JP2016191226A - アンカーの取付構造及び取付方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このアンカーボルト200は、基端側のネジ部に締結用のナット230を取付可能なボルト本体201の先端部に、スリット202を有する係止体支持部203が設けられている。この係止体支持部203の2つの腕部間のスリット202には、帯板状の係止体205が挿入されている。そして、係止体205は、係止体支持部203の2つの腕部に通したピン206で、回動自在に固定されている。
係止体を、壁体の裏側壁面に係止し得る位置まで回転させ、その状態で棒材に引き抜き方向の力を付与することで、壁体の裏側壁面に係止させることができるため、スリットやピン等の強度低下を招く要素を必要としない構造のアンカー、すなわち係止体と棒材を強固に接合した構造のアンカーを用いることができる。したがって、壁体に対するアンカーの取付強度を高めることができる。
したがって、壁体に対するアンカーの取付強度を高めることができる。
係止体を、壁体の裏側壁面に係止し得る位置まで回転させ、その状態で棒材に引き抜き方向の力を付与することで、壁体の裏側壁面に係止させることができるため、スリットやピン等の強度低下を招く要素を必要としない構造のアンカー、すなわち係止体と棒材を強固に接合した構造のアンカーを用いることができる。したがって、壁体に対するアンカーの取付強度を高めることができる。
したがって、壁体に対するアンカーの取付強度を高めることができる。
1つの回転する穿孔工具を用いて順番に穿孔することにより、スリット状の貫通孔を形成することができる。
先行して穿設した貫通孔に穿孔治具を挿入することにより、次の貫通孔を位置ずれせずに形成することができる。したがって、精度の良いスリット状の貫通孔を形成することができる。
この構成によれば、先行して穿設した貫通孔に挿入した穿孔治具の凹状案内壁によって、次の貫通孔を穿設する穿孔工具の位置ずれを防止することができる。したがって、精度の良いスリット状の貫通孔を形成することができる。
この方法によれば、穿孔工具に穿孔治具を取り付けることによって、穿孔工具の位置ずれを防止することができる。したがって、穿孔治具の取り扱いを容易にすることができる。
係止体を、壁体の裏側壁面に係止し得る位置まで回転させ、その状態で棒材に引き抜き方向の力を付与することで、壁体の裏側壁面に係止させることができるため、スリットやピン等の強度低下を招く要素を必要としない構造のアンカー、すなわち係止体と棒材を強固に接合した構造のアンカーを用いることができる。
したがって、壁体に対するアンカーの取付強度を高めることができる。
図1は実施形態のアンカーの取付構造の断面図、図2は図1の要部拡大図、図3はアンカーの斜視図、図4は貫通孔およびアンカーの平面図である。また、図5は壁体に形成したスリット状の貫通孔を示す斜視図である。
この実施形態のアンカーの取付構造及び取付方法は、側壁5に対して適用されている。施工は内空側Aからのみ行うことができる。
実施形態の取付構造は、図1及び図2に示すように、壁体5に、壁体5の表側壁面5Aから裏側壁面5Bまで貫通するスリット状の貫通孔50を形成し、そのスリット状の貫通孔50に、アンカー10が取り付け固定されている。
ここで、スリット状の貫通孔50は、穿孔方向に垂直な面内において、第1の方向(実施形態では水平方向)の開口寸法が長く、第1の方向と交差する第2の方向(実施形態では上下方向)の開口寸法が短い貫通孔を指す。なお、長い方向である第1の方向を長手方向、短い方向である第2の方向を幅方向または短手方向と呼ぶ。本実施形態では、スリット状の貫通孔50は、水平方向(長手方向)に直線状に形成されている。
アンカー10は、図3に示すように、棒材11の先端部11aに長円形板状の係止体12を固着したもので、側方から見た形状がT字形をなしている。棒材11の基端部11bには、ナット15(図1及び図2参照)を螺合するための雄ねじ13が形成されている。
アンカー10は、「アンカーボルト」とも言う。棒材11はボルト本体11ともいう。なお、係止体12の平面視形状は図示例に限定されない。係止体12は、第1の方向の寸法が第2の方向の寸法より大きくされていればよく、例えば長方形板状であってもよい。
棒材11及び係止体12は、例えばステンレス鋼などの金属製とすることができる。アンカー10は、金属製に限らず、樹脂製、炭素繊維製などであってもよい。なお、係止体12が棒材11に固定される位置は、係止体12の長手方向の中間部に限らず、係止体12の長手方向の端部であってもよい。
図5に示すように、スリット状の貫通孔50は、穿孔工具により、複数の貫通孔51を列の端から順番に、隣合う孔同士の一部を重複させながら、一列に直線に沿って穿設することにより形成されている。
アンカー10は、スリット状の貫通孔50に挿入されて係止体12が壁体5の裏側(土砂側B)に達し、係止体12を、図4に示すように、係止体12の長手方向がスリット状の貫通孔50の長手方向と交差する位置(例えば、挿入した位置から90°回転した位置)まで、壁体5の裏側にて矢印Rで示すように回転し、その状態で、棒材11に引き抜き方向の力を加えることで、壁体5に固定されている。
係止体12は、図2に示すように、棒材11の基端側に当て板18を介してナット15を締め込むことで、棒材11に引き抜き方向の力が加えられて、壁体5の裏側壁面5Bに押圧係止されており、それにより、アンカー10が壁体5に固定されている。この場合の当て板18は、スリット状の貫通孔50の開口を覆う大きさに設定されている。
次に、実際に行うアンカーの取付方法とその際に使用する穿孔治具について説明する。
アンカー10を壁体5に取り付ける手順について概略を述べると、まず、図5に示すように、壁体5に、回転する穿孔工具を用いて、壁体5の表側壁面5Aから裏側壁面5Bまで貫通するスリット状の貫通孔50を形成する(穿孔工程)。
次いで、図2に示すように、係止体12の回転を止めた状態で、当て板18を介してナット15を締め付けることにより、棒材11に引き抜き方向の力を加える。それにより、係止体12を壁体5の裏側壁面5Bに押圧係止させることができ(係止工程)、アンカー10を壁体5に固定することができる。
具体的に述べると、図6に示すように、この穿孔治具70は、円柱体71の外周面で構成された治具基体72を有する。治具基体72は、先行して穿設された貫通孔に挿入されることで、貫通孔の内壁に当接または近接する直径寸法を有している。実際には、治具基体72の外周と前記孔の内壁との間に、治具基体72の挿入及び抜き取りが容易にできる程度の僅かな隙間が確保されているのがよい。
ストッパ75は、小円柱体(丸鋼など)で構成されており、治具基体72が貫通孔の中に挿入された際に前記孔の内壁に係合して、治具基体72の無用の回転を阻止する。ストッパ75は、治具基体72の回転を有効に阻止するために2つ以上間隔をおいて設けられているのがよい。1つでも、設ける場所によっては回転を止めることができるが、安定して回転を止めるには、2つ以上設けるのがよい。なお、ストッパ75は、治具基体72の外周に突設されたものであれば形状を問わない。例えば、治具基体72が貫通孔の中に挿入するときに、一緒に貫通孔の周壁(土砂)に切り込んで行けるリブ状の板片であってもよい。
図示例では、第1の穿孔治具70Aの円柱体71の第2端部に、第2の穿孔治具70Bの円柱体71の第1端部が接合され、第2の穿孔治具70Bの円柱体71の第2端部に、第3の穿孔治具70Cの円柱体71の第1端部が接合されることによって、3つの穿孔治具70A〜70Cが直列に連結されている。円柱体71どうしの接合には、凹凸嵌合、ネジ止め等を採用できる。第2の穿孔治具70Bおよび第3の穿孔治具70Cは、ストッパ75がないことが好ましい。
複数の穿孔治具70A〜70Cからなる穿孔治具70Dを用いることによって、壁体5が厚い場合でも、深部に至るまで正確な位置に貫通孔51を形成することができる。
図7〜図21は貫通孔50を形成する手順を説明するための図である。
まず、図7に示すように、壁体5に、表側壁面5Aから大径の穿孔工具101で第1の貫通孔51Aを形成する。次に、図8に示すように、貫通孔の51Aの周壁の2箇所に、穿孔治具70のストッパ75の係合する小孔52を、小径ドリル102で形成する。
図9に示す穿孔工具101、102は、ドリルビットである。穿孔工具101、102としては、耐久性に優れるドリルビットが好ましいが、コアドリルを使用してもよい。
この際、回転する穿孔工具101の外周が穿孔治具70の凹状案内壁74に当たって穿孔工具101の位置ずれが規制されることによって、正しい位置に穿孔工具101が位置決めされながら第2の貫通孔51Bの穿設が行われる。
図13に示すように、穿設した第2の貫通孔51Bに穿孔治具70を挿入する。この際、穿孔治具70の治具基体72の外周に設けた2つのストッパ75を、第2の貫通孔51Bの周壁に形成した2つの小孔52に挿入することにより、穿孔工具70を第2の貫通孔51B内で回り止めする。穿孔治具70の切欠部73は、次に穿孔しようとする貫通孔(第3の貫通孔51C)の中心に向ける。
この際、回転する穿孔工具101の外周が穿孔治具70の凹状案内壁74に当たって穿孔工具101の位置ずれが規制されることによって、正しい位置に穿孔工具101が位置決めされながら第3の貫通孔51Cの穿設が行われる。
図16に示すように、穿設した第3の貫通孔51Cに穿孔治具70を挿入する。この際、穿孔治具70の治具基体72の外周に設けた2つのストッパ75を、第3の貫通孔51Cの周壁に形成した2つの小孔52に挿入することにより、穿孔工具70を第3の貫通孔51C内で回り止めする。穿孔治具70の切欠部73は、次に穿孔しようとする貫通孔(第4の貫通孔51D)の中心に向ける。
係止体12の回転を止めた状態で、図21に示すように、当て板18を介して棒材11の基端の雄ねじ13にナット15を螺合して締め付けることにより、棒材11に引き抜き方向の力を加える。そうすることにより、係止体12を壁体5の裏側壁面5Bに押圧係止させることができ、それにより、アンカー10を壁体5に固定することができる。
壁体5の裏側で係止体12を、壁体5の裏側壁面5Aに係止し得る位置まで回転させ、その状態で棒材11に引き抜き方向の力を付与することで、係止体12を壁体5の裏側壁面5Bに押圧係止させることができるため、スリットやピン等の強度低下を招く要素を必要としない構造のアンカー10、すなわち係止体12と棒材11を強固に接合した構造のアンカー10を用いることができる。したがって、壁体5に対するアンカー10の取付強度を高めることができる。
また、穿孔工具101の位置ずれを防ぐことができるため、穿孔位置の正確さを損なうことなく、耐久性に優れるドリルビットを使用することができる。
図4、図22および図23に示すように、スリット状の貫通孔を採用することによって、施工条件等に合わせて、その条件等に適した係止体の形状を選択できる。
また、上記実施形態では、係止体12は一定厚さの板状であるが、係止体12は、回転方向側の側縁部を他の部分より薄く形成してもよい。これによって、係止体12を土砂中で回転させる際の抵抗を少なくすることができる。
挿入部177は、図6に示す治具基体72と類似の形状を有する。穿孔治具170は、図6に示す治具基体72を2つ並列させ、一方の治具基体72の切欠部73内に他方の治具基体72の一部を配置した状態で、これら2つの治具基体72を一体化した形状を有する。なお、挿入部の数は3以上の任意の数でもよい。
図25(a)に示すように、この例の貫通孔50の形成方法は、第2の貫通孔51Bを穿設するまでは、図7〜図11により説明した方法と同じである。
図25(b)に示すように、貫通孔51A,51B内に穿孔治具170を挿入した状態で、図25(c)に示すように、穿孔治具170の切欠部173に穿孔工具101の一部が入り込むようにしつつ、穿孔工具101で第3の貫通孔51Cを形成する。この際、穿孔工具101の外周が穿孔治具170の凹状案内壁174に当たって穿孔工具101の位置ずれが規制されることによって、正しい位置に穿孔工具101が位置決めされながら第3の貫通孔51Cの穿設が行われる。次いで、図25(d)に示すように、穿孔治具170を貫通孔51A,51Bから引き抜く。これらの工程を順次繰り返すことにより、図17に示すスリット状の貫通孔50を形成することができる。
この方法では、貫通孔51B〜51Eについては小孔52を形成する必要がないため、作業が容易となる。
穿孔治具270は、細径の連結軸部276により軸方向に互いに連結された2つの治具基体272(先端側の治具基体272Aと基端側の治具基体272B)を有する。治具基体272は、断面円弧状の切欠部273を画成する凹状案内壁274を有する。
穿孔治具270は、ドリルビット302Aの一部が治具基体272Aの切欠部273に入り込み、かつドリルビット302Bの一部が治具基体272Bの切欠部273に入り込んだ状態で、穿孔工具301と並列して配置される。
図26(a)および図26(b)に示すように、穿孔治具270の連結軸部276と、穿孔工具301の連結軸部306とは、ともに筒状の連結体280に挿通している。穿孔治具270と穿孔工具301とは、連結体280によって、互いに離間する方向の移動が規制されている。図26(c)に示すように、穿孔治具270は、穿孔工具301の回転を妨げることなく穿孔工具301に取り付け可能である。すなわち、ドリルビット302は、穿孔治具270が装着された状態のまま軸回り方向に回転可能である。
また、アンカー10を取り付けた後、貫通孔50の内部の空間にモルタル等の充填材を充填することによって、構造物の強度を高めることもできる。
次の貫通孔の穿設の際に貫通孔への穿孔工具101の挿入と並行して、先行して穿設された隣の貫通孔に穿孔治具70を挿入することで、穿孔治具70によって、次の貫通孔を穿設する穿設治具101の位置ずれを規制することができる。この際、穿孔工具101を支持する部材により、穿孔治具70の回転止めを行うことができるので、穿孔治具70の取付構造部分が回転止め手段に相当する。この方法を採用する場合は、穿孔治具70の取り扱いが容易となる。
5A 表側壁面
5B 裏側壁面
10 アンカー
11 棒材
11a 先端部
11b 基端部
12 係止体
50 スリット状の貫通孔
51,50A〜50E 貫通孔
70,170,270 穿孔治具
72,172,272 治具基体
73,173,273 切欠部
74,174,274 凹状案内壁
101,301 穿孔工具
Claims (9)
- 壁体に、前記壁体の表側壁面から裏側壁面まで貫通するスリット状の貫通孔が形成され、
前記貫通孔に、棒材の先端部に係止体を固定したアンカーが挿入されて、前記係止体が前記壁体の裏側に達しており、
前記アンカーは、前記壁体の裏側にて回転された状態で、前記棒材に引き抜き方向の力が加えられることで、前記係止体が前記壁体の裏側壁面に係止されていることを特徴とするアンカーの取付構造。 - 前記係止体は、前記棒材の長手方向と直交する方向に延在し前記スリット状の貫通孔に挿通可能で且つ長手方向の長さが前記スリット状の貫通孔の長手方向と直交する短手方向の寸法よりも大きく設定されており、
前記アンカーは、前記棒材の先端部に前記係止体がその長手方向の中間部で固定されており、前記係止体の長手方向が前記スリット状の貫通孔の長手方向と交差する位置まで前記壁体の裏側にて回転された状態で、前記棒材に引き抜き方向の力が加えられることで、前記係止体が前記壁体の裏側壁面に係止されていることを特徴とする請求項1に記載のアンカーの取付構造。 - 壁体に、前記壁体の表側壁面から裏側壁面まで貫通するスリット状の貫通孔を形成する穿孔工程と、
棒材の先端部に係止体を固定したアンカーを用意する準備工程と、
前記アンカーを、前記スリット状の貫通孔に、前記係止体が前記壁体の裏側に達するまで挿入する挿入工程と、
前記棒材を介して前記係止体を前記壁体の裏側にて回転させる回転工程と、
前記係止体の回転を止めた状態で、前記棒材に引き抜き方向の力を加えることで、前記係止体を前記壁体の裏側壁面に係止させる係止工程と、
を有することを特徴とするアンカーの取付方法。 - 前記アンカーは、前記棒材の先端部に前記係止体が固定されており、
前記係止体が、前記棒材の長手方向と直交する方向に延在し前記スリット状の貫通孔に挿通可能で且つ長手方向の長さが前記スリット状の貫通孔の長手方向と直交する短手方向の寸法よりも大きく設定され、
前記回転工程において、前記棒材を介して前記係止体を、該係止体の長手方向が前記スリット状の貫通孔の長手方向と交差する位置まで前記壁体の裏側にて回転させることを特徴とする請求項3に記載のアンカーの取付方法。 - 前記穿孔工程では、回転する穿孔工具により、複数の孔を列の端から順番に、隣合う孔同士の一部を重複させながら一列に穿設して、前記スリット状の貫通孔を形成することを特徴とする請求項3または4に記載のアンカーの取付方法。
- 前記穿孔工程では、先行して穿設した貫通孔の隣に次の貫通孔を穿設するに当たり、先行して穿設した貫通孔の中に、次の貫通孔を穿設する穿孔工具の位置ずれによる侵入を規制する穿孔治具を挿入し、この穿孔治具に沿って、次の貫通孔を前記穿孔工具により形成し、順次これを繰り返して、スリット状の貫通孔を形成することを特徴とする請求項5に記載のアンカーの取付方法。
- 前記穿孔治具が、先行して穿設された貫通孔に挿入されることで前記貫通孔の内壁に当接または近接する治具基体を備え、
前記治具基体は、前記穿孔工具の外周が接することで前記穿孔工具の位置ずれを規制する凹状案内壁を有し、
前記凹状案内壁は、前記穿孔工具が入り込む切欠部を画成するように形成されていることを特徴とする請求項6に記載のアンカーの取付方法。 - 前記穿孔工具に前記穿孔治具を取り付け、次の貫通孔の穿設の際に該貫通孔への前記穿孔工具の挿入と並行して、先行して穿設された隣の貫通孔に前記穿孔治具を挿入することで、この穿孔治具によって、前記次の貫通孔を穿設する穿設工具の位置ずれを規制することを特徴とする請求項6または7に記載のアンカーの取付方法。
- 請求項1または2に記載のアンカーの取付構造に用いられるアンカーであって、
前記棒材の先端部に、前記係止体が固定され、
前記係止体は、前記貫通孔を通して前記壁体の裏側に達して前記アンカーが回転された状態で、前記棒材に引き抜き方向の力が加えられることで、前記壁体の裏側壁面に係止可能であることを特徴とするアンカー。
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