JP2016186571A - マスクブランク収納ケース、マスクブランク収納体、およびマスクブランク収納方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】収納ケースの外側の帯電が、内部に収納されたマスクブランクに対して影響を及ぼすことを防止でき、これによりレジスト膜の品質を確保することが可能なマスクブランク収納ケースを提供する。【解決手段】開口部を有するケース本体と、前記ケース本体の開口部を塞ぐ蓋体と、前記蓋体で塞がれたケース本体内においてマスクブランクを保持するブランク保持部材とを備え、前記ブランク保持部材は、前記ケース本体および蓋体に対してマスクブランクを非接触として保持するもので、前記ケース本体および前記蓋体よりも比抵抗が高いマスクブランク収納ケースである。【選択図】図1
Description
本発明は、電子デバイスの製造に用いるマスクブランク用のマスクブランク収納ケース、マスクブランク収納体、およびマスクブランク収納方法に関する。
電子デバイスの製造に用いられるマスクブランクは、収納ケースに保管している間に、表面に設けられたレジスト膜に劣化が生じる場合がある。劣化の要因は、樹脂材料で構成された収納ケースからのアウトガス、さらには収納ケース内の温度や遮光性等、収納ケース内の環境であって、劣化の程度は収納ケース内に保管されている時間に依存すると考えられていた。
このため、例えば下記特許文献1においては、収納ケースから抽出される水溶性成分(アニオン)をイオンクロマトグラフィ法によって分析した場合のピーク数を制限し、これにより収納ケース内に収納保管したマスクブランクにおけるレジスト膜の劣化を防止する構成が提案されている。
また下記特許文献2においては、収納ケースの蓋体として、可視光における透過性と紫外光における遮光性を有するものを用い、これにより収納ケース内を確認可能な視認性を有しつつ、収納ケース内への紫外線の侵入を防止して内部に収納保管されたマスクブランクにおけるレジスト膜の劣化を防止する構成が提案されている。
また下記特許文献3においては、収納ケースにおける少なくとも中箱とブランクス支持部とを導電性樹脂で構成し、これにより搬送中の中箱およびブランクス支持部とブランクスとの擦れによる収納ケース内での静電気の発生を抑え、静電気に起因するマスクブランクへの塵埃の付着を防止する構成が提案されている。
しかしながら、マスクブランクは、収納ケース内に収納された時間が短時間であっても、具体的には収納してすぐに取り出した場合であっても、レジスト膜に劣化が生じている場合があり、特に、収納ケースの密閉性を向上させるために、外箱と蓋との接合部を粘着テープで封止した場合に、レジスト膜の劣化が顕著であることがわかった。
そこで発明者は、収納ケース内からマスクブランクを取り出す場合の粘着テープの剥離において生じる剥離帯電に着目して検討を行った結果、収納ケースの外側の帯電が、内部に収納されたマスクブランクのレジスト膜に何らかの影響を及ぼしているとの見解に至った。
このような見解に基づく本発明は、収納ケースの外側の帯電が、内部に収納されたマスクブランクに対して影響を及ぼすことを防止でき、これによりレジスト膜の品質を確保することが可能なマスクブランク収納ケース、マスクブランク収納体、およびマスクブランク収納方法を提供することを目的とする。
本発明は上述の課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(構成1)
開口部を有するケース本体と、
前記ケース本体の開口部を塞ぐ蓋体と、
前記蓋体で塞がれた前記ケース本体内においてマスクブランクを保持するブランク保持部材とを備え、
前記ブランク保持部材は、前記ケース本体および蓋体に対してマスクブランクを非接触として保持するもので、前記ケース本体および前記蓋体よりも比抵抗が高い
マスクブランク収納ケース。
開口部を有するケース本体と、
前記ケース本体の開口部を塞ぐ蓋体と、
前記蓋体で塞がれた前記ケース本体内においてマスクブランクを保持するブランク保持部材とを備え、
前記ブランク保持部材は、前記ケース本体および蓋体に対してマスクブランクを非接触として保持するもので、前記ケース本体および前記蓋体よりも比抵抗が高い
マスクブランク収納ケース。
(構成2)
前記ケース本体および前記蓋体は、前記ブランク保持部材よりもカーボンブラックの含有量が多い
構成1に記載のマスクブランク収納ケース。
前記ケース本体および前記蓋体は、前記ブランク保持部材よりもカーボンブラックの含有量が多い
構成1に記載のマスクブランク収納ケース。
(構成3)
前記ブランク保持部材は、前記ケース本体に収納されるケース側保持部材と、当該ケース側保持部材との間にマスクブランクを挟持して前記蓋体側に収納される蓋側保持部材とで構成された
構成1または2に記載のマスクブランク収納ケース。
前記ブランク保持部材は、前記ケース本体に収納されるケース側保持部材と、当該ケース側保持部材との間にマスクブランクを挟持して前記蓋体側に収納される蓋側保持部材とで構成された
構成1または2に記載のマスクブランク収納ケース。
(構成4)
構成1〜3の何れかに記載のマスクブランク収納ケースと、
前記マスクブランク収納ケース内に収納されたマスクブランクと、
前記ケース本体と前記蓋体との会合部を覆う状態で当該ケース本体および当該蓋体の外周に巻き付けられた封止用のテープとを備えた
マスクブランク収納体。
構成1〜3の何れかに記載のマスクブランク収納ケースと、
前記マスクブランク収納ケース内に収納されたマスクブランクと、
前記ケース本体と前記蓋体との会合部を覆う状態で当該ケース本体および当該蓋体の外周に巻き付けられた封止用のテープとを備えた
マスクブランク収納体。
(構成5)
前記ブランク保持部材は、複数枚の前記マスクブランクを保持するもので、
前記各マスクブランクは、基板の一主面側の上方にレジスト膜が設けられたものであり、
前記複数のマスクブランクのうち、前記ケース本体の内壁に対向して配置されたマスクブランクは、前記レジスト膜が形成された面と逆側の面を当該ケース本体の内壁に向けて配置されている
構成4に記載のマスクブランク収納体。
前記ブランク保持部材は、複数枚の前記マスクブランクを保持するもので、
前記各マスクブランクは、基板の一主面側の上方にレジスト膜が設けられたものであり、
前記複数のマスクブランクのうち、前記ケース本体の内壁に対向して配置されたマスクブランクは、前記レジスト膜が形成された面と逆側の面を当該ケース本体の内壁に向けて配置されている
構成4に記載のマスクブランク収納体。
(構成6)
基板の一主面側の上方にレジスト膜が設けられた複数のマスクブランクを構成1〜3の何れかのマスクブランク収納ケースに収納する際、
前記ケース本体の内壁に対向して配置されるマスクブランクを、前記レジスト膜が形成された面と逆側の面が当該ケース本体の内壁に向かうように前記ブランク保持部材に保持させる
マスクブランク収納方法。
基板の一主面側の上方にレジスト膜が設けられた複数のマスクブランクを構成1〜3の何れかのマスクブランク収納ケースに収納する際、
前記ケース本体の内壁に対向して配置されるマスクブランクを、前記レジスト膜が形成された面と逆側の面が当該ケース本体の内壁に向かうように前記ブランク保持部材に保持させる
マスクブランク収納方法。
(構成7)
前記レジスト膜は、電子線描画型レジストからなる
構成6に記載のマスク収納方法。
前記レジスト膜は、電子線描画型レジストからなる
構成6に記載のマスク収納方法。
以上の構成を有する本発明によれば、ケース本体および蓋体の外側の帯電が、内部に収納されたマスクブランクに対して影響を及ぼすことを防止でき、これによりマスクブランクに設けられたレジスト膜の品質を確保することが可能になる。
以下、本発明のマスクブランク収納ケース、マスクブランク収納体、およびマスクブランクの収納方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
≪マスクブランク収納ケース≫
<概略構成>
図1は、実施形態に係るマスクブランク収納ケース1の構成を説明する斜視図である。この図に示すマスクブランク収納ケース1は、電子デバイスの製造に用いられるマスクブランクMを収納するためのものである。マスクブランクMは、主表面が四角形(例えば矩形または正方形)、または円形形状の平板状のものであり、マスクブランク収納ケース1内に複数枚が収納される。尚、以下においては、マスクブランクMとして、四角形の主表面を有するものを例示して説明を行う。
<概略構成>
図1は、実施形態に係るマスクブランク収納ケース1の構成を説明する斜視図である。この図に示すマスクブランク収納ケース1は、電子デバイスの製造に用いられるマスクブランクMを収納するためのものである。マスクブランクMは、主表面が四角形(例えば矩形または正方形)、または円形形状の平板状のものであり、マスクブランク収納ケース1内に複数枚が収納される。尚、以下においては、マスクブランクMとして、四角形の主表面を有するものを例示して説明を行う。
このようなマスクブランク収納ケース1は、ケース本体10、ケース本体10に被せられる蓋体20、ケース本体10内に収納されるケース側保持部材30、および蓋体20内に収納される蓋側保持部材40を備えている。
ケース本体10は、一面を開口部10aとした箱状のものであり、マスクブランクMを保持するためのケース側保持部材30を収納する。ケース本体10の内部には、ケース側保持部材30に保持されたマスクブランクMが、ケース本体10に対して非接触で収納される。
蓋体20は、ケース本体10の開口部10aを塞ぐもので、ケース側保持部材30との間にマスクブランクMを挟持する状態で用いられる蓋側保持部材40を覆う状態で、ケース本体10の開口部10aを塞ぐ。ケース本体10の開口部10aを塞いだ状態において、この蓋体20は、内部のマスクブランクMに対して非接触に保たれる。
ケース側保持部材30は、マスクブランク保持部材であって、ケース本体10内に収納された状態で、ケース本体10および蓋体20に対して複数のマスクブランクMを非接触に保持する。
蓋側保持部材40は、マスクブランク保持部材であって、ケース側保持部材30との間にマスクブランクMを挟持して蓋体20側に収納され、ケース本体10および蓋体20に対して複数のマスクブランクMを非接触に保持する。
<各部材の材質>
以上のように、マスクブランクMを非接触で収納するケース本体10および蓋体20は、マスクブランクMを保持するケース側保持部材30および蓋側保持部材40よりも比抵抗が低い、すなわち導電性が高い。ケース本体10の比抵抗が、蓋体20の比抵抗に対して限定されることはない。ケース本体10および蓋体20の比抵抗は、それぞれが、例えば103[Ω・cm]以下であることとする。
以上のように、マスクブランクMを非接触で収納するケース本体10および蓋体20は、マスクブランクMを保持するケース側保持部材30および蓋側保持部材40よりも比抵抗が低い、すなわち導電性が高い。ケース本体10の比抵抗が、蓋体20の比抵抗に対して限定されることはない。ケース本体10および蓋体20の比抵抗は、それぞれが、例えば103[Ω・cm]以下であることとする。
このようなケース本体10および蓋体20は、樹脂材料を用いて形成されるが、比抵抗を低下させて導電性を高めるために、粉末状のカーボン(いわゆるカーボンブラックであって導電性カーボン)を分散させた樹脂材料を用いることが好ましい。これにより、ケース本体10および蓋体20の比抵抗が、カーボンブラックの含有量によってコントロールされている。
ケース本体10および蓋体20を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン、アクリル、ポリエチレン、ポリカーボネート(PC)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチルサルファイト、シクロオレフィンポリマー、ポリ(ポリプロビレンカーボネート)(PPC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の樹脂から適宜選択されることが好ましい。
これらの中でも、雰囲気の温度、気圧等の変動があっても化学成分ガスの放出が少ない材料が特に好ましく、例えばポリカーボネート(PC)、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、シフロオレフィンポリマー、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)が好ましい。
尚、蓋体20を構成する樹脂材料とケース本体10を構成する樹脂材料とが同一である必要はない。
一方、マスクブランクMを保持するケース側保持部材30および蓋側保持部材40は、ケース本体10および蓋体20よりも比抵抗が高い、すなわち導電性が低い。ケース側保持部材30の比抵抗が、蓋側保持部材40の比抵抗に対して限定されることはない。
このようなケース側保持部材30および蓋側保持部材40の比抵抗は、それぞれが、ケース本体10および蓋体20の比抵抗の106倍以上であることが好ましく、1010倍以上がより好ましく、1015倍以上が特に好ましい。このような抵抗の差があることにより、ケース本体10および蓋体20に溜まった電荷を、ケース側保持部材30および蓋側保持部材40に流すことなく除電することができる。具体的なケース側保持部材30および蓋側保持部材40の比抵抗は、例えば1010[Ω・cm]以上、1018[Ω・cm]以下であり、好ましくは1015[Ω・cm]以上、特に好ましくは1017[Ω・cm]以上である。
以上のようなケース側保持部材30および蓋側保持部材40は、ケース本体10および蓋体20に用いられる材料として例示した上述の樹脂材料の中から、比抵抗が高い材料を用いて形成される。例示した樹脂材料の中でも、雰囲気の温度、気圧等の変動があっても化学成分ガスの放出が少なく、かつ硬度が高く擦れによる塵埃の発生が少ない材料が特に好ましく、例えばポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、低密度ポリエチレン(LDPE)が好ましい。
また、ケース側保持部材30および蓋側保持部材40は、それぞれがケース本体10や蓋体20と同一の樹脂材料を用いて構成されていてもよい。この場合、樹脂材料中にカーボンブラックが分散されていないか、またはケース本体10および蓋体20よりも少量のカーボンブラックが含有されていることにより、ケース本体10および蓋体20よりも比抵抗が高いものとなっている。
<ケース本体10の構造の一例>
ケース本体10は、ケース側保持部材30を固定した状態で収納可能であれば、その形状が特に限定されることはなく、従来構造と同様であってよい。ケース本体10の構造の詳細は、一例として次のようである。
ケース本体10は、ケース側保持部材30を固定した状態で収納可能であれば、その形状が特に限定されることはなく、従来構造と同様であってよい。ケース本体10の構造の詳細は、一例として次のようである。
すなわちケース本体10は、一面を開口部10aとした箱状のものであり、開口部10aに対向する底面11と、底面11から開口部10a側に向かって立ち上げられた4方向に向かう側周壁13とで構成されている。
側周壁13の外周面には、側周壁13における開口部10a側の端縁(すなわち開口縁13a)と平行に、ケース本体10に対して巻回された状態で、フランジ15が突出して設けられている。このフランジ15は、後に説明する蓋体20のストッパとして機能するものであり、開口縁13aよりも底面11側に配置されている。
またフランジ15は、4方向に向かう側周壁13のうちの対向する2つの面の中央で途切れており、この途切れた部分には、独立した島状の凸部17が設けられている。これらの凸部17は、ケース本体10に対して蓋体20を固定するための固定部材として機能する。尚、これらの凸部17の側周壁13からの突出高さは、フランジ15の高さと略同等であってよい。
またケース本体10における側周壁13の内側には、底面11から開口部10aに向かって延設された状態で、複数の位置決め部19が突出して設けられている。これらの位置決め部19は、後述するケース側保持部材30のケース本体10内における位置決めに用いられるもので、4方向に向かう側周壁13のうちの対向する2つの面のそれぞれに、所定間隔を保った1対の位置決め部19が配置されている。
尚、ここでの図示は省略したが、ケース本体10の開口縁13aには、蓋体20の開閉時における内部の圧力変化を抑制するための切欠きが設けられていてもよい。
<蓋体20の構造の一例>
蓋体20は、ケース側保持部材30に保持した状態でケース本体10内に収納されたマスクブランクMに対して非接触でケース本体10の開口部10aを塞ぐことが可能であれば、その形状が特に限定されることはなく、従来構造と同様であってよい。蓋体20の構造の詳細は、一例として次のようである。
蓋体20は、ケース側保持部材30に保持した状態でケース本体10内に収納されたマスクブランクMに対して非接触でケース本体10の開口部10aを塞ぐことが可能であれば、その形状が特に限定されることはなく、従来構造と同様であってよい。蓋体20の構造の詳細は、一例として次のようである。
すなわち蓋体20は、ケース本体10の開口部10aを塞ぐもので、一面を開口部20aとした平箱状のものである。このような蓋体20は、開口部20aに対向する底面21と、底面21から開口部20a側に向かって立ち上げられた4方向に向かう側周壁23とで構成されている。
蓋体20の側周壁23は、例えば底面21側よりも開口部20a側の開口幅が一段階広く形成され、蓋体20によってケース本体10の開口部10aを塞いだ状態において、ケース本体10の側周壁13が蓋体20の側周壁23内に陥入される。図2は、ケース本体10を蓋体20で塞いだ状態のマスクブランク収納ケース1の正面図を示す。この図に示すように、蓋体20によってケース本体10を塞いだ状態において、蓋体20の側周壁23における開口部20a側の端縁(すなわち開口縁23a)は、ケース本体10のフランジ15に当接し、蓋体20の開口縁23aとケース本体10のフランジ15とが会合する。
再び図1に戻り、蓋体20の開口縁23aには、開口縁23aから延設された状態で、ケース本体10の凸部17に嵌合する2つの係止部27が立設されている。この係止部27は、ケース本体10の凸部17が陥入される凹部27aを有しており、蓋体20によってケース本体10の開口部10aを塞ぐ際に、凸部17に沿って係止部27が外側に押し開かれ、さらに係止部27の凹部27a内に凸部17が陥入することにより、蓋体20とケース本体10との固定状態が確立される構成となっている。このように固定された状態において、図2に示したように蓋体20の開口縁23aとケース本体10のフランジ15とが会合した状態となる。
<ケース側保持部材30(ブランク保持部材)の構造の一例>
ケース側保持部材30は、ケース本体10内に収納された状態で、ケース本体10および蓋体20に対して非接触でマスクブランクMを保持可能であれば、その形状が特に限定されることはなく、従来構造と同様であってよい。ケース側保持部材の構造の詳細は、一例として次のようである。
ケース側保持部材30は、ケース本体10内に収納された状態で、ケース本体10および蓋体20に対して非接触でマスクブランクMを保持可能であれば、その形状が特に限定されることはなく、従来構造と同様であってよい。ケース側保持部材の構造の詳細は、一例として次のようである。
すなわちケース側保持部材30は、一面を開口部30aとした箱状のものであって、開口部30aに対向する底面31と、底面31から開口部30a側に向かって立ち上げられた4方向に向かう側周壁33とで構成されている。
側周壁33のうちの対向する2つの側周壁33の内側には、開口部30a側から底面31にわたって延設された複数の溝33aが所定間隔を保って対向して設けられている。各溝33aは、開口部30a側において開放され、底面31側においては底面31によって閉じられている。これにより、対向して配置される各溝33a間に、開口部30a側からマスクブランクMを側面をスライドさせてケース側保持部材30にマスクブランクMを収納することができる。また、対向する溝33a間に差し込まれた各マスクブランクMは、所定間隔を保って平行に保持される。尚、底面31は、溝33aを閉じていれば中央部に開口窓を有していてもよい。
また側周壁33のうち、別の対向する2つの側周壁33の外側には、底面31から開口部30aに向かって壁部を切り欠いた凹状の位置決め部35が設けられている。これらの位置決め部35は、ケース本体10内にケース側保持部材30を収納する場合に、ケース本体10の位置決め部19が陥入され、ケース本体10内に所定高さを保ってケース側保持部材30が固定される構成となっている。この状態において、ケース側保持部材30内に保持されたマスクブランクMは、ケース本体10に対して非接触に保たれる。
<蓋側保持部材40(ブランク保持部材)の構造の一例>
蓋側保持部材40は、ケース本体10および蓋体20に対して非接触でマスクブランクMを保持可能であれば、その形状が特に限定されることはなく、従来構造と同様であってよい。蓋側保持部材40の構造の詳細は、一例として次のようである。
蓋側保持部材40は、ケース本体10および蓋体20に対して非接触でマスクブランクMを保持可能であれば、その形状が特に限定されることはなく、従来構造と同様であってよい。蓋側保持部材40の構造の詳細は、一例として次のようである。
すなわち蓋側保持部材40は、直線状に延設された軸部41と、軸部41に沿って所定間隔で取り付けられた複数対の第1当接部43および第2当節部45とを備えている。この場合の所定間隔は、例えばケース側保持部材30の溝33aの間隔と対応している。
各第1当接部43は、軸部41からその延設方向に対して垂直な同一方向に向かって取り付けられている。また各第2当節部45は、第1当接部43と略垂直をなす方向に向かって取り付けられている。そして、一対の第1当接部43と第2当節部45とで、マスクブランクMの角部を、その周縁方向から挟持することにより、各マスクブランクMを保持する。
以上のように構成された蓋側保持部材40は、2つの蓋側保持部材40を1組として用いられる。2つの蓋側保持部材40は、ケース側保持部材30に保持されたマスクブランクWにおいて、ケース側保持部材30の開口部30a側から突出している2方向の角部を外側から挟み込む状態で用いられ、これによりケース側保持部材30との間にマスクブランクWが挟持される。このような蓋側保持部材40により、ケース側保持部材30から突出しているマスクブランクMのぐらつきが固定され、マスクブランクMの角部が個々別々に保持され、ケース本体10および蓋体20内において、マスクブランクMが安定的に保持される。
またこの状態において、蓋側保持部材40には蓋体20が被せられ、被せられた蓋体20は、ケース側保持部材30を収納したケース本体10の開口部10aを塞いでケース本体10に固定される。
<マスクブランク収納ケースの効果>
以上のように構成されたマスクブランク収納ケース1によれば、ケース本体10および蓋体20に対してマスクブランクMを非接触として保持するためのケース側保持部材30および蓋側保持部材40を、ケース本体10および蓋体20よりも比抵抗の高いものとしている。これにより、ケース本体10および蓋体20の外側表面に溜まった電荷は、比抵抗の高いケース側保持部材30および蓋側保持部材40によって遮断され、マスクブランクMにまで伝達されることがない。したがって、外部からの余分な電荷を加えることなく、マスクブランク収納ケース1内にマスクブランクMを収納し、またマスクブランク収納ケース1内に収納されたマスクブランクMを取り出すことができる。この結果、マスクブランクMの電荷による劣化を防止することができ、マスクブランクMの品質を確保することが可能になる。
以上のように構成されたマスクブランク収納ケース1によれば、ケース本体10および蓋体20に対してマスクブランクMを非接触として保持するためのケース側保持部材30および蓋側保持部材40を、ケース本体10および蓋体20よりも比抵抗の高いものとしている。これにより、ケース本体10および蓋体20の外側表面に溜まった電荷は、比抵抗の高いケース側保持部材30および蓋側保持部材40によって遮断され、マスクブランクMにまで伝達されることがない。したがって、外部からの余分な電荷を加えることなく、マスクブランク収納ケース1内にマスクブランクMを収納し、またマスクブランク収納ケース1内に収納されたマスクブランクMを取り出すことができる。この結果、マスクブランクMの電荷による劣化を防止することができ、マスクブランクMの品質を確保することが可能になる。
また、ケース本体10および蓋体20の比抵抗を、カーボンブラックの含有量で制御することにより、比抵抗は低いがアウトガスの少ない樹脂を用いてケース本体10および蓋体20を構成することが可能である。これによりケース本体10および蓋体20のアウトガスによる汚染を防止する効果を得ることもできる。
さらに、ブランク保持部材として、ケース側保持部材30と蓋側保持部材40とを用いた構成とすることにより、ケース本体10および蓋体20に対してマスクブランクMを確実に非接触とすることが可能である。これにより、マスクブランクMへの電荷の伝達を確実に遮断することができる。
≪マスクブランクの収納方法≫
次に、上述した構成のマスクブランク収納ケース1に対するマスクブランクMの収納方法を説明する。尚、マスクブランク収納ケース1に収納されるマスクブランクMの構成は、次のようである。
次に、上述した構成のマスクブランク収納ケース1に対するマスクブランクMの収納方法を説明する。尚、マスクブランク収納ケース1に収納されるマスクブランクMの構成は、次のようである。
<マスクブランクMの構成>
本発明に係るマスクブランク収納ケース1に収納されるマスクブランクMは、電子デバイスの製造に用いられるもので、さらに詳しくは、電子デバイスの製造に使用されるフォトマスクを製造するためのものである。
本発明に係るマスクブランク収納ケース1に収納されるマスクブランクMは、電子デバイスの製造に用いられるもので、さらに詳しくは、電子デバイスの製造に使用されるフォトマスクを製造するためのものである。
このようなマスクブランクMは、一例として、基板の主表面上に、転写パターンとなる薄膜(転写パターン形成用の薄膜)、およびレジスト膜をこの順に形成してなるものであり、一主面側の最表面にレジスト膜が設けられたものである。
このようなマスクブランクMは、透過形マスクブランク、反射型マスクブランク、およびナノインプリントプレート用マスクブランクの何れであってもよく、それぞれに適する基板および薄膜が設けられ、必要に応じて薄膜とレジスト膜との間に無機材料からなるエッチングマスク膜が設けられていてもよい。
−基板―
例えば、マスクブランクMがバイナリマスクブランクや位相シフト型マスクブランク等の透過型マスクブランクの場合、基板としては、露光光に対して透光性を有する基板材料を使用し、例えば合成石英ガラス基板が使用される。
例えば、マスクブランクMがバイナリマスクブランクや位相シフト型マスクブランク等の透過型マスクブランクの場合、基板としては、露光光に対して透光性を有する基板材料を使用し、例えば合成石英ガラス基板が使用される。
また、マスクブランクがEUV露光用等の反射型マスクブランクの場合、基板としては、低熱膨張の特性を有する基板材料を使用し、SiO2−TiO2系ガラスや、例えばSiO2−Al2O3−Li2O系の結晶化ガラスの基板が使用される。SiO2−TiO2系ガラスは、2元系(SiO2−TiO2)及び3元系(SiO2−TiO2−SnO2等)である。
また、マスクブランクがナノインプリントプレート用マスクブランクの場合、基板としては、例えば合成石英ガラス基板が使用される。
―透過型マスクブランク―
透過型マスクブランクのうち、上記基板の主表面上に、転写パターン形成用の薄膜として遮光膜を形成したものは、バイナリマスクブランク、または基板彫り込み型のレベンソン位相シフト型マスクブランクとして用いられる。また、上記基板の主表面上に、転写パターン形成用の薄膜として位相シフト膜、あるいは位相シフト膜及び遮光膜を形成したものは、位相シフト型マスクブランクとして用いられる。また、基板の主表面上に、転写パターン形成用の薄膜としてエッチングマスク膜を形成したものは、クロムレスタイプの位相シフト型マスクブランク、またはナノインプリントプレート用マスクブランクとして用いられる。
透過型マスクブランクのうち、上記基板の主表面上に、転写パターン形成用の薄膜として遮光膜を形成したものは、バイナリマスクブランク、または基板彫り込み型のレベンソン位相シフト型マスクブランクとして用いられる。また、上記基板の主表面上に、転写パターン形成用の薄膜として位相シフト膜、あるいは位相シフト膜及び遮光膜を形成したものは、位相シフト型マスクブランクとして用いられる。また、基板の主表面上に、転写パターン形成用の薄膜としてエッチングマスク膜を形成したものは、クロムレスタイプの位相シフト型マスクブランク、またはナノインプリントプレート用マスクブランクとして用いられる。
上記遮光膜は、単層でも複数層(例えば遮光層と反射防止層との積層構造)としてもよい。また、遮光膜を遮光層と反射防止層との積層構造とする場合、この遮光層を複数層からなる構造としてもよい。また、上記位相シフト膜、エッチングマスク膜、吸収体膜についても、単層でも複数層としてもよい。
透過型マスクブランクとしては、例えば、クロム(Cr)を含有する材料により形成されている遮光膜を薄膜として備えるバイナリマスクブランク、遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料により形成されている遮光膜を薄膜として備えるバイナリマスクブランク、タンタル(Ta)を含有する材料により形成されている遮光膜を薄膜として備えるバイナリマスクブランク、ケイ素(Si)を含有する材料、あるいは遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料により形成されている位相シフト膜を薄膜として備える位相シフト型マスクブランクなどが挙げられる。上記遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料としては、遷移金属とケイ素を含有する材料のほかに、遷移金属及びケイ素に、さらに窒素、酸素及び炭素のうち少なくとも1つの元素を含む材料が挙げられる。具体的には、遷移金属シリサイド、または遷移金属シリサイドの窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物、炭酸化物、あるいは炭酸窒化物を含む材料が好適である。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、クロム、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム、ニオブ等が適用可能である。この中でも特にモリブデンが好適である。
さらに上記バイナリマスクブランクや位相シフト型マスクブランクにおいて、遮光膜上に、エッチングマスク膜を備えても構わない。エッチングマスク膜の材料は、遮光膜をパターニングする際に使用するエッチャントに対して耐性を有する材料から選択される。遮光膜の材料がクロム(Cr)を含有する材料の場合、エッチングマスク膜の材料としては、例えば上記ケイ素(Si)を含有する材料が選択される。また、遮光膜の材料がケイ素(Si)を含有する材料や、遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料の場合、エッチングマスク膜の材料としては、例えば上記クロム(Cr)を含有する材料が選択される。
―反射型マスクブランク−
反射型マスクブランクとしては、基板上に、EUV光に対して反射する多層反射膜、さらに、転写用マスクの製造工程におけるドライエッチングやウェット洗浄から多層反射膜を保護するため、保護膜が形成された多層反射膜付き基板として、上記多層反射膜や保護膜上に、転写パターン形成用の薄膜として吸収体膜を備える反射型マスクブランクが挙げられる。
反射型マスクブランクとしては、基板上に、EUV光に対して反射する多層反射膜、さらに、転写用マスクの製造工程におけるドライエッチングやウェット洗浄から多層反射膜を保護するため、保護膜が形成された多層反射膜付き基板として、上記多層反射膜や保護膜上に、転写パターン形成用の薄膜として吸収体膜を備える反射型マスクブランクが挙げられる。
EUV光の領域で使用される多層反射膜としては、Mo/Si周期多層膜のほかに、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層反射膜が挙げられる。
また、上記保護膜の材料としては、例えば、Ru、Ru−(Nb、Zr、Y、B、Ti、La、Mo)、Si−(Ru、Rh、Cr、B)、Si、Zr、Nb、La、B等の材料から選択される。これらのうち、Ruを含む材料を適用すると、多層反射膜の反射率特性がより良好となる。
また、上記吸収体膜の材料としては、例えば、Ta単体、Taを主成分とする材料が用いられる。Taを主成分とする材料は、通常、Taの合金である。このような吸収体膜の結晶状態は、平滑性、平坦性の点から、アモルファス状又は微結晶の構造を有しているものが好ましい。Taを主成分とする材料としては、例えば、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、更にOとNの少なくともいずれかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料などを用いることができる。また例えば、TaにB、Si、Ge等を加えることにより、アモルファス構造が容易に得られ、平滑性を向上させることができる。さらに、TaにN、Oを加えれば、酸化に対する耐性が向上するため、経時的な安定性を向上させることができる。
―レジスト膜―
マスクブランクMに設けられるレジスト膜は、高感度の電子線描画用のレジスト膜であり、リソグラフィー処理によって100nmハーフピッチ以下のパターン寸法のレジストパターンが形成される。このようなレジスト膜は、ネガ型であってもポジ型であってもよく、また酸発生剤を含有する化学増幅型のレジスト膜であってもよい。
マスクブランクMに設けられるレジスト膜は、高感度の電子線描画用のレジスト膜であり、リソグラフィー処理によって100nmハーフピッチ以下のパターン寸法のレジストパターンが形成される。このようなレジスト膜は、ネガ型であってもポジ型であってもよく、また酸発生剤を含有する化学増幅型のレジスト膜であってもよい。
<収納方法>
以上のような構成のマスクブランクMを、先に説明したマスクブランク収納ケース1に収納する場合の収納方法は、次のようである。すなわち、マスクブランク収納ケース1に収納される複数のマスクブランクMのうち、ケース本体10の内壁に対向して配置されるマスクブランクMを、レジスト膜が形成された面と逆側の面がケース本体10の内壁に向かうように、ケース側保持部材30に保持させる。つまり、ケース側保持部材30に保持させる複数枚のマスクブランクMのうち、最も外側に配置される両側の2枚については、レジスト膜が設けられた面を内側に向けた状態とする。
以上のような構成のマスクブランクMを、先に説明したマスクブランク収納ケース1に収納する場合の収納方法は、次のようである。すなわち、マスクブランク収納ケース1に収納される複数のマスクブランクMのうち、ケース本体10の内壁に対向して配置されるマスクブランクMを、レジスト膜が形成された面と逆側の面がケース本体10の内壁に向かうように、ケース側保持部材30に保持させる。つまり、ケース側保持部材30に保持させる複数枚のマスクブランクMのうち、最も外側に配置される両側の2枚については、レジスト膜が設けられた面を内側に向けた状態とする。
尚、1枚のマスクブランクMのみを収納する場合には、ケース側保持部材30の中央付近にマスクブランクMを保持させることが好ましい。
次に、マスクブランクMを保持させたケース側保持部材30を、ケース本体10内に所定状態で収納する。次いで、蓋側保持部材40を、ケース側保持部材30の開口部30aから突出しているマスクブランクMの2つの角部に、2つの蓋側保持部材40で外側から挟み込む状態で係止する。この状態で、図2に示したように、ケース本体10に蓋体20をかぶせてケース本体10と蓋体20とを固定する。
以上の後には、図3に示すように、ケース本体10と蓋体20との会合部を覆う状態で、ケース本体および当該蓋体の外周に、粘着剤の層を有するテープ60を巻き付ける。これにより、マスクブランク収納ケース1を密閉する。テープ60は、複数周回で巻き付けることにより、マスクブランク収納ケース1の密閉状態を確実とする。
<マスクブランク収納方法の効果>
以上のようなマスクブランク収納方法によれば、マスクブランク収納ケース1内において、マスクブランクMの最表面に配置されたレジスト膜が、ケース本体10の内壁に対向して配置されることがない。このため、ケース本体10から蓋体20を取り外す際にケース本体10の内壁に沿って内部に流れ込んだ気流に、レジスト膜が曝されることを防止できる。これにより、レジスト膜に対する塵埃の付着による汚染を防止できる。
以上のようなマスクブランク収納方法によれば、マスクブランク収納ケース1内において、マスクブランクMの最表面に配置されたレジスト膜が、ケース本体10の内壁に対向して配置されることがない。このため、ケース本体10から蓋体20を取り外す際にケース本体10の内壁に沿って内部に流れ込んだ気流に、レジスト膜が曝されることを防止できる。これにより、レジスト膜に対する塵埃の付着による汚染を防止できる。
≪マスクブランク収納体≫
図3は、本発明のマスクブランク収納体2の正面図である。この図に示すように、本発明のマスクブランク収納体2は、図2に示したように所定状態でケース本体10を蓋体20で塞いだマスクブランク収納ケース1において、ケース本体10と蓋体20との会合部を覆う状態で、ケース本体10および蓋体20の外周にテープ60が巻き付けられた構成である。
図3は、本発明のマスクブランク収納体2の正面図である。この図に示すように、本発明のマスクブランク収納体2は、図2に示したように所定状態でケース本体10を蓋体20で塞いだマスクブランク収納ケース1において、ケース本体10と蓋体20との会合部を覆う状態で、ケース本体10および蓋体20の外周にテープ60が巻き付けられた構成である。
マスクブランク収納ケース1の内部には、図1を用いて説明したように、所定状態でケース側保持部材30と蓋側保持部材40とに保持されたマスクブランクMが収納されている。ケース本体10の内壁に対向して配置されるマスクブランクMは、先のマスクブランクの収納方法で説明したように、レジスト膜が形成された面と逆側の面がケース本体10の内壁に向かうように、ケース側保持部材30と蓋側保持部材40とに保持されている。
テープ60は、封止用のテープであって、例えばポリエチレンなどの樹脂材料によって構成されたテープ基体の一主側に、低溶出量の粘着剤が塗布された粘着テープであり、ケース本体10および蓋体20の外周に複数周回で、例えば3重で巻き付けられている。
<マスクブランク収納体の効果>
以上のように構成されたマスクブランク収納体2によれば、内部に収納されたマスクブランクMを取り出す際に、テープ60を剥離した場合の剥離帯電によってマスクブランク収納ケース1の外側に溜まった電荷が、比抵抗の高いケース側保持部材30および蓋側保持部材40によって遮断され、マスクブランクMにまで伝達されることが防止される。
以上のように構成されたマスクブランク収納体2によれば、内部に収納されたマスクブランクMを取り出す際に、テープ60を剥離した場合の剥離帯電によってマスクブランク収納ケース1の外側に溜まった電荷が、比抵抗の高いケース側保持部材30および蓋側保持部材40によって遮断され、マスクブランクMにまで伝達されることが防止される。
したがって、外部からの余分な電荷をマスクブランクMのレジスト膜に対して加えることなく、マスクブランク収納ケース1内からマスクブランクMを取り出すことが可能になる。この結果、マスクブランクMのレジスト膜の電荷による劣化を防止することができ、レジスト膜の品質を確保することが可能になる。
以下、本発明を適用した実施例1〜7、比較例、および実験例を説明する。先ず、以下のようにして、実施例1〜7、比較例、および実験例で用いたマスクブランクを製造した。
≪マスクブランクの製造≫
―基板―
主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.25mmの合成石英ガラスからなる透光性を有する基板を準備した。
―基板―
主表面の寸法が約152mm×約152mmで、厚さが約6.25mmの合成石英ガラスからなる透光性を有する基板を準備した。
―薄膜:光半透過膜(位相シフトマスク膜)―
合成石英ガラスからなる基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、光半透過膜であるMoSiN膜を、位相シフト膜として成膜した。この際、スパッタターゲットとしてモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(モル%比 Mo:Si=10:90)を用い、スパッタリングガスとしてアルゴン(Ar)、窒素(N2)およびヘリウム(He)の混合ガス(流量比 Ar:N2:He=5:49:46,圧力=0.3Pa)を用い、反応性スパッタリング(DCスパッタリング:DC電力3.0kW)により、MoSiN膜からなる光半透過膜を膜厚69nmで成膜した。
合成石英ガラスからなる基板上に、枚葉式スパッタ装置を用いて、光半透過膜であるMoSiN膜を、位相シフト膜として成膜した。この際、スパッタターゲットとしてモリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(モル%比 Mo:Si=10:90)を用い、スパッタリングガスとしてアルゴン(Ar)、窒素(N2)およびヘリウム(He)の混合ガス(流量比 Ar:N2:He=5:49:46,圧力=0.3Pa)を用い、反応性スパッタリング(DCスパッタリング:DC電力3.0kW)により、MoSiN膜からなる光半透過膜を膜厚69nmで成膜した。
次いで、上記MoSiN膜が形成された基板に対して、加熱炉を用いて、大気中で加熱温度を450℃、加熱時間を1時間として、加熱処理を行った。このMoSiN膜は、ArFエキシマレーザー光(波長λ=193nm)に対して、透過率6.16%、位相差184.4度となっていた。尚、波長λ=193nmのArFエキシマレーザー光は、マスクブランクを用いて作製された位相シフトマスクを用いて電子デバイスを作製する際のリソグラフィーにおける露光光の波長の一例である。
―薄膜:遮光膜―
次に、光半透過膜上に、枚葉式DCスパッタ装置を用いて、3層構造の遮光膜を成膜した。この際、先ずスパッタリングターゲットとしてクロム(Cr)ターゲットを用い、スパッタリングガスとしてアルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)およびヘリウム(He)の混合ガス(流量比 Ar:CO2:N2:He=20:35:10:30,圧力=0.2Pa)用い、反応性スパッタリング(DCスパッタリング:DC電力1.7kW)により、CrOCN膜を膜厚30nmで成膜した(第一遮光膜)。
次に、光半透過膜上に、枚葉式DCスパッタ装置を用いて、3層構造の遮光膜を成膜した。この際、先ずスパッタリングターゲットとしてクロム(Cr)ターゲットを用い、スパッタリングガスとしてアルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)およびヘリウム(He)の混合ガス(流量比 Ar:CO2:N2:He=20:35:10:30,圧力=0.2Pa)用い、反応性スパッタリング(DCスパッタリング:DC電力1.7kW)により、CrOCN膜を膜厚30nmで成膜した(第一遮光膜)。
その上に、スパッタリングターゲットとして同じクロム(Cr)ターゲットを用い、スパッタリングガスとしてアルゴン(Ar)および窒素(N2)の混合ガス(流量比 Ar:N2=25:75,圧力=0.1Pa)を用い、反応性スパッタリング(DCスパッタリング:DC電力1.7kW)により、CrN膜を4nmの厚さで成膜した(第二遮光膜)。
その上に、スパッタリングターゲットとして同じクロム(Cr)ターゲットを用い、スパッタリングガスとしてアルゴン(Ar)、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)およびヘリウム(He)の混合ガス(流量比 Ar:CO2:N2:He=20:35:5:30,圧力=0.2Pa)を用い、反応性スパッタリング(DCスパッタリング:DC電力1.7kW)により、クロムリッチなCrOCN膜を膜厚14nmで成膜した(第三遮光膜)。
以上の手順により、光半透過膜(位相シフトマスク膜)側からCrOCNからなる最下層の第一遮光膜、CrNからなる中間層の第二遮光膜、CrOCNからなる上層の第三遮光膜の3層構造からなるクロム系材料の遮光膜を合計膜厚48nmで形成した。
以上の手順により、薄膜付基板を得た。なお、光半透過膜と遮光膜とを合わせたときの光学濃度は3.0(λ=193nm)であった。また、露光光の波長(λ=193nm)に対する遮光膜の表面反射率は20%であった。
―レジスト膜―
次いで、遮光膜上に、化学増幅型ネガレジスト(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製「XFN003H2」)をスピンコート法によって塗布後、130℃で600秒間加熱することで、厚さ100nmのレジスト膜を形成した。
次いで、遮光膜上に、化学増幅型ネガレジスト(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製「XFN003H2」)をスピンコート法によって塗布後、130℃で600秒間加熱することで、厚さ100nmのレジスト膜を形成した。
以上により、基板上に、光半透過膜(位相シフトマスク膜)、遮光膜、およびレジスト膜をこの順に設けたマスクブランクを作製した。
≪マスクブランク収納ケースの構成≫
下記表1には、各実施例1〜7、比較例、および実験例で用いたマスクブランク収納ケースの各部の材質を示す。各実施例1〜7、比較例、および実験例で用いたマスクブランク収納ケースは、図1を用いて説明したと同様の、ケース本体10、蓋体20、ケース側保持部材30、および蓋側保持部材40で構成された構造であり、それぞれ以下のような材質である。
下記表1には、各実施例1〜7、比較例、および実験例で用いたマスクブランク収納ケースの各部の材質を示す。各実施例1〜7、比較例、および実験例で用いたマスクブランク収納ケースは、図1を用いて説明したと同様の、ケース本体10、蓋体20、ケース側保持部材30、および蓋側保持部材40で構成された構造であり、それぞれ以下のような材質である。
<実施例1>
ケース本体10および蓋体20は、ポリカーボネート(PC)に、粉末状のカーボン(いわゆるカーボンブラック:BC)を混練することで、比抵抗を103[Ω・cm]以下とした樹脂で構成した。
ケース本体10および蓋体20は、ポリカーボネート(PC)に、粉末状のカーボン(いわゆるカーボンブラック:BC)を混練することで、比抵抗を103[Ω・cm]以下とした樹脂で構成した。
ケース側保持部材30と蓋側保持部材40は、ポリブチレンテレフタラート(PBT:比抵抗1018[Ω・cm])で構成した。
<実施例2>
ケース側保持部材30を、カーボンブラックを混練していないポリカーボネート(PC:比抵抗1016[Ω・cm])で構成したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
ケース側保持部材30を、カーボンブラックを混練していないポリカーボネート(PC:比抵抗1016[Ω・cm])で構成したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
<実施例3>
ケース側保持部材30を、ポリアセタール樹脂(POM)であるデルリン(デュポン社製登録商標:比抵抗1014[Ω・cm])で構成したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
ケース側保持部材30を、ポリアセタール樹脂(POM)であるデルリン(デュポン社製登録商標:比抵抗1014[Ω・cm])で構成したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
<実施例4>
ケース側保持部材30を、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS:比抵抗5×1012[Ω・cm])で構成したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
ケース側保持部材30を、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS:比抵抗5×1012[Ω・cm])で構成したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
<実施例5>
ケース側保持部材30を、低密度ポリエチレン(LDPE:5×1016[Ω・cm])で構成したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
ケース側保持部材30を、低密度ポリエチレン(LDPE:5×1016[Ω・cm])で構成したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
<実施例6>
蓋体20を、ポリメチルメタクリレート(PMMA:5×1015[Ω・cm])に赤色顔料を分散させた樹脂で構成し、少なくとも波長λ=550nm以下の光の透過を抑制したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
蓋体20を、ポリメチルメタクリレート(PMMA:5×1015[Ω・cm])に赤色顔料を分散させた樹脂で構成し、少なくとも波長λ=550nm以下の光の透過を抑制したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
<実施例7>
ケース本体10と蓋体20とを、ポリプロピレンカーボネート(PPC)にカーボンブラックを混練することで、比抵抗を105[Ω・cm]に調整した樹脂で構成したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
ケース本体10と蓋体20とを、ポリプロピレンカーボネート(PPC)にカーボンブラックを混練することで、比抵抗を105[Ω・cm]に調整した樹脂で構成したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
<比較例>
ケース側保持部材30を、ポリカーボネート(PC)にカーボンブラック(CB)を混練することで比抵抗を103[Ω・cm]に調整した樹脂で構成したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
ケース側保持部材30を、ポリカーボネート(PC)にカーボンブラック(CB)を混練することで比抵抗を103[Ω・cm]に調整した樹脂で構成したことを除き、実施例1と同様の構成のマスクブランク収納ケースを用意した。
<実験例>
実施例1の構成のマスクブランク収納ケースを用意し、ケース本体10と、内部に収納したマスクブランクMの遮光膜(クロム系膜)をアルミニウム箔で接続し、マスクブランクMとケース本体10との間に強制的に電気的接続性を付与した。
実施例1の構成のマスクブランク収納ケースを用意し、ケース本体10と、内部に収納したマスクブランクMの遮光膜(クロム系膜)をアルミニウム箔で接続し、マスクブランクMとケース本体10との間に強制的に電気的接続性を付与した。
≪マスクブランク収納体の作製≫
以上のように構成された実施例1〜7、比較例、および実験例のマスクブランク収納ケース1内に、作製した5枚のマスクブランクMを実施形態において説明した所定状態で収納した。先ず、ケース側保持部材30内に、5枚のマスクブランクMを所定状態で収納した。次に、マスクブランクMが収納されたケース側保持部材30を、ケース本体10内に収納した。次いで、蓋側保持部材40を、ケース側保持部材30の開口部30aから突出しているマスクブランクMの2つの角部に、2つの蓋側保持部材40で外側から挟み込む状態で係止した。この状態で、図2に示したように、ケース本体10の開口部10aに蓋体20をかぶせて固定した。そして、図3に示したように、ケース本体10と蓋体20との会合部を覆う状態で、ケース本体および当該蓋体の外周に、ポリエチレン製の粘着テープ60を3周巻き付けた。これにより、マスクブランク収納ケース1を密閉した、実施例1〜7、比較例、および実験例の各マスクブランク収納体2を作製した。
以上のように構成された実施例1〜7、比較例、および実験例のマスクブランク収納ケース1内に、作製した5枚のマスクブランクMを実施形態において説明した所定状態で収納した。先ず、ケース側保持部材30内に、5枚のマスクブランクMを所定状態で収納した。次に、マスクブランクMが収納されたケース側保持部材30を、ケース本体10内に収納した。次いで、蓋側保持部材40を、ケース側保持部材30の開口部30aから突出しているマスクブランクMの2つの角部に、2つの蓋側保持部材40で外側から挟み込む状態で係止した。この状態で、図2に示したように、ケース本体10の開口部10aに蓋体20をかぶせて固定した。そして、図3に示したように、ケース本体10と蓋体20との会合部を覆う状態で、ケース本体および当該蓋体の外周に、ポリエチレン製の粘着テープ60を3周巻き付けた。これにより、マスクブランク収納ケース1を密閉した、実施例1〜7、比較例、および実験例の各マスクブランク収納体2を作製した。
≪評価方法≫
実施例1〜7、比較例、および実験例の各マスクブランク収納体2に対し、下記静電気放電イミュニティ試験を実施した。その後、直ちに各マスクブランク収納体2のテープ60を剥離して内部からマスクブランクMを取り出し、それぞれのレジスト膜に対して下記リソグラフィー処理を施し、これによって作製されたレジストパターンの形状精度を確認するレジスト膜評価を実施した。
実施例1〜7、比較例、および実験例の各マスクブランク収納体2に対し、下記静電気放電イミュニティ試験を実施した。その後、直ちに各マスクブランク収納体2のテープ60を剥離して内部からマスクブランクMを取り出し、それぞれのレジスト膜に対して下記リソグラフィー処理を施し、これによって作製されたレジストパターンの形状精度を確認するレジスト膜評価を実施した。
<静電気放電イミュニティ試験(JIS C 61000-4-2)>
(1)電場印加条件:印加電圧:−20kV
ポリエチレン製の粘着テープをマスクブランク収納ケース1から剥離した場合に生じる剥離帯電に基づく電位変化が-7kV、ケース本体10および蓋体20への静電気に基づく電位が−20kVであることを考慮して設定した。
(2)静電気試験機:NoiseKen ESS-2002(株式会社ノイズ研究所製商品名)
(1)電場印加条件:印加電圧:−20kV
ポリエチレン製の粘着テープをマスクブランク収納ケース1から剥離した場合に生じる剥離帯電に基づく電位変化が-7kV、ケース本体10および蓋体20への静電気に基づく電位が−20kVであることを考慮して設定した。
(2)静電気試験機:NoiseKen ESS-2002(株式会社ノイズ研究所製商品名)
<レジストパターンの作製>
実施例1〜7、比較例、および実験例のマスクブランク収納体2のテープ60を剥離し、中央部に収納された各1枚のマスクブランクMを取り出した。取り出したマスクブランクMにおいて十分に離間した5か所(四隅と中央部)のレジスト膜に対し、電子線描画の際のドーズ量(単位面積当たりの電荷量)を下記5段階に変化させたリソグラフィー処理を実施し、レジストパターンを形成した。
実施例1〜7、比較例、および実験例のマスクブランク収納体2のテープ60を剥離し、中央部に収納された各1枚のマスクブランクMを取り出した。取り出したマスクブランクMにおいて十分に離間した5か所(四隅と中央部)のレジスト膜に対し、電子線描画の際のドーズ量(単位面積当たりの電荷量)を下記5段階に変化させたリソグラフィー処理を実施し、レジストパターンを形成した。
(1)レジストパターンの設計形状
図4に示す、ラインアンドスペース(L/S)のレジストパターンPを、ラインLの設計幅200nm、スペースSの設計幅200nmとして形成した。尚、レジストパターンPは、周辺にレジスト膜がフレーム状に形成されるように設計した。
図4に示す、ラインアンドスペース(L/S)のレジストパターンPを、ラインLの設計幅200nm、スペースSの設計幅200nmとして形成した。尚、レジストパターンPは、周辺にレジスト膜がフレーム状に形成されるように設計した。
(2)リソグラフィー条件
・描画装置:日本電子社製 JBXシリーズ 可変成形ビーム型描画装置
・ドーズ量:標準(32μC/cm2)、+10%、+12%、+14%、+16%
・PEB(露光後熱処理):110℃、10分
・現像機:ASP−5500(ズースマイクロテック社製)
・現像液:TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドライド)2.38%溶液
・描画装置:日本電子社製 JBXシリーズ 可変成形ビーム型描画装置
・ドーズ量:標準(32μC/cm2)、+10%、+12%、+14%、+16%
・PEB(露光後熱処理):110℃、10分
・現像機:ASP−5500(ズースマイクロテック社製)
・現像液:TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドライド)2.38%溶液
<レジスト膜評価>
マスクブランクMの5か所に形成された各レジストパターンPの形状を、次のように評価した。
マスクブランクMの5か所に形成された各レジストパターンPの形状を、次のように評価した。
・評価装置:CD−SEM(critical dimension SEM)、LWM9045(Advantest社製商品名)
・評価方法:レジストパターンPの形状精度の確認として、レジストパターンPのセンター部P1とコーナー部P2におけるかぶり現象の発生状態を確認した。ここで「かぶり」とは、露光されていない領域にレジストが露光されたような現象が生じている状態である。ここで用いたネガレジストの場合は、現像した時に露光されていない領域(スペースSの部分)に、わずかにレジストが残っているような状態を言う。
・評価方法:レジストパターンPの形状精度の確認として、レジストパターンPのセンター部P1とコーナー部P2におけるかぶり現象の発生状態を確認した。ここで「かぶり」とは、露光されていない領域にレジストが露光されたような現象が生じている状態である。ここで用いたネガレジストの場合は、現像した時に露光されていない領域(スペースSの部分)に、わずかにレジストが残っているような状態を言う。
≪評価結果≫
上記表1には、実施例1〜7、比較例、および実験例の各マスクブランクMに形成されたレジストパターンの形状の評価結果を合わせて示した。表1中、かぶりが生じていなかった場合は「○○」、スペースSのパターンに対してわずかな補正することで良品となる場合は「○」、補正が困難なほどかぶりが生じている場合は「×」と標記した。
上記表1には、実施例1〜7、比較例、および実験例の各マスクブランクMに形成されたレジストパターンの形状の評価結果を合わせて示した。表1中、かぶりが生じていなかった場合は「○○」、スペースSのパターンに対してわずかな補正することで良品となる場合は「○」、補正が困難なほどかぶりが生じている場合は「×」と標記した。
また下記表2および表3には、実施例1、実施例7、比較例、および実験例の各マスクブランクMに形成されたレジストパターンPのSEM像を示す。
表1〜表3に示すように、実施例1〜7におけるレジストのパターン形状は、電子線描画による露光の際のドーズ量を、+12%まで増やしても、かぶりの程度を低く抑えて設計幅200nmのL/Sパターンの形成が可能であった。
このことから、実施例1〜7のマスクブランク収納ケース1およびマスクブランク収納体2によれば、テープ60の剥離によってケース本体10および蓋体20の表面が剥離帯電した場合であっても、内部に収納されたレジスト膜の劣化を防止できることが確認された。
これは、剥離帯電によってケース本体10および蓋体20の表面に溜まった電荷が、ケース本体10および蓋体20よりも比抵抗の高いケース側保持部材30および蓋側保持部材40によって遮断されて、マスクブランクMにまで伝達されることがなく、これによりマスクブランクMのレジスト膜に余分な電荷が加わることが防止され、電子線描画に対する影響を抑えられたためと考えられる。
これに対して比較例のマスクブランク収納ケース1およびマスクブランク収納体2では、特にコーナー部P2におけるレジストのパターン形状が、電子線描画による露光の際のドーズ量に係らず、かぶりの程度が大きく設計幅200nmのL/Sパターンの形成が困難であった。
これは、比較例においては、ケース側保持部材30が、ケース本体10および蓋体20と同様の材質で構成されて比抵抗が同じであるため、剥離帯電によってケース本体10および蓋体20の表面に溜まった電荷がマスクブランクMの表面まで伝達され、電子線描画を実施する前のレジスト膜に対して影響を及ぼし、電子線描画時には過剰なドーズ量で電荷が加わった状態となって、かぶり現象が生じたものと考えられる。
以上のようなかぶり現象が発生するメカニズムは、ケース本体10とマスクブランクMの遮光膜とをアルミニウムで接続した実験例でも、比較例と同様にかぶり現象が生じていたことからも明らかである。
また上記メカニズムは、レジストパターンPのセンター部P1よりも、電子線描画における全体的な電子線の照射量が多いコーナー部P2において、ドーズ量の変動に対してかぶり現象の発生が顕著であることからも明らかである。
つまり、コーナー部P2には、周辺部分のフレーム状を形成するために電子線描画における電子線の照射量が全体として多いため、この部分からL/S部分に伝搬してきた電荷も、センター部P1よりも多い。このため、コーナー部P2ではかぶり現象が生じやすかったものと考えられる。
通常、マスクブランクMを用いて作製される位相シフトマスクなどのフォトマスクは、周辺のフレーム状の部分に、位置合わせ用のアライメントマークが形成される。したがって、本発明の適用により、電子線の照射量が多いフレーム状の部分にも、形状精度良好にレジストパターンを形成可能な程度に、レジスト膜の品質を確保できることが確認された。
1…マスクブランク収納ケース、2…マスクブランク収納体、10…ケース本体、10a…開口部(ケース本体)、20…蓋体、M…マスクブランク、30…ケース側保持部材(ブランク保持部材)、40…蓋側保持部材(ブランク保持部材)、60…テープ
Claims (7)
- 開口部を有するケース本体と、
前記ケース本体の開口部を塞ぐ蓋体と、
前記蓋体で塞がれた前記ケース本体内においてマスクブランクを保持するブランク保持部材とを備え、
前記ブランク保持部材は、前記ケース本体および蓋体に対してマスクブランクを非接触として保持するもので、前記ケース本体および前記蓋体よりも比抵抗が高い
マスクブランク収納ケース。 - 前記ケース本体および前記蓋体は、前記ブランク保持部材よりもカーボンブラックの含有量が多い
請求項1に記載のマスクブランク収納ケース。 - 前記ブランク保持部材は、前記ケース本体に収納されるケース側保持部材と、当該ケース側保持部材との間にマスクブランクを挟持して前記蓋体側に収納される蓋側保持部材とで構成された
請求項1または2に記載のマスクブランク収納ケース。 - 請求項1〜3の何れかに記載のマスクブランク収納ケースと、
前記マスクブランク収納ケース内に収納されたマスクブランクと、
前記ケース本体と前記蓋体との会合部を覆う状態で当該ケース本体および当該蓋体の外周に巻き付けられた封止用のテープとを備えた
マスクブランク収納体。 - 前記ブランク保持部材は、複数枚の前記マスクブランクを保持するもので、
前記各マスクブランクは、基板の一主面側の上方にレジスト膜が設けられたものであり、
前記複数のマスクブランクのうち、前記ケース本体の内壁に対向して配置されたマスクブランクは、前記レジスト膜が形成された面と逆側の面を当該ケース本体の内壁に向けて配置されている
請求項4に記載のマスクブランク収納体。 - 基板の一主面側の上方にレジスト膜が設けられた複数のマスクブランクを請求項1〜3の何れかのマスクブランク収納ケースに収納する際、
前記ケース本体の内壁に対向して配置されるマスクブランクを、前記レジスト膜が形成された面と逆側の面が当該ケース本体の内壁に向かうように前記ブランク保持部材に保持させる
マスクブランク収納方法。 - 前記レジスト膜は、電子線描画型レジストからなる
請求項6に記載のマスク収納方法。
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JP2018124526A (ja) * | 2016-04-07 | 2018-08-09 | 信越化学工業株式会社 | フォトマスクブランクス基板収納容器、フォトマスクブランクス基板の保管方法、及びフォトマスクブランクス基板の輸送方法 |
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- 2015-03-27 JP JP2015066798A patent/JP2016186571A/ja active Pending
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