JP2017128678A - 帯電防止性熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 - Google Patents
帯電防止性熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】持続性の有る帯電防止性と優れた難燃性を有する成形品を提供することができる帯電防止性熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂100質量部に対し、高分子化合物(A)4〜40質量部であり、熱可塑性樹脂と高分子化合物の合計量100質量部に対して、リン酸エステル系化合物(B)を1〜40質量部を含有する帯電防止性熱可塑性樹脂組成物であり、高分子化合物(A)が、ジオール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、下記一般式(1)、で表される基を一つ以上有し、両末端に水酸基を有する化合物(C)、および、反応性官能基を有する化合物(D)が、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有する。【選択図】なし
Description
本発明は、帯電防止性熱可塑性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」とも称す)およびそれを成形してなる成形体に関し、詳しくは、持続性の有る帯電防止性と優れた難燃性を有する成形品を提供することができる帯電防止性熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体に関する。
熱可塑性樹脂は、成形加工性・低比重等、種々の物性に応じて、建材、自動車材料、家電機・電子用材料、繊維材料、包装用資材、農業用資材、家電製品のハウジング材料、生活雑貨用品、フィルム、シートおよび構造部品等の各種成形体に広く利用されている。
一方、熱可塑性樹脂は、優れた絶縁性で帯電しやすい性質を有しており、埃や塵を引き付けて製品外観を損ねる場合がある。また、成形品が電子製品の場合、帯電によって回路が正常に作動できなくなる場合がある。さらに、帯電した樹脂部材から電撃が発生する場合があり、電撃を受けると不快感を感じるだけでなく、可燃性気体や粉塵があるところでは、爆発事故を誘因する可能性がある。
今日、樹脂部材の帯電を防止するために、熱可塑性樹脂に帯電防止剤を添加する等の処置がなされている。このような帯電防止剤には、樹脂成形表面に吹き付け、浸漬、塗布等によって使用される塗布型と、高分子材料に添加剤として加えて加工する練り込み型が挙げられるが、塗布型のものは、帯電防止性の持続性に劣ることに加え、表面に触れて帯電防止剤が拭き取られてしまう問題がある。
このような問題に対して、特許文献1、2では、ポリエーテルエステル系高分子型の帯電防止剤を配合した帯電防止性樹脂組成物を提案されている。一方、多くの熱可塑性樹脂は、可燃性物質であるので、用途によっては難燃化することが不可欠である。難燃化する方法としては、例えば、特許文献3において、エチレン共重合体に水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、水酸化アルミニウム等の無機水酸化物を添加する方法が提案されている。また、特許文献4において、二種のエチレン−α−オレフィンの共重合体100重量部に対して、無機水酸化物難燃剤を80〜300重量部配合した難燃性重合体組成物が提案されている。
しかしながら、特許文献3、4においては、無機水酸化物によって熱可塑性樹脂を難燃化するためには、無機水酸化物の多量添加が必要であり、多量添加によって熱可塑性樹脂の成形性を損なう問題があった。また、無機水酸化物が帯電防止剤を吸着したり、分解したりするため、帯電防止性能とその持続性が充分でないという問題も有していた。なお、特許文献1、2において、ポリエーテルエステル系高分子型の帯電防止剤を配合した帯電防止性樹脂組成物が提案されているが、芳香族ジカルボン酸を含まないため、本発明で帯電防止剤として用いられる高分子化合物とは構造が相違する。
そこで、本発明の目的は、持続性の有る帯電防止性と優れた難燃性を有する成形品を提供することができる帯電防止性熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、所定の構造を有する高分子化合物およびリン酸エステル系化合物、特に所定の構造を有するリン酸エステル系化合物を併用することで、上記課題を解消することができること見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、高分子化合物(A)4〜40質量部と、リン酸エステル系化合物(B)1〜40質量部と、を含有する帯電防止性熱可塑性樹脂組成物において、
前記高分子化合物(A)が、ジオール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、下記一般式(1)、
で表される基を一つ以上有し、両末端に水酸基を有する化合物(C)、および、反応性官能基を有する化合物(D)が、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有することを特徴とするものである。
前記高分子化合物(A)が、ジオール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、下記一般式(1)、
で表される基を一つ以上有し、両末端に水酸基を有する化合物(C)、および、反応性官能基を有する化合物(D)が、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有することを特徴とするものである。
本発明の樹脂組成物においては、前記リン酸エステル系化合物(B)は、下記一般式(2)、
(式(2)中、R1、R2、R4およびR5は、各々独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、または下記一般式(3)、
(式(3)中のH1およびH2は各々独立に、水素原子、ヒドロキシ基または炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)で表される芳香族基を表し、R3は下記一般式(4)、(5)または(6)、
(式(4)、(5)および(6)中、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11およびH12は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。Lは直接結合、2価の硫黄原子、スルホニル基または炭素原子数1〜5のアルキリデン基またはアルキレン基を表す。)で表される2価の芳香族基を表し、rは0〜30の数である。)で表される少なくとも1種以上の化合物であることが好ましい。
(式(2)中、R1、R2、R4およびR5は、各々独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、または下記一般式(3)、
(式(3)中のH1およびH2は各々独立に、水素原子、ヒドロキシ基または炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)で表される芳香族基を表し、R3は下記一般式(4)、(5)または(6)、
(式(4)、(5)および(6)中、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11およびH12は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。Lは直接結合、2価の硫黄原子、スルホニル基または炭素原子数1〜5のアルキリデン基またはアルキレン基を表す。)で表される2価の芳香族基を表し、rは0〜30の数である。)で表される少なくとも1種以上の化合物であることが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物においては、前記高分子化合物(A)は、ジオール、脂肪族ジカルボン酸、および芳香族ジカルボン酸から構成されるポリエステル(E)と、前記化合物(C)と、前記化合物(D)とが、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなることが好ましい。
さらに、本発明の樹脂組成物は、前記高分子化合物(A)は、前記ポリエステル(E)から構成されたブロックおよび前記化合物(C)から構成されたブロックがエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(G)と、前記化合物(D)とが、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有することが好ましい。
さらにまた、本発明の帯電防止性樹脂組成物においては、前記ポリエステル(E)から構成されたブロックの数平均分子量がポリスチレン換算で800〜8,000であり、前記化合物(C)から構成されたブロックの数平均分子量がポリスチレン換算で400〜6,000であり、かつ、前記ブロックポリマー(G)の数平均分子量が、ポリスチレン換算で、5,000〜25,000であることが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物においては、前記ポリエステル(E)は、両末端にカルボキシル基を有する構造であることが好ましい。
さらに、本発明の樹脂組成物においては、前記化合物(D)は、2個以上のエポキシ基を有する多価エポキシ化合物(D)−1、3個以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(D)−2、および2個以上のアミノ基を有する多価アミン化合物(D)−3からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物においては、前記化合物(C)は、ポリエチレングリコールであることが好ましい。
さらに、本発明の樹脂組成物は、さらに、1種以上のアルカリ金属塩(F)0.01〜5質量部を含有することが好ましい。
さらにまた、本発明の樹脂組成物においては、前記熱可塑性樹脂は、スチレン系樹脂であることが好ましい。
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物が成形されてなることを特徴とするものである。
本発明によれば、持続性の有る帯電防止性と優れた難燃性を有する成形品を提供することができる帯電防止性熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体を提供することができる。
以下、本発明の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物およびそれを成形してなる成形体について詳細に説明する。本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、高分子化合物(A)4〜40質量部と、リン酸エステル系化合物(B)1〜40質量部と、を含有する。本発明の樹脂組成物においては、高分子化合物(A)は、ジオール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、下記一般式(1)、
で表される基を一つ以上有し、両末端に水酸基を有する化合物(C)、および、反応性官能基を有する化合物(D)が、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有している。
で表される基を一つ以上有し、両末端に水酸基を有する化合物(C)、および、反応性官能基を有する化合物(D)が、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有している。
まず、本発明の樹脂組成物で使用される熱可塑性樹脂について説明する。
本発明の樹脂組成物において利用可能な樹脂は、熱可塑性樹脂であれば制限なく用いることができるが、帯電防止性能の持続性と、成形性の観点から、スチレン系樹脂を含むものが好ましい。
本発明の樹脂組成物において利用可能な樹脂は、熱可塑性樹脂であれば制限なく用いることができるが、帯電防止性能の持続性と、成形性の観点から、スチレン系樹脂を含むものが好ましい。
スチレン系樹脂としては、例えば、ビニル基含有芳香族炭化水素単独、および、ビニル基含有芳香族炭化水素と、他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸エステル、ブタジエン、(メタ)アクリロニトリル等)との共重合体が挙げられ、例えば、ポリスチレン(PS)樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン(MBS)樹脂、耐熱ABS樹脂、アクリロニトリル−アクリレート−スチレン(AAS)樹脂、スチレン−無水マレイン酸(SMA)樹脂、メタクリレート−スチレン(MS)樹脂、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)樹脂、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン(AES)樹脂、スチレン−ブタジエン−ブチレン−スチレン(SBBS)樹脂、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(MABS)樹脂等の熱可塑性樹脂、並びに、これらのブタジエンあるいはイソプレンの二重結合を水素添加したスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)樹脂、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)樹脂、スチレン−エチレン−プロピレン(SEP)樹脂、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEEPS)樹脂等の水素添加スチレン系エラストマー樹脂が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
スチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、ポリブテン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、、ポリフルオロオレフィン、エチレン−プロピレンのブロックまたはランダム共重合体、インパクトコポリマーポリプロピレン、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のα−オレフィン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂、クマロン樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の芳香族ポリエステルおよびポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ポリ(2−オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル;ε−カプロラクタム(ナイロン6)、ウンデカンラクタム(ナイロン11)、ラウリルラクタム(ナイロン12)、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドン等の重合物;ヘキサメチレンジアミン、ノナンジアミン、ノナンメチレンジアミン、メチルペンタジアミン、ウンデカンメチレンジアミン、ドデカンメチレンジアミン、メタキシレンジアミン等のジアミンと、アジビン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸等のジカルボン酸等のカルボン酸化合物とを共重合させて得られる共重合体、または、これらの重合体または共重合体;デュポン社製商品名“ケブラー”、デュポン社製商品名“ノ−メックス”、株式会社帝人製主商品名“トワロン”、“コーネックス”等のアラミド系樹脂;ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂およびこれらのブレンド物を用いることができる。さらには、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ナイロン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等のエラストマーを、本発明の樹脂組成物に用いてもよい。
本発明の樹脂組成物においては、これらの熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併せて使用してもよい。また、アロイ化されていてもよい。なお、これらの熱可塑性樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず使用することができる。
次に、高分子化合物(A)について説明する。
高分子化合物(A)は、樹脂組成物に帯電防止性を付与するために配合される。本発明で用いる高分子化合物(A)は、ジオールと、脂肪族ジカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、下記一般式(1)で表される基を一つ以上有し、両末端に水酸基を有する化合物(C)と、反応性官能基を有する化合物(D)とが、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有している。
高分子化合物(A)は、樹脂組成物に帯電防止性を付与するために配合される。本発明で用いる高分子化合物(A)は、ジオールと、脂肪族ジカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、下記一般式(1)で表される基を一つ以上有し、両末端に水酸基を有する化合物(C)と、反応性官能基を有する化合物(D)とが、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有している。
本発明の樹脂組成物においては、高分子化合物(A)は、ジオール、脂肪族ジカルボン酸、および芳香族ジカルボン酸から構成されるポリエステル(E)と、化合物(C)と、反応性官能基を有する化合物(D)とが、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有することが好ましく、さらに、ポリエステル(E)から構成されたブロックおよび化合物(C)から構成されたブロックがエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(G)と、反応性官能基を有する化合物(D)とが、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有することも好ましい。
ポリエステル(E)は、ジオール、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなるものであればよく、ジオールの水酸基を除いた残基と、脂肪族ジカルボン酸のカルボキシル基を除いた残基とが、エステル結合を介して結合する構造を有し、かつ、ジオールの水酸基を除いた残基と、芳香族ジカルボン酸のカルボキシル基を除いた残基とが、エステル結合を介して結合する構造を有するものが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、ポリエステル(E)は、両末端にカルボキシル基を有する構造のものが好ましく、ポリエステル(E)の重合度は、2〜50の範囲内であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物に用いることができるジオールとしては、脂肪族ジオール、芳香族基含有ジオールが挙げられる。ジオールは、2種以上の混合物でもよい。脂肪族ジオールとしては、例えば、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオール、シクロドデカンジオール、ダイマージオール、水添ダイマージオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これら脂肪族ジオールの中でも、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAが、帯電防止性能の持続性の点から好ましく、1,4−シクロヘキサンジメタノールがより好ましい。
なお、脂肪族ジオールは、疎水性を有することが好ましいので、脂肪族ジオールのうち、親水性を有するポリエチレングリコールは好ましくない。ただし、これら以外のジオールとともに使用する場合はその限りではない。
本発明の樹脂組成物に用いることができる芳香族基含有ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、1,2−ヒドロキシベンゼン、1,3−ヒドロキシベンゼン、1,4−ヒドロキシベンゼン、1,4−ベンゼンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、レゾルシン、ピロカテコール等の単核2価フェノール化合物のポリヒドロキシエチル付加物等が挙げられる。これら芳香族基を有するジオールの中でも、帯電防止性能の持続性の点から、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが好ましい。
本発明の樹脂組成物に用いることができる脂肪族ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸の誘導体(例えば、酸無水物、アルキルエステル、アルカリ金属塩、酸ハライド等)であってもよい。また、脂肪族ジカルボン酸およびその誘導体は、2種以上の混合物でもよい。
脂肪族ジカルボン酸としては、好ましくは炭素原子数2〜20の脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。これら脂肪族ジカルボン酸の中でも、融点や耐熱性の点から、炭素原子数4〜16の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素原子数6〜12の脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
本発明の樹脂組成物に用いることができる芳香族ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸の誘導体(例えば、酸無水物、アルキルエステル、アルカリ金属塩、酸ハライド等)であってもよい。また、芳香族ジカルボン酸およびその誘導体は、2種以上の混合物であってもよい。
芳香族ジカルボン酸としては、好ましくは炭素原子数8〜20の芳香族ジカルボン酸が挙げられ、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、ホモフタル酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウムおよび3−スルホイソフタル酸カリウム等が挙げられる。
次に、一般式(1)で表される基を一つ以上有し、両末端に水酸基を有する化合物(C)について説明する。
化合物(C)は、親水性を有する化合物が好ましく、上記一般式(1)で示される基を有するポリエーテルがより好ましく、下記一般式(7)で表されるポリエチレングリコールが特に好ましい。
化合物(C)は、親水性を有する化合物が好ましく、上記一般式(1)で示される基を有するポリエーテルがより好ましく、下記一般式(7)で表されるポリエチレングリコールが特に好ましい。
化合物(C)としては、一般式(1)で表される基を付加反応させて得られるポリエチレングリコール以外に、エチレンオキサイドと、他のアルキレンオキサイド(例えば、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−または1,3−ブチレンオキサイド等)の1種以上とを付加反応させたポリエーテルが挙げられる。このポリエーテルは、ランダムおよびブロックのいずれでもよい。
化合物(C)の例をさらに挙げると、活性水素原子含有化合物にエチレンオキサイドが付加した構造の化合物や、エチレンオキサイドおよび他のアルキレンオキサイド(例えば、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−または1,3−ブチレンオキサイド等)の1種以上が付加した構造の化合物が挙げられる。これらはランダム付加およびブロック付加のいずれでもよい。
活性水素原子含有化合物としては、グリコール、2価フェノール、1級モノアミン、2級ジアミンおよびジカルボン酸等が挙げられる。
グリコールとしては、炭素原子数2〜20の脂肪族グリコール、炭素原子数5〜12の脂環式グリコールおよび炭素原子数8〜26の芳香族グリコール等が使用できる。
脂肪族グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびチオジエチレングリコール等が挙げられる。
脂環式グリコールとしては、例えば、1−ヒドロキシメチル−1−シクロブタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1−メチル−3,4−シクロヘキサンジオール、2−ヒドロキシメチルシクロヘキサノール、4−ヒドロキシメチルシクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび1,1’−ジヒドロキシ−1,1’−ジシクロヘキシル等が挙げられる。
芳香族グリコールとしては、例えば、ジヒドロキシメチルベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2−フェニル−1,3−プロパンジオール、2−フェニル−1,4−ブタンジオール、2−ベンジル−1,3−プロパンジオール、トリフェニルエチレングリコール、テトラフェニルエチレングリコールおよびベンゾピナコール等が挙げられる。
2価フェノールとしては、炭素原子数6〜30のフェノールが使用でき、例えば、カテコール、レゾルシノール、1,4−ジヒドロキシベンゼン、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルチオエーテル、ビナフトールおよびこれらのアルキル(炭素原子数1〜10)またはハロゲン置換体等が挙げられる。
1級モノアミンとしては、炭素原子数1〜20の脂肪族1級モノアミンが挙げられ、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、s−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−アミルアミン、イソアミルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−オクタデシルアミンおよびn−イコシルアミン等が挙げられる。
2級ジアミンとしては、炭素原子数4〜18の脂肪族2級ジアミン、炭素原子数4〜13の複素環式2級ジアミン、炭素原子数6〜14の脂環式2級ジアミン、炭素原子数8〜14の芳香族2級ジアミンおよび炭素原子数3〜22の2級アルカノールジアミン等が使用できる。
脂肪族2級ジアミンとしては、例えば、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N’−ジブチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルプロピレンジアミン、N,N’−ジエチルプロピレンジアミン、N,N’−ジブチルプロピレンジアミン、N,N’−ジメチルテトラメチレンジアミン、N,N’−ジエチルテトラメチレンジアミン、N,N’−ジブチルテトラメチレンジアミン、N,N’−ジメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジエチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジブチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルデカメチレンジアミン、N,N’−ジエチルデカメチレンジアミンおよびN,N’−ジブチルデカメチレンジアミン等が挙げられる。
複素環式2級ジアミンとしては、例えば、ピペラジン、1−アミノピペリジン等が挙げられる。
脂環式2級ジアミンとしては、例えば、N,N’−ジメチル−1,2−シクロブタンジアミン、N,N’−ジエチル−1,2−シクロブタンジアミン、N,N’−ジブチル−1,2−シクロブタンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジエチル−1,4−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジブチル−1,4−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−シクロヘキサンジアミン、N,N’−ジブチル−1,3−シクロヘキサンジアミン等が挙げられる。
芳香族2級ジアミンとしては、例えば、N,N’−ジメチル−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−キシリレンジアミン、N,N’−ジメチル−ジフェニルメタンジアミン、N,N’−ジメチル−ジフェニルエーテルジアミン、N,N’−ジメチル−ベンジジンおよびN,N’−ジメチル−1,4−ナフタレンジアミン等が挙げられる。
2級アルカノールジアミンとしては、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−オクチルジエタノールアミン、N−ステアリルジエタノールアミンおよびN−メチルジプロパノールアミン等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、炭素原子数2〜20のジカルボン酸が使用でき、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および脂環式ジカルボン酸等が用いられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、メチルコハク酸、ジメチルマロン酸、β−メチルグルタル酸、エチルコハク酸、イソプロピルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジ酸、ドデカンジ酸、トリデカンジ酸、テトラデカンジ酸、ヘキサデカンジ酸、オクタデカンジ酸およびイコサンジ酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フェニルマロン酸、ホモフタル酸、フェニルコハク酸、β−フェニルグルタル酸、α−フェニルアジピン酸、β−フェニルアジピン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、3−スルホイソフタル酸ナトリウムおよび3−スルホイソフタル酸カリウム等が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸としては、例えば、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ酢酸、1,3−シクロヘキサンジ酢酸、1,2−シクロヘキサンジ酢酸およびジシクロヘキシル−4、4’−ジカルボン酸等が挙げられる。
これらの活性水素原子含有化合物は、単独でもよく2種以上の混合物でも使用することができる。
次に、反応性官能基を有する化合物(D)について説明する。
本発明において反応性官能基を有する化合物(D)は、カルボキシル基とエステル結合を介して結合するもの、またはアミド結合を介して結合できるものであればよく、ポリエステル(E)、および化合物(C)と、エステル結合またはアミド結合を介して結合しうるもの、あるいは、ポリエステル(E)から構成されたブロック、および化合物(C)から構成されたブロックがエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(G)と、エステル結合またはアミド結合を介して結合し得るものであればよい。かかる官能基としては、エポキシ基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。
本発明において反応性官能基を有する化合物(D)は、カルボキシル基とエステル結合を介して結合するもの、またはアミド結合を介して結合できるものであればよく、ポリエステル(E)、および化合物(C)と、エステル結合またはアミド結合を介して結合しうるもの、あるいは、ポリエステル(E)から構成されたブロック、および化合物(C)から構成されたブロックがエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(G)と、エステル結合またはアミド結合を介して結合し得るものであればよい。かかる官能基としては、エポキシ基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。
本発明において反応性官能基を有する化合物(D)は、好ましくは、エポキシ基を2個以上有する多価エポキシ化合物(D)−1、3個以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(D)−2、および2個以上のアミノ基を有する多価アミン化合物(D)−3が、反応が良好なので好ましく用いられる。
多価エポキシ化合物(D)−1としては、エポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されず、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルクシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、テルペンフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物等のポリオール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族または脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類およびグリシジルメタクリレートの単独重合体または共重合体;N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン、ジグリシジルオルトトルイジン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物、エポキシ化大豆油等が挙げられる。また、これらの多価エポキシ化合物は、末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたもの、あるいは多価の活性水素化合物(多価フェノール、ポリアミン、カルボニル基含有化合物、ポリリン酸エステル等)を用いて高分子量化したものであってもよい。かかる多価エポキシ化合物は、2種以上を使用してもよい。
多価アルコール化合物(D)−2としては、水酸基を3個以上有するものであれば特に制限されず、例えば、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、2,3,4−ヘキサントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ソルビタン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の4価アルコール;アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価アルコール;さらには、トリペンタエリスリトールが挙げられる。また、ポリオール化合物の分子量には特に制限はなく、ポリペンタエリスリトールやポリビニルアルコール等の高分子量のポリオールも使用でき、ポリエステルポリオール等も使用できる。かかる多価アルコール化合物は、2種以上を使用してもよい。
多価アミン化合物(D)−3としては、第1級アミノ基および/または第2級アミノ基を、2個以上有するものであれば特に制限されず、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン等の炭素原子数2〜12のアルキレンジアミン;2,2’,2”−トリアミノトリエチルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン等の脂肪族アミン、ジエチレントリアミン等のアルキレン基の炭素原子数が2〜6、重合度2〜5のポリアルキレンポリアミン;1,6,11−ウンデカントリアミン、1,8−ジアミノ−4−アミノメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリアミン等のアルカントリアミン;メラミン、ピペラジン;N−アミノエチルピペラジン等、アルキレン基の炭素原子数が2〜6のN−アミノアルキルピペラジン;特公昭55−21044号公報記載の複素環式ポリアミン等の複素環式ポリアミンジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミン、ビシクロヘプタントリアミン等の炭素原子数4〜20の脂環式ポリアミン;フェニルジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエーテルジアミン、ポリフェニルメタンポリアミン、トリフェニルメタントリアミン等の炭素原子数6〜20の芳香族ポリアミン等が挙げられる。かかる多価アミン化合物は、2種以上を使用してもよい。
次に、ポリエステル(E)およびブロックポリマー(G)について説明する。
上述のとおり、本発明の樹脂組成物においては、高分子化合物(A)は、帯電防止性の観点から、ジオール、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸から構成されるポリエステル(E)、化合物(C)、および反応性官能基を有する化合物(D)が、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有することが好ましい。
上述のとおり、本発明の樹脂組成物においては、高分子化合物(A)は、帯電防止性の観点から、ジオール、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸から構成されるポリエステル(E)、化合物(C)、および反応性官能基を有する化合物(D)が、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有することが好ましい。
さらに、高分子化合物(A)は、帯電防止性の観点から、ジオール、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸から構成されるポリエステル(E)から構成されたブロック、および、化合物(C)から構成されたブロックがエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(G)と、反応性官能基を有する化合物(D)とが、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有することが好ましい。
ポリエステル(E)は、例えば、脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体と、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と、ジオールとを、重縮合反応させることにより得ることができる。
脂肪族ジカルボン酸は、上述のとおり、脂肪族ジカルボン酸の誘導体(例えば、酸無水物、アルキルエステル、アルカリ金属塩、酸ハライド等)であってもよく、誘導体を使用してポリエステル(E)を得た場合は、最終的に両末端を処理してカルボキシル基にすればよく、そのままの状態で、次の、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(G)を得るための反応に進んでもよい。また、脂肪族ジカルボン酸およびその誘導体は、2種以上の混合物であってもよい。
芳香族ジカルボン酸も、上述のとおり、芳香族ジカルボン酸の誘導体(例えば、酸無水物、アルキルエステル、アルカリ金属塩、酸ハライド等)であってもよく、誘導体を使用してポリエステル(E)を得た場合は、最終的に両末端を処理してカルボキシル基にすればよく、そのままの状態で、次の、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(G)を得るための反応に進んでもよい。また、芳香族ジカルボン酸およびその誘導体は、2種以上の混合物であってもよい。
ポリエステル(E)中の、脂肪族ジカルボンのカルボキシル基を除いた残基と、芳香族ジカルボン酸のカルボキシル基を除いた残基との比は、モル比で90:10〜99.9:0.1が好ましく、93:7〜99.9:0.1がより好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、ポリエステル(E)としては、両末端にカルボキシル基を有するポリエステルが好ましく、脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体および芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と、ジオールとの反応比は、両末端がカルボキシル基となるように、脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体および芳香族ジカルボン酸またはその誘導体を過剰に使用することが好ましく、モル比で、ジオールに対して1モル過剰に使用することが好ましい。
重縮合反応時の脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体と芳香族ジカルボン酸またはその誘導体との配合比は、モル比で90:10〜99.9:0.1が好ましく、93:7〜99.9:0.1がより好ましい。
また、配合比や反応条件によっては、ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸のみから構成されるポリエステルや、ジオールおよび芳香族ジカルボン酸のみから構成されるポリエステルが生成する場合もあるが、本発明では、ポリエステル(E)に、それらが混入していてもよく、そのままそれらを化合物(C)と反応させて、ブロックポリマー(G)を得てもよい。
重縮合反応には、エステル化反応を促進する触媒を使用してもよく、触媒としては、ジブチル錫オキサイド、テトラアルキルチタネート、酢酸ジルコニウム、酢酸亜鉛等、従来公知のものが使用できる。
なお、上述のとおり、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸は、ジカルボン酸の代わりに、カルボン酸エステル、カルボン酸金属塩、カルボン酸ハライド等の誘導体を使用した場合には、それらとジオールとの反応後に、両末端を処理してジカルボン酸としてもよく、そのままの状態で、次の、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(G)を得るための反応に進んでもよい。
また、ジオール、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなるポリエステル(E)は、化合物(C)と反応することでエステル結合を形成し、ブロックポリマー(G)の構造を形成するものであればよい。また、ポリエステル(E)の両末端にカルボキシル基があってもよく、カルボキシル基は、保護されていてもよく、修飾されていてもよく、また、前駆体の形であってもよい。また、反応時に生成物の酸化を抑えるために、反応系にフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤を添加してもよい。
さらに、化合物(C)は、ポリエステル(E)と反応してエステル結合を形成し、ブロックポリマー(G)の構造を形成するものであればよく、両末端の水酸基は保護されていてもよく、修飾されていてもよく、また、前駆体の形であってもよい。
次に、ブロックポリマー(G)について説明する。
本発明に係る両末端にカルボキシル基を有する構造のブロックポリマー(G)は、ポリエステル(E)から構成されたブロックと、化合物(C)から構成されたブロックとを有し、これらのブロックが、カルボキシル基と水酸基とにより形成されたエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる構造を有する。かかるブロックポリマー(G)の一例を挙げると、例えば、下記一般式(8)で表される構造を有するものが挙げられる。
本発明に係る両末端にカルボキシル基を有する構造のブロックポリマー(G)は、ポリエステル(E)から構成されたブロックと、化合物(C)から構成されたブロックとを有し、これらのブロックが、カルボキシル基と水酸基とにより形成されたエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる構造を有する。かかるブロックポリマー(G)の一例を挙げると、例えば、下記一般式(8)で表される構造を有するものが挙げられる。
一般式(8)中、(E)は、両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(E)から構成されたブロックを表し、(C)は、両末端に水酸基を有する化合物(C)から構成されたブロックを表し、tは繰り返し単位の繰り返しの数であり、好ましくは1〜10の数を表す。tは、より好ましくは1〜7の数であり、最も好ましくは1〜5の数である。
ブロックポリマー(G)中の、ポリエステル(E)から構成されたブロックの一部は、ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸のみから構成されたポリエステルからなるブロック、または、ジオールおよび芳香族ジカルボン酸のみから構成されたポリエステルからなるブロックに置き換えられていてもよい。
両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(G)は、両末端にカルボキシル基を有するポリエステル(E)と、両末端に水酸基を有する化合物(C)とを、重縮合反応させることによって得ることができるが、ポリエステル(E)と化合物(C)とが、カルボキシル基と水酸基とにより形成されたエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる構造を有するものと同等の構造を有するものであれば、必ずしもポリエステル(E)と化合物(C)とから合成する必要はない。
ポリエステル(E)と化合物(C)との反応比は、化合物(C)がXモルに対して、ポリエステル(E)がX+1モルとなるように調整すれば、両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(G)を好ましく得ることができる。
反応に際しては、ポリエステル(E)の合成反応の完結後に、ポリエステル(E)を単離せずに、化合物(C)を反応系に加えて、そのまま反応させてもよい。
重縮合反応には、エステル化反応を促進する触媒を使用してもよく、触媒としては、ジブチル錫オキサイド、テトラアルキルチタネート、酢酸ジルコニウム、酢酸亜鉛等、従来公知のものが使用できる。また、反応時に生成物の酸化を抑えるために、反応系にフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤を添加してもよい。
また、ポリエステル(E)には、ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸のみから構成されるポリエステルや、ジオールおよび芳香族ジカルボン酸からのみ構成されるポリエステルが混入していてもよく、それらをそのまま化合物(C)と反応させ、ブロックポリマー(G)を得てもよい。
ブロックポリマー(G)は、ポリエステル(E)から構成されるブロックと化合物(C)から構成されるブロック以外に、ジオールと脂肪族ジカルボン酸のみから構成されるポリエステルから構成されるブロックや、ジオールと芳香族ジカルボン酸からのみ構成されるポリエステルから構成されるブロックが構造中に含まれていてもよい。
本発明に係る高分子化合物(A)は、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(G)の末端のカルボキシル基と、反応性官能基を有する化合物(D)とにより形成されたエステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介してなる構造を有するものが好ましい。かかる高分子化合物(A)は、さらに、ポリエステル(E)のカルボキシル基と、反応性官能基を有する化合物(D)の反応性官能基とにより形成されたエステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介してなる構造を含んでいてもよい。
かかる高分子化合物(A)を得るためには、ブロックポリマー(G)のカルボキシル基と、化合物(D)の多価エポキシ化合物(D)−1のエポキシ基、多価アルコール化合物(D)−2の水酸基または多価アミン化合物(D)−3のアミノ基とを反応させればよい。
化合物(D)が、2個以上のエポキシ基を有する多価エポキシ化合物(D)−1の場合、多価エポキシ化合物(D)−1のエポキシ基の数は、反応させるブロックポリマー(G)のカルボキシル基の数の、0.5〜5当量が好ましく、0.5〜1.5当量がより好ましい。
反応させる2個以上のエポキシ基を有する多価エポキシ化合物(D)−1は、反応させるブロックポリマー(G)のカルボキシル基の、0.1〜2.0当量が好ましく、0.2〜1.5当量がより好ましい。
化合物(D)が、3個以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(D)−2の場合、多価アルコール化合物(D)−2の水酸基の数は、反応させるブロックポリマー(G)のカルボキシル基の数の、0.5〜5当量が好ましく、0.5〜1.5当量がより好ましい。
反応させる3個以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(D)−2は、反応させるブロックポリマー(G)のカルボキシル基の、0.1〜2.0当量が好ましく、0.2〜1.5当量がより好ましい。
化合物(D)が、2個以上のアミノ基を有する多価アミン化合物(D)−3の場合、多価アミン化合物(D)−3のアミノ基の数は、反応させるブロックポリマー(G)のカルボキシル基の数の、0.5〜5当量が好ましく、0.5〜1.5当量がより好ましい。
反応させる2個以上のアミノ基を有する多価アミン化合物(D)−3は、反応させるブロックポリマー(G)のカルボキシル基の、0.1〜2.0当量が好ましく、0.2〜1.5当量がより好ましい。
反応に際しては、ブロックポリマー(G)の合成反応の完結後に、ブロックポリマー(G)を単離せずに、化合物(D)を加えて、そのまま反応させてもよい。その場合、ブロックポリマー(G)を合成するときに過剰に使用した未反応のポリエステル(E)のカルボキシル基と、化合物(D)の一部の反応性官能基とが反応して、エステル結合およびアミド結合を形成してもよい。
本発明の好ましい高分子化合物(A)は、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(G)と化合物(D)とが、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合した構造を有するものと同等の構造を有するものであれば、必ずしもブロックポリマー(G)と化合物(D)に限定しなくてもよい。
本発明の樹脂組成物において、高分子化合物(A)における、ポリエステル(E)から構成されるブロックの数平均分子量は、好ましくはポリスチレン換算で800〜8,000であり、より好ましくは1,000〜6,000であり、さらに好ましくは2,000〜4,000である。また、高分子化合物(A)における、両末端に水酸基を有する化合物(C)から構成されるブロックの数平均分子量は、好ましくはポリスチレン換算で400〜6,000であり、より好ましくは1,000〜5,000であり、さらに好ましくは2,000〜4,000である。
さらに、高分子化合物(A)における、両末端にカルボキシル基を有する構造を有するブロックポリマー(G)から構成されるブロックの数平均分子量は、好ましくはポリスチレン換算で5,000〜25,000であり、より好ましくは7,000〜17,000であり、より好ましくは9,000〜13,000である。
本発明に係る高分子化合物(A)においては、ジオール、脂肪族ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からポリエステル(E)を得たのち、ポリエステル(E)を単離せずに、上記化合物(C)および/または化合物(D)と反応させてもよい。
高分子化合物(A)を熱可塑性樹脂に配合する場合は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、高分子化合物(A)は4〜40質量部、帯電防止性と樹脂物性への影響の観点から、5〜35質量部が好ましく、7〜30質量部がより好ましい。4質量部よりも少ないと、充分な帯電防止性が得られない場合があり、40質量部を超えると、成形品の物性に悪影響が出る場合がある。
次に、本発明の樹脂組成物に用いるリン酸エステル系化合物(B)について説明する。
一般式(2)で表されるリン酸エステル系化合物(B)は、熱可塑性樹脂に難燃性を付与する添加剤である。
一般式(2)で表されるリン酸エステル系化合物(B)は、熱可塑性樹脂に難燃性を付与する添加剤である。
式(2)中、R1、R2、R4およびR5は、各々独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、または下記一般式(3)で表される芳香族基を表し、R3は下記一般式(4)、(5)または(6)、で表される2価の芳香族基を表し、rは0〜30の数である。
式(4)、(5)および(6)中、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11およびH12は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。Lは直接結合、2価の硫黄原子、スルホン基または炭素原子数1〜5のアルキリデン基またはアルキレン基を表す。
一般式(2)中、R1、R2、R4およびR5で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノニル、デシル等を挙げることができる。
一般式(2)中、R1、R2、R4およびR5において、一般式(3)で表される芳香族基としては、例えば、フェニル、2,6−ジメチルフェニル、クレジル、キシレニル、イソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、等が挙げられる。
一般式(3)中、H1およびH2で表される炭素原子数1〜10のアルキル基は、前述したものと同じものが挙げられる。
一般式(2)中のR3は、上記一般式(4)、(5)および(6)から選択される2価の芳香族基を表す。
一般式(4)、(5)および(6)中、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11およびH12で表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、tert−オクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノニル、デシル等が挙げられ、好ましくは、炭素原子数1〜8のアルキル基であり、特に好ましくは、メチル、tert−ブチルである。
一般式(4)、(5)および(6)中、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11およびH12表されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。好ましくは、炭素原子数3〜7のシクロアルキル基であり、特に好ましくは、シクロヘキシルである。
一般式(4)、(5)および(6)中、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11およびH12表されるアリール基としては、例えば、フェニル、クレジル、キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−トリメチルフェニル、ブチルフェニル、ノニルフェニル等が挙げられる。
一般式(4)、(5)および(6)中、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11およびH12表されるアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられる。
一般式(4)、(5)および(6)中、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11およびH12表されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
一般式(5)中のLは、直接結合、2価の硫黄原子、スルホニル基、または炭素原子数1〜5のアルキリデン基またはアルキレン基を表す。
一般式(5)中のLで表される炭素原子数1〜5のアルキリデン基としては、例えば、エチリデン、イソプロピリデン、ブチリデン、イソブチリデン等が挙げられ、炭素原子数1〜5のアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、へプチレン等が挙げられる。
一般式(4)で表される2価の芳香族基の具体例としては、例えば、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン等が挙げられる。
一般式(5)で表される2価の芳香族基の具体例としては、例えば、1,4’−ビフェニレン、(1−メチルエチリデン)−ジ−4,1−フェニレン、4,4’−チオジフェニレン、4,4’−スルホニルジフェニレン等が挙げられる。
一般式(6)で表される2価の芳香族基の具体例としては、例えば、1,5−ナフチレン、2,6−ナフチレン等が挙げられる。
また、リン酸エステル系化合物(B)を表す一般式(1)におけるrは、0〜30の数であり、縮合物のリン酸エステル系化合物はより難燃性が高いので、rは、1〜10がより好ましく、1〜5がより好ましい。
本発明の樹脂組成物において、リン酸エステル系化合物(B)の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、および下記に示す化合物が挙げられる。ただし、本発明の樹脂組成物は、これらの例示した化合物によって制限されるものではない。
リン酸エステル系化合物(B)の製品としては、例えば、株式会社ADEKA製「アデカスタブPFR」、「アデカスタブFP−500」、「アデカスタブFP−600」、「アデカスタブFP−700」、「アデカスタブFP−800」、「アデカスタブFP−900」、大八化学工業株式会社製「CR−504L」、「CR−570」、味の素ファインテクノ株式会社製「クロニテックスTXP」、「デュラッドTXP」、「レオフォス35」、「レオフォス50」、「レオフォス65」、「レオフォス95」、「レオフォス110」等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、帯電防止性とその持続性の点から、さらに、1種以上のアルカリ金属塩(F)を含有することが好ましい。
アルカリ金属塩(F)としては、有機酸または無機酸の塩が挙げられる。アルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム等が挙げられる。有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、ペンタン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の炭素原子数1〜18の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸等の炭素原子数1〜12の脂肪族ジカルボン酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の炭素原子数1〜20のスルホン酸等が挙げられる。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、硝酸、過塩素酸等が挙げられる。中でも、帯電防止性の点から、リチウム、ナトリウム、カリウムがより好ましく、リチウム、ナトリウムが最も好ましい。また、帯電防止性の点から、酢酸の塩、過塩素酸の塩、p−トルエンスルホン酸の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩が好ましい。
アルカリ金属塩(F)の具体例としては、例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酪酸リチウム、酪酸ナトリウム、酪酸カリウム、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、12−ヒドロキシステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、12−ヒドロキシステアリン酸カリウム、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、p−トルエンスルホン酸リチウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、p−トルエンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム等が挙げられる。これらの中で好ましいのは、酢酸リチウム、酢酸カリウム、p−トルエンスルホン酸リチウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、塩化リチウム等が挙げられる。
アルカリ金属塩(F)の配合量は、帯電防止性の点から、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01〜5.0質量部であり、0.1〜3.0質量部が好ましく、0.3〜2.0質量部がより好ましい。アルカリ金属塩(F)の量が、0.01質量部未満だとアルカリ金属塩(F)を添加する効果が充分ではない場合があり、5.0質量部を超えると、樹脂の物性に悪影響がある場合がある。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに第2族元素の塩を含有してもよい。
第2族元素の塩としては、有機酸または無機酸の塩が挙げられ、第2族元素の例としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等の炭素原子数1〜18の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸等の炭素原子数1〜12の脂肪族ジカルボン酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の炭素原子数1〜20のスルホン酸等が挙げられる。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、硝酸、過塩素酸等が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤を配合してもよい。界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を使用することができる。
非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤;ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビット若しくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等のカルボン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩;高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
界面活性剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.3〜4質量部がより好ましい。
さらに、本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、高分子型帯電防止剤を配合してもよい。高分子帯電防止剤としては、例えば、公知のポリエーテルエステルアミド等の高分子型帯電防止剤を使用することができ、公知のポリエーテルエステルアミドとしては、例えば、特開平7−10989号公報に記載のビスフェノールAのポリオキシアルキレン付加物からなるポリエーテルエステルアミドが挙げられる。また、ポリオレフィンブロックと親水性ポリマーブロックとの結合単位が2〜50の繰り返し構造を有するブロックポリマーを使用することができ、例えば、米国特許第6552131号明細書記載のブロックポリマーを挙げることができる。
高分子型帯電防止剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
さらにまた、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、イオン性液体を配合してもよい。イオン性液体の例としては、室温以下の融点を有し、イオン性液体を構成するカチオンまたはアニオンのうち少なくとも一つが有機物イオンであり、初期電導度が好ましくは1〜200ms/cm、より好ましくは10〜200ms/cmである常温溶融塩であって、例えば、国際公開第95/15572号に記載の常温溶融塩が挙げられる。
イオン性液体を構成するカチオンとしては、アミジニウム、ピリジニウム、ピラゾリウムおよびグアニジニウムカチオンからなる群から選ばれるカチオンが挙げられる。
アミジニウムカチオンとしては、下記のものが挙げられる。
(1)イミダゾリニウムカチオン
炭素原子数5〜15のものが挙げられ、例えば、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチルイミダゾリニウム;
(2)イミダゾリウムカチオン
炭素原子数5〜15のものが挙げられ、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム;
(3)テトラヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6〜15のものが挙げられ、例えば、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム;
(4)ジヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6〜20のものが挙げられ、例えば、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,9−ウンデカジエニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,10−ウンデカジエニウム。
(1)イミダゾリニウムカチオン
炭素原子数5〜15のものが挙げられ、例えば、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム、1,3−ジメチルイミダゾリニウム;
(2)イミダゾリウムカチオン
炭素原子数5〜15のものが挙げられ、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム;
(3)テトラヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6〜15のものが挙げられ、例えば、1,3−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、1,2,3,4−テトラメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム;
(4)ジヒドロピリミジニウムカチオン
炭素原子数6〜20のものが挙げられ、例えば、1,3−ジメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、1,3−ジメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,9−ウンデカジエニウム、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7,10−ウンデカジエニウム。
ピリジニウムカチオンとしては、炭素原子数6〜20のものが挙げられ、例えば、3−メチル−1−プロピルピリジニウム、1−ブチル−3,4−ジメチルピリジニウムが挙げられる。
ピラゾリウムカチオンとしては、炭素原子数5〜15のものが挙げられ、例えば、1、2−ジメチルピラゾリウム、1−n−ブチル−2−メチルピラゾリウムが挙げられる。
グアニジニウムカチオンとしては、下記のものが挙げられる。
(1)イミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8〜15のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム;
(2)イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8〜15のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム;
(3)テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10〜20のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム;
(4)ジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10〜20のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム。
(1)イミダゾリニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8〜15のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム;
(2)イミダゾリウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数8〜15のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、2−ジエチルアミノ−1,3,4−トリメチルイミダゾリウム;
(3)テトラヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10〜20のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジニウム;
(4)ジヒドロピリミジニウム骨格を有するグアニジニウムカチオン
炭素原子数10〜20のものが挙げられ、例えば、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、2−ジメチルアミノ−1,3,4−トリメチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,4−ジヒドロピリミジニウム、2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−4−エチル−1,6−ジヒドロピリミジニウム。
カチオンは1種を単独で用いても、また、2種以上を併用しても、いずれでもよい。これらのうち、帯電防止性の観点から好ましくはアミジニウムカチオン、より好ましくはイミダゾリウムカチオン、特に好ましくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンである。
イオン性液体において、アニオンを構成する有機酸または無機酸としては、下記のものが挙げられる。有機酸としては、例えば、カルボン酸、硫酸エステル、スルホン酸およびリン酸エステル;無機酸としては、例えば、超強酸(例えば、ホウフッ素酸、四フッ化ホウ素酸、過塩素酸、六フッ化リン酸、六フッ化アンチモン酸および六フッ化ヒ素酸)、リン酸およびホウ酸が挙げられる。上記有機酸および無機酸は、1種を単独で用いても、また、2種以上を併用しても、いずれでもよい。
有機酸および無機酸のうち、イオン性液体の帯電防止性の観点から好ましいのは、イオン性液体を構成するアニオンのHammett酸度関数(−Ho)が12〜100である、超強酸の共役塩基、超強酸の共役塩基以外のアニオンを形成する酸およびこれらの混合物である。
超強酸の共役塩基以外のアニオンとしては、例えば、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素および臭素)イオン、アルキル(炭素原子数1〜12)ベンゼンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸)イオンおよびポリ(n=1〜25)フルオロアルカンスルホン酸(例えば、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸)イオンが挙げられる。
また、超強酸としては、プロトン酸およびプロトン酸とルイス酸との組み合わせから誘導されるもの、およびこれらの混合物が挙げられる。超強酸としてのプロトン酸としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド酸、ビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メタン、過塩素酸、フルオロスルホン酸、アルカン(炭素原子数1〜30)スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等)、ポリ(n=1〜30)フルオロアルカン(炭素原子数1〜30)スルホン酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸およびトリデカフルオロヘキサンスルホン酸)、ホウフッ素酸および四フッ化ホウ素酸が挙げられる。これらのうち、合成の容易さの観点から好ましいのはホウフッ素酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸およびビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド酸である。
ルイス酸と組合せて用いられるプロトン酸としては、例えば、ハロゲン化水素(例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素)、過塩素酸、フルオロスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、ウンデカフルオロペンタンスルホン酸、トリデカフルオロヘキサンスルホン酸およびこれらの混合物が挙げられる。これらのうち、イオン性液体の初期電導度の観点から好ましいのはフッ化水素である。
ルイス酸としては、例えば、三フッ化ホウ素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化ヒ素、五フッ化タンタルおよびこれらの混合物が挙げられる。これらのうちでも、イオン性液体の初期電導度の観点から好ましいのは三フッ化ホウ素および五フッ化リンである。
プロトン酸とルイス酸との組み合わせは任意であるが、これらの組み合わせからなる超強酸としては、例えば、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、六フッ化タンタル酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化タンタルスルホン酸、四フッ化ホウ素酸、六フッ化リン酸、塩化三フッ化ホウ素酸、六フッ化ヒ素酸およびこれらの混合物が挙げられる。
上記のアニオンのうち、イオン性液体の帯電防止性の観点から好ましいのは超強酸の共役塩基(プロトン酸からなる超強酸およびプロトン酸とルイス酸との組合せからなる超強酸)であり、さらに好ましいのはプロトン酸からなる超強酸およびプロトン酸と、三フッ化ホウ素および/または五フッ化リンとからなる超強酸の共役塩基である。
イオン性液体のうち、帯電防止性の観点から好ましいのは、アミジニウムカチオンを有するイオン性液体、より好ましいのは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンを有するイオン性液体、特に好ましいのは1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドである。
イオン性液体を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
さらにまた、本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、相溶化剤を配合してもよい。相溶化剤を配合することで、帯電防止成分と他成分や樹脂成分との相溶性を向上させることができる。相溶化剤としては、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基およびポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基(極性基)を有する変性ビニル重合体、例えば、特開平3−258850号公報に記載の重合体や、特開平6−345927号公報に記載のスルホニル基を有する変性ビニル重合体、あるいはポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック重合体等が挙げられる。
相溶化剤を配合する場合の配合量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.1〜3質量部がより好ましい。
また、本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤をさらに添加することができ、これにより、本発明の樹脂組成物を安定化させることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。これらのフェノール系酸化防止剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。これらのリン系酸化防止剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。
チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、および、ペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルチオプロピオン酸)エステル類が挙げられる。これらのチオエーテル系酸化防止剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜30質量部が好ましく、0.05〜10質量部がより好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.001〜30質量部が好ましく、0.05〜10質量部がより好ましい。
さらに、必要に応じてさらに、帯電防止性熱可塑性樹脂中の残渣触媒を中和するために、公知の中和剤を添加することが好ましい。中和剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム等の脂肪酸金属塩、または、エチレンビス(ステアロアミド)、エチレンビス(12−ヒドロキシステアロアミド)、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド化合物が挙げられ、これら中和剤は混合して用いてもよい。
さらにまた、本発明の樹脂組成物には、必要に応じてさらに、芳香族カルボン酸金属塩、脂環式アルキルカルボン酸金属塩、p−第三ブチル安息香酸アルミニウム、ジベンジリデンソルビトール類、芳香族リン酸エステル金属塩等の造核剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、本発明に係るリン酸エステル系化合物(B)とは異なるリン酸エステル系難燃剤、無機リン系難燃剤、(ポリ)リン酸塩系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、シリコン系難燃剤、三酸化アンチモン等の酸化アンチモン、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃助剤等を添加してもよい。
トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3−ヘキシレンジメラミン等が挙げられる。
金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(水酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)等が挙げられる。
リン酸エステル系化合物(B)成分とは異なるリン酸エステル系難燃剤としては、例えば、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、等が挙げられる。
(ポリ)リン酸塩系難燃剤の例としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン等の(ポリ)リン酸のアンモニウム塩やアミン塩が挙げられる。
その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルク、モンモリロナイト等の無機化合物、およびその表面処理品が挙げられ、例えば、TIPAQUE R−680(酸化チタン:石原産業(株)製)、キョーワマグ150(酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、等の種々の市販品を用いることができる。また、その他の有機系難燃助剤としては、例えば、ペンタエリスリトールが挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて通常熱可塑性樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、可塑剤、滑剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、染料、加工助剤、充填剤、発泡剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、熱可塑性樹脂に、高分子化合物(A)、一般式(1)で表される化合物(C)、必要に応じてアルカリ金属塩(F)およびその他の任意成分を配合すればよく、その方法は、通常使用されている任意の方法を用いることができる。例えば、ロール混練り、バンパー混練り、押し出し機、ニーダー等により混合、練り込みして配合すればよい。
また、高分子化合物(A)は、そのまま添加してもよいが、必要に応じて、担体に含浸させてから添加してもよい。担体に含浸させるには、そのまま加熱混合してもよいし、必要に応じて、有機溶媒で希釈してから担体に含浸させ、その後に溶媒を除去する方法でもよい。こうした担体としては、合成樹脂のフィラーや充填剤として知られているもの、または、常温で固体の難燃剤や光安定剤が使用でき、例えば、ケイ酸カルシウム粉末、シリカ粉末、タルク粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、または、これら担体の表面を化学修飾したもの、先に挙げた難燃剤や酸化防止剤の中で固体のもの等が挙げられる。これらの担体の中でも担体の表面を化学修飾したものが好ましく、シリカ粉末の表面を化学修飾したものがより好ましい。これらの担体は、平均粒径が0.1〜100μmのものが好ましく、0.5〜50μmのものがより好ましい。
さらに、高分子化合物(A)の樹脂成分への配合方法としては、ブロックポリマー(G)と、反応性官能基を有する化合物(D)とを樹脂成分に練り込みながら高分子化合物(A)を合成して配合してもよく、そのときに化合物(C)、必要に応じてアルカリ金属塩(F)を同時に練り込んでもよく、また、射出成型等の成型時に高分子化合物(A)と化合物(C)、樹脂成分と、必要に応じてアルカリ金属塩(F)とを混合して成形品を得る方法で配合してもよく、さらに、あらかじめ熱可塑性樹脂と、高分子化合物(A)、必要に応じてアルカリ金属塩(F)とのマスターバッチを製造しておき、このマスターバッチを配合してもよい。
次に、本発明の成形体について説明する。
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物が成形されてなるものである。本発明の樹脂組成物を成形することにより、難燃性および持続性の有る帯電防止性に優れた成形品を製造することができる。成形方法としては、特に限定されるものではなく、押出加工、カレンダー加工、射出成形、ロール、圧縮成形、ブロー成形、回転成形等が挙げられ、樹脂板、シート、フィルム、ボトル、繊維、異形品等の種々の形状の成形品が製造できる。
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物が成形されてなるものである。本発明の樹脂組成物を成形することにより、難燃性および持続性の有る帯電防止性に優れた成形品を製造することができる。成形方法としては、特に限定されるものではなく、押出加工、カレンダー加工、射出成形、ロール、圧縮成形、ブロー成形、回転成形等が挙げられ、樹脂板、シート、フィルム、ボトル、繊維、異形品等の種々の形状の成形品が製造できる。
本発明の成形体は、優れた帯電防止性と難燃性を有する。通常、帯電防止剤を配合した場合物性が低下する場合が多いが、本発明の成形体は、帯電防止性能およびその持続性に優れるものであり、物性低下が少ない。また、成形体表面の拭き取りに対する耐性も有する。
本発明の樹脂組成物およびその成形体は、電気・電子・通信、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機器、木材、建材、土木、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に使用できる。
より具体的には、本発明の樹脂組成物およびその成形体は、、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、カード、ホルダー、文具等の事務、OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品および通信機器、自動車用内外装材、インターメディエイト・バルク・コンテナ、人工芝、製版用フィルム、粘着フィルム、ボトル、食品用容器、食品包装用フィルム、製薬・医薬用ラップフィルム、製品包装フィルム、農業用フィルム、農業用シート、温室用フィルム等の用途に用いられる。
さらに、本発明の樹脂組成物およびその成形体は、座席(詰物、表地等)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被覆材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、デッキ材、壁材、柱材、敷板、塀の材料、骨組および繰形、窓およびドア形材、こけら板、羽目、テラス、バルコニー、防音板、断熱板、窓材等の自動車、車両、船舶、航空機、建物、住宅および建築用材料や土木材料、衣料、カーテン、シーツ、不織布、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、楽器等の生活用品、スポーツ用品等の各種用途に使用することができる。
以下、本発明を、実施例を用いて具体的に説明する。
下記の製造例に従い、高分子化合物(A)を製造した。また、下記の製造例において数平均分子量は、下記の方法で測定した。
下記の製造例に従い、高分子化合物(A)を製造した。また、下記の製造例において数平均分子量は、下記の方法で測定した。
〔分子量測定〕
数平均分子量(以下、「Mn」と称する)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定した。Mnの測定条件は以下の通りである。
装置 :日本分光株式会社製GPC装置
溶媒 :テトラヒドロフラン
基準物質 :ポリスチレン
検出器 :示差屈折計(RI検出器)
カラム固定相 :昭和電工株式会社製Shodex KF−804L
カラム温度 :40℃
サンプル濃度 :1mg/1mL
流量 :0.8mL/min.
注入量 :100μL
数平均分子量(以下、「Mn」と称する)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定した。Mnの測定条件は以下の通りである。
装置 :日本分光株式会社製GPC装置
溶媒 :テトラヒドロフラン
基準物質 :ポリスチレン
検出器 :示差屈折計(RI検出器)
カラム固定相 :昭和電工株式会社製Shodex KF−804L
カラム温度 :40℃
サンプル濃度 :1mg/1mL
流量 :0.8mL/min.
注入量 :100μL
〔製造例1〕(高分子化合物(A)−1の製造)
セパラブルフラスコに、ジオールとして、1,4−シクロヘキサンジメタノールを656g(4.55モル)、脂肪族ジカルボン酸として、アジピン酸を708g(4.85モル)、芳香族ジカルボン酸として、無水フタル酸を0.7g(4.73×10−3モル)、酸化防止剤(テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン;株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブAO−60」)を0.7g仕込み、160℃から210℃まで徐々に昇温しながら常圧で5時間、その後210℃、減圧下で3時間重合してポリエステル(E)−1を得た。ポリエステル(E)−1の酸価は28、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で5,400であった。
セパラブルフラスコに、ジオールとして、1,4−シクロヘキサンジメタノールを656g(4.55モル)、脂肪族ジカルボン酸として、アジピン酸を708g(4.85モル)、芳香族ジカルボン酸として、無水フタル酸を0.7g(4.73×10−3モル)、酸化防止剤(テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン;株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブAO−60」)を0.7g仕込み、160℃から210℃まで徐々に昇温しながら常圧で5時間、その後210℃、減圧下で3時間重合してポリエステル(E)−1を得た。ポリエステル(E)−1の酸価は28、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で5,400であった。
次に得られたポリエステル(E)−1を600g、一般式(1)で表される基を一つ以上有し、両末端に水酸基を有する化合物(C)として、数平均分子量4,000のポリエチレングリコール(C)−1を300g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)0.5g、オクチル酸ジルコニウム0.8gを仕込み、210℃で7時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(G)−1を得た。このブロックポリマー(G)−1の酸価は9、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で12,000であった。
得られた両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(G)−1の360gに、反応性官能基を有する化合物(D)として、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(D)−1を6g仕込み、240℃で3時間、減圧下で重合して、高分子化合物(A)−1を得た。
〔製造例2〕(高分子化合物(A)−2の製造)
セパラブルフラスコに、ジオールとして、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンを370g(1.87モル)、脂肪族ジカルボン酸として、アジピン酸を289g(1.98モル)、芳香族ジカルボン酸として、イソフタル酸を8g(0.05モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.5g仕込み、180℃から220℃まで徐々に昇温しながら常圧で5時間重合した。その後、テトライソプロポキシチタネートを0.5g仕込み、220℃、減圧下で5時間重合して、ポリエステル(E)−2を得た。ポリエステル(E)−2の酸価は56、数平均分子量Mnは、ポリスチレン換算で4,900であった。
セパラブルフラスコに、ジオールとして、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンを370g(1.87モル)、脂肪族ジカルボン酸として、アジピン酸を289g(1.98モル)、芳香族ジカルボン酸として、イソフタル酸を8g(0.05モル)、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.5g仕込み、180℃から220℃まで徐々に昇温しながら常圧で5時間重合した。その後、テトライソプロポキシチタネートを0.5g仕込み、220℃、減圧下で5時間重合して、ポリエステル(E)−2を得た。ポリエステル(E)−2の酸価は56、数平均分子量Mnは、ポリスチレン換算で4,900であった。
得られたポリエステル(E)−2を300g、一般式(1)で表される基を一つ以上有し両末端に水酸基を有する化合物(C)として、数平均分子量4,000のポリエチレングリコール(C)−1を150g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.5g、酢酸ジルコニウムを0.5g仕込み、220℃で7時間、減圧下で重合して、両末端にカルボキシルを有するブロックポリマー(G)−2を得た。このブロックポリマー(G)−2の酸価は11、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で12,300であった。
得られたブロックポリマー(G)−2の300gに、多価エポキシ化合物の反応性官能基を有する化合物(D)として、ジシクロペンタジエンメタノールジグリシジルエーテルを11g仕込み、240℃で4時間、減圧下で重合して、高分子化合物(A)−2を得た。
〔製造例3〕(高分子化合物(A)−3の製造)
セパラブルフラスコに、ジオールとして、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を591g、脂肪族ジカルボン酸として、セバシン酸を235g(1.16モル)、芳香族ジカルボン酸として、イソフタル酸を8g(0.05モル)、一般式(1)で表される基を一つ以上有し両末端に水酸基を有する化合物(C)として、数平均分子量2,000のポリエチレングリコール(C)−2を300g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.8g仕込み、180℃から220℃まで徐々に昇温しながら常圧で5時間重合した。その後、テトライソプロポキシチタネートを0.6g仕込み、220℃、減圧下で7時間重合して、両末端にカルボキシルを有するブロックポリマー(G)−3を得た。このブロックポリマー(G)−3の酸価は10、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で10,100であった。
セパラブルフラスコに、ジオールとして、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を591g、脂肪族ジカルボン酸として、セバシン酸を235g(1.16モル)、芳香族ジカルボン酸として、イソフタル酸を8g(0.05モル)、一般式(1)で表される基を一つ以上有し両末端に水酸基を有する化合物(C)として、数平均分子量2,000のポリエチレングリコール(C)−2を300g、酸化防止剤(アデカスタブAO−60)を0.8g仕込み、180℃から220℃まで徐々に昇温しながら常圧で5時間重合した。その後、テトライソプロポキシチタネートを0.6g仕込み、220℃、減圧下で7時間重合して、両末端にカルボキシルを有するブロックポリマー(G)−3を得た。このブロックポリマー(G)−3の酸価は10、数平均分子量Mnはポリスチレン換算で10,100であった。
得られたブロックポリマー(G)−3の300gに、多価エポキシ化合物の反応性官能基を有する化合物(D)として、エポキシ化大豆油(D)−3を7g、酢酸ジルコニウムを0.5g仕込み、240℃で5時間、減圧下で重合して、高分子化合物(A)−3を得た。
〔実施例1〜27、比較例1〜14〕
フェノール系酸化防止剤(株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブAO−60」)0.05質量部、リン系酸化防止剤(株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブ2112」)0.1質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、および、下記の表1〜6に記載した配合量(質量部)に基づいてブレンドした樹脂組成物を用いて、下記に示す試験片作製条件に従い、試験片を得た。得られた試験片を用いて、下記の方法で、表面固有抵抗値(SR値)の測定、耐水拭き性試験および難燃性UL−94V試験を行った。
フェノール系酸化防止剤(株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブAO−60」)0.05質量部、リン系酸化防止剤(株式会社ADEKA製商品名「アデカスタブ2112」)0.1質量部、ステアリン酸カルシウム0.05質量部、および、下記の表1〜6に記載した配合量(質量部)に基づいてブレンドした樹脂組成物を用いて、下記に示す試験片作製条件に従い、試験片を得た。得られた試験片を用いて、下記の方法で、表面固有抵抗値(SR値)の測定、耐水拭き性試験および難燃性UL−94V試験を行った。
<試験片作製条件>
各樹脂組成物を、(株)池貝製の2軸押出機(PCM30,60mesh入り)を用いて、230℃、9kg/時間の条件で造粒し、ペレットを得た。得られたペレットを、横型射出成形機(NEX80:日精樹脂工業(株)製)を用い、樹脂温度230℃、金型温度50℃の加工条件で成形し、表面固有抵抗値測定用試験片(100mm×100mm×3mm)および難燃性UL−94V試験用試験片(127mm×12.7mm×1.6mm)を得た。なお、表中*1〜*6およびリン酸エステル系化合物(B)は下記のとおりである。
各樹脂組成物を、(株)池貝製の2軸押出機(PCM30,60mesh入り)を用いて、230℃、9kg/時間の条件で造粒し、ペレットを得た。得られたペレットを、横型射出成形機(NEX80:日精樹脂工業(株)製)を用い、樹脂温度230℃、金型温度50℃の加工条件で成形し、表面固有抵抗値測定用試験片(100mm×100mm×3mm)および難燃性UL−94V試験用試験片(127mm×12.7mm×1.6mm)を得た。なお、表中*1〜*6およびリン酸エステル系化合物(B)は下記のとおりである。
*1:熱可塑性樹脂1;耐衝撃性ポリスチレン(メルトフローレート=2.7g/10min)、東洋スチレン株式会社製 商品名「E640N」
*2:熱可塑性樹脂2;ABS樹脂(メルトフローレート=23g/10min)、テクノポリマー株式会社製 商品名「テクノABS110」
*3:NaDBS;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
*4:LiOTs;p−トルエンスルホン酸リチウム
*5:グリセリンモノステアレート
*6:ポリエーテルエステルアミド系帯電防止剤、BASF社製 商品名「イルガスタットP−20」
*2:熱可塑性樹脂2;ABS樹脂(メルトフローレート=23g/10min)、テクノポリマー株式会社製 商品名「テクノABS110」
*3:NaDBS;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
*4:LiOTs;p−トルエンスルホン酸リチウム
*5:グリセリンモノステアレート
*6:ポリエーテルエステルアミド系帯電防止剤、BASF社製 商品名「イルガスタットP−20」
〔評価に用いたリン酸エステル系化合物(B)〕
化合物1:下記一般式(9)で表される化合物であり、r=1の化合物を84質量%含む。
化合物2:上記一般式(9)で表される化合物であり、r=1に該当する化合物を90質量%含む。
化合物3:下記一般式(10)で表される化合物であり、r=1に該当する化合物を91質量%含む。
化合物4:上記一般式(10)で表される化合物であり、r=1に該当する化合物を81質量%含む。
化合物5:下記一般式(11)で表される化合物であり、r=1に該当する化合物を90質量%含む。
化合物1:下記一般式(9)で表される化合物であり、r=1の化合物を84質量%含む。
化合物2:上記一般式(9)で表される化合物であり、r=1に該当する化合物を90質量%含む。
化合物3:下記一般式(10)で表される化合物であり、r=1に該当する化合物を91質量%含む。
化合物4:上記一般式(10)で表される化合物であり、r=1に該当する化合物を81質量%含む。
化合物5:下記一般式(11)で表される化合物であり、r=1に該当する化合物を90質量%含む。
<表面固有抵抗値測定方法>
得られた表面固有抵抗値測定用試験片(100mm×100mm×3mm)を、成形加工後直ちに、温度25℃、湿度60%RHの条件下に保存し、成形加工の1日および30日保存後に、同雰囲気下で、アドバンテスト社製のR8340抵抗計を用いて、印加電圧500V、印加時間1分の条件で、表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。測定は5点について行い、その平均値を求めた。
得られた表面固有抵抗値測定用試験片(100mm×100mm×3mm)を、成形加工後直ちに、温度25℃、湿度60%RHの条件下に保存し、成形加工の1日および30日保存後に、同雰囲気下で、アドバンテスト社製のR8340抵抗計を用いて、印加電圧500V、印加時間1分の条件で、表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。測定は5点について行い、その平均値を求めた。
<耐水拭き性試験>
得られた表面固有抵抗値測定用試験片(100mm×100mm×3mm)の表面を流水中ウエスで50回拭いた後、25℃、湿度60%に調整された恒温恒湿槽内に24時間静置し、その後、アドバンテスト社製、R8340抵抗計を用いて、印加電圧500V、印加時間1分の条件で、表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。測定は5点で行い、その平均値を求めた。
得られた表面固有抵抗値測定用試験片(100mm×100mm×3mm)の表面を流水中ウエスで50回拭いた後、25℃、湿度60%に調整された恒温恒湿槽内に24時間静置し、その後、アドバンテスト社製、R8340抵抗計を用いて、印加電圧500V、印加時間1分の条件で、表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。測定は5点で行い、その平均値を求めた。
<難燃性UL−94V試験>
得られた難燃性UL−94V試験用試験片(127mm×12.7mm×1.6mm)を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後で炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行ない、1回目と同様にして着火した火が消える時間を測定した。また、落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。1回目と2回目の燃焼時間、および綿着火の有無等から、UL−94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最高のものであり、V−1、V−2となるにしたがって難燃性は低下する。ただし、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しないものはNRとした。
得られた難燃性UL−94V試験用試験片(127mm×12.7mm×1.6mm)を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後で炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行ない、1回目と同様にして着火した火が消える時間を測定した。また、落下する火種により試験片の下の綿が着火するか否かについても同時に評価した。1回目と2回目の燃焼時間、および綿着火の有無等から、UL−94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最高のものであり、V−1、V−2となるにしたがって難燃性は低下する。ただし、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しないものはNRとした。
なお、熱可塑性樹脂1を100質量部に対し、高分子化合物(A)−1を41質量部、リン酸エステル系化合物(B)として、化合物1を30質量部配合したものは、成形できず、試験片を作成できなかった。また、熱可塑性樹脂1を90質量部、高分子化合物(A)−1を10質量部、リン酸エステル系化合物(B)として、化合物1を41質量部配合した樹脂組成物は、試験片からリン酸エステル系化合物(B)がブリードアウトしたため評価しなかった。
比較例4、5、11、12より、本発明に係る高分子化合物(A)とは異なる帯電防止剤を用いた場合、帯電防止性の効果は不十分であり、水拭き後に帯電防止性が損なわれたり、難燃化に乏しい場合があった。また、比較例7、14より、本発明に係る高分子化合物(A)とは異なる帯電防止剤を用いた場合、帯電防止性の効果は不十分であり、難燃化も十分ではなかった。これらに対し、実施例1〜27より、本発明の樹脂組成物を成形した試験片は、優れた帯電防止性とその長期維持、および優れた難燃性を有することが確認できた。
Claims (11)
- 前記リン酸エステル系化合物(B)が、下記一般式(2)、
(式(2)中、R1、R2、R4およびR5は、各々独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、または下記一般式(3)、
(式(3)中のH1およびH2は各々独立に、水素原子、ヒドロキシ基または炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。)で表される芳香族基を表し、R3は下記一般式(4)、(5)または(6)、
(式(4)、(5)および(6)中、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9、H10、H11およびH12は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表す。Lは直接結合、2価の硫黄原子、スルホニル基または炭素原子数1〜5のアルキリデン基またはアルキレン基を表す。)で表される2価の芳香族基を表し、rは0〜30の数である。)で表される少なくとも1種以上の化合物である請求項1記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。 - 前記高分子化合物(A)が、ジオール、脂肪族ジカルボン酸、および芳香族ジカルボン酸から構成されるポリエステル(E)と、前記化合物(C)と、前記化合物(D)とが、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる請求項1または2記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
- 前記高分子化合物(A)が、前記ポリエステル(E)から構成されたブロックおよび前記化合物(C)から構成されたブロックがエステル結合を介して繰り返し交互に結合してなる両末端にカルボキシル基を有するブロックポリマー(G)と、前記化合物(D)とが、エステル結合を介して、または、エステル結合およびアミド結合を介して結合してなる構造を有する請求項3記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
- 前記ポリエステル(E)から構成されたブロックの数平均分子量がポリスチレン換算で800〜8,000であり、前記化合物(C)から構成されたブロックの数平均分子量がポリスチレン換算で400〜6,000であり、かつ、前記ブロックポリマー(G)の数平均分子量が、ポリスチレン換算で、5,000〜25,000である請求項3または4記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
- 前記ポリエステル(E)が、両末端にカルボキシル基を有する構造である請求項3〜5のうちいずれか一項記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
- 前記化合物(D)が、2個以上のエポキシ基を有する多価エポキシ化合物(D)−1、3個以上の水酸基を有する多価アルコール化合物(D)−2、および2個以上のアミノ基を有する多価アミン化合物(D)−3からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜6のうちいずれか一項記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
- 前記化合物(C)が、ポリエチレングリコールである請求項1〜7のうちいずれか一項記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
- さらに、1種以上のアルカリ金属塩(F)0.01〜5質量部を含有する請求項1〜8のうちいずれか一項記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
- 前記熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂である請求項1〜9のうちいずれか一項記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜10のうちいずれか一項記載の帯電防止性熱可塑性樹脂組成物が成形されてなることを特徴とする成形体。
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