以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態につき説明する。なお、以下に示す構成はあくまでも一例であり、例えば細部の構成については本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当業者が適宜変更することができる。また、本実施形態で取り上げる数値は、参考数値であって、本発明を限定するものではない。
以下、本発明の実施形態に係るシート搬送装置について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係るシート搬送装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリおよびこれら複合機器等の画像形成装置または画像読取装置に備えられる。これらの装置は、シートを反転させて搬送し、シート両面への画像の形成、およびシート両面の画像の読取が可能なシート搬送装置としてのシート搬送部を備えた画像形成装置または画像読取装置である。以下の実施形態においては、画像形成装置としてレーザービームプリンタを用いた例について説明する。
[実施形態1]
図1は、本実施形態1に係るレーザービームプリンタの全体構造を模式的に示す側断面図である。図1に示すように、本実施形態1のレーザービームプリンタ1は、プリンタ本体2と、シート給送部3と、画像形成部4と、シート搬送部5と、排出反転部6と、制御部としてのシート搬送制御部7と、を備える。
本実施形態のプリンタ本体2は、レーザービームプリンタ1の構成を有している。このレーザービームプリンタ1は、シート給送部3、画像形成部4、シート搬送部5、排出反転部6、およびシート搬送制御部7を収容する筐体20を備える。また、レーザービームプリンタ1は、筐体20の下部に着脱自在に取り付けられる供給カセット21と、筐体20の上部に形成される排出トレイ22と、を備える。
供給カセット21は、積層した状態でシートSを収納する。排出トレイ22は、片面記録または両面記録が終了したシートを収容する。シート給送部3は、供給カセット21に収納されるシートSをシート搬送部5に給送する給送ローラ30と、給送ローラ30と共にシートを分離する分離部31と、を備える。分離部31は、給送ローラ30に圧接してシートを1枚ずつ分離する分離パッド31aと、分離パッド31aを保持する分離ホルダ31bと、を備える。シート給送部3は、供給カセット21にセットされたシートSを、分離パッド31aで1枚ずつ分離しながら給送ローラ30でシート搬送部5に給送する。
画像形成部4は、感光体ドラム40と、レーザースキャナユニット41と、現像部42と、転写ローラ43と、定着部44と、を備え、所定の画像情報に基づいてシートSに画像を形成する。レーザースキャナユニット41は、画像情報に基づいて形成された情報光を感光体ドラム40に照射する。現像部42は、感光体ドラム40に形成された静電潜像をトナー現像する。現像されたトナー画像は転写ローラ43によってシートSに転写され、定着部44が、転写されたトナー画像をシートSに定着させる。
シート搬送部5は、第1搬送路50と、第2搬送路51と、搬送ローラ対52と、再搬送ローラ対53と、第1センサ54と、第2センサ55と、を備える。
排出反転部6は、3連ローラ構成の搬送ローラユニット60と、ガイド部材64と、を備える。この搬送ローラユニット60と、ガイド部材64と、によって、第1搬送路50を通過したシートを、排出トレイ22に排出するか、または、スイッチバックさせて第2搬送路51に搬送する。
搬送ローラユニット60は、第1搬送ローラ61と、第2搬送ローラ62と、第3搬送ローラ63と、によって構成されている。これらの搬送ローラの内、第2搬送ローラ62には、後述する入力ギア80~スイッチバック機構65~ローラギア81(例えば図2、図3)を介してモータなどの駆動源(不図示)の回転駆動力が伝達される。その際の第2搬送ローラ62の駆動方向については後述する。
第1搬送ローラ61は、第2搬送ローラ62の下側に当接する。この第1搬送ローラ61および第2搬送ローラ62は、シートを排出搬送するシート排出部である第1挟持部6aを構成する。例えば、シートSの排出動作では、第1搬送ローラ61は、第2搬送ローラ62に対して図中の時計方向に従動回転する。また、第3搬送ローラ63は、第2搬送ローラ62の上側に当接する。この第2搬送ローラ62および第3搬送ローラ63は、シート反転部である第2挟持部6bを構成する。例えば、スイッチバック搬送で機内にシートSを搬入する動作では、第3搬送ローラ63は、第2搬送ローラ62に対して図中の時計方向に従動回転する。排出反転部6は、後述するスイッチバック機構を備え、シートの進行方向を逆方向に切り換えるスイッチバック搬送を行うことができる。
即ち、本実施形態のシート搬送装置は、シートを排出搬送するシート排出部(第1挟持部6a)を構成するシート排出手段と、シートを反転搬送するシート反転部(第2挟持部6b)を構成する反転回転体を有するシート反転手段と、を備える。
そして、シート排出手段と、シート反転手段と、は、本実施形態では、例えば第1、第2、第3の搬送ローラ61、62、63から成るいわゆる3連ローラによって構成される。
ここで、上記の第1、第2、第3の搬送ローラ61、62、63をそれぞれ第1、第2、第3の回転体とする。その場合、第2の回転体(62)は、第1の回転体(61)に対向して配置され、第1の回転体(61)とともにシートを排出搬送するシート排出部(第1挟持部6a)を構成する。
また、第3の回転体(63)は、第2の回転体(62)に対向して配置され、第2の回転体(62)が正転方向または逆転方向に回転駆動されることにより、第2の回転体(62)とともにシートを反転搬送するシート反転部(第2挟持部6b)を構成する。
即ち、本実施形態の3連ローラ(61、62、63)におけるシート排出手段は、第1の回転体(61)と、この第1の回転体(61)に対向して配置され、第1の回転体(61)とともにシート排出部を構成する第2の回転体(62)を備える。そして、この第2の回転体(62)が、シート反転部を構成する反転回転体を兼ねる構成である。
また、本実施形態の3連ローラ(61、62、63)におけるシート反転手段は、第2の回転体(62)に対向して配置された第3の回転体(63)を備える。そして、この第3の回転体(63)は、第2の回転体(62)が正転方向または逆転方向に回転駆動されることにより、第2の回転体(62)とともにシートを反転搬送するシート反転部を構成する。
なお、上記のシート排出部(第1挟持部6a)と、シート反転部(第2挟持部6b)をそれぞれ備えたシート排出手段、およびシート反転手段は3連ローラのみによって構成されるものではない。例えば、シート排出部(第1挟持部6a)と、シート反転部(第2挟持部6b)は、それぞれ2組の対向ローラによって構成してもよい。
第1搬送路50は、例えば未印刷や片面記録済みのシートSを搬送するための搬送路である。第1搬送路50は、シートSの搬送方向の上流側、例えば搬送ローラ対52の上流側の位置で二股に分かれており、二股に分かれた第1搬送路50の一方の端部は、供給カセット21に臨む搬入口として開口する。供給カセット21から第1搬送路50に搬入されたシートSは、第1搬送路50を搬送中に画像形成部4により片面記録が行われる。一方、第1搬送路50の下流側は、搬送ローラユニット60、例えば第1搬送ローラ61および第2搬送ローラ62により構成される第1挟持部6aに臨んで配置される。
第2搬送路51は、片面記録されたシートSを第1搬送路50に再搬送するための搬送路である。第2搬送路51の上流側は、第3搬送ローラ63および第2搬送ローラ62により構成される第2挟持部6bに臨んで配置される。一方、第2搬送路51の下流側は、下方に向かってループ形状を形成し、上記のように上流側において二股に分かれた第1搬送路50の他方側に接続している。
搬送ローラ対52は第1搬送路50に配置されている。搬送ローラ対52は、上記の二股の2つの搬入経路から第1搬送路50に給送または搬送されるシートSを第1搬送路50に沿ってその下流方向へ搬送する。再搬送ローラ対53は、第2搬送路51に配置され、第2搬送路51に搬入されたシートSを搬送する。
第1センサ54は、第1搬送路50のシート給送部3と画像形成部4との間に配置され、この搬送位置を通過するシートSの先端や後端の位置を検出する。第2センサ55は、第1搬送路50の下流側に配置され、同様にこの搬送位置を通過するシートSの先端や後端の位置を検出する。
ガイド部材64は第1搬送路50の下流側において回動可能に配置されている。ガイド部材64の回動姿勢を選択することで、第1搬送路50からシートSを搬送ローラユニット60の第1挟持部6a、または第2挟持部6bに選択的に搬入できる。また、ガイド部材64の回動姿勢を選択することにより、第2搬送路51の上流側において搬送ローラユニット60の第2挟持部6bによりスイッチバック搬送されたシートを第2搬送路51へ搬送することができる。
ここで、図2、図3、および図4を参照して、排出反転部6の構成の概略を説明する。図2、図3は排出反転部6の斜視図であり、図4は図1の排出反転部6を拡大して示した部分断面図である。図2、図3は斜視方向を互いに略反対方向に変更して排出反転部6の構成を示している。
図2、図3、図4に示すように、ガイド部材64は、搬送方向における第2搬送ローラ62側の端部近傍の両側に、回動軸64aを回動中心として回動可能に保持される。ガイド部材64は、例えば、第1搬送路50ないし第2搬送路51をカバーする範囲に図1、図4に示した形状にほぼ相当するリブ状部が多数形成された形状である。
ガイド部材64の一端部には、図3に示すように側方に張り出した突起部64bが形成されている。この突起部64bは、後述するガイドリンク部材72のガイド支持部72bに不図示の付勢手段の付勢力により当接する。ガイド部材64は、突起部64bを介してガイドリンク部材72の制御によって、特定の回動姿勢を取り、その姿勢を保持する。
ガイドリンク部材72は、例えば図3のような屈曲形状を有する揺動レバー構造の先端部にガイド支持部72bを有する。後述するスイッチバック機構65によって、ガイド支持部72bの突起部64bに対する当接状態を変化させることにより、ガイド部材64を所望の回動位置に回動させることができる。
搬送ローラユニット60は、上記のようにシート搬送ローラとして回転駆動が伝達される第2搬送ローラ62と、これに対して従動回転する第1搬送ローラ61、および第3搬送ローラ63を備える。
第2搬送ローラ62は、ローラギア81を介して回転駆動される。ローラギア81には、スイッチバック機構65の外周のギア部を介して正回転または逆回転方向の駆動力が伝達される。これにより、第2搬送ローラ62を正回転または逆回転方向に回転駆動することができる。
第1搬送ローラ61は、不図示の付勢手段によって図2、図3の上方に付勢され、第1搬送ローラ61と第2搬送ローラ62により第1挟持部(6a:図1)が形成される。また、第3搬送ローラ63は、不図示の付勢手段によって図2、図3の下方に付勢され、第3搬送ローラ63と第2搬送ローラ62により第2挟持部(6b:図1)が形成される。
<スイッチバック機構の部品構成>
ここで図5、図6を参照して本実施形態1に係るスイッチバック機構65の部品構成について説明する。図5と図6は、本実施形態に係るスイッチバック機構65の分解斜視図である。図5と図6は斜視方向を相互に略反対方向に変更してスイッチバック機構65の構成を示している。
スイッチバック機構65を構成する主な部品は、ガイドカム83、カムディスク84、スイッチバック入力ギア82、反転キャリア89、キャリアディスク92、スイッチバック出力ギア93であり、これらは同軸上に配置される。
以下では、本実施形態のスイッチバック機構65の部品構成を容易に理解できるよう、スイッチバック機構65の構造をスイッチバック機構65A、65Bに分けて説明する。スイッチバック機構65A(第1の伝達機構)は、例えば、スイッチバック入力ギア82を含む駆動上流側の構造に相当し、スイッチバック機構65B(第2の伝達機構)は、スイッチバック入力ギア82を含まない駆動下流側の構造に相当する。
スイッチバック機構65のスイッチバック入力ギア82は、不図示のモータや駆動ギア列を含む駆動系により駆動される入力ギア80から回転駆動力を受けて常に一方向に回転駆動される。スイッチバック入力ギア82は、スイッチバック機構65A、スイッチバック機構65B、共通する回転駆動力の入力部を構成する。
本実施形態において、入力ギア80を駆動するモータなどの駆動源、その駆動系などは不図示であるが、例えば入力ギア80(あるいはさらにその駆動源、駆動系)は1つの回転方向のみに回転駆動力を発生する回転駆動手段と考えてよい。
機能面から考えると、上記のスイッチバック機構65A(第1の伝達機構)、およびスイッチバック機構65B(第2の伝達機構)は、次のような構成に相当する。まず、スイッチバック機構65Aは、回転駆動手段(80)の回転駆動力を、ガイド部材64を前記第1の回動位置または前記第2の回動位置との間で回動させるよう伝達する第1の伝達機構を構成する。また、スイッチバック機構65Bは、第2の回転体(第2搬送ローラ62)を正転方向、または逆転方向に回転駆動するよう回転駆動手段(80)の回転駆動力を伝達する第2の伝達機構を構成する。
<スイッチバック機構65A>
スイッチバック機構65A側において、スイッチバック入力ギア82は、図5、図6に示すように例えば内輪部が薄い板状に構成されている。このスイッチバック入力ギア82の内輪部の両側の内周部には、例えば波型形状の第1被係止部82a(図5)、および後述する第2被係止部82b(図6)がそれぞれ形成されている。
第1被係止部82aは、図5に示すように、カムディスク84側の内周部に設けられ、カムストッパ85のカムストッパ係止部85bと係止可能となっている。カムストッパ85は、図6に示すようにカムディスク84の例えば長円形の開口を介してガイドカム83のボス部83bを回動中心として回動可能に保持されている。このカムストッパ85は、スイッチバック入力ギア82の第1被係止部82a(図5)に対し、係止位置と非係止位置に移動可能となっている。
図6に示すように、カムストッパ85と、ガイドカム83のカムフック部83cの間には、カムストッパバネ86が張架されている。このカムストッパバネ86の付勢力により、カムストッパ85は、そのカムストッパ係止部85bがスイッチバック入力ギア82の第1被係止部82aに係止する方向に付勢される。カムストッパ85のボス部85a(図5)は、カムディスク84のカム長穴部84dにガイドされ、これによりカムストッパ85の揺動範囲が規制される。
カムストッパ85の揺動位置は、カムディスク84を介して制御される。カムディスク84は、カムストッパ85とスイッチバック入力ギア82が係止する係止位置と、これら両者が係止しない非係止位置と、に切り換えられる。そのため、カムディスク84は、アクチュエータとしてのソレノイド87と、ソレノイド87に連動して回動するソレノイドリンク88によって、その回動位置が上記の係止位置と非係止位置に対応する回動位置に切り換えられる。
上記の係止位置においては、スイッチバック入力ギア82の回転駆動力がカムストッパ85を介してガイドカム83に伝わり、スイッチバック入力ギア82とガイドカム83が一体的に回転することが可能となる。
ガイドカム83とガイドリンク部材72、ガイドリンク部材72とガイド部材64は各々図示しないバネに押圧されて当接された状態で保持されている。ガイドカム83が回転すると、ガイドカム83のカム部83aのカム面の形状に沿って、ガイドリンク部材72およびガイド部材64を回動させることができる。
また、非係止位置においては、スイッチバック入力ギア82の回転駆動が伝わらず、ガイドカム83が所定の位置で保持されるため、ガイドリンク部材72、ガイド部材64の回動位置が保持される。即ち、本実施の形態では、上述したカムディスク84、カムストッパ85、ソレノイドリンク88などにより、回転駆動手段80からガイド部材64までの間の第1動力伝達経路上に設けられ、回転駆動手段80からガイド部材64への動力伝達を断接する断接機構が構成されていると共に、上記ソレノイド87はこの断接機構を駆動する駆動源となっている。
また、カムディスク84は、ガイドカム83を、第1の回動位置に対応した位置と、第2の回動位置に対応した位置と、に保持する部材といえ、カムストッパ85は、ガイドカム83と回転駆動手段80により回転駆動される駆動部材82とを駆動連結させる連結部材といえる。更に、上記カムディスク84は、ガイドカム83の回動位置を第1の回動位置に対応した位置もしくは第2の回動位置に対応した位置に保持している保持状態では、連結部材85を、ガイドカム83と駆動部材82との間の駆動連結が非連結となる非連結状態としている。
加えて、ソレノイドリンク88は、カムディスク84を、保持状態と、カムディスク84によるガイドカム83の保持が解除され、ガイドカム83と駆動部材82とが駆動連結される解除状態と、に切換可能にしているといえ、ソレノイド87は、ソレノイドリンク88を駆動させる駆動源といえる。
<スイッチバック機構65B>
一方、スイッチバック機構65B側において、スイッチバック入力ギア82の反転キャリア89側の内周部には、図6に示すように、キャリアストッパ90のキャリアストッパ係止部90bと係止可能な第2被係止部82bが設けられている。
キャリアストッパ90は、図5に示すように、反転キャリア89のボス部89bを回動中心として回動可能に保持され、スイッチバック入力ギア82の第2被係止部82bに対し、係止位置と非係止位置に移動可能となっている。
キャリアストッパ90には、図5に示すように、キャリアストッパバネ91の一端部が架装され、その他端部は反転キャリア89のキャリアフック部89cに架装されている。このキャリアストッパバネ91の付勢力により、キャリアストッパ90は、キャリアストッパ係止部90bがスイッチバック入力ギア82の第2被係止部82b(図6)に係止する方向に付勢される。
図6に示すように、キャリアストッパ90のボス部90aは、キャリアディスク92の長穴部92aにガイドされることによって動きが規制される。一方、前述のスイッチバック機構65Aの作用により、ガイドリンク部材72のキャリア制御部72cが回動し、キャリアディスク92の外周の係止部92bに噛み合って図示しない突き当てにより停止する。これにより、キャリアディスク92の回転が係止され、それに連動して、キャリアストッパ90がスイッチバック入力ギア82に対して係止する係止位置と、係止しない非係止位置に切り換えられるように構成されている。
ガイドリンク部材72、特に後述するキャリア制御部72cは、ガイド部材64の回動に連動して、アイドラギア(94、95)の回転、または非回転を選択する制御部材として機能する。例えば、後述のように、スイッチバック機構65Aがガイド部材64を第1と第2の回動位置との間で回動させるよう回転駆動力の伝達を開始させるのに遅延して、スイッチバック機構65Bによる第2搬送ローラ62の回転方向の切り換えを行わせる。即ち、これらの部材は、スイッチバック機構65Aがガイド部材64を回動開始させるのに遅延して、スイッチバック機構65Bが第2搬送ローラ62の回転駆動方向を正転または逆転方向の間で切り換えるよう連動させる連動機構を構成する。
ここで、スイッチバック入力ギア82には、図6に示すように入力内歯ギア82cが形成されている。この入力内歯ギア82cは、反転キャリア89に回転可能に支持された第1アイドラギア94と噛み合う。第1アイドラギア94は同じく反転キャリア89に回転可能に保持された第2アイドラギア95と噛み合う。
第2アイドラギア95は、スイッチバック出力ギア93に形成された出力内歯ギア93a(図5)と噛み合う。入力内歯ギア82cと第2アイドラギア95、第1アイドラギア94と出力内歯ギア93aが噛み合わないよう、入力内歯ギア82c、第1アイドラギア94、第2アイドラギア95、出力内歯ギア93aの歯面は軸方向にずらして配置されている(図6)。
キャリアストッパ90の係止位置においては、キャリアディスク92の外周の係止部92bは、ガイドリンク部材72の扇型ギアとして構成されたキャリア制御部72cと離間している。また、この状態では、スイッチバック入力ギア82の回転駆動がキャリアストッパ90を介して反転キャリア89に伝わり、スイッチバック入力ギア82と、反転キャリア89と、が一体的に回転する。これにより、第1アイドラギア94と第2アイドラギア95を介して、スイッチバック出力ギア93も反転キャリア89と一体的に、スイッチバック入力ギア82の回転方向と同一方向に回転する。
一方、キャリアストッパ90の非係止位置においては、キャリアディスク92の係止部92bは、ガイドリンク部材72の扇型ギアとして構成されたキャリア制御部72cと噛合って停止する。また、この状態では、スイッチバック入力ギア82の入力内歯ギア82cの回転駆動力がキャリアストッパ90を介して停止している反転キャリア89に回転可能に保持された第1アイドラギア94に伝わる。第1アイドラギア94に伝わった回転駆動力は、さらに第2アイドラギア95を介して出力内歯ギア93aに伝わるため、出力内歯ギア93aがスイッチバック入力ギア82の回転方向と逆方向に回転する。
即ち、本実施の形態では、上記反転キャリア89及び第1及び第2アイドラギア94,95などによって、回転駆動手段80から反転回転体62までの間の第2動力伝達経路上に設けられ、反転回転体62の回転方向が正転方向となる正回転状態と、反転回転体62の回転方向が逆転方向となる逆回転状態と、に切換可能に構成された正逆ユニットが構成されている。また、キャリア制御部72c、キャリアディスク92、キャリアストッパ90等によって、第1動力伝達経路上において断接機構よりも動力伝達方向下流側において第1の伝達機構に接続されかつ、第1の伝達機構から伝達される動力によって前記正逆ユニットの状態を切換る切換ユニットが構成されている。
なお、上記キャリアストッパ90は、被係合部材(本実施の形態においては、スイッチバック入力ギア82)に対して非係合の際に正逆ユニットを正回転状態とする第1位置(非係合位置)と被係合部材に対して係合した際に正逆ユニットを逆回転状態とする第2位置(係合位置)との間にて移動可能に構成された切換部材といえる。上記第1位置にあっては、反転キャリア89は固定され、第2位置にあっては、反転キャリア89は第1及び第2アイドラギアと一体となって回転する。また、キャリアディスク92は、切換部材の位置を規制する規制部材といえる。更に、キャリア制御部72cは、第1の伝達機構からの駆動力を受けて規制部材と係合した係合位置と規制部材から離間した離間位置との間で移動可能な移動部材といえる。より具体的には、キャリア制御部72cは、ガイドリンク部材72に接続されると共に、ガイドリンク部材72の回動に応じて係合位置から離間位置に向かう第1回動方向と、離間位置から係合位置に向かう第1回動方向とは反対の第2回動方向とに回動可能に構成されている。
<正転状態>
次に、シートを排出反転部6においてスイッチバックさせる場合、即ち、搬送ローラユニット60が正転動作から逆転動作に切り換わる場合のスイッチバック機構65の構成と切り換え動作につき説明する。この切り換え動作は、例えば両面記録において一面目(片面)が記録されたシートを第1搬送路50から第2搬送路51へ搬送する際に行われる。
なお、ここで搬送ローラユニット60の「正転」動作とは、図1において第2搬送ローラ62が反時計廻りに駆動された時の動作である。この動作方向は、例えば、第1挟持部6aが排出トレイ22方向へシートSを搬出する方向に、また、第2挟持部6bがシートSを第2搬送路51に搬入する方向に動作する駆動方向に相当する。一方、搬送ローラユニット60の「逆転」動作とは、図1において第2搬送ローラ62が時計廻りに駆動された時の動作である。この動作方向は、例えば、第2挟持部6bがシートSを機外に搬出する方向であり、スイッチバック反転において、シートSの後端部が第2挟持部6bのローラニップ付近に到達するまで行われる。
図7は、搬送ローラユニット60の正転動作状態におけるスイッチバック機構65の正面図で、例えば図3の手前側からの図示に相当し、図1、図2、図4などとは左右の図示が逆になっている。また、図8はスイッチバック入力ギア82とカムストッパ85の位置関係を示している。前述のように、スイッチバック機構65には、入力ギア80から矢印R10方向にのみ回転駆動力が伝達される。図7は、ソレノイド87が通電していない状態であり、ソレノイドリンク88は例えばソレノイド87のスプリングの付勢力によってカムディスク84の外周面に当接し、かつ、カムディスク84の外周面の第1係止部84aに係合している。この状態では、ソレノイドリンク88が、カムディスク84の矢印R1方向への回転を規制している。
また、この正転動作状態では、図8に示すように、ボス部85aがカム長穴部84dの内周側方向へとガイドされて、カムストッパ85がスイッチバック入力ギア82の第1被係止部82aに対して非係止位置となっている。この非係止位置では、スイッチバック入力ギア82からガイドカム83へは回転駆動力が伝達されない。
また、図8の状態では、カムストッパバネ86がカムストッパ85を係止位置まで移動させる矢印R2方向に付勢力を発生している。この状態では、図7に示すようにガイドリンク部材72のカムフォロア部72aが、不図示のバネにより付勢されてガイドカム83に当接する。これにより、ガイドリンク部材72は図7に示した第1ポジションに保持するとともに、ガイドカム83の回転止めとなっている。これにより、カムストッパバネ86がカムストッパ85を係止位置まで移動させる付勢力に対し、作用方向である矢印R1方向に対してはソレノイドリンク88によって付勢力を受ける。一方、反作用方向である矢印R1方向と反対方向に関して、ガイドカム83はガイドリンク部材72の付勢力を受けてその位置を保持する。
ガイドリンク部材72は図7に示す第1ポジションに位置し、ガイド部材64の回動姿勢は、突起部64bを介してガイドリンク部材72のガイド支持部72bにより図示の姿勢に制御される。このガイド部材64の回動姿勢は、図1において第1搬送路50から搬送されたシートを搬送ローラユニット60の第1挟持部6aへ案内する回動姿勢に相当する。
また、この時、図14に一部破断状態で示すように、ガイドリンク部材72のキャリア制御部72cとキャリアディスク92の係止部92bが離間し、噛合していない。この状態では、図16に詳細に示すように、スイッチバック入力ギア82に対してキャリアストッパ90が係止位置にある。従って、スイッチバック入力ギア82の回転駆動力がキャリアストッパ90を介して反転キャリア89に伝達され、これによりスイッチバック入力ギア82と反転キャリア89が一体的に回転する。そして、第1アイドラギア94と第2アイドラギア95を介してスイッチバック出力ギア93も一体的に回転し、スイッチバック入力ギア82(R4)の回転方向と同一の矢印R1(図7)の方向に回転する。
これにより、スイッチバック出力ギア93の回転駆動力がローラギア81に矢印R8(図7)方向に伝達され、ローラギア81に同軸に装着されている第2搬送ローラ62に正転方向の回転駆動力が伝達される。即ち、図1において、搬送ローラユニット60の第1挟持部6aは機内から機外方向へ、第2挟持部6bは機外から機内方向へ、それぞれシートSを搬送する回転方向で駆動される。
<スイッチバック機構65A>
一方、図9は図7と同等の態様で、図7の状態からソレノイド87が通電した後のスイッチバック機構65の構成を正面図として示している。また、図10は図9のガイドカム83とカムディスク84とカムストッパ85の動作を示す図、図11は図9のスイッチバック入力ギア82とカムストッパ85の動作を示す図である。
図9に示すように、図7の状態からソレノイド87が通電すると、ソレノイドリンク88はリンク軸88aを中心に矢印R3方向に回転してカムディスク84の外周面の第1係止部84aから離間し、カムディスク84が回転可能となる。また、図7、図11に示すように、カムストッパバネ86の付勢力により、カムストッパ85のボス部85aがカムディスク84のカム長穴部84dを押圧する。これにより、図7~図9のようにカムディスク84が矢印R1方向へ回転するため、カムストッパ85は図11に示すように矢印R2方向に回動して、スイッチバック入力ギア82の第1被係止部82aに係合する係止位置に移動する。
また、図10に示すように、カムストッパ85によってスイッチバック入力ギア82とガイドカム83が一体的に矢印R1方向に回転する。さらに、カムディスク84もカム長穴部84dに挿通されたカムストッパ85のボス部85aによりスイッチバック入力ギア82と一体的に回転する。さらにガイドカム83が回転を続けると、図10から図12の状態となる。
これにより、ガイドリンク部材72は、図12に示すようにカムフォロア部72aを介して回転して、図7および図9の第1ポジションから、第2ポジション(図12)へ移動する。これに応じて、ガイド部材64は図12の姿勢に回動する。ガイド部材64は、不図示のガイドリンク部材72へ付勢されているため、図12の状態では、ガイド部材64の突起部64bとガイドリンク部材72のガイド支持部72bが当接し、図示の回動位置に保持される。
即ち、ガイドリンク部材72のガイド支持部72bが所定の角度を回動することで、当接保持されているガイド部材64の突起部64bも移動し、ガイド部材64が図12のように回動する。これによりガイド部材64が保持される回動位置は、第1搬送路50から搬送されたシートを搬送ローラユニット60の第2挟持部(6b:図1)へ案内する回動位置である。これにより、搬送ローラユニット60の第2搬送ローラ62が逆転する前の、依然として正転状態にある状態で、ガイド部材64の、シートSを搬送ローラユニット60の第2挟持部(6b:図1)へ案内する回動位置への移動を開始させることができる。
また、図12の状態では、ソレノイド87の励磁が既に解除されている。これにより、図12は、スイッチバック機構65は、ソレノイドリンク88がカムディスク84の外周面の第2係止部84bと係合するまでカムディスク84を回転させた状態に相当する。
カムディスク84は、図7から図12の状態に至るまでに、ほぼ半(180°)回転している。そして、図12の状態では、ソレノイドリンク88はカムディスク84の外周面に当接し、かつカムディスク84の外周面の第2係止部84bと係合している。これにより、ソレノイドリンク88が第2係止部84bを係止して、カムディスク84の矢印R1方向への回転を停止させる。この時、一方で、図11に示すように、カムストッパ85はスイッチバック入力ギア82に対して係止する係止位置にある。これにより、伝達され、ガイドカム83およびカムストッパ85は、スイッチバック入力ギア82により伝達された回転駆動力によって、矢印R1方向に回転し続ける。
すると、図13に示すように、カムストッパバネ86によるカムストッパ85を係止位置に移動させる方向の付勢力に抗して、カムストッパ85のボス部85aがカムディスク84のカム長穴部84dに沿って案内される。これにより、図13に示すように、カムストッパ85はボス部83bを中心に矢印R5方向に回転し、スイッチバック入力ギア82の第1被係止部82aに対する非係止位置に移動する。これにより、スイッチバック入力ギア82からガイドカム83へ回転駆動力が伝達されなくなる。
この図13の状態では、カムストッパバネ86がカムストッパ85を係止位置まで移動させる方向に付勢力を保持している。さらに図12に示すようにガイドリンク部材72のカムフォロア部72aが、不図示のバネにより付勢されてガイドカム83に当接することで、ガイドリンク部材72を第2ポジションに保持するとともに、ガイドカム83の回転止めとなっている。これにより、カムストッパバネ86がカムストッパ85を係止位置まで移動させる付勢力に対し、作用方向である矢印R1方向に対してはソレノイドリンク88によって付勢力を受ける。反作用方向である矢印R1方向とは逆方向に対しては、ガイドカム83は、ガイドリンク部材72によって付勢力を受けて、その回動位置を保持する。
<スイッチバック機構AとBのリンク>
図14、図15は、スイッチバック機構65A、65Bを結合する連動機構の要部、特にガイドリンク部材72のキャリア制御部72cとキャリアディスク92の係止部92bを示している。図14において、キャリアディスク92の係止部92bとガイドリンク部材72のキャリア制御部72cは非係止状態である。ガイドリンク部材72のキャリア制御部72cが回動すると、ガイド部材64が回動開始した後、ガイド部材64の回動終了近傍に図14の状態から図15に示すような係止状態となる。
なお、キャリアディスク92の係止部92bと、ガイドリンク部材72のキャリア制御部72cはギア歯面でお互いに通常のギアと同様に噛み合うように形成されている(図14、図15)。ただし、キャリアディスク92の係止部92bに対してガイドリンク部材72のキャリア制御部72cが回動して近接・離間することで、係止状態(ギア歯面同士が噛み合う状態)と非係止状態(ギア歯面が離間しており噛み合っていない状態)を繰り返す。このため、係止部92bとキャリア制御部72cの歯面には、両者が噛み合いやすいようにいわゆる欠け歯ギアの噛み合い部分のように歯先を一部分削除した形状を設けておくと良い。
<スイッチバック機構B>
図16、図17はスイッチバック機構65Bに関わる部品の断面図である。図15のように、キャリアディスク92の係止部92bに対してガイドリンク部材72のキャリア制御部72cが係止状態になると、矢印R6(図14)の方向に回転しているキャリアディスク92の回転が止まる。
しかしながら、図16に示すように、キャリアストッパ90がスイッチバック入力ギア82に対し係止位置にあるので、スイッチバック入力ギア82により回転駆動を伝達されて反転キャリア89およびキャリアストッパ90は矢印R4方向に回転を続ける。これにより、キャリアストッパ90は、キャリアストッパバネ91によるキャリアストッパ90を係止位置に移動させる矢印R7(図16)方向の付勢力に抗して、キャリアストッパ90のボス部90aがキャリアディスク92の長穴部92aに沿って案内される。
その後、図17に示すように、キャリアストッパ90はボス部89bを中心に矢印R11方向に回転し、スイッチバック入力ギア82に対する非係止位置に移動する。これにより、スイッチバック入力ギア82から反転キャリア89へ駆動力が伝わらなくなり、反転キャリア89の回転が停止する。
そして、スイッチバック入力ギア82の入力内歯ギア82cから伝達される回転駆動力により、回転停止している反転キャリア89のギア軸部89aに回転可能に保持された第1アイドラギア94は矢印R12(図17)の方向に回転する。同様に、反転キャリア89のギア軸部89aに回転可能に保持され、第1アイドラギア94と噛合する第2アイドラギア95は第1アイドラギア94と反対方向に回転する。これにより、第2アイドラギア95からスイッチバック出力ギア93の出力内歯ギア93aへ回転駆動力が伝達される。即ち、2つのアイドラギア(94、95)が回転駆動力を伝達することにより、スイッチバック入力ギア82の回転方向に対してスイッチバック出力ギア93の回転方向が逆転するよう、スイッチバック出力ギア93に回転駆動力が伝達される。
これにより、図12のように、スイッチバック出力ギア93の回転駆動力がローラギア81を介して、搬送ローラユニット60へ伝達されて第2搬送ローラ62がR9方向(図7のR8とは逆方向)に反転する。即ち、図12のように、搬送ローラユニット60は「正転」状態から「逆転」状態に切り換えられる。この「逆転」状態は、搬送ローラユニット60の第2挟持部6bがシートSを機外に搬出する方向の動作である。この搬送ローラユニット60の「逆転」状態は、例えば、シートSを第2搬送路51へとスイッチバックさせる動作の前半、シートSの後端部が第2挟持部6bのローラニップ付近に到達するまで続けられる。
スイッチバック入力ギア82と反転キャリア89が相互に回転し、上記の第1アイドラギア94と第2アイドラギア95が回転する時は、搬送ローラユニット60が逆転駆動状態となる。また、後述のように、スイッチバック入力ギア82と反転キャリア89が一体的に回転する時は、第1アイドラギア94と第2アイドラギア95は回転しない。そして、第1アイドラギア94と第2アイドラギア95はスイッチバック入力ギア82および反転キャリア89と、スイッチバック出力ギア93と、を相互に拘束する。これにより、搬送ローラユニット60が正転駆動状態となる。第1アイドラギア94と第2アイドラギア95は上記のように動作し、搬送ローラユニット60を「正転」状態と「逆転」状態の間で回転駆動力の伝達(回転)方向を切り換える。
本実施形態のスイッチバック機構65は、ガイド部材64の第1ポジション(図7)と第2ポジション(図12)の間の移動が開始されてから、それに遅延して搬送ローラユニット60の第2搬送ローラ62が「正転」している状態から「逆転」状態に遷移させる。例えば、ガイド部材64が第1ポジション(図7)から、搬送ローラユニット60の第2挟持部(6b:図1)へ案内する第2ポジション(図12)に向かって移動し始める。そして、ガイド部材64が回動終了位置である第2ポジション(図12)の近傍に回動した後、あるいは少なくとも第2ポジションに移動完了した時点で第2搬送ローラ62を逆転駆動することができるようになっている。
即ち、本実施形態のスイッチバック機構65は、搬送ローラユニット60の「正転」状態と「逆転」状態との切り換えをガイド部材64の移動開始より遅延させ、できるだけ長い間それまでの回転駆動方向を持続させることができる。
<逆転から正転への切り換え動作>
次にシートSを排出反転部6で排出させる(搬送ローラユニット60が「逆転」動作から「正転」動作に切り換わる)時のスイッチバック機構65の各部(65A、65B)の構成と動作について説明する。例えば、両面記録の場合、二面目(裏面)が印刷されたシートSは、第1搬送路50を通過して搬送ローラユニット60に向かって搬送されてくる。搬送ローラユニット60を「逆転」動作から「正転」動作に切り換える制御は、例えば、このシートSを搬送ローラユニット60により排出トレイ22上へ排出する際に行う。
<スイッチバック機構A部>
図18は、図12の状態からソレノイド87が通電した後のスイッチバック機構65の正面図である。図18に示すように、ソレノイド87が通電すると、ソレノイドリンク88はリンク軸88aを中心に矢印R3方向に回動する。これにより、ソレノイドリンク88は、それまで係止していたカムディスク84の外周面の第2係止部84bから離間し、カムディスク84が回転可能になる。
一方、図11に示すように、カムストッパバネ86の付勢力により、カムストッパ85のボス部85aがカムディスク84のカム長穴部84dを押圧する。これにより、図7~図9のようにカムディスク84が矢印R1方向へ回転するため、カムストッパ85は図11に示すように矢印R2方向に回動して、スイッチバック入力ギア82の第1被係止部82aに係合する係止位置に移動する。
また、図18に示すように、カムストッパ85によりスイッチバック入力ギア82とガイドカム83が一体的に矢印R1方向に回転する。さらに、カムディスク84もカム長穴部84dに挿通されたカムストッパ85のボス部85aによりスイッチバック入力ギア82と一体的に回転する。
さらにガイドカム83が回転すると、ガイドリンク部材72はカムフォロア部72aを介して回転して、第2ポジション(図18、図12)から第1ポジション(図7、図9)へ復帰する。
これにより、ガイド部材64は、第1搬送路50から搬送されたシートを搬送ローラユニット60の第1挟持部(6a:図1)へ案内する位置に回動する。この時、搬送ローラユニット60の第2搬送ローラ62は正転状態に復帰しておらず逆転している状態である。本実施形態では、この状態で、ガイド部材64が搬送ローラユニット60の第1挟持部(6a:図1)へ案内する位置に移動を開始する。
<スイッチバック機構A部とB部のリンク>
ガイドリンク部材72が回動し、一体で設けられたガイド支持部72b、キャリア制御部72cも回動する。図15において、キャリアディスク92の係止部92bとガイドリンク部材72のキャリア制御部72cは係止状態である。この図15の状態から、ガイドリンク部材72のキャリア制御部72cが回動すると、ガイド部材64が回動開始した後、それにいくらか遅延して、ガイドリンク部材72のキャリア制御部72cが回動終了近傍にキャリアディスク92の係止部92bと離間して図14のように非係止状態となる。
<スイッチバック機構B部>
図14に示すように、キャリアディスク92の係止部92bに対してガイドリンク部材72のキャリア制御部72cが離間して非係止状態になると、キャリアディスク92が回転可能になる。これにより、図16に示すように、キャリアストッパバネ91の付勢力により、キャリアストッパ90のボス部90aがキャリアディスク92の長穴部92aを押圧して、キャリアディスク92が矢印R4方向へ回転する。
そのため、キャリアストッパ90は、図16の矢印R7方向に回転することができ、スイッチバック入力ギア82の第1被係止部82aに係合する係止位置に移動する。これにより、スイッチバック入力ギア82の回転駆動がキャリアストッパ90を介して反転キャリア89に伝わり、スイッチバック入力ギア82と反転キャリア89が一体的に回転する。さらに、反転キャリア89上に支持された第1アイドラギア94と第2アイドラギア95を介して拘束され、スイッチバック出力ギア93も一体的にスイッチバック入力ギア82の回転方向と同一の矢印R4方向に回転する。これにより、図7に示したように、スイッチバック出力ギア93の回転駆動がローラギア81に伝達され、ローラギア81と一体的に回転する第2搬送ローラ62が矢印R8方向に正転駆動される。
上述の構成により、搬送ローラユニット60の第2搬送ローラ62が逆転している状態で、先にガイド部材64がシートを搬送ローラユニット60の第1挟持部(6a:図1)へ案内する位置に回動し始める。第2搬送ローラ62の正転駆動への切り換えは、このガイド部材64の回動開始に遅延して行われ、例えば、ガイド部材64が回動終了近傍に移動すると、第2ローラ62が正転駆動に切り換えられる。
<シート搬送の様子>
次に、図19~図27を参照して本実施形態のレーザービームプリンタ1の両面記録時におけるシートS0、S1さらにS2の搬送動作について説明する。以下では、例えば、片面記録されたシートS1を排出反転部6で逆方向にスイッチバック搬送している間に、先行する、両面記録済みの別のシートS0を排出する動作を主に例示する。また、以下では、3シート滞留で搬送を行い、排出されるシートS0とS1の間のシート間を利用してさらに後続の片面記録済みのシートS2のスイッチバックを行う制御例を示す。以下では、主に排出反転部6によるスイッチバック反転搬送、と排出されるシートの動き、および、ガイド部材64と第2搬送ローラ62の動作を説明する。
図19は、排出反転部6付近の構造を示しており、同図の状態は例えば排出反転部6の初期位置に相当する。図19では、ガイド部材64が、第1搬送路50から搬送されたシートを搬送ローラユニット60の第1挟持部6aにガイドする第1の回動位置に保持されている。また、第2搬送ローラ62は第1搬送路50から搬送されるシートを排出するよう、矢印のように反時計回りの方向に回転駆動される。
図20は、片面記録が終了したシートS1の先端が定着部44を抜け、第2センサ55の位置まで到達した状態を示している。同図のように、第2センサ55がシートS1の先端を検知すると、このシート検知情報に基づきスイッチバック機構65が動作する。これにより、ガイド部材64をシート(S)を搬送ローラユニット60の第2挟持部6bにガイドする第2の回動位置に回動させる(図7->図12)。
ただし、前述のように、スイッチバック機構65は、ガイド部材64が回動し始めた時点では、第2搬送ローラ62を逆転駆動しない。即ち、スイッチバック機構65は、ガイド部材64の回動に遅延して、例えば、ガイド部材64が第2の回動位置の近傍まで近づくか、あるいは第2の回動位置に到達するかした時点で、第2搬送ローラ62を逆転駆動させる。この正転から逆転駆動方向の切り換えは、上述のようにスイッチバック機構65A、65Bの連動機構、即ちガイドリンク部材72のキャリア制御部72cと、キャリアディスク92の係止部92bとが係止(図14->図15)することによって生じる。
図20は、ガイド部材64がほぼ第2の回動位置まで回動しているが、矢印で示すように第2搬送ローラ62はまだ逆転駆動されていない。その後、図21のようにガイド部材64が第2の回動位置まで回動すると、スイッチバック機構65A、65Bの連動機構、即ちガイドリンク部材72のキャリア制御部72cと、キャリアディスク92の係止部92bが係止する(図14->図15)。これにより、第1アイドラギア94と第2アイドラギア95を介して回転駆動力が伝達され、図21のように第2搬送ローラ62の逆転駆動が開始される。これにより、第2搬送ローラ62は同図に矢印で示すように時計回りの方向に回転する。これにより、搬送ローラユニット60の第2挟持部6bの逆転駆動によって、機外方向に搬出する。この動作は、例えばシートS1の後端が第2搬送路51へ導入可能な位置まで搬送されるまで続けられる。
例えば、図22の位置まで、片面記録されたシートS1が搬送ローラユニット60の第2挟持部6bにより機外方向へ搬送されると、第2センサ55によるシート後端の検知情報が変化(検知->非検知)する。この第2センサ55の検知情報の変化を用いて、ガイド部材64を第1の回動位置(図22)から第2の回動位置(図23)まで回動させる動作を開始させることができる。なお、図22以降において、S0で示すシートは、シートS1の後から第1搬送路50を搬送されてくる、既に両面記録済みのシートである。
例えば、上記の第2センサ55の検知情報の変化が生じた後、片面記録されたシートS1の後端が所定量だけ機内に残った位置に到達する。すると、図23のように、スイッチバック機構65は、ガイド部材64を第1の回動位置(図22)から第2の回動位置(図23)へと移動開始させる。この切り替えは、例えば、上記の第2センサ55の検知情報の変化が生じてから適時のタイマ計時を行った後、ソレノイド87を通電し、ソレノイドリンク88によるカムディスク84の係止を解除することにより行う。
これにより、ガイド部材64は、図23のように、第2の回動位置(図18、図12)から第1の回動位置(図7、図9)へ復帰する。即ち、ガイド部材64は搬送ローラユニット60の第1挟持部6aに既に両面記録済みのシートS0を導く第1の回動位置(図7、図9)に復帰する。
ただし、図23の時点では、まだ第2搬送ローラ62が逆回転駆動で時計回りの方向に回転して第2挟持部で片面記録されたシートを本体外へ搬送している状態である。しかしながら、その後、ガイド部材64が第1の回動位置(の近傍)へ移動すると、スイッチバック機構65A、65Bの連動機構、即ちガイドリンク部材72のキャリア制御部72cと、キャリアディスク92の係止部92bが非係止となる(図15->図14)。これにより、図24のように第2搬送ローラ62が正回転駆動に切り換えられ、反時計回りの方向に回転する。この搬送ローラユニット60の回転駆動状態は、両面記録済みのシートS0を第1搬送路50から機外へ排出し、片面記録済みのシートS1を第2搬送路51に向かって搬入する回転駆動状態である。
この搬送ローラユニット60の回転駆動状態がさらに進むと、図25のようにシートS1、S0の搬送が行われる。さらに、両面記録済みのシートS0は図26、そして図27のように機外へ排出されるが、本実施形態では、図26、図27に示すようにシートS0~S1のシート間を有効利用し、さらに後続の片面記録済みのシートS2のスイッチバック搬送を行う。
即ち、第2センサ55による上記シートS2、ないしS0の後端、前端の検知情報に基づいて、スイッチバック機構65は、後続の片面記録済みのシートS2のスイッチバック搬送を行うよう動作する。例えば、図26のような搬送状態が形成されると、第2センサ55の検知状態に基づき、スイッチバック機構65は、ガイド部材64を第1の回動位置から第2の回動位置へ移動開始させる。即ち、ガイド部材64を第2挟持部6bに後続する片面記録されたシートS2を案内するよう第2の回動位置へ移動開始させる。この時のスイッチバック機構65の搬送制御は、図20で説明したものと同じである。なお、図26では、例えば済みの両面記録されたシートS0の後端は所定量だけ機内に残った位置にある。また、後続の片面記録済みのシートS2の前端は、定着部44および第2センサ55を通り過ぎ、ガイド部材64の先端近傍位置に達している。また、シートS1は裏面の画像形成のため、第2搬送路51中を搬送されている。
また、図26では、ガイド部材64の第2の回動位置への移動に連動した搬送ローラユニット60の正転->逆転駆動の切り換えは生じておらず、依然として、シートS0を機外へ排出する正転状態が維持されている。このように、本実施形態によれば、ガイド部材64の回動区間を利用して、短いシート間距離で効率よくシートを搬送することができる。
さらに、図27のように、両面記録済みのシートS0が機外へ排出されると、ガイド部材64の第2の回動位置(ないしその近傍)への移動完了に連動して、第2搬送ローラ62が逆転駆動に切り換えられる。この第2搬送ローラ62の正転から逆転駆動への切り換えは、例えば上記の図21などで説明した通りである。
以上のように、本実施形態によれば、スイッチバック機構65を、スイッチバック機構65A(第1の伝達機構)、スイッチバック機構65B(第2の伝達機構)から構成している。これらのうち、スイッチバック機構65A(第1の伝達機構)は、単一の駆動源(80)の回転駆動力を、ガイド部材64(ガイド部材)を第1の回動位置または第2の回動位置との間で回動させるよう伝達する。また、スイッチバック機構65B(第2の伝達機構)は、駆動源(80)の回転駆動力を、搬送ローラユニット60を正転方向または逆転方向に回転駆動するよう切り換える。
そして、スイッチバック機構65A(第1の伝達機構)によるガイド部材64(ガイド部材)の回動開始より遅延して、スイッチバック機構65B(第2の伝達機構)が搬送ローラユニット60を正転方向または逆転方向の間で切り換えるよう連動させる。
より具体的には、切換ユニットが、第1の伝達機構から伝達される動力を受けて、正逆ユニットを正回転状態とする第1状態もしくは正逆ユニットを逆回転状態とする第2状態から、遷移状態を経て、前記第2状態もしくは第1状態となり、遷移状態においては、正逆ユニットの回転状態を維持することによって、ガイド部材64の回動開始より遅延して搬送ローラユニット60の回転が切換えられる。即ち、この切換ユニットによってガイド部材64の回動開始に対して搬送ローラユニット60の回転の切換えを遅延させる遅延機構が構成されている。また、本実施の形態では、切換ユニットは、第1状態から第2状態へと移行する場合は、移動部材72cが離間位置から係合位置へと向かって規制部材92と離間した状態で移動することにより上記遷移状態となり、第2状態から第1状態へと移行する場合は、切換部材が被係合部材(本実施の形態においては、スイッチバック入力ギア82)と非係合な状態で第1位置から第2位置に向かって移動することにより遷移状態となる。
上記のような搬送制御を行うことにより、ガイド部材64(ガイド部材)の回動を行っている区間を利用して、それまでの搬送ローラユニット60を正転方向または逆転方向の駆動を維持し、シートの搬送を続けさせることができる。これにより、複数枚のシートに対する連続した両面記録を効率良く行うことができる、という優れた効果がある。従って、本実施形態に係るシート搬送装置を用いた画像形成装置によれば、例えば搬送されるシート間の距離を短縮可能で、例えば両面画像形成の生産性を大きく向上することができる、という優れた効果がある。特に、本実施形態の構成は、搬送ローラユニット60に小型軽量かつ簡単安価ないわゆる3連ローラを用いた構成において有用であり、例えば両面画像形成の生産性を大きく向上することができる。
[実施形態2]
以下、図28、図29を参照して、本実施形態2のスイッチバック機構の要部につき説明する。なお、以下では、上記実施形態1と同一ないし相当する部材には同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。また、本実施形態3において、不図示の部材や、構成、例えば、画像形成装置やシート搬送装置の全体構成などについては上述の実施形態1(あるいは2)と同等であるものとする。また、図28、図29中に直接図示のない部材については、必要に応じて括弧書きの参照符号を用いる。以下では、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
図28、図29は、本実施形態2のスイッチバック機構(65)の断面構造を示しており、その図示の様式は例えば上述の図14、図15にそれぞれ対応する。図28、図29は、スイッチバック機構(65)のガイド部材64の回動位置と、搬送ローラユニット(60)の回転駆動方向の切り換えを連動させる機構の異なる構成を示している。また、図28および図29では、搬送ローラユニット(60)の回転駆動状態はそれぞれ正転駆動、および逆転駆動、にそれぞれ対応する。
図28に示すように、ガイドリンク部材73とガイド部材64は各々不図示のバネに押圧されて当接された状態で保持されている。ガイドリンク部材73は、前述のガイドリンク部材72と同様にガイドカム(不図示:図5、図6の83)によって回動位置を制御され、これによりガイド部材64を回動させる。
本実施形態では、ガイドリンク部材73には爪リンク部73cが植設されており、この爪リンク部73cを介してキャリア制御爪74を制御する。キャリア制御爪74は、扇型に所定の開角を持って配置された係止部を備え、回動軸74b廻りに回動自在に支持され、キャリアディスク92に面して係止爪74aを有する。
図28では、ガイドリンク部材73がガイド部材64を第1の回動位置に回動させており、図29では、ガイドリンク部材73がガイド部材64を第2の回動位置に回動させている。例えば、ガイドリンク部材73がガイド部材64を第1の回動位置(図28)から第2の回動位置(図29)に回動させる場合は、爪リンク部73cが矢印の方向に回動する。これにより、爪リンク部73cキャリア制御爪74の図中上側の係止部に当接して、係止爪74aがキャリアディスク92の係止部92bに近づくようキャリア制御爪74を反時計回りに回動させる。
そして、ガイドリンク部材73がガイド部材64を第2の回動位置付近まで回動させると、図29のように係止爪74aがキャリアディスク92の係止部92bに係止する。これにより、実施形態1と同様に、搬送ローラユニット(60)が逆転駆動に切り換えられる。
搬送ローラユニット(60)を逆転駆動から正転駆動に切り換える場合には、図29の矢印のように、爪リンク部73cが反時計回りに回動する。そして、これに係合するキャリア制御爪74は時計回りに回動し、係止爪74aと、キャリアディスク92の係止部92bとの係止が解除され、搬送ローラユニット(60)が正転駆動に切り換えられる。
ガイドリンク部材73に対する爪リンク部73cの植設角度、キャリア制御爪74の扇型の係止部の開角を適宜決定すれば、ガイド部材64の揺動と、連動する搬送ローラユニット(60)の正転、逆転の切り換えと、の間に必要な遅延を設定できる。これにより、ガイド部材64の揺動と、搬送ローラユニット(60)の正転、逆転の切り換えと、の間に実施形態1と同等の遅延タイミングを形成することができる。
以上のような構成によっても、例えば、ガイド部材64の移動開始時には、第2搬送ローラ62は反転を開始せずに従来の回転方向で回転させ続けることができる。例えば、ガイド部材64の移動終了直前(あるいは終了時)に第2搬送ローラ62の反転を開始して従来の回転方向とは逆転して回転し始めることができるため、実施形態1と同様に、生産性の高い両面記録が可能となる。
[実施形態3]
以下、図30、図31を参照して、本実施形態3のスイッチバック機構の要部につき説明する。本実施形態においても、上記実施形態1と同一ないし相当する部材には同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、本実施形態2において、不図示の部材や、構成、例えば、画像形成装置やシート搬送装置の全体構成などについては上述の実施形態1(あるいは2)と同等であるものとする。また、図30、図31中に直接図示のない部材については、必要に応じて括弧書きの参照符号を用いる。以下では、実施形態1(あるいは2)と異なる点を中心に説明する。
上記実施形態1(2)では、ガイドカム83により駆動されるガイドリンク部材72(73)を介して、キャリアディスク92と噛合するキャリア制御部72c(73c)を用いて、搬送ローラユニット60の正転/逆転方向の切り換えを行っている。
これに対して、本実施形態3では、ガイドカム(83)により駆動されるガイドリンク部材75によりガイド部材64を第1、第2の回動位置の間で移動させるよう制御する。本実施形態のガイドリンク部材75は、上述の実施形態1(2)におけるガイドリンク部材72(73)に相当するが、キャリア制御部72cや爪リンク部73cに相当する部位を有さず、ガイド部材64の第1、第2の回動位置の間の回動のみを制御する。
そして、本実施形態では、ガイドカム83により駆動される、キャリアディスク92と噛合するキャリア制御部76bを備えたキャリア制御リンク部材76によって、搬送ローラユニット60の正転/逆転方向の切り換えを行う。
図30、図31は、例えば実施形態1の図9、図12にそれぞれ対応する状態を示しており、両図において、それぞれガイド部材64は第1の回動位置(図30)第2の回動位置(図31)に回動するよう制御されている。
図30、図31において、ガイドカム83の円周上には第1カム部83d、第2カム部83eが角度をずらして形成されている。図30では、ガイドカム83の第1カム部83dとガイドリンク部材75、ガイドリンク部材75とガイド部材64は各々図示しないバネに押圧されて当接された状態で保持されている。実施形態1と同様に、カムストッパ85の制御によってガイドカム83が回転状態になると、ガイドカム83の第1カム部83dの形状にならい、ガイドリンク部材75の回動位置が変化し、ガイド部材64の回動位置を制御することができる。
また、本実施形態では、キャリア制御リンク部材76は、ガイドリンク部材75とは別体で構成されている。そして、キャリア制御リンク部材76が配置される位置は、例えば図9や図12のキャリア制御部72cがガイドカム83に対して配置される位置とは異なり、ガイドカム83のほぼ上部の位置になっている。キャリア制御リンク部材76は、不図示のバネにより付勢され、ガイドカム83の第2カム部83eと当接可能に支持されている。そして、実施形態1と同様に、カムストッパ85の制御によってガイドカム83が回転状態となると、ガイドカム83の第2カム部83eの形状にならい、キャリア制御リンク部材76を回動させることができる。
以上のように、本実施形態3では、ガイド部材64の移動をさせるためのガイドリンク部材75と、第2搬送ローラ62を反転させるタイミングを決めるキャリア制御リンク部材76を別体に構成している。
このような構成によって、例えば、ガイド部材64の移動開始と、第2搬送ローラ62の反転開始のタイミングを大きくずらす(遅延させる)ことができる。即ち、ガイド部材64の移動開始に対して、第2搬送ローラ62を反転開始させるまでの遅延の設定に大きな自由度を得ることができる。
例えば、本実施形態3の構成によると、ガイド部材64の第1、第2の回動位置の間の移動を開始時から大きな遅延を持って搬送ローラユニット60の第2搬送ローラ62を反転開始させることができる。即ち、ガイド部材64の第1、第2の回動位置の間で移動させる区間を利用して、可能な限り長い間、第2搬送ローラ62のそれまでの回転駆動方向を維持することができる。従って、本実施形態3の構成によると、よりシート間の搬送路上での距離を短縮できる可能性があり、上述の実施形態に比してシートをより効率よく搬送できる可能性がある。即ち、本実施形態3によると、より高い生産性でシートに対して両面画像形成を行える可能性がある。
なお、以上では、シート排出部(第1挟持部6a)と、シート反転部(第2挟持部6b)を3連ローラ(61、62、63)によって構成する例を示した。しかしながら、シート排出部(第1挟持部6a)と、シート反転部(第2挟持部6b)を備えたシート排出手段、およびシート反転手段は3連ローラのみによって構成されるものではない。例えば、後述する実施形態4のように、シート排出部(第1挟持部6a)と、シート反転部(第2挟持部6b)は、第1、第2の(2組の)対向ローラのそれぞれのシート挟持部によって構成してもよい。その場合、第1、第2の(2組の)対向ローラは、例えばギアトレインやチェーンなどの伝達機構を介して連動させる構成とする。この伝達機構は、シート排出部(第1挟持部6a)と、シート反転部(第2挟持部6b)と、がそれぞれ上述と同様の回転駆動方向の関係となるよう構成することができる。
[実施形態4]
以下、図32~図42を参照して、本実施形態4のスイッチバック機構について説明する。本実施形態においても、上記実施形態1と同一ないし相当する部材には同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、本実施形態4において、不図示の部材や、構成、例えば、画像形成装置やシート搬送装置の全体構成などについては上述の実施形態1(あるいは2)と同等であるものとする。
上記実施形態1では、シート反転手段は3連ローラ(61、62、63)を用いて、第2の回転体(62)に対向して配置された第3の回転体(63)を備える。そして、この第3の回転体(63)は、第2の回転体(62)が正転方向または逆転方向に回転駆動されることにより、第2の回転体(62)とともにシートを反転搬送するシート反転部を構成する。
これに対して、本実施形態4では、2対の搬送ローラ(66,67、68,69)を用いて、第2の回転体(67)に対向して配置された第1の回転体(66)と、第4の回転体(69)に対向して配置された第3の回転体(68)を備える。即ち、本実施の形態において、上記第4の回転体69が反転回転体となっていると共に、この第4の回転体69に対して対向配置された従動ローラである第3の回転体68と第4の回転体69とによって、シートを排出搬送する排出ローラ対が構成されている。また、上記第1及び第2の回転体66,67によって、シートを排出搬送する排出ローラ対が構成されている。そして、第1の回転体(66)は第2の回転体(67)が常時正転方向に回転駆動されることにより、シートを排出する方向に搬送し、第3の回転体(68)は第4の回転体(69)が正転方向または逆転方向に回転駆動されることにより、シートを反転搬送するシート反転部を構成する。(図32、図33参照)
これらの搬送ローラの内、第2の回転体である排紙搬送ローラ67は、入力ギア80~スイッチバック入力ギア82~ローラギア96を介してモータなどの駆動源(不図示)の回転駆動力が常時正転方向に伝達される。そして、第4の回転体である反転搬送ローラ69は、入力ギア80~スイッチバック機構65(スイッチバック出力ギア93)~ローラギア81を介してモータなどの駆動源(不図示)の回転駆動力が正転方向または逆転方向に伝達される。
<シート搬送の様子>
次に、図34~図42を参照して本実施形態のレーザービームプリンタ1の両面記録時におけるシートS0、S1さらにS2の搬送動作について説明する。以下では、例えば、片面記録されたシートS1を排出反転部で逆方向にスイッチバック搬送している間に、先行する、両面記録済みの別のシートS0を排出する動作を主に例示する。また、以下では、3シート滞留で搬送を行い、排出されるシートS0とS1の間のシート間を利用してさらに後続の片面記録済みのシートS2のスイッチバックを行う制御例を示す。以下では、主に排出反転部によるスイッチバック反転搬送、と排出されるシートの動き、および、ガイド部材64と反転搬送ローラ69の動作を説明する。
図34は、排出反転部付近の構造を示しており、同図の状態は例えば排出反転部の初期位置に相当する。図34では、ガイド部材64が、第1搬送路50から搬送されたシートを排紙搬送ローラユニット98にガイドする第1の回動位置に保持されている。排紙搬送ローラ67はシートを排出するよう、矢印のように常時反時計回りの方向に回転駆動される。また、このとき反転搬送ローラ69はシートを排出するのとは反対方向に、矢印のように時計回りの方向に回転駆動される。
図35は、片面記録が終了したシートS1の先端が定着部44を抜け、第2センサ55の位置まで到達した状態を示している。同図のように、第2センサ55がシートS1の先端を検知すると、このシート検知情報に基づきスイッチバック機構65が動作する。これにより、ガイド部材64をシート(S)を反転搬送ローラ対としての反転搬送ローラユニット99の挟持部にガイドする第2の回動位置に回動させる(図7->図12)。
ただし、前述のように、スイッチバック機構65は、ガイド部材64が回動し始めた時点では、反転搬送ローラ69を逆転駆動しない。即ち、スイッチバック機構65は、ガイド部材64の回動に遅延して、例えば、ガイド部材64が第2の回動位置の近傍まで近づくか、あるいは第2の回動位置に到達するかした時点で、反転搬送ローラ69を逆転駆動させる。この正転から逆転駆動方向の切り換えは、上述のようにスイッチバック機構65A、65Bの連動機構、即ちガイドリンク部材72のキャリア制御部72cと、キャリアディスク92の係止部92bとが係止(図14->図15)することによって生じる。
図35は、ガイド部材64がほぼ第2の回動位置まで回動しているが、矢印で示すように反転搬送ローラ69はまだ逆転駆動されていない。その後、図36のようにガイド部材64が第2の回動位置まで回動すると、スイッチバック機構65A、65Bの連動機構、即ちガイドリンク部材72のキャリア制御部72cと、キャリアディスク92の係止部92bが係止する(図14->図15)。これにより、第1アイドラギア94と第2アイドラギア95を介して回転駆動力が伝達され、図36のように反転搬送ローラ69の逆転駆動が開始される。これにより、反転搬送ローラ69は同図に矢印で示すように反時計回りの方向に回転する。これにより、反転搬送ローラユニット99の挟持部の逆転駆動によって、機外方向に搬出する。この動作は、例えばシートS1の後端が第2搬送路51へ導入可能な位置まで搬送されるまで続けられる。
例えば、図37の位置まで、片面記録されたシートS1が反転搬送ローラユニット99の挟持部により機外方向へ搬送されると、第2センサ55によるシート後端の検知情報が変化(検知->非検知)する。この第2センサ55の検知情報の変化を用いて、ガイド部材64を第1の回動位置(図37)から第2の回動位置(図38)まで回動させる動作を開始させることができる。なお、図37以降において、S0で示すシートは、シートS1の後から第1搬送路50を搬送されてくる、既に両面記録済みのシートである。
例えば、上記の第2センサ55の検知情報の変化が生じた後、片面記録されたシートS1の後端が所定量だけ機内に残った位置に到達する。すると、図38のように、スイッチバック機構65(図32、図33参照)は、ガイド部材64を第1の回動位置(図37)から第2の回動位置(図38)へと移動開始させる。この切り替えは、例えば、上記の第2センサ55の検知情報の変化が生じてから適時のタイマ計時を行った後、ソレノイド87を通電し、ソレノイドリンク88によるカムディスク84の係止を解除することにより行う。
これにより、ガイド部材64は、図38のように、第2の回動位置(図18、図12)から第1の回動位置(図7、図9)へ復帰する。即ち、ガイド部材64は排紙搬送ローラユニット98挟持部に既に両面記録済みのシートS0を導く第1の回動位置(図7、図9)に復帰する。
ただし、図38の時点では、まだ反転搬送ローラ69が逆回転駆動で反時計回りの方向に回転して反転搬送ローラユニット99の挟持部で片面記録されたシートを本体外へ搬送している状態である。しかしながら、その後、ガイド部材64が第1の回動位置(の近傍)へ移動すると、スイッチバック機構65A、65Bの連動機構、即ちガイドリンク部材72のキャリア制御部72cと、キャリアディスク92の係止部92bが非係止となる(図15->図14)。これにより、図39のように反転搬送ローラ69が正回転駆動に切り換えられ、時計回りの方向に回転する。この状態では、排紙搬送ローラ67が両面記録済みのシートS0を第1搬送路50から機外へ排出し、反転搬送ローラ69が片面記録済みのシートS1を第2搬送路51に向かって搬入する。
この状態がさらに進むと、図40のようにシートS1、S0の搬送が行われる。さらに、両面記録済みのシートS0は図41、そして図42のように機外へ排出されるが、本実施形態では、図41、図42に示すようにシートS0~S1のシート間を有効利用し、さらに後続の片面記録済みのシートS2のスイッチバック搬送を行う。
即ち、第2センサ55による上記シートS2、ないしS0の後端、前端の検知情報に基づいて、スイッチバック機構65は、後続の片面記録済みのシートS2のスイッチバック搬送を行うよう動作する。例えば、図41のような搬送状態が形成されると、第2センサ55の検知状態に基づき、スイッチバック機構65は、ガイド部材64を第1の回動位置から第2の回動位置へ移動開始させる。即ち、ガイド部材64を反転搬送ローラ99の挟持部に後続する片面記録されたシートS2を案内するよう第2の回動位置へ移動開始させる。この時のスイッチバック機構65の搬送制御は、図35で説明したものと同じである。なお、図41では、例えば両面記録済みのシートS0の後端は所定量だけ機内に残った位置にある。また、後続の片面記録済みのシートS2の前端は、定着部44および第2センサ55を通り過ぎ、ガイド部材64の先端近傍位置に達している。また、シートS1は裏面の画像形成のため、第2搬送路51中を搬送されている。
また、図41では、ガイド部材64の第2の回動位置への移動に連動した反転搬送ローラユニット99の正転->逆転駆動の切り換えは生じておらず、依然として、シートS0を機外へ排出する正転状態が維持されている。
図42のように、両面記録済みのシートS0が機外へ排出されると、ガイド部材64の第2の回動位置(ないしその近傍)への移動完了に連動して、反転搬送ローラ69が逆転駆動に切り換えられる。この反転搬送ローラ69の正転から逆転駆動への切り換えは、例えば上記の図36などで説明した通りである。
以上のように本実施形態においても、ガイド部材64の回動区間を利用して、短いシート間距離で効率よくシートを搬送することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態の構成に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載したものに限定されない。また、上述した実施形態に記載された発明は、どのように組み合わされても良い。