以下、本願の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本願に係る画像形成装置の実施形態であるモノクロレーザプリンタ1の断面図である。モノクロレーザプリンタ(以下、単に「プリンタ」という)1は、本体ケーシング2内の下部に配置されたトレイ4から供給されるシート(用紙やOHPシート等)に対し、画像形成部5にてトナー像を形成した後、定着器7にてそのトナー像を加熱して定着処理を行い、最後にシートを本体ケーシング2の上部に位置する排紙トレイ9に排紙する。なお、図1では、紙面右側を装置の前側と規定し、装置を前側から見た場合に左手に来る側(紙面手前側)を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を定義する。
画像形成部5は、スキャナ部11、現像カートリッジ13、感光ドラム17、帯電器18、転写ローラ19等を含む。スキャナ部11は、本体ケーシング2内の上部に配置されており、レーザ発光部(図示略)から発射されたレーザ光を、ポリゴンミラー、反射鏡、レンズ等を介して感光ドラム17の表面上に高速走査にて照射させる。
現像カートリッジ13は、プリンタ1の本体に対して着脱可能に構成されており、その内部にはトナーを収容している。また、現像カートリッジ13のトナー供給口には、現像ローラ21及び供給ローラ23が前後方向で互いに対向した状態で設けられている。また、現像ローラ21は、感光ドラム17と前後方向で対向した状態で配置されている。現像カートリッジ13内のトナーは、供給ローラ23の回転により現像ローラ21に供給され、現像ローラ21に担持される。
感光ドラム17の後方側の上方には、帯電器18が間隔を隔てて配置されている。また、感光ドラム17の下方には、転写ローラ19が感光ドラム17に対向して配置されている。感光ドラム17は、回転しつつ、帯電器18によって表面が一様に、例えば、正極性に帯電される。次いで、スキャナ部11からのレーザ光により感光ドラム17の表面上に静電潜像が形成される。その後、感光ドラム17と接触して回転する現像ローラ21上に担持されているトナーが、感光ドラム17の表面上の静電潜像に供給されて担持されることによって、感光ドラム17の表面上にトナー像が形成される。形成されたトナー像は、シートが感光ドラム17と転写ローラ19との間を通る間に、転写ローラ19に印加される転写バイアスによって、シートに転写される。
定着器7は、画像形成部5に対してシートの搬送方向の下流側(プリンタ1内における後方側)に配置され、定着ローラ27、定着ローラ27を押圧する加圧ローラ29、及び定着ローラ27を加熱するハロゲンヒータ31等を含む。定着ローラ27は、図2に示す制御部33によって制御される電動モータ28の駆動に応じて回転し、シートに転写されたトナーを加熱しつつ、シートに搬送力を付与する。一方、加圧ローラ29は、シートを定着ローラ27側に押圧しながら従動回転する。従って、制御部33は、電動モータ28を制御することによって、定着器7(定着ローラ27及び加圧ローラ29)のシートを搬送する通紙速度を制御可能となっている。ハロゲンヒータ31は、図2に示す加熱装置30の制御部33によって通電制御される。
図2は、加熱装置30の概略的な構成を示すブロック図である。加熱装置30は、ハロゲンヒータ31、制御部33、低圧電源回路(AC−DCコンバータ)35、ゼロクロス生成回路37、定着駆動回路41、及び定着リレー39等を含む。
ハロゲンヒータ31は、交流電源101の通電に応じて発熱する。また、ハロゲンヒータ31の近傍に設けられた温度センサ31Aは、検出したハロゲンヒータ31の温度を、温度検出信号SAとして制御部33に出力する。低圧電源回路35は、例えば、100Vの交流電圧を24V及び3.3Vの直流電圧に変換し、制御部33を含む各部に直流電圧を供給する。
ゼロクロス生成回路37は、交流電源101から供給される入力電圧Vを全波整流する全波整流ブリッジ回路51、全波整流ブリッジ回路51に接続された発光ダイオード53、発光ダイオード53と共にフォトカプラ55を構成するフォトトランジスタ57、抵抗R2、インバータ59等を有している。全波整流ブリッジ回路51には、交流電源101の入力電圧Vが抵抗R1を介して入力される。発光ダイオード53には、全波整流ブリッジ回路51によって全波整流された電圧が印加される。
フォトトランジスタ57は、エミッタがグランドに接続され、コレクタが抵抗R2を介して直流電源ラインVccに接続されている。インバータ59は、フォトトランジスタ57のコレクタに接続され、コレクタの電圧レベル(High/Low)を反転させて出力する。このような構成のゼロクロス生成回路37では、交流電源101の入力電圧Vが小さくなると、発光ダイオード53の発光量が小さくなり、フォトトランジスタ57に流れる電流Icが小さくなる。インバータ59の入力電圧Vinは、電流Icの減少にともなって増大する。従って、例えば、図4に示すように、交流電源101の入力電圧Vの絶対値が閾値Vtを下回ると、入力電圧Vinはハイレベルとなり、インバータ59の出力信号であるゼロクロス信号SRがローレベル(「第2レベル」の一例)となる。
一方で、交流電源101の入力電圧Vが大きくなると、発光ダイオード53の発光量が大きくなり、フォトトランジスタ57に流れる電流Icも大きくなる。電流Icの増大にともなって、インバータ59の入力電圧Vinは、減少する。従って、例えば、図4に示すように、交流電源101の入力電圧Vの絶対値が閾値Vtを超えると、入力電圧Vinはローレベルとなり、ゼロクロス信号SRがハイレベル(「第1レベル」の一例)となる。従って、ゼロクロス生成回路37は、交流電源101の入力電圧Vが、正負の閾値Vtにより規定されるゼロクロス検出範囲Uにある期間の間だけ、ゼロクロス信号SRをローレベルとするゼロクロスパルス信号SPを出力する。
また、図2に示すように、ゼロクロス生成回路37が出力するゼロクロス信号SRは、制御部33に入力されている。このため、制御部33は、ゼロクロス信号SRの電圧レベルを判定することで、ゼロクロスパルス信号SPの立ち上がり、立ち下がりを検出することが可能となる。なお、制御部33は、例えば、CPU上で動作するプログラムを主体として構成してもよい。あるいは、制御部33を、例えば、ASICなどの専用のハードウェアで構成してもよい。また、制御部33は、例えばソフトウェアによる処理と、ハードウェアによる処理とを併用して動作する構成でもよい。また、制御部33は、RAM、ROM、フラッシュメモリーなどの制御や処理に係わる情報を保存等するためのメモリ33Aを有する。
制御部33は、ゼロクロス信号SRを用いて、入力電圧Vのハロゲンヒータ31への通電時間を調整する。詳しくは、制御部33は、ゼロクロスパルス信号SPの立ち下がりのタイミングを基準とすることによって、ゼロクロスポイントZC(図4参照)に応じたトリガパルス信号SBを生成する。制御部33は、生成したトリガパルス信号SBを定着駆動回路41に出力する。図3に示すように、定着駆動回路41は、トライアック43、フォトトライアックカプラ45及び駆動トランジスタ47等を有する。駆動トランジスタ47は、制御部33から入力されるトリガパルス信号SBに応じて、フォトトライアックカプラ45をオン・オフする。トライアック43は、フォトトライアックカプラ45のオンに応じてターンオンし、逆電圧がかかる又は電流がゼロになるとターンオフする。ハロゲンヒータ31には、図4に示すオン期間TNだけ入力電圧Vが通電される。オン期間TNは、図4のヒータ電圧HVの波形で示すように、トリガパルス信号SBの立ち上がりのタイミングから、入力電圧Vのゼロクロスタイミングまでである。制御部33は、ゼロクロスパルス信号SPの立ち下がりのタイミングから、トリガパルス信号SBの立ち上がりのタイミングまでの期間TW(図4参照)を変更することでオン期間TNを変更し、ハロゲンヒータ31の温度を制御する。
また、図2に示すように、定着リレー39は、入力電圧Vとハロゲンヒータ31との間に接続されている。制御部33は、定着リレー39のオン・オフを制御して、入力電圧Vのハロゲンヒータ31への入力をオン・オフする。制御部33は、例えば、何らかの交流電源101の異常によって直流電圧の入力電圧Vが入力された場合に、定着リレー39をオフして、ハロゲンヒータ31及びトライアック43への電力供給を停止する。なお、定着リレー39は、例えば、トランジスタ等の半導体スイッチやリレー等の機械スイッチである。
制御部33は、ハロゲンヒータ31に設けられた温度センサ31Aから出力される温度検出信号SAに基づいて検出温度を判定し、例えば、ハロゲンヒータ31のオン期間TNを位相に基づいて制御することによって温度を調整する。この位相に基づいた制御とは、ハロゲンヒータ31のオン期間TNを波数で管理するのではなく、導通位相角(別名、点弧角)αにて制御するものである。導通位相角αとはトライアック43の導通を開始する位相である。なお、ハロゲンヒータ31のオン期間TNの制御方法は、位相による制御に限らず、入力電圧Vの波数単位で管理する波数制御を実施してもよい。
また、制御部33は、ローレベルのゼロクロス信号SRのみが入力され、ゼロクロスパルス信号SPが検出できない場合においても、トリガパルス信号SBを定着駆動回路41に供給可能となっている。具体的には、ゼロクロスパルス信号SPが生成される閾値Vtよりも最大振幅の小さい入力電圧V(以下、「低電圧の入力電圧V」という場合がある)が入力された場合、インバータ59から出力されるゼロクロス信号SRは、ローレベルを維持し、ハイレベルへ遷移しない。従って、制御部33は、ゼロクロスパルス信号SPに基づいてトリガパルス信号SBを生成できなくなる。しかしながら、ゼロクロス検出範囲U内に収まる低電圧の入力電圧Vの中にも、ヒータ電圧HV及びトライアック43を有効に制御可能な入力電圧Vが存在する。また、この低電圧の入力電圧Vでは、低圧電源回路35のスイッチング回路に接続されたトランスの2次側の発振が停止することなく、制御部33へ動作可能な駆動電圧が供給される場合もある。そこで、制御部33は、ゼロクロスパルス信号SPが入力されず、且つ低圧電源回路35から駆動電圧が供給されている状態では、例えば、ゼロクロスパルス信号SPの入力が停止する前に設定していた期間TW(図4参照)と同一周期でトリガパルス信号SBを擬似的に生成し定着駆動回路41に供給してハロゲンヒータ31を駆動して印刷動作を継続することが可能となっている(図10参照)。
次に、制御部33によるハロゲンヒータ31の通電制御について図5〜図10を参照して説明する。なお、以下の説明では、図4に示すように、ゼロクロス生成回路37から制御部33へローレベルのゼロクロス信号SRが連続して入力される時間に対応するパルス幅、即ち、ゼロクロスパルス信号SPのパルス幅を、ゼロクロスパルス幅ZLと称する。また、ゼロクロス信号SRのゼロクロスパルス信号SPが発生する周期を、周期PZと称する。なお、上記したゼロクロスパルス幅ZLの定義は、一例である。例えば、ゼロクロスパルス幅ZLは、ローレベルのゼロクロス信号SRのみが入力される時間に限らず、所定時間以下の短いハイレベルの時間を間に挟んで、ローレベルのゼロクロス信号SRが連続する時間として定義してもよい。
制御部33は、ゼロクロスパルス幅ZL及び周期PZによって入力電圧Vの異常を判定し、入力電圧Vの各態様に応じた処理を行う。詳細については後述するが、制御部33は、周期PZが異常であった場合(図5に示すステップ(以下、単に「S」と表記する)29:YES)、エラー処理を行う(S31)。また、制御部33は、矩形波のような電圧変化率(dv/dt)の急峻な入力電圧V(以下、「矩形波等」という)が入力された場合(S33:YES)、矩形波検出制御を実行する(S35、図6参照)。また、制御部33は、低電圧の入力電圧Vが入力された場合(図7のS51:YES)、低電圧検出制御(S53以降の処理)を実行する。また、制御部33は、直流電圧の入力電圧Vが入力された場合(S51:NO)、エラー処理を行う(S31)。
まず、制御部33は、例えば、使用者によってプリンタ1の電源がオンされた場合、あるいは使用者からの操作や印字データの受信を待つスリープモードから復帰した場合等に、所定のプログラムに従ってハロゲンヒータ31の通電制御を開始する。この所定のプログラムは、例えば、メモリ33A(図2参照)のROMに記憶されている。
図5のS11において、制御部33は、定着リレー39をオンし、入力電圧Vのハロゲンヒータ31への入力を開始する。次に、制御部33は、ゼロクロスパルス信号SPの検出処理を開始し、図4に示すゼロクロスパルス幅ZLが基準時間T1以上、且つゼロクロス信号SRの周期PZが周期閾値TPよりも小さいか否かを判定し、入力電圧Vが正常であるか否か判定する(S13)。
なお、ここでいう「基準時間T1」は、ゼロクロスパルス幅ZLと比較することで、入力電圧Vが正常な波形であるか否かを判定するための基準となる時間である。例えば、制御部33は、後述するように、ゼロクロスパルス幅ZLが基準時間T1よりも短い場合、入力電圧Vを矩形波等であると判定し(S33:YES)、矩形波検出制御を実行する(図6参照)。また、「周期閾値TP」とは、周期PZが正常な範囲内か否かを示す上限値である。周期閾値TPの値は、例えば、周期PZが周期閾値TP以上となる場合に、制御部33によってゼロクロスパルス信号SPに基づいたトリガパルス信号SBを生成しオン期間TN(図4参照)を変更したとしても、ハロゲンヒータ31を所望の定着温度まで加熱できない値を設定できる。この所望の定着温度とは、例えば、後述する印刷動作の可否を決定する下限温度(図8参照)である。
制御部33は、ゼロクロス信号SRが立ち下がった、即ち、ゼロクロスパルス信号SPが発生しゼロクロス信号SRがローレベルとなったことを契機として、ゼロクロス信号SRがローレベルとなっている時間(ゼロクロスパルス幅ZL)をカウントし、ゼロクロスパルス幅ZLが基準時間T1以上であるか否かを判定する(S13)。また、制御部33は、ゼロクロスパルス信号SPの発生する時間間隔をカウントし、周期PZが周期閾値TPよりも小さいか否かを判定する(S13)。なお、詳細については後述するが、直流電圧の入力電圧Vが入力された場合、制御部33は、ゼロクロスパルス信号SPを検出できず、ゼロクロスパルス幅ZLや周期PZをカウントできなくなり、ハイレベルのゼロクロス信号SRが連続して入力される状態となる。
ゼロクロスパルス幅ZLが基準時間T1以上、且つ周期PZが周期閾値TPよりも小さい場合(S13:YES)、入力電圧Vが印刷可能な正常な正弦波の交流電圧であると考えられ、通常の印刷処理を実行しても問題ないため、制御部33は、印刷ジョブがあるか否かを判定する(S19)。制御部33は、印刷ジョブがある場合(S19:YES)、通常の印刷処理を開始する(S21)。後述するように、本実施形態の制御部33は、入力電圧Vが矩形波等、あるいは低電圧である場合に、各種の設定(図8の上限温度など)を変更してから印刷処理を開始する。今回のS21の印刷処理では、制御部33は、S13の判定において正常な正弦波の入力電圧Vが入力されていると判定したため、上限温度などの各種の設定を変更せずに、通常の印刷処理を実行する。
なお、S13において、制御部33は、ゼロクロスパルス幅ZLが基準時間T1以上、且つ周期PZが周期閾値TPよりも小さいと1回判定すると、直ちにS19以降の処理を実行しているが、これに限らず、例えば、複数回継続して判定した場合に、S19以降の処理を実行する設定でもよい。あるいは、制御部33は、ゼロクロスパルス幅ZLが基準時間T1以上、且つ周期PZが周期閾値TPよりも小さいと所定時間継続して繰り返し判定した場合に、S19以降の処理を実行する設定でもよい。
次に、制御部33は、印刷を開始した後、温度センサ31Aの検出温度が上限温度を超えているか否かを判定する(S23)。図8は、通常の印刷処理時と、後述する矩形波検出制御及び低電圧検出制御時で使用される各種の設定温度の関係を示している。図8に示す印刷目標温度は、印刷動作においてハロゲンヒータ31を加熱する際の目標となる温度である。制御部33は、温度センサ31Aの検出温度を印刷目標温度にするように定着駆動回路41を制御する。正常温度上限は、印刷目標温度となるようにハロゲンヒータ31を加熱して制御する場合に、目標温度を超えてオーバーシュートしてもよい上限の温度である。また、サーモスタット稼働温度は、ハロゲンヒータ31の温度が正常温度上限を超えて上昇した場合に、溶断される温度ヒューズ(図示略)の設定温度である。この温度ヒューズは、例えば、ハロゲンヒータ31と定着駆動回路41との間や、トライアック43のゲート側に接続され、ハロゲンヒータ31が異常に加熱された場合に溶断され、通電を停止するためのものである。また、上限温度は、トライアック43の故障などによってハロゲンヒータ31が異常に加熱された場合に、定着リレー39をオフして停止するか否かを判定する温度である。また、下限温度は、トライアック43の故障などによってハロゲンヒータ31の温度が所望の温度まで上がらない場合に、定着リレー39をオフして停止するか否かを判定する温度である。例えば、上記した通常の印刷処理時では、制御部33は、温度センサ31Aの検出温度が、下限温度A≦検出温度≦上限温度Aの範囲内にある間は、定着リレー39をオフせずに、トライアック43によるハロゲンヒータ31の制御を実行する。
また、本実施形態の制御部33は、矩形波等の虞がある入力電圧Vを検出すると、設定温度を低くしながら動作を継続する矩形波検出制御を実行する。また、制御部33は、低電圧の虞がある入力電圧Vを検出すると、設定温度を低くしながら動作を継続する低電圧検出制御を実行する。従って、図8に示すように、矩形波検出制御及び低電圧検出制御における各種の設定温度(上限温度Bなど)は、通常制御時の設定温度に比べて低い温度が設定されている。なお、矩形波検出制御と低電圧検出制御とでは、各種の設定温度を、異なる温度としてもよい。また、図8に示す定着器溶融温度は、定着ローラ27や加圧ローラ29のローラ部分の一部が溶融する温度である。
図5に戻り、制御部33は、通常の印刷処理(S21)を開始した後、温度センサ31Aの検出温度が上限温度Aよりも高くなった場合(S23:NO)、あるいは、検出温度が下限温度Bよりも低くなった場合(S25:NO)、エラー処理を行う(S31)。
また、制御部33は、温度センサ31Aの検出温度が、下限温度A≦検出温度≦上限温度Aの範囲内にある場合(S23:YES、S25:YES)、他に実行すべき印刷ジョブがあるか否かを判定する(S27)。制御部33は、他に実行すべき印刷ジョブがある場合(S27:NO)、S13からの処理を再度行う。なお、制御部33は、S27において、他に印刷ジョブがなくとも実行中の印刷ジョブが所定時間経過しても終了しない場合に、S13からの処理を再度行ってもよい。これにより、制御部33は、印刷ジョブ単位ではなく、所定時間ごとにS13からの処理を繰り返し実行することとなる。
一方、制御部33は、他に実行すべき印刷ジョブがない場合(S27:YES)、処理を終了する。また、制御部33は、S19において、実行すべき印刷ジョブがない場合(S19:NO)、処理を終了する。
また、S13において、ゼロクロスパルス幅ZLが基準時間T1よりも小さい状態、及び周期PZが周期閾値TP以上である状態の少なくともいずれか一方に該当する場合(S13:NO)、制御部33は、周期PZが周期閾値TP以上である否かを判定する(S29)。制御部33は、周期PZが周期閾値TP以上である場合(S29:YES)、エラー処理を行う(S31)。制御部33は、定着リレー39をオフし、入力電圧Vのハロゲンヒータ31への入力を停止するとともに、電動モータ28等の各駆動源の停止を行う(S31)。また、制御部33は、エラーを、例えば表示部(図示略)に表示してユーザに報知し処理を終了する。なお、制御部33は、S13において、ゼロクロスパルス幅ZLが基準時間T1以上で、且つ周期PZが周期閾値TP以上である場合(S13:NO)、即ち、周期PZのみが異常である場合、S29の判定は不要であるためS29の処理を省略し、S31以降の処理を開始することが好ましい。
ここで、S29において、周期PZが周期閾値TP以上でないと判定される場合(S29:NO)、入力電圧Vは、矩形波等、低電圧、あるいは直流電圧のいずれかに該当する。図9は、矩形波の入力電圧Vが入力された場合の通電制御に係る信号のタイミングチャートを示している。図9に示すように、矩形波の入力電圧Vが入力された場合、入力電圧Vの電圧変化率(dv/dt)は、大きくなる。入力電圧Vの電圧変化率が大きく(波形の傾きが急峻に)なると、ゼロクロス生成回路37から出力されるゼロクロスパルス信号SPのゼロクロスパルス幅ZLは、短くなる。ゼロクロスパルス幅ZLが短くなりすぎると、トライアック43をオフできず、ハロゲンヒータ31には、連続した通電が行われ虞がある。一方で、矩形波であっても、一定幅のゼロクロスパルス幅ZLがあれば、制御部33は、ゼロクロスパルス信号SPの立ち上がりを検出することが可能となる。
そこで、制御部33は、矩形波等の入力電圧Vが入力された場合に、図8に示す上限温度を下限温度Bまで下げ、安全性を確保しつつ、印刷処理を実行する。また、制御部33は、矩形波等の入力電圧Vが入力されたか否かを、ゼロクロスパルス信号SPのゼロクロスパルス幅ZLが、0<ゼロクロスパルス幅ZL<基準時間T1であるか否かによって判定する(S33)。
制御部33は、0<ゼロクロスパルス幅ZL<基準時間T1である場合(S33:YES)、矩形波検出制御を実行する(S35)。図6に示すように、矩形波検出制御では、制御部33は、まず、印刷動作中であるか否かを判定する(S41)。制御部33は、印刷動作中であった場合(S41:YES)、定着リレー39をOFFし、定着駆動回路41へのトリガパルス信号SBの供給も停止するとともに(定着器7をOFF)、印刷中のシートのみの印刷を完了させる(S43)。制御部33は、定着器7の定着ローラ27を回転させ、シートに転写されたトナーを余熱で加熱溶融させてシートに定着させるとともに、シートを搬送経路の下流側に搬送し排紙トレイ9から排出する。
制御部33は、印刷中のシートを排出した後(S43)、あるいは印刷動作中でなかった場合(S41:NO)、温度センサ31Aの検出温度と、正常温度上限Bとを比較する(S45)。本実施形態の制御部33では、0<ゼロクロスパルス幅ZL<基準時間T1であると判定した場合に、印刷動作を継続できる可能性があるとして、各種温度(上限温度など)を下げて、且つ定着器7の通紙速度を通常時の通紙速度VPから通紙速度VP1まで遅くして印刷動作を継続する。これは、通紙速度VPを遅くすることで、単位時間あたりのシートによって奪われる定着器7の熱量を減少させることができ、定着器7において必要な熱量(温度)を抑えることが可能となるからである。通紙速度VPは、例えば、単位時間あたりに搬送するシートの枚数として定義できる。
図8に示すように、矩形波検出制御における各種設定温度(正常温度上限Bなど)は、通常制御時の設定温度に比べて低くなっている。制御部33は、後述する次のS49において各種設定温度を低くするが、それに先立ち、まず、現状の温度が変更後の正常温度上限B以下であるか否かを判定する必要がある。これは、仮に、変更した時点で正常温度上限Bを超えているような場合には、ハロゲンヒータ31を加熱すると、検出温度が上限温度Bをすぐに超えることとなり、エラー停止となるからである。このため、制御部33は、S45において、現状の検出温度が変更後の正常温度上限Bを超えていると判定した場合(S45:NO)、定着リレー39をオフし、検出温度が正常温度上限B以下となるまで一時的に待機する(S47)。制御部33は、検出温度が上限温度B以下となるとS49以降の処理を開始する。
また、制御部33は、検出温度を正常温度上限B以下であると判定した場合(S45:YES)、電動モータ28(図2参照)等を制御し通紙速度VPを通紙速度VP1まで遅くさせるとともに、各種設定温度をAからBに低くする制御を実行する(S49)。例えば、制御部33は、通紙速度VPを通常制御時の半分の速度の通紙速度VP1まで遅くする。また、例えば、制御部33は、上限温度を、上限温度A(例えば、230℃)から上限温度B(185℃)まで下げる。また、例えば、制御部33は、印刷目標温度を、印刷目標温度A(191℃)から印刷目標温度B(150℃)まで下げる。そして、制御部33は、通紙速度VP及び各種設定温度を下げた状態で、定着リレー39をオンする(S49)。制御部33は、矩形波検出制御を終了し、図5に示すS19以降の処理を行う。制御部33は、印刷ジョブがある場合(S19:YES)、変更後の各種設定温度(上限温度B、下限温度B等)に基づいて、印刷処理を実行する(S21,S23,S25)。なお、図8に示すように、矩形波検出制御では、上限温度Bが定着器溶融温度に比べて低くなるため、定着器7の定着ローラ27の溶融等を抑制しつつ、印刷動作を継続することが可能となっている。
また、図5のS33において、0<ゼロクロスパルス幅ZL<基準時間T1でない場合(S33:NO)、制御部33は、図7に示すように、ゼロクロスパルス幅ZLが基準時間T2以上であるか否かを判定する(S51)。ここでいう「基準時間T2」とは、ゼロクロスパルス幅ZLと比較することで、入力電圧Vが低電圧であるか否かを判定するための基準となる時間である。
図10は、正常状態から低電圧の状態へ入力電圧Vが変化した場合の各信号のタイミングチャートを示している。図10に示す入力電圧Vは、時間TM3以降において低電圧の入力電圧Vとなっている。時間TM3よりも前の時間(時間TM1,TM2)において、入力電圧Vは、時間TM1において絶対値が閾値Vt以下となり、時間TM2において絶対値が閾値Vt以上となっている。ゼロクロスパルス信号SPのゼロクロスパルス幅ZLは、基準時間T1≦ゼロクロスパルス幅ZL<基準時間T2の範囲内に収まっている。
また、時間TM3以降において、入力電圧Vの絶対値がVtよりも小さくなると、制御部33には、ローレベルのゼロクロス信号SRが連続して入力されることとなる。このため、ゼロクロスパルス幅ZLのカウント値が基準時間T2以上となる場合(S51:YES)、入力電圧Vが低電圧であると考えられるため、制御部33は、低電圧検出制御を開始する(S53)。なお、時間TM3以降においてゼロクロス信号SRがハイレベルへ立ち上がらないため、制御部33は、周期PZを検出することができなくなる。
一方、ゼロクロスパルス幅ZLのカウント値が基準時間T2よりも小さくなる場合(S51:NO)、ゼロクロスパルス幅ZLは、基準時間T1<ゼロクロスパルス幅ZL<基準時間T2、又は「0」(検出できない状態)となる。基準時間T1<ゼロクロスパルス幅ZL<基準時間T2の場合には、入力電圧Vは、正常な波形になると考えられる。この場合、周期PZは、周期閾値TPよりも小さくなる。即ち、制御部33は、図5のS13において、正常な入力電圧Vである(S13:YES)と判定する。このため、S51において、ゼロクロスパルス幅ZLが基準時間T2よりも小さくなる場合(S51:NO)とは、ゼロクロスパルス幅ZL=0となり、直流電圧の入力電圧Vが入力されていると考えられる。制御部33は、ゼロクロス信号SRに基づいた制御が不能となるため、エラー処理を行う(図5のS31参照)。
また、制御部33は、低電圧検出制御を開始すると(S53)、まず、印刷動作中であるか否かを判定する(S57)。なお、以下の説明では、矩形波検出制御と同様の処理については、その説明を適宜省略する。制御部33は、印刷動作中であった場合(S57:YES)、定着リレー39及び定着器7をOFFし、印刷中のシートのみの印刷を完了させる(S58)。制御部33は、印刷中のシートを排出した後(S58)、あるいは印刷動作中でなかった場合(S57:NO)、温度センサ31Aの検出温度と、正常温度上限Bとを比較する(S59)。
制御部33は、S63において各種設定温度を低くする前に、現状の温度が変更後の正常温度上限B以下であるか否かを判定する。制御部33は、S59において、現状の検出温度が変更後の正常温度上限Bを超えていると判定した場合(S59:NO)、定着リレー39をオフし、検出温度が正常温度上限B以下となるまで一時的に待機する(S61)。制御部33は、検出温度が上限温度B以下となるとS63以降の処理を開始する。
また、制御部33は、検出温度を正常温度上限B以下であると判定した場合(S59:YES)、各種温度(上限温度など)を下げて(S63)、印刷動作を継続する(図5のS19以降の処理)。また、制御部33は、定着器7の通紙速度を、通常時の通紙速度VPから通紙速度VP2まで遅くする。この通紙速度VP2は、矩形波検出制御時の通紙速度VP1(図6のS49参照)に比べて遅くすることが好ましい。
詳述すると、正弦波の入力電圧Vと、当該入力電圧Vと最大値及び周期が同一である矩形波の入力電圧Vと、のそれぞれをヒータ電圧HVとしてハロゲンヒータ31に印加した場合、矩形波の入力電圧Vは、正弦波の入力電圧Vに比べて総電力が多くなる。例えば、図10の斜線の領域ARに示すように、矩形波の入力電圧Vは、正弦波の入力電圧Vに比べて、領域ARで示す部分に応じた電力だけ増加する。このため、矩形波の入力電圧Vを印加すれば、ハロゲンヒータ31は、正弦波の入力電圧Vを印加した場合に比べてより加熱される。そこで、本実施形態の制御部33は、低電圧の正弦波の入力電圧Vが入力された場合における通紙速度VP2を、矩形波等の場合における通紙速度VP1に比べて遅くすることで、ハロゲンヒータ31で単位時間当たりに消費される熱量を減らし、下限温度Bを下回ってエラー処理(図5のS31参照)が開始されるのを抑制している。
なお、制御部33は、上記した通紙速度VPに差を設けてハロゲンヒータ31で消費される熱量を減らす方法に限らず、例えば、ハロゲンヒータ31へのオン期間TN(図4参照)をより長くし、ハロゲンヒータ31をより加熱して熱量の増加を図ってもよい。例えば、制御部33は、期間TW(図4参照)の長さを変更し、矩形波検出制御後の印刷処理(図5のS21参照)におけるオン期間TN(第2オン期間の一例)に比べて、低電圧検出制御後の印刷処理(S21)におけるオン期間TN(第1オン期間の一例)を長くし、ハロゲンヒータ31をより加熱して調整を図ってもよい。あるいは、制御部33は、通紙速度VPと、オン期間TNとの両方を用いて調整を図ってもよい。
そして、制御部33は、通紙速度VP及び各種設定温度を下げた状態で、定着リレー39をオンする(S63)。制御部33は、低電圧検出制御を終了し、図5に示すS19以降の処理を開始する。
また、印刷処理(図5のS21参照)において、制御部33は、上記したように、低電圧の入力電圧Vとなり、ゼロクロスパルス信号SPが検出できない場合においても、擬似的にトリガパルス信号SBを生成し定着駆動回路41に供給する。例えば、図10に示すように、制御部33は、トリガパルス信号SBを出力した後、ゼロクロスパルス信号SPが入力されないために、次の周期のトリガパルス信号SBを生成できない時間が上限期間TW1だけ経過すると(時間TM4参照)、ゼロクロスパルス信号SPの入力の有無に拘わらずトリガパルス信号SBを生成して定着駆動回路41へ出力する。また、制御部33は、トリガパルス信号SBを出力した時間TM4を基準として、ゼロクロスパルス信号SPの入力が停止する前に設定していた期間TWと同一周期で、次の周期以降のトリガパルス信号SBを擬似的に生成し定着駆動回路41に供給する。これにより、制御部33は、低電圧の入力電圧Vの入力時においても、ハロゲンヒータ31の温度を制御可能となる。
因みに、ハロゲンヒータ31は、ヒータの一例である。温度センサ31Aは、温度検出センサの一例である。制御部33は、制御装置の一例である。定着リレー39は、切替スイッチの一例である。トライアック43は、通電時間調整素子の一例である。上限温度Aは、第1上限温度の一例である。上限温度Bは、第2上限温度の一例である。下限温度Aは、第1下限温度の一例である。下限温度Bは、第2下限温度の一例である。入力電圧Vは、交流電圧の一例である。基準時間T1は、第3基準時間の一例である。基準時間T2は、第1基準時間の一例である。通紙速度VP1は、第2通紙速度の一例である。通紙速度VP1は、第2通紙速度の一例である。S21の処理は、調整処理の一例である。S23,S31の処理は、通電停止処理の一例である。S25の処理は、第3判定処理の一例である。S31の処理は、第2エラー処理の一例である。S33の処理は、第4判定処理の一例である。S49は、第2調整処理の一例である。S51の処理は、第1判定処理の一例である。S63の処理は、上限温度低減処理、第1通紙速度低減処理、下限温度低減処理、及び第1調整処理の一例である。
以上、上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
<効果1>制御部33は、低電圧の入力電圧Vが入力された場合(図7のS51:YES)、ハロゲンヒータ31の動作の可否を判定する上限温度を、上限温度Aから上限温度Bまで下げる(S63、図8参照)。これにより、上限温度を変更せずに上限温度Aのまま印刷動作を継続する場合に比べて、制御部33は、より安全な段階でハロゲンヒータ31を停止することが可能となる。さらに、制御部33は、上限温度を下げ安全性を確保しながら印刷動作を継続するため、低電圧ではあるがトライアック43を有効に制御できる入力電圧Vが入力された場合には、動作を停止することなく印刷動作を継続することとなり、印刷処理の生産性を向上させることが可能となる。
<効果2>また、制御部33は、S63において、定着器7の通紙速度VPを通紙速度VP2まで遅くし、単位時間あたりにシートによって奪われる定着器7の熱量を減少させることによって、上限温度を上限温度Bまで下げたとしても、印刷動作を継続することが可能となっている。
<効果3>制御部33は、S51において、ローレベルのゼロクロス信号SRが連続して入力される時間(ゼロクロスパルス幅ZL)と、基準時間T2(第1基準時間の一例)とを比較することで、低電圧の入力電圧Vが入力されたことを判定することが可能となっている。
<効果4>制御部33は、図7に示す低電圧検出制御において、下限温度を下限温度Aから下限温度Bまで下げ(S63)、下げた後の印刷動作において、ハロゲンヒータ31の温度が下限温度B未満になる場合(図4のS25:NO)、エラー処理を行う(S31)。これにより、制御部33は、印刷動作を開始した後に下限温度によってすぐにエラー処理(S31)が開始されるのを抑制し、印刷動作等を継続することで、安全性と印刷の生産性との両立を図ることが可能となっている。
また、制御部33は、ローレベルのゼロクロス信号SRが基準時間T1(第3基準時間の一例)連続して入力されるか否かによって、矩形波等の入力電圧Vが入力されているかを判定し(図5のS33)、矩形波等の入力電圧Vが入力されていない場合に(S33:NO)、矩形波検出制御の実行の有無を判定している(図7のS51)。これにより、制御部33は、電圧変化率の大きい入力電圧Vを、低電圧検出制御の処理対象から除外することが可能となっている。
<効果5>制御部33は、S63において通紙速度を、通常時の通紙速度VPから通紙速度VP2まで遅くする。この通紙速度VP2は、矩形波検出制御時の通紙速度VP1に比べて遅くなっている。これにより、矩形波検出制御に比べて低電圧検出制御におけるハロゲンヒータ31の消費熱量を減らし、下限温度Bを下回ってエラー処理(S31)が開始されるのを抑制している。
<効果6>制御部33は、S49及びS63において、ハロゲンヒータ31によって定着ローラ27を加熱する際の印刷目標温度を、印刷目標温度Aから印刷目標温度Bまで下げる処理を実行する。これにより、制御部33は、上限温度を下げるのに合わせて印刷目標温度も下げることによって、変更後の印刷目標温度が上限温度を上回ることで動作が停止するといった不具合を防止することが可能となっている。
<効果7>制御部33は、S63で通紙速度VP等を変更する前のS59において、現状の検出温度が変更後の正常温度上限Bを超えていると判定した場合(S59:NO)、定着リレー39をオフし、検出温度が正常温度上限B以下となるまで一時的に待機する(S61)。これにより、通紙速度VPを遅くして印刷動作を開始した際に、検出温度が上限温度Bを超え(図5のS23:NO)、エラー停止(S31)してしまうのを防止することが可能となっている。
<効果8>制御部33は、図7に示す低電圧検出制御を開始(S53)した後に、印刷動作中であった場合(S57:YES)、定着リレー39をOFFし、印刷中のシートのみの印刷を完了させる(S58)。これにより、印刷動作中に通紙速度VPを変更しないため、印刷中の画像にムラなどが発生するのを防止して印刷精度を維持できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上記実施形態では、制御部33は、S51において、ゼロクロスパルス幅ZLが基準時間T2以上であるか否かを判定することで、低電圧と直流電圧とを判定していたが、これに限定されない。例えば、制御部33は、S51において、ハイレベルのゼロクロス信号SRが連続して入力される時間に基づいて、低電圧と直流電圧とを判定(第2判定処理の一例)してもよい。図11は、直流電圧の入力電圧Vが入力された場合のタイミングチャートを示している。例えば、時間TM6において、入力電圧Vが直流電圧となると、制御部33には、ハイレベルのゼロクロス信号SRが連続して入力される。このため、ハイレベルのゼロクロス信号SRが所定時間、例えば基準時間T3(第2基準時間の一例)以上連続して入力された場合、直流電圧の入力電圧Vが入力されていると考えることができる。
図11に示すように、制御部33は、ハイレベルのゼロクロス信号SRが連続して入力される時間が、基準時間T3以上となる時間TM7において、安全性を確保するため、入力電圧Vのハロゲンヒータ31への入力を停止するなどのエラー処理(図5のS31参照)を実行する。時間TM7において、ハロゲンヒータ31に通電されるヒータ電圧HVは、停止する。このエラー処理は、本願における「第1エラー処理」の一例である。また、図7のS51において、ハイレベルのゼロクロス信号SRが連続して入力される時間が、基準時間T3よりも小さい場合、低電圧の入力電圧Vが入力されていると考えられるため、制御部33は、低電圧検出制御を実行する。このような基準時間T3に基づいた制御を実行しても、上記実施形態の基準時間T2による制御と同様の効果を得ることが可能となる。なお、基準時間T3(第2基準時間の一例)は、基準時間T2(第1基準時間)と同じ長さの時間でもよく、異なる長さの時間でもよい。
また、制御部33は、S51において、温度センサ31Aの検出温度の温度変化率に基づいて、低電圧と直流電圧とを判定してもよい。ハロゲンヒータ31の温度変化率は、交流電源101(図2参照)から供給される電力、即ち、入力電圧Vの変化率に比例する。例えば、ハロゲンヒータ31の温度が低下した状態で低電圧の入力電圧Vが連続して入力されると、ハロゲンヒータ31の温度変化率は小さくなる。そこで、制御部33は、例えば、温度センサ31Aの検出温度から温度変化率を演算し、演算結果の温度変化率が基準変化率以下の場合に、低電圧の入力電圧Vが入力されていると判定してもよい。このような温度変化率と、基準変化率との比較を実行しても、上記実施形態の基準時間T2による制御と同様の効果を得ることが可能となる。
また、制御部33は、S49及びS63において通紙速度VP及び各種設定温度を下げる処理を実行したが、これに限らず、例えば、上限温度を下げる処理のみを実行してもよい。
また、制御部33は、ゼロクロスパルス幅ZLと、周期PZとを用いて入力電圧Vの波形を判定したが、どちらか一方のみを用いて判定してもよい。例えば、直流電圧、矩形波等、正常な正弦波、及び低電圧の各々を判定するための値や範囲を、ゼロクロスパルス幅ZLのみで規定してもよい。
また、上記実施形態では、矩形波検出制御の通紙速度VP1と、低電圧検出制御の通紙速度VP2とに差を設けたが、両速度を同一速度としてもよい。
また、制御部33は、低電圧検出制御を開始した際に印刷動作中であった場合(S57:YES)、印刷中のシートを排紙する処理(S58)を実行したが、これに限らず、印刷しながら通紙速度VPを下げる処理を実行してもよい。
また、上記実施形態では、制御部33は、ゼロクロスパルス信号SPの立ち下がりを期間TWの開始の基準としたが、他のタイミング、例えば、ゼロクロスパルス信号SPの立ち上がり、あるいは立ち上がりと立ち下がりの中間のタイミング等を基準としてもよい。
また、上記実施形態では、ゼロクロスパルス信号SPの一例として、ゼロクロス検出範囲Uでアクティブ・ローとなる信号を例示した。しかしながら、ゼロクロスパルス信号SPは、入力電圧Vのゼロクロスタイミングに同期した信号であればよく、例えば、アクティブ・ハイとなる信号であってもよい。
また、本願におけるヒータは、ハロゲンヒータ31に限らず、ゼロクロス信号SRに基づく通電制御によって発熱する他の素子、装置等でもよい。
また、上記実施形態では、加熱装置30は、ハロゲンヒータ31を一つだけ備える構成であったが、複数のハロゲンヒータ31を備える構成でもよい。この場合、例えば、低電圧検出制御において、通紙速度VPを低下させずに上限温度のみを下げ、複数のヒータを駆動することで個々のヒータの温度上昇を抑制しつつ、印刷動作を継続させ、生産性の低下を抑制してもよい。
また、上記実施形態では、本願の画像形成装置としてモノクロレーザプリンタ1を例に説明したが、これに限定されない。例えば、画像形成装置は、カラー印刷が可能なカラーレーザプリンタ、カラーLEDプリンタや画像形成機能の他にFAX機能などを備えた複合機でもよい。