JP2016190182A - 接合材の塗布方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】メタルマスクを使用して基板上に塗布される接合材に形成される突起部を小さくすることができる、接合材の塗布方法を提供する。【解決手段】メタルマスク10を基板上に配置してスキージでメタルマスク10の開口部10aに接合材を流し込むことによって接合材を基板上に塗布する方法において、メタルマスク10の開口部10aの塗布方向(スキージの移動方向)終端側の内面の上部に、開口部10aの上部を広げるように段差部10bを設ける。【選択図】図1A

Description

本発明は、接合材の塗布方法に関し、特に、メタルマスクを使用して接合材を基板上に塗布する方法に関する。
近年、銀微粒子を含む銀ペーストからなる接合材を使用し、被接合物間に接合材を介在させ、被接合物間に圧力を加えながら所定時間加熱して接合材中の銀を焼結させて、被接合物同士を接合することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような接合材を使用して銅基板などの金属基板上にSiチップなどの電子部品を固定する場合、銀微粒子が溶媒に分散した銀ペーストを基板上に塗布した後、加熱して溶媒を除去することにより、基板上に予備乾燥膜を形成し、この予備乾燥膜上に電子部品を配置した後、電子部品に圧力を加えながら加熱することにより、銀接合層を介して電子部品を基板に接合することができる。
このようにして電子部品を基板に接合する際に、銀ペーストを基板上に塗布する方法として、基板上にメタルマスクを配置し、メタルスキージにより銀ペーストを基板上に塗布することが行われている(例えば、特許文献2参照)。
特開2011−80147号公報(段落番号0014−0020) 特開2014-235942号公報(段落番号0029)
しかし、従来のメタルマスクを基板上に配置してスキージでメタルマスクの開口部に銀ペーストを流し込んだ後に基板を下方に移動することによって銀ペーストを基板上に塗布すると、メタルマスクの開口部の塗布方向終端側(スキージの移動方向終端側)に銀ペーストの大きな突起部が形成されて、塗布された銀ペーストの厚さにバラツキが生じる。このように大きな突起部が形成された銀ペーストを加熱して基板上に予備乾燥膜を形成し、この予備乾燥膜上にSiチップなどの電子部品を配置した後、電子部品に圧力を加えながら加熱することにより、銀接合層を介して電子部品を基板に接合すると、予備乾燥膜の突起部の影響により、電子部品の片当たりによって膜密度のバラツキや電子部品の割れが生じる。
このような電子部品の片当たりを防ぐためには、電子部品の大きさに対して接合材の塗布面積を非常に大きくして、予備乾燥膜の突起部に当たらない位置に電子部品を配置する方法が考えられるが、電子部品を基板に接合してパワーデバイスを作製する場合には、パワーデバイスの小型化が望まれていることから、接合材の塗布面積も極力小さくすることが望まれている。また、銀ペーストは、半田に比べて高価であるため、使用量を少なくすることが望ましい。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、メタルマスクを使用して基板上に塗布される接合材に形成される突起部を小さくすることができる、接合材の塗布方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、メタルマスクを基板上に配置してスキージでメタルマスクの開口部に接合材を流し込むことによって接合材を基板上に塗布する方法において、メタルマスクの開口部の塗布方向終端側の内面の上部に、開口部の上部を広げるように段差部を設けることにより、メタルマスクを使用して基板上に塗布される接合材に形成される突起部を小さくすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による接合材の塗布方法は、メタルマスクを基板上に配置してスキージでメタルマスクの開口部に接合材を流し込むことによって接合材を基板上に塗布する方法において、メタルマスクの開口部の塗布方向終端側の内面の上部に、開口部の上部を広げるように段差部を設けたことを特徴とする。
この接合材の塗布方法において、開口部が略矩形の開口部であり、段差部が開口部の塗布方向終端側の内面の上部に沿って延びているのが好ましい。この場合、段差部が開口部の塗布方向終端側の内面の上部の全長にわたって延びているのが好ましい。また、接合材を塗布する際にスキージが往復動して接合材を両方向に塗布する場合には、段差部を開口部の両方向の塗布方向終端側の内面の上部にそれぞれ設けるのが好ましい。また、段差部の深さがメタルマスクの厚さの半分以下であるのが好ましい。このような段差部は、メタルマスクのスキージ面側をハーフエッチング加工することによって設けることができる。
本発明によれば、メタルマスクを使用して基板上に塗布される接合材に形成される突起部を小さくすることができる。
本発明による接合材の塗布方法の実施の形態に使用するメタルマスクの平面図である。 図1AのメタルマスクのIB−IB線断面図である。 本発明による接合材の塗布方法の実施の形態の変形例に使用するメタルマスクの平面図である。 図2AのメタルマスクのIIB−IIB線断面図である。
本発明による接合材の塗布方法の実施の形態では、メタルマスクを基板上に配置してスキージでメタルマスクの開口部内に接合材を流し込んだ後に基板を下方に移動することによって接合材を基板上に塗布する。
図1A〜図1Bに示すように、この接合材の塗布方法で使用するメタルマスク10は、平面形状が略矩形の金属板からなり、互いに離間した平面形状が略矩形の複数(図示した実施の形態では3×3個)の開口部10aが金属板を貫通して形成され、各々の開口部10aの矢印Aで示す(図示しない)スキージの移動方向(接合材の塗布方向)終端側の内面の上部に、開口部10aの上部を広げるように段差部10bが設けられている。これらの段差部10bは、開口部10aの塗布方向終端側の内面の上部に沿って延びており、その内面の上部の全長にわたって延びているのが好ましい。これらの段差部10bは、開口部10a内に流し込まれた接合材のうち、余分な接合材を収容する接合材逃げ部としての役割を果たす。
また、図2A〜図2Bに示すように、矢印Bで示す塗布方向のように、(図示しない)スキージが往復動して接合材を両方向に塗布する場合には、メタルマスク110の段差部110bを開口部110aの両方向の塗布方向終端側の内面の上部にそれぞれ設けてもよい。
段差部10b、110bの深さDは、メタルマスク10、110の厚さの半分以下であるのが好ましい。例えば、メタルマスク10、110の厚さが0.1mmの場合、段差部10b、110bの深さDは、10〜50μmであるのが好ましく、30〜50μmであるのがさらに好ましい。また、段差部10b、110bの幅Wは、0.3〜5mmであるのが好ましい。
メタルマスク10、110の開口部10a、110aは、金属板を貫通エッチング加工することによって形成することができ、段差部10b、110bは、メタルマスク10、110のスキージ面側をハーフエッチング加工することによって設けることができる。
このように、メタルマスク10、110の開口部10a、110aの塗布方向終端側の内面の上部に段差部10b、110bを設けることによって、余分な接合材を段差部10b、110bに逃がして、塗布される接合材に突起部が形成されるのを抑制することができる。また、段差部10b、110bの深さDや長さLを調整することによって、塗布される接合材に突起部が形成されるのを大幅に抑制することができる。
その結果、基板上に塗布された接合材の予備乾燥膜上にSiチップなどの電子部品を配置した後、電子部品に圧力を加えながら加熱することにより、銀接合層を介して電子部品を基板に接合しても、電子部品の片当たりを防止して、電子部品の割れを防止することができるとともに、膜密度のバラツキを抑制し、電子部品の信頼性を向上させることが期待される。
そのため、接合材の塗布面積を小さくすることができ、高価な接合材の使用量を少なくすることができる。また、電子部品を基板に接合してパワーデバイスを作製する場合には、パワーデバイスの小型化を図ることができる。
本発明による接合材の塗布方法の実施の形態では、平均一次粒子径1〜100nmの銀微粒子(銀ナノ粒子)と溶剤(と好ましくは分散剤)を含む銀ペーストからなる接合材を使用するのが好ましい。
以下、本発明による接合材の塗布方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
500mLビーカーに純水72.1gを入れ、硝酸銀(東洋化学株式会社製)13.4gを添加して溶解させることにより、原料液として硝酸銀水溶液を調製した。
また、5Lビーカーに1.4Lの純水を入れ、この純水内に窒素を30分間通気させて溶存酸素を除去しながら、40℃まで昇温させた。この純水に(銀微粒子被覆用の)有機化合物としてソルビン酸(和光純薬工業株式会社製)17.9gを添加した後、安定化剤として28%のアンモニア水(和光純薬工業株式会社製)2.8gを添加した。
このアンモニア水を添加した後の水溶液を撹拌しながら、アンモニア水の添加時点(反応開始時)から5分経過後に、還元剤として純度80%の含水ヒドラジン(大塚化学株式会社製)6.0gを添加して、還元液として還元剤含有水溶液を調製した。反応開始時から10分経過後に、液温を40℃に調整した原料液(硝酸銀水溶液)を還元液(還元剤含有水溶液)へ一挙に添加して反応させ、さらに80分間撹拌し、その後、昇温速度1℃/分で液温を40℃から60℃まで昇温させて撹拌を終了した。
このようにしてソルビン酸で被覆された銀微粒子(銀ナノ粒子)の凝集体を形成させた後、この銀微粒子の凝集体を含む液をNo.5Cのろ紙で濾過し、この濾過による回収物を純水で洗浄して、銀微粒子の凝集体を得た。この銀微粒子の凝集体を、真空乾燥機中において80℃で12時間乾燥させ、銀微粒子の凝集体の乾燥粉末を得た。このようにして得られた銀微粒子の凝集体の乾燥粉末を解砕して、2次凝集体の大きさを調整した。なお、この銀微粒子の平均一次粒子径を走査型電子顕微鏡(SEM)により求めたところ、100nmであった。
次に、このようにして2次凝集体の大きさを調整した(ソルビン酸で被覆された)銀微粒子の凝集体の乾燥粉末86.0g(86.0質量%)と、溶剤としてのオクタンジオール(ODO)(協和発酵ケミカル株式会社製の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、沸点244.2℃、20℃の粘度271mPa)12.5g(12.5質量%)と、分散剤としての2−ブトキシエトキシ酢酸(BEA)(東京化成工業株式会社製)0.95g(0.95質量%)と、添加剤としての2−メチルブタン−2,3,4−トリオール(IPTL−A)(日本テルペン化学株式会社製、沸点255.5℃、(20℃の)粘度9,155mPa)1.5g(1.5質量%)を混合した。この混合物を(エタノールを主剤とした)混合溶剤(日本アルコール販売株式会社製のソルミックスAP−7)で希釈して撹拌し、湿式ジェットミル装置により解砕した後、混合溶剤(希釈溶剤)を揮発させて濃縮し、その後、溶剤としてのオクタンジオール(ODO)で希釈して粘度を調整して、Ag濃度80.4質量%の接合材(銀ペースト)を得た。なお、Ag濃度は熱減量法により測定した。
次に、図1A〜図1Bに示す形状のメタルマスク(厚さ100μm、開口部の大きさ15.6mm×15.6mm、段差部の幅0.5mm、段差部の深さ30μm)を用意し、このメタルマスクを30mm×30mm×1mmの銅基板(C1020)上に配置し、その開口部に上記の接合材(銀ペースト)をメタルスキージで流し込んだ後に銅基板を下方に移動して、銅基板上に厚さ(印刷膜厚)100μmになるように接合材を塗布した。
その後、接合材を塗布した銅基板をホットプレート(アズワン株式会社製)上に設置し、大気雰囲気中において110℃で10分間加熱して予備乾燥することにより、接合材中の気泡やガス成分を除去して予備乾燥膜を形成した。この予備乾燥膜の厚さと(表面粗さを表すパラメータである)算術平均粗さRaを表面粗さ形状測定機(株式会社東京精密性のSURFCOM1500DX−12)により測定したところ、予備乾燥膜の厚さは35μmであり、塗布方向終端側に高さ2μmの非常に小さい突起部が形成されていた。
次に、予備乾燥膜を形成した銅基板を25℃まで冷却した後、予備乾燥膜上に厚さ0.3mmの銀めっきが施された(15mm×15mmの大きさの)Siチップを配置し、フリップチップボンダー(ハイソル社製)に設置し、窒素雰囲気中において2MPaの荷重をかけながら、250℃まで約5秒間で昇温させてSiチップを銅基板に仮接合した仮接合体を得た。
このようにして得られた仮接合体の接合強度をJIS Z3918−5(2003年)の「鉛フリーはんだ試験方法−第5部:はんだ継ぎ手の引張及びせん断試験方法」に準じて測定した。具体的には、仮接合体の銅基板を固定し、この銅基板に仮接合したSiチップを水平方向に押して、接合面が破断したときの力(N)を接合強度試験機(DAGE社製の万能型ボンドテスターシリーズ4000)で測定した。この試験では、シェア高さを50μm、シェア速度を5mm/分とし、室温で測定を行った。なお、せん断試験方法では、接合面が破断する際の力(N)を直接測定しており、接合強度は接合面積に依存する値であるため、接合面が破断する際の力(N)を接合面積(実施例1では15.6mm×15.6mm=243.6mm)で除した値を接合強度(平均シェア強度)として算出した。その結果、仮接合体の接合強度は5.3Nであり、接合強度が高かった。
[比較例1]
メタルマスクに段差部を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法により、接合材(銀ペースト)を銅基板上に塗布して、予備乾燥膜を形成し、この予備乾燥膜の厚さと算術平均粗さRaを測定したところ、予備乾燥膜の厚さは35μmであり、塗布方向終端側に高さ10μmの非常に大きい突起部が形成されていた。また、実施例1と同様の方法により、仮接合体を作製し、この仮接合体の接合強度を算出したところ、1.3Nであり、接合強度が低かった。
[実施例2]
メタルマスクの段差部の幅を1mm、段差部の深さを50μmとした以外は、実施例1と同様の方法により、接合材(銀ペースト)を銅基板上に塗布して、予備乾燥膜を形成し、この予備乾燥膜の厚さと算術平均粗さRaを測定したところ、予備乾燥膜の厚さは35μmであり、塗布方向終端側に高さ2μmの非常に小さい突起部が形成されていた。また、実施例1と同様の方法により、仮接合体を作製し、この仮接合体の接合強度を算出したところ、5.6Nであり、接合強度が高かった。
10、110 メタルマスク
10a、110a 開口部
10b、110b 段差部

Claims (6)

  1. メタルマスクを基板上に配置してスキージでメタルマスクの開口部に接合材を流し込むことによって接合材を基板上に塗布する方法において、メタルマスクの開口部の塗布方向終端側の内面の上部に、開口部の上部を広げるように段差部を設けたことを特徴とする、接合材の塗布方法。
  2. 前記開口部が略矩形の開口部であり、前記段差部が前記開口部の塗布方向終端側の内面の上部に沿って延びていることを特徴とする、請求項1に記載の接合材の塗布方法。
  3. 前記段差部が前記開口部の塗布方向終端側の内面の上部の全長にわたって延びていることを特徴とする、請求項2に記載の接合材の塗布方法。
  4. 前記接合材を塗布する際に前記スキージが往復動して前記接合材を両方向に塗布し、前記段差部を前記開口部の両方向の塗布方向終端側の内面の上部にそれぞれ設けたことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の接合材の塗布方法。
  5. 前記段差部の深さが前記メタルマスクの厚さの半分以下であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の接合材の塗布方法。
  6. 前記段差部がメタルマスクのスキージ面側をハーフエッチング加工することによって設けられることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の接合材の塗布方法。
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