以下、本発明のポリオレフィン系帯電防止性繊維およびこれを用いた布帛について、詳
細に説明する。
まず、本発明のポリオレフィン系帯電防止性繊維について説明する。本発明のポリオレフィン系帯電防止性繊維は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、高分子化合物(E)の1種以上を1〜40質量部含有する樹脂組成物からなるものである。本発明の帯電防止性繊維においては、高分子化合物(E)が、ジオールと、脂肪族ジカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、下記一般式(1)で示される基を一つ以上有し両末端に水酸基を有する化合物(B)と、反応性官能基を有する化合物(D)とが、エステル結合を介して結合してなる構造を有する。
まず、本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂について説明する。
本発明の帯電防止性繊維に係る樹脂組成物において、使用するポリオレフィン系樹脂については、特に制限はない。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ブロックコポリマーポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン−プロピレンのブロックまたはランダム共重合体、インパクトコポリマーポリプロピレン、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のα−オレフィン共重合体、さらにポリオレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられ、これらの2種以上の共重合体でもよい。これらのポリオレフィン系樹脂は2種以上を使用してもよい。本発明においては、特にポリプロピレンまたはポリエチレンが好ましい。
これらのポリオレフィン系樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず使用することができる。
次に、本発明で使用される高分子化合物(E)について説明する。高分子化合物(E)は、本発明の帯電防止性繊維に帯電防止性を付与するために配合される。
本発明で用いる高分子化合物(E)は、前述したように、ジオールと、脂肪族ジカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、下記一般式(1)で示される基を一つ以上有し両末端に水酸基を有する化合物(B)と、反応性官能基を有する化合物(D)とが、エステル結合を介して結合してなる構造を有する。
高分子化合物(E)は、ジオールと、脂肪族ジカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、上記一般式(1)で示される基を一つ以上有し両末端に水酸基を有する化合物(B)と、反応性官能基を有する化合物(D)とを、エステル化反応させることにより、得ることができる。
まず、本発明で用いられるジオールについて説明する。
本発明で用いられるジオールとしては、脂肪族ジオール、芳香族基含有ジオールが挙げられる。また、ジオールは、2種以上の混合物でもよい。脂肪族ジオールとしては、例えば、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、シクロドデカンジオール、ダイマージオール、水添ダイマージオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これら脂肪族ジオールの中でも、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAが、帯電防止性とイオン溶出抑制の点から好ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノールがより好ましい。
また、脂肪族ジオールは、疎水性を有することが好ましいので、脂肪族ジオールのうち、親水性を有するポリエチレングリコールは好ましくない。但し、これら以外のジオールとともに使用する場合はその限りではない。
芳香族基含有ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、1,2−ヒドロキシベンゼン、1,3−ヒドロキシベンゼン、1,4−ヒドロキシベンゼン、1,4−ベンゼンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、レゾルシン、ピロカテコール等の単核2価フェノール化合物のポリヒドロキシエチル付加物等が挙げられる。これら芳香族基を有するジオールの中でも、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが好ましい。
次に、本発明で用いられる脂肪族ジカルボン酸について説明する。
本発明で用いられる脂肪族ジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸の誘導体(例えば、酸無水物、アルキルエステル、アルカリ金属塩、酸ハライド等)であってもよい。脂肪族ジカルボン酸およびその誘導体は、2種以上の混合物でもよい。
脂肪族ジカルボン酸としては、好ましくは炭素原子数2〜20の脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。これら脂肪族ジカルボン酸の中でも、融点や耐熱性の点から、炭素原子数4〜16のジカルボン酸が好ましく、炭素原子数6〜12のジカルボン酸がより好ましい。
次に、本発明で用いられる芳香族ジカルボン酸について説明する。
本発明で用いられる芳香族ジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸の誘導体(例えば、酸無水物、アルキルエステル、アルカリ金属塩、酸ハライド等)であってもよい。また、芳香族ジカルボン酸およびその誘導体は、2種以上の混合物でもよい。
芳香族ジカルボン酸としては、好ましくは炭素原子数8〜20の芳香族ジカルボン酸が挙げられ、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、ホモフタル酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウムおよび3−スルホイソフタル酸カリウム等が挙げられる。
次に、本発明で用いられる上記一般式(1)で示される基を一つ以上有し両末端に水酸基を有する化合物(B)について説明する。
上記一般式(1)で示される基を一つ以上有し両末端に水酸基を有する化合物(B)としては、親水性を有する化合物が好ましく、上記一般式(1)で示される基を有するポリエーテルがより好ましく、下記一般式(2)で表されるポリエチレングリコールが特に好ましい。
上記一般式(2)中、mは5〜250の数を表す。mは、耐熱性や相溶性の点から、好ましくは20〜150である。
化合物(B)としては、エチレンオキサイドを付加反応させて得られるポリエチレングリコール以外に、エチレンオキサイドと、他のアルキレンオキサイド(例えば、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−または1,3−ブチレンオキサイド等)の1種以上とを付加反応させたポリエーテルが挙げられ、このポリエーテルはランダムでもブロックでもいずれでもよい。
化合物(B)の例をさらに挙げると、活性水素原子含有化合物にエチレンオキサイドが付加した構造の化合物や、エチレンオキサイドおよび他のアルキレンオキサイド(例えば、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−または1,3−ブチレンオキサイド等)の1種以上が付加した構造の化合物が挙げられる。これらはランダム付加およびブロック付加のいずれでもよい。
活性水素原子含有化合物としては、グリコール、2価フェノール、1級モノアミン、2級ジアミンおよびジカルボン酸等が挙げられる。
グリコールとしては、炭素原子数2〜20の脂肪族グリコール、炭素原子数5〜12の脂環式グリコールおよび炭素原子数8〜26の芳香族グリコール等が使用できる。
脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびチオジエチレングリコール等が挙げられる。
脂環式グリコールとしては、例えば、1−ヒドロキシメチル−1−シクロブタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1−メチル−3,4−シクロヘキサンジオール、2−ヒドロキシメチルシクロヘキサノール、4−ヒドロキシメチルシクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび1,1’−ジヒドロキシ−1,1’−ジシクロヘキシル等が挙げられる。
芳香族グリコールとしては、例えば、ジヒドロキシメチルベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2−フェニル−1,3−プロパンジオール、2−フェニル−1,4−ブタンジオール、2−ベンジル−1,3−プロパンジオール、トリフェニルエチレングリコール、テトラフェニルエチレングリコールおよびベンゾピナコール等が挙げられる。
2価フェノールとしては、炭素原子数6〜30のフェノールが使用でき、例えば、カテコール、レゾルシノール、1,4−ジヒドロキシベンゼン、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、ビナフトールおよびこれらのアルキル(炭素原子数1〜10)またはハロゲン置換体等が挙げられる。
1級モノアミンとしては、炭素原子数1〜20の脂肪族1級モノアミンが挙げられ、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、s−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−アミルアミン、イソアミルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−オクタデシルアミンおよびn−イコシルアミン等が挙げられる。
2級ジアミンとしては、炭素原子数4〜18の脂肪族2級ジアミン、炭素原子数4〜13の複素環式2級ジアミン、炭素原子数6〜14の脂環式2級ジアミン、炭素数8〜14の芳香族2級ジアミンおよび炭素原子数3〜22の2級アルカノールジアミン等が使用できる。
脂肪族2級ジアミンとしては、例えば、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジブチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルプロピレンジアミン、N,N’−ジエチルプロピレンジアミン、N,N’−ジブチルプロピレンジアミン、N,N’−ジメチルテトラメチレンジアミン、N,N’−ジエチルテトラメチレンジアミン、N,N’−ジブチルテトラメチレンジアミン、N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジエチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジブチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルデカメチレンジアミン、N,N’−ジエチルデカメチレンジアミンおよびN,N’−ジブチルデカメチレンジアミン等が挙げられる。
複素環式2級ジアミンとしては、例えば、ピペラジン、1−アミノピペリジン等が挙げられる。
脂環式2級ジアミンとしては、例えば、N,N’−ジメチル−1,2−シクロブタンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−シクロブタンジアミン、N,N’−ジブチル−1,2−シクロブタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジエチル−1,4−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジブチル−1,4−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジブチル−1,3−シクロヘキサンジアミン等が挙げられる。
芳香族2級ジアミンとしては、例えば、N,N’−ジメチル−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−キシリレンジアミン、N,N’−ジメチル−ジフェニルメタンジアミン、N,N’−ジメチル−ジフェニルエーテルジアミン、N,N’−ジメチル−ベンジジンおよびN,N’−ジメチル−1,4−ナフタレンジアミン等が挙げられる。
2級アルカノールジアミンとしては、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−オクチルジエタノールアミン、N−ステアリルジエタノールアミンおよびN−メチルジプロパノールアミン等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、炭素数2〜20のジカルボン酸が使用でき、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸等が用いられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、メチルコハク酸、ジメチルマロン酸、β−メチルグルタル酸、エチルコハク酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸、トリデカンジ酸、テトラデカンジ酸、ヘキサデカンジ酸、オクタデカンジ酸およびイコサンジ酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、ホモフタル酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウムおよび3−スルホイソフタル酸カリウム等が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、例えば、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ酢酸、1,3−シクロヘキサンジ酢酸、1,2−シクロヘキサンジ酢酸およびジシクロヘキシル−4、4’−ジカルボン酸等が挙げられる。
これらの活性水素原子含有化合物は、1種でも2種以上の混合物でも使用することができる。
次に、反応性官能基を有する化合物(D)について説明する。反応性官能基を有する化合物(D)としては、反応性官能基を有するものであれば特に制限はなく、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、アミド基およびエポキシ基等を有するものが挙げられるが、本発明の帯電防止性繊維においては、反応性官能基としてエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D−1)、および、反応性官能基として水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(D−2)が好ましい。
本発明に用いるエポキシ化合物(D−1)としては、エポキシ基を2個以上有するものであれば特に制限されず、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物等の多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族または脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類およびグリシジルメタクリレートの単独重合体または共重合体;N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物、エポキシ化大豆油等が挙げられる。また、これらのエポキシ化合物は、末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたもの、あるいは多価の活性水素化合物(多価フェノール、ポリアミン、カルボニル基含有化合物、ポリリン酸エステル等)を用いて高分子量化したものであってもよい。かかるエポキシ化合物(D−1)は、2種以上を使用してもよい。
本発明に用いる多価アルコール化合物(D−2)としては、水酸基を3個以上有するものであれば特に制限されず、例えば、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、2,3,4−ヘキサントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ソルビタン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の4価アルコール;アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価アルコール;さらには、トリペンタエリスリトールが挙げられる。また、多価アルコール化合物の分子量には特に制限はなく、ポリペンタエリスリトールやポリビニルアルコールなどの高分子量の多価アルコールも使用でき、ポリエステルポリオール等の合成多価アルコールも使用できる。かかる多価アルコール化合物(D−2)は、2種以上を使用してもよい。
また、高分子化合物(E)は、帯電防止性能の持続性と耐水性の点から、ジオール、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸から構成されるポリエステル(A)と、上記化合物(B)と、上記反応性官能基を有する化合物(D)とが、エステル結合を介して結合してなる構造を有することが好ましい。
さらに、高分子化合物(E)は、帯電防止性能の持続性と耐水性の点から、ジオール、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸から構成されるポリエステル(A)から構成されたブロックおよび上記化合物(B)から構成されたブロックがエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)と、上記反応性官能基を有する化合物(D)とが、エステル結合を介して結合してなる構造を有することが好ましい。
本発明に係るポリエステル(A)は、ジオール、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなるものであればよく、好ましくは、ジオールの水酸基を除いた残基と、脂肪族ジカルボン酸のカルボキシル基を除いた残基とが、エステル結合を介して結合する構造を有し、かつ、ジオールの水酸基を除いた残基と、芳香族ジカルボン酸のカルボキシル基を除いた残基とが、エステル結合を介して結合する構造を有する。
また、ポリエステル(A)は、両末端にカルボキシル基を有する構造のものが好ましい。さらに、ポリエステル(A)の重合度は、好適には2〜50の範囲である。
両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(A)は、例えば、上記脂肪族ジカルボン酸および上記芳香族ジカルボン酸と、上記ジオールとを重縮合反応させることにより得ることができる。
脂肪族ジカルボン酸は、脂肪族ジカルボン酸の誘導体(例えば、酸無水物、アルキルエステル、アルカリ金属塩、酸ハライド等)であってもよく、誘導体を使用してポリエステル(A)を得た場合は、最終的に両末端を処理してカルボキシル基にすればよく、そのままの状態で、次の、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)を得るための反応に進んでもよい。また、脂肪族ジカルボン酸およびその誘導体は、2種以上の混合物であってもよい。
芳香族ジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸の誘導体(例えば、酸無水物、アルキルエステル、アルカリ金属塩、酸ハライド等)であってもよく、誘導体を使用してポリエステルを得た場合は、最終的に両末端を処理してカルボキシル基にすればよく、そのままの状態で、次の、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)を得るための反応に進んでもよい。また、芳香族ジカルボン酸およびその誘導体は、2種以上の混合物であってもよい。
ポリエステル(A)中の、脂肪族ジカルボンのカルボキシル基を除いた残基と、芳香族ジカルボン酸のカルボキシル基を除いた残基との比は、モル比で90:10〜99.9:0.1が好ましく、93:7〜99.9:0.1がより好ましい。
両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(A)は、例えば、上記脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体および上記芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と、上記ジオールとを重縮合反応させることにより得ることができる。
脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体および芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と、ジオールとの反応比は、両末端がカルボキシル基となるように、脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体および芳香族ジカルボン酸またはその誘導体を過剰に使用することが好ましく、モル比で、ジオールに対して1モル過剰に使用することが好ましい。
重縮合反応時の脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体と芳香族ジカルボン酸またはその誘導体との配合比は、モル比で90:10〜99.9:0.1が好ましく、93:7〜99.9:0.1がより好ましい。
また、配合比や反応条件によっては、ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸のみから構成されるポリエステルや、ジオールおよび芳香族ジカルボン酸のみから構成されるポリエステルが生成する場合もあるが、本発明では、ポリエステル(A)に、それらが混入していてもよく、そのままそれらを(B)成分と反応させて、ブロックポリマー(C)を得てもよい。
重縮合反応には、エステル化反応を促進する触媒を使用してもよく、触媒としては、ジブチル錫オキサイド、テトラアルキルチタネート、酢酸ジルコニウム、酢酸亜鉛等、従来公知のものが使用できる。
また、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸は、ジカルボン酸の代わりに、カルボン酸エステル、カルボン酸金属塩、カルボン酸ハライド等の誘導体を使用した場合には、それらとジオールとの反応後に、両末端を処理してジカルボン酸としてもよく、そのままの状態で、次の、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)を得るための反応に進んでもよい。
ジオール、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなり両末端にカルボキシル基を有する好適なポリエステル(A)は、(B)成分と反応することでエステル結合を形成し、ブロックポリマー(C)の構造を形成するものであればよく、両末端のカルボキシル基は、保護されていてもよく、修飾されていてもよく、また、前駆体の形であってもよい。また、反応時に生成物の酸化を抑えるために、反応系にフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤を添加してもよい。
両末端に水酸基を有する化合物(B)は、(A)成分と反応することでエステル結合を形成し、ブロックポリマー(C)の構造を形成するものであればよく、両末端の水酸基は、保護されていてもよく、修飾されていてもよく、また、前駆体の形であってもよい。
本発明に係る両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)は、上記ポリエステル(A)から構成されたブロックと、上記化合物(B)から構成されたブロックとを有し、これらのブロックが、カルボキシル基と水酸基とにより形成されたエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる構造を有する。かかるブロックポリマー(C)の一例を挙げると、例えば、下記一般式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
上記一般式(3)中、(A)は、上記両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(A)から構成されたブロックを表し、(B)は、上記両末端に水酸基を有する化合物(B)から構成されたブロックを表し、tは繰り返し単位の繰り返しの数であり、好ましくは1〜10の数を表す。tは、より好ましくは1〜7の数であり、最も好ましくは1〜5の数である。
ブロックポリマー(C)中の、ポリエステル(A)から構成されたブロックの一部は、ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸のみから構成されたポリエステルからなるブロック、または、ジオールおよび芳香族ジカルボン酸のみから構成されたポリエステルからなるブロックに置き換えられていてもよい。
両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)は、上記両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(A)と、上記両末端に水酸基を有する化合物(B)とを、重縮合反応させることによって得ることができるが、上記ポリエステル(A)と上記化合物(B)とが、カルボキシル基と水酸基とにより形成されたエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる構造を有するものと同等の構造を有するものであれば、必ずしも上記ポリエステル(A)と上記化合物(B)とから合成する必要はない。
上記ポリエステル(A)と上記化合物(B)との反応比は、上記化合物(B)がXモルに対して、上記ポリエステル(A)がX+1モルとなるように調整すれば、両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(C)を好ましく得ることができる。
反応に際しては、上記ポリエステル(A)の合成反応の完結後に、上記ポリエステル(A)を単離せずに、上記化合物(B)を反応系に加えて、そのまま反応させてもよい。
重縮合反応には、エステル化反応を促進する触媒を使用してもよく、触媒としては、ジブチル錫オキサイド、テトラアルキルチタネート、酢酸ジルコニウム、酢酸亜鉛等、従来公知のものが使用できる。また、反応時に生成物の酸化を抑えるために、反応系にフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤を添加してもよい。
また、ポリエステル(A)には、ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸のみから構成されるポリエステルや、ジオールおよび芳香族ジカルボン酸のみから構成されるポリエステルが混入していてもよく、それらをそのまま化合物(B)と反応させ、ブロックポリマー(C)を得てもよい。
ブロックポリマー(C)は、ポリエステル(A)から構成されるブロックと化合物(B)から構成されるブロック以外に、ジオールと脂肪族ジカルボン酸のみから構成されるポリエステルから構成されるブロックや、ジオールと芳香族ジカルボン酸のみから構成されるポリエステルから構成されるブロックが構造中に含まれていてもよい。
本発明に係る高分子化合物(E)は、好ましくは、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)と、反応性官能基を有する化合物(D)とが、ブロックポリマー(C)の末端のカルボキシル基と反応性官能基を有する化合物(D)の反応性官能基とにより形成されたエステル結合を介して結合してなる構造を有する。また、かかる高分子化合物(E)は、さらに、上記ポリエステル(A)のカルボキシル基と上記反応性官能基を有する化合物(D)の反応性官能基とにより形成されたエステル結合を含んでいてもよい。
反応性官能基を有する化合物(D)としてエポキシ化合物(D−1)を使用した場合、高分子化合物(E)は、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)と、2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(D−1)とが、ブロックポリマー(C)の末端のカルボキシル基とエポキシ化合物(D−1)のエポキシ基とにより形成されたエステル結合を介して結合してなる構造を有する。なお、上述のとおり、高分子化合物(E)は、さらに、上記ポリエステル(A)のカルボキシル基と上記エポキシ化合物(D−1)のエポキシ基とにより形成されたエステル結合を含んでいてもよい。
高分子化合物(E)を得るためには、上記ブロックポリマー(C)のカルボキシル基と、上記エポキシ化合物(D−1)のエポキシ基とを反応させればよい。エポキシ化合物のエポキシ基の数は、反応させるブロックポリマー(C)のカルボキシル基の数の、0.5〜5当量が好ましく、0.5〜1.5当量がより好ましい。また、上記反応は、各種溶媒中で行ってもよく、溶融状態で行ってもよい。
反応させるエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D−1)は、反応させるブロックポリマー(C)のカルボキシル基の数の、0.1〜2.0当量が好ましく、0.2〜1.5当量がより好ましい。
反応に際しては、上記ブロックポリマー(C)の合成反応の完結後に、ブロックポリマー(C)を単離せずに、反応系にエポキシ化合物(D−1)を加えて、そのまま反応させてもよい。その場合、ブロックポリマー(C)を合成するときに過剰に使用した未反応のポリエステル(A)のカルボキシル基と、エポキシ化合物(D−1)の一部のエポキシ基とが反応して、エステル結合を形成してもよい。
本発明の好ましい高分子化合物(E)は、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)とエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(D−1)とが、それぞれのカルボキシル基とエポキシ基とにより形成されたエステル結合を介して結合した構造を有するものと同等の構造を有するものであれば、必ずしも上記ブロックポリマー(C)と上記エポキシ化合物(D−1)とから合成する必要はない。
反応性官能基を有する化合物(D)として多価アルコール化合物(D−2)を使用した場合、高分子化合物(E)は、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)と、3個以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(D−2)とが、ブロックポリマー(C)の末端のカルボキシル基と多価アルコール化合物(D−2)の水酸基とにより形成されたエステル結合を介して結合してなる構造を有する。なお、上述のとおり、高分子化合物(E)は、さらに、上記ポリエステル(A)のカルボキシル基と上記多価アルコール化合物(D−2)の水酸基とにより形成されたエステル結合を含んでいてもよい。
高分子化合物(E)を得るためには、上記ブロックポリマー(C)のカルボキシル基と、上記多価アルコール化合物(D−2)の水酸基とを反応させればよい。反応させる多価アルコール化合物の水酸基の数は、反応させるブロックポリマー(C)のカルボキシル基の数の、0.5〜5.0当量が好ましく、0.5〜2.0当量がより好ましい。また、上記反応は、各種溶媒中で行ってもよく、溶融状態で行ってもよい。
反応させる水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(D−2)は、反応させるブロックポリマー(C)のカルボキシル基の数の、0.1〜2.0当量が好ましく、0.2〜1.5当量がより好ましい。
反応に際しては、上記ブロックポリマー(C)の合成反応の完結後に、ブロックポリマー(C)を単離せずに、反応系に多価アルコール化合物(D−2)を加えて、そのまま反応させてもよい。その場合、ブロックポリマー(C)を合成するときに過剰に使用した未反応のポリエステル(A)のカルボキシル基と、多価アルコール化合物(D−2)の一部の水酸基とが反応して、エステル結合を形成してもよい。
本発明の好ましい高分子化合物(E)は、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)と水酸基を3個以上有する多価アルコール化合物(D−2)とが、それぞれのカルボキシル基と水酸基とにより形成されたエステル結合を介して結合した構造を有するものと同等の構造を有するものであれば、必ずしも上記ブロックポリマー(C)と上記多価アルコール化合物(D−2)とから合成する必要はない。
本発明の帯電防止性繊維に係る樹脂組成物においては、高分子化合物(E)における、ポリエステル(A)から構成されるブロックの数平均分子量は、好ましくはポリスチレン換算で800〜8,000であり、より好ましくは1,000〜6,000であり、さらに好ましくは2,000〜4,000である。また、高分子化合物(E)における、両末端に水酸基を有する化合物(B)から構成されるブロックの数平均分子量は、好ましくはポリスチレン換算で400〜6,000であり、より好ましくは1,000〜5,000であり、さらに好ましくは2,000〜4,000である。さらに、高分子化合物(E)における、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)から構成されるブロックの数平均分子量は、好ましくはポリスチレン換算で5,000〜25,000であり、より好ましくは7,000〜17,000であり、より好ましくは9,000〜13,000である。
また、高分子化合物(E)は、ジオール、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からポリエステル(A)を得たのち、ポリエステル(A)を単離せずに、化合物(B)および/または反応性官能基を有する化合物(D)と反応させてもよい。
高分子化合物(E)の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、1〜40質量部であり、帯電防止性とその持続性と耐水性の点から、3〜20質量部が好ましく、5〜15質量部がより好ましい。
本発明の帯電防止性繊維に係る樹脂組成物は、帯電防止性能の向上のために、さらに、アルカリ金属の塩および第2族元素の塩(F)からなる群から選択される1種以上を含有することも好ましい。
アルカリ金属の塩および第2族元素の塩としては、有機酸または無機酸の塩が挙げられ、アルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム等が挙げられ、第2族元素の例としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等の炭素原子数1〜18の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸等の炭素原子数1〜12の脂肪族ジカルボン酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の炭素原子数1〜20のスルホン酸等が挙げられ、無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、硝酸、過塩素酸等が挙げられる。中でも、帯電防止性の点から、アルカリ金属の塩が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウムがより好ましく、リチウムまたはナトリウムがより好ましい。また、帯電防止性の点から、酢酸の塩、過塩素酸の塩、p−トルエンスルホン酸の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩が好ましい。
アルカリ金属の塩および第2族元素の塩の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、p−トルエンスルホン酸リチウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム等が挙げられる。これらの中で好ましいのは、酢酸リチウム、酢酸カリウム、p−トルエンスルホン酸リチウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、塩化リチウム等である。
アルカリ金属の塩および/または第2族元素の塩の含有量は、帯電防止性と、その持続性および耐水性の点から、上記ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.1〜15質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましく、1〜5質量部がさらに好ましい。
本発明の帯電防止性繊維に係る樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤を配合してもよい。界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を使用することができる。
非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤;ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビット若しくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
界面活性剤を配合する場合の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
さらに、本発明の帯電防止性繊維に係る樹脂組成物には、高分子型帯電防止剤を配合してもよい。高分子型帯電防止剤としては、例えば、公知のポリエーテルエステルアミド等の高分子型帯電防止剤を使用することができ、公知のポリエーテルエステルアミドとしては、例えば、特開平7−10989号公報に記載のビスフェノールAのポリオキシアルキレン付加物からなるポリエーテルエステルアミドが挙げられる。また、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとの結合単位が2〜50の繰り返し構造を有するブロックポリマーを使用することができ、例えば、米国特許第6552131号明細書記載のブロックポリマーを挙げることができる。
高分子型帯電防止剤を配合する場合の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
さらにまた、本発明の帯電防止性繊維に係る樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、イオン性液体を配合してもよい。イオン性液体の例としては、室温以下の融点を有し、イオン性液体を構成するカチオンまたはアニオンのうち少なくとも一つが有機物イオンであり、初期電導度が好ましくは1〜200ms/cm、より好ましくは10〜200ms/cmである常温溶融塩であって、例えば、国際公開第95/15572号に記載の常温溶融塩が挙げられる。
イオン性液体を構成するカチオンとしては、アミジニウム、ピリジニウム、ピラゾリウムおよびグアニジニウムカチオンからなる群から選ばれるカチオンが挙げられる。このうち、アミジニウムカチオンとしては、下記のものが挙げられる。
(1)イミダゾリニウムカチオン
炭素原子数5〜15のものが挙げられ、例えば、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチルイミダゾリニウム;
(2)イミダゾリウムカチオン
炭素原子数5〜15のものが挙げられ、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム;
(3)テトラヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6〜15のものが挙げられ、例えば、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム;
(4)ジヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6〜20のものが挙げられ、例えば、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,9−ウンデカジエニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,10−ウンデカジエニウム。
ピリジニウムカチオンとしては、炭素原子数6〜20のものが挙げられ、例えば、3−メチル−1−プロピルピリジニウム、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムが挙げられる。
ピラゾリウムカチオンとしては、炭素原子数5〜15のものが挙げられ、例えば、1、2−ジメチルピラゾリウム、1−n−ブチル−2−メチルピラゾリウムが挙げられる。
グアニジニウムカチオンとしては、下記のものが挙げられる。
(1)イミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8〜15のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム;
(2)イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8〜15のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム;
(3)テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10〜20のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム;
(4)ジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10〜20のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム。
上記カチオンは1種を単独で用いても、また、2種以上を併用しても、いずれでもよい。これらのうち、帯電防止性の観点から好ましくはアミジニウムカチオン、より好ましくはイミダゾリウムカチオン、特に好ましくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンである。
イオン性液体において、アニオンを構成する有機酸または無機酸としては、下記のものが挙げられる。有機酸としては、例えば、カルボン酸、硫酸エステル、スルホン酸およびリン酸エステル;無機酸としては、例えば、超強酸(例えば、ホウフッ素酸、四フッ化ホウ素酸、過塩素酸、六フッ化リン酸、六フッ化アンチモン酸および六フッ化ヒ素酸)、リン酸およびホウ酸が挙げられる。上記有機酸および無機酸は、1種を単独で用いても、また、2種以上を併用しても、いずれでもよい。
上記有機酸および無機酸のうち、イオン性液体の帯電防止性の観点から好ましいのは、イオン性液体を構成するアニオンのHamett酸度関数(−Ho)が12〜100である、超強酸の共役塩基、超強酸の共役塩基以外のアニオンを形成する酸およびこれらの混合物である。
超強酸の共役塩基以外のアニオンとしては、例えば、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素および臭素)イオン、アルキル(炭素原子数1〜12)ベンゼンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸)イオンおよびポリ(n=1〜25)フルオロアルカンスルホン酸(例えば、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸)イオンが挙げられる。
また、超強酸としては、プロトン酸およびプロトン酸とルイス酸との組み合わせから誘導されるもの、およびこれらの混合物が挙げられる。超強酸としてのプロトン酸としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン、過塩素酸、フルオロスルホン酸、アルカン(炭素原子数1〜30)スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等)、ポリ(n=1〜30)フルオロアルカン(炭素原子数1〜30)スルホン酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸およびトリデカフルオロヘキサンスルホン酸)、ホウフッ素酸および四フッ化ホウ素酸が挙げられる。これらのうち、合成の容易さの観点から好ましいのはホウフッ素酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸およびビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸である。
ルイス酸と組合せて用いられるプロトン酸としては、例えば、ハロゲン化水素(例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素)、過塩素酸、フルオロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸およびこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、イオン性液体の初期電導度の観点から好ましいのはフッ化水素である。
ルイス酸としては、例えば、三フッ化ホウ素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化ヒ素、五フッ化タンタルおよびこれらの混合物が挙げられる。これらのうちでも、イオン性液体の初期電導度の観点から好ましいのは三フッ化ホウ素および五フッ化リンである。
プロトン酸とルイス酸との組み合わせは任意であるが、これらの組み合わせからなる超強酸としては、例えば、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、六フッ化タンタル酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化タンタルスルホン酸、四フッ化ホウ素酸、六フッ化リン酸、塩化三フッ化ホウ素酸、六フッ化ヒ素酸およびこれらの混合物が挙げられる。
上記のアニオンのうち、イオン性液体の帯電防止性の観点から好ましいのは超強酸の共役塩基(プロトン酸からなる超強酸およびプロトン酸とルイス酸との組合せからなる超強酸)であり、さらに好ましいのはプロトン酸からなる超強酸およびプロトン酸と、三フッ化ホウ素および/または五フッ化リンとからなる超強酸の共役塩基である。
イオン性液体のうち、帯電防止性の観点から好ましいのは、アミジニウムカチオンを有するイオン性液体、より好ましいのは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンを有するイオン性液体、特に好ましいのは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
イオン性液体を配合する場合の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
さらにまた、本発明の帯電防止性繊維に係る樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、相溶化剤を配合してもよい。相溶化剤を配合することで、帯電防止成分と他成分や樹脂成分との相溶性を向上させることができる。相溶化剤としては、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基およびポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基(極性基)を有する変性ビニル重合体、例えば、特開平3−258850号公報に記載の重合体や、特開平6−345927号公報に記載のスルホニル基を有する変性ビニル重合体、あるいはポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック重合体等が挙げられる。
相溶化剤を配合する場合の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
本発明の帯電防止性繊維に係る樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記ポリオレフィン系樹脂以外の、他の熱可塑性樹脂が配合されていてもよい。
他の熱可塑性樹脂の例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、SBS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等);ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の芳香族ポリエステルおよびポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ポリ(2−オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル;ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタムおよびポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂およびこれらのブレンド物を挙げることができる。更には、熱可塑性樹脂としては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等も挙げられる。更には、熱可塑性エラストマーも挙げられ、その例としては、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併せて使用してもよい。また、熱可塑性樹脂はアロイ化されていてもよい。
本発明の帯電防止性繊維に係る樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、ポリオレフィン系樹脂成分に、高分子化合物(E)、必要に応じてアルカリ金属の塩および/または第2族元素の塩、その他の任意成分を配合すればよく、その方法は、通常使用されている任意の方法を用いることができる。例えば、ロール混練り、バンパー混練り、押し出し機、ニーダー等により混合、練り込みして配合すればよい。
また、高分子化合物(E)は、そのまま添加してもよいが、必要に応じて、担体に含浸させてから添加してもよい。担体に含浸させるには、そのまま加熱混合してもよいし、必要に応じて、有機溶媒で希釈してから担体に含浸させ、その後に溶媒を除去する方法でもよい。こうした担体としては、合成樹脂のフィラーや充填剤として知られているもの、または、常温で固体の難燃剤や光安定剤が使用でき、例えば、ケイ酸カルシウム粉末、シリカ粉末、タルク粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、または、これら担体の表面を化学修飾したもの、下記に挙げる難燃剤や酸化防止剤の中で固体のもの等が挙げられる。これらの担体の中でも担体の表面を化学修飾したものが好ましく、シリカ粉末の表面を化学修飾したものがより好ましい。これらの担体は、平均粒径が0.1〜100μmのものが好ましく、0.5〜50μmのものがより好ましい。
さらに、高分子化合物(E)のポリオレフィン系樹脂への配合方法としては、ブロックポリマー(C)と反応性官能基を有する化合物(D)とをポリオレフィン系樹脂と同時に練り込みながら高分子化合物(E)を合成して配合してもよく、そのときに必要に応じてアルカリ金属の塩および第2族元素の塩からなる群から選択される1種以上を同時に練り込んでもよく、また、繊維形成時に高分子化合物(E)と、必要に応じてアルカリ金属の塩および第2族元素の塩からなる群から選択される1種以上と、ポリオレフィン系樹脂とを混合して配合してもよく、さらに、あらかじめポリオレフィン系樹脂とのマスターバッチを製造しておき、このマスターバッチを配合してもよい。
さらにまた、高分子化合物(E)とアルカリ金属の塩および第2族元素の塩からなる群から選択される1種以上は、あらかじめ混合しておいてからポリオレフィン系樹脂に配合してもよく、反応中に塩を添加して合成した高分子化合物(E)をポリオレフィン系樹脂に配合してもよい。
本発明の帯電防止性繊維に係る樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の各種添加剤をさらに添加することができ、これにより、本発明の帯電防止性繊維に係る樹脂組成物を安定化させることができる。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。これらのフェノール系酸化防止剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。これらのリン系酸化防止剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、および、ペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルチオプロピオン酸)エステル類が挙げられる。これらのチオエーテル系酸化防止剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜30質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましい。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜30質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましい。
また、必要に応じてさらに、ポリオレフィン系樹脂の合成樹脂中の残渣触媒を中和するために、公知の中和剤を添加することが好ましい。中和剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸金属塩、または、エチレンビス(ステアロアミド)、エチレンビス(12−ヒドロキシステアロアミド)、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド化合物が挙げられ、これら中和剤は混合して用いてもよい。
さらにまた、本発明の帯電防止性繊維に係る樹脂組成物には、必要に応じてさらに、芳香族カルボン酸金属塩、脂環式アルキルカルボン酸金属塩、p−第三ブチル安息香酸アルミニウム、芳香族リン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール類等の造核剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、リン酸エステル系難燃剤、縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスフェート系難燃剤、無機リン系難燃剤、(ポリ)リン酸塩系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難燃剤、三酸化アンチモン等の酸化アンチモン、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃助剤、充填剤、顔料、滑剤、発泡剤等を添加してもよい。
上記トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3−ヘキシレンジメラミン等が挙げられる。
上記金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(水酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)等が挙げられる。
上記リン酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリスイソプロピルフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート等が挙げられる。
上記縮合リン酸エステル系難燃剤の例としては、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,3−フェニレンビス(ジキシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等が挙げられる。
上記(ポリ)リン酸塩系難燃剤の例としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン等の(ポリ)リン酸のアンモニウム塩やアミン塩が挙げられる。
その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク、モンモリロナイト等の無機化合物、およびその表面処理品が挙げられ、例えば、TIPAQUE R−680(酸化チタン:石原産業(株)製)、キョーワマグ150(酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、等の種々の市販品を用いることができる。また、その他の有機系難燃助剤としては、例えば、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、本発明の帯電防止性繊維に係る樹脂組成物には、必要に応じて、通常合成樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
本発明の帯電防止性繊維は、本発明に係る上記樹脂組成物を溶融紡糸法、押出紡糸法等、従来公知の方法を用いて製造することができる。また繊維の構成としては、本発明に係る上記樹脂組成物から得られる単一組成繊維でもいいし、さらに他のポリマーとの複合繊維であってもよい。
本発明の帯電防止性繊維においては、繊維の形態は、特に限定されないが、例えば、直径0.1〜1mm、長さ不定の単一ストランドであるモノフィラメント、および、多数の細い連続フィラメントまたはストランドから構成されるマルチフィラメント等が挙げられる。
次に、本発明の布帛について説明する。
本発明の布帛は、本発明の帯電防止性繊維を用いて、従来知られた方法で製造することができるが、本発明の帯電防止性繊維は、特に不織布の用途が好ましい。不織布の製法としては、特に限定はなく、公知の方法、例えば、紡糸型不織布製造方法(スプレイドファイバー法、スパンボンド法、スプリットファイバー法、網状法等)、機械接合型不織布製造方法(ニードルパンチ法、スティッチ法等)および接着剤[水溶型接着剤(デンプンのり、ポリビニルアルコール、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩等)、乳化型接着剤(ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、天然ゴム、SBR、NBR等)、溶剤型接着剤等]型不織布製造方法が挙げられる。これらのうち好ましいのは紡糸型不織布製造方法、さらに好ましいのはスパンボンド法である。
本発明の不織布は、本発明の帯電防止性繊維のみで構成されてもよいが、本発明の帯電防止性繊維と他の繊維との混成により構成されるものであってもよい。この場合、本発明の帯電防止性繊維と他の繊維の混成の割合は、用途に応じて、95/5〜10/90の範囲で適宜選択すればよい。
本発明の不織布においては、通気度は、通常、60cc/cm2/sec以上、好ましくは80〜120cc/cm2/secであり、また、かさ密度は通常0.08〜0.2g/cm3、好ましくは0.1〜0.15g/cm3である。
本発明の布帛の用途は特に限定されず、例えば、衣服、作業着等が挙げられる。特に好ましい用途である不織布の用途としては、特に限定されず、衣料用(芯地、接着芯地等)、防護用(保護着、安全マスク等)、医療用(手術着、シーツ、人工皮膚等)、建築用(カーペット基布、防音床、防振材、養生シート等)、車両用(自動車内装材、吸音材等)、衛生用(おむつ、生理用品等)、フィルター用(空気フィルター、バグフィルター、排水処理用マット等)、農業用、皮革用(人工皮革用基布、合成皮革用基布、塩ビレザー用基布等)、電気・電子部品用(搬送材、包装材)、電気・電子機器用(搬送材、包装材)およびその他工業資材用(吸油材、電磁波シールド材、合成紙、OA機器、AV機器、包材等)、濾布等に幅広く用いることができる。
以下、本発明の帯電防止繊維を、実施例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、「%」は、特に記載がない限り、質量基準である。
下記の製造例1〜4に従い、本発明で用いられる高分子化合物(E)を製造した。また、下記の製造例1〜4において数平均分子量は、下記分子量測定方法で測定した。
<分子量測定方法>
数平均分子量(以下、「Mn」と称する)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定した。Mnの測定条件は以下の通りである。
装置 :日本分光(株)製GPC装置
溶媒 :テトラヒドロフラン
基準物質 :ポリスチレン
検出器 :示差屈折計(RI検出器)
カラム固定相 :昭和電工(株)製Shodex KF−804L
カラム温度 :40℃
サンプル濃度 :1mg/1mL
流量 :0.8mL/min.
注入量 :100μL
〔製造例1〕
セパラブルフラスコに、1,4−シクロヘキサンジメタノールを765g、アジピン酸を826g(5.65モル)、無水フタル酸を0.8g(0.01モル)、酸化防止剤(テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、アデカスタブAO−60、(株)ADEKA製)を0.2g仕込み、160℃から210℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間、その後210℃、減圧下で3時間重合して、ポリエステル(A)−1を得た。ポリエステル(A)−1の酸価は28、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で5,400であった。
次に、得られたポリエステル(A)−1を700g、両末端に水酸基を有する化合物(B)−1として数平均分子量4,000のポリエチレングリコールを350g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.5g、オクチル酸ジルコニウムを0.9g仕込み、210℃で8時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)−1を得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)−1の酸価は9、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で12,000であった。
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)−1の360gに、エポキシ化合物(D−1)−1としてビスフェノールFジグリシジルエーテル6gを仕込み、240℃で3時間、減圧下で重合して、本発明で用いる高分子化合物(E)−1を得た。
〔製造例2〕
セパラブルフラスコに、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンを601g、アジピン酸を472g(3.23モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸を3.8g(0.02モル)、両末端に水酸基を有する化合物(B)−1として数平均分子量4,000のポリエチレングリコールを600g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.2g仕込み、180℃から220℃まで徐々に昇温しながら常圧で6時間重合した。その後、テトライソプロポキシチタネートを0.8g仕込み、220℃、減圧下で6時間重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)−2を得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)−2の酸価は9、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で11,500であった。
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)−2の300gに、エポキシ化合物(D−1)−2としてo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を3g、酢酸ジルコニウムを0.5g仕込み、240℃で2時間、減圧下で重合して、本発明で用いる高分子化合物(E)−2を得た。
〔製造例3〕
セパラブルフラスコに、製造例1に記載の方法で得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)−1を300g、多価アルコール化合物(D−2)−1としてペンタエリスリトールを5.1g仕込み、220℃で4時間、減圧下で重合して、本発明で用いる高分子化合物(E)−3を得た。
〔製造例4〕
セパラブルフラスコに、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を591g、セバシン酸を235g(1.16モル)、イソフタル酸を8g(0.05モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.5g仕込み、160℃から220℃まで徐々に昇温しながら常圧で4時間重合した。その後、テトライソプロポキシチタネートを0.5g仕込み、220℃、減圧下で5時間重合して、ポリエステル(A)−2を得た。ポリエステル(A)−2の酸価は56、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で2,300であった。
次に、得られたポリエステル(A)−2を300g、両末端に水酸基を有する化合物(B)−2として数平均分子量2,000のポリエチレングリコールを200g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.5g、酢酸ジルコニウムを0.5g仕込み、220℃で8時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)−3を得た。この両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)−3の酸価は11、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で10,500であった。
得られた両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(C)−3の300gに、多価アルコール化合物(D−2)−2としてソルビトールを10.2g仕込み、240℃で7時間、減圧下で重合して、本発明で用いる高分子化合物(E)−4を得た。
〔実施例1〜16、比較例1〜8〕
下記の表1、2に記載した配合量(質量部)に基づいてブレンドした樹脂組成物を用いて、下記に示す不織布製造条件に従い、実施例1〜16の不織布を得た。得られた不織布を用いて、下記に従い、帯電防止性の評価として半減期を測定し、また、耐水洗性評価試験を行った。同様にして、下記の表3に示す配合で、比較例1〜8の樹脂組成物を調製して比較例1〜8の不織布を製造し、それぞれ評価を行った。
<不織布製造条件>
下記の表1〜3中に示す配合量に基づいてブレンドした樹脂組成物を単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製のラボプラストミルマイクロ、押出温度250℃、スクリュー回転速度50rpm)で混練し、紡糸機(ノズル0.45mmφ、ノズル30ホール、吐出量1.0g/min、エアー供給圧:0.7kg/cm2)を用いてメルトブロー法により紡糸し、30g/m2目付の不織布を製造した。
<半減期測定方法>
得られた不織布をシシド静電気株式会社製の帯電電荷減衰度測定器(STATIC HONESTMETER H−0110)を用い、JIS−L−1094に準拠して測定した。不織布にコロナ放電で生成した空気イオンを照射して帯電させ、空気イオンの照射を停止した後、帯電圧が1/2に減衰するまでの時間(半減期)を測定した。測定は不織布製造の1日後、30日後にそれぞれの不織布について、温度25℃、湿度50%にて5回行い、その平均値を求めた。半減期が短いほど、帯電防止性に優れている。
<耐水洗性評価試験>
得られた不織布を流水に1分間さらし、その後、空冷ドライヤーにて表面の水分を除去した。温度25℃、湿度50%にて1日静置した後に、半減期を測定した。測定はそれぞれの不織布について5回行い、その平均値を求めた。半減期が短いほど、帯電防止性に優れている。
*1:ホモポリプロピレン、日本ポリプロ株式会社製、商品名 MA1B(メルトフローレート=21g/10min)
*2:高密度ポリエチレン、Dow Chemical Company製、商品名 DMDA−8940(メルトフローレート=44g/10min)
*3:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
*4:p−トルエンスルホン酸リチウム
*5:酢酸カリウム
*6:グリセリンモノステアレート
*7:ポリエーテルエステルアミド系帯電防止剤、BASF社製、商品名イルガスタットP−22
上記表1〜3より、本発明の帯電防止性繊維は、帯電防止性能が長期にわたり持続し、かつ、耐水性にも優れていることがわかる。なお、比較例4および比較例6のグリセリンモノステアレートを10質量部配合したものは、グリセリンモノステアレートが不織布の表面にブリードアウトしてしまい、不織布の表面がべたついてしまうという欠点がみられた。