JP2016188176A - フェノールの分離、濃縮、及び/又は回収方法、並びにそのシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】一又は複数の実施形態において、無機イオン性物質を含む希薄フェノール水溶液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収する方法であって、抽出剤等の添加剤を用いない蒸留により、無機イオン性物質とフェノールとを分離しつつフェノールを濃縮でき、かつ、省エネルギー性を向上しうる方法を提供する。
【解決手段】一又は複数の実施形態において、前記フェノールと前記無機イオン性物質とを分離する分離工程を含み、前記分離工程は、自己蒸気圧縮法を用いて前記水溶液が供給された蒸留塔の塔頂から前記無機イオン性物質が除去されたフェノール含有液を留出液として得ること、及び、前記蒸留塔の塔底から前記無機イオン性物質を含む缶出液を得ることを含む。
【選択図】図1

Description

本開示は、フェノールの分離、濃縮、及び/又は回収方法、並びにそのシステムに関する。
フェノールを含む水溶液からフェノールを回収する方法として、溶媒抽出法が知られている。特許文献1は、キシレン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、クメン及びエチルベンゼン等を共沸剤として使用した共沸蒸留によりフェノールを回収する方法を開示する。
一方で、抽出剤や共沸剤を使用しない方法として、浸透気化膜を利用する方法がある。特許文献2は、減圧側の透過液からフェノールを分離、回収できる浸透気化膜を開示する。
特開2007−196171号公報 特開H6−296831号公報
希薄フェノール水溶液のフェノールの回収を溶媒抽出法で行う場合、抽出後の排水中に抽出剤である有機溶剤が混入して排水処理の大きな負荷となる。また、例えば、フェノール樹脂の製造工程で回収フェノールを再利用する際にも抽出剤の混入が製品品質上の課題となる。さらに、回収フェノールから抽出剤を精留するには、大きなエネルギーを消費するプロセスが必要である。抽出剤を使わずに通常の蒸留法によりフェノールを回収する場合にも、水溶液中のフェノール濃度が希薄であると、やはり、蒸留操作に非常に大きなエネルギーが必要となる。
また、フェノール水溶液は共沸混合物であり、希薄フェノールの濃縮操作は共沸組成である10質量%程度までが限界という問題点もある。
一方、浸透気化膜を用いた方法では、希薄フェノール水溶液が無機イオン性物質を含む場合には、この無機イオン性物質が浸透気化膜のろ過性を極端に悪化させる原因となる。したがって、希薄フェノール水溶液が無機イオン性物質を含む場合には、膜によるフェノールの濃縮操作は適用困難となる。
本開示は、一又は複数の実施形態において、無機イオン性物質を含む希薄フェノール水溶液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収する方法であって、抽出剤等の添加剤を用いない蒸留により、無機イオン性物質とフェノールとを分離しつつフェノールを濃縮でき、かつ、省エネルギー性を向上しうる方法を提供する。
本開示は、一又は複数の実施形態において、フェノールを0.05〜10質量%の濃度で含有し、無機イオン性物質を含有する水溶液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収する方法であって、
前記無機イオン性物質が、硫酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオン、及びマグネシウムイオンであり、
前記フェノールと前記無機イオン性物質とを分離する分離工程を含み、
前記分離工程は、自己蒸気圧縮法を用いて前記水溶液が供給された蒸留塔の塔頂から前記無機イオン性物質が除去されたフェノール含有液を留出液として得ること、及び、前記蒸留塔の塔底から前記無機イオン性物質を含む缶出液を得ることを含む方法に関する。
本開示は、一又は複数の実施形態において、フェノールを0.05〜10質量%の濃度で含有し、無機イオン性物質を含有する水溶液からフェノールを分離するための自己蒸気圧縮型蒸留システムであって、
前記無機イオン性物質が、硫酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオン、及びマグネシウムイオンであり、
蒸留塔と圧縮機と熱交換型蒸留塔リボイラーを備え、
前記水溶液が供給される前記蒸留塔の塔頂から排出される蒸気を前記圧縮機が圧縮し、圧縮された蒸気が前記熱交換型蒸留塔リボイラーの加熱源として供給できるように配管及び又は構成されている自己蒸気圧縮型蒸留システムに関する。
本開示は、一又は複数の実施形態において、フェノールを0.05〜10質量%の濃度で含有し、無機イオン性物質を含有する水溶液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収するシステムであって、
前記無機イオン性物質が、硫酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオン、及びマグネシウムイオンであり、
本開示にかかる自己蒸気圧縮型蒸留システムと浸透気化法による脱水装置と二相分離槽とフェノール精留塔を備え、
前記自己蒸気圧縮型蒸留システムで得られるフェノール含有液が前記脱水装置に供給されて濃縮され、濃縮されたフェノール濃縮液が前記二相分離槽に供給され、前記二相分離槽の重液が前記フェノール精留塔に供給されるように配管及び又は構成されているシステムに関する。
本開示によれば、一又は複数の実施形態において、無機イオン性物質を含む希薄フェノール水溶液から、添加剤を用いず、かつ、省エネルギー性の高い蒸留により、無機イオン性物質とフェノールとを分離しつつフェノールを濃縮できる。
図1は、一実施形態にかかる自己蒸気圧縮型蒸留システムの一例を示す図である。 図2は、一実施形態にかかる自己蒸気圧縮(MVR)法と浸透気化(PV)法を含むフェノールの分離、濃縮、及び/又は回収方法の一例を説明するフロー図である。 図3は、一実施形態にかかる自己蒸気圧縮(MVR)法と浸透気化(PV)法と二相分離法を含むフェノールの分離、濃縮、及び/又は回収方法の一例を説明するフロー図である。 図4は、一実施形態にかかる自己蒸気圧縮(MVR)法と浸透気化(PV)法と二相分離法と精留(蒸留)を含むフェノールの分離、濃縮、及び/又は回収方法の一例を説明するフロー図である。 図5は、一実施形態にかかる自己蒸気圧縮(MVR)法と浸透気化(PV)法と二相分離法と精留(蒸留)とアンモニア除去を含むフェノールの分離、濃縮、及び/又は回収方法の一例を説明するフロー図である。 図6は、一実施形態にかかるフェノールの分離及び濃縮の一例を説明するフロー図である。 図7は、一実施形態にかかるフェノールの分離及び濃縮の一例を説明するフロー図である。 図8は、一実施形態にかかるフェノールの分離、濃縮、及び/又は回収システムの一例を示す図である。
本開示は、無機イオン性物質を含有する希薄フェノール水からフェノールの利用を目的としてフェノールを回収する場合、自己蒸気圧縮型の蒸留システムを採用することにより無機イオン性物質とフェノールとの分離とある程度の濃縮が、添加剤を用いることなく高いエネルギー効率で可能となるという知見に基づく。本開示は、また、自己蒸気圧縮型蒸留システムで分離されたフェノール水を浸透気化法により脱水することで共沸点を回避してフェノールを濃縮でき、さらに二相分離及び精留の工程を組み合せることにより、無機イオン性物質を含有する希薄フェノール水からの高濃度フェノールの回収が、添加剤を用いることなく高いエネルギー効率で可能となるという知見に基づく。
限定されない一又は複数の実施形態において、本開示によれば、図6に示すフロー図のフェノールの濃縮及び回収が可能となる。すなわち、無機イオン性物質を含有する希薄フェノール水(1〜2質量%フェノール+無機イオン性物質含有水)は、自己蒸気圧縮(MVR)法による分離工程(10)において、無機イオン性物質が分離除去され、5〜10質量%のフェノール水に濃縮される。次にこの5〜10質量%のフェノール水は、浸透気化(PV)法による濃縮工程(20)に供され、浸透気化膜で脱水されることにより共沸組成(フェノール約10質量%)を超えて約30質量%まで濃縮される。そして、この約30質量%フェノール水は、二相分離法による濃縮工程(30)に供される。一般に、フェノール水は、8〜70質量%の濃度領域では、水リッチ相(約8質量%フェノール:軽液)とフェノールリッチ相(約70質量%フェノール:重液)の二相に分離する。よって、約30質量%フェノール水を二相分離槽で分離させ重液を回収すると、約70質量%フェノール水が得られる。この約70質量%フェノール水を精製工程(40)に供し精留することで、80〜98質量%の濃縮フェノールが得られうる。この一連のプロセスは、最も処理体積が大きい最初の分離工程を自己蒸気圧縮(MVR)法で行うことで、省エネルギー性が向上されうる。また、この一連のプロセスは、添加剤(限定されない一例において、抽出剤など)を使用しなくてもよいため、回収されたフェノールの利用性利便性が向上されうる。さらに、添加剤(限定されない一例において、抽出剤など)を使用しないことにより、多量に発生する排水の処理にかかる負荷が低減されうる。すなわち、一連のプロセスが省エネルギーかつコンタミレスで行われ得る点で、工業レベルのフェノールの濃縮回収が可能となる。
[原料となる希薄フェノール水]
本開示において、フェノールの分離、濃縮、及び/又は回収の処理を施す対象(原料又は原液)となる希薄フェノール水(以下、「希薄フェノール原液」ともいう。)は、フェノール及び無機イオン性物質を含有する。
希薄フェノール原液におけるフェノール濃度は、限定されない一又は複数の実施形態において、工業レベルのフェノールの濃縮回収という観点から、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、又は1質量%以上であり、10質量%以下、10質量%未満、8質量%以下、5質量%以下、3質量%以下、又は2質量%以下であり、或いは、0.05〜10質量%、0.1〜8質量%、0.5〜5質量%、1〜3質量%、又は1〜2質量%である。
希薄フェノール原液は、無機イオン性物質として、少なくとも硫酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオン、及びマグネシウムイオンを含有する。これらの各イオンの濃度としては、一又は複数の実施形態において、10質量%以下、5質量%以下、又は1質量%以下である。また、これらの各イオン濃度としては、一又は複数の実施形態において、0を超え、検出感度以上、0.0001質量%以上、0.001質量%以上、0.005質量%以上、又は0.01質量%以上が挙げられる。
限定されない一又は複数の実施形態において、硫酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオンの各イオンの濃度は、0.005〜10質量%、0.01〜5質量%、又は0.01〜1質量%である。また、限定されない一又は複数の実施形態において、マグネシウムイオンの濃度は、0.00005〜1質量%、0.0001〜0.1質量%、又は0.0001〜0.01質量%、また、0.0001〜0.001質量%である。
また、希薄フェノール原液に含まれる無機イオン性物質の総含有量としては、一又は複数の実施形態において、0.005質量%以上、0.01質量%以上、又は0.1質量%以上であり、10質量%以下、5質量%以下、又は3質量%以下であり、或いは、0.005〜10質量%、0.01〜5質量%、又は0.1〜3質量%である。
希薄フェノール原液が含有しうるその他の無機イオン性物質としては、一又は複数の実施形態において、ナトリウムイオン、塩化物イオン、硝酸イオン等が挙げられ、その含有量としては、一又は複数の実施形態において、1質量%以下である。
希薄フェノール原液は、一又は複数の実施形態において、アンモニウムイオンを含有しうる。希薄フェノール原液がアンモニウムイオンを含有する場合、その濃度としては、一又は複数の実施形態において、1.0質量%以下、0.5質量%以下、又は、0.3質量%以下、或いは、0.1〜1.0質量%、0.1〜0.5質量%、又は0.1〜0.3質量%である。
希薄フェノール原液がアンモニウムイオンを含有する場合、図7に示すフロー図のように、アンモニウムイオンは、二相分離法による濃縮工程(30)の重液(約70質量%フェノール水)においてもフェノールとともに残留することになる(一又は複数の実施形態において、数百ppmのアンモニア濃度)。しかし、図7に示すフロー図のとおり、精製工程(40)の精留工程において、大部分のアンモニウムイオンを除去できる。
希薄フェノール原液は、一又は複数の実施形態において、フェノール製造工程で回収される液が挙げられる。フェノール製造工程で回収される液は、一又が複数の実施形態において、フェノール樹脂製造工場廃液又はグリーンフェノール回収液が挙げられる。希薄フェノール原液としては、その他の一又は複数の実施形態において、バイオマス資源からの回収液が挙げられる。
[自己蒸気圧縮(MVR)法による分離工程]
本開示は、一態様において、希薄フェノール原液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収する方法であって、自己蒸気圧縮法を用いて希薄フェノール原液中のフェノールと無機イオン性物質とを分離する分離工程を含む方法に関する。前記分離工程の一又は複数の実施形態において、希薄フェノール原液が供給された蒸留塔の塔頂から前記無機イオン性物質が除去されたフェノール含有液が留出液として得られ、前記蒸留塔の塔底から前記無機イオン性物質を含む缶出液が得られる。
本開示の一又は複数の実施形態において、自己蒸気圧縮(MVR:Mechanical Vapor Re-compression)法は、希薄フェノール原液が供給された蒸留塔の塔頂から排出される蒸気(フェノール水の蒸気)を圧縮すること、圧縮された蒸気を蒸留塔リボイラーに自己蒸留塔の加熱源として供給することを含む蒸留法をいう。蒸気の圧縮は、一又は複数の実施形態において、圧縮機によって機械的におこなわれ、前記圧縮機としては、一又は複数の実施形態において、ファンやブロワーが挙げられる。加熱源として使用されたフェノール水の蒸気は、無機イオン性物質が除去されたフェノール含有液として回収される。MVR法に必要なエネルギーは、塔頂から排出されるフェノール水の蒸気の蒸発潜熱を維持したまま蒸気を機械的に圧縮昇温する仕事量だけであり、その熱量を全て自己の蒸留塔の加熱源として使用できる。よって、MVR法に必要なエネルギーは、一又は複数の実施形態において、画期的な省エネルギー性を発揮しうる。
本開示の一又は複数の実施形態において、MVR法により蒸留塔の塔頂から得られる留出液のフェノール濃度は、5〜10質量%のフェノール濃度であり、一又は複数の実施形態において、希薄フェノール原液におけるフェノール含有量がより低い場合には、フェノールの濃縮が行われ得る。
本開示の一又は複数の実施形態において、MVR法による分離工程は、添加剤、例えば、抽出剤や共沸剤を添加することなく行える。
[自己蒸気圧縮(MVR)型蒸留システム]
本開示の一又は複数の実施形態において、MVR法による分離工程は、蒸留塔と圧縮機と熱交換型蒸留塔リボイラーを備え、前記水溶液が供給される前記蒸留塔の塔頂から排出される蒸気を前記圧縮機が圧縮し、圧縮された蒸気が前記熱交換型蒸留塔リボイラーの加熱源として供給できるように配管及び又は構成されているMVR型蒸留システムによって行うことができる。
以下に図を用いて本開示にかかるMVR型蒸留システムの一実施形態を説明する。図1は、限定されない一又は複数の実施形態にかかるMVR型蒸留システム10を説明する図である。MVR型蒸留システム10は、蒸留塔12と圧縮機13と熱交換型蒸留塔リボイラー14とを備える。希薄フェノール原液11が蒸留塔12に供給される。塔頂から排出されるフェノール含有水の蒸気は、配管100を通り圧縮機13へと供給される。圧縮機13は、機械的に蒸気を圧縮昇温する。圧縮昇温されたフェノール含有水の蒸気は配管101を通り熱交換型蒸留塔リボイラー14に加熱源として供給される。加熱源として利用され熱交換型蒸留塔リボイラー14から排出されるフェノール含有液15は、配管102及び103を通り回収され、或いは、配管104を通り還流液として蒸留塔12に還流される。塔底から排出される缶出液は、配管105及び108を通り無機イオン性物質含有水16として回収され、或いは、配管106を通り熱交換型蒸留塔リボイラー14に供給され蒸気となって配管107を通り蒸留塔12に供給される。
蒸留塔12としては、一又は複数の実施形態において、通常、蒸留に用いられる蒸留塔を使用でき、充填式蒸留塔でも多段トレー式蒸留塔でもよい。運転条件としては、限定されない一又は複数の実施形態において、塔内圧力は20〜100kPa、塔底温度60〜110℃、塔頂温度50〜100℃、還流比(R/D)は1〜5程度である。
圧縮機13は、一又は複数の実施形態において、ファン又はブロワーである。
熱交換型蒸留塔リボイラー14は、一又は複数の実施形態において、通常、蒸留に用いられる熱交換型蒸留塔リボイラーを使用できる。圧縮機13及び/又はリボイラー14は、一又は複数の実施形態において、フェノール含有蒸気の漏洩を防止する点から、真空下で操作されることが好ましい。また、リボイラー14は、シェル側/チューブ側の温度差を最大限有効に利用する点から、一又は複数の実施形態において、薄膜効果型(フォーリングフィルム型)であることが好ましい。
[浸透気化(PV)法による濃縮]
本開示にかかる希薄フェノール原液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収する方法は、一又は複数の実施形態において、MVR法による分離工程の後に、浸透気化(PV)法による濃縮工程を含む。図2は、本実施形態の一例を説明するフロー図である。希薄フェノール原液11からMVR法による分離工程10により無機イオン性物質16が分離される。得られるフェノール含有水がPV法による濃縮工程20で濃縮され、フェノール濃縮液22が得られる。
本開示において、浸透気化(PV:pervaporation)法による濃縮工程とは、一又は複数の実施形態において、MVR法による分離工程で得られたフェノール含有液を、浸透気化膜(PV膜)を用いて脱水処理してフェノールを濃縮することを含む。MVR法によって無機イオン性物質が除去されるため、PV膜の使用が可能となる。
本開示の一又は複数の実施形態において、PV法による濃縮工程は、共沸組成(フェノール約10質量%)を超えるフェノール濃度まで行われる。PV法による濃縮工程で得られる濃縮液中のフェノール濃度としては、一又は複数の実施形態において、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、又は30質量%以上であり、或いは、40質量%以下であり、或いは約30質量%である。
本開示の一又は複数の実施形態において、PV法による濃縮工程は、PV膜を備える脱水装置により行うことができる。PV膜としては、一又は複数の実施形態において、セラミック膜、ゼオライト膜などの無機膜が挙げられる。
本開示の一又は複数の実施形態において、PV膜の透過側の透過水は、微量のフェノール(例えば、約0.2質量%)を含むため、希薄フェノール原液又はその供給ラインに戻して使用できる。また、本開示の一又は複数の実施形態において、希薄フェノール原液がアンモニウムイオンを含む場合、PV膜の透過側の透過水も濃縮液と同様にアンモニウムイオンを含む(例えば、数百ppm)。その場合、後述するアンモニア除去工程50によりアンモニアを除去してから(図5)、希薄フェノール原液又はその供給ラインに戻して使用することができる。
[二相分離法による濃縮]
本開示にかかる希薄フェノール原液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収する方法は、一又は複数の実施形態において、MVR法による分離工程、及び、PV法による濃縮工程の後に、さらに、二相分離法による濃縮工程を含む。図3は、本実施形態の一例を説明するフロー図である。希薄フェノール原液11は、MVR法による分離工程10により無機イオン性物質16が除去され、さらにPV法による濃縮工程20で濃縮され、得られたフェノール濃縮液が二相分離法30で分離され、フェノールリッチ相(重液)32が回収される。
PV法による濃縮工程20で得られるフェノール濃縮液は、常温において水リッチ相(約8質量%フェノール:軽液)とフェノールリッチ相(約70質量%フェノール:重液)の二相に分離する。フェノールリッチ相(重液)32を回収することにより、約70質量%のフェノール濃縮液を得ることができる。
本開示の一又は複数の実施形態において、二相分離法による濃縮工程は、二相分離槽により行うことができる。二相分離槽としては、一又は複数の実施形態において、通常使用される二相分離槽が挙げられる。
本開示の一又は複数の実施形態において、水リッチ相(約8質量%フェノール:軽液)は、希薄フェノール原液又はその供給ラインに戻して使用できる。また、本開示の一又は複数の実施形態において、希薄フェノール原液がアンモニウムイオンを含む場合、軽液も重液と同様にアンモニウムイオンを含む(例えば、数百ppm)。その場合、後述するアンモニア除去工程50によりアンモニアを除去してから(図5)、希薄フェノール原液又はその供給ラインに戻して使用することができる。
[フェノールの精製工程]
本開示にかかる希薄フェノール原液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収する方法は、一又は複数の実施形態において、MVR法による分離工程、PV法による濃縮工程、及び二相分離法による濃縮工程の後に、さらに、フェノールの精製工程を含む。図4は、本実施形態の一例を説明するフロー図である。希薄フェノール原液11は、MVR法による分離工程10により無機イオン性物質16が除去され、さらにPV法による濃縮工程20及び二相分離法による濃縮工程30で濃縮され、さらに、フェノールの精製工程40で濃縮され、濃縮されたフェノール44が得られる。
本開示の一又は複数の実施形態において、フェノールの精製工程40は、蒸留(精留)により行われ、缶出液として精製濃縮フェノールを得る。フェノールの精製工程40における蒸留(精留)の蒸留塔(精留塔)としては、一又は複数の実施形態において、通常、蒸留(精留)に用いられる蒸留塔を使用でき、充填式蒸留塔でも多段トレー式蒸留塔でもよい。運転条件としては、限定されない一又は複数の実施形態において、塔内圧力は20〜100kPa、塔底温度65〜105℃、塔頂温度45〜95℃、還流比(R/D)は1〜10程度である。
精製濃縮フェノールの濃度としては、一又は複数の実施形態において、80質量%以上、85質量%以上、又は90質量%以上であって、或いは、80〜99質量%、80〜98質量%、80〜95質量%又は、85〜95質量%である。また、一又は複数の実施形態において、希薄フェノール原液がアンモニウムイオンを含む場合であっても、フェノールの精製工程の缶出液(精製濃縮フェノール)に含まれるアンモニウムイオンは、限定されない一又は複数の実施形態において、100〜1000ppm、50〜1000ppm、又は、約50ppmにまで低減されうる。
本開示の一又は複数の実施形態において、フェノール精製工程の留出液は、希薄フェノール原液又はその供給ラインに戻して使用できる。また、本開示の一又は複数の実施形態において、希薄フェノール原液がアンモニウムイオンを含む場合、低沸成分であるアンモニアと共沸成分であるフェノールをそれぞれ数質量%(例えば、1〜5質量%、又は2〜3質量%)含有する水溶液が、塔頂から留出液として得られる。その場合、後述するアンモニア除去工程50によりアンモニアを除去してから(図5)、希薄フェノール原液又はその供給ラインに戻して使用することができる。
[アンモニア除去工程]
本開示にかかる希薄フェノール原液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収する方法は、一又は複数の実施形態において、アンモニア除去工程を含む。図5は、本実施形態の一例を説明するフロー図である。上述したとおり、希薄フェノール原液11がアンモニウムイオンを含む場合、PV法による濃縮工程20におけるPV膜の透過水、二相分離法による濃縮工程30における軽液、フェノールの精製工程40における留出液には低濃度のフェノールとともにアンモニウムイオンが含まれうる。一又は複数の実施形態において、これらの液からアンモニア除去工程50によりアンモニアを除去して、希薄なフェノール液を得て、希薄フェノール原液又はその供給ラインに戻して使用することができる。
本開示の一又は複数の実施形態において、アンモニア除去工程50は、蒸留により行われ、缶出液としてアンモニウムイオンが数ppmにまで低減された希薄フェノール水溶液を得る。また、塔頂からはアンモニアを20質量%程度含有する留出液を得る。アンモニア除去工程50における蒸留の蒸留塔としては、一又は複数の実施形態において、通常、蒸留に用いられる蒸留塔を使用でき、充填式蒸留塔でも多段トレー式蒸留塔でもよい。運転条件としては、限定されない一又は複数の実施形態において、塔内圧力は20〜100kPa、塔底温度60〜100℃、塔頂温度55〜95℃、還流比(R/D)は1〜10程度である。
[希薄フェノール原液からのフェノールを分離、濃縮、回収システム]
本開示にかかる希薄フェノール原液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収する方法は、一又は複数の実施形態において、本開示にかかるMVR型蒸留システムとPV法による脱水装置と二相分離槽とフェノール精留塔を備え、MVR型縮蒸留システムで得られるフェノール含有液が前記脱水装置に供給されて濃縮され、濃縮されたフェノール濃縮液が前記二相分離槽に供給され、前記二相分離の重液が前記フェノール精留塔に供給されるように配管及び又は構成されているシステム(以下、「フェノール回収システム」ともいう。)によって行うことができる。
以下に図を用いて本開示にかかるフェノール回収システムの一実施形態を説明する。図8は、限定されない一又は複数の実施形態において、アンモニウムイオンを含む希薄フェノール原料からフェノールを回収するシステムを説明する図である。
同図のフェノール回収システムは、MVR型蒸留システム10、PV法による濃縮装置20、二相分離法による濃縮装置30、フェノール精製システム40、及びアンモニア除去システム50から構成されている。
MVR型蒸留システム10は、上述したとおり、蒸留塔12と圧縮機13と熱交換型蒸留塔リボイラー14とを備える。希薄フェノール原液11が配管109を通り蒸留塔12に供給される。塔頂から排出されるフェノール含有水の蒸気は、配管100を通り圧縮機13へと供給される。圧縮機13は、機械的に蒸気を圧縮昇温する。圧縮昇温されたフェノール含有水の蒸気は配管101を通り熱交換型蒸留塔リボイラー14に加熱源として供給される。加熱源として利用され熱交換型蒸留塔リボイラー14から排出されるフェノール含有液は、配管102及び103を通りPV法による濃縮装置20に送られ、或いは、配管104を通り還流液として蒸留塔12に還流される。塔底から排出される缶出液は、配管105及び108を通り無機イオン性物質含有水16として回収され、或いは、配管106を通り熱交換型蒸留塔リボイラー14に供給され蒸気となって配管107を通り蒸留塔12に供給される。
PV法による濃縮装置20は、PV膜脱水装置21を備える。配管103を通り供給されるフェノール含有液は、PV膜脱水装置21で濃縮される。濃縮されたフェノール水は、配管201を通り二相分離法による濃縮装置30に送られる。一方、PV膜脱水装置21のPV膜の透過側の透過水は、配管202及び501を通り、アンモニア除去システム50に送られる。
二相分離法による濃縮装置30は、二相分離槽31を備える。配管201を通り供給される濃縮されたフェノール水は二相分離槽31において二相に分離される。フェノールリッチ相である重液(約70質量%のフェノール濃縮液)は配管301を通りフェノール精製システム40に送られる。一方、水リッチ相である軽液は配管302及び501を通り、アンモニア除去システム50に送られる。
フェノール精製システム40は、精留塔41と凝縮器42と蒸留塔リボイラー43とを備える。約70質量%のフェノール濃縮液が配管301を通り精留塔41に供給される。精留塔41の缶出液として精製濃縮フェノール44が塔底から配管401及び402を通り回収され、或いは、配管403を通りリボイラー43に供給され蒸気となって配管404を通り精留塔41に供給される。また、精留塔41の塔頂から凝縮器42を通り得られる留出液は、配管406及び501を通り、アンモニア除去システム50に送られ、或いは、配管407を通り還流液として精留塔41に供給される。
アンモニア除去システム50は、蒸留塔51と凝縮器52と蒸留塔リボイラー53とを備える。アンモニウムイオン及びフェノールを含む水溶液が配管501を通り蒸留塔51に供給される。蒸留塔51の缶出液としてアンモニウムイオンが数ppmにまで低減された希薄フェノール水溶液が配管506を通り、希薄フェノール原液11が供給される配管109に供給される。或いは、配管507を通りリボイラー53に供給され蒸気となって配管508を通り蒸留塔51に供給される。また、蒸留塔51の塔頂から凝縮器52を通り得られる留出液は、配管503を通り、アンモニア排水54として回収され、或いは、配管504を通り還流液として蒸留塔51に供給される。
本開示にかかるフェノール回収システムは、最も処理体積が大きい最初の分離工程を自己蒸気圧縮(MVR)法で行うことで、省エネルギー性が向上されうる。また、本開示にかかるフェノール回収システムは、添加剤(限定されない一例において、抽出剤など)を使用しなくてもよいため、回収されたフェノールの利用性利便性が向上されうる。さらに、添加剤(限定されない一例において、抽出剤など)を使用しないことにより、多量に発生する排水の処理にかかる負荷が低減されうる。すなわち、本開示にかかるフェノール回収システムによれば、一又は複数の実施形態において、省エネルギーかつコンタミレスで行われ得る点で、希薄フェノール原液からの工業レベルのフェノール回収が可能となる。
本発明はさらに以下の一又は複数の実施形態に関する。
<A1> フェノールを0.05〜10質量%の濃度で含有し、無機イオン性物質を含有する水溶液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収する方法であって、
前記無機イオン性物質が、硫酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオン、及びマグネシウムイオンであり、
前記フェノールと前記無機イオン性物質とを分離する分離工程を含み、
前記分離工程は、自己蒸気圧縮法を用いて前記水溶液が供給された蒸留塔の塔頂から前記無機イオン性物質が除去されたフェノール含有液を留出液として得ること、及び、前記蒸留塔の塔底から前記無機イオン性物質を含む缶出液を得ることを含む、方法。
<A2> 前記自己蒸気圧縮法は、前記蒸留塔の塔頂から排出される蒸気を圧縮すること、圧縮された蒸気を蒸留塔リボイラーに前記蒸留塔の加熱源として供給すること、及び、前記蒸留塔リボイラーにおいて前記蒸留塔の加熱源として熱交換することでフェノール含有液を得ることを含む、<A1>記載の方法。
<A3> 前記水溶液の硫酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオン、及びマグネシウムイオンの総含有量が、0.005〜10質量%である、<A1>又は<A2>に記載の方法。
<A4> 前記水溶液が、さらに、アンモニウムイオンを含有する、<A1>から<A3>のいずれかに記載の方法。
<A5> さらに、前記分離工程で得られたフェノール含有液を、浸透気化法により濃縮する濃縮工程を含む、<A1>から<A4>のいずれかに記載の方法。
<A6> 前記濃縮工程で得られたフェノール濃縮液を、二相分離することを含む、<A5>記載の方法。
<A7> 前記二相分離の重液を精留塔に供給し、精製濃縮フェノールを得ることを含む、<A6>記載の方法。
<A8> フェノールを0.05〜10質量%の濃度で含有し、無機イオン性物質を含有する水溶液からフェノールを分離するための自己蒸気圧縮型蒸留システムであって、
前記無機イオン性物質が、硫酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオン、及びマグネシウムイオンであり、
蒸留塔と圧縮機と熱交換型蒸留塔リボイラーを備え、
前記水溶液が供給される前記蒸留塔の塔頂から排出される蒸気を前記圧縮機が圧縮し、圧縮された蒸気が前記熱交換型蒸留塔リボイラーの加熱源として供給できるように配管及び又は構成されている、自己蒸気圧縮型蒸留システム。
<A9> フェノールを0.05〜10質量%の濃度で含有し、無機イオン性物質を含有する水溶液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収するシステムであって、
前記無機イオン性物質が、硫酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオン、及びマグネシウムイオンであり、
<A8>記載の自己蒸気圧縮型蒸留システムと浸透気化法による脱水装置と二相分離槽とフェノール精留塔を備え、
前記自己蒸気圧縮型蒸留システムで得られるフェノール含有液が前記脱水装置に供給されて濃縮され、濃縮されたフェノール濃縮液が前記二相分離槽に供給され、前記二相分離の重液が前記フェノール精留塔に供給されるように配管及び又は構成されている、システム。
10・・・自己蒸気圧縮(MVR)法による分離工程又はそのシステム
20・・・浸透気化(PV)法による濃縮工程又はその装置
30・・・二相分離法による濃縮工程又はその装置
40・・・フェノールの精製工程又はそのシステム
50・・・アンモニア除去工程又はそのシステム
11・・・希薄フェノール水
12・・・蒸留塔(MVR型蒸留塔)
13・・・圧縮機
14・・・MVR型蒸留塔リボイラー
15・・・分離されたフェノール水
16・・・無機イオン性物質含有水
21・・・PV膜脱水装置
22・・・濃縮されたフェノール水
31・・・二相分離槽
32・・・濃縮されたフェノール水
41・・・精留塔(フェノール精製塔)
42・・・凝縮器
43・・・蒸留塔リボイラー
44・・・濃縮されたフェノール水
51・・・蒸留塔(アンモニア除去塔)
52・・・凝縮器
53・・・蒸留塔リボイラー
54・・・アンモニア排水
100〜109・・配管
201〜202・・配管
301〜302・・配管
401〜407・・配管
501〜508・・配管

Claims (9)

  1. フェノールを0.05〜10質量%の濃度で含有し、無機イオン性物質及びアンモニウムイオンを含有する水溶液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収する方法であって、
    前記無機イオン性物質が、硫酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオン、及びマグネシウムイオンであり、
    前記フェノールと前記無機イオン性物質とを分離する分離工程を含み、
    前記分離工程は、自己蒸気圧縮法を用いて前記水溶液が供給された蒸留塔の塔頂から前記無機イオン性物質が除去されたフェノール含有液を留出液として得ること、及び、前記蒸留塔の塔底から前記無機イオン性物質を含む缶出液を得ることを含む、方法。
  2. 前記自己蒸気圧縮法は、前記蒸留塔の塔頂から排出される蒸気を圧縮すること、圧縮された蒸気を蒸留塔リボイラーに前記蒸留塔の加熱源として供給すること、及び、前記蒸留塔リボイラーにおいて前記蒸留塔の加熱源として熱交換することでフェノール含有液を得ることを含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記水溶液の硫酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオン、及びマグネシウムイオンの総含有量が、0.005〜10質量%である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記水溶液中のアンモニウムイオンの含有量が、1.0質量%以下である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. さらに、前記分離工程で得られたフェノール含有液を、浸透気化法により濃縮する濃縮工程を含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記濃縮工程で得られたフェノール濃縮液を、二相分離することを含む、請求項5記載の方法。
  7. 前記二相分離の重液を精留塔に供給し、精製濃縮フェノールを得ることを含む、請求項6記載の方法。
  8. フェノールを0.05〜10質量%の濃度で含有し、無機イオン性物質及びアンモニウムイオンを含有する水溶液からフェノールを分離するための自己蒸気圧縮型蒸留システムであって、
    前記無機イオン性物質が、硫酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオン、及びマグネシウムイオンであり、
    蒸留塔と圧縮機と熱交換型蒸留塔リボイラーを備え、
    前記水溶液が供給される前記蒸留塔の塔頂から排出される蒸気を前記圧縮機が圧縮し、圧縮された蒸気が前記熱交換型蒸留塔リボイラーの加熱源として供給できるように配管及び又は構成されている、自己蒸気圧縮型蒸留システム。
  9. フェノールを0.05〜10質量%の濃度で含有し、無機イオン性物質及びアンモニウムイオンを含有する水溶液からフェノールを分離、濃縮、及び/又は回収するシステムであって、
    前記無機イオン性物質が、硫酸イオン、リン酸イオン、カリウムイオン、及びマグネシウムイオンであり、
    請求項8記載の自己蒸気圧縮型蒸留システムと浸透気化法による脱水装置と二相分離槽とフェノール精留塔を備え、
    前記自己蒸気圧縮型蒸留システムで得られるフェノール含有液が前記脱水装置に供給されて濃縮され、濃縮されたフェノール濃縮液が前記二相分離槽に供給され、前記二相分離槽の重液が前記フェノール精留塔に供給されるように配管及び又は構成されている、システム。
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