、典型的には、ポリマー電解質の分散液中に触媒粒子の分散液を含む。本開示のいくつかの実施形態では、マンガン又はセリウムの塩又は酸化物(より典型的には酸化物、より典型的にはセリウムの)が、膜の形成前にポリマー電解質に添加される。このインクは、典型的には5〜30%の固体(すなわちポリマー及び触媒)、より典型的には10〜20%の固体を含有する。電解質分散液は、典型的には水性分散液であり、これは、アルコール、並びにグリセリン及びエチレングリコールのような多価アルコールを更に含有してもよい。水、アルコール、及び多価アルコールの含有量は、インクのレオロジー特性を変えるように調整してよい。インクは、典型的には、0〜50%のアルコール及び0〜20%の多価アルコールを含有する。加えて、インクは0〜2%の好適な分散剤を含有してよい。インクは、典型的には、加熱しながら撹拌し、その後、コーティング可能な稠度に希釈して製造される。
MEA又はCCMを作製するために、カソード及びアノードの触媒層を任意の適切な手段でPEMに適用してもよい。いくつかの実施形態では、本開示は、分離性の又は結合したナノスケールの触媒粒子を支持する微細構造担体ウイスカを含むナノ構造要素を含む特定の触媒、すなわちナノ構造薄膜触媒(NSTF)を含むCCM又はMEAを提供する。米国特許第4,812,352号、同第5,039,561号、同第5,176,786号、及び同第5,336,558号は、本開示の実践において使用され得る微細構造に関する。米国特許第5,338,430号、同第5,879,827号、同第6,040,077号、及び同第6,319,293号、並びに米国特許第6,482,763号は、ナノスケールの触媒粒子を担持する微細構造支持ウイスカを含むナノ構造要素を記載する。米国特許第5,879,827号及び米国特許第6,482,763号は、交代層を含むナノスケールの触媒粒子を記載する。
いくつかの実施形態では、ナノスケールの触媒粒子は、触媒材料の複数の層を交互に適用することによって作製されることができる。いくつかの実施形態では、本開示のナノスケールの触媒粒子は、第1の層及び第2の層を交互に適用することによって作製されてもよく、第1の層は、白金を含むか又は本質的に白金からなり、第2の層は、マンガンと、白金及びマンガン以外のVIb族金属、VIIb族金属及びVIIIb族金属からなる群から選択される第2の遷移金属との合金又は緊密混合物である。あるいは、3つの層を適用してもよく、第1の層は、白金を含むか又は本質的に白金からなり、第2の層は、マンガンを含むか又は本質的にマンガンからなり、第3の層は、白金及びマンガン以外のVIb族金属、VIIb族金属及びVIIIb族金属からなる群から選択される第2の遷移金属を含むか又は本質的にこの第2の遷移金属からなる。典型的には、第2の遷移金属は、ニッケル及びコバルトからなる群から選択される。第1の層及び第2の層を交互に適用することは、第1の層及び第2の層に加えて層を適用することを排除しないものとする。典型的には、マンガンと他の遷移金属との体積比は、10:90〜90:10である。いくつかの実施形態では、マンガンと他の遷移金属との体積比は、40:60〜60:40である。第1及び第2の層の平均の二分子層平面に相当する厚さは、典型的には100Å未満である。平均二分子層平面に相当する厚さは、典型的には3Åを超え、より典型的には8Åを超える。
NSTF触媒は、任意の好適な方法によって作製されることができる。典型的には、NSTF触媒は、白金を含むか白金から本質的になる層と第2の層を、又は第2の層と第3の層を、微細構造の膜上に交互に真空蒸着させる工程によって作製される。典型的には、スパッタ蒸着を用いる。
有機又は無機の微細構造を含む任意の適切な微細構造を使用してよい。典型的な微細構造は、米国特許第4,812,352号、同第5,039,561号、同第5,176,786号、同第5,336,558号、同第5,338,430号、同第5,879,827号、同第6,040,077号、及び同第6,319,293号、並びに米国特許第6,482,763号に記載される。典型的な微細構造は、有機顔料のC.I.Pigment Red 149、すなわちN,N’−ジ(3,5−キシリル)ペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシミド)を熱昇華及び真空アニーリングすることにより作製される。有機ナノ構造層を作製する方法は、Materials Science and Engineering,A158(1992),pp.1〜6、J.Vac.Sci.Technol.A,5(4),July/August,1987,pp.1914〜16、J.Vac.Sci.Technol.A,6,(3),May/August,1988,pp.1907〜11、Thin Solid Films,186,1990,pp.327〜47、J.Mat.Sci.,25,1990,pp.5257〜68、Rapidly Quenched Metals,Proc.of the Fifth Int.Conf.on Rapidly Quenched Metals,Wurzburg,Germany(Sep.3〜7,1984),S.Steeb et al.,eds.,Elsevier Science Publishers B.V.,New York,(1985),pp.1117〜24、Photo.Sci.and Eng.,24(4),July/August,1980,pp.211〜16、及び米国特許第4,568,598号、同第4,340,276号に開示されている。炭素ナノチューブアレイを用いた触媒層の特性は、論文「High Dispersion and Electrocatalytic Properties of Platinum on Well−Aligned Carbon Nanotube Arrays」、Carbon 42(2004年)191〜197頁に開示されている。草のような(grassy)又は逆立った(bristled)ケイ素を使用する触媒層の特性は、米国特許第6,946,362号に開示されている。
典型的には、微細構造材料は導電性材料を含まず、より典型的には導電性炭素を含まない。最も典型的には、微細構造材料はカーボンブラックを含まない。
別の実施形態では、多成分のNSTF触媒は、成分の総数より少ないターゲットから蒸着されてもよく、少なくとも1つのターゲットは、少なくとも2つの成分から構成される。別の実施形態では、三元触媒などの多成分のNSTF触媒は、米国特許出願公開第2007/0082814 A1号に開示されているように、単一のターゲットから蒸着されてもよい。
真空沈着は、米国特許第5,338,430号、同第5,879,827号、同第5,879,828号、同第6,040,077号、及び同第6,319,293号、並びに米国特許出願公開第2002/0004453 A1号に記載される装置等の任意の好適な装置において実行され得る。このような装置の1つは、米国特許第5,879,827号及び同第6,040,077号の図4Aに模式的に示され、添付の本文に記載されており、この基板は、ドラムに取り付けられており、そのドラムが、複数の交流マグネトロンスパッタリング源が並んだ状態で回転する。得られる構造は、蒸着される物質の厚さ及び物質が蒸着する基板の表面積に依存して、層状若しくは実質的に層状であってもよく、又はより複雑に混合した構造を含んでいてもよい。
本開示の触媒を使用して、米国特許第5,879,827号及び同第5,879,828号に記載されるような燃料電池に組み込まれた膜電極接合体(MEA)を製造することができる。
いくつかの実施形態では、NSTF層中の触媒材料の平均密度は、1.0mg/mm3を超え、いくつかの実施形態では、2.0mg/mm3を超える。いくつかの実施形態では、副層中の触媒材料の平均密度は、1.0mg/mm3未満であり、いくつかの実施形態では、層は、0.5mg/mm3未満である。
いくつかの実施形態では、NSTF層中の触媒材料の電気化学的表面積/体積比は、200cm2/mm3を超え、いくつかの実施形態では、300mm2/mm3を超える。いくつかの実施形態では、副層中の触媒材料の電気化学的表面積/体積比は、200cm2/mm3未満であり、いくつかの実施形態では、150cm2/mm3未満である。
いくつかの実施形態では、NSTF層中の触媒材料は、3を超える平均アスペクト比を有する担持粒子上に担持され、副層中の触媒材料は、3未満の平均アスペクト比を有する担持粒子上に担持される。
MEAを製造するために、任意の好適な手段により、GDLをCCMのいずれの側に適用してもよい。任意の適切なGDLを本開示の実施に使用してよい。典型的には、GDLは、炭素繊維を含むシート材料から構成される。典型的には、GDLは、織布炭素繊維構造及び不織布炭素繊維構造から選択される炭素繊維構造である。本開示の実施に有用であり得る炭素繊維構造としては、以下のもの、Toray(商標)Carbon Paper、SpectraCarb(商標)Carbon Paper、AFN(商標)不織カーボンクロス、Zoltek(商標)Carbon Cloth等を挙げることができる。GDLを、種々の材料でコーティング又は含浸してよい(カーボン粒子コーティング、親水性化処理及び疎水化処理(例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を用いたコーティング)を含む)。
いくつかの実施形態では、カソード側副層を含む、本開示に記載のMEAは、更に、アノード側副層、カソード側中間層、又はアノード側中間層のうちの1つ以上、を含む。本開示の一代替実施形態では、副層は、アノード側上に存在し、カソード側上には存在しない。
本明細書で使用される、中間層は、GDLとNSTFとの間に位置付けられる。
本開示の目的及び利点は以下の実施例によって更に例証されるが、これらの実施例に引用される具体的な物質及び量、並びにその他の条件及び詳細は、本開示を過度に制限すると解釈されるべきではない。
特に断らないかぎり、全ての試薬は、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI)より入手したか、又は販売されるものであり、あるいは公知の方法で合成することができるものである。
本開示に記載の2つのMEA及び2つの比較MEAを、以下に説明するように作製及び試験した。4つのMEAは、以下の通りであった:
A)順に以下の層:カソード側GDL、カソード側NSTF触媒、カソード側分散触媒副層、PEM、アノード側NSTF触媒、アノード側GDLを有する、2つの「NSTF+副層」MEAを作製した。
A)順に以下の層:カソード側GDL、カソード側NSTF触媒、カソード側分散触媒副層、PEM、アノード側NSTF触媒、アノード側GDLを有する、2つの「NSTF+副層」MEAを作製した。
B)順に以下の層:カソード側GDL、カソード側NSTF触媒、PEM、アノード側NSTF触媒、アノード側GDLを有した1つの比較「NSTF」MEAを作製した。
C)順に以下の層:カソード側GDL、カソード側分散触媒中間層、カソード側NSTF触媒、PEM、アノード側NSTF触媒、アノード側GDLを有した1つの比較「NSTF+中間層」MEAを作製した。
製造業者
NSTF+副層MEAを、以下の通りに作製した。
NSTF+副層MEAを、以下の通りに作製した。
全ての場合において、使用したアイオノマーは、米国特許出願第10/322,254号、同第10/322,226号、及び同第10/325,278号に記載されるテトラフルオロエチレン(TFE)及びFSO2−CF2CF2CF2CF2−O−CF=CF2のコポリマーであった。
インク調製
TKK 10V30E−HT触媒、1200EWアイオノマー、水、及びイソプロパノールを混合して、インクを形成した。アイオノマー対炭素の比は、1対2重量比であった。この高アイオノマー含量は、副層中のアイオノマー体積にNSTF触媒の付着を可能にする。固体重量割合が6%であったため、低副層電極触媒充填(1cm2面積当たり0.015mg Pt)を、インクを噴霧することにより容易に塗布することができた。媒体(5mmのセラミックボール)をインクに添加した。25グラムを50mLの瓶に添加した。次に、瓶を脱気し(窒素でパージし)、90rpmで24時間回転させ、インク成分の良好な混合を確保した。このインクを副層及び中間層に使用した。
TKK 10V30E−HT触媒、1200EWアイオノマー、水、及びイソプロパノールを混合して、インクを形成した。アイオノマー対炭素の比は、1対2重量比であった。この高アイオノマー含量は、副層中のアイオノマー体積にNSTF触媒の付着を可能にする。固体重量割合が6%であったため、低副層電極触媒充填(1cm2面積当たり0.015mg Pt)を、インクを噴霧することにより容易に塗布することができた。媒体(5mmのセラミックボール)をインクに添加した。25グラムを50mLの瓶に添加した。次に、瓶を脱気し(窒素でパージし)、90rpmで24時間回転させ、インク成分の良好な混合を確保した。このインクを副層及び中間層に使用した。
副層へのインク塗布
以下は、本プロセスで使用したものである:ガラスプレート、VWR 370H温プレート、Paascheエアブラシセット、8×8cmのオープンスクエアセンタを有するプラスチックフレーム、ライナーに取り付けられる800EWアイオノマーの0.8mil(0.02mm)厚のPEM、及び副層インク。ガラスプレートを、温プレート上に設置し、温プレートを70℃に設定した。Paasche噴霧器を、加圧空気口に取り付け、副層触媒インクを噴霧器カートリッジ内に設置した。膜及びライナーを秤量した。ライナーを逆さまにして、膜をガラスプレートの上端上に設置した。膜がフレームのオープンセンタを通して見える状態で、フレームを膜の上に設置した。空気口を作動させた。噴霧器を標的(膜)上8インチ(20.3cm)で保持することによって噴霧を達成した。膜全域で左右に移動させながら、ライナー上にインクを噴霧し始める。各左右通過後にゆっくりと下方に移動させる。薄く均一のコーティングをラスタ運動で塗布した。膜及びライナーを、それぞれのコーティングの合間に秤量し、目標の重量に達するまで噴霧し続けた。
以下は、本プロセスで使用したものである:ガラスプレート、VWR 370H温プレート、Paascheエアブラシセット、8×8cmのオープンスクエアセンタを有するプラスチックフレーム、ライナーに取り付けられる800EWアイオノマーの0.8mil(0.02mm)厚のPEM、及び副層インク。ガラスプレートを、温プレート上に設置し、温プレートを70℃に設定した。Paasche噴霧器を、加圧空気口に取り付け、副層触媒インクを噴霧器カートリッジ内に設置した。膜及びライナーを秤量した。ライナーを逆さまにして、膜をガラスプレートの上端上に設置した。膜がフレームのオープンセンタを通して見える状態で、フレームを膜の上に設置した。空気口を作動させた。噴霧器を標的(膜)上8インチ(20.3cm)で保持することによって噴霧を達成した。膜全域で左右に移動させながら、ライナー上にインクを噴霧し始める。各左右通過後にゆっくりと下方に移動させる。薄く均一のコーティングをラスタ運動で塗布した。膜及びライナーを、それぞれのコーティングの合間に秤量し、目標の重量に達するまで噴霧し続けた。
NSTF+副層のCCM製造
CCMは、典型的には、プロトン交換膜によって分離されるアノード及びカソード触媒電極からなる。NSTF+副層CCMは、2つのNSTF電極(アノード及びカソード)、分散した触媒電極副層、及びプロトン交換膜を含有する。CCMを作製する方法は、a)ライナー上でコーティングされたNSTFアノード電極、b)ライナー上でコーティングされたNSTFカソード電極、並びにc)膜及びライナー上でコーティングされた分散した副層(SL)電極、で開始することである。第1の膜+SLを、ライナーから除去した。次に、NSTFカソード+ライナーを、NSTF触媒が、分散したSLに隣接した状態で、膜+SLに対して設置し、NSTFアノード+ライナーを、NSTF触媒が膜のコーティングされていない側に隣接した状態で、膜+SLに対して設置した。接合体を、2つのテフロンシートの間に設置し、350FでHirokoラミネータに通過させ、冷却させた。テフロンシートを除去し、アノード及びカソードNSTFライナーを剥離し、NSTF電極を膜+SLに結合させたままにした。NSTLカソード触媒は、0.1mg Pt/cm2の充填で90/6/6PtCoMn 3成分触媒であった。NSTLアノード触媒は、0.05mg Pt/cm2の充填で90/6/6PtCoMn 3成分触媒であった。
CCMは、典型的には、プロトン交換膜によって分離されるアノード及びカソード触媒電極からなる。NSTF+副層CCMは、2つのNSTF電極(アノード及びカソード)、分散した触媒電極副層、及びプロトン交換膜を含有する。CCMを作製する方法は、a)ライナー上でコーティングされたNSTFアノード電極、b)ライナー上でコーティングされたNSTFカソード電極、並びにc)膜及びライナー上でコーティングされた分散した副層(SL)電極、で開始することである。第1の膜+SLを、ライナーから除去した。次に、NSTFカソード+ライナーを、NSTF触媒が、分散したSLに隣接した状態で、膜+SLに対して設置し、NSTFアノード+ライナーを、NSTF触媒が膜のコーティングされていない側に隣接した状態で、膜+SLに対して設置した。接合体を、2つのテフロンシートの間に設置し、350FでHirokoラミネータに通過させ、冷却させた。テフロンシートを除去し、アノード及びカソードNSTFライナーを剥離し、NSTF電極を膜+SLに結合させたままにした。NSTLカソード触媒は、0.1mg Pt/cm2の充填で90/6/6PtCoMn 3成分触媒であった。NSTLアノード触媒は、0.05mg Pt/cm2の充填で90/6/6PtCoMn 3成分触媒であった。
MEA製造及び電池作製
次に、このNSTF+SL CCMを、2つの50cm2のプラズマ処理されていないガス拡散層(GDL)、これらのGDLの厚さの90%のテフロンガスケット、及びNSTF+SL CCMを用いて、燃料電池試験装置内に組み立てた。
次に、このNSTF+SL CCMを、2つの50cm2のプラズマ処理されていないガス拡散層(GDL)、これらのGDLの厚さの90%のテフロンガスケット、及びNSTF+SL CCMを用いて、燃料電池試験装置内に組み立てた。
水素ガスをアノードを通して、かつ窒素ガスをカソードを通して流動させながら、MEAを、70℃の電池温度で10分間、100%のアノード及びカソード入口加湿で、1.4〜1.5Vの電池電圧での短時間動作によって調節した。
比較MEA
NSTF MEAを、副層工程を省いたことを除いて、実質的に上で説明されたように作製した。実質的にPEMへの副層の付加に関して上で説明された方法に従って、中間層をNSTF MEAに付加することにより、NSTF+中間層MEAを作製した。
NSTF MEAを、副層工程を省いたことを除いて、実質的に上で説明されたように作製した。実質的にPEMへの副層の付加に関して上で説明された方法に従って、中間層をNSTF MEAに付加することにより、NSTF+中間層MEAを作製した。
試験及び結果
調整後、全ての4つの燃料電池を、燃料電池試験台において試験した。
調整後、全ての4つの燃料電池を、燃料電池試験台において試験した。
図1は、最適動作条件下でのNSTF、NSTF+中間層、及びNSTF+副層MEAの性能を示す。80℃の電池温度、68℃のアノード及びカソード入口露点、2/2.5のアノード及びカソード化学量論的流速、7.35/7.35psig(50.7/50.7kPa)のアノード及びカソード背圧、並びに1データポイントにつき120秒で、データをとった。NSTF+副層MEAは、NSTF基準及びNSTF+中間層の両方において、1.6A/cm2で改善された性能を示す。1A/cm2では、この改善は、それぞれ、基準及び中間層において15mV及び30mVである。
図2は、種々の温度並びに過飽和した入口ガスでのNSTF、NSTF+中間層、及びNSTF+副層MEAの定常状態の性能を示す。60℃の電池温度、入口ガスの140%相対湿度、696/1657SCCMの一定アノード及びカソード流速、7.35/7.35psig(50.7/50.7kPa)のアノード及びカソード背圧、並びに1データポイントにつき5分間でデータをとった。NSTF+中間層及びNSTF+副層の両方ともに、最高温度でのNSTF基準に対して、有意な性能改善を示す。
図3及び図4は、それぞれ、60℃、140%RH、及び50℃、140%RHでの0.02A/cm2から1.0A/cm2への遷移直後の、NSTF、NSTF+中間層、及びNSTF+副層MEAの性能を示す。60℃の電池温度、入口ガスの140%相対湿度、696/1657SCCMの一定アノード及びカソード流速、7.35/7.35psig(50.7/50.7)のアノード及びカソード背圧、並びに1データポイントにつき5分間で、データをとった。60℃で、NSTF+副層電池は、中間層MEAに対して同様の回復時間及び改善された回復性能を示す。中間層及び副層の両方ともに、基準NSTF MEAにおいて改善された性能を示す。50℃で、基準NSTFは、1A/cm2のパワーを50℃で生み出すことができない。副層MEAは、中間層MEAに対して、同様の回復時間及び改善された回復性能を示す。
要約すると、副層を含むMEAは、改善されたピーク性能を提供することにより、比較MEAを改善した一方で、NSTF+中間層MEAと比較して、一時的及び低温(30〜50℃)での性能を提供した。
本開示の様々な修正及び変更は、本開示の範囲及び原理から逸脱することなく当業者には明白であり、また、本発明は、上記で説明した例示的な実施形態に不当に限定して理解すべきではない。
Claims (6)
- a)カソード側と、アノード側と、を有する、ポリマー電解質膜と、
b)前記ポリマー電解質膜のうちの少なくとも1つの側面に隣接する第1の触媒材料を含む副層と、
c)前記副層に隣接する第2の触媒材料を含むナノ構造薄膜触媒層と、
を備える、燃料電池膜電極接合体。 - 前記副層が、前記ポリマー電解質膜の前記カソード側に隣接し、前記副層に隣接する前記ナノ構造薄膜触媒層が、カソード触媒層である、請求項1に記載の燃料電池膜電極接合体。
- 前記副層が、前記ポリマー電解質膜の前記アノード側に隣接し、前記副層に隣接する前記ナノ構造薄膜触媒層が、アノード触媒層である、請求項1に記載の燃料電池膜電極接合体。
- 前記副層中の前記第1の触媒材料の平均密度が、1.0mg/mm3未満であり、前記ナノ構造薄膜触媒層中の前記第2の触媒材料の平均密度が、1.0mg/mm3を超える、請求項1に記載の燃料電池膜電極接合体。
- 前記副層中の前記第1の触媒材料の電気化学的表面積/体積比が、200cm2/mm3未満であり、前記ナノ構造薄膜触媒層中の前記第2の触媒材料電気化学的表面積/体積比が、200cm2/mm3を超える、請求項1に記載の燃料電池膜電極接合体。
- 前記副層中の前記第1の触媒材料が、3未満の平均アスペクト比を有する担持粒子上に担持され、前記ナノ構造薄膜触媒層中の前記第2の触媒材料が、3を超える平均アスペクト比を有する担持粒子上に担持される、請求項1に記載の燃料電池膜電極接合体。
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