JP6507052B2 - ユニット式建物の構造 - Google Patents

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本発明は、ユニット式建物の構造に関するものである。
鋼材よりなる複数の建物ユニットを用いて構築されるユニット式建物では、建物ユニットの梁(天井大梁及び床大梁)として溝形鋼が用いられる。またユニット式建物において、下階から上階にわたる吹き抜け空間を設ける場合に、梁の溝部開口側に、吹き抜け空間に設けられる屋内側構造物を支持するためのブラケット(支持具)を取り付ける技術が知られている。ここで、ユニット式建物では建物施工の工業化率を高めることが重要視されており、建物ユニットを製造するユニット製造工場において、溶接により梁に対してブラケットを固定することが行われている。
また、例えば特許文献1には、ユニット式建物の改装時において実現容易な補強構造として、溝形鋼よりなる梁の開口側に、梁の長手方向に沿って補強部材を配置する構成とし、その上で、梁のウェブと補強部材とを曲げ板状の連結部材と締結部材(ビス)とを用いて連結する技術が提案されている。そしてかかる技術により、火器を用いた溶接作業を行わずに、梁に対して補強部材を容易に取り付けることができるものとしている。
特開2011−208396号公報
しかしながら、ユニット式建物においては、外壁構造として建物ユニットの梁(天井大梁及び床大梁)のウェブ外側面に外壁部材が固定されるようになっており、かかる構成を採用することを考えると、梁の開口側にブラケットや補強部材を取り付けることに起因して、外壁部材の固定作業が不可又は極めて困難になることが考えられる。
また、特許文献1に記載されているように、梁のウェブと補強部材とを連結部材と締結部材(ビス)とを用いて連結する場合には、外壁部材の取り付け後における補強部材の後付けが可能となるが、補強部材の固定方法が連結部材及び締結部材を用いた限定的なものであるため、例えば溶接作業を行う場合に比べて作業効率の低下が懸念される。また、コスト増を招くことも懸念される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、屋内側構造物を支持する支持具を好適に取り付けることができるユニット式建物の構造を提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成の符号を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
第1の発明は、鋼材よりなる梁(22,23)及び柱(21)を連結して形成された建物ユニット(20)を用いて構築され、前記梁のウェブ部には、当該梁の長手方向に所定間隔で外壁固定用の複数の孔部(22a)が設けられており、前記孔部を用いて外壁部材(40)が固定されるユニット式建物(10)に適用され、
前記梁は溝形鋼よりなり、その溝形鋼の溝部の開口側に、上下のフランジ部に跨がるようにして、屋内側構造物を支持するための支持具(37)が固定されており、
前記支持具は、前記梁の長手方向において前記孔部と干渉しない位置に固定されていることを特徴とする。
屋内側構造物を支持する支持具を、梁の長手方向において壁固定用の孔部と干渉しない位置に固定する構成にしたため、梁に対して外壁部材を固定する際においてその固定作業に支障が及ぶことを抑制できる。また、支持具の固定に関して溶接を含む任意の固定方法が採用可能であるため、固定の作業効率を考えても有利なものとなる。その結果、屋内側構造物を支持する支持具を好適に取り付けることができる。
第2の発明は、前記支持具は、前記梁の長手方向の長さ寸法が、前記孔部どうしの間隔よりも小さいものとなっていることを特徴とする。
支持具における梁長手方向の長さ寸法を、孔部どうしの間隔よりも小さいものとすることにより、梁の壁固定用の孔部と支持具との位置干渉を回避する上で、好都合な構成を実現できる。
第3の発明は、前記外壁部材は、前記ユニット式建物のモジュール寸法に基づき定められた幅寸法を有し、建物外壁部において複数の前記外壁部材が横並びに配置されており、前記外壁部材どうしの見切りとなりえる基準位置に、前記支持具が固定されていることを特徴とする。
梁に対して外壁部材を固定する場合、梁における壁固定位置、すなわち壁固定用の孔部の位置は、外壁部材どうしの見切り(境界部)から離れた位置となる。したがって、外壁部材どうしの見切りとなりえる基準位置に支持具を固定することで、梁の壁固定用の孔部と支持具との位置干渉を好適に回避できる。
第4の発明は、多層階建てであって、前記屋内側構造物として上階部及び下階部を繋ぐ階段構造部(17)を有する前記ユニット式建物に適用され、前記上階部及び前記下階部の境界部には、前記階段構造部において踏み板(18a)を固定するための下地面材(51)が上下方向に延びる向きで設けられており、前記支持具は、前記屋内側構造物としての前記下地面材を支持するものであることを特徴とする。
ユニット式建物に階段構造部が設けられる場合、上下階で吹き抜ける吹き抜け空間において上下階の境界部に相当する部位に踏み板を固定する必要が生じることがあり、踏み板固定用の下地面材が支持具により支持される。かかる場合において、上記のような支持具の構成を採用することにより、上下階の境界部において階段構造部を構築する上で好適なる構成を実現できる。
第5の発明は、前記梁は、前記建物ユニットの天井大梁及(22)び床大梁(23)の少なくともいずれかの大梁であり、前記階段構造部は、前記建物ユニットにおいて前記大梁どうしの入隅部分に配置される前記踏み板を有し、前記入隅部分に配置される踏み板の二辺に沿って延びる前記各大梁に、それぞれ前記支持具が固定されていることを特徴とする。
階段構造部においては、建物ユニットの大梁どうしの入隅部分で踏み板が支持されることがあり、その踏み板の支持強度を高めるには踏み板の二辺に沿って延びる各大梁により踏み板が支持されるとよい。かかる構成において、踏み板を支持する二辺の大梁にそれぞれ支持具が固定されていることで、階段構造部を都合良く支持できる。またこの場合、階段構造部が建物外壁に隣接して設けられる構成であっても、外壁部材の取り付けを支障なく実施できる。
第6の発明は、前記建物ユニットは、前記梁として天井大梁(22)及び床大梁(23)の少なくともいずれかの大梁を有するとともに、その大梁に直交する向きに取り付けられる小梁(35a)を有しており、前記階段構造部は、前記建物ユニットにおいて前記大梁と前記小梁との入隅部分に配置される前記踏み板を有し、前記入隅部分に配置される踏み板の二辺に沿って延びる前記大梁と前記小梁とに、それぞれ前記支持具が固定されていることを特徴とする。
階段構造部においては、建物ユニットの大梁と小梁との入隅部分で踏み板が支持されることがあり、その踏み板の支持強度を高めるには踏み板の二辺に沿って延びる大梁及び小梁により踏み板が支持されるとよい。かかる構成において、踏み板を支持する二辺の大梁及び小梁にそれぞれ支持具が固定されていることで、階段構造部を都合良く支持できる。またこの場合、階段構造部が建物外壁に隣接して設けられる構成であっても、外壁部材の取り付けを支障なく実施できる。
第7の発明は、前記入り隅部分に配置される前記踏み板は、昇降の向きを変えるための踊り場踏み板であることを特徴とする。
踊り場踏み板は人が昇降する際の向きを変える必要があることから、踊り場以外の踏み板と比べて、縦横二方向の踏み板寸法が大きくなる。この点、上記の支持構造を採用することで、好適なる支持構造を実現できる。
建物の縦方向の構成を示す概略図。 建物ユニットの構成を示す斜視図。 階段の平面図。 一階部分の建物ユニットについて天井部の骨組みの構成を示す平面図。 (a)は天井大梁の構成を示す正面図、(b)は天井大梁の縦断面図。 図3のA−A線断面図。 図3のB−B線断面図。 一階部分の建物ユニットについて天井部の骨組みの構成を示す平面図。
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、複数の建物ユニットを用いて構築される鉄骨ラーメン構造のユニット式建物において本発明を具体化している。まず、ユニット式建物について、図1、図2を参照しつつ説明する。図1は建物10の概略図、図2は建物ユニット20の構成を示す斜視図である。
図1に示すように、住宅等の建物10は、基礎11の上に設けられた建物本体12を有しており、建物本体12の上には屋根が設けられている。建物本体12は、下階部としての一階部分14と、上階部としての二階部分15とを有しており、これら一階部分14と二階部分15とは上下に隣り合っている。一階部分14においては床面が一階床14aにより形成され、二階部分15においては床面が二階床15aにより形成されている。一階部分14及び二階部分15は、いずれも複数の建物ユニット20を有している。
建物10は、一階部分14と二階部分15とに跨って設けられた階段空間16と、この階段空間16に設けられた階段17とを有している。階段空間16により、下階から上階に通じる吹き抜け空間が形成されている。階段17は、複数の踏み板18と、複数の蹴込み板19とを有しており、一階部分14と二階部分15との行き来を可能にしている。
図2に示すように、建物ユニット20は、四隅に配置された柱21と、柱21の上端部(上仕口)に連結された天井大梁22と、柱21の下端部(下仕口)に連結された床大梁23とを有しており、これら柱21、天井大梁22、床大梁23により直方体状の骨格(ユニット躯体)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、溝部開放側を互いに向き合わせるようにユニット内側に向けて配置されている。
建物ユニット20において長辺部(桁面)に沿って延び且つ相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく長辺部に沿って延び且つ相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25及び床小梁26は、それぞれ同一の間隔で且つ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23と平行に延びている。天井小梁25及び床小梁26は例えば角形鋼管よりなる。天井小梁25によって天井面材28が支持され、床小梁26によって床面材29が支持されている。
図3は階段17の平面図である。階段17は、平面視で昇降方向が略ロ字状をなす廻り階段になっている。階段17において、二階床15aよりも一段下は略正方形状の踊り場踏み板18aとなっており、その踊り場踏み板18aでは昇降方向を90度変えることが可能となっている。また、踊り場踏み板18aの下方に所定間隔で各段の踏み板18が設けられている。なお、平面視で踊り場踏み板18aに隣合う二階床15aは、踊り場踏み板18aに通じる通路床部31となっており、図3においては通路床部31をドットハッチングにて示している。
建物10は、階段空間16の周縁部に沿って延びた周縁壁部32と、階段17の折り返し中央部分に設けられた中間壁部33とを有しており、階段17は、これら壁部32,33により建物ユニット20内に固定されている。なお本実施形態では、階段17と壁部32,33とが屋内側構造物に相当する。
次に、階段17の支持構造について、特に一階部分14と二階部分15との境界部の構成を抽出して説明する。図4は、一階部分14の建物ユニット20について天井部の骨組みの構成を示す平面図である。なお図4には、踊り場踏み板18aと通路床部31とを仮想的に示している。
図4に示すように、一階部分14の建物ユニット20において天井大梁22で囲まれた部分には、階段17を支持するための複数の小梁35が固定されている。小梁35は、長辺側の一対の天井大梁22に直交し、かつその一対の天井大梁22の間に架け渡して設けられる図の左右2カ所の小梁35a,35bと、その左右2つの小梁35a,35bに架け渡して設けられる小梁35cとを含む。各小梁35は、断面コ字状の溝形鋼よりなり、溝部開放側がユニット中央を向くようにして配置されている。なお、小梁35として用いられる溝形鋼は、天井大梁22とウェブ部の高さ寸法は同じであるが、フランジ幅が天井大梁22よりも短いものとなっている。
各小梁35は、階段17の寸法に応じて配置されており、言うなれば平面視で階段空間16を囲むように配置されている。この場合、三方の小梁35a〜35cと残り一方の天井大梁22により、四方の周縁壁部32が支持されるようになっている。
本実施形態では、平面視において天井大梁22と小梁35aとの入隅部分に階段17の踊り場踏み板18aが配置されるとともに、小梁35aに沿って踊り場踏み板18aと通路床部31とが横並びで配置されている。
ここで、踊り場踏み板18aは、二階床15aの一部をなす通路床部31の一段下にあり、高さ方向で言えば、一階ユニットと二階ユニットとの境界部付近、すなわちスタッキングラインSL付近にある。この場合、天井大梁22や小梁35aに対して踊り場踏み板18aを固定する必要があり、これら天井大梁22及び小梁35aには溝形鋼の開口側に支持具としての複数のブラケット37,38が取り付けられ、そのブラケット37,38を介して踊り場踏み板18a及びその周辺の構造部材が支持されている。つまり本実施形態では、図4に示すように、天井大梁22と小梁35aとの入隅部分に踊り場踏み板18aが配置されており、踊り場踏み板18aの二辺に沿って延びる天井大梁22と小梁35aとに、それぞれブラケット37,38が固定されている。
ところで、図5(a)に示すように、天井大梁22のウェブには、その長手方向に所定間隔で外壁固定用の複数の貫通孔22aが設けられており、貫通孔22aを用いて外壁部材が固定されるようになっている。この場合、貫通孔22aにボルト等の締結具を差し入れることで外壁部材が固定されるが、天井大梁22の長手方向で貫通孔22aに合致する位置において天井大梁22の開口側にブラケット37が存在していると、外壁部材の固定作業が不可又は極めて困難になることが考えられる。そこで本実施形態では、天井大梁22の貫通孔22aに干渉しない位置にブラケット37を配置することとしている。
より具体的には、図5(b)に示すように、ブラケット37は、長尺状の金属板の上下両端に折曲げ部37aを有しており、折曲げ部37aが天井大梁22の上下のフランジの先端部に各々溶接されることで、天井大梁22に対して固定されている。つまり、ブラケット37は、天井大梁22の開口側に、上下のフランジ部に跨がるようにして固定されている。なお、ブラケット37は、溶接以外の手法で固定されていてもよく、例えばビス等の締結具により天井大梁22に対して固定されていてもよい。
図5(a)に示すように、ブラケット37は、天井大梁22の長手方向に間隔D1で各々固定されている。本実施形態では、天井大梁22に250mm間隔で4つのブラケット37が固定されている。また、ブラケット37における梁長手方向の長さ寸法は、貫通孔22aどうしの間隔よりも小さいものとなっている。なお、小梁35aにおいても同様の形態で4つのブラケット38が固定されている。
ところで、建物10においてはメータモジュール等によるモジュール寸法が定められており、外壁部材はモジュール寸法に基づき規定された幅寸法を有している。そして、天井大梁22や床大梁23に対して複数の外壁部材を横並びで取り付ける場合には、建物10のモジュール寸法に応じて外壁部材の取付位置(見切り位置)が決められるようになっており、その外壁部材の取付位置に対応させた位置に貫通孔22aが形成されている。より詳しくは、図5(a)に示すように、貫通孔22aは2つを一組として所定距離D2を隔てて形成されており、その一方は左側の外壁部材用の固定孔、他方は右側の外壁部材用の固定孔となっている。この場合、各L1の位置が、外壁部材どうしの見切りとなりえる基準位置であり、本実施形態では、外壁部材どうしの見切りとなりえる位置(L1位置)に、ブラケット37が固定されている。
踊り場踏み板18aを支持するための具体的な納まりについて説明する。図6は図3のA−A線断面図、図7は図3のB−B線断面図である。なお、上階側建物ユニットの床部分には、通路床部31を支持するための構成として、互いに直交する向きに床小梁26a,26bが設けられており、それゆえに図6及び図7にそれぞれ床小梁26a,26bの断面が示されている。
図6に示すように、建物10の外壁部分には外壁部材としての外壁パネル40が取り付けられている。外壁パネル40は、外壁面材41とその裏面に固定された下地フレーム42とを有している。下地フレーム42は、軽量形鋼が四角枠状に組まれて構成されている。外壁パネル40は、一階部分14及び二階部分15において、天井大梁22及び床大梁23に下地フレーム42の上端部及び下端部がそれぞれ固定されることで建物ユニット20に対して取り付けられている。
より詳しくは、下地フレーム42の上端部は、天井大梁22の貫通孔22aに差し入れられたボルト及びナットの締結具43により天井大梁22に固定され、下地フレーム42の下端部は、床大梁23の貫通孔23aに差し入れられたボルト及びナットの締結具44により床大梁23に固定されている。なお、上下階の外壁面材41の見切り部分には化粧胴差45が取り付けられている。
また、屋内側の構成として、一階側の天井大梁22と二階側の床大梁23との屋内側には階段下地面材51が設けられている。詳しくは、階段下地面材51は、上下に並ぶ一階側の天井大梁22と二階側の床大梁23との下端から上端までよりも大きい上下寸法を有する板材であり、天井大梁22の開口側に設けられたブラケット37に対してビス等より固定されているとともに、床大梁23の上に載置された根太52に対してビス等より固定されている。階段下地面材51は、天井大梁22の下方及び床大梁23の上方に設けられた内壁フレーム53,54の屋内側側面と面一の壁下地面を形成するものであり、その壁下地面に、石膏ボード等からなる内壁面材55が固定されている。これにより、外壁に沿う部分において周縁壁部32が形成されている。
そして、階段下地面材51と内壁面材55との重ね合わせ部分に、内壁面材55の側から階段支持部材56がビス等により固定されている。また、階段支持部材56の上に踏み板受け部材57,58が固定され、これら踏み板受け部材57,58により踊り場踏み板18aが支持されている。なお、通路床部31は、上階側の建物ユニット20の床小梁26aに支持されている。
また、図7では、図6の構成とは異なり、下階側建物ユニットの小梁35aと上階側建物ユニットの床小梁26bとが上下に並んで配置されており、これら小梁35aと床小梁26bとに対して階段下地面材61が固定されている。詳しくは、階段下地面材61は、図6に示す階段下地面材51と同様の板材であり、小梁35aの開口側に設けられたブラケット38に対してビス等より固定されているとともに、上階側の床小梁26bに対してビス等より固定されている。階段下地面材61には石膏ボード等からなる内壁面材62が固定されており、これにより周縁壁部32の一部が形成されている。
そして、階段下地面材61と内壁面材62との重ね合わせ部分に、内壁面材62の側から階段支持部材63がビス等により固定されている。また、階段支持部材63の上に踏み板受け部材64,65が固定され、これら踏み板受け部材64,65により踊り場踏み板18aが支持されている。
図6及び図7のように踊り場踏み板18aが支持されることで、上下階の境界部付近に位置する踊り場踏み板18aが壁側の二方向から安定した状態で強固に保持されるようになっている。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
階段17及びその周辺部材を支持するためのブラケット37を、天井大梁22の長手方向において壁固定用の貫通孔22aと干渉しない位置に固定する構成にしたため、天井大梁22に対して外壁部材を固定する際においてその固定作業に支障が及ぶことを抑制できる。また、ブラケット37の固定に関して溶接を含む任意の固定方法が採用可能であるため、固定の作業効率を考えても有利なものとなる。その結果、天井大梁22に対してブラケット37を好適に取り付けることができる。
ブラケット37における梁長手方向の長さ寸法を、貫通孔22aどうしの間隔よりも小さいものとした。これにより、天井大梁22の貫通孔22aとブラケット37との位置干渉を回避する上で、好都合な構成を実現できる。
天井大梁22に対して複数の外壁部材を固定する場合、天井大梁22における壁固定位置、すなわち壁固定用の貫通孔22aの位置は、外壁部材どうしの見切り(境界部)から離れた位置となる。この点に着目して、外壁部材どうしの見切りとなりえる基準位置にブラケット37を固定する構成にしたため、壁固定用の貫通孔22aとブラケット37との位置干渉を好適に回避できる。
建物10の上下階の境界部において、天井大梁22及び小梁35aに設けたブラケット37,38により、踊り場踏み板18aを固定するための階段下地面材51,61を支持する構成とした。かかる場合において、上記のようなブラケット37,38の構成を採用することにより、上下階の境界部において階段17を構築する上で好適なる構成を実現できる。
天井大梁22と小梁35aとの入隅部分に階段17の踊り場踏み板18aが設けられる構成において、踊り場踏み板18aの二辺に沿って延びる天井大梁22及び小梁35aにブラケット37,38を設け、その天井大梁22及び小梁35aにより踊り場踏み板18aを支持する構成にした。そのため、踊り場踏み板18aの支持強度を高めることができ、階段17を都合良く支持できる。
踊り場踏み板18aは人が昇降する際の向きを変える必要があることから、踊り場以外の踏み板18と比べて、縦横二方向の踏み板寸法が大きくなる。この点、上記の支持構造を採用することで、好適なる支持構造を実現できる。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、図4に示すように、天井大梁22と小梁35aとの入隅部分に、階段17の踊り場踏み板18aを配置する構成としたが、これに代えて、図8に示すように、天井大梁22どうしの入隅部分に踊り場踏み板18aを配置する構成としてもよい。この場合、踊り場踏み板18aの二辺に沿って延びる各天井大梁22に、それぞれブラケット37を固定し、各天井大梁22により踊り場踏み板18aが支持される構成にする。これにより、やはり踊り場踏み板18aの支持強度を高めることができ、階段17を都合良く支持できる。
・上記実施形態では、建物ユニット20の天井大梁22に支持具としてのブラケット37を固定する構成としたが、これに代えて、床大梁23にブラケット37を固定する構成、又は天井大梁22及び床大梁23にブラケット37を固定する構成であってもよい。
・階段17において、ブラケット37,38により、踊り場踏み板18aではない別の踏み板18を支持する構成であってもよい。
・吹き抜け空間(階段部以外)を有する多層階建て建物において、屋内構造物として吹き抜け空間の内壁を設け、その内壁を支持具としてのブラケットにより支持する構成としてもよい。
10…建物、17…階段(屋内構造物)、18a…踊り場踏み板、20…建物ユニット、21…柱、22…天井大梁、22a…貫通孔、23…床大梁、37…ブラケット(支持具)、38…ブラケット(支持具)、40…外壁パネル(外壁部材)、51…階段下地面材。

Claims (7)

  1. 鋼材よりなる梁及び柱を連結して形成された建物ユニットを用いて構築され、前記梁のウェブ部には、当該梁の長手方向に所定間隔で外壁固定用の複数の孔部が設けられており、前記孔部を用いて外壁部材が固定されるユニット式建物に適用され、
    前記梁は溝形鋼よりなり、その溝形鋼の溝部の開口側に、上下のフランジ部に跨がるようにして、屋内側構造物を支持するための支持具が固定されており、
    前記支持具は、前記梁の長手方向において前記孔部と干渉しない位置に固定されていることを特徴とするユニット式建物の構造。
  2. 前記支持具は、前記梁の長手方向の長さ寸法が、前記孔部どうしの間隔よりも小さいものとなっていることを特徴とする請求項1に記載のユニット式建物の構造。
  3. 前記外壁部材は、前記ユニット式建物のモジュール寸法に基づき定められた幅寸法を有し、
    建物外壁部において複数の前記外壁部材が横並びに配置されており、
    前記外壁部材どうしの見切りとなりえる基準位置に、前記支持具が固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のユニット式建物の構造。
  4. 多層階建てであって、前記屋内側構造物として上階部及び下階部を繋ぐ階段構造部を有する前記ユニット式建物に適用され、
    前記上階部及び前記下階部の境界部には、前記階段構造部において踏み板を固定するための下地面材が上下方向に延びる向きで設けられており、
    前記支持具は、前記屋内側構造物としての前記下地面材を支持するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のユニット式建物の構造。
  5. 前記梁は、前記建物ユニットの天井大梁及び床大梁の少なくともいずれかの大梁であり、
    前記階段構造部は、前記建物ユニットにおいて前記大梁どうしの入隅部分に配置される前記踏み板を有し、
    前記入隅部分に配置される踏み板の二辺に沿って延びる前記各大梁に、それぞれ前記支持具が固定されていることを特徴とする請求項4に記載のユニット式建物の構造。
  6. 前記建物ユニットは、前記梁として天井大梁及び床大梁の少なくともいずれかの大梁を有するとともに、その大梁に直交する向きに取り付けられる小梁を有しており、
    前記階段構造部は、前記建物ユニットにおいて前記大梁と前記小梁との入隅部分に配置される前記踏み板を有し、
    前記入隅部分に配置される踏み板の二辺に沿って延びる前記大梁と前記小梁とに、それぞれ前記支持具が固定されていることを特徴とする請求項4に記載のユニット式建物の構造。
  7. 前記入隅部分に配置される前記踏み板は、昇降の向きを変えるための踊り場踏み板であることを特徴とする請求項5又6に記載のユニット式建物の構造。
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