JP2016190743A - 駆動伝達装置、画像形成装置 - Google Patents

駆動伝達装置、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】制御レバー6が係止位置から非係止位置へ動作不良なく移動することを可能にする。【解決手段】遊星ギア機構と係止機構を用いて、駆動源からの回転駆動力を駆動軸に伝達する伝達状態と、遮断する遮断状態とをとり得る駆動伝達装置であって、係止機構は、爪部10bを係止することで太陽ギア10aの回転を停止させる係止位置と、爪部10bを係止しない非係止位置との間を移動可能な制御レバー6を備え、制御レバー6を係止位置から非係止位置へ移動する際、爪部10bが係止された時の回転方向と逆方向に働く回転力を爪部10bに生じさせる回転力発生手段を有することを特徴とする。【選択図】図5

Description

本発明は、駆動伝達装置、画像形成装置に関するものである。
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機などの画像形成装置には、シート分離・搬送機構等に駆動モータの回転駆動力を所定のタイミングで伝達する駆動伝達装置が採用されている。図12に欠け歯ギアを用いた駆動伝達装置を画像形成装置の給紙部に採用した従来例の斜視図を示す(特許文献1)。図12に示すように、駆動伝達装置220は、記録材としてのシートPを分離搬送する給紙ローラ201、シートPを給紙ローラ201に所定の力で当接させる積載板202、給紙ローラ201と一体に回転する駆動軸203を有している。また、駆動伝達装置220は、画像形成装置本体の駆動源に駆動連結した入力ギア204、回転駆動力の伝達、遮断を制御するソレノイド205を有している。
画像形成装置本体からの制御信号によりソレノイド205がON状態になると、駆動伝達装置が回転駆動力を伝達することで、駆動軸203および給紙ローラ201が図12中A方向に回転する。給紙ローラ201は、不図示の分離手段によってシート束より分離された1枚のシートPを搬送する。
図13は、図12で説明した駆動伝達装置220の分解斜視図である。図13に示すように、駆動伝達装置220は、欠け歯部209aを有し駆動軸203を駆動する第一欠け歯ギア209を有する。また、第一欠け歯ギア209と略同位相で欠け歯部211aを有し、第一欠け歯ギア209に圧縮バネ210を介して回転自在に支持される第二欠け歯ギア211を有する。さらに、駆動軸203と一体となって回転する制御カム208、制御カム208に追従するよう圧接されるカムフォロワー206、カムフォロワー206を制御カムに付勢するバネ207を有する。
ソレノイド205がOFF状態にある場合、第二欠け歯ギア211は、その外環に設けられた係止部211bがソレノイド205により係止され、欠け歯部211aを入力ギア204に対向させた位置で静止している。同様に制御カム208、第一欠け歯ギア209および駆動軸203は静止しており、その状態でカムフォロワー206が制御カム208の凹部208に嵌って制御カム208を押圧している。このとき第一欠け歯部209aもまた入力ギア204に対向している。
ソレノイド205がON状態となり、第二欠け歯ギア211の係止解除がなされると、第二欠け歯ギア211は圧縮バネ210によって入力ギア204と噛み合って回転を開始する。この時、第一欠け歯ギア209は制御カム208により静止したままである。第二欠け歯ギア211が所定量回転し、第二欠け歯ギア211に設けられた不図示のリブが、第一欠け歯ギア209の連結リブ209bに当接すると制御カム208の係止力に抗して第一欠け歯ギア209が回転を開始する。連結リブ209bが当接した状態では第一欠け歯ギア209と第二欠け歯ギア211のギアピッチは等しく、第一欠け歯ギア209は入力ギア204と位相を合わせて噛合うことが可能である。第二欠け歯ギア211が略1回転を完了すると、既にOFF状態にあるソレノイド205により係止部211bが再度係止され、第二欠け歯ギア211は静止状態になる。一方、第一欠け歯ギア209は、その有歯部が入力ギア204との噛合いを終了した後、制御カム208の凹部208a近傍の傾斜部がカムフォロワー206に押圧されて1回転を完了し静止状態に復帰する。
図14は、図12、図13で説明したものと同様の給紙部に駆動伝達装置として差動ギアユニット230を用いた構成例を示す斜視図である。差動ギアユニット230は、不図示の給紙ローラを矢印D方向に回転する駆動軸231、駆動源に駆動連結する入力ギア232、駆動力の伝達、遮断を制御するソレノイド233、図中E方向に揺動可能な制御レバー234を有する。また、差動ギアユニット230は、入力ギア232により駆動される内ギア235と、二つの遊星ギア236a、236bと、各々の遊星ギアを回転自在に支持しつつ、駆動軸231と一体となって回転する遊星キャリア237を有する。さらに、差動ギアユニット230は、駆動軸231に対し回転自在に支持されるとともに、遊星ギア236a、236bに噛合うギア部を備える太陽ギア部材238を有する。
ソレノイド233がOFF状態にある場合、制御レバー234は太陽ギア部材238に設けられた爪部238aと離間している。したがって、入力ギア232から駆動入力された内ギア235は遊星ギア236a、236bを介して太陽ギア部材238を空転させ、結果、遊星キャリア237および駆動軸231は静止状態にある。
ソレノイド233がON状態となり、制御レバー234が爪部238aを係止すると、太陽ギア部材238の回転が停止し、遊星ギア236a、236bが公転すると共に遊星キャリア237が駆動軸231と一体となって図中D方向に回転を開始する。駆動軸231が1回転を完了するタイミングでソレノイド233をOFF状態とし、制御レバー234による爪部238aの係止解除を行うことで差動ギアユニット230は駆動伝達を遮断する初期状態に復帰する。
特開平10−153247号公報
しかしながら、図12〜14を用いて説明した従来例には、以下のような課題が生じる懸念がある。近年、市場において画像形成装置の更なる高速化・高生産化が望まれている。この要求に対応する手段の一つとして印刷速度の高速化および印刷間隔の短縮化があり、駆動伝達装置の更なる高速化が必要となっている。
しかしながら、図13に示す欠け歯ギアを用いた駆動伝達装置では、出力対象としての第一欠け歯ギアの回転に先んじ、第二欠け歯ギアを入力ギアに噛合わせる必要がある。そのため、ソレノイドをON状態としてから第一欠け歯ギアが回転を開始するまで所定の時間を要し、高速化対応に課題がある。
一方、図14に示す差動ギアユニットを用いた駆動伝達装置では、ソレノイドによって直接制御レバーを動作させるため、ソレノイドをON状態としてから出力対象としての遊星キャリアが回転を開始するまでの時間は欠け歯ギアを用いた場合よりも高速である。しかしながら、太陽ギア部材の爪部形状の精度や制御レバーとの配置精度によっては大きな出力負荷を担うことができないといった課題がある。以下、図15を参照してその課題について説明する。
図15は、従来例の制御レバーと太陽ギア部材の爪部との関係を示す図である。従来の構成において、制御レバー234が太陽ギア部材の爪部238aを係止している状態では、爪部238aの被係止面から制御レバー234の係止面に係止反力が作用する。爪部238aの被係止面は、制御レバー234の係止面と当接する面領域(の少なくともある一点)において、係止反力が作用する方向に延ばした仮想線(図15中矢印E)が、制御レ
バーの回転中心234aを通るように形成されている。即ち、この係止反力によって制御レバー234が係止方向にも、係止解除方向にも動作しないよう配置設計されている。
しかしながら、爪部238aの被係止面の形状精度や、制御レバー234の配置精度によっては、上記のように制御レバー234と爪部238aとが適当な係止状態となるような係止反力が発生しない構成となってしまう場合がある。例えば、図15の破線F方向に力が、爪部238aと制御レバー234との間に作用する構成となった場合、制御レバー234の係止面に対し、制御レバー234を非係止位置から係止位置に向かって移動させる方向に作用する力が強くなり過ぎた状態となる。この場合、制御レバー234は、担う出力負荷の大きさによってはソレノイドがOFF状態になっても、爪部238aに引っかかったまま爪部238aから離間できない場合がある。一方、爪部238aと制御レバー234との間で図15の破線G方向の力が作用する構成となった場合には、制御レバー234の係止面に対し、係止解除方向に作用する力の方が強くなり過ぎてしまう場合がある。この場合、制御レバー234によって爪部238aを係止できない場合がある。
更に、差動ギアユニットを用いた駆動伝達装置では、駆動伝達をする間、ソレノイドをON状態にしておく必要があるため、画像形成装置が高速・高生産化するほどソレノイドのON状態時間が長くなりソレノイドが昇温する。その結果、制御レバーによる爪部の係止力低下が発生し、上述した形状精度および配置精度による課題と同様、大きな出力負荷への対応が課題となる。
そこで、本発明は、係止部材を係止位置と非係止位置との間で移動させることで駆動力を伝達する伝達状態と、伝達しない遮断状態とをとり得る駆動伝達装置において、係止部材が係止位置から非係止位置へ動作不良なく移動することを可能にすることを目的とする。
上記目的を達成するため本発明に係る駆動伝達装置は、
回転駆動力が入力されて回転する第1伝達部材と、
前記第1伝達部材の回転力が伝達されることで、回転駆動力を出力すべく回転する第2伝達部材と、
回転が規制されることで、前記第1伝達部材の回転力を前記第2伝達部材に伝達する第1状態と、回転が許容されることで、前記第1伝達部材の回転力を前記第2伝達部材に伝達しないように回転する第2状態と、を取り得る第3伝達部材と、
前記第3伝達部材の回転を規制すべく前記第3伝達部材の被係止部を係止する係止位置と、前記被係止部を係止しない非係止位置と、に移動可能な係止部材を有し、前記第3伝達部材の状態を前記第1状態または前記第2状態に切り替え可能な係止機構と、
を備え、
前記係止機構が、前記第3伝達部材を前記第1状態とすることで、前記回転駆動力を出力する伝達状態となり、前記係止機構が、前記第3伝達部材を前記第2状態とすることで、前記回転駆動力を出力しない遮断状態となる駆動伝達装置において、
前記係止部材が前記係止位置から前記非係止位置に移動する際において、前記係止位置にある前記係止部材によって規制される前記被係止部の回転の方向とは逆方向に働く回転力を、前記被係止部に発生させる回転力発生手段を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る画像形成装置は、
上記駆動伝達装置を備えることを特徴とする。
本発明によれば、係止部材を係止位置と非係止位置との間で移動させることで駆動力を
伝達する伝達状態と、伝達しない遮断状態とをとり得る駆動伝達装置において、係止部材が係止位置から非係止位置へ動作不良なく移動することを可能にする。
実施例1に係る画像形成装置の給紙部を示す斜視図 実施例1の駆動伝達装置を示す分解斜視図 実施例1の駆動伝達装置の遮断状態を示す図 実施例1の駆動伝達装置の伝達状態を示す図 実施例1の駆動伝達装置が伝達状態から遮断状態になる直前の状態を示す図 実施例1における回転角速度について説明する図 実施例2の駆動伝達装置を示す斜視図 実施例2の駆動伝達装置を示す分解斜視図 実施例2の駆動伝達装置の動作を説明する説明図 実施例3に係る画像形成装置の給紙部を示す斜視図 実施例3の駆動伝達装置の動作を説明する説明図 従来例の画像形成装置の給紙部を示す斜視図 従来例の駆動伝達装置を示す分解斜視図 従来例の差動ギアユニットを示す分解斜視図 従来例の制御レバーと太陽ギア部材の爪部との関係を示す図
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
(実施例1)
<画像形成装置の給紙部>
まず、図1を参照して、本発明の実施例1に係る駆動伝達装置を用いた画像形成装置の給紙部の概略について説明する。図1は、実施例1に係る画像形成装置の給紙部を示す斜視図である。
図1に示すように、画像形成装置の給紙部には、遊星ギア機構と係止機構を備える駆動伝達装置1、給紙ローラ(搬送ローラ)2、給紙駆動軸(駆動軸)3、入力ギア4が設けられている。実施例1において、係止機構は、ソレノイド5と制御レバー6とで構成される機構である。給紙ローラ2は、図1中の矢印J方向に回転可能に設けられ、画像形成装置に設けられる給紙カセットに収容される記録材としてのシートPを矢印H方向に分離搬送する。給紙駆動軸3は給紙ローラ2と一体に回転する。入力ギア4は不図示の駆動源からの回転駆動力により回転し、その回転力が駆動伝達装置1によって給紙駆動軸3へと伝達されることで給紙ローラ2が回転する。ソレノイド5は、所定のタイミングでON状態となり、制御レバー6を駆動(回転移動)させる。
<駆動伝達装置>
次に、図2を参照して、実施例1の駆動伝達装置について説明する。図2は、実施例1の駆動伝達装置を示す分解斜視図である。駆動伝達装置1は、遊星ギア機構と係止機構を用いて、駆動源からの回転駆動力を給紙駆動軸3に伝達する伝達状態と、遮断する遮断状態とをとり得る装置である。
<<遊星ギア機構>>
遊星ギア機構は、遊星ギア8a、8b、遊星キャリア7、入力側ギア部材9、被係止部材10で構成される機構である。第2伝達部材としての遊星キャリア7は、遊星ギア8a、8bを自転可能に支持し、給紙駆動軸3の中心軸と同軸上で給紙駆動軸3と一体に回転可能に設けられる。また、遊星キャリア7は、給紙駆動軸3の中心軸と同軸上で回転する支持部7aを有しており、入力側ギア部材9が支持部7aに対して回転自在に設けられている。
第1伝達部材としての入力側ギア部材9は、外ギア9aと、入力側ギアとしての内ギア9bを有している。外ギア9aは、図1で示したように入力ギア4と噛み合い、駆動源からの回転駆動力により入力ギア4が回転することにより回転する。また、内ギア9bは、駆動源からの回転駆動力により給紙駆動軸3の中心軸と同軸上で回転し、遊星ギア8a、8bと噛み合うように設けられる。入力側ギア部材9は、駆動源から回転駆動力が伝達されている間は常に、図2中の矢印J方向に回転している。
第3伝達部材としての被係止部材10は、給紙駆動軸3の中心軸と同軸上で回転可能であって遊星ギア8a、8bと噛み合うギア部としての太陽ギア10aと、太陽ギア10aと一体に回転可能に設けられる被係止部としての爪部10bとを有している。
<<係止機構>>
係止機構は、爪部10bを係止することで太陽ギア10bの回転を停止させる係止位置と、爪部10bを係止しない非係止位置との間を移動可能な係止部材としての制御レバー6と、制御レバー6の移動を制御するソレノイド5で構成される機構である。
<<回転力発生手段>>
さらに、駆動伝達装置1は、回転体としての制御カム11、制御カム11に追従するように圧接して設けられる圧接部材としてのカムフォロワー12、カムフォロワー12を制御カム11に対して付勢する付勢部材としての圧縮バネ13を有する。制御カム11は、給紙駆動軸3と一体に回転可能に設けられている。実施例1においては、これら、制御カム11、カムフォロワー12、圧縮バネ13が本発明の回転力発生手段に対応する構成である。
<駆動伝達装置の動作>
次に、図3〜図5を参照して、実施例1の駆動伝達装置の動作について説明する。図3は、実施例1の駆動伝達装置の遮断状態を示す図である。図4は、実施例1の駆動伝達装置の伝達状態を示す図である。図5は、実施例1の駆動伝達装置が伝達状態から遮断状態になる直前の状態を示す図、すなわち、遊星キャリアが1回転を完了する直前の状態を示す図である。なお、図3〜図5において、左図の(a)は、駆動伝達装置1を軸方向における制御レバー6側から見た図であり、右図の(b)は、制御カム11側から見た図である。
遮断状態においては、図3(a)に示すように、ソレノイド5はOFFの状態である。この状態において、ソレノイド5に設けられた引張バネ5aの弾性力により制御レバー6は、被係止部材10の爪部10bを係止しない(被係止部材10の回転を許容する)非係止位置にある。そのため、太陽ギア10aは回転可能な状態となっている(第2状態)。また、遮断状態においては、図3(b)に示すように、制御カム11に設けられた凹部11aにカムフォロワー12が圧接することで、制御カム11および遊星キャリア7が静止状態となっている。従って、給紙駆動軸3は回転しない。すなわち、駆動伝達装置1は、給紙駆動軸3に回転駆動力が伝達されていない遮断状態となっている。
この時、太陽ギア10aが回転可能な状態であるため、駆動源からの回転駆動力により内ギア9bが回転することにより、遊星ギア8a、8bが自転し、被係止部材10(太陽
ギア10a、爪部10b)を図3(a)中K方向に空転させる。
図4(a)に示すように、給紙駆動軸3へ回転駆動力が伝達される伝達状態においては、ソレノイド5はONの状態であり、制御レバー6が被係止部材10の爪部10bを係止する(被係止部材10の回転を規制する)係止位置にある。そのため、太陽ギア10aの回転は停止している(第1状態)。太陽ギア10aの回転が停止した状態で、駆動源からの回転駆動力により内ギア9bが回転することにより、遊星ギア8a、8bが公転及び自転し、遊星キャリア7を図4(a)中矢印J方向に回転させる。この時、内ギア9bの1回転に対する遊星キャリア7の回転数Nは、太陽ギア10aの歯数,遊星ギア8a、8bの歯数,内ギア9bの歯数を各々Za、Zb、Zcとすると、N=Zc/(Za+Zc)と表せる。そして、遊星キャリア7の回転に伴い給紙駆動軸3が図4中矢印J方向に回転する。このように、給紙駆動軸3が回転することにより、給装ローラ2が回転し、給紙搬送動作が行われることとなる。すなわち、駆動伝達装置1は、給紙駆動軸3に回転駆動力を伝達する伝達状態となっている。
ここで、図4、図5を参照して、回転する被係止部としての爪部10bから係止部材としての制御レバー6に作用する係止反力について説明する。図4(a)に示すように、制御レバー6が爪部10bを係止した伝達状態においては、制御レバー6は爪部10bのうち制御レバー6と接触する面(接触部)である被係止面からベクトルLで示す係止反力を受ける。
制御レバー6は、図4に示すように、支持軸6aを中心に揺動可能に設けられている。そして、係止反力(ベクトルL)により制御レバー6の支持軸6a周り(制御レバー6の回転軸回り)に働くモーメントMk=L×r(図4(a))を定義する。この場合、モーメントMkが、ソレノイド5の引張りバネ5aによるモーメントMs(図4(a))を上回るよう爪部10bの被係止面の向きが設定されている。
ここで、実施例1の回転力発生手段による、爪部10bの動作について説明する。図5(b)に示すように、遊星キャリア7(制御カム11)が1回転を完了する直前において、制御カム11は、凹部11aに向かう傾斜面11bをカムフォロワー12により押圧され、図中J方向の回転角速度が加速される。制御カム11の加速に伴い遊星キャリア7が回転方向(図中J方向)に加速されると、制御レバー6によって静止状態であった被係止部材10の爪部10bは、図5(a)中N方向に回転を開始する。以下詳細に説明する。
伝達状態から遮断状態になる際、制御レバー6には、爪部10bの被係止面から図5(a)中Q方向の離間力が作用し、この離間力とソレノイド5によるモーメントMsによって制御レバー6は爪部10bより離間する。
制御カム11は凹部11aにカムフォロワー12が嵌り合うまで回転し、遊星キャリア7と共に1回転を完了する。制御カム11の凹部11a(被嵌合部)とカムフォロワー12の凸部(嵌合部)は、嵌り合う際に凸部から凹部11aに作用する力の中に、制御カム11の回転方向に作用する分力が発生するような凹凸形状に構成されている。すなわち、凸部が凹部11aに嵌り込む際に、制御カム11をその回転方向に押し出す力が発生する。制御カム11は、遊星キャリア7の回転と共に1回転すると、カムフォロワー12が制御カム11の凹部11aに嵌る位置に戻り、図5(b)に示す状態から図3(b)に示す状態となる。制御カム11が1回転する直前、すなわち図5(b)に示す状態から図3(b)に示す状態になる際、カムフォロワー12からの押圧力により制御カム11が先行回転する。すなわち、制御カム11の回転角速度が、回転方向Jに加速される。
このような制御カム11の先行回転により、J方向に回転する遊星キャリア7の回転角
速度が加速する。制御カム11が先行回転する前の一定速度で回転している時は、遊星キャリア7は遊星ギア8a、8bから力を受けて一定速度(上述した回転数N)で回転していた。しかし、制御カム11が先行回転することにより、遊星キャリア7が遊星ギア8a、8bをより速く公転させようとする。一方で内ギア9bは一定速度で回転し続けているため、遊星ギア8a、8bにより、噛み合った太陽ギア10aを図5(a)中の矢印N方向に回転させる。
太陽ギア10aの矢印N方向の回転に伴い当然爪部10bも矢印N方向に回転する。すなわち、制御レバー6を係止位置から非係止位置へ移動する際、爪部10bが制御レバー6に係止された時の回転方向(矢印K方向)と逆方向(矢印N方向)に働く回転力を爪部10bに生じさせている。このような構成により、伝達状態から遮断状態になる際、制御レバー6による爪部10bに対する引っ掛かり状態(係止状態)が確実にかつスムーズに解除され、係止状態が維持されてしまうことによる動作不良の発生を抑制することができる。
ここで、図6を参照して、遊星キャリアと爪部の回転角速度の関係について説明する。図6は、実施例1における回転角速度について説明する図である。図6の縦軸は遊星キャリア7(制御カム11)のJ方向回転角速度、横軸は被係止部材10(爪部10b)の回転角速度を表す。
駆動伝達装置1の遮断状態(図3で示した状態)は、図6において点(1)で表すことができる。すなわち、被係止部材10の爪部10bが所定の回転角速度でK方向に空転し、遊星キャリア7は静止している状態である。
また、点(2)はソレノイド5がON状態となって被係止部材10が静止し、遊星キャリア7が所定の回転角速度でJ方向に駆動出力する伝達状態である。すなわち、図4で示した状態である。そして、点(3)は、制御カム11がカムフォロワー12に押圧されて先行回転することで、遊星キャリア7が所定の回転角速度以上に加速された状態である。すなわち、図5の状態から図3の状態になる間の状態である。この時、被係止部材10(爪部10b)は、図6の横軸左側、すなわち図5(a)で示すN方向(K方向の反対方向)に回転をすることになる。
以上説明したように実施例1においては、伝達状態から遮断状態への復帰に際しては出力対象としての遊星キャリア7を出力方向に加速することで爪部10bを図5中矢印N方向に回転させ、容易に制御レバー6の係止解除をすることを可能にした。また、制御レバー6に働く係止反力(ベクトルL)が、爪部10bの被係止面の中央点Cの回転軌跡の接線に平行で被係止面を通る仮想直線(図4(a)中の直線I)よりも、被係止部材10の回転中心側に傾くように、爪部10bの被係止面を設定した。この構成により、出力負荷に依らず確実に制御レバー6が爪部10bに引っかかり、駆動伝達を行うことを可能にした。
本実施例に係る駆動伝達装置は、制御レバー6と被係止部材10との係止部を、係止状態をより確実に形成できるような形状設計で構成するとともに、上記係止部の係止解除をアシストするための回転力発生手段を設けたことを特徴とするものである。すなわち、係止状態では、制御レバー6を係止位置に留めるように作用する係止反力が確実に発生するように構成し、従来のような微妙なバランスの係止反力を発生させる構成よりも、係止位置に留める力が強くなるような構成としている。また、係止解除の際は、少なくとも、制御レバー6の係止面を非係止部材10の被係止面から離す瞬間において、一時的に被係止部材10の回転力を加速させるように構成している。これにより、係合部が従来よりも強く係合する構成であっても、確実に係合状態の解除を行うことができる。係止部に発生する係止反力は、回転力発生手段が発生する回転力により生じる、被係止部材10の爪部1
0bを制御レバー6から離間させる力と、ソレノイド5による制御レバー6を係止位置から非係止位置に移動させる力とを合わせた合力よりも弱ければよい。したがって、係止部の構成に求められる加工精度は、上記力関係が成立する程度でよく、従来のような加工精度は要求されない。すなわち、本実施例によれば、係止部の構成の加工精度が高くなくても、制御レバー6と被係止部材10の係脱を確実に行うことが可能となり、係止部に求められる加工精度の程度の低減(コスト低減)とともに、動作不良の発生抑制が可能となる。
なお、本実施例で示した係止部(制御レバー6、爪部10b等)の構成や、回転力発生手段(制御カム11、カムフォロアー12等)の構成はあくまで一例である。係止部の係止状態を確実に形成でき、かつ、係止部の係止解除の際に、上記力関係を少なくとも一時的に発生させ、確実に係止部材を非係止位置に移動させることができる構成であれば、他の構成を採用してもよい。
(実施例2)
<駆動伝達装置の構成>
次に、図7、図8を参照して、本発明の実施例2について説明する。図7は、実施例2の駆動伝達装置を示す斜視図である。図8は、実施例2の駆動伝達装置を示す分解斜視図である。実施例2の駆動伝達装置21は、実施例1と同様の給紙部に設けられ、給紙部の構成、動作などは実施例1と同様であるため、その説明は省略する。実施例2の駆動伝達装置21は、実施例1と同様に、遊星ギア機構と係止機構を用いて、駆動源からの回転駆動力を給紙駆動軸3に伝達する伝達状態と、遮断する遮断状態とをとり得る装置である。また、制御カム等を用いた回転力発生手段の構成についても実施例1と同様である。
図7、図8に示すように、遊星ギア機構は、遊星ギア8a、8bと、遊星キャリア7と、入力側ギア部材9と、被係止部材22とで構成される。被係止部材22は、遊星ギア8a、8bと噛み合うギア部としての太陽ギア22aと、被係止部(被係止ギア)としての大ギア22bを有している。
また、係止機構は、係止部材としての制御レバー24と、制御レバー24を駆動させるソレノイド5とを有する機構である。そして、実施例2の制御レバー24は、大ギア22bと噛み合う係止ギア23を有している。係止ギア23は、制御レバー24に設けられる支持軸24aを中心に回転自在に設けられている。制御レバー24は、給紙駆動軸3に対して回転自在に設けられている。
<駆動伝達装置の動作>
次に、図9を参照して、実施例2の駆動伝達装置の動作を説明する。図9は、実施例2の駆動伝達装置の動作を説明する説明図である。なお、図9(a)〜図9(c)で示す各動作説明図は、軸方向において制御レバー24側から見た図である。
図9(a)は、駆動伝達装置21の遮断状態を示している。すなわち、ソレノイド5はOFF状態である。そして、制御レバー24がソレノイド5に設けられた引張りばね5aによって図中反時計方向に付勢され、制御レバー24に設けたストッパ部24aが固定部材25の凸部25aに当接した状態で静止している。この状態で、被係止部材22は図9(a)中K方向に空転し、係止ギア23は、被係止部材22の大ギア22bと噛み合い、図9(a)中矢印X方向に回転している。
図9(b)は、駆動伝達装置21の伝達状態を示している。すなわち、ソレノイド5はON状態である。この状態において、係止ギア23は、固定部材25の停止部としての角部25bに当接し、回転が停止している。この時、係止ギア23は、固定部材25の角部25bから矢印T方向の反力を受け、大ギア22bから矢印R方向の係止反力を受けるこ
とで回転が停止している。
係止ギア23の回転が停止することで、係止ギア23と噛み合う大ギア22bが、係止ギア23(制御レバー6)に係止された状態となり、太陽ギア22aの回転も停止する。このように、太陽ギア22aの回転が停止した状態で、入力側ギア部材9が駆動源からの回転駆動力により回転することにより、遊星ギア8a、8bが公転すると共に遊星キャリア7が回転し、遊星キャリア7の回転に伴い給紙駆動軸3が矢印J方向に回転する。
回転の停止した係止ギア23には大ギア22bより9(b)中R方向の係止反力が作用するため、出力負荷が大きいほど係止ギア23の制動力は増大する。この係止反力による制御レバー24に対するモーメントMkがソレノイド5の引張りバネ5aによるモーメントMsを上回るよう構成することで被係止部材22が静止状態になった後、ソレノイド5を速やかにOFF状態とすることが可能である。
図9(c)は、遊星キャリア7が1回転を完了する直前の状態を示している。実施例1と同様、制御カム11により遊星キャリア7が図中J方向に加速されることで、被係止部材22が、係止ギア23に係止された時の回転方向(K方向)の逆方向である図中N方向に回転を開始する。これにより、係止ギア23は、大ギア22bから図中矢印S方向の離間力を受け、図9(c)中の時計回り方向に回転する。この離間力と、ソレノイドによるモーメントMsによって、制御レバー24は、係止位置から非係止位置に移動する際、係止ギア23が大ギア22bに引っかかることなくスムーズに係止状態が解除されることとなる。
実施例2では大ギア22bを係止して回転を停止する構成として係止ギア23を例示したが、これに限られるものではなく、大ギア22bの回転を停止する構成であれば、他の構成であってもよい。例えば、制御レバー24が、係止位置にあるとき固定部25に接触することで、被係止部としての大ギア22bの回転を停止するゴム、エラストマ等の弾性部材を有する構成であっても良い。係止部材に弾性部材を用いた場合には、固定部材25と係止部材との接触音を低減し、駆動出力時の騒音を低減することが可能である。
(実施例3)
<給紙部構成>
図10、図11を参照して、本発明の実施例3について説明する。図10は、実施例3に係る画像形成装置の給紙部を示す斜視図である。実施例1、2と同様の構成については同じ符号を用いて、その詳細な説明は省略する。
実施例3の駆動伝達装置31は、図7〜図9を用いて説明した実施例2の構成と同様である。すなわち、遊星ギア機構と係止機構を用いて、駆動源からの回転駆動力を給紙駆動軸(駆動軸)32に伝達する伝達状態と、遮断する遮断状態とをとり得るよう構成されている。また、伝達状態から遮断状態になる際、すなわち、係止部材としての制御レバー24が係止位置から非係止位置へ移動する際、被係止部(被係止ギア)としての大ギア22bが、係止ギア23により係止された時の回転方向と逆方向に回転を開始する。すなわち、制御レバー24が係止位置から非係止位置へ移動する際、大ギア22bが図9(a)中の回転方向Kと逆方向である図9(c)中の回転方向N方向に回転をするように構成されている。そのため、係止ギア23が大ギア22bに引っかかることなく係止状態を容易に解除することができる。ただし、実施例3においては、制御カム等を用いておらず、回転力発生手段の構成が実施例2と異なっている。
図10に示すように、実施例3の給紙部には、駆動伝達装置31により所定のタイミングで駆動される給紙駆動軸32、給紙駆動軸32と一体に回転するフィードローラ33、
フィードローラ33に圧接するブレーキローラ34が設けられている。ブレーキローラ34は、不図示のトルクリミッタを介し、固定軸35に回転自在に支持されている。
さらに、給紙部は、給紙ローラ(搬送ローラ)36、給紙駆動軸32に回転自在に支持される給紙ガイド37、中継ギア38が設けられている。給紙ガイド37には給紙ローラ36と中継ギア38を回転自在に支持する軸37a、37bが設けられている。また、給紙ガイド37は、給紙駆動軸32を中心に揺動し、給紙ローラ36は積載されたシート束の最上シートにその外周を当接している。フィードローラ33と給紙ローラ36は、各々ギア部33aとギア部36aを有し、中継ギア38を介して駆動連結している。すなわち、給紙ローラ36は、給紙駆動軸32の回転に伴い回転するように構成されている。
給紙ローラ36、フィードローラ33によるシートPの搬送方向(記録材搬送方向)の下流側には、一対のローラ部材としての搬送ローラ39および搬送コロ40が配置されている。搬送ローラ39は画像形成装置本体より図中U方向に回転駆動されている。また搬送コロ40は所定の加圧力で搬送ローラ39に押圧され、搬送ローラ39に従動回転している。このような構成により、搬送ローラ39と搬送コロ40とで記録材としてのシートPを挟持搬送する。フィードローラ33と搬送ローラ39の間には、搬送上ガイド41および搬送下ガイド42が設けられている。
<給紙、搬送動作>
所定のタイミングでソレノイド5がON状態となると、駆動伝達装置31は入力ギア4からの回転駆動を給紙駆動軸32に伝え、フィードローラ33および給紙ローラ36が図中V方向に回転する。この時、ブレーキローラ34はトルクリミッタの制動力に抗し、フィードローラ33に従動して回転する。
給紙ローラ36に搬送されることで、シート束より複数枚のシートPがフィードローラ33とブレーキローラ34とのニップ部に進入すると、トルクリミッタによりブレーキローラ34はフィードローラ33に従動できず、回転を停止する。ブレーキローラ34の回転停止により、進入したシート束の最上シートだけがフィードローラ33によって分離・搬送され、搬送上ガイド41および搬送下ガイド42に導かれて搬送ローラ39に到達する。
<駆動伝達装置構成、動作>
実施例3の駆動伝達装置31は、実施例2で示した構成と略同様であるが、実施例1および実施例2で例示した制御カム等は有しておらず、回転力発生手段の構成が異なっている。図11(a)〜(c)は実施例3の駆動伝達装置の動作を順に説明する説明図である。各動作説明図は給紙ローラ36側から観た状態を示している。
図11(a)は遮断状態を示している。すなわち、図11(a)に示す状態において、ソレノイド5がOFF状態となっており、駆動伝達装置31の出力対象である給紙駆動軸32には回転駆動力が伝達されていない。この時、給紙駆動軸32およびフィードローラ33は、トルクリミッタによって制動されるブレーキローラ34によって静止状態を保持している。また、フィードローラ33に駆動連結した給紙ローラ36もまた静止状態にある。
図11(b)は駆動状態を示している。すなわち、図11(b)に示す状態において、ソレノイド5がON状態となっており、給紙駆動軸32に駆動出力がなされ、給紙ローラ36およびフィードローラ33の回転駆動によってシートPが搬送されている状態を示している。
図11(c)はシートPが搬送ローラ39および搬送コロ40に狭持搬送される状態を示している。実施例3では搬送ローラ39によるシート搬送速度を、フィードローラ33及び給紙ローラ36によるシート搬送速度よりも速く設定した。具体的には搬送ローラ39の回転角速度を、給紙ローラ36の回転角速度よりも早くした。そのため、搬送ローラ39がシートPを搬送するとき、搬送されるシートPを介して搬送ローラ39の搬送力が伝達されることにより、フィードローラ33及び給紙ローラ36はその回転方向に加速される。
このような構成により、給紙ローラ36が加速され、実施例2と同様に、給紙ローラ36と一体に回転する遊星キャリア7の回転角速度が加速される。その結果、太陽ギア22a及び大ギア22bが図9(c)中の矢印N方向に回転する。そのため、係止部材としての係止ギア23が係止位置から非係止位置に移動する際、係止ギア23が大ギア22bに引っかかることなくスムーズに係止状態が解除されることとなる。
その後、フィードローラ33は搬送されるシートPに従動して回転をつづけ、シートP後端がブレーキローラ34とのニップ部を通過した後、トルクリミッタによってブレーキローラ34とともに初期状態へと復帰する。
実施例3には以下の特有な効果がある。駆動伝達装置31による出力の回転量を、回転数や回転時間によって制御した場合、シート媒体の種類によってはフィードローラ33とのスリップ等により搬送ローラ39へ到達できないことがある。また、フィードローラ33の耐久摩耗により、その外径が小さくなった場合にも同様の搬送不良が生じることがある。そこで、実施例3では、実施例1、2のように給紙駆動軸を1回転させた際ではなく、搬送ローラ39にシートPが到着して挟持搬送される際に、遊星キャリア7を加速させて、伝達状態から遮断状態になるように構成した。そのため、様々なシート媒体に対して上記搬送不良を低減するとともに、ローラの耐用時間を延命することが可能である。
以上、本発明は上述した実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。特に、実施例1〜3では太陽ギア、遊星キャリアおよび内ギアの三要素を、各々固定要素、出力要素および入力要素とした差動ギアユニットを例示したが、これら三要素はいずれの組み合わせにおいても図6で示すような出力要素と固定要素の速度関係が存在する。
1…駆動伝達装置、3…給紙駆動軸(駆動軸)7…遊星キャリア(第2伝達部材)、8…遊星ギア、9b…内ギア(入力側ギア、第1伝達部材)、10…被係止部材(第3伝達部材)、10a…太陽ギア(ギア部)、10b…爪部(被規制部)、6…制御レバー(係止部材)

Claims (12)

  1. 回転駆動力が入力されて回転する第1伝達部材と、
    前記第1伝達部材の回転力が伝達されることで、回転駆動力を出力すべく回転する第2伝達部材と、
    回転が規制されることで、前記第1伝達部材の回転力を前記第2伝達部材に伝達する第1状態と、回転が許容されることで、前記第1伝達部材の回転力を前記第2伝達部材に伝達しないように回転する第2状態と、を取り得る第3伝達部材と、
    前記第3伝達部材の回転を規制すべく前記第3伝達部材の被係止部を係止する係止位置と、前記被係止部を係止しない非係止位置と、に移動可能な係止部材を有し、前記第3伝達部材の状態を前記第1状態または前記第2状態に切り替え可能な係止機構と、
    を備え、
    前記係止機構が、前記第3伝達部材を前記第1状態とすることで、前記回転駆動力を出力する伝達状態となり、前記係止機構が、前記第3伝達部材を前記第2状態とすることで、前記回転駆動力を出力しない遮断状態となる駆動伝達装置において、
    前記係止部材が前記係止位置から前記非係止位置に移動する際において、前記係止位置にある前記係止部材によって規制される前記被係止部の回転の方向とは逆方向に働く回転力を、前記被係止部に発生させる回転力発生手段を備えることを特徴とする駆動伝達装置。
  2. 前記係止部材は、前記係止位置において、前記係止部材を前記係止位置に留めるように作用する係止反力を前記被係止部から受けるように構成されており、
    前記係止反力は、前記回転力により発生する、前記被係止部を前記係止部材から離間させる力と、前記係止機構が前記係止部材を前記係止位置から前記非係止位置に移動させる力と、を合わせた力よりも弱いことを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達装置。
  3. 前記被係止部は、前記係止部材に作用する係止反力が、前記係止部材と当接する前記被係止部の被係止面の中央点を通る直線であって、前記中央点の回転軌跡の接線のうち、前記係止位置にある前記係止部材と前記被係止面が当接しているときにおける前記中央点を通る前記接線よりも、前記被係止部の回転中心側に傾いた方向に延びる直線に沿った方向に作用するように、前記被係止面の向きが設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動伝達装置。
  4. 前記係止部材は、前記係止位置と前記非係止位置との間を回転移動するものであり、
    前記被係止部は、前記係止部材の回転軸回りに働くモーメントにおいて、前記係止位置から前記非係止位置に移動させる向きに働くモーメントよりも、前記非係止位置から前記係止位置に移動させる向きに働くモーメントが大きくなるような係止反力が、前記係止部材に作用するように、前記係止部材が当接する被係止面の向きが設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動伝達装置。
  5. 前記係止機構は、前記係止部材を前記係止位置と前記非係止位置との間で移動させるソレノイドを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の駆動伝達装置。
  6. 遊星ギア機構と前記係止機構を用いて、駆動源からの回転駆動力を駆動軸に伝達する前記伝達状態と、遮断する前記遮断状態とをとり得る駆動伝達装置であり、
    前記遊星ギア機構は、
    遊星ギアと、
    前記遊星ギアを自転可能に支持し、前記駆動軸と共に回転可能な、前記第2伝達部材としての遊星キャリアと、
    前記駆動源からの回転駆動力により回転し、前記遊星ギアと噛み合う、前記第1伝達部材としての入力側ギアと、
    前記遊星ギアと噛み合うギア部と、前記ギア部と一体に回転可能に設けられる前記被係止部とを有する、前記第3伝達部材としての被係止部材と、
    を備え、
    前記係止機構は、前記被係止部を係止することで前記ギア部の回転を停止させる係止位置と、前記被係止部を係止しない非係止位置と、の間を移動可能な係止部材を備え、
    前記係止部材が前記係止位置にあるとき、前記ギア部の回転が停止された前記第1状態で前記入力側ギアが前記駆動源からの回転駆動力により回転することにより、前記遊星ギアが公転すると共に前記遊星キャリアが回転し、前記遊星キャリアの回転と共に前記駆動軸が回転する前記伝達状態となり、
    前記係止部材が前記非係止位置にあるとき、前記ギア部が回転可能な前記第2状態で前記入力側ギアが前記駆動源からの回転駆動力により回転することにより、前記遊星ギアが自転すると共に前記遊星キャリアが停止し、前記遊星キャリアの停止に伴い前記駆動軸が回転しない前記遮断状態となることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の駆動伝達装置。
  7. 前記被係止部は、被係止ギアであり、
    前記係止部材は、前記被係止ギアと噛み合う係止ギアを有し、
    前記係止部材が前記係止位置にあるとき、前記係止ギアの回転を停止することで前記被係止ギアの回転を停止させる停止部を有することを特徴とする請求項6に記載の駆動伝達装置。
  8. 前記回転力発生手段による前記回転力は、前記遊星キャリアの回転角速度が加速することで前記遊星ギアが公転しながら自転することにより前記ギア部が回転して前記被係止部に発生することを特徴とする請求項6又は7に記載の駆動伝達装置。
  9. 前記回転力発生手段は、
    前記駆動軸と共に回転可能であって凹部を有する回転体と、前記回転体に圧接し、前記係止部材が前記非係止位置にあるとき前記凹部に嵌る圧接部材と、前記圧接部材を前記回転体に対して付勢する付勢部材と、を有し、
    前記係止部材を前記係止位置から前記非係止位置へ移動する際、前記付勢部材により前記圧接部材を前記凹部に嵌るように付勢することにより、前記回転体の回転角速度を加速させると共に前記遊星キャリアの回転角速度を加速させて、前記遊星ギアを公転させながら自転させることにより前記被係止部に前記回転力を発生させることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の駆動伝達装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の駆動伝達装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項6乃至9のいずれか1項に記載の駆動伝達装置を備え、
    前記駆動軸と共に回転し、記録材を搬送する搬送ローラを有することを特徴とする画像形成装置。
  12. 前記回転力発生手段は、
    前記搬送ローラよりも記録材の搬送方向の下流側に配置され、記録材を挟持搬送する一対のローラ部材であって、前記搬送ローラよりも速い搬送速度で記録材を搬送するローラ部材を有し、
    前記ローラ部材が、搬送される記録材を介して前記搬送ローラの回転角速度を加速させると共に前記遊星キャリアの回転角速度を加速させて、前記遊星ギアを公転させながら自
    転させることにより前記被係止部に前記回転力を発生させることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
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