JP2016191082A - 表面処理された銅微粒子及びその製造方法 - Google Patents

表面処理された銅微粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機物により表面処理されることなく、優れた低温焼結性を備えた銅微粒子を提供すること。
【解決手段】XPS survey測定において、Cr(クロム)、Mn(マンガン)及びMo(モリブデン)からなる群から選択された重金属元素の原子濃度が、0.5〜3.0at%であり(ただし、原子濃度は、選択された重金属元素、Cu(銅)、C(炭素)、及びO(酸素)の合計に対する原子濃度である)、Cuの光電子スペクトルにおいて、932.5〜932.9eVの範囲における最大ピーク値に対する、934eVにおける強度の比(934eV強度/最大ピーク値強度)が、0.15〜0.40の範囲にある、表面処理された銅微粒子。
【選択図】図5

Description

本発明は、表面処理された銅微粒子及びその製造方法に関する。
[金属粉ペースト]
立体成型された樹脂基材への配線形成や、回路への半導体素子の接合材として、金属粉ペーストが注目を浴びている。ナノサイズの銀粉のペーストを焼成(焼結)すると、銀そのものの電気特性から、導電性、放熱性に優れた焼成体(焼結体)が得られる。一方で、銀粉による高コストやマイグレーションを回避する観点から、銅粉(銅微粒子)によるペーストが検討されている。
[銅粉ペースト]
銅粉は銀粉に比べて表面が酸化しやすく、サイズが小さくなれば表面積が増えてさらに酸化しやすい。また、銅粉がペースト中で凝集しないように分散させなければならない。そこで、銅粉に特定の有機物を吸着させて、表面の酸化を防止するとともに、ペースト中での分散性を向上させる技術がある(特許文献1)。
樹脂基材や半導体素子などへの接合材料としての適用範囲を広げる観点から、銅粉ペーストは低温焼成可能であることが望まれる。低温で銅粉を焼成するために、サイズ効果によって本来の融点よりも低温で焼成できるので、サイズが小さい銅粉が使用される。一般的には、アトマイズ法等の乾式法では1μm以下の微粒子の製造が困難であるので、化学還元法や不均化法による湿式合成が使用される(特許文献2、3)。
特開2012−072418号公報 特開2005−256012号公報 国際公開WO2007/013393号
化学還元法や不均化法によって湿式合成された銅微粒子は、小さなサイズによるサイズ効果から優れた低温焼成性が期待される。しかし、期待されるほどに優れた低温焼成性が示されないことがしばしばあり、これは銅微粒子の凝集が生じてしまうためだと考えられる。上述のように、このような凝集を回避し、良好な分散を実現するために、銅微粒子表面に有機物を吸着させる表面処理を行う技術(例えば特許文献1)がある。しかし、有機物によって表面処理した銅微粒子をペースト中に分散させる溶媒は、通常、可燃性であり、これを数百℃へ加熱する操作は、安全性の確保の観点から、大量合成時には十分な注意を要する。そのため、有機物による表面処理を行うことなく、優れた低温焼成性を実現できる手段があれば、好ましい。
したがって、本発明の目的は、有機物により表面処理されることなく、優れた低温焼結性を備えた銅微粒子を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究の結果、銅微粒子表面に酸化物で被覆する処理を行うことによって、優れた低温焼結性を備えた、表面処理された銅微粒子を得られることを見いだして、本発明に到達した。
したがって、本発明は次の(1)以下を含む。
(1)
XPS survey測定において、Cr(クロム)、Mn(マンガン)及びMo(モリブデン)からなる群から選択された重金属元素の原子濃度が、0.5〜3.0at%であり(ただし、原子濃度は、選択された重金属元素、Cu(銅)、C(炭素)、及びO(酸素)の合計に対する原子濃度である)、
Cuの光電子スペクトルにおいて、932.5〜932.9eVの範囲における最大ピーク値に対する、934eVにおける強度の比(934eV強度/最大ピーク値強度)が、0.15〜0.40の範囲にある、表面処理された銅微粒子。
(2)
表面処理された銅微粒子とジエチレングリコールとを金属比率80%で含む銅微粒子ペーストが、塗膜密度3.5gcm-3以上である、(1)に記載の表面処理された銅微粒子。
(3)
表面処理された銅微粒子とジエチレングリコールとを金属比率80%で含み、ロジン又はアクリル樹脂を4wt%以下で含む銅微粒子ペーストが、塗膜密度3.5gcm-3以上である、(1)に記載の表面処理された銅微粒子。
(4)
表面処理された銅微粒子とジエチレングリコールとを金属比率80%で含む銅微粒子ペーストを、窒素中で350℃で30分焼成して得られる焼成体が、比抵抗が30μΩcm以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の表面処理された銅微粒子。
(5)
(1)〜(4)のいずれかに記載の表面処理された銅微粒子を含有する、銅微粒子ペースト。
(6)
(5)に記載の銅微粒子ペーストを250〜400℃で焼成してなる、焼成体。
(11)
銅微粒子を、Cr、Mn及びMoからなる群から選択された重金属元素を含むオキソ酸の塩の水溶液へ浸漬する工程、
を含む、表面処理された銅微粒子を製造する方法。
(12)
Cr、Mn及びMoからなる群から選択された重金属元素を含むオキソ酸の塩が、二クロム酸の塩、過マンガン酸の塩、又はモリブデン酸の塩である、(11)に記載の方法。
(13)
オキソ酸の塩が、オキソ酸のアルカリ金属塩である、(11)又は(12)に記載の方法。
(14)
オキソ酸の塩の水溶液が、pH3〜pH10の水溶液である、(11)〜(13)のいずれかに記載の方法。
(15)
オキソ酸の塩の水溶液が、オキソ酸の塩の濃度が、二クロム酸塩の場合、1〜20gL-1、過マンガン酸塩またはモリブデン酸塩の場合、0.1〜1.5gL-1の水溶液である、(11)〜(14)のいずれかに記載の方法。
(16)
オキソ酸の塩の水溶液へ浸漬する工程が、20〜60℃の温度で浸漬する工程である、(11)〜(15)のいずれかに記載の方法。
(17)
オキソ酸の塩の水溶液へ浸漬する工程が、10〜120分間浸漬する工程である、(11)〜(16)のいずれかに記載の方法。
(18)
オキソ酸の塩の水溶液へ浸漬する工程が、撹拌又は超音波照射しながら浸漬する工程である、(11)〜(17)のいずれかに記載の方法。
(19)
オキソ酸の塩の水溶液へ浸漬する工程が、
オキソ酸の塩の水溶液へ浸漬して、銅微粒子の表面の少なくとも一部に重金属元素の酸化物の被膜を形成する工程である、(11)〜(18)のいずれかに記載の方法。
(20)
銅微粒子が、化学還元法又は不均化反応によって合成された銅微粒子である、(11)〜(19)のいずれかに記載の方法。
(21)
銅微粒子を、オキソ酸の塩の水溶液へ浸漬する工程が、
XPS survey測定において、Cr(クロム)、Mn(マンガン)及びMo(モリブデン)からなる群から選択された重金属元素の原子濃度が、0.5〜3.0at%であり(ただし、原子濃度は、選択された重金属元素、Cu(銅)、C(炭素)、及びO(酸素)の合計に対する原子濃度である)、
Cuの光電子スペクトルにおいて、932.5〜932.9eVの範囲における最大ピーク値に対する、934eVにおける強度の比(934eV強度/最大ピーク値強度)が、0.15〜0.40の範囲にある、表面処理された銅微粒子へと表面処理する工程である、(11)〜(20)のいずれかに記載の方法。
(31)
(11)〜(21)のいずれかに記載の方法によって製造された、表面処理された銅微粒子を、250〜400℃の温度で焼成して、焼成体を製造する方法。
(32)
(11)〜(21)のいずれかに記載の方法によって製造された表面処理された銅微粒子を含有する銅微粒子ペーストを、250〜400℃の温度で焼成して、焼成体を製造する方法。
本発明によれば、有機物によって表面処理されることなく、優れた低温焼結性を備えた、表面処理された銅微粒子を得ることができる。
図1は実施例1、比較例3、比較例7の光電子スペクトルを示すグラフである。 図2は実施例1の紛体表面のEDSによる断面分析結果である。 図3はCuの2p3/2の光電子スペクトルを示すグラフである。 図4はCuOの2p3/2の光電子スペクトルを示すグラフである。 図5は実施例1の焼成体表面の電子顕微鏡写真である。 図6は比較例3の焼成体表面の電子顕微鏡写真である。
以下に本発明を実施の態様をあげて詳細に説明する。本発明は以下にあげる具体的な実施の態様に限定されるものではない。
[表面処理された銅微粒子の製造]
本発明による表面処理された銅微粒子は、銅微粒子を、Cr、Mn及びMoからなる群から選択された重金属元素を含むオキソ酸の塩の水溶液へ浸漬する工程、を含む方法によって、製造することができる。
[銅微粒子]
表面処理をされる銅微粒子としては、特に制限はなく、湿式法で合成された銅微粒子、あるいは乾式法で合成された銅微粒子を使用できる。湿式法で合成された銅微粒子として、例えば、化学還元法又は不均化反応によって合成された銅微粒子を、好適に使用できる。好適な実施の態様において、銅微粒子の平均粒径は、例えば0.1〜1μm、0.1〜0.8μmの範囲とすることができる。
[オキソ酸の塩]
オキソ酸の塩は、Cr、Mn及びMoからなる群から選択された重金属元素を含むオキソ酸の塩であり、好ましくは二クロム酸の塩、過マンガン酸の塩、又はモリブデン酸の塩とすることができる。好適な実施の態様において、オキソ酸の塩は、オキソ酸のアルカリ金属塩とすることができ、例えばカリウム塩、ナトリウム塩とすることができる。
[オキソ酸の塩の水溶液]
オキソ酸の塩の水溶液は、例えばpH3〜pH10、pH3〜pH9の水溶液とすることができる。オキソ酸の塩の濃度は、例えば、二クロム酸塩の場合、1〜20gL-1、3〜15gL-1、過マンガン酸塩またはモリブデン酸塩の場合、0.1〜1.5gL-1とすることができる。
[浸漬]
オキソ酸の塩の水溶液への浸漬は、例えば30〜60℃の温度で、例えば1〜180分間、10〜120分間の浸漬によって、行うことができる。浸漬は、公知の手段によって行うことができ、所望により、浸漬と同時に、撹拌、あるいは超音波照射を行ってもよい。板材料、箔材料とは異なり、銅微粒子は所定の水溶液と短時間で分離する操作は難しい。そこで、低濃度で長時間、好ましくは30〜60分程度浸漬させてもよい。このような浸漬処理によって、銅微粒子が表面処理されて、銅微粒子の表面の少なくとも一部に高融点である上記重金属元素の酸化物の被膜が形成されると、本発明者は考えている。
浸漬して処理された銅微粒子は公知の手段によって水溶液から分離することができる。浸漬して分離された後に、所望により、公知の手段によって、乾燥、解砕等の処理を行ってもよい。
[表面処理された銅微粒子]
表面処理された銅微粒子は、XPS survey測定において、Cr(クロム)、Mn(マンガン)及びMo(モリブデン)からなる群から選択された重金属元素の原子濃度が、0.5〜3.0at%であり(ただし、原子濃度は、選択された重金属元素、Cu(銅)、C(炭素)、及びO(酸素)の合計に対する原子濃度である)、Cuの光電子スペクトルにおいて、932.5〜932.9eVの範囲における最大ピーク値に対する、934eVにおける強度の比(934eV強度/最大ピーク値強度)が、0.15〜0.40の範囲にあるものとなっている。
[XPS survey測定]
XPS survey測定は、実施例記載の条件によって行うことができる。このようにして測定した、Cr、Mn及びMoからなる群から選択された重金属元素の原子濃度(atomic%)を、0.5〜3.0at%、好ましくは0.7〜2.0at%とすることができる。この原子濃度とは、選択された重金属元素、Cu、C、及びOの合計に対する、選択された重金属元素の原子濃度である。この重金属元素の原子濃度が、本発明による表面処理された銅微粒子の表面の酸化物による被覆状態の範囲を規定している。
また、Cuの光電子スペクトルにおいて、932.5〜932.9eVの範囲における最大ピーク値に対する、934eVにおける強度の比(934eV強度/最大ピーク値強度)を、0.15〜0.40の範囲とすることができる。この強度比が、本発明による表面処理された銅微粒子の表面の露出状態の範囲を規定している。
上記原子濃度と強度比によって規定されるような、酸化物による銅微粒子表面の被覆と露出については、従来技術によれば、低温焼結性の向上のためには、むしろ酸化物による被覆の生成そのものを回避すべきと考えられていたところ、本発明においては、これを特定範囲に制御することによって、優れた低温焼結性を実現したものである。
[低温焼結性]
本発明による表面処理された銅微粒子は、優れた低温焼結性を示す。すなわち、表面処理されない銅微粒子と比較して、十分に低温での焼結によって、優れた比抵抗を備えた導電性の焼結体を形成する。
[銅微粒子ペースト]
表面処理された銅微粒子を含有させて、銅微粒子ペーストを製造することができる。好適な実施の態様において、銅微粒子ペーストは、表面処理された銅微粒子と、溶剤とを含み、所望により、さらに、公知の添加剤を含有させてもよく、例えばバインダー樹脂、分散剤、ガラスフリットを含有させてもよい。ガラスフリットは銅微粒子よりも大きいと、平坦な塗膜を形成する際の障害となることから、銅微粒子のD50の20倍未満のD50であることが望ましい。表面処理された銅微粒子が、優れた分散性を呈する結果、これを含有させた銅微粒子ペーストは、作業性に優れ、低温焼結性にも優れたものとなっている。銅微粒子ペーストは、これらを公知の手段によって混合して製造することができる。
[溶剤]
本発明では、表面処理された銅微粒子は、有機物による被覆処理を行うことなく表面処理されているために、被覆された有機物の種類による制限を受けることなく、公知の広範な溶剤を、特に制限無く使用することができる。溶剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、エチレングリコール、及びジエチレングリコールからなる群から選択された1種以上の溶剤を使用することができ、好ましくはエチレングリコール、又はジエチレングリコールを使用できる。
[バインダー樹脂]
バインダー樹脂を使用する場合には、熱分解型のバインダー樹脂が好ましい。好適なバインダー樹脂として、例えばアクリル樹脂、ロジンが挙げられる。
[塗膜密度]
銅微粒子ペーストは、公知の手段によって塗工、印刷等して、使用することができ、得られた塗膜は平坦であり、塗膜密度の点でも優れたものとなっている。塗膜密度は、実施例に記載の通り、PET等の樹脂フィルムに塗工後に乾燥して、この積層体を所定の大きさに切り出して重量および厚みを測定することによって算出する。当然ながら、算出に当たっては樹脂フィルムの重量、厚みは差し引かれる。好適な実施の態様において、銅微粒子ペーストの塗膜密度は、例えば3.5gcm-3以上、8gcm-3以下、あるいは4.0〜6.0gcm-3の範囲とすることができる。
[焼成体]
本発明による表面処理された銅微粒子、及び銅微粒子ペーストは、低温で焼成(焼結)して、例えば250〜400℃、あるいは例えば約350℃で焼成(焼結)して、優れた比抵抗を有する焼成体(焼結体)を製造することができる。
[雰囲気]
焼結は、例えば非酸化性雰囲気下又は還元性雰囲気下で行うことができる。非酸化性雰囲気下とは、酸化性気体が含まれない又は低減された雰囲気をいい、例えば酸素が完全又は十分に除去された雰囲気をいう。還元性雰囲気は、雰囲気中にCO、H2S、SO2、H2、HCHO、HCOOH、H2O等の還元性気体が、0.5vol%以上、好ましくは1.0vol%以上で含まれる雰囲気をいう。還元性雰囲気としては、例えば、大気圧の気体窒素及び気体水素を含む雰囲気を挙げることができる。
[比抵抗]
焼成体の比抵抗[μΩ・cm]は、実施例に記載の手段によって、測定することができる。好適な実施の態様において、比抵抗の値は、例えば、焼結温度350℃で30μΩ・cm以下とすることができる。
以下に実施例をあげて、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(例1:実施例1〜10、比較例1〜6)
2Lビーカー内に亜酸化銅粉100gとアラビアゴム0.50gを700mLの純水に分散させ、そこに体積比率25%の希硫酸200mLを添加し、不均化反応を行った。このスラリーからデカンテーション、水洗を繰り返し、D50 0.2μmの銅微粒子40gを得た。
この銅微粒子40gと、以下の(a)〜(c)の3種の水溶液のいずれかを混合して、300rpmで1時間撹拌した。
(a)二クロム酸カリウム 3〜40gL-1、pH2〜6、液温40〜45℃の水溶液50mL
(b)過マンガン酸カリウム 0.1〜2.0gL-1、pH3.5〜9、液温50℃の水溶液50mL
(c)モリブデン酸ナトリウム二水和物 0.2〜2.5gL-1、モリブデンと物質量が同じになるように硫酸ニッケル六水和物を0.22〜2.7gL-1、モリブデンの物質量に対してクエン酸イオンが2倍となるようクエン酸三ナトリウム二水和物を0.49〜6.1gL-1、pH3.5、液温40℃の水溶液50mL
これらの銅微粒子スラリーから吸引ろ過によって銅微粒子を回収した。比較例3、4、5、6のろ液はそれぞれの水溶液の色を呈していたのに対して、それ以外の実施例、比較例では透明であった。この後、ろ紙上の銅微粒子のケーキの上から純水500mLを滴下して、これをろ過した。その後、窒素中で70℃で1時間乾燥させた後、解砕し、銅微粒子を得た。
この銅微粒子を直径0.5mmの円筒状の容器に0.5gを充填して、底面が隙間なく覆われるように敷きつめた。円筒容器に敷きつめられた紛体をXPSで測定した。
装置:アルバックファイ社製5600MC
到達真空度:5.7×10-9Torr
励起源:単色化 AlKα
出力:210W
検出面積:800μmφ
入射角、取出角:45°
中和銃使用
さらに、実施例1の銅微粒子の表面を、EDSによって、次の条件で分析した。銅微粒子をエポキシ系の埋め込み用樹脂に埋め込んで分散させて、適宜機械加工した後に、FIBで断面加工をし、この面を分析面とした。
装置:STEM
断面TEM像倍率:1000000倍(100万倍)
特性X線
照射電子のビーム径:1nm
図2に、得られた実施例1の銅微粒子の表面のEDSによる断面分析結果を示す。左側の銅微粒子表面には、クロメートに起因するCr層が形成されており、右側の銅微粒子表面には、クロメートに起因するCr層が形成されていないと判断される。
次に、上記手順で得られた銅微粒子を金属比率が50〜95%となるように、ジエチレングリコールと3本ロールで混ぜ合わせた。これをPETフィルム上にアプリケーターで塗工して120℃で10分間乾燥させ、得られた乾燥塗膜から塗膜密度を算出した。また、ペーストをスライドガラス上に印刷して、窒素中で350℃で30分間焼成し、得られた焼成体の比抵抗を4端子法により測定した。
(例2:比較例7、8)
2Lビーカー内に酸化銅粉末79.6gとアラビアゴムまたはPVPを0.50gを700mLの純水に分散させ、そこに体積比率25%の希硫酸200mLを添加し、不均化反応を行った。このスラリーからデカンテーション、水洗を繰り返し、D50 0.2μmの銅微粒子40gを得た。得られた銅微粒子スラリーから吸引ろ過によって銅微粒子を回収した。その後、窒素中で70℃で1時間乾燥させた後、解砕し、銅微粒子を得た。例1の手順で紛体の分析し、ペーストを作製し、評価した。
(例3:実施例11〜16)
実施例1、7、9の銅微粒子の金属比率が85%となるように、アクリル樹脂0.8%(実施例11〜13)、または4.5%(実施例14〜16)、残部がジヒドロターピネオールの組成で、例1の手順でペーストを作製し、評価した。
(例4:実施例17〜22)
実施例1、7、9の銅微粒子の金属比率が85%となるように、ロジン0.8%(実施例17〜19)、または4.5%(実施例20〜22)、残部がターピネオールの組成で、例1の手順でペーストを作製し、評価した。
[結果]
図3、図4のデータベース(Handbook of X−ray Photoelectron Spectroscopyから引用)から、Cuの2p3/2の光電子スペクトルは、Cu(0価)では932.7eVに鋭いピークがあるのに対して、CuO(2価)では933.6eVにピークがあり、裾野は931〜938eVに広がっている。このことから、932.7eV付近に着目すると、これより高エネルギー側のピークの膨らみはCuOの存在を表していると言える。そこで、本発明では932.5〜932.9eVにおける最大ピークに対する、934eVにおける強度の比を、銅微粒子の酸化度合いの指標とした。
実施例1、比較例3、比較例7の光電子スペクトルを図1に示す。酸化度合いを表す前記強度比は実施例1では0.28、比較例3では0.12、比較例7では0.41となっていた。その他の実施例、比較例を見ると、この比は実施例では0.15〜0.40の範囲に入っていた。また、C、O、Cu、及びCr、Mn、またはMo中のCr、Mn、またはMoの原子濃度比は実施例では0.50〜3.0at%の範囲に入っていた。
ペーストの塗膜密度は、XPSの酸化度合いを表す比が0.15〜0.40かつ、Cr、Mn、またはMoが0.50〜3.0at%に入っていたものは、3.5gcm-3以上であった。また、焼成体の比抵抗は30μΩcm以下であった。
これらの結果を、次の表1にまとめて示す。
ただし、上記表1において:
* :二クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、またはモリブデン酸ナトリウム二水和物の濃度を示す。
**:932.5〜932.9eVにおける最大ピークに対する、934eVにおける強度の比率(ratio)を示す。
Cr、Mn or Moは、クロメートの場合にCrの値を、過マンガン酸の場合にMnの値を、モリブデンの場合にMoの値を、それぞれ示す。
また、図2に示されるように、本発明による表面処理された銅微粒子の表面の一部は、クロメートに由来するCr層で覆われていた。
図5に実施例1、図6に比較例3の焼成体表面の電子顕微鏡写真をそれぞれ示す。この電子顕微鏡写真に示されるように、実施例1では銅微粒子の焼結が進行して銅微粒子の形態が確認できなかったのに対して、比較例3では銅微粒子の焼結が殆ど進行していないので、銅微粒子の形態がほぼそのまま確認できた。比較例3では塗膜密度が高いので一見すると低温での焼結進行が期待できるが、銅微粒子表面が無機物で完全に被覆されていると推定されるので、隣接微粒子間の接点で焼結が進行しなかったと推定される。
本発明は、有機物により表面処理されることなく、優れた低温焼結性を備えた銅微粒子を提供する。本発明は産業上有用な発明である。

Claims (18)

  1. XPS survey測定において、Cr(クロム)、Mn(マンガン)及びMo(モリブデン)からなる群から選択された重金属元素の原子濃度が、0.5〜3.0at%であり(ただし、原子濃度は、選択された重金属元素、Cu(銅)、C(炭素)、及びO(酸素)の合計に対する原子濃度である)、
    Cuの光電子スペクトルにおいて、932.5〜932.9eVの範囲における最大ピーク値に対する、934eVにおける強度の比(934eV強度/最大ピーク値強度)が、0.15〜0.40の範囲にある、表面処理された銅微粒子。
  2. 表面処理された銅微粒子とジエチレングリコールとを金属比率80%で含む銅微粒子ペーストが、塗膜密度3.5gcm-3以上である、請求項1に記載の表面処理された銅微粒子。
  3. 表面処理された銅微粒子とジエチレングリコールとを金属比率80%で含み、ロジン又はアクリル樹脂を4wt%以下で含む銅微粒子ペーストが、塗膜密度3.5gcm-3以上である、請求項1に記載の表面処理された銅微粒子。
  4. 表面処理された銅微粒子とジエチレングリコールとを金属比率80%で含む銅微粒子ペーストを、窒素中で350℃で30分焼成して得られる焼成体が、比抵抗が30μΩcm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の表面処理された銅微粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の表面処理された銅微粒子を含有する、銅微粒子ペースト。
  6. 請求項5に記載の銅微粒子ペーストを250〜400℃で焼成してなる、焼成体。
  7. 銅微粒子を、Cr、Mn及びMoからなる群から選択された重金属元素を含むオキソ酸の塩の水溶液へ浸漬する工程、
    を含む、表面処理された銅微粒子を製造する方法。
  8. Cr、Mn及びMoからなる群から選択された重金属元素を含むオキソ酸の塩が、二クロム酸の塩、過マンガン酸の塩、又はモリブデン酸の塩である、請求項7に記載の方法。
  9. オキソ酸の塩が、オキソ酸のアルカリ金属塩である、請求項7又は8に記載の方法。
  10. オキソ酸の塩の水溶液が、pH3〜pH10の水溶液である、請求項7〜9のいずれかに記載の方法。
  11. オキソ酸の塩の水溶液が、オキソ酸の塩の濃度が、二クロム酸塩の場合、1〜20gL-1、過マンガン酸塩またはモリブデン酸塩の場合、0.1〜1.5gL-1の水溶液である、請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
  12. オキソ酸の塩の水溶液へ浸漬する工程が、20〜60℃の温度で浸漬する工程である、請求項7〜11のいずれかに記載の方法。
  13. オキソ酸の塩の水溶液へ浸漬する工程が、10〜120分間浸漬する工程である、請求項7〜12のいずれかに記載の方法。
  14. オキソ酸の塩の水溶液へ浸漬する工程が、撹拌又は超音波照射しながら浸漬する工程である、請求項7〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 銅微粒子が、化学還元法又は不均化反応によって合成された銅微粒子である、請求項7〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 銅微粒子を、オキソ酸の塩の水溶液へ浸漬する工程が、
    XPS survey測定において、Cr(クロム)、Mn(マンガン)及びMo(モリブデン)からなる群から選択された重金属元素の原子濃度が、0.5〜3.0at%であり(ただし、原子濃度は、選択された重金属元素、Cu(銅)、C(炭素)、及びO(酸素)の合計に対する原子濃度である)、
    Cuの光電子スペクトルにおいて、932.5〜932.9eVの範囲における最大ピーク値に対する、934eVにおける強度の比(934eV強度/最大ピーク値強度)が、0.15〜0.40の範囲にある、表面処理された銅微粒子へと表面処理する工程である、請求項7〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 請求項7〜16のいずれかに記載の方法によって製造された、表面処理された銅微粒子を、250〜400℃の温度で焼成して、焼成体を製造する方法。
  18. 請求項7〜16のいずれかに記載の方法によって製造された表面処理された銅微粒子を含有する銅微粒子ペーストを、250〜400℃の温度で焼成して、焼成体を製造する方法。
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