[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の階段構造を、鉄骨ラーメン構造を有する二階建てユニット式建物において具体化している。まず、ユニット式建物について、図1、図2を参照しつつ説明する。図1は建物10の概略図、図2は建物ユニット20の構成を示す斜視図である。
図1に示すように、住宅等の建物10は、基礎11の上に設けられた建物本体12を有しており、建物本体12の上には屋根が設けられている。建物本体12は、下階部としての一階部分14と、上階部としての二階部分15とを有しており、これら一階部分14と二階部分15とは上下に隣り合っている。一階部分14においては床面が一階床14aにより形成され、二階部分15においては床面が二階床15aにより形成されている。これら床14a,15aは、それぞれ床面材29を含んで構成されている。なお、一階床14aが下階床に相当し、二階床15aが上階床に相当する。
建物10は、一階部分14と二階部分15とに跨って設けられた階段空間16と、この階段空間16に設けられた階段17とを有している。階段17は、複数の踏み板18と、複数の蹴込み板19とを有しており、一階部分14と二階部分15との行き来を可能にしている。複数の踏み板18には、二階床15aに対して固定された上框としての階段框18aが含まれている。階段框18aは最上段の踏み板18であり、階段框18aの上面は、二階床15aの床面と同一平面を形成している。
建物10は、複数の建物ユニット20が組み合わされることで構築されており、一階部分14及び二階部分15は、いずれも複数の建物ユニット20を有している。各建物ユニット20は、全体として直方体状に形成されている。
図2に示すように、建物ユニット20は、四隅に配置された柱21と、柱21の上端部(上仕口)に連結された天井大梁22と、柱21の下端部(下仕口)に連結された床大梁23とを有しており、これら柱21、天井大梁22、床大梁23により直方体状の骨格(ユニット躯体)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、溝部開放側を互いに向き合わせるようにユニット内側に向けて配置されている。
建物ユニット20において長辺部(桁面)に沿って延び且つ相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく長辺部に沿って延び且つ相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25及び床小梁26は、それぞれ同一の間隔で且つ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23と平行に延びている。天井小梁25及び床小梁26はそれぞれリップ溝形鋼よりなる。天井小梁25によって天井面材28が支持され、床小梁26によって床面材29が支持されている。
次に、階段17について図1、図3〜図6を参照しつつ説明する。図3は階段17の平面図、図4は階段下空間35の平面図、図5は上側建物ユニット20Bの床部分の平面図、図6は階段17の分解平面図である。
図3に示すように、階段17は、昇降方向が直線的に延びている一対の直階段部17a,17bと、昇降方向を変更する廻り階段部17c,17dとを有しており、平面視でロ字状の廻り階段になっている。階段17においては、直階段部17a,17bが互いに平行に延びており、下側の廻り階段部17cは、下側の直階段部17aと上側の直階段部17bとに架け渡され、上側の廻り階段部17dは、上側の直階段部17bと二階床15aとに架け渡されている。この場合、階段框18aは、上側の廻り階段部17dに含まれている。また、下側の直階段部17aは、一階床14aから斜め上方に向けて延びており、この直階段部17aには、最下段の踏み板18bが含まれている。なお、下側の廻り階段部17cは、昇降方向を180度変更するものであり、上側の廻り階段部17dは、昇降方向を90度だけ変更する曲がり階段部になっている。この場合、廻り階段部は曲がり階段部の一種であることになる。
階段17において、複数の踏み板18には、昇降方向を変更する踊り場を形成した踊り踏み板18cが含まれている。踊り踏み板18cは、上から2段目(階段框18aの下段)に配置されており、上側の廻り階段部17dに含まれている。この場合、階段框18a及び踊り踏み板18cの2つが踏み板18として上側の廻り階段部17dに含まれている。
ここで、上から3段目の踏み板18と階段框18aとは互いに直交する方向に延びており、踊り踏み板18cは、平面視で、上から3段目の踏み板18と階段框18aとの入隅部分に配置されている。上から3段目の踏み板18と階段框18aとはほぼ同じ幅寸法(例えば900mm)を有しており、これによって、踊り踏み板18cは平面視で略正方形状に形成されている。
階段空間16は、平面視で矩形状に形成されており、二階床15aは、平面視において階段空間16の1つの隅角部から内側に向けて張り出した張り出し床部31を有している。張り出し床部31は、平面視で略正方形状に形成されており、平面視において、直階段部17a,17bの並び方向に沿って踊り踏み板18cに横並びに配置されているとともに、直階段部17a,17bの昇降方向に沿って下側の直階段部17aに横並びに配置されている。なお、張り出し床部31は、二階部分15において階段17への行き来を可能にする通路床と称することもできる。また、図3においては、張り出し床部31をドットハッチングにて図示している。
ちなみに、建物10においては、平面視において二階床15aが設置されていない非設置領域を吹き抜け空間と称することができる。このため、階段空間16においては、平面視において張り出し床部31が存在しない領域が吹き抜け空間に相当する。
建物10は、階段空間16の周縁部に沿って延びた周縁壁部32と、一対の直階段部17a,17bの間に設けられた中間壁部33とを有しており、階段17は、これら壁部32,33に取り付けられている。周縁壁部32は、階段17の外周側に配置されており、階段17の上側及び下側(一階部分14及び二階部分15)のそれぞれにおいて階段空間16を区画している。中間壁部33は、直階段部17a,17bの昇降方向に沿って延びており、階段17の上側及び下側のそれぞれにおいて階段空間16を仕切っている。
なお、中間壁部33は、一階部分14において階段空間16を仕切っている間仕切部分と、この間仕切部分の上に設けられた手摺部分とを有している。間仕切部分は、一階部分14において床から天井に向けて延びており、手摺部分は、一階部分14の天井よりも高い位置に配置された腰壁になっている。
また、建物10は、周縁壁部32と中間壁部33とを連結する連結壁部34を有している。連結壁部34は、二階床15aから上方に向けて延びた腰壁部であり、平面視での直階段部17a,17bの並び方向において張り出し床部31の端部に沿って延びている。この場合、中間壁部33においては、階段框18a側の端部に連結壁部34が接続されている。
張り出し床部31においては、隣り合う2つの辺31a,31bが周縁壁部32から階段空間16の内側に向けて延びている。これら辺31a,31bのうち第1辺31aは、中間壁部33に直交する方向において連結壁部34に沿って延びており、第2辺31bは、第1辺31aに直交する方向において階段框18aに沿って延びている。これら辺31a,31bは、いずれも周縁壁部32と中間壁部33とに架け渡された状態になっている。
階段空間16においては、階段17の下側に階段下空間35が設けられている。図4に示すように、階段下空間35は、周縁壁部32及び中間壁部33に加えて階段下壁部36により区画された収納室37A,37Bを有しており、これら収納室37A,37Bは、階段下壁部36により仕切られている。第1収納室37Aは、下側の廻り階段部17c及び上側の直階段部17bの下方に配置され、第2収納室37Bは、上側の廻り階段17の下方に配置されている。階段下壁部36は、階段17の下側に配置された間仕切壁であり、周縁壁部32と中間壁部33とに架け渡された状態で複数設けられている。なお、階段下空間35において、下側の直階段部17aの下方スペースは、収納室37A,37Bには含まれていない。
周縁壁部32には、階段下開口部38が設けられており、この階段下開口部38を通じて収納室37A,37Bへの人の出入りや物品の出し入れが可能になっている。なお、階段下開口部38には開き戸が設けられている。
図1に示すように、建物10において、複数の建物ユニット20には、一階部分14において階段17の設置対象になっている下側建物ユニット20Aと、二階部分15において階段17の設置対象になっている上側建物ユニット20Bとが含まれている。下側建物ユニット20Aには、天井小梁25が設置されていない非設置領域(図示略)が設けられ、上側建物ユニット20Bには、床小梁26が設置されていない非設置領域S(図5参照)が設けられており、これら非設置領域に階段空間16が配置されている。
図5に示すように、上側建物ユニット20Bにおいては、床小梁26が2つだけ設けられており、これら床小梁26の間の領域が非設置領域Sになっている。この非設置領域Sには、二階床15aの張り出し床部31を支持する床梁41a〜41cが設けられている。これら床梁41a〜41cのうち第1床梁41aは、張り出し床部31の第1辺31aに沿って延びており、第2床梁41bは、張り出し床部31の第2辺31bに沿って延びている。上側建物ユニット20Bにおいては、その短手方向に第1床梁41aが延び、その長手方向に第2床梁41bが延びており、これら第1床梁41aと第2床梁41bとは、互いに交差した状態で先端部同士が連結されている。この場合、第1床梁41aは、床大梁23と第2床梁41bとに架け渡され、第2床梁41bは、床小梁26と第1床梁41aとに架け渡されている。第3床梁41cは、第1床梁41aに平行に延びた状態で、第2床梁41bの中間部分と床大梁23とに架け渡されている。
なお、第1床梁41aは、上階床としての二階床15aを下方から支持する上階床梁に相当し、第2床梁41bは、上階床に交差する交差床梁に相当する。
なお、上側建物ユニット20Bの非設置領域Sには、床梁41a〜41cに加えて、上側建物ユニット20Bの長手方向に延びた長手小梁42と、長手小梁42に接続された補助小梁43とが設けられている。長手小梁42は、2つの床小梁26に架け渡されており、補助小梁43は、長手小梁42とその長手小梁42に平行に延びる床大梁23とを連結している。
図6に示すように、階段17は複数の階段ユニット45を有している。各階段ユニット45は、踏み板18及び蹴込み板19を複数有しており、階段17の昇降方向に沿って並べられている。最下段の踏み板18bは、これら階段ユニット45に含まれていない。ここで、複数の階段ユニット45のうち、最も下の位置に配置された最下位階段ユニット45aは、最下段の踏み板18bを有していない一方で、下から2段目の踏み板18dを有している。階段ユニット45は工場にて製造されるものであり、建築現場に運搬された後、最下位階段ユニット45aに対して最下段の踏み板18b及び最下段の蹴込み板19bが取り付けられることで下側の直階段部17aが構築されている。
階段17は、複数の階段ユニット45に加えて、階段框18aを含んで構成された階段框ユニット46と、踊り踏み板18cを含んで構成された踊りユニット47とを有している。階段框ユニット46は、階段框18aに加えて、その階段框ユニット46から下方に向けて延びた蹴込み板19a(図1参照)を有している。踊りユニット47は、踊り踏み板18cに加えて、その踊り踏み板18cから下方に向けて延びた蹴込み板19c(図1参照)を有している。階段框ユニット46及び踊りユニット47は、上側の廻り階段部17dを構成している。
次に、階段17の最下段の構成について図7、図8を参照しつつ説明する。図7は下側の直階段部17aの縦断面図、図8は階段17の最下段周辺の縦断面図である。なお、図7においては、最下位階段ユニット45aの構成を明確に示すために、最下段の踏み板18b、蹴込み板19b、他の階段ユニット45及び巾木52を一点鎖線にて図示している。図8においては、(a)に最下段の踏み板18bを取り付けた後の図を示し、(b)に最下段の踏み板18bを取り付ける前の図を示す。
図7に示すように、最下位階段ユニット45aは、階段17の昇降方向に延びた側桁部51を有している。側桁部51は、階段17の幅方向に並べて一対設けられており、踏み板18及び蹴込み板19は、これら側桁部51に架け渡された状態で設けられている。側桁部51は、ささら桁のように階段状に形成されていることで上方を向いた載置面を複数有しており、踏み板18は載置面に載せられ、蹴込み板19は、載置面から下方に延びた前側端面に重ねられている。また、側桁部51は、ビス等が側桁部51を通じて周縁壁部32や中間壁部33に打ち込まれることでこれら壁部32,33に固定されている。
周縁壁部32や中間壁部33には、これら壁部32,33と踏み板18及び蹴込み板19との境界部に沿って延びた巾木52が取り付けられている。壁部32,33に対する巾木52の取り付け作業は、階段17が周縁壁部32や中間壁部33に取り付けられた後に行われる。
図8(a)に示すように、一階床14aの床面材29は、合板等の床下地面材29aと、フローリング材等の床仕上面材29bとを有している。床下地面材29aは、床小梁26の上に設置されており、床仕上面材29bは、床下地面材29aの上に重ねられている。ここで、階段下空間35においては、収納室37A,37Bの全体に床仕上面材29bが設けられている一方で、下側の直階段部17aの下方には基本的に床仕上面材29bが設けられていない。ただし、最下段の蹴込み板19bの下方位置には床仕上面材29bが設けられている。
最下段の踏み板18bは、最下位階段ユニット45aの側桁部51及び下から2段目の蹴込み板19dに対して、ビスや接着剤等により固定されている。踏み板18bは、側桁部51の最下段の載置面の上に載せられており、この載置面に対して接着剤により接合されている。また、踏み板18bは、桁側下地54を介して側桁部51に固定されている。桁側下地54は、踏み板18bの奥行き方向に延びた木製の横長部材であり、踏み板18bの下側に配置されている。この場合、桁側下地54は、接着剤やビス等により踏み板18bの下面に固定されているとともに、第1ビス55により側桁部51の内側板面に固定されている。第1ビス55は、桁側下地54を貫通して側桁部51に打ち込まれている。また、第1ビス55は、踏み板18bの奥行き方向において所定間隔で複数配置されており、最下段の踏み板18bを側桁部51に固定する桁側固定具に相当する。
最下段の踏み板18bは、下から2段目の蹴込み板19dに対して第2ビス56により固定されている。この蹴込み板19は、踏み板18bの奥側端面に重ねられており、第2ビス56は、この蹴込み板19を貫通して踏み板18bの奥側端面に打ち込まれている。また、第2ビス56は、踏み板18bの幅方向において所定間隔で複数配置されている。
最下段の蹴込み板19bは、最下位階段ユニット45aの側桁部51、最下段の踏み板18b及び一階床14aに対して、ビスや接着剤等により固定されている。蹴込み板19bは、側桁部51の前側端面に重ねられており、この前側端面に対して接着剤により接合されている。また、蹴込み板19bの奥側には、蹴込み板19bの上端が奥側に移動することを規制する規制部材としての蹴込み下地61が設けられている。蹴込み下地61は、踏み板18bの幅方向に延びた木製の横長部材であり、桁側下地54の手前側において踏み板18bと蹴込み板19bとの入隅部分に配置されている。この場合、蹴込み下地61は、接着剤やビス等により踏み板18bの下面に固定されているとともに、接着剤により蹴込み板19bの奥側板面に固定されている。
踏み板18bの下面には、蹴込み板19bの上端部が下方から入り込んだ受け溝部62が設けられている。受け溝部62は、下方に向けて開放された凹部であり、踏み板18bの幅方向に延びている。この場合、蹴込み板19bの上端部は、接着剤により受け溝部62の内周面に固定されている。
また、蹴込み板19bは、床側下地63を介して一階床14aに固定されている。床側下地63は、蹴込み板19bの幅方向に延びた木製の横長部材であり、蹴込み板19bの奥側において踏み板18bと蹴込み板19bとの入隅部分に配置されている。床側下地63は、接着剤により蹴込み板19bの奥側板面に固定されているとともに、第3ビス64により床面材29に固定されている。第3ビス64は、床側下地63及び床仕上面材29bを貫通して床下地面材29aに打ち込まれている。また、第3ビス64は、蹴込み板19bの幅方向において所定間隔で複数配置されており、最下段の蹴込み板19bを一階床14aに固定する床側固定具に相当する。
床側下地63は、第3ビス64が打ち込まれた打ち込み面63aと、打ち込み面63aの上端部から水平に延びた上端面63bとを有している。上端面63bは、打ち込み面63aよりも蹴込み板19b側に配置されており、打ち込み面63aは、上端面63bから斜め下方に向けて階段奥側に延びている。床側下地63においては、打ち込み面63a及び上端面63bにより上面が形成されている。なお、上端面63bに対する打ち込み面63aの傾斜角度は、例えば30度〜45度に設定されている。
次に、階段17の最下段の構築手順について説明する。建物10においては、まず、一階床14aや周縁壁部32、中間壁部33を構築しておき、工場にて製造しておいた最下位階段ユニット45aを周縁壁部32及び中間壁部33に対して固定する。このように、最下位階段ユニット45aを一階床14aの上に設置する工程が第1工程に相当する。
その一方で、図8(b)に示すように、あらかじめ最下段の蹴込み板19bに床側下地63を固定しておき、この状態の蹴込み板19bを床仕上面材29bの上に載置し、第3ビス64を床側下地63に対して上方から打ち込む。この場合、作業者は、最下段の蹴込み板19bと下から2段目の蹴込み板19dとの間から工具や手を差し入れることができるため、鉛直方向に対する第3ビス64の傾きが極力小さくなるように第3ビス64の打ち込み作業を行うことが容易になる。つまり、作業者は、第3ビス64を床側下地63に打ち込んだ勢いで最下段の蹴込み板19bの位置が階段手前側にずれるということが生じにくい体勢で第3ビス64の打ち込み作業を行うことができる。
なお、最下段の蹴込み板19bを一階床14aに対して固定する工程が第2工程に相当する。第2工程においては、蹴込み板19bに床側下地63を固定する工程が床側下地工程に相当し、蹴込み板19bを側桁部51の側端面に重ねる工程がこの蹴込み板19bを最下位階段ユニット45aに対する所定位置にセットする床側セット工程に相当し、第3ビス64を床側下地63及び一階床14aに打ち込む工程が床側打ち込み工程に相当する。
その後、図8(a)に示すように、あらかじめ最下段の踏み板18bに桁側下地54及び蹴込み下地61を固定しておき、この状態の踏み板18bを最下位階段ユニット45aの側桁部51の載置面及び最下段の蹴込み板19bの上端面の上に載せる。そして、踏み板18bの下側において第1ビス55を桁側下地54に対して側方から打ち込み、第2ビス56を下から2段目の蹴込み板19dに対して階段後方から打ち込む。この場合、作業者は、最下位階段ユニット45aの下側スペースに身体を入り込ませた姿勢で第1ビス55及び第2ビス56の打ち込み作業を行うことになるが、第1ビス55の打ち込み作業に際しては、工具を適正に使用可能な作業スペースを一対の側桁部51の間において適正に確保することができ、第2ビス56の打ち込み作業に際しては、作業スペースを下から2段目の蹴込み板19dの後方において適正に確保することができる。
これに対して、階段17の最下段について、蹴込み板19b、踏み板18bの順で取り付けるのではなく、踏み板18b、蹴込み板19bの順で取り付けた場合、第1ビス55及び第2ビス56の打ち込み作業を行うための作業スペースを確保することはできるが、第3ビス64の打ち込み作業を行うための作業スペースを確保することが困難になる。具体的には、第3ビス64の打ち込み作業を行う時には、既に最下段の踏み板18bが設置されているため、工具を適正に使用可能な作業スペースを一階床14aと踏み板18bとの間に確保することが困難になる。この場合、一階床14aと踏み板18bとの間において工具を適正に使用するには、第3ビス64の打ち込み方向を鉛直方向に対して大きく傾斜させざるを得ず、これでは、第3ビス64を床側下地63に打ち込んだ勢いで蹴込み板19bの下端部が階段手前側にずれやすくなってしまう。
なお、最下段の踏み板18bを最下段の蹴込み板19b及び最下段階段ユニッに固定する工程が第3工程に相当する。第3工程においては、桁側下地54を踏み板18bに固定する工程が桁側下地工程に相当し、踏み板18bを蹴込み板19b及び側桁部51の上に載せる工程がこの踏み板18bを蹴込み板19bに対する所定位置にセットする桁側セット工程に相当し、第1ビス55を桁側下地54及び側桁部51に打ち込む工程が桁側打ち込み工程に相当し、蹴込み下地61を踏み板18bに取り付ける工程が蹴込み規制工程に相当する。
次に、階段17の最上段及び上から2段目の構成について、図9〜図13を参照しつつ説明する。図9は図3のA−A線断面図、図10は図3のB−B線断面図、図11は踊り踏み板18c周辺の階段17の分解斜視図、図12は図3のC−C線断面図、図13は床支持ユニット77周辺の分解斜視図である。なお、図9〜図12においては巾木52の図示を省略している。
図9に示すように、一階部分14においては、天井面が一階天井14bにより形成されている。一階天井14bは、天井小梁25等により支持された野縁等の天井下地66を有しており、天井面材28は、天井小梁25や天井下地66に取り付けられている。天井面材28は、石膏ボード等により形成された内装材である。
周縁壁部32、中間壁部33(図10参照)及び階段下壁部36は、ランナ(横桟)やスタッド(縦桟)により形成された壁下地67と、この壁下地67に取り付けられた壁面材68とを有している。壁面材68は石膏ボード等により形成された内装材である。周縁壁部32においては、壁下地67が天井大梁22や床大梁23に対して固定されており、中間壁部33や階段下壁部36においては、壁下地67が一階床14aから上方に向けて延びた状態で立設されている。
上述したように、階段17は周縁壁部32や中間壁部33に取り付けられている。この場合、中間壁部33は階段支持体に相当する。また、これら壁部32,33の壁下地67は階段17を支持する階段下地としての役割を果たしている。ここで、周縁壁部32においては、下側建物ユニット20Aの天井大梁22と上側建物ユニット20Bの床大梁23とが集合した部分に対して階段下地板材69が設けられており、天井大梁22や床大梁23ではなくこの階段下地板材69に対して階段17が固定されている。階段下地板材69は、大梁22,23と壁面材68との間において、大梁22,23に架け渡された状態で設けられている。
階段下地板材69には、踊りユニット47が固定されている。周縁壁部32には、踊りユニット47を下方から支持する階段受け部材71が取り付けられている。階段受け部材71は、壁幅方向に延びた長尺部材であり、ビス等により階段下地板材69に対して固定されている。踊りユニット47は、階段受け部材71の上に載せられた状態で、階段下地板材69に対してビス等により固定されている。
踊りユニット47は、踊り踏み板18c及び蹴込み板19cに加えて、踊り踏み板18cを支持した踊り桁部72と、踊り桁部72を踊り踏み板18cに固定した踊り下地73を有している。踊り桁部72は、踊り踏み板18cから下方に向けて延びた板材であり、踊り踏み板18cの周縁部に沿って延びている。踊り下地73は、踊り踏み板18cと踊り桁部72との入隅部分に配置されており、これら踊り踏み板18c及び踊り桁部72の両方に対してビス等により固定されている。踊り桁部72は、階段受け部材71の上に載せられており、ビス等により階段下地板材69に対して固定されている。
階段17の最上段については、蹴込み板19aの裏側から階段框18aに対してビスが打ち込まれることで、蹴込み板19aが階段框18aに固定されている。また、蹴込み板19aは、踊り踏み板18cの側端面に重ねられており、ビスにより踊り踏み板18cに対して固定されている。階段框18aは、張り出し床部31と共に第2床梁41bの上に載せられており、階段框18aはビスにより第2床梁41bに対して固定されている。
一階天井14bの上方には天井裏空間75が設けられている。天井裏空間75は、一階天井14bと二階床15aとの間の空間であり、床梁41a〜41cなどが天井裏空間75に配置されている。踊り踏み板18cは、二階床15aよりも低く且つ一階天井14bよりも高い位置に配置されており、天井裏空間75は、踊り踏み板18cと一階天井14bとの間にも配置されている。この場合、踊り踏み板や階段受け部材71、踊り桁部72、踊り下地73が天井裏空間75に配置されている。
図10、図11に示すように、天井裏空間75において、中間壁部33の上には、二階床15aの張り出し床部31を下方から支持した床支持ユニット77が設けられている。床支持ユニット77は、全体として上下方向に延びた矩形柱状に形成されており、階段空間16において張り出し床部31の隅角部の下方に配置されている。この場合、床支持ユニット77は、第1床梁41aと第2床梁41bとの接続部分を下方から支持していることになる。このため、張り出し床部31において、人などからの荷重が自由端側の隅角部に加えられたとしても、その隅角部が下がる向きに張り出し床部31が変形することが床支持ユニット77により抑制される。
図12に示すように、中間壁部33の壁下地67は、中間壁部33の側端部に配置された側端下地部67aと、中間壁部33の中間位置に配置された中間下地部67bとを有している。側端下地部67aは、中間壁部33の両側端部のそれぞれに配置されており、中間下地部67bは、これら側端下地部67aを連結した状態になっている。側端下地部67aは、複数の木材が組み合わされることで全体として矩形柱状に形成されており、側端下地部67aの上に床支持ユニット77が載せられている。なお、壁面材68は、側端下地部67aと中間下地部67bとに架け渡された状態で、これら下地部67a,67bのそれぞれに固定されている。
図10、図11の説明に戻り、床支持ユニット77は、張り出し床部31に加えて踊り踏み板18cを下方から支持している。踊りユニット47は、踊り踏み板18cを下方から支持する踊り支持部材47aを有しており、この踊り支持部材47aが床支持ユニット77の上に載せられている。踊り支持部材47aは、踊り踏み板18cの四隅のうち踊り桁部72が設けられていない隅角部に配置されており、踊り踏み板18cの下側から側方に向けて突出している。また、踊り支持部材47aは、蹴込み板19cが延びた方向において、この蹴込み板19cに横並びに配置されている。
踊り支持部材47aには、下方及び側方に向けて凹んだ切り欠き部47bが設けられており、踊り踏み板18cは、切り欠き部47bに入り込んだ状態で踊り支持部材47aの上に載せられている。切り欠き部47bの内周面においては、その底面に踊り踏み板18cの下面が重ねられ、その側面に踊り踏み板18cの側端面が重ねられており、この状態で接着剤やビス等により踊り支持部材47aが踊り踏み板18cに固定されている。
床支持ユニット77は、上方に向けて突出した突出部分77aを有しており、踊り支持部材47aは、突出部分77aに横並びに配置されている。突出部分77aは、第1床梁41aと第2床梁41bとの接続部分の下方位置に配置されており、これら床梁41a,41bの各先端部を下方から支持している。踊り支持部材47aは、床梁41a,41bから下方に離間しており、この離間部分に踊り踏み板18cが入り込んだ状態になっている。この場合、踊り踏み板18cは、突出部分77aの側方位置に配置されている。
図10、図13に示すように、床支持ユニット77は、張り出し床部31を下方から支持した床支持部材81と、この床支持部材81の高さ位置を設定するスペーサ部材82と、これら床支持部材81とスペーサ部材82とを連結した連結板材83と、床支持部材81に重ねられた第1重ね板材84と、スペーサ部材82に重ねられた第2重ね板材85とを有している。
図12、図13に示すように、床支持部材81及びスペーサ部材82は、いずれも矩形枠状に形成されており、これら部材81,82は、床支持ユニット77の厚み方向に開放されている。床支持部材81及びスペーサ部材82は、一対の縦枠材81a,82aと、これら縦枠材81a,82aの上端部を連結した上枠材81b,82bと、縦枠材81a,82aの下端部を連結した下枠材81c,82cとを有している。この場合、一対の縦枠材81a,82aは、床支持ユニット77の幅方向に並べられ、枠材81b,82b,81c,82cは、床支持ユニット77の幅方向に延びている。
上枠材81b,82b及び下枠材81c,82cは、一対の縦枠材81a,82aの間において、縦枠材81a,82aから上方や下方に突出しない位置に配置されている。この場合、床支持部材81及びスペーサ部材82の高さ寸法は、縦枠材81a,82aの長さ寸法(高さ寸法)により規定される。
なお、床支持部材81及びスペーサ部材82においては、ビス等が縦枠材81a,82aを貫通して上枠材81b,82b及び下枠材81c,82cに打ち込まれている。この場合、ビス等は、張り出し床部31から床支持部材81やスペーサ部材82に加えられる荷重方向に交差する方向(例えば水平方向)に延びている。
図10〜図13に示すように、床支持部材81及びスペーサ部材82は、同じ幅寸法を有している一方で、床支持部材81の奥行き寸法はスペーサ部材82の奥行き寸法より小さくなっている。連結板材83は、床支持ユニット77の奥行き方向において床支持部材81及びスペーサ部材82に横並びに配置されており、その板面が縦枠材81a,82aや上枠材81b,82b、下枠材81c,82cの側端面に重ねられている。この場合、連結板材83は、床支持部材81とスペーサ部材82とに架け渡され、且つこれら部材81,82の各開放部分を塞いだ状態になっている。なお、連結板材83は、矩形状に形成された合板等のバッキング材であり、ビス等により床支持部材81及びスペーサ部材82のそれぞれに固定されている。
床支持ユニット77の厚み方向において、第1重ね板材84は床支持部材81を挟んで連結板材83の反対側に配置され、第2重ね板材85はスペーサ部材82を挟んで連結板材83の反対側に配置されている。この場合、第1重ね板材84は、床支持部材81の枠材81a〜81cの各側端面に重ねられており、床支持部材81の開放部分を塞いだ状態になっている。なお、第1重ね板材84は、床支持部材81の一対の縦枠材81aに架け渡された架け渡し板材に相当する。
第2重ね板材85は、スペーサ部材82の枠材82a〜82cの各側端面に重ねられており、スペーサ部材82の開放部分を塞いだ状態になっている。なお、重ね板材84,85は、いずれも矩形状に形成された合板等のバッキング材であり、ビス等により床支持部材81及びスペーサ部材82に固定されている。
第1重ね板材84は、床支持部材81がスペーサ部材82よりも薄い分だけ、第2重ね板材85よりも連結板材83に近い位置に配置されており、これによって、連結板材83に向けて凹んだ凹み部分77bが床支持ユニット77に形成されている。この場合、連結板材83の上部、床支持部材81及び第1重ね板材84により突出部分77aが形成されており、床支持部材81とスペーサ部材82との奥行き寸法の差が凹み部分77bの奥行き寸法になっている。
踊り支持部材47aは、凹み部分77bに収納されており、これによって、第1重ね板材84を挟んで突出部分77aに横並びに配置されている。この場合、踊り支持部材47aの奥行き寸法は、凹み部分77bの奥行き寸法に同じになっている。
図10に示すように、床支持ユニット77においては、第4ビス86により床支持部材81とスペーサ部材82とが固定されている。第4ビス86は、床支持部材81の下枠材81cを貫通してスペーサ部材82の上枠材82bに上方から打ち込まれている。なお、第4ビス86は、上枠材82bを貫通して下枠材81cに下方から打ち込まれていてもよい。
床支持部材81は、第5ビス87により第1床梁41aに固定されている。第5ビス87は、床支持部材81の上枠材81bを貫通して第1床梁41aの下面部に下方から打ち込まれている。スペーサ部材82は、第6ビス88により中間壁部33に固定されている。第6ビス88は、スペーサ部材82の下枠材82cを貫通して中間壁部33の側端下地部67aに打ち込まれている。
踊り支持部材47aは、第7ビス89により床支持ユニット77に固定されている。第7ビス89は、踊り支持部材47aを貫通して第1重ね板材84に打ち込まれている。ここで、第7ビス89が第1重ね板材84を貫通して床支持部材81に達している場合、この第7ビス89は、踊り支持部材47aを床支持部材81に直接的に固定していることになる。また、第7ビス89が一対の縦枠材81aの間に打ち込まれるなどして床支持部材81に達していない場合でも、踊り支持部材47aは第1重ね板材84を介して床支持部材81に間接的に固定されていることになる。
なお、踊り場については、踊りユニット47が下段階段ユニットに相当し、踊り踏み板18cが下段踏み板に相当し、蹴込み板19cが下段蹴込み板に相当し、踊り支持部材47aが踏み板支持部材に相当する。また、第5ビス87が床支持部材81を第1床梁41aに連結した連結具に相当し、床支持部材81の縦枠材81aが縦材に相当し、上枠材81bが横材に相当する。さらに、第7ビス89が踊り支持部材47aを床支持部材81に固定した固定具に相当する。
次に、踊りユニット47の設置手順について簡単に説明する。二階部分15の張り出し床部31、周縁壁部32及び中間壁部33を構築した後、中間壁部33の上にスペーサ部材82を載せ、第6ビス88を用いてスペーサ部材82を中間壁部33に固定する。この場合、作業者は、スペーサ部材82に板材83〜85が取り付けられていないことに起因して、一対の縦枠材82aの間の空間を作業スペースとして利用して第6ビス88の打ち込み作業を行うことができる。
その後、スペーサ部材82と第1床梁41aとの間に床支持部材81を側方から挿し入れ、第5ビス87を用いて床支持部材81を第1床梁41aに固定するとともに、第4ビス86を用いて床支持部材81をスペーサ部材82に固定する。この場合、作業者は、床支持部材81に板材83〜85が取り付けられていないことに起因して、一対の縦枠材81aの間の空間を作業スペースとして利用して第4ビス86及び第5ビス87の打ち込み作業を行うことができる。
そして、床支持部材81及びスペーサ部材82に板材83〜85をビス等により固定する。なお、連結板材83と重ね板材84,85とのうち一方を取り付けた状態で、第4ビス86〜第6ビス88の打ち込み作業を行い、その後、残りの板材を取り付けてもよい。この場合でも、一対の縦枠材81aの間の空間や、一対の縦枠材82aの間の空間をビス86〜88を打ち込むための作業スペースとして利用することができる。
このようにして床支持ユニット77を設置した後、踊りユニット47の踊り支持部材47aを床支持部材81の側方においてスペーサ部材82の上に載せ、第7ビス89を用いて踊り支持部材47aを床支持部材81に対して固定する。なお、あらかじめ階段受け部材71を周縁壁部32に取り付けておき、踊りユニット47を階段受け部材71と床支持ユニット77とに架け渡すようにして仮置きし、この状態で、床支持ユニット77に対する踊り支持部材47aの固定作業、及び階段受け部材71に対する踊り桁部72の固定作業を行う。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
床支持部材81と踊り支持部材47aとが中間壁部33の上において横並びに配置されているため、床支持部材81及び踊り支持部材47aのうち一方が中間壁部33に対して上下に重ならない位置(側方にずれた位置)に配置された構成とは異なり、張り出し床部31や踊り踏み板18cの幅寸法を小さくすることや、これら張り出し床部31や踊り踏み板18cの位置を側方にずらすことを回避できる。しかも、床梁41a,41b及び踊り踏み板18cが床支持部材81を介して中間壁部33の上に載せられた状態になるため、中間壁部33により張り出し床部31及び踊り踏み板18cの両方を適正に支持することができる。
床梁41a,41bは、階段空間16に向けて延出した状態で設けられているため、それぞれの先端部が下がる向きで撓むことが懸念されるが、床支持部材81が床梁41a,41bの接続部分の下方位置に配置されているため、これら床梁41a,41bの撓みを確実に抑制できる。しかも、第1床梁41a及び第2床梁41bは、張り出し床部31の第1辺31a及び第2辺31bに沿って延びているため、床支持部材81により床梁41a,41bの撓みを抑制することで、張り出し床部31が左右にねじれるように撓むことを抑制できる。
第5ビス87により床支持部材81が第1床梁41aに対して固定されているため、張り出し床部31について、床支持部材81と第1床梁41aとの間で床鳴りが発生することを抑制できる。また、第7ビス89により踊り支持部材47aが床支持部材81に対して固定されているため、踊り場について、踊り支持部材47aと床支持部材81との間で床鳴りが発生することを抑制できる。さらに、踊りユニット47においては、踊り支持部材47aが踊り踏み板18cに対してあらかじめ固定されているため、踊り支持部材47aと踊り踏み板18cとの間で床鳴りが発生することを抑制できる。
床支持部材81においては、第1床梁41aに打ち込まれた第5ビス87が上枠材81bを貫通しているため、床支持部材81の高さ寸法(縦枠材81aの高さ寸法)に関係なく上枠材81bの高さ寸法を小さくすることが可能になっている。この場合、第5ビス87として床支持部材81の高さ寸法に合わせた長さの専用品を用いる必要がなく、汎用品を第5ビス87として用いることでコスト負担を低減できる。
床支持部材81と踊り支持部材47aとの間に第1重ね板材84が挟まれた状態になっているため、床支持部材81を貫通した第7ビス89が一対の縦枠材81aの間に打ち込まれたとしても、この第7ビス89が第1重ね板材84に打ち込まれることで、踊り支持部材47aを第1重ね板材84を介して床支持部材81に間接的に固定することができる。このため、第7ビス89の打ち込み位置に関係なく、床支持部材81に対する踊り支持部材47aの固定強度を適正に保持することができる。
床支持ユニット77に凹み部分77bが設けられているため、床支持ユニット77により床梁41a,41bを下方から支持した状態で、凹み部分77bに踊り支持部材47aを設置することができる。つまり、床支持ユニット77においては、床支持部材81により踊り支持部材47aの設置スペースを確保することができる。このため、踊り踏み板18c等により踊りユニット47が大型化しても、踊りユニット47を凹み部分77bに仮置きした状態で踊りユニット47の固定作業を行うことができる。この場合、踊りユニット47を片手で支持しながらもう一方の手で固定作業を行う必要がないため、踊り踏み板18cをユニット化することで却って作業負担が増加するということを抑制できる。
床支持ユニット77がスペーサ部材82を有しているため、床支持部材81や踊り支持部材47aの高さ寸法が過剰に大きくなることを抑制できる。この場合、床支持部材81や踊り支持部材47aが小型化されることになるため、これら支持部材81,47aを設置する際の作業負担を低減できる。特に、工場にて下側建物ユニット20Aを製造する際に、中間壁部33が一階天井14bよりも上方に突出しない状態で構築されるため、中間壁部33と床梁41a,41bとの離間距離がある程度大きくなることが想定される。このため、スペーサ部材82により床支持部材81や踊り支持部材47aの大型化が抑制されていることは、これら支持部材81,47aを設置する際の作業負担を低減する上で効果的である。
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、建物10が三階建てとされており、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。図14は建物10の概略図、図15は上側建物ユニット20Bの床部分の平面図、図16は階段17周辺の建物10の縦断面図である。
図14に示すように、建物本体12は、一階部分14及び二階部分15に加えて三階部分91を有している。階段空間16は、一階部分14と二階部分15と三階部分91とに跨って設けられており、階段17は、一階部分14と二階部分15とに架け渡された第1階段部92aと、二階部分15と三階部分91とに架け渡された第2階段部92bとを有している。第1階段部92a及び第2階段部92bは、いずれも第1の実施形態の階段17と同様に、平面視ロ字状に形成され、廻り階段部及び直階段部を2つずつ有している。
建物10において、複数の建物ユニット20には、一階部分14において階段17の設置対象になっている一階建物ユニット20Cと、二階部分15において階段17の設置対象になっている二階建物ユニット20Dと、三階部分91において階段17の設置対象になっている三階建物ユニット20Eとが含まれている。この場合、一階建物ユニット20Cは、第1の実施形態における下側建物ユニット20Aと同じ構成を有しており、三階建物ユニット20Eは、第1の実施形態における上側建物ユニット20Bと同じ構成を有している。
図16に示すように、中間壁部33は、一階床14aから上方に向けて延びた一階間仕切部93aと、二階床15aから上方に向けて延びた二階間仕切部93bとを有している。一階間仕切部93aには第1階段部92aが取り付けられており、二階間仕切部93bには第2階段部92bが取り付けられている。一階間仕切部93aは、一階床14aと一階天井14bとに架け渡された状態になっており、二階間仕切部93bは、二階床15aと二階天井とに架け渡された状態になっている。なお、図16においては、間仕切部93a,93bにドットハッチングを付してある。
一階間仕切部93aの下方には一階床14aが存在しており、この一階間仕切部93aは、一階床14a(一階建物ユニット20Cの床小梁26等)により下方から支持されている。これに対して、二階間仕切部93bの下方には二階床15aが存在しておらず、二階間仕切部93bは、二階建物ユニット20Dに設けられた壁用床梁94により下方から支持されている。
図15に示すように、二階建物ユニット20Dの床部分は、基本的に、第1の実施形態の上側建物ユニット20Bの床部分と同じ構成になっているが、第2床梁41bに代えて壁用床梁94が設けられ、第1床梁41a及び第3床梁41cに代えて連結床梁95a,95bが設けられている。壁用床梁94は、第2床梁41bよりも大きい長さ寸法を有しており、連結床梁95aよりも階段空間16の内側に向けて延出している。この場合、壁用床梁94は、床小梁26や連結床梁95a,95bにより片持ち支持された状態になっている。
壁用床梁94は、二階間仕切部93bの下端部に沿って延びており、二階間仕切部93bは、この壁用床梁94の上に設置されている。なお、連結床梁95aからの壁用床梁94の延出寸法は、平面視において張り出し床部31からの二階間仕切部93bの延出寸法とほぼ同じになっている。
ここで、図16に図示はしていないが、中間壁部33においては、壁用床梁94を下方から支持する支持壁部が一階間仕切部93aの上に載せられている。これにより、壁用床梁94が片持ち支持された構成でも、壁用床梁94が撓むということを抑制している。この場合、支持壁部は、一階建物ユニット20Cと二階建物ユニット20Dとの境界線であるスタッキングラインSLを上下に跨ぐ位置に配置されている。
本実施形態では、工場にて製造した建物ユニット20が建築現場に運搬され、建築現場にて建物ユニット20が設置されることで建物10が構築されている。このため、一階建物ユニット20C及び二階建物ユニット20Dは、それぞれ一階間仕切部93a及び二階間仕切部93bが設置された状態で工場から建築現場に運搬される。ここで、支持壁部は、スタッキングラインSLを上下に跨ぐ位置に配置されることに起因して、工場において二階建物ユニット20Dに設置しておくことはできず、建築現場において一階間仕切部93aと二階間仕切部93bとの間に設置されることになる。
一階建物ユニット20Cが工場から建築現場に運搬される際に、支持壁部が壁用床梁94を支持していないと、壁用床梁94がその自重や二階間仕切部93bからの荷重により下方に撓むことが懸念される。この場合、二階間仕切部93bが変形する可能性が高くなってしまう。
これに対して、本実施形態では、壁用床梁94を支持するダミーレール97が二階建物ユニット20Dの床部分に対して仮取り付けされるようになっている。図15、図16に示すように、ダミーレール97が二階建物ユニット20Dに仮取り付けされた状態では、ダミーレール97は、二階建物ユニット20Dの長手方向に延び、且つ壁用床梁94と床大梁23とに架け渡されており、一端が壁用床梁94に固定され、他端が床大梁23に固定されている。ダミーレール97の一部は壁用床梁94に重ねられており、その重なった部分においてダミーレール97と壁用床梁94とがボルト等により仮固定されている。ダミーレール97は、壁用床梁94に横並びに配置されており、ダミーレール97の側面と壁用床梁94の側面とが重ねられた状態になっている。この場合、ダミーレール97は、床大梁23よりも下方に突出しない高さ位置に配置されている。
二階建物ユニット20Dは、ダミーレール97が仮取り付けされた状態で工場から建築現場に運搬され、建築現場にて一階建物ユニット20Cの上に設置される。そして、二階建物ユニット20Dにおいては、壁用床梁94を下方から支持する部材が一階間仕切部93aの上などに設置された後に、ダミーレール97が壁用床梁94から取り外される。これにより、壁用床梁94が下方に撓まないように、一階間仕切部93a及び二階間仕切部93bにより中間壁部33を構築することができる。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記第1の実施形態では、床支持部材81及び踊り支持部材47aがスペーサ部材82を介して中間壁部33の上に設けられていたが、これら支持部材81,47aは、スペーサ部材82を介さずに中間壁部33の上に直接載せられていてもよい。この場合でも、床支持部材81及び踊り支持部材47aの両方を中間壁部33の壁下地67に固定することで、これら支持部材81,47aにより張り出し床部31や踊り踏み板18cを適正に支持することができる。
(2)上記第1の実施形態では、連結具としての第5ビス87が第1床梁41aに打ち込まれていたが、第5ビス87は、第2床梁41bに打ち込まれていてもよい。つまり、第5ビス87は、床梁41a,41bの少なくとも一方に打ち込まれていてればよい。
(3)上記第1の実施形態では、連結具や固定具として第5ビス87や第7ビス89を用いたが、連結具や固定具としては、釘やネジ、ステープルなどを用いてもよい。
(4)上記第1の実施形態では、第1床梁41aと第2床梁41bとの接続部分の下方に床支持部材81が配置されていたが、床支持部材81は、これら床梁41a,41bの接続部分を避けて、床梁41a,41bのうち一方の下方位置に配置されていてもよい。この場合、第5ビス87は、床梁41a,41bのうち、床支持部材81の上方に配置された方に打ち込まれることになり、第5ビス87が打ち込まれた方の床梁が上階床梁に相当することになる。
(5)上記第1の実施形態では、床支持部材81及びスペーサ部材82において、一対の縦枠材81a,82aの間に上枠材81b,82bが設けられていたが、上枠材81b,82bは、一対の縦枠材81a,82aの上に載せられていてもよい。この場合でも、床支持部材81やスペーサ部材82の高さ寸法よりも上枠材81b,82bの高さ寸法が小さい構成を実現できる。
特に、床支持部材81については、縦枠材81aや上枠材81bといった複数の部材を組み合わせるのではなく、1つの部材によりコ字状やロ字状に形成されていてもよい。この場合でも、床支持部材81の高さ寸法よりも上枠部分の高さ寸法が小さい構成を実現することで、連結具としての第5ビス87を非常に長い専用品とする必要がない。
(6)上記第1の実施形態では、階段17が平面視でロ字状の廻り階段になっていたが、階段17は、平面視でJ字状の廻り階段になっていてもよい。例えば、階段17が直階段部と廻り階段部とを1つずつ有した構成とする。この構成でも、踊り踏み板18cと張り出し床部31とを平面視で横並びに配置することが可能である。
(7)上記第1の実施形態では、階段17の上から2段目という1つの段により踊り場が形成されていたが、複数の段により踊り場が形成されていてもよい。例えば、上から2段目及び3段目により踊り場が形成された構成とする。この構成でも、上から2段目の下段踏み板を踊り支持部材47aにより支持し、この踊り支持部材47aをスペーサ部材82の上において床支持部材81に横並びに配置することが可能になっている。
(8)上記第1の実施形態では、階段17の上から2段目が踊り場とされていたが、上から2段目は踊り場でなくてもよい。この場合でも、上から2段目の踏み板が張り出し床部31に平面視で横並びに配置される構成を実現することで、2段目の踏み板を支持する下段支持部材と床支持部材81とを中間壁部33の上に横並びに配置することができる。
(9)建物10は、ユニット式建物ではなく、枠組壁工法により構築されたスチールハウスや、在来木造工法により構築された建物とされていてもよい。これら建物においても、上階部において張り出し床部31が設けられていれば、この張り出し床部31が床支持部材81により下方から支持された構成を実現することは可能である。
[本明細書から抽出可能な他の発明について]
以下に、本明細書の開示範囲内において課題を解決するための手段欄に記載した発明以外に抽出可能な発明について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
上下に隣り合う上階部(二階部分15)及び下階部(一階部分14)と、
前記上階部と前記下階部とに架け渡された階段(階段17)と、
前記上階部に設けられ、前記階段が取り付けられた上階壁部(二階間仕切部93b)と、
一端を自由端とした状態で前記上階壁部の下側に設けられ、該上階壁部を下方から支持する壁用床梁(壁用床梁94)と、
前記壁用床梁の先端部から側方に離間した位置に設けられた構造体(床大梁23)と、
を備え、
前記壁用床梁の自由端を前記構造体に対して連結する仮設レール(ダミーレール97)を、これら壁用床梁及び構造体に仮取り付け可能な構成であることを特徴とする建物。
下階壁部等の支持体により壁用床梁が下方から支持された構成では、壁用床梁の自由端が下がるなど壁用床梁が撓むことを支持体により抑制できる。ところが、建物の構築中においては、壁用床梁を設置した後、下階壁部等の支持体を設置するまでの間に壁用床梁が上階壁部からの荷重などにより撓むことが懸念される。
これに対して、上記構成によれば、仮設レールにより壁用床梁の自由端を構造体に連結することが可能になっているため、下階壁部等の支持体を設置していない状態でも、壁用床梁が撓むことを仮設レールにより抑制できる。