JP2016189771A - 高炭水化物含量の野菜を含む冷凍食品 - Google Patents

高炭水化物含量の野菜を含む冷凍食品 Download PDF

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Abstract

【課題】冷凍された高炭水化物含量の野菜及び固形具材を含有し、加熱して解凍・調理された際に、野菜の形状が崩れることなく、野菜のホクホク又はネットリとした食感が向上し、且つ固形具材が焦げたり、萎れたりすることがない冷凍食品の提供。
【解決手段】冷凍された下記(A)〜(C)を含有し、(C)の量が(A)及び(B)に対して1.5重量倍以下である冷凍食品。
(A)糊化度が15〜70%となるように加工された、炭水化物含量10〜30%の野菜
(B)可食状態の固形具材(但し、炭水化物含量10〜30%の野菜を除く)
(C)水性液体
【選択図】なし

Description

本発明は、冷凍食品に関するものであり、より詳細には、高炭水化物含量の野菜を含有し、加熱して解凍・調理した際に、野菜の形状が崩れることなく、野菜のホクホク又はネットリとした食感が向上する冷凍食品に関するものである。
炭水化物含量が高い野菜(例えば、ジャガイモ、カボチャ等)は、一般にホクホク又はネットリとした食感が求められる。当該食感を向上させる方法として、従来、炭水化物含量の高い品種を選定して使用することが報告されているが、そのような炭水化物含量の高い品種は脆く、煮る等の加熱調理を行うと崩れる等の問題がある。
炭水化物含量が高い冷凍野菜の食感を改善する方法としては、例えば、特許文献1〜3に記載の方法等が報告されている。
特許文献1には、さやか品種ジャガイモを、完全糊化しない条件でブランチングした後、凍結する方法が開示されている。しかし特許文献1には、当該方法によって製造された冷凍ジャガイモの利用方法について、未凍結状態の多量の水分(ソース)と共にレトルト加熱することのみしか記載されていない。このような加熱方法は野菜の吸水を伴うため、ホクホク又はネットリとした食感は向上しない。また特許文献1記載の方法は、ジャガイモの冷凍品の食感を、生鮮品の食感に近づけることを目的とするものであり、生鮮品より優れる食感を冷凍品に付与するものではない。
特許文献2には、糊化度が45〜85%である冷凍枝豆を、糊化度が90〜100%となるまで加熱調理する方法が開示されている。特許文献2には、当該方法によって、冷凍枝豆の歯切れが向上することが記載されているが、ホクホク又はネットリした食感については記載されていない。また特許文献2記載の方法は、冷凍枝豆の食感を改善し、生鮮品に近づけることを目的とするものである。
特許文献3には、ジャガイモを糊化度が60〜70%となるまで加熱し、千切り後、70℃の低温で乾燥して水分を60〜75%に調整し、これを成形加工してハッシュポテトを製造する方法が開示されている。特許文献3記載の乾燥工程を経たジャガイモは、ホクホクとした食感の有するものの、脆く崩れやすいため、その利用は、ハッシュポテトのような成形を必須とする料理に限定される。
このように、従来技術によっては、炭水化物含量が高い野菜の凍結物を含有し、加熱して解凍・調理した際に、野菜の形状が崩れることなく、野菜のホクホク又はネットリとした食感が向上する冷凍食品を提供することはできない。
特開2001−112410号公報 特開2013−132287号公報 特開昭61−249359号公報
本発明者らは、炭水化物含量が高い野菜の凍結物を含有し、加熱して解凍・調理した際に、野菜の形状が崩れることなく、野菜のホクホク又はネットリとした食感が向上する冷凍食品を提供すべく鋭意研究を行った結果、炭水化物含量が特定の範囲である野菜を、その糊化度が特定の範囲となるように加工した上で冷凍した後、乾燥条件下で加熱することによって、野菜の形状が崩れることや野菜の保存性を損なうことなく、ホクホク又はネットリとした食感を向上させ得ることを見出した。
また本発明者らは更に研究を進めたところ、糊化度が特定の範囲となるように加工された上で冷凍された野菜(即ち、喫食に適さない半生状態で冷凍された野菜)は、喫食に適した状態とするために必要な加熱時間(解凍及び調理に要する時間)が、喫食に適した状態で冷凍された固形具材に比べて、長くなる傾向があり、これらの野菜及び固形具材の両方を含有する冷凍食品は、野菜が喫食に適した状態となるまで加熱し続けると、固形具材に焦げや萎れが発生し、冷凍食品全体として良品質にならないことがあるという新たな課題を発見した。
従って本発明の目的は、糊化度が特定の範囲となるように加工された上で冷凍された高炭水化物含量の野菜及び喫食し得る状態で冷凍された固形具材を含有し、加熱して解凍・調理された際に、野菜の形状が崩れることなく、野菜のホクホク又はネットリとした食感が向上し、且つ固形具材が焦げたり、萎れたりすることがない冷凍食品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、糊化度が特定の範囲となるように加工された上で冷凍された高炭水化物含量の野菜及び喫食し得る状態で冷凍された固形具材に、更に特定量の水性液体を加えて製造した冷凍食品は、加熱した際、水性液体が蒸気となって、固形具材が焦げたり、萎れたりすることを抑制できることを見出した。
本発明者らは、当該知見に基づいてさらに研究を進めることによって本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の通りである。
[1]冷凍された下記(A)〜(C)を含有し、(C)の量が(A)及び(B)に対して1.5重量倍以下である冷凍食品。
(A)糊化度が15〜70%となるように加工された、炭水化物含量10〜30%の野菜
(B)可食状態の固形具材(但し、炭水化物含量10〜30%の野菜を除く)
(C)水性液体
[2]冷凍食品が、乾燥条件下で加熱するためのものである、[1]記載の冷凍食品。
[3]冷凍食品の乾燥条件下での加熱が、マイクロウェーブ加熱、オーブン加熱及びフライ加熱からなる群より選択される少なくとも一つである、[2]記載の冷凍食品。
[4]冷凍食品の乾燥条件下での加熱が、前記(A)の糊化度が90%以上となるまで行われる、[2]又は[3]記載の冷凍食品。
[5]冷凍食品の乾燥条件下での加熱が、前記(A)の歩留りが70〜95%となるまで行われる、[2]〜[4]のいずれか一つに記載の冷凍食品。
[6]炭水化物含量10〜30%の野菜が、ジャガイモ、カボチャ、ソラマメ及びサトイモからなる群より選択される少なくとも一種である、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の冷凍食品。
[7]冷凍食品から製造される食品が、煮物料理、サラダ、グラタン、汁物料理、焼き物料理及び揚げ物料理からなる群より選択される一種である、[1]〜[6]のいずれか一つに記載の冷凍食品。
[8]冷凍された下記(A)〜(C)を含有し、(C)の量が(A)及び(B)に対して1.5重量倍以下である冷凍食品を、乾燥条件下で加熱することを含む、食品の製造方法。
(A)糊化度が15〜70%となるように加工された、炭水化物含量10〜30%の野菜
(B)可食状態の固形具材(但し、炭水化物含量10〜30%の野菜を除く)
(C)水性液体
[9]冷凍食品の乾燥条件下での加熱が、マイクロウェーブ加熱、オーブン加熱及びフライ加熱からなる群より選択される少なくとも一つである、[8]記載の製造方法。
[10]冷凍食品の乾燥条件下での加熱が、前記(A)の糊化度が90%以上となるまで行われる、[8]又は[9]記載の製造方法。
[11]冷凍食品の乾燥条件下での加熱が、前記(A)の歩留りが70〜95%となるまで行われる、[8]〜[10]のいずれか一つに記載の製造方法。
[12]炭水化物含量10〜30%の野菜が、ジャガイモ、カボチャ、ソラマメ及びサトイモからなる群より選択される少なくとも一種である、[8]〜[11]のいずれか一つに記載の製造方法。
[13]食品が、煮物料理、サラダ、グラタン、汁物料理、焼き物料理及び揚げ物料理からなる群より選択される一種である、[8]〜[12]のいずれか一つに記載の製造方法。
本発明によれば、糊化度が特定の範囲となるように加工された上で冷凍された高炭水化物含量の野菜及び喫食し得る状態で冷凍された固形具材を含有し、加熱して解凍・調理された際に、野菜の形状が崩れることなく、野菜のホクホク又はネットリとした食感が向上し、且つ保存性に優れ、更に、固形具材が焦げたり、萎れたりすることがない冷凍食品を提供できる。本発明によれば、冷凍された高炭水化物含量の野菜のみを含有する冷凍食品だけでなく、二種以上の具材を組み合わせてなる、所謂メニュー系の冷凍食品を良品質で提供し得る。
野菜の糊化度を測定するβ−アミラーゼ・プルラナーゼ法のフローを示す図である。野菜の糊化度は、検体試料の分解率を完全糊化試料の分解率で割ることにより得られた値を百分率(%)で表したものである。 試験区19の重量を100%としたときの、試験区17〜23の重量の割合(%)を示すグラフである。 試験区17〜23の炭水化物含量(%)を示すグラフである。
1.本発明の冷凍食品
本発明の冷凍食品は、冷凍された(A)糊化度が15〜70%となるように加工された、炭水化物含量10〜30%の野菜(以下において「野菜(A)」とも称する)、冷凍された(B)可食状態の固形具材(但し、炭水化物含量10〜30%の野菜を除く)(以下において「固形具材(B)」とも称する)及び冷凍された(C)水性液体(以下において「液体(C)」とも称する)を含有する。
[野菜(A)]
野菜(A)は、炭水化物含量10〜30%の野菜を、糊化度が特定の範囲となるように加工したものである。
野菜(A)の種類は、炭水化物含量が10〜30%である野菜であれば特に制限されないが、具体的には、ジャガイモ、カボチャ、ソラマメ及びサトイモ等が挙げられる。該野菜(A)の炭水化物含量は、乾燥条件下での加熱により容易に糊化させることが出来ることから、好ましくは10〜25%である。
本発明において野菜の「炭水化物含量」は、差引法により測定することができる。具体的には常圧加熱乾燥法で測定した水分の重量、ケルダール法で測定したタンパク質の重量、ソックスレー抽出法で測定した脂質の重量、直接灰化法で測定した灰分の重量の合計を野菜の元重量から差し引いて算出する。
本発明の野菜(A)は、糊化度が特定の範囲となるように加工されていることが好ましい。糊化度が特定の範囲に加工された野菜(A)は冷凍耐性が高く、そのような状態で冷凍されることにより食感不良とはならない。一方で、野菜(A)の細胞が冷凍により適度に損傷して、水分の移動が自由になり、加熱調理等の際に野菜自身の水分でも十分に糊化できるようになるため、外部からの吸水を必要とせず、これにより本発明は、後述するように、野菜(A)を糊化させながら乾燥させるという全く前例のない解凍調理工程を行うことが可能となる。
具体的には、本発明の野菜(A)は、糊化度が15〜70%(より好ましくは30〜65%、特に好ましくは45〜65%)となるように加工されていることが好ましい。当該糊化度が15%未満であると、褐変酵素が残存し保存性に問題が生じる傾向や、本発明の固形具材(B)と組み合わせて調理した際に、固形具材の品質に問題が生じる傾向があり、逆に70%を超えると糊化中の乾燥が不足しホクホク又はネットリとした食感が得られなくなる傾向がある。
本発明において野菜の「糊化度」とは、野菜に含まれるデンプンがα化デンプンに変化した割合をいい、βアミラーゼ・プルラナーゼ法(以下、「BAP法」と称する場合がある)により測定することができる。具体的には、野菜の糊化度は、既報(家政学雑誌32(9)、p653−659、1981)に準じて、以下の通り測定することができる。
試料に10倍重量の99%エタノールを加えホモゲナイズし、次いで濾過により固形分を回収する。これを再度繰り返した後、固形分にアセトンを加え攪拌、濾過し、固形分を減圧乾燥させ脱水粉末試料を得る。
脱水粉末試料1000mgに10mLの蒸留水を加え、よく攪拌して分散させる。一方を完全糊化試料とし、他方を検体試料として各2ml上清を分取する。完全糊化試料は10N−NaOH溶液を0.2mL加えて室温で30分間放置した後、1mLの2N酢酸を加える。その後、検体試料、完全糊化試料ともに0.8M酢酸緩衝液(pH6.0)にて25mlに定容する。
それぞれの試料から4mlずつ試験管に分取し、酵素溶液(β−アミラーゼ0.8U/ml、プルラナーゼ3.4U/ml)1mlを加え、40℃で30分間インキュベーションする。同時にブランク試験用に検体試料から4ml分取し、失活酵素溶液1mlを加えた区をつくる。各試料について、酵素反応終了後、100℃で5分間熱処理をし、酵素を失活させる。その後、1mlを分取しソモギーネルソン法で還元糖量を測定し、同じく0.5mlを分取しフェノール硫酸法で全糖量を測定する。尚、ブランク試験では還元糖量のみを測定する。
上記の通り測定された値を用いて次式により糊化度が算出される。尚、上記操作フローをまとめたものは図1に示される。
分解率(%)=(還元糖量/全糖量)×100
糊化度(%)=(検体試料の分解率/完全糊化試料の分解率)×100
野菜(A)の糊化度を特定の範囲とするための加工方法は特に制限されないが、例えば、野菜を、焼く、炒める、煮る、茹でる、揚げる、蒸す、マイクロウェーブ加熱、過熱水蒸気加熱及びオーブン加熱のいずれか一種以上の加熱処理に供する等の方法が挙げられる。
野菜(A)の形状は特に制限されないが、本発明の冷凍食品は、乾燥条件下で加熱することによって、野菜(A)が崩れることなく所望の形状を保持したまま、ホクホク又はネットリとした食感を向上させ得ることから、本発明は、野菜(A)がホール状で用いられる場合、及び所定の大きさにカットされている場合(例えば、野菜(A)としてジャガイモを用いる場合は10〜30mmのダイス又は乱切り形状が好ましく、カボチャを用いる場合は10〜30mmのダイス又は乱切り形状が好ましく、ソラマメを用いる場合はホール状で用いることが好ましく、サトイモを用いる場合はホール状で用いることが好ましい)に特に有用である。
本発明の冷凍食品における野菜(A)の含有量は、冷凍食品の種類や野菜(A)の種類等に応じて適宜決定すればよく特に制限されないが、野菜(A)を嗜好的に喫食するためには、固形具材(B)及び液体(C)を一定量使用しメニューとして提供することが望ましく、野菜(A)の含有量は、冷凍食品に対して、好ましくは10〜70重量%であり、より好ましくは20〜50重量%である。
[固形具材(B)]
本発明において用いられる固形具材(B)は、野菜(A)以外の、常温(例、15〜25℃)において一定の形状を保持し得、過度に加熱されることにより焦げ及び/又は萎れが発生する食用具材であって、可食状態であるものであれば特に制限されないが、例えば、可食状態の畜肉(例、豚肉、牛肉等)、可食状態の家禽肉(例、鶏肉、鴨肉等)、可食状態の魚介類(例、魚、エビ、イカ等)、可食状態の炭水化物含量が10%未満又は30%を超える野菜(例、サツマイモ、エダマメ等)、可食状態の加工卵、可食状態の衣用材料(例、パン粉、シリアル、クラッカー粉等)等が挙げられる。尚、本発明において、水性のゲル等の解凍・調理時の加熱によって蒸気となり得る具材は、後述するように「(C)水性液体」に包含されるため、固形具材(B)には含まれない。
本発明において「可食状態」とは、喫食に適した状態を意味し、具体的には、例えば、畜肉(例、豚肉、牛肉等)、家禽肉(例、鶏肉、鴨肉等)、魚介類(例、魚、エビ、イカ等)等の可食状態とは、生肉又は生魚等を喫食に適する微生物数(例えば、食品衛生法における「食品、添加物等の規格基準」の冷凍食品の項の「細菌数(生菌数)の測定法」に準拠して測定した細菌数が100000/g以下、且つその「大腸菌群試験法」に準拠して行った試験において、大腸菌群が陰性等)になるまで加熱調理等を施した状態をいい、また炭水化物含量が10%未満又は30%を超える野菜(例、サツマイモ、エダマメ、キャベツ、ニンジン、インゲン等)の可食状態とは、喫食に適する微生物数になるまで加熱調理等を施した状態をいう。固形具材を可食状態とするための方法は特に制限されないが、例えば、加熱処理(例、焼く、炒める、煮る、茹でる、揚げる、蒸す、マイクロウェーブ加熱、過熱水蒸気加熱及びオーブン加熱等)等の方法が挙げられる。これらの方法は単独で用いてよく、又は二種以上の方法を組み合わせて用いてもよい。尚、元から可食状態である固形具材(例えば、採取後に加熱処理等することなく、そのまま喫食し得る生野菜等)は、加熱処理等を施すことなく、本発明の固形具材(B)として用いることができる。
本発明の冷凍食品における固形具材(B)の含有量は、冷凍食品の種類等に応じて適宜決定すればよく特に制限されないが、野菜(A)を嗜好的に喫食するためには、固形具材(B)及び液体(C)を一定量使用しメニューとして提供することが望ましく、固形具材(B)の含有量は、冷凍食品に対して、好ましくは10〜70重量%であり、より好ましくは20〜50重量%である。
本発明の冷凍食品における野菜(A)と固形具材(B)との重量比は特に制限されないが、通常(A):(B)=1:10〜10:1であり、好ましくは1:5〜5:1である。
[液体(C)]
本発明において用いられる液体(C)は解凍・調理時の加熱によって蒸気となり得るものが好ましく、例えば、水、醤油、食酢、アルコール、みりん、果汁等の水性成分、当該水性成分の二種以上の混合物、当該水性成分の一種又は二種以上を溶媒とする溶液、並びに当該水性成分の一種又は二種以上を分散媒とする分散液(ゾル)等が挙げられる。液体(C)は、ゲル状であってもよい。液体(C)には、例えば、牛乳、加熱凝固していない卵(全卵液、卵黄液、卵白液等の液卵を含む)等も包含される。また、液体(C)が、水、醤油、食酢、アルコール、みりん、果汁等の水性成分の一種又は二種以上を溶媒とする溶液である場合、その溶質としては、例えば、砂糖、食塩、顆粒だし、小麦粉、増粘多糖類等が挙げられる。
本発明の冷凍食品における液体(C)の量は、野菜(A)及び固形具材(B)の合計量に対して、1.5重量倍以下であることが好ましく、0.2〜1.0重量倍であることがより好ましく、0.25〜1.0重量倍であることが特に好ましい。液体(C)の量が、野菜(A)及び固形具材(B)の合計量に対して、1.5重量倍を超えると、本発明の冷凍食品は、野菜(A)が解凍調理中に吸水し、乾燥による食感向上効果が得られない傾向がある。
本発明の冷凍食品における液体(C)の含有量は、冷凍食品の種類等に応じて適宜決定すればよく特に制限されないが、野菜(A)を嗜好的に喫食するためには、固形具材(B)及び液体(C)を一定量使用しメニューとして提供することが望ましく、液体(C)の含有量は、冷凍食品に対して、好ましくは10〜70重量%であり、より好ましくは20〜60重量%である。
本発明の冷凍食品は、野菜(A)、固形具材(B)及び液体(C)以外の食材を、冷凍食品の種類等に応じて適宜含有し得る。当該食材は、冷凍食品に通常用いられる食材であれば特に制限されないが、例えば、サラダ油、ゴマ油等の植物油及びラード、バター等の動物油、胡椒やハーブ等の香辛料等が挙げられる。
本発明の冷凍食品は一態様として、冷凍された(A)〜(C)等が包装体に収容されていてよい。当該包装体としては、例えば、袋、箱、ビン、缶、発泡スチロール等が挙げられる。
本発明の冷凍食品の製造方法は特に制限されず、例えば、野菜(A)、固形具材(B)及び液体(C)をそれぞれ調製した後、これらを別個に冷凍し、得られた各凍結物を一つの包装体に収容する等して混合することにより製造してもよいし、あるいは、野菜(A)、固形具材(B)及び液体(C)をそれぞれ調製した後、これらを混合し、得られた混合物を冷凍することや、野菜(A)、固形具材(B)及び液体(C)を、所望によりその他の食材と併せて混合・調理してから冷凍すること等により製造してもよい。冷凍方法は特に制限されず、冷凍食品の分野において慣用の冷凍方法を適宜用いればよいが、例えば、個別急速冷凍装置、エアーブラスト及びブロック凍結装置等を用いて行い得る。冷凍温度は、野菜(A)及び固形具材(B)の種類等に応じて適宜設定すればよいが、通常−18℃以下である。
本発明の冷凍食品は、乾燥条件下で加熱するためのものであることが好ましい。野菜(A)は、前述のとおり、加熱調理等の際に野菜自身の水分で糊化でき、外部から吸水する必要がないため、本発明の冷凍食品は、乾燥条件下で加熱することによって、野菜(A)を糊化させながら乾燥させることができ、その結果、野菜(A)の炭水化物含量が高まり、野菜(A)の形状が崩れることなく、ホクホク又はネットリした食感を向上させることができる。
ここで「乾燥条件下で加熱するためのものである」冷凍食品とは、冷凍食品を解凍及び調理する際の加熱方法が、乾燥条件下で加熱するように予め定められている冷凍食品をいい、そのような冷凍食品の一態様としては、例えば、冷凍食品の包装体に、解凍方法及び/又は調理方法について、乾燥条件下で加熱することによって行うことができる又は行うべきである旨が記載されている形態や、解凍方法及び/又は調理方法について乾燥条件下で加熱することによって行うことができる又は行うべきである旨が記載された当該冷凍食品に関する記載物が、冷凍食品に同封されている形態等が挙げられる。
冷凍食品を乾燥条件下で加熱する方法は、野菜(A)が吸水しない方法であれば特に制限されないが、例えば、マイクロウェーブ加熱、オーブン加熱等が挙げられ、また、フライパン等を用いて冷凍食品を炒めてもよく、フライ加熱を行うのもよい。食品を包材に密閉した状態でボイル加熱してもよい。中でも、マイクロウェーブ加熱、オーブン加熱及びフライ加熱が好ましく、攪拌等の物理ストレスがなく、野菜が崩れにくいことから、マイクロウェーブ加熱及びオーブン加熱がより好ましく、マイクロウェーブ加熱が特に好ましい。
本発明において冷凍食品を乾燥条件下で加熱する際、その加熱の程度は、冷凍食品が喫食に適した状態になりさえすれば特に制限されないが、野菜(A)の糊化度が90%以上(より好ましくは95%以上)になるまで加熱することが好ましい。
本発明において冷凍食品を乾燥条件下で加熱する際、その加熱は、野菜(A)の歩留りが70〜95%(より好ましくは80〜90%)になるまで行われることが好ましい。
ここで野菜(A)の歩留りは、以下の式に基づいて算出し得る。
野菜(A)の歩留り(%)=P/Q×100
P:冷凍食品を解凍・調理して得られた食品に含まれる野菜(A)の重量
Q:冷凍された野菜(A)の重量
野菜(A)の歩留りが上記の範囲となるように冷凍食品が加熱されることによって、野菜(A)は適度に乾燥し、焦げや萎れが発生することなく、ホクホク又はネットリした食感をより向上させることができる。
本発明の冷凍食品を乾燥条件下で加熱することにより、野菜の形状が崩れることなく、野菜のホクホク又はネットリとした食感が向上し、且つ、固形具材に焦げや萎れが発生していない食品を提供できる。従って、本発明によれば、食品の製造方法も提供される。
本明細書において「ホクホクとした食感」とは、十分に蒸かした芋等において顕著に感じられる、咀嚼するにつれて柔らかくほぐれ崩れる食感をいい、また「ネットリとした食感」とは、適度に粘りのある口当たりの良い食感をいう。これらの食感の有無や程度は、専門パネルによる官能評価によって評価できる。
本発明の冷凍食品を乾燥条件下で加熱することにより製造される食品の種類としては、例えば、肉じゃが等の煮物料理、サラダ、グラタン、汁物料理、焼き物料理、コロッケ(例、ジャガイモを粒状又はブロック状で混合したコロッケ等)等の揚げ物料理等が挙げられるが、これらに限定されない。
2.本発明の食品の製造方法
本発明の食品の製造方法は、本発明の冷凍食品を、乾燥条件下で加熱することを含む。
本発明の食品の製造方法において、本発明の冷凍食品を乾燥条件下で加熱する方法は、本発明の冷凍食品についての説明の中で述べた方法と同様に行うことができ、その好適な態様も同様である。
本発明の食品の製造方法によれば、野菜の形状が崩れることなく、野菜のホクホク又はネットリとした食感が向上し、且つ、固形具材に焦げや萎れが発生していない食品を提供できる。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、これらの実施例により何ら限定されない。
1.野菜(A)の糊化度の範囲の検討
25mmダイス状にカットされたジャガイモ2品種(メークイン、男爵)を、表1及び表2に示す方法、温度、時間で加熱して、表1及び表2に示す糊化度に加工した。その後、各ジャガイモを冷凍(−30℃、30分間)した後、家庭用電子レンジを用いて、糊化度が90%以上となるまでジャガイモ100gを表1及び2に示す時間でマイクロウェーブ加熱(500W)し、その後、食感について官能評価を行った。
本明細書の実施例で、野菜(A)の糊化度は、図1に示したフローに従い、BAP法を用いて測定した。酵素は、β−アミラーゼ(シグマケミカル)、プルラナーゼ(林原生物化学研究所)を使用し、ソモギ銅液及びネルソン液は和光純薬工業社より購入したものを使用した。吸光度測定は、UV−VIS分光光度計(U−3900、日立ハイテクノロジーズ)を用いて行った。
官能評価は、4名の専門パネルが各サンプルを食し、25mmダイス状にカットされたジャガイモを冷凍することなくボイル調理(100℃、15分間)したものを4点とし、25mmダイス状にカットされたジャガイモを蒸し加熱(100℃、15分間)して糊化度を90%以上に加工してから、冷凍(−30℃、30分間)した後、その100gをマイクロウェーブ加熱(500W、2.5分間)して解凍したものを2点(一般的な冷凍野菜の品質)とする、1〜5点の評点法により行った。
結果を表1及び表2に示す。
表1及び表2に示される結果から明らかなように、糊化度を70%以下に加工して冷凍することによって、解凍、調理後にホクホク又はネットリとした良好な食感となった。
糊化度が低い野菜は、褐変酵素が残存し、保存性に問題が生じると推測される。そこで、上記試験区1〜8のマイクロウェーブ加熱前のペルオキシダーゼ(POD)活性を測定した。
ペルオキシダーゼ(POD)活性の測定は、下記の通りに行った。
検体及び33.3mM Tris−HClバッファー(pH8.0)を重量比1:3で混合し、オステライザーで破砕し、14000rpmで5分遠心分離し、上清を酵素液とした。酵素液150μL、66mM グアヤコール150μL、33.3mM Tris−HClバッファー(pH8.0)2000μLを混合し、37℃で5分間プレインキュベートした。これに3.3mM 過酸化水素150μLを添加し、470nmで1分間の吸光度上昇を測定した。過酸化水素の濃度と470nm吸光度との関係を基に作成した検量線を用いて、POD活性を算出した。pH8.0、37℃の条件下で1分間に過酸化水素1μmolと反応する酵素量を1Uとした。
結果を表3に示す。表3に示される「活性残存率」は、試験区1のペルオキシダーゼ活性を100%としたときの、各試験区のペルオキシダーゼ活性の割合(%)である。
野菜の食感が向上しても、外観不良となれば、消費者の満足にはつながらない。表3に示される結果から、本発明の野菜(A)の糊化度は、食感及び保存性の観点から15〜70%が好ましいことが確認された。
2.野菜(A)の炭水化物含量の範囲の検討
炭水化物含量の異なる野菜(サツマイモ、サトイモ及び西洋カボチャ)を、それぞれ25mmダイス状、25mmホール、25mmダイス状にカットして、75℃でそれぞれ9分間、5分間、9分間蒸して、糊化度が50〜60%になるように加工するか、又は100℃でそれぞれ10分間、8分間、15分間蒸して、糊化度が90%以上になるように加工した後、それぞれ冷凍(−30℃、30分間)した。得られた各冷凍野菜を、家庭用電子レンジを用いてマイクロウェーブ加熱(糊化度を50〜60%に加工した試料は100gを500Wで4分間加熱、糊化度を90%以上に加工した試料は100gを500Wで2.5分間加熱)するか、又はボイル調理(糊化度を50〜60%に加工した試料は100℃で10分間加熱、糊化度を90%以上に加工した試料は100℃で4分間加熱)した後、品質(食感、味、外観)について官能評価を行った。
官能評価は、4名の専門パネルが各サンプルを食し、各野菜を冷凍することなくボイル調理(100℃でそれぞれ10分間、8分間、15分間)したものを4点とし、各野菜を蒸し加熱(100℃でそれぞれ10分間、8分間、15分間)して糊化度を90%以上に加工してから、冷凍(−30℃、30分間)した後、マイクロウェーブ加熱(100gを500Wで2.5分間加熱)して解凍したものを2点(一般的な冷凍野菜の品質)とする、1〜5点の評点法により行った。
サツマイモ、サトイモ及び西洋カボチャ等の炭水化物含量及び水分量(五訂増補日本食品標準成分表から抜粋)を表4に、また官能評価の結果を表5−1〜表5−3に示す。
表5−1〜表5−3に示される結果から明らかなように、炭水化物含量が10〜30%の野菜(サトイモ、カボチャ)は、糊化度を15〜70%に加工した上で冷凍し、乾燥条件下で加熱して解凍・調理すると、ホクホクとした良好な食感となった。
3.炭水化物含量向上効果の検討
25mmダイス状にカットされたジャガイモ(品種:メークイン)を表6に示す各工程に供した後、各試験区の重量を測定した。表6において「生」は、未加熱の状態であることを示し、「ボイル」は、100℃で15分間ボイルすることを示し、「完全糊化」は、100℃で15分間蒸すことを示し、「半糊化」は、75℃で8分10秒間蒸すことを示し、「凍結」は、−30℃で30分間冷凍することを示し、「ボイル解凍」は、100℃で10分間ボイルして解凍することを示し、「MW解凍」は、電子レンジ(500W)を用いて100gを4分間マイクロウェーブ加熱して解凍することを示す。
試験区19の重量を100%としたときの、試験区17〜23の重量の割合(%)を図2に示す。
また、五訂増補日本食品標準成分表から生ジャガイモの炭水化物含量を17.6%とし、加熱及び凍結による損失がないと仮定して、測定した各試験区の重量から炭水化物含量(%)を算出した。結果を図3に示す。
図2に示される結果から明らかなように、ジャガイモの吸水を伴う加熱方法(ボイル解凍)で解凍調理した試験区21は、試験区19に比べて重量が増加した(即ち、歩留りが上昇した)。また図3に示されるように炭水化物含量が低下して、ホクホク又はネットリとした食感が低下することが確認された。
また解凍をマイクロウェーブ加熱により行った場合でも、完全糊化工程を経て冷凍された試験区22の重量は、試験区19と殆ど同程度であり、食感向上効果は得られなかった。一方、半糊化工程を経て冷凍された後、マイクロウェーブ加熱で解凍調理された試験区23は、試験区19に比べて重量が明らかに低下し、従って当該試験区23は低い歩留りで、喫食可能な高い糊化度にすることができた。これは冷凍により野菜の細胞が適度に損傷し、解凍調理の際に野菜自身が有する水分で十分に糊化し得るようになり、乾燥条件下での加熱(マイクロウェーブ加熱)によっても糊化し得たためと推測される。試験区23は、炭水化物含量が向上したため、食感も良好であった。
4.液体(C)の量の検討
[野菜(A)の調製]
15〜25mmダイス状にカットされたジャガイモ(品種:メークイン)を、75℃で4分間蒸し加熱又は8分間蒸し加熱して、糊化度を15%又は70%に調整し、野菜(A)を得た。
[固形具材(B)の調製]
牛かた肉を約15×25×5mmにカットした後、フライパンで2分間炒め加熱して可食状態とし、固形具材(B)を得た。
[液体(C)の調製]
水60g、しょうゆ15g、砂糖9g、顆粒だし1gを混合し、液体(C)を得た。
[冷凍食品の製造]
得られた野菜(A)、固形具材(B)及び液体(C)をそれぞれ−30℃で30分間冷凍した後に表7に示す量で混合し、冷凍食品を製造した。
[官能評価]
得られた冷凍食品を、家庭用の電子レンジ(500W)、フライパン又はオーブンを用いて表7に示す時間で加熱することにより解凍・調理して食品を得た後、4名の専門パネルが得られた食品を食し、各食品の野菜(A)及び固形具材(B)の品質について官能評価を行った。
野菜(A)の官能評価は、野菜(A)を冷凍することなくボイル調理(100℃、15分間)したものを4点とし、野菜(A)を蒸し加熱(100℃、15分間)して糊化度を90%以上に加工してから、冷凍(−30℃、30分間)した後、マイクロウェーブ加熱(100gを500W、2.5分間)して解凍したものを2点(一般的な冷凍野菜の品質)とする、1〜5点の評点法により行った。
固形具材(B)の官能評価は、冷凍していない固形具材(B)を4点とし、それを上回ると5点、やや劣ると3点、劣ると2点、非常に劣ると1点とする、1〜5点の評点法により行った。
また総合評価(総合点)は、メニュー全体として非常に良を5点、良を4点、やや良を3点、やや不良を2点、不良を1点とする、1〜5点の評価法により行った。
[歩留りの測定]
得られた食品の野菜(A)の歩留り(%)を、下記の式に基づいて算出した。
野菜(A)の歩留り(%)=P/Q×100
P:冷凍食品を解凍・調理して得られた食品に含まれる野菜(A)の重量
Q:冷凍された野菜(A)の重量
野菜(A)として、糊化度を70%に調整したジャガイモを使用し、冷凍食品の加熱を家庭用の電子レンジ(500W)を用いて行った試験区24〜29の結果を表8に示す。
表8に示される結果から明らかなように、液体(C)の重量が、野菜(A)及び固形具材(B)の合計量に対して、1.85重量倍以下である場合、野菜(A)は乾燥しながら糊化が進行し、良食感となった。また固形具材(B)は、液体(C)の重量が、野菜(A)及び固形具材(B)の合計量に対して、0.67重量倍以上である場合、特に良好な食感となった。これは冷凍食品が少量の液体(C)を含むと、その解凍調理時に液体(C)が蒸気となり、固形具材(B)が焦げたり萎れたりすることを抑制したためと考えられた。
野菜(A)と固形具材(B)の両方の品質を踏まえた冷凍食品全体としての総合評価では、液体(C)の重量が、野菜(A)及び固形具材(B)の合計量に対して、1.85重量倍以下であることが好ましく、0.25〜1.0重量倍であることが特に好ましいことが確認された。
野菜(A)として、糊化度を15%に調整したジャガイモを使用し、冷凍食品の加熱を家庭用の電子レンジ(500W)を用いて行った試験区30〜32の結果を表9に示す。
表9に示される結果から明らかなように、液体(C)の重量が、野菜(A)及び固形具材(B)の合計量に対して、1.85重量倍以下である場合、野菜(A)及び固形具材(B)の両方が良食感となった。この時、崩れ、焦げ、萎れ等の外観不良もなかった。
野菜(A)として、糊化度を70%に調整したジャガイモを使用し、冷凍食品の加熱をフライパンを用いて行った試験区33〜35の結果を表10に示す。
表10に示される結果から明らかなように、電子レンジを用いて加熱を行った場合に比べて品質は劣る傾向にあるものの、液体(C)の重量が、野菜(A)及び固形具材(B)の合計量に対して、1.85重量倍以下である場合、野菜(A)は良食感となった。
野菜(A)として、糊化度を70%に調整したジャガイモを使用し、冷凍食品の加熱をオーブンを用いて行った試験区36〜40の結果を表11に示す。
表11に示される結果から明らかなように、電子レンジを用いて加熱を行った場合と同等の品質となり、液体(C)の重量が、野菜(A)及び固形具材(B)の合計量に対して、1.5重量倍以下である場合、野菜(A)は煮崩れ等の外観不良なく、良食感となった。
液体(C)の量が増えると、野菜(A)を特定の糊化度になるように加工してから冷凍しても、冷凍食品の解凍・調理(糊化)中に、野菜(A)に水分が供給され、野菜が脱水されない。液体(C)の好適な量は、加熱方法により若干異なるが、野菜(A)及び固形具材(B)の合計量に対して、1.5重量倍以下である場合、いずれの加熱方法であっても良好な品質が得られた。また冷凍食品が少量の液体(C)を含むと、その解凍調理時に液体(C)が蒸気となり、固形具材(B)が焦げたり萎れたりすることを抑制した。従って、液体(C)の量は、野菜(A)及び固形具材(B)の合計量に対して、好ましくは1.5重量倍以下であり、より好ましくは0.25〜1.0重量倍である。
5.フライ加熱の検討(1)
[野菜(A)の調製]
15mmダイス状にカットされたジャガイモ(品種:男爵)を、75℃で4分間蒸し加熱又は8分間蒸し加熱して、糊化度を15%又は70%に調整し、野菜(A)を得た。
[固形具材(B)の調製]
牛挽肉を、フライパンで3分間で炒めて可食状態とし、固形具材(B)を得た。
パン粉は、そのまま固形具材(B)として用いた。
[液体(C)の調製]
卵を溶きほぐして全卵液とし、液体(C)を得た。
[冷凍コロッケの製造]
ダイス状のジャガイモ(野菜(A))、炒めた牛挽肉(固形具材(B))及びマッシュポテト(野菜(A)、固形具材(B)及び液体(C)以外の原料)を表12に示す量で混合した後、小判型に成形し、これに全卵液(液体(C))及びパン粉(固形具材(B))を順につけてから、−30℃で30分間冷凍し、冷凍コロッケを製造した。
[官能評価及び歩留りの測定]
得られた冷凍コロッケを、170℃に熱した油で8分間、11分間又は15分間フライ調理してコロッケを得た後、4名の専門パネルが得られたコロッケを食し、各コロッケ中の野菜(A)の食感について官能評価を行った。
野菜(A)の官能評価は、15mmダイス状にカットされたジャガイモを冷凍することなくボイル調理(100℃、8分間)したものを4点、15mmダイス状にカットされたジャガイモをボイル調理(100℃、8分間)して糊化度を90%以上に加工してから冷凍(−30℃、30分)した後、その100gをマイクロウェーブ加熱(500W、2.5分間)して解凍したものを2点とする、1〜5点の評点法により行った。
また上記4.と同様にして野菜(A)の歩留り(%)を算出した。
野菜(A)として、糊化度を15%に調整したジャガイモを使用した試験区41〜43の結果を表13に示し、糊化度を70%に調整したジャガイモを使用した試験区44〜46の結果を表14に示す。
表13及び14に示される結果から明らかなように、フライ加熱で野菜(A)を糊化させながら乾燥させることによって、その食感は良好となった。
6.フライ加熱の検討(2)
[冷凍コロッケの製造]
15mmダイス状にカットした後、60〜100℃で40秒〜8分間ボイル加熱して、糊化度を15〜100%に調整したジャガイモ又は15mmダイス状にカットした非加熱の生ジャガイモを野菜(A)として用いたこと以外は、上記5.と同様にして冷凍コロッケを製造した。
[官能評価及び歩留りの測定]
得られた冷凍コロッケを、170℃に熱した油で11分間フライ調理してコロッケを得た後、4名の専門パネルが得られたコロッケを食し、各コロッケ中の野菜(A)の食感について、上記5.と同様の評点法で官能評価を行った。
また上記4.と同様にして野菜(A)の歩留り(%)を算出した。
結果を表15に示す。
表15に示される結果から明らかなように、糊化度を80%以上に調整したジャガイモを野菜(A)として用いた試験区51及び52では、良好な食感は得られなかった。特に糊化度を100%に調整したジャガイモを用いた試験区52では、食感が水っぽくなった。非加熱の生ジャガイモを用いた試験区47は、異臭が強く、製品の味・風味を著しく損なっていた。
一方、糊化度を15〜70%に調整したジャガイモを野菜(A)として用いた試験区48〜51では良好な食感が得られた。特に歩留りが86〜95%であるものは、非常に良好な食感となった。
7.(A)〜(C)の重量比の検討
[野菜(A)の調製]
15〜25mmダイス状にカットされたジャガイモ(品種:メークイン)を、75℃で8分間蒸し加熱して、糊化度を70%に調整し、野菜(A)を得た。
[固形具材(B)の調製]
牛かた肉を約15×25×5mmにカットした後、フライパンで2分間炒め加熱して可食状態とし、固形具材(B)を得た。
[液体(C)の調製]
水60g、しょうゆ15g、砂糖9g、顆粒だし1gを混合し、液体(C)を得た。
[冷凍食品の製造]
得られた野菜(A)、固形具材(B)及び液体(C)をそれぞれ−30℃で30分間冷凍した後に表16に示す量で混合し、冷凍食品を製造した。
[官能評価]
得られた冷凍食品を、家庭用の電子レンジ(500W)を用いて表16に示す時間で加熱することにより解凍・調理して食品を得た後、4名の専門パネルが得られた食品を食し、各食品の野菜(A)及び固形具材(B)の品質について、上記4.と同様の評点法にて官能評価を行った。
試験区53〜55のいずれも、野菜(A)及び固形具材(B)に焦げや萎れ等の外観不良は発生しなかった。野菜(A)の食感は、ホクホクとしており、固形具材(B)は硬くなっておらず、食感品質に問題ないことが確認された。
8.野菜(A)の歩留りの検討
上記7.と同様にして野菜(A)、固形具材(B)及び液体(C)を調製し、それぞれ−30℃で30分間冷凍した。その後、表17に示す量で混合し、冷凍食品を製造した。
[官能評価及び歩留りの測定]
得られた冷凍食品を、家庭用の電子レンジ(500W)を用いて表17に示す時間で加熱することにより解凍・調理して食品を得た後、4名の専門パネルが得られた食品を食し、各食品の野菜(A)及び固形具材(B)の食感について、上記4.と同様の評点法で官能評価を行った。また上記4.と同様にして野菜(A)の歩留り(%)を算出した。
結果を表17に示す。
表17に示される結果から明らかなように、野菜(A)を糊化させながら乾燥させることで、その食感は良好となった。特に、野菜(A)の歩留りは70%以上が好ましいことが確認された。
本発明によれば、糊化度が特定の範囲となるように加工された上で冷凍された高炭水化物含量の野菜及び喫食し得る状態で冷凍された固形具材を含有し、加熱して解凍・調理された際に、野菜の形状が崩れることなく、野菜のホクホク又はネットリとした食感が向上し、且つ保存性に優れ、更に、固形具材が焦げたり、萎れたりすることがない冷凍食品を提供できる。本発明によれば、冷凍された高炭水化物含量の野菜のみを含有する冷凍食品だけでなく、二種以上の具材を組み合わせてなる、所謂メニュー系の冷凍食品を良品質で提供し得る。

Claims (13)

  1. 冷凍された下記(A)〜(C)を含有し、(C)の量が(A)及び(B)に対して1.5重量倍以下である冷凍食品。
    (A)糊化度が15〜70%となるように加工された、炭水化物含量10〜30%の野菜
    (B)可食状態の固形具材(但し、炭水化物含量10〜30%の野菜を除く)
    (C)水性液体
  2. 冷凍食品が、乾燥条件下で加熱するためのものである、請求項1記載の冷凍食品。
  3. 冷凍食品の乾燥条件下での加熱が、マイクロウェーブ加熱、オーブン加熱及びフライ加熱からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項2記載の冷凍食品。
  4. 冷凍食品の乾燥条件下での加熱が、前記(A)の糊化度が90%以上となるまで行われる、請求項2又は3記載の冷凍食品。
  5. 冷凍食品の乾燥条件下での加熱が、前記(A)の歩留りが70〜95%となるまで行われる、請求項2〜4のいずれか一項に記載の冷凍食品。
  6. 炭水化物含量10〜30%の野菜が、ジャガイモ、カボチャ、ソラマメ及びサトイモからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の冷凍食品。
  7. 冷凍食品から製造される食品が、煮物料理、サラダ、グラタン、汁物料理、焼き物料理及び揚げ物料理からなる群より選択される一種である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の冷凍食品。
  8. 冷凍された下記(A)〜(C)を含有し、(C)の量が(A)及び(B)に対して1.5重量倍以下である冷凍食品を、乾燥条件下で加熱することを含む、食品の製造方法。
    (A)糊化度が15〜70%となるように加工された、炭水化物含量10〜30%の野菜
    (B)可食状態の固形具材(但し、炭水化物含量10〜30%の野菜を除く)
    (C)水性液体
  9. 冷凍食品の乾燥条件下での加熱が、マイクロウェーブ加熱、オーブン加熱及びフライ加熱からなる群より選択される少なくとも一つである、請求項8記載の製造方法。
  10. 冷凍食品の乾燥条件下での加熱が、前記(A)の糊化度が90%以上となるまで行われる、請求項8又は9記載の製造方法。
  11. 冷凍食品の乾燥条件下での加熱が、前記(A)の歩留りが70〜95%となるまで行われる、請求項8〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
  12. 炭水化物含量10〜30%の野菜が、ジャガイモ、カボチャ、ソラマメ及びサトイモからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
  13. 食品が、煮物料理、サラダ、グラタン、汁物料理、焼き物料理及び揚げ物料理からなる群より選択される一種である、請求項8〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
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