(実施形態1)
以下では、本実施形態の自動火災報知システム10について、図1ないし図5を用いて説明する。以下では、自動火災報知システム10を自火報システム10とも称する。図中において、同様の構成要素に対しては、同じ符号を付して重複する説明を省略する。
本実施形態の自動火災報知システム10は、図1および図2に示すように、受信機2と、第1感知器11と、第2感知器12と、を備えている。第1感知器11は、火災信号を受信機2に送信できるように構成されている。第2感知器12は、連動信号もしくは火災信号の何れか少なくとも一方を受信機2に送信できるように構成されている。連動信号は、防排煙装置3aを連動して稼働させるための信号である。第1感知器11および第2感知器12は、受信機2と一対の電線10aで電気的に接続されている。受信機2は、電圧印加部2aと、受信部2cと、を有している。電圧印加部2aは、一対の電線10aの間に電圧を印加する。受信部2cは、火災信号および連動信号を受信することができるように構成されている。第2感知器12は、図3に示すように、送信部1aと、制御部1bと、を備えている。送信部1aは、一対の電線10a間を短絡させて一対の電線10aの間に火災信号と連動信号とを送信する。火災信号と連動信号とは、図4に示すように、それぞれの電流値が異なる電流信号である。制御部1bは、送信部1aを制御して電流信号を送信させる。第2感知器12と、受信機2とは、一対の電線10aに流れる電流信号により、火災信号と連動信号とを弁別できるように構成されている。
本実施形態の自火報システム10は、送信部1aが一対の電線10a間を短絡させ、一対の電線10aの間に流れる電流の電流値を変更させた電流信号で、火災信号と連動信号とを送信することにより、より省配線化を図ることができる。
以下では、最初に自火報システム10全体の構成について図2を用いて簡単に説明する。
本実施形態の自火報システム10は、複数台の感知器1と、1台の受信機2と、防排煙装置3aと、地区音響装置3bと、終端抵抗器4と、を備えている。複数台の感知器1には、異なる種類の感知器1が用いられている。異なる種類の感知器1としては、複数種の第1感知器11と、第2感知器12とが用いられている。複数種の第1感知器11としては、差動式スポット型感知器11aと、煙スポット型感知器11bと、が用いられている。差動式スポット型感知器は、感熱部にサーミスタを備えた構成としている。差動式スポット型感知器は、熱によるサーミスタの電気抵抗の変化を利用して火災を感知することで、火災信号が送信できる構成としている。第2感知器12は、火災信号と連動信号との2信号を送信可能な構成としている。なお、火災信号とは、火災の発生を報知させるための信号である。
自火報システム10は、一対の電線10aを介して、第1感知器11および第2感知器12が、受信機2と電気的に接続されている。自火報システム10は、一対の電線10aにおける受信機2と反対側の終端に、終端抵抗器4を電気的に接続させている。受信機2は、防排煙装置3aと地区音響装置3bと電気的に接続されている。自火報システム10は、一対の電線10aを一回線として、受信機2に一回線以上が接続できるように構成されている。図2では、二回線の例を示している。自火報システム10は、火災の発生を警戒する警戒区域ごとに各回線それぞれが設けられる。受信機2は、たとえば、感知器1を一回線に最大20個まで接続させることができる。自火報システム10は、たとえば、集合住宅や雑居ビルなどの各階ごとに警戒区域が設定された場合、各階ごとに一回線を設けることができる。
自火報システム10は、感知器1が火災を感知した場合、火災を感知した感知器1が送信した火災信号を、一対の電線10aを介して受信機2が受信する。自火報システム10は、たとえば、警戒区域の何れかの第1感知器11や第2感知器12が火災信号を送信すると、受信機2が複数の警戒区域のうち、どの警戒区域で火災が発生したかを報知させることができる。自火報システム10は、たとえば、受信機2と接続された地区音響装置3bにより、感知器1が火災を感知した警戒区域に警報ベルなどで火災の発生を報知させることができるように構成されている。自火報システム10は、たとえば、警戒区域の何れかの第2感知器12が連動信号を送信すると、連動信号を受信した受信機2が防排煙装置3aを稼働させる。防排煙装置3aは、感知器1が火災を感知した警戒区域における煙の拡散などを防ぐため、防火戸などを稼働させることができるように構成されている。自火報システム10は、感知器1に加え、一対の電線10a間を短絡できる発信機を備えた構成としてもよい。発信機は、たとえば、押しボタンスイッチの押し操作がされると、一対の電線10a間が短絡する構成とすればよい。
以下では、本実施形態の自火報システム10における各構成について説明する。
感知器1は、火災を感知できるように、たとえば、煙感知器、熱感知器や炎感知器などを用いることができる。感知器1には、火災信号を送信する第1感知器11と、火災の状況に応じて火災信号に加え連動信号を送信する第2感知器12とが用いられている。第2感知器12は、第1感知器11に連動信号を送信できる構成を追加した点が第1感知器11の構成と主として相違する。以下では、第2感知器12の構成を主として説明し、第2感知器12の構成に共通する第1感知器11の構成を併せて説明する。
第2感知器12は、火災を検知して火災信号を受信機2に送信することに加えて、防排煙装置3aを稼働させるための連動信号を受信機2に送信できるように構成されている。言い換えれば、第1感知器11は、火災信号を送信する単一機能タイプの構成であり、第2感知器12は、火災信号と連動信号との2信号を送信する構成としている。自火報システム10は、単一機能タイプの感知器1と、2信号を送信する感知器1とを同一回線に接続して使用する。
第2感知器12は、図1に示すように、送信部1aと制御部1bとに加え、センサ部1cを有している。第2感知器12は、さらに、ダイオードブリッジ1dと、検出部1eと、発光部1fと、電源部1gと、記憶部1mと、を有している。第2感知器12における一対の端子1tには、一対の電線10aが接続されている。第2感知器12の一対の端子1tには、一対の電線10aを介して、受信機2の電圧印加部2aからの電圧が印加される。ダイオードブリッジ1dは、入力端側に一対の電線10aが電気的に接続され、出力端側に送信部1aと検出部1eと電源部1gとが電気的に接続されている。ダイオードブリッジ1dは、第2感知器12の一対の端子1tに印加された電圧を無極性化する。電源部1gは、第2感知器12の動作用の電圧を生成することができるように構成されている。第2感知器12は、火災を感知できるように、センサ部1cに種々のセンサを用いることができる。
センサ部1cは、たとえば、熱によるバイメタルの変形で電気接点を閉じて、火災を感知する熱感知式の構成とすることができる。センサ部1cは、炎センサを備えた構成とすることができる。炎センサは、炎から発生する紫外線を検出できるように、所定の紫外域に感度を有している。センサ部1cは、炎センサからの出力に基づいて、火災を感知することができる。センサ部1cは、焦電素子を備えた構成とすることができる。焦電素子は、炎から発生する赤外線を検出できるように、所定の赤外域に感度を有している。センサ部1cは、焦電素子における赤外線の受光量の変化が一定の値以上の場合に、火災を感知する構成とすることができる。センサ部1cは、たとえば、煙感知器の場合、煙感知室と、煙感知室に赤外線を放射させる発光素子と、発光素子からの赤外線を受光可能な受光素子とを備えた構成とすることができる。センサ部1cは、発光素子からの赤外線が煙感知室に侵入した煙の粒子にあたって乱反射し、乱反射した赤外線を受光素子が受光することで煙の感知ができる構成とすることができる。煙感知器は、煙を検知することで火災を感知することができる。煙感知器は、煙の濃度に応じた受光素子からの出力値の大小を検出することで、火災レベルを感知することもできる。センサ部1cは、センサ信号を制御部1bに出力できるように構成されている。
制御部1bは、センサ信号に基づいて、火災が発生しているか否かが判断できるように構成されている。制御部1bは、センサ部1cに加え、送信部1aと、検出部1eと、発光部1fと、記憶部1mとにそれぞれ電気的に接続されている。記憶部1mは、センサ信号が火災信号もしくは連動信号を送信するレベルに達しているかを制御部1bで判断するための所定値が記憶されている。制御部1bは、たとえば、センサ部1cで感知した煙の濃度などに対応するセンサ信号の値と、記憶部1mに記憶されている所定値と比較して、センサ信号の値が所定値よりも大きければ所定の火災レベルとなる大きさの火災が発生していると判断する。制御部1bは、センサ信号を適宜に読込み、記憶部1mの所定値と比較することで、火災信号か連動信号のいずれを送信するべきか否かを判断する。制御部1bは、火災と判断した場合、送信部1aを制御して火災信号を送信させる。制御部1bは、火災信号を送信させた場合、発光部1fを発光させる。制御部1bは、マイクロコンピュータを用いて構成することができる。制御部1bは、メモリに記憶されたプログラムをマイクロコンピュータが実行することで、所定の制御機能を実行させることができる。第2感知器12が煙感知器の構成の場合、制御部1bは、たとえば、センサ部1cで感知した煙の濃度が7%以上で火災信号を送信するように、送信部1aを制御する。制御部1bは、たとえば、センサ部1cで感知した煙の濃度が13%以上で連動信号を送信するように、送信部1aを制御する構成とすることができる。
送信部1aは、火災信号を送信させる火災報回路1a1と、連動信号を送信させる連動報回路1a2とを備えている。火災報回路1a1は、一対の電線10aの間に流れる電流の電流値を変更させた所定の電流信号で、火災信号を送信できるように構成されている。連動報回路1a2は、一対の電線10aの間に流れる電流の電流値を変更させた火災信号と異なる所定の電流信号で、連動信号を送信できるように構成されている。送信部1aは、図3に示すように、たとえば、抵抗器1rとスイッチング素子1qとが接続された直列回路を2つ備えている。送信部1aは、抵抗器1rとスイッチング素子1qとを備えた2つの直列回路を、電気的に並列に接続する構成とすることができる。送信部1aは、ダイオードブリッジ1dを介して、一対の電線10aと電気的に接続されている。抵抗器1rとスイッチング素子1qとの直列回路は、ダイオードブリッジ1dの一対の出力端と電気的に並列に接続されている。送信部1aは、抵抗器1rとスイッチング素子1qとが接続された直列回路の一方が火災報回路1a1を構成し、抵抗器1rとスイッチング素子1qとが接続された直列回路の他方が連動報回路1a2を構成している。以下では、火災報回路1a1の抵抗器1rを第1抵抗器1r1と称し、連動報回路1a2の抵抗器1rを第2抵抗器1r2とも称する。送信部1aでは、火災報回路1a1を構成する第1抵抗器1r1の抵抗値と、連動報回路1a2を構成する第2抵抗器1r2の抵抗値とを異ならせている。第1抵抗器1r1の抵抗値と、第2抵抗器1r2の抵抗値とは、終端抵抗器4の抵抗値よりも大きくしている。
送信部1aは、たとえば、火災報回路1a1を構成する第1抵抗器1r1よりも、連動報回路1a2を構成する第2抵抗器1r2の抵抗値を小さくしている。火災報回路1a1では、図4に示す火災信号に対応する所定の第1電流値I1以上であり、連動信号に対応する所定の第2電流値I2未満の電流を一対の電線10aの間に流すことができるように、第1抵抗器1r1の抵抗値が選択されている。連動報回路1a2では、連動信号に対応する所定の第2電流値I2以上の電流を一対の電線10aの間に流すことができるように、第2抵抗器1r2の抵抗値が選択されている。
送信部1aは、制御部1bからの制御信号に基づいて、スイッチング素子1qのオンとオフとが制御される。送信部1aは、たとえば、制御部1bにより、火災報回路1a1のスイッチング素子1qがオフに制御され、連動報回路1a2のスイッチング素子1qがオフに制御されている場合、電気的に開放された状態となる。送信部1aは、たとえば、制御部1bにより、火災報回路1a1のスイッチング素子1qがオンに制御され、連動報回路1a2のスイッチング素子1qがオフに制御された場合、第1抵抗器1r1を介して一対の電線10a間を短絡させる。ここで、一対の電線10a間の短絡とは、スイッチング素子1qなどにより、一対の電線10aの回線が閉じられて電流が流れることをいう。したがって、一対の電線10a間の短絡とは、一対の電線10aの間に抵抗やツェナーダイオードなど各種の電子部品が接続されていても、スイッチング素子1qのオン制御により一対の電線10aに電流が流れることが含まれる。
送信部1aは、受信機2の電圧印加部2aが一対の電線10aの間に電圧を印加しているため、一対の電線10a間を短絡させると、一対の電線10aの間に流すことができる。送信部1aは、抵抗器1rの抵抗値を適宜に選択することで、第1抵抗器1r1に対応した第1電流値I1以上、且つ第2電流値I2未満になるような電流を一対の電線10aの間に流すことができる。送信部1aは、たとえば、制御部1bにより、火災報回路1a1のスイッチング素子1qがオフに制御され、連動報回路1a2のスイッチング素子1qがオンに制御された場合、第2抵抗器1r2を介して一対の電線10a間を短絡させる。送信部1aは、受信機2の電圧印加部2aが一対の電線10aの間に電圧を印加しているため、第2抵抗器1r2に対応した第2電流値I2以上となる電流を一対の電線10aの間に流すことができる。スイッチング素子1qは、たとえば、npn型のトランジスタを用いて構成することができる。スイッチング素子1qは、npn型のトランジスタだけに限られず、pnp型のトランジスタ、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)あるいはリレーなどを用いることもできる。
検出部1eは、一対の電線10aに流れる電流を検出して電流信号を受信できるように構成されている。検出部1eは、一対の電線10aに流れる電流の電流信号を受信することで、他の感知器1が送信した火災信号を受信できるように構成されている。第2感知器12は、検出部1eが火災信号を受信した場合、火災信号を送信する火災報知用の機能から防排煙装置3aを稼働させるための連動信号を送信する防排煙用の機能に切り替わるように構成されている。第2感知器12は、一対の電線10aの間に流れる電流の電流信号を検出部1eが受信するか否かで、第1感知器11など他の感知器1が火災信号を送信したか否かを判断することができる。自火報システム10では、たとえば、第1感知器11が一対の電線10a間を短絡させた場合、同じ警戒区域にある第2感知器12の検出部1eが火災信号を受信する。検出部1eが火災信号を受信した場合、制御部1bは、センサ部1cからのセンサ信号に基づいて、連動信号のみを送信するように送信部1aを制御できる。第2感知器12は、検出部1eが外部からの火災信号を受信した場合、防排煙用として待機する。自火報システム10は、たとえば、一つ警戒地域の一回線に複数の第2感知器12を備える場合、いずれかの第2感知器12が火災信号を送信すれば、残りの全ての第2感知器12が防排煙用として待機するように構成できる。
発光部1fは、制御部1bで制御されて発光できるように構成されている。発光部1fは、火災信号が送信された場合、火災信号を送信した感知器1が特定できるように発光する。発光部1fは、たとえば、発光ダイオードを備えた構成とすることができる。発光部1fは、制御部1bで制御されて発光する構成だけに限られない。発光部1fは、一対の電線10aとダイオードブリッジ1dとの間に、発光ダイオードと抵抗との直列回路を接続する構造としてもよい。発光部1fは、第2感知器12が火災を感知して、一対の電線10aから第2感知器12に一定値以上の電流が流れ込むと、発光ダイオードが発光する。第2感知器12は、火災信号および連動信号の送信時において発光ダイオードが発光することにより、自身が送信状態にあることを周囲に報知することができる。
第1感知器11は、第2感知器12の送信部1aの構成のうちの連動報回路1a2と、検出部1eとを省いた以外は同様の構成としている。第1感知器11は、火災信号を送信する場合、第2感知器12の火災信号を示す電流信号の電流値と同じ値の電流信号を出力できるように構成している。第2感知器12は、第1感知器11の火災信号よりも電流値の小さい電流信号を出力させてもよい。自火報システム10は、異なる感知器1ごとに火災信号や連動信号を変更することで、どの感知器1が送信したかを判別することもできる。
次に、受信機2は、電圧印加部2aと受信部2cに加え、抵抗2bと、表示部2dと、操作部2eと、処理部2fと、発信部2hと、予備電源2jと、を備えている。操作部2eは、ユーザからの操作入力を受け付けることができるように構成されている。予備電源2jは、商用交流電源の停電時でも受信機2が稼働できるように構成されている。受信機2は、発信部2hが防排煙装置3aと地区音響装置3bとに接続されている。受信機2は、たとえば、建物の管理室などに設置される。
受信機2は、何れか一つの感知器1からの火災信号を受信した場合、警報ベルなどの地区音響装置3bを鳴動させる。受信機2は、第2感知器12からの連動信号を受信した場合、防排煙装置3aを稼働させる。受信機2は、感知器1からの連動信号を受信部2cで受信した場合、防排煙装置3a、地区音響装置3bの他、非常用放送設備、消火栓設備、外部移報装置などを連動させる連動機能を有していてもよい。受信機2は、火災が発生した場合、防排煙装置3aの防火戸や排煙設備を制御することができるように構成されている。受信機2は、地区音響装置3bにて警報を発することができるように構成されている。受信機2は、非常用放送設備にて、音響または音声により火災の発生を報知することができるように構成させることができる。受信機2は、消火栓設備のスプリンクラなどの駆動により消火できるように構成させることができる。受信機2は、外部移報装置により、自火報システム10が設置されている施設の外部の消防機関や警備会社などへ通報するように構成させることができる。
電圧印加部2aは、一対の電線10aの間に所定の電圧を印加する。電圧印加部2aは、たとえば、直流の電圧を、一対の電線10aの間に常時に印加できるように構成されている。自火報システム10は、感知器1が火災を感知していない状態の場合、受信機2が電圧印加部2aにより一対の電線10aの間に印加された電圧により断線検知用の微小電流が流れるように構成している。以下では、感知器1が火災を感知していない状態のときを正常と称する。抵抗2bは、電圧印加部2aと、一対の電線10aの少なくとも一方との間に接続される。抵抗2bは、たとえば、一対の電線10aのうち高電位側と、電圧印加部2aとの間に設けられる。抵抗2bは、一対の電線10aのうち低電位側と、電圧印加部2aとの間に設けられてもよい。抵抗2bは、一対の電線10aそれぞれと、電圧印加部2aとの間に設けられてもよい。
抵抗2bは、一対の電線10a間が短絡したときに一対の電線10aに流れる電流を制限する電流制限機能を有している。受信部2cは、抵抗2bと一対の電線10aとの間に電気的に接続されている。受信部2cは、一対の電線10aの間に流れる電流の電流値を検出することによって、感知器1からの電流信号を受信できるように構成されている。受信部2cは、一対の電線10aに流れる電流の電流値を所定の間隔で常時に検出している。受信部2cは、一対の電線10aに流れる微小電流を検知できるように構成されている。処理部2fは、受信部2cが微小電流を検知している場合、一対の電線10aに断線が生じていないと判断することができる。受信部2cは、微小電流から感知器1の送信部1aにて所定の電流値の電流に変更されたか否かを検出する。受信部2cは、一対の電線10aに流れる電流の電流値を検出することで、感知器1からの火災信号や連動信号を受信することができる。
受信機2は、感知器1から火災信号を受信すると、処理部2fが警戒区域ごとに火災の発生場所などの表示を表示部2dにて行う。受信機2は、警戒区域が分るように全回線分それぞれが表示できるようにしている。表示部2dは、一対の電線10aにより構成された一回線ごとに警戒区域で区別し、受信した火災信号や連動信号が送信された警戒区域を表示する。処理部2fは、マイクロコンピュータを用いて構成することができる。処理部2fは、メモリに記憶されたプログラムをマイクロコンピュータが実行することで、所定の制御機能を実行させることができる。受信機2は、感知器1から連動信号を受けると、発信部2hから消防設備3へ指示を出し、消防設備3を連動させることができる。
受信機2は、商用交流電源や自家発電設備などの外部電源から給電されるように構成されている。予備電源2jは、外部電源の停電時において、自火報システム10を作動できるように、構成されている。予備電源2jは、適宜の蓄電池を備えた構成とすることができる。電圧印加部2aは、外部電源の停電時に外部電源から予備電源2jに自動的に切り替えて駆動できるように構成されている。電圧印加部2aは、外部電源の復旧時には予備電源2jから外部電源に自動的に切り替えることができるように構成されている。
受信機2は、一対の電線10a間に、たとえば、直流24Vの電圧を印加している。自火報システム10は、たとえば、抵抗値が10kΩの終端抵抗器4を一対の電線10aの終端に設けることができる。受信機2は、抵抗値が10kΩの終端抵抗器4を設けることで、一対の電線10a間に、たとえば、2.4mA程度の微弱な電流を流すことができるように構成している。受信機2は、微弱な電流を監視できるように構成している。自火報システム10では、受信機2が微弱な電流を検出できない場合、一対の電線10aが断線していると判断できる。自火報システム10は、微弱な電流で受信機2が作動しないように設定されている。自火報システム10は、第1感知器11や第2感知器12のセンサ部1cが火災を感知して送信部1aのスイッチング素子1qがオフに制御されると、一対の電線10aの間に流れる電流が増加する。受信機2は、一対の電線10aの間に流れる電流の電流値の増加を受信部2cで受信して受信機2で火災を報知させることができる。
ところで、自火報システムでは、P型(Proprietary-type)と称させるシステムと、R型(Record-type)と称されるシステムとが知られている。P型の自火報システムでは、受信機より導出した1または複数の回線に、感知器を接続して構成されており、感知器からの火災信号を受信機が受信すると、警報を発する。P型の自火報システムでは、感知器の電気的な接点が閉じることにより、感知器と受信機との間の一対の電線の間に電流が流すことで、火災信号を受信機が直接受信する。
R型の自火報システムは、受信機より導出した共通の多重伝送線に感知器を接続し、受信機と感知器のとの間で多重伝送線を介したポーリングして感知器の状態を監視し、感知器が発する火災信号が割り込みで受信機が受信すると、警報を発する。R型の自火報システムは、感知器からの火災信号を中継器でデジタル信号に変換し、受信機に伝送する。P型の自火報システムは、R型の自火報システムと比較して、比較的に簡単な構成とすることができる。
P型の自火報システムでは、地区音響装置を鳴動させるための火災信号を送信する感知器と、防排煙を制御する連動信号を送信する感知器の2種類を利用する場合がある。P型の自火報システムは、2種類の感知器を利用する場合、感知器の設置台数が多くなる。P型の自火報システムは、1台の感知器から火災信号と防災信号とを送信できる感知器を用いれば、2種類の感知器を利用する場合と比較して、感知器の設置台数を少なくできる。
しかしながら、P型の自火報システムでは、火災信号のみを送信する感知器と、火災信号と防災信号とを送信する感知器とが混在する場合、R型の自火報システムをそのまま適用することができない。P型の自火報システムでは、火災信号のみを発信する感知器と、1台の感知器から火災信号と防災信号とを送信する感知器とが混在する場合、火災信号を送信する配線と、連動信号を送信させる配線と、を別途に設ける必要があり、配線の数が多くなる。
本実施形態の自火報システム10は、一対の電線10aの間に流れる電流の電流値を火災信号あるいは連動信号に対応する電流信号とすることで、受信機2において火災信号と連動信号とを区別することができる。自火報システム10は、同一回線で火災信号と連動信号とを区別して受信でき、火災信号用の電線と連動信号用の電線とで別回線を設ける場合に比べて省配線化を図ることができる。
以下では、自火報システム10の動作について、図4を参照して説明する。
図4は、横軸を時間軸、縦軸を電流値として、一対の電線10aに流れる電流の電流値を表している。図4では、制御部1bが送信部1aにおけるスイッチング素子1qそれぞれのオンとオフとを適宜に制御することにより、一対の電線10aに流れる電流の電流値が、微小電流の電流値から段階的に引き上げられることを例示している。
感知器1は、制御部1bが所定のサンプリング周期で定期的にセンサ部1cからのセンサ値を読込む。感知器1は、センサ部1cからのセンサ信号に基づいて、火災が発生しているか否かを判断する。自火報システム10は、感知器1が火災を感知しない場合、センサ値の読込みを繰り返し行う。自火報システム10は、全ての感知器1が正常な場合、一対の電線10aの間に、所定の断線を検出するための微小電流が流れたままとなる。
次に、自火報システム10は、時刻t1において第2感知器12で、火災を感知した場合、第2感知器12の制御部1bが、火災信号を送信できるように火災報回路1a1のスイッチング素子1qをオンに制御する。第2感知器12は、火災報回路1a1のスイッチング素子1qがオンになることで、一対の電線10aに第1電流値I1以上、且つ第2電流値I2未満の電流が流れる。受信機2では、一対の電線10aに第1電流値I1以上、且つ第2電流値I2未満の電流が流れていることを受信部2cで受信すると、表示部2dを表示させる。受信機2は、発信部2hから発信信号を発信して地区音響装置3bを鳴動させる。感知器1は、所定のサンプリング周期で定期的にセンサ値を読込み、連動信号を送信する状態か否かを判断する。感知器1は、連動信号を送信する状態でない場合、連動報回路1a2におけるスイッチング素子1qのオフ状態を維持し、センサ値の読込みを繰り返し行う。次に、自火報システム10は、第2感知器12において、連動信号を送信する場合、連動信号の送信を判断した感知器1の制御部1bが、連動信号を送信するように連動報回路1a2のスイッチング素子1qをオン制御する。受信機2では、一対の電線10aに第2電流値I2以上の電流が流れていることを受信部2cで受信すると、発信部2hからの発信信号により防排煙装置3aを稼働させる。
本実施形態の自火報システム10では、一対の電線10aに流れる電流量を、火災信号や連動信号に応じて段階的に増加させる構成だけに限られない。自火報システム10では、図5に示すように、第2感知器12は、火災信号または連動信号の何れか一方がパルス信号であり、他方が一定レベルの信号とすることもできる。
自火報システム10は、1つのスイッチング素子1qを、所定のタイミングでオンとオフとを繰り返すように制御することで、火災信号または連動信号の一方をパルス信号とすることができる。自火報システム10は、1つのスイッチング素子1qを所定のタイミングでオン状態にすることで、火災信号または連動信号の他方を一定レベルの信号とすることができる。
本実施形態の自火報システム10は、たとえば、制御部1bが送信部1aを1つのスイッチング素子1qのオンとオフとの制御により、一対の電線10aにパルス的に流れる電流の時間間隔を調整して、火災信号と連動信号とを送信することができる。自火報システム10は、送信部1aを1つのスイッチング素子1qのオンとオフとの制御により、火災信号と連動信号とを送信することができるため、より簡単な構成とすることができる。
(実施形態2)
本実施形態の自火報システム10は、実施形態1が一対の電線10aに流れる電流の電流値を変更することで火災信号と連動信号とを弁別するのに対し、一対の電線10aの間の電圧値を変更することで火災信号と連動信号とを弁別する点が主として相違する。実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して適宜に説明を省略する。
本実施形態の自火報システム10では、実施形態1と同様に、受信機2と、第1感知器11と、第2感知器12と、を備えている。第1感知器11は、火災信号を受信機2に送信できるように構成されている。第2感知器12は、連動信号もしくは火災信号の何れか少なくとも一方を受信機2に送信できるように構成されている。連動信号は、防排煙装置3aを連動して稼働させるための信号である。第1感知器11および第2感知器12は、受信機2と一対の電線10aで電気的に接続されている。受信機2は、電圧印加部2aと、受信部2cと、を有している。電圧印加部2aは、一対の電線10aの間に電圧を印加する。受信部2cは、火災信号および連動信号を受信することができるように構成されている。第2感知器12は、図6に示すように、送信部1aと、制御部1bと、を備えている。送信部1aは、一対の電線10a間を短絡させて一対の電線10aの間に火災信号と連動信号とを送信する。火災信号と連動信号とは、図7に示すように、それぞれの電圧値が異なる電圧信号である。制御部1bは、送信部1aを制御して電圧信号を送信させる。第2感知器12と、受信機2とは、一対の電線10aに印加される電圧信号により、火災信号と連動信号とを弁別できるように構成されている。
本実施形態の自火報システム10は、送信部1aが一対の電線10a間を短絡させ、一対の電線10aの間の電圧値を変更させた電圧信号で、火災信号と連動信号とを送信することにより、より省配線化を図ることができる。
本実施形態の自火報システム10では、送信部1aは、図6に示すように、ツェナーダイオード1sと、スイッチング素子1qとを備えた構成とすることができる。送信部1aは、ツェナーダイオード1sとスイッチング素子1qとが接続された直列回路を2つ備えている。送信部1aは、ツェナーダイオード1sとスイッチング素子1qとを備えた2つの直列回路を、電気的に並列に接続させた構成としている。送信部1aは、並列に接続させたツェナーダイオード1sそれぞれの降伏電圧の電圧値が異なるように設定されている。スイッチング素子1qそれぞれは、制御部1bによって、オンとオフとが個別に制御できるように構成されている。
スイッチング素子1qは、ツェナーダイオード1sのアノードに電気的に接続される。ツェナーダイオード1sのカソードは、ダイオードブリッジ1dの高電位側の出力端に電気的に接続される。送信部1aは、制御部1bがスイッチング素子1qをオンにすれば、ツェナーダイオード1sが一対の電線10aの間に電気的に接続される。一対の電線10aの間に印加されている電圧は、ツェナーダイオード1sの降伏電圧を上回っている場合、ツェナーダイオード1sの降伏電圧に維持される。送信部1aは、一対の電線10aの間にツェナーダイオード1sの降伏電圧に相当する定電圧を生成することができる。制御部1bは、スイッチング素子1qをオフにする場合、一対の電線10aから電気的に切り離され、一対の電線10aの間に印加されている電圧が変化しない。第2感知器12は、制御部1bによりスイッチング素子1qがオンに制御されれば、一対の電線10aに印加されている電圧からの降圧によって、一対の電線10aの間の電圧を所定の電圧値に変更させることができる。送信部1aは、ツェナーダイオード1sの降伏電圧が、火災信号や連動信号を送信するために、個別に設定されている。図6では、火災信号を送信する火災報回路1a1のツェナーダイオード1sを第1ツェナーダイオード1s1とし、連動信号を送信する連動報回路1a2のツェナーダイオード1sを第2ツェナーダイオード1s2としている。送信部1aは、火災報回路1a1のスイッチング素子1qがオンの場合と、連動報回路1a2のスイッチング素子1qがオンの場合とで、一対の電線10aの間に印加される電圧値を切り替えることができる。
感知器1は、送信部1aによって、一対の電線10aの間の電圧を所定の電圧値に降圧させると、電圧印加部2aが印加させた電圧とツェナーダイオード1sによる所定の電圧との差分に相当する電圧が、受信機2の抵抗2bの両端間に生じる。抵抗2bは、抵抗2bを流れる電流の電圧降下により抵抗2bの両端間の電位差を検出する電圧検出機能を備えている。受信機2は、電圧印加部2aが印加する電圧が同じ電圧値を維持したままであっても、一対の電線10aの間の電圧が所定の電圧値に変更させることができる。送信部1aは、ツェナーダイオード1sと、スイッチング素子1qとが電気的に直列に接続された構成だけに限られず、降圧のみ可能な定電圧生成回路を備えた構成とすることもできる。
以下では、自火報システム10の動作について、図7を参照して説明する。
図7は、横軸を時間軸、縦軸を電圧値として、一対の電線10aの間の電圧の電圧値を表している。図7では、制御部1bが送信部1aにおけるスイッチング素子1qそれぞれのオンとオフとを適宜に制御することにより、一対の電線10aに印加される電圧を段階的に降圧させたことを例示している。
自火報システム10は、感知器1が正常な場合において、受信機2の電圧印加部2aにより、一対の電線10aの間に電圧V0が印加されている。
感知器1は、制御部1bが所定のサンプリング周期で定期的にセンサ部1cからのセンサ値を読込む。感知器1は、センサ部1cからのセンサ信号に基づいて、火災が発生しているか否かを判断する。感知器1は、火災を感知しない場合、センサ値の読込みを繰り返し行う。自火報システム10は、全ての感知器1が正常な場合、一対の電線10aの間の電圧が電圧V0のままとなる。
次に、自火報システム10は、第2感知器12において、時刻t5で火災を感知した場合、制御部1bが火災信号を送信できるように、火災報回路1a1のスイッチング素子1qをオンに制御する。第2感知器12は、火災報回路1a1のスイッチング素子1qがオンになることで、電圧V0から火災信号を示す第1電圧V1未満、且つ第2電圧V2以上となるように降圧させる。受信機2では、受信部2cが火災信号を受信すると、表示部2dが表示され、発信部2hからの信号で地区音響装置3bを稼働させる。第2感知器12は、所定のサンプリング周期で定期的にセンサ値を読込み、連動信号を送信する状態か否かを判断する。第2感知器12は、連動信号を送信する状態でない場合、連動報回路1a2のスイッチング素子1qのオフ状態を維持し、センサ値の読込みを繰り返し行う。
次に、自火報システム10は、時刻t6で第2感知器12が連動信号を送信する場合、制御部1bが連動信号を送信するように、連動報回路1a2のスイッチング素子1qをオン制御する。第2感知器12は、連動報回路1a2のスイッチング素子1qのオン制御により、連動信号を示す第2電圧V1未満となるように降圧させる。
本実施形態の自火報システム10では、一対の電線10aに印加される電圧を、火災信号や連動信号に応じて段階的に降圧させる構成だけに限られない。本実施形態の自火報システム10では、図8に示すように、第2感知器12は、火災信号または連動信号の何れか一方がパルス信号であり、他方が一定レベルの信号とすることもできる。
自火報システム10は、1つのスイッチング素子1qを、所定のタイミングでオンとオフとを繰り返すように制御することで、火災信号または連動信号の一方をパルス信号とすることができる。自火報システム10は、1つのスイッチング素子1qを所定のタイミングでオン状態にすることで、火災信号または連動信号の他方を一定レベルの信号とすることができる。
本実施形態の自火報システム10は、たとえば、制御部1bが送信部1aを1つのスイッチング素子1qのオンとオフとを制御することで、一対の電線10aに印加される電圧の時間間隔を調整して、火災信号と連動信号とを送信することができる。自火報システム10は、送信部1aを1つのスイッチング素子1qのオンとオフとの制御により、火災信号と連動信号とを送信することができるため、より簡単な構成とすることができる。