JP2016191085A - 銅微粒子ペースト及びその製造方法 - Google Patents

銅微粒子ペースト及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パワーモジュールの接合材料として適した、耐熱性に優れた焼結体を製造可能な、銅微粒子ペーストを提供すること。【解決手段】パワーモジュール接合材用銅微粒子ペーストであって、銅微粒子ペーストが、表面処理された銅微粒子を60〜90wt%の範囲、溶剤を10〜40wt%の範囲で含み、10μmの孔径のフィルターの透過率が60%以上であり、1μmの孔径のフィルターの透過率が20%以下であり、表面処理された銅微粒子が、D50が1μm以下である銅微粒子が、3級アミン化合物、4級アミン化合物、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択された1種以上のアミン化合物で表面処理されてなる、表面処理された銅微粒子である、銅微粒子ペースト。【選択図】 図2

Description

本発明は、応力緩和特性に優れた焼成体を形成する銅微粒子ペースト、及びその製造方法に関する。
[パワーモジュール]
パワーデバイスが搭載されるモジュールは、セラミック基板上の配線にはんだを介してデバイスが搭載されている。この部分は、絶縁性を確保するために封止樹脂で覆われる。デバイスで発生した熱は、はんだ、放熱ベースを経由して放熱される。
[モジュール構成材料の耐熱性]
ハイブリッド自動車では電池の搭載スペースを確保するために、パワーデバイスの高出力化が求められている。また、従来は冷却水の系統として、インバーター(約70℃に冷却)とエンジン(約120℃に冷却)の2系統必要であったのに対して、省スペースの観点から、インバーターとエンジンの冷却水系統を統一(約120℃に冷却)する試みが検討されている。さらに、省スペース化の観点から、乗車スペースに取り付けられていたデバイスをエンジンに直接取り付けることが検討されている。これらを実現するために、モジュールを構成する材料には高い耐熱性が求められるようになっている。典型的には300℃以上の耐熱性が必要とされている。
[接合材料としてのハンダ]
これまでは、デバイスの搭載に使用されていた接合材料は鉛はんだであった。しかし、RoHS,ELV指令により、鉛はんだ代替材料が注目されている。高温の鉛フリーはんだとしては、Bi系が挙げられるが、形成される化合物は脆いので接合材料として難しさがある。Au−Sn系はAuを含むので高価である。Sn−Agはんだでは300℃以上では融解してしまい、高温下での接合材料として難しさがある。
[銀ナノ粒子ペースト]
そこで、金属ナノ粒子ペーストによる接合が検討されている。平均粒径D50が0.1μm以下の金属ナノ粒子は表面エネルギーが高いので、粒子を構成する金属の融点よりも低い温度で焼結する。金属ナノ粒子は一旦低温で焼結されると、その金属の融点近くまで融解しないので、高温耐熱性の接合材料とし非常に有利であり、次世代のパワーモジュール材料としては有望である。一方で、この接合部分には、耐熱性に加えて、放熱性も求められている。このため、銀ナノ粒子ペーストが多く検討されている(特許文献1、特許文献2)。しかし、銀ナノ粒子は、価格が高いこと、マイグレーションを誘発する可能性があること等の難点がある。
[銅ナノ粒子ペースト]
銅は銀と同程度の放熱性を有することから、銅ナノ粒子ペーストもデバイスの接合材料として検討されている。銀ナノ粒子と比較して、銅ナノ粒子は表面酸化しやすいので、これを防止しなければならない。ナノ粒子らしい特性を発揮させるために、良好な分散性も確保しなければならない。これらを実現するために、銅ナノ粒子を有機物で表面処理する技術がある。銅ナノ粒子の原料となる銅化合物を保護剤とともにポリオール類、アルコール類、アルデヒド類等の還元性非水溶媒に添加し、これに還元剤を加えながら加熱すると、銅ナノ粒子が得られる(特許文献3)。また、極性有機溶媒中で、炭素数9以下の脂肪酸銅、還元性化合物、及びアルキルアミンを加熱すると、アルキルアミンで被覆された銅ナノ粒子が得られる(特許文献4)。また、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子で被覆された粒径100nm以下の銅微粒子を極性溶媒中に分散させた分散液に、ヒドロキシカルボン酸、またはその溶液を加えて撹拌することにより、銅微粒子を被覆している水溶性高分子の一部をヒドロキシカルボン酸で置換すると、分散性に優れた銅微粒子ペーストが得られる(特許文献5)。
特開2012−084633号公報 特開2012−162767号公報 特開2010−150619号公報 国際公開WO2014/119791号 国際公開WO2007/013393号
したがって、本発明の目的は、パワーモジュールの接合材料として適した、耐熱性に優れた焼結体を製造可能な、銅微粒子ペーストを提供することにある。
従来、銅ナノ粒子ペースト(銅微粒子ペースト)では、ナノ粒子が溶剤中に凝集せずに分散していることが求められてきた。これは、凝集してしまうと低温焼結性が損なわれると考えられているためである。このように分散性が優れて均一にナノ粒子が溶剤に分散したペーストを焼結させると、緻密な焼成体が得られる。このような緻密な焼成体は、通常は、好ましい。
しかし、本発明者は、鋭意研究の結果、パワーモジュールの接合材料としては、あまりに緻密な焼成体はむしろ望ましくないとの着想に至った。すなわち、あまりに緻密な焼成体は、冷却、加熱を繰り返すサイクルの中で、モジュール構成材料が伸縮することで発生する応力を緩和できないと考えたためである。
そして、本発明者は、この着想に基づいてさらに研究を進めた結果、銅微粒子ペーストの分散性(凝集特性)を制御することによって、実際の使用で重要となる長期的な耐熱性、すなわち、サイクル特性に優れたパワーデバイスの接合材料を実現できることを見いだして、本発明に到達した。
本発明によれば、D50が1μm以下の銅微粒子を60〜90wt%含み、残部が10〜40wt%の有機溶媒から構成され、10μmを超える凝集物がなく、1μmから10μmの凝集物をあえて含むペーストを得られる。このペーストは必要に応じて適量の樹脂を含有してもよい。この銅微粒子ペーストによれば、応力緩和特性に優れた焼成体が得られる。
本発明において、酸化を抑制するために窒素を含む有機物を銅微粒子に付着させておくことが好ましい。この窒素を含む有機物としては、ポリビニルピロリドン、3級アミン、4級アミンが好ましい。これらの化合物は、銅微粒子生成反応における粒成長抑制剤として使用してもよいし、製粉工程後に銅微粒子に吸着させてもよい。必要に応じて前記有機物を吸着させる前に、酸洗、アルカリ処理等の前処理を行ってもよい。この銅微粒子を60〜90wt%となるように、有機溶剤と混ぜ合わせて混練物を調整する。これを事前に遊星式混練機で撹拌した後に、3本ロールに通す。この後、再び遊星式攪拌機で脱泡を行うのが望ましい。3本ロールでの分散はロール間ギャップを50μmから5μmまで3パス以上をかけることが望ましい。ロール間ギャップが5μmの時は、さらにロール間の圧力をかけると分散が進行する場合があるので、圧力をかける場合でも15N以下とするのが好ましい。または、遊星式撹拌機で十分に混練した後に引き続き脱泡を行ってもよい。または、揮発性が高い溶剤を選定する場合はビーズミルで分散を行ってもよい。以上の手順で得られたペーストを孔径10μmのフィルターを60%以上の透過率でろ過されたペーストが応力緩和特性に優れた焼成体を形成するペーストである。このペーストは孔径1μmのフィルターの透過率が20%以下である。
したがって、本発明は以下の(1)以下を含む。
(1)
パワーモジュール接合材用銅微粒子ペーストであって、
銅微粒子ペーストが、
表面処理された銅微粒子を60〜90wt%の範囲、溶剤を10〜40wt%の範囲で含み、
10μmの孔径のフィルターの透過率が60%以上であり、
1μmの孔径のフィルターの透過率が20%以下であり、
表面処理された銅微粒子が、
D50が1μm以下である銅微粒子が、3級アミン化合物、4級アミン化合物、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択された1種以上のアミン化合物で表面処理されてなる、表面処理された銅微粒子である、銅微粒子ペースト。
(2)
アミン化合物が、
次の基:
−CH(OH)−CH2−NR12
(ただし、R1及びR2はそれぞれ独立に、
C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基である。)
を1個以上有する3級アミン化合物であるか;又は
次の基:
−CH(OH)−CH2−[N+123]X1 -
(ただし、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、
C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基であり、
1 -は、ハロゲン化物イオン、及びCH3SO4 -からなる群から選択された1価のアニオンである)
を1個以上有する4級アミン化合物である、(1)に記載の銅微粒子ペースト。
(3)
アミン化合物が、次の式I:
(ただし、式中、nは、1〜8の整数であり、
R基は、以下のいずれかの基である:
−NR12
(ただし、R1及びR2はそれぞれ独立に、
C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基である。)
又は
−[N+123]X1 -
(ただし、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、
C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基であり、
1 -は、ハロゲン化物イオン、CH3SO4 -からなる群から選択された1価のアニオンである))
で表される、アミン化合物である、(1)に記載の銅微粒子ペースト。
(4)
さらに、樹脂として、ロジン、またはアクリル樹脂を5wt%以下含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の銅微粒子ペースト。
(5)
銅微粒子が、D50が0.1以上1μm以下の銅微粒子である、(1)〜(4)のいずれかに記載の銅微粒子ペースト。
(6)
溶剤が、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、エチレングリコール、及びジエチレングリコールからなる群から選択された1種以上の溶剤である、(1)〜(5)のいずれかに記載の銅微粒子ペースト。
(7)
(1)〜(6)のいずれかに記載の銅微粒子ペーストからなる、パワーモジュール用接合材料。
(8)
(1)〜(6)のいずれかに記載の銅微粒子ペーストからなるパワーモジュール用接合材料による接合を備えた、パワーモジュール。
(9)
(1)〜(6)のいずれかに記載の銅微粒子ペーストを製造する方法であって、
D50が1μm以下である銅微粒子が、3級アミン化合物、4級アミン化合物、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択された1種以上のアミン化合物で表面処理されてなる、表面処理された銅微粒子を、60〜90wt%の範囲で、
溶剤を、10〜40wt%の範囲で、樹脂としてロジン又はアクリル樹脂を、0〜5wt%の範囲で、含有させて混合し、銅微粒子ペースト用混合物を得る工程、
銅微粒子ペースト用混合物を、撹拌し、分散し、脱泡して、銅微粒子ペーストを得る工程、
を含む、方法。
(10)
分散が3本ロールによって行われ、3本ロールの最終パスのロールギャップが5μm以上、20μm未満である、(9)に記載の方法。
(11)
(9)〜(10)のいずれかに記載の方法によって得られた銅微粒子ペーストを、接合材料として使用して、接合する工程、
を含む、パワーモジュールを製造する方法。
本発明の銅微粒子ペーストは、パワーモジュールの接合材料として適しており、耐熱性とサイクル特性に優れた焼結体(接合体)を製造することができる。
図1は本発明の銅微粒子ペーストにより接合したパワーモジュールの構成の一例を示す説明図である。 図2は本発明による実施例2の焼結体の断面の電子顕微鏡写真である。
以下に本発明を実施の態様をあげて詳細に説明する。本発明は以下にあげる具体的な実施の態様に限定されるものではない。
[銅微粒子ペーストの製造]
本発明の銅微粒子ペーストは、D50が1μm以下である銅微粒子が、3級アミン化合物、4級アミン化合物、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択された1種以上のアミン化合物で表面処理されてなる、表面処理された銅微粒子を、60〜90wt%の範囲で、溶剤を、10〜40wt%の範囲で、含有させて混合し、銅微粒子ペースト用混合物を得る工程、銅微粒子ペースト用混合物を、撹拌し、分散し、脱泡して、銅微粒子ペーストを得る工程、を含む、方法によって、製造することができる。
[銅微粒子ペースト]
上記方法で製造される本発明の銅微粒子ペーストは、パワーモジュール接合材用銅微粒子ペーストであって、銅微粒子ペーストが、表面処理された銅微粒子を60〜90wt%の範囲、溶剤を10〜40wt%の範囲で含み、10μmの孔径のフィルターの透過率が60%以上であり、1μmの孔径のフィルターの透過率が20%以下であり、表面処理された銅微粒子が、D50が1μm以下である銅微粒子が、3級アミン化合物、4級アミン化合物、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択された1種以上のアミン化合物で表面処理されてなる、表面処理された銅微粒子である。
この銅微粒子ペーストは、パワーモジュールの接合材料として適しており、耐熱性とサイクル特性に優れた焼結体(接合体)を製造することができる。
[表面処理された銅微粒子]
表面処理された銅微粒子は、D50が1μm以下である銅微粒子が、3級アミン化合物、4級アミン化合物、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択された1種以上のアミン化合物で表面処理されてなる、表面処理された銅微粒子である。
[銅微粒子]
銅微粒子として、湿式法により合成した銅微粒子、又は乾式法により合成した銅微粒子を使用することができる。好適な実施の態様において、表面処理される銅微粒子は、粒成長抑制剤の存在下で化学還元法又は不均化反応を行って得られた銅微粒子である。銅微粒子は、粒子表面の少なくとも一部に亜酸化銅層を有していてもよく、有していなくてもよい。
[化学還元法、不均化反応]
化学還元法又は不均化反応は、公知の手段によって行って、微細なサイズの銅微粒子を得ることができる。
[D50]
好適な実施の態様において、銅微粒子のD50が、例えば0.1〜1.0μmの範囲にある銅微粒子を、好適に表面処理することができる。
[粒成長抑制剤]
化学還元法又は不均化反応では、微細なサイズの銅微粒子を得るために、粒成長抑制剤が使用される。粒成長抑制剤としては、水溶性高分子であれば特に制限がないが、例えば、天然樹脂、多糖類、及びゼラチンから選択された1種以上を挙げることができる。
[銅微粒子の表面処理]
銅微粒子の表面処理は、アミン化合物を、例えば水溶液の状態で混合して、表面処理された後に、公知の手段によって適宜水溶液から分離し、その後に表面処理された銅微粒子を固液分離することによって、必要に応じて乾燥や解砕を行って、その後の導電性ペースト(銅微粒子ペースト)の製造に適した形態にすることができる。アミン化合物は、例えば銅微粒子の原料である銅化合物に対して0.03〜10重量%の比率となるように、使用することができる。好適な実施の態様において、アミン化合物の水溶液はアルカリ性である。
[アミン化合物]
アミン化合物としては、3級アミン化合物、4級アミン化合物、又はポリビニルピロリドンを使用することができる。このようなアミン化合物として、−CH(OH)−CH2−NR12基、又は−CH(OH)−CH2−[N+123]X1 -基を有するアミン化合物を挙げることができる。これらの基は、例えば、1個又は2個以上、あるいは3個〜16個、3個〜12個、3個〜8個、4〜6個を、アミン化合物中に有していてもよい。
[好適なアミン化合物の骨格]
このようなアミン化合物として、次の式I:
(ただし、式中、R基は、次のいずれかの基である: −NR12基 又は −[N+123]X1 -基)
を好適に使用することができる。式中、nは、1〜8の整数、好ましくは1〜6の整数、2〜4の整数とすることができる。
[R1、R2、R3
上記のR1及びR2はそれぞれ独立に、あるいは上記のR1、R2及びR3はそれぞれ独立に、C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基とすることができる。好適な実施の態様において、R1及びR2を同じ基とすることができる。好適な実施の態様において、R3を、例えば芳香族環を有する基とすることができる。好適な実施の態様において、これらの置換基は、アミン化合物が全体として水溶性を有するように、選択される。
アルキル基は、例えばC1〜C8(炭素数1個から8個)、C1〜C6、C1〜C3、C1〜C2とできる。ヒドロキシアルキル基は、例えばC1〜C8、C1〜C6、C1〜C3、C1〜C2とできる。アルコキシアルキル基は、例えばC1〜C8、C1〜C6、C1〜C3、C1〜C2とでき、例えばメトキシアルキル基、エトキシアルキル基、プロポキシアルキル基とできる。フェニルアルキル基は、例えばC7〜C10、C7〜C8とでき、フェニルアルキル基のフェニル基が置換又は無置換のフェニル基であってもよく、例えばフェニルアルキル基のフェニル基は、C1〜C3のアルキル基によって1個又は2個置換されていてもよい。フェニル基は、例えばC6〜C8、C6〜C7とでき、置換又は無置換のフェニル基であってもよく、例えばC1〜C3のアルキル基によって1個又は2個置換されていてもよい。ナフチル基は、例えばC12〜C16、C12〜C14とでき、置換又は無置換のナフチル基であってもよく、例えばC1〜C3のアルキル基によって1個又は2個置換されていてもよい。アルケニル基は、例えばC3〜C8、C3〜C6、C3〜C4とでき、直鎖又は分枝の骨格を有していてもよい。
[X1 -
上記のX1 -は、ハロゲン化物イオン、及びCH3SO4 -からなる群から選択された1価のアニオンである。
[銅微粒子ペースト用混合物]
表面処理された銅微粒子を、溶剤と混合して、銅微粒子ペースト用混合物を得る。表面処理された銅微粒子は、銅微粒子ペースト用混合物に対して、例えば60〜90wt%の範囲で含有させる。銅微粒子ペースト用混合物には、所望に応じて、本発明による優れたサイクル特性を妨げない範囲で、表面処理された銅微粒子及び溶剤に加えて、公知のバインダー樹脂、増粘剤、分散剤、あるいはガラスフリットを、所望により添加してもよい。銅微粒子ペーストは非酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下で焼成されるので、バインダー樹脂としては熱分解型のバインダー樹脂が好ましい。好適なバインダー樹脂として、アクリル樹脂、ロジンが挙げられる。ガラスフリットは銅微粒子よりも大きいと、平坦な塗膜を形成する際の障害となることから、銅微粒子のD50の20倍未満のD50であることが望ましい。
[溶剤]
溶剤は、微粒子ペースト用混合物に対して、例えば10〜40wt%の範囲で含有させる。溶剤としては、沸点が350℃以下の溶剤であれば特に制限無く公知の溶剤を使用でき、例えばケトン、アルコール、グリコールを挙げることができる。ケトンとしては、メチルエチルケトンを挙げることができる。アルコールとしては、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ブチルカルビトールを挙げることができる。グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコールを挙げることができる。好適な実施の態様において、溶剤として、エチレングリコール、ジエチレングリコールを使用できる。
[撹拌、分散、脱泡]
銅微粒子ペースト用混合物は、撹拌し、分散し、脱泡して、銅微粒子ペーストを得る。撹拌は、特に制限無く公知の手段を使用することができ、好ましくは例えばPDミキサー、あるいは遊星式混練機を使用することができ、特に好ましくは遊星式混練機が使用される。分散は、特に制限無く公知の手段を使用することができ、好ましくは例えばニーダー、ビーズミル、あるいは3本ロールを使用することができ、特に好ましくはビーズミルまたは、3本ロールが使用される。ビーズミルは密閉式なので揮発性が高い溶剤、例えばメチルエチルケトン等を使う場合に有利である。脱泡は、特に制限無く公知の手段を使用することができ、好ましくは遊星式混練機が使用される。好適な実施の態様において、撹拌、分散、脱泡は、この順番に行うことができるが、所望によりこの順序を入れ替えて、あるいはいずれかを複数回行うことも、本発明の範囲内である。
[3本ロール]
好適な実施の態様において、3本ロールによって分散を行う場合に、ロール間ギャップを5μm〜50μmの範囲として、3パス以上をかけることが望ましい。好適な実施の態様において、3本ロールの最終パスのロール間ギャップが5μm以上、20μm未満である。
[フィルター透過率]
撹拌、分散、脱泡して得られた銅微粒子ペーストは、10μmの孔径のフィルターの透過率が、例えば60%以上、68%以上、77%以上であり、例えば60〜99%、68〜95%の範囲にあり、1μmの孔径のフィルターの透過率が例えば20%以下、12%以下、10%以下であり、例えば0〜12%、0〜0.1%の範囲にある。10μmの孔径のフィルター透過率は、得られたペーストを、0.4MPaで加圧しながら孔径10μmのフィルターをろ過させることによって、測定する。10μmの孔径のフィルター透過率は、。1μmの孔径のろ過により得られたペーストを遊星式攪拌機で脱泡した後に、0.4MPaの圧力で孔径1μmのフィルターでろ過させることによって、測定する。
[凝集体]
銅微粒子ペースト用混合物は、撹拌し、分散し、脱泡して、上記のフィルター透過率の範囲を満たす、本発明の銅微粒子ペーストとなる。これらの指標を満たす本発明の銅微粒子ペーストは、銅微粒子が一定範囲の凝集体として包含されたものとなっていて、そして、このような凝集体分布の制御によって、焼成体が過度に緻密な焼成体となることが回避されて、優れた応力緩和特性を備えて、結果として優れたサイクル特性を持つに至ったと、本発明者は考えている。
[接合]
銅微粒子ペーストを使用して、公知の手段によって、接合される部材の接合される面へと塗工等を行い、接合される部材を介して銅微粒子ペーストを加圧しながら焼成を行って、焼成体(接合体)を形成し、接合を行うことができる。好適な実施の態様において、例えば銅微粒子ペーストを、例えば0MPa〜5MPa、0MPa〜2MPaで加圧しながら、例えば100℃〜400℃、200℃〜350℃の温度で、焼成して接合することができる。加圧することで半導体素子と回路の密着性は向上するが、圧力が高すぎると半導体素子が損傷するので好ましくない。
[雰囲気]
焼結による接合は、例えば非酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下で行うことができる。非酸化性雰囲気下とは、酸化性気体が含まれない又は低減された雰囲気をいい、例えば酸素が完全又は十分に除去された雰囲気をいう。還元性雰囲気は、雰囲気中にCO、H2S、SO2、H2、HCHO、HCOOH、H2O等の還元性気体が、0.5vol%以上、好ましくは1.0vol%以上で含まれる雰囲気をいう。還元性雰囲気としては、例えば、大気圧の気体窒素及び気体水素を含む雰囲気を挙げることができる。
[サイクル特性]
パワーモジュールの構成材料は、所定の耐熱性を備えることが当然に求められるが、実使用時における温度上昇温度降下のサイクルを繰り返すと、そのサイクルによって初期の特性が劣化してしまうことがあるために、このようなサイクルによっても劣化しないことが求められる。本発明におけるサイクル特性とは、後述する実施例の記載の手法によって求めたサイクル特性である。すなわち、図1に例示する構成のパワーモジュールを製造し、実施例に記載した条件下で、サイクルを繰り返して、初期状態からの熱抵抗の上昇率が10%以上となったサイクル回数をパワーサイクル寿命(単位:サイクル数)とした。本発明によって焼成された接合体は、優れたサイクル特性を備えており、多数回のサイクルを経た後でも優れた初期特性を維持できるものとなっている。
以下に実施例をあげて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(例1:3級アミンの合成)
エポキシ化合物(デナコールEX−521(ナカセケムテックス株式会社製))10.0gとジメチルアミン2.45gを三口フラスコに投入し、ドライアイス−メタノールを冷却媒体とした冷却管を用意して、60℃で3時間反応を行い、ジメチルアミンで変性した化合物を得た。FT−IR、1H−NMR、13C−NMRで生成物の構造を特定した。得られたジメチルアミン化合物の構造は下記の通りである。
(例2:4級アミンの合成)
エポキシ化合物(デナコールEX−521(ナカセケムテックス株式会社製))10.0gとジメチルアミン2.45gを三口フラスコに投入し、ドライアイス−メタノールを冷却媒体とした冷却管を用意して、60℃で3時間反応を進行させた。その後、冷却管を取り外して、窒素ガスを反応液に吹き込んで余剰のジエタノールアミンを除去した。最後にベンジルクロライドを6.88g反応液に追加し、100℃で3時間反応を行った。FT−IR、1H−NMR、13C−NMRで生成物の構造を特定した。得られたジメチルアミン化合物の構造は下記の通りである。
(例3:実施例1〜4、6〜8、10〜12、比較例1〜4の銅微粒子ペースト)
1Lビーカー内に亜酸化銅粉50gとアラビアゴム0.25gを350mLの純水に分散させ、そこに体積比率25%の希硫酸100mLを添加し、不均化反応を行った。このスラリーからデカンテーション、水洗を繰り返し、D50 0.2μmの銅微粒子20gを得た。この銅微粒子をpH9.0の水酸化ナトリウム水溶液に添加し、30分間300rpmで撹拌した後、デカンテーションと水洗を2回繰り返し、さらに0.1mol/Lの希硫酸に10分分散させ、同じくデカンテーションにより銅微粒子を回収した。この銅微粒子20gと、例1で合成した3級アミン、例2で合成した4級アミン、またはポリビニルピロリドンを1gを含む水溶液100mLを300rpmで1時間混合した後、銅微粉を回収した。その後、窒素中で70℃で1時間乾燥させた後、解砕し、表面処理された銅微粒子を得た。この銅微粒子を金属比率が50〜95%となるように、ジエチレングリコールと3本ロールで混ぜ合わせた。3本ロールの最終パスのロール間ギャップは5または10μmとした。比較例1ではロール間ギャップを5μmとした最終パス後にロール間圧力を20Nとしてさらに1パス追加した。得られたペーストを、0.4MPaで加圧しながら孔径10μmのフィルターをろ過させた。ろ過により得られたペーストを遊星式攪拌機で脱泡した。脱泡後のペーストを0.4MPaの圧力で孔径1μmのフィルターでろ過するかどうかを確認した。
(例4:実施例5、9、13の銅微粒子ペースト)
2Lビーカー内に酸化銅粉末79.6gとアラビアゴム0.40gを500mLの純水に分散させ、液温50℃においてpHを8.5±0.1に水酸化ナトリウムを加えて調整した。これにヒドラジン一水和物50.5gを含む500mLの水溶液を添加し、30分間液を300rpmで撹拌した。この間、液温を50℃±0.1℃、pHを8.5±0.1に保持した。その後、デカンテーション、水洗を繰り返して銅微粒子63gを得た。この銅微粒子と例1で合成した3級アミン、例2で合成した4級アミン、またはポリビニルピロリドンを1g含む水溶液100mLを300rpmで1時間混合した後、銅微粉を回収した。その後、窒素中で70℃で1時間乾燥させた後、解砕し、表面処理された銅微粒子を得た。例3の手順で、この銅微粒子を用いてペーストを作製した。
(例5:実施例14〜16の銅微粒子ペースト)
1Lビーカー内に亜酸化銅粉50gと例1で合成した3級アミン、例2で合成した4級アミン、またはポリビニルピロリドンのいずれかを1g、350mLの純水に分散させ、そこに体積比率25%の希硫酸100mLを瞬間的に添加し、不均化反応によりD50 0.2μmの銅微粒子を得た。吸引ろ過で銅微粒子を回収した後、水洗を行った。その後、窒素中で70℃で1時間乾燥させた後、解砕し、表面処理された銅微粒子を得た。例3の手順で、この銅微粒子を用いてペーストを作製した。
(例6:実施例17〜19の銅微粒子ペースト)
水アトマイズ法で作製したD50 2.0μmの銅粉を、自転、公転方式を採用したナノ粉砕機(株式会社シンキー社製、NP−100)で解砕し、D50 0.15μmの銅微粒子を得た。この銅微粒子20gを、0.1mol/Lの希硫酸に10分分散させ、デカンテーションにより銅微粒子を回収した。この銅微粒子20gと、例1で合成した3級アミン、例2で合成した4級アミン、またはポリビニルピロリドンのいずれかを1g含む水溶液100mLを300rpmで1時間混合した後、銅微粉を回収した。例3の手順で、この銅微粒子を用いてペーストを作製した。
(例7:実施例20〜25の銅微粒子ペースト)
実施例2、6、10の銅微粒子と金属比率が85%となるように、アクリル樹脂0.8%(実施例20〜22)、または4.5%(実施例23〜25)、残部がジヒドロターピネオールの組成で、例3の手順でペーストを調整し、焼成体を得た。
(例8:実施例26〜31の銅微粒子ペースト)
実施例2、6、10の銅微粒子と金属比率が85%となるように、ロジン0.8%(実施例26〜28)、または4.5%(実施例29〜31)、残部がターピネオールの組成で、例3の手順でペーストを調整し、焼成体を得た。
(例9:比較例5の銅微粒子ペースト)
反応溶媒である1.0Lのエチレングリコールに、80gの亜酸化銅粉と60gのポリビニルピロリドンを加えて撹拌しながら加熱し、さらに1.5gの水酸化ナトリウムと銀量で1.6gの硝酸銀溶液を加え、150℃に1時間保持して銅微粒子を還元析出させ、濃褐色の銅微粒子分散液を得た。
この銅微粒子分散液1.0Lを限外ろ過により200ccに濃縮した後、1Lになるまでイオン交換水を追加し、撹拌しながら限外ろ過によりろ液を限外ろ過により、銅微粒子を含む溶液を1000ccまで濃縮した。この操作を3回繰り返して、反応溶媒、過剰なポリビニルピロリドン及び水酸化ナトリウムを除去して、濃縮銅微粒子分散液(金属比率75wt%)を得た。
これを用いて、例3の分散手順でペーストを作製した。
(例10:比較例6の銅微粒子ペースト)
1Lビーカー内に亜酸化銅粉50gとアラビアゴム0.25gを350mLの純水に分散させ、そこに体積比率25%の希硫酸100mLを添加し、不均化反応を行った。このスラリーからデカンテーション、水洗を繰り返して、ろ過により銅微粒子を回収した。その後、窒素中で70℃で1時間乾燥させた後、解砕し、D50 0.2μmの銅微粒子20gを得た。これを用いて、例3の手順でペースト化した。
(例11:評価用パワーモジュールの組み立て)
40mm角、厚さ0.635のAlN基板の片面に、37mm角、厚さ0.8mmの無酸素銅板をAg−27%Cu−2%Tiからなるろう材を介して、2MPa、850℃、10分の条件で接合させた。次に、この銅板が接合されたのとは反対面に、厚み0.05mmのAl−Siろう材箔を介して、37mm角、厚さ1.6mmの純度4Nのアルミニウム板を610℃で接合させた。さらにこのアルミニウム板に厚み0.05mmのAl−Siろう材箔を介して、50mm角、厚さ5mmのA6063合金板をヒートシンクとして610℃で接合させた。AlN基板に直接接合された銅板表面には、接合時に酸化層が形成されていたので、希硫酸で除去した後に、厚み0.2μmのNiめっきを施した。この上に例3〜例8で得られた銅微粒子ペーストを印刷し、その上に12,5mm×9.5mm、厚さ0.25mmのIGBT素子を加圧接合した。この接合は2vol%の水素を含む窒素中で0.5MPaの圧力で加圧しながら行った。加圧時の温度は300℃、加圧時間は5分とした。このようにして得られた評価用パワーモジュールの構成の説明図を、図1として示す。
(例12:パワーサイクル試験)
例8で得られたパワーモジュールのヒートシンク中の冷却水温度、流量を一定に保ち、IGBT素子への通電を、通電で素子表面温度を140℃、非通電で素子表面温度60℃となるサイクルを10秒後とに繰り返すよう調整した。初期状態からの熱抵抗の上昇率が10%以上となったサイクル回数をパワーサイクル寿命とした。
熱抵抗テスターを用いて過渡熱抵抗を測定した。印加電力100W、印加時間0.1秒で、電力印加前後のゲート―エミッタ間の電位差を測定することにより、熱抵抗を求めた。測定はパワーサイクル試験において、1万サイクル毎に実施した。
[結果]
得られた結果を、後述する図1にまとめて示す。
実施例1〜19では、パワーモジュールのパワーサイクル寿命が10万回を超えた。
比較例1は実施例1、2と同じ銅微粒子を用いたが、3本ロールでの最終パスのロール間ギャップが大きすぎたため、実施例1、2のペーストと比べると、比較例1のペーストには大きな凝集体が含まれていたと推定される。このため、素子とペーストとの面内での接着度合のばらつきが生じたために、サイクル寿命が10万回に達しなかった。
比較例2は実施例1、2と同じ銅微粒子を用いたが、3本ロールでの分散が進行しすぎたために、焼成体が緻密になりすぎた。このため、サイクルで発生した応力が緩和しきれずに、焼成体に欠陥が生じ、サイクル寿命が10万回に達しなかった。
比較例3は実施例1、2と同じ銅微粒子を用いたが、ペースト中の銅微粒子の割合が低すぎたために、素子との接着が面内で均一にならなかった。このため、サイクル寿命が10万回に達しなかった。
比較例4は実施例1、2と同じ銅微粒子を用いたが、ペースト中の銅微粒子の割合が高すぎたために、3本ロールでの分散が進行しにくく、凝集を完全に解砕できなかった。このため、素子との接着が面内で均一にならず、サイクル寿命が10万回に達しなかった。
比較例5はペースト中での銅微粒子の分散性が良すぎたために、焼成体が緻密になりすぎた。このため、サイクルで発生した応力が緩和しきれずに、焼成体に欠陥が生じ、サイクル寿命が10万回に達しなかった。
比較例6はペースト中での分散性が悪く、素子との接着が面内で均一にならなかった。このため、サイクル寿命が10万回に達しなかった。
[焼結体断面]
上記実施例2による焼結体の断面の電子顕微鏡写真を、図2に示す。写真右下のバーは5μmである。このように、本発明による焼結体(接合体)は、複雑な形状の空隙を有し、応力緩和特性に優れたものとなり得ることがわかった。
本発明の銅微粒子ペーストは、パワーモジュールの接合材料として適しており、耐熱性とサイクル特性に優れた焼結体(接合部分)を製造することができる。本発明は産業上有用な発明である。
1 接合部分(銅微粒子ペーストによる焼結体)
3 IGBT素子
5 Niめっき層
7 銅回路
9 AlN基板
11 アルミ板
13 ヒートシンク
図1は本発明の銅微粒子ペーストにより接合したパワーモジュールの構成の一例を示す説明図である。 図2は本発明による実施例2の焼結体の断面の電子顕微鏡写真である。

Claims (11)

  1. パワーモジュール接合材用銅微粒子ペーストであって、
    銅微粒子ペーストが、
    表面処理された銅微粒子を60〜90wt%の範囲、溶剤を10〜40wt%の範囲で含み、
    10μmの孔径のフィルターの透過率が60%以上であり、
    1μmの孔径のフィルターの透過率が20%以下であり、
    表面処理された銅微粒子が、
    D50が1μm以下である銅微粒子が、3級アミン化合物、4級アミン化合物、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択された1種以上のアミン化合物で表面処理されてなる、表面処理された銅微粒子である、銅微粒子ペースト。
  2. アミン化合物が、
    次の基:
    −CH(OH)−CH2−NR12
    (ただし、R1及びR2はそれぞれ独立に、
    C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基である。)
    を1個以上有する3級アミン化合物であるか;又は
    次の基:
    −CH(OH)−CH2−[N+123]X1 -
    (ただし、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、
    C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基であり、
    1 -は、ハロゲン化物イオン、及びCH3SO4 -からなる群から選択された1価のアニオンである)
    を1個以上有する4級アミン化合物である、請求項1に記載の銅微粒子ペースト。
  3. アミン化合物が、次の式I:
    (ただし、式中、nは、1〜8の整数であり、
    R基は、以下のいずれかの基である:
    −NR12
    (ただし、R1及びR2はそれぞれ独立に、
    C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基である。)
    又は
    −[N+123]X1 -
    (ただし、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、
    C1〜C8のアルキル基、C1〜C8のヒドロキシアルキル基、C2〜C8のアルコキシアルキル基、C7〜C10の置換又は無置換のフェニルアルキル基、C6〜C8の置換又は無置換のフェニル基、C12〜C16の置換又は無置換のナフチル基、C3〜C8の直鎖又は分枝のアルケニル基からなる群から選択された基であり、
    1 -は、ハロゲン化物イオン、CH3SO4 -からなる群から選択された1価のアニオンである))
    で表される、アミン化合物である、請求項1に記載の銅微粒子ペースト。
  4. さらに、樹脂として、ロジン、またはアクリル樹脂を5wt%以下含む、請求項1〜3のいずれかに記載の銅微粒子ペースト。
  5. 銅微粒子が、D50が0.1以上1μm以下の銅微粒子である、請求項1〜4のいずれかに記載の銅微粒子ペースト。
  6. 溶剤が、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、エチレングリコール、及びジエチレングリコールからなる群から選択された1種以上の溶剤である、請求項1〜5のいずれかに記載の銅微粒子ペースト。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の銅微粒子ペーストからなる、パワーモジュール用接合材料。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の銅微粒子ペーストからなるパワーモジュール用接合材料による接合を備えた、パワーモジュール。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の銅微粒子ペーストを製造する方法であって、
    D50が1μm以下である銅微粒子が、3級アミン化合物、4級アミン化合物、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択された1種以上のアミン化合物で表面処理されてなる、表面処理された銅微粒子を、60〜90wt%の範囲で、
    溶剤を、10〜40wt%の範囲で、樹脂としてロジン又はアクリル樹脂を、0〜5wt%の範囲で、含有させて混合し、銅微粒子ペースト用混合物を得る工程、
    銅微粒子ペースト用混合物を、撹拌し、分散し、脱泡して、銅微粒子ペーストを得る工程、
    を含む、方法。
  10. 分散を3本ロールで行う場合の3本ロールの最終パスのロールギャップが5μm以上、20μm未満である、請求項9に記載の方法。
  11. 請求項9〜10のいずれかに記載の方法によって得られた銅微粒子ペーストを、接合材料として使用して、接合する工程、
    を含む、パワーモジュールを製造する方法。
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