JP2016186096A - アルミニウム合金製ブレージングシート - Google Patents
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【課題】耐エロージョン・コロージョン性に優れるアルミニウム合金製ブレージングシートを提供する。【解決手段】アルミニウム合金製ブレージングシート1は、心材2と、心材2の一方の面に設けられた犠牲陽極材3と、心材2の他方の面に設けられたろう材4とを有し、犠牲陽極材3は、Si:0.5〜1.5質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Zn:3.0〜6.0質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、犠牲陽極材3の厚さが35〜65μmであることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、自動車用熱交換器等に使用されるアルミニウム合金製ブレージングシートに関する。
一般に、自動車用のエバポレータやコンデンサ等の熱交換器におけるチューブ材等の材料としては、アルミニウム合金製ブレージングシートが使用されている。
例えば、特許文献1には、アルミニウム合金からなる心材の片面にアルミニウム合金ろう材をクラッドし、他方の面に犠牲陽極皮材をクラッドした熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートが開示されている。このブレージングシートは、犠牲陽極皮材にZn、Si、Ni、Mn、Tiを所定量含有し、さらにZr、Cr、Co、Ce、Srの内の1種または2種以上を所定量含有し、さらに、Mgを所定量含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなるものである。
例えば、特許文献1には、アルミニウム合金からなる心材の片面にアルミニウム合金ろう材をクラッドし、他方の面に犠牲陽極皮材をクラッドした熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートが開示されている。このブレージングシートは、犠牲陽極皮材にZn、Si、Ni、Mn、Tiを所定量含有し、さらにZr、Cr、Co、Ce、Srの内の1種または2種以上を所定量含有し、さらに、Mgを所定量含有し、残りがAlおよび不可避不純物からなるものである。
特許文献1に記載の熱交換器用アルミニウム合金ブレージングシートでは、耐食性に優れた犠牲陽極材とするように添加成分が選定されている。しかし、この犠牲陽極材では硬度が不足しており、冷却水が高速で流れた際のエロージョン・コロージョンによる貫通腐食を抑制できないという問題がある。
本発明は、前記課題を解決するものであり、耐エロージョン・コロージョン性に優れるアルミニウム合金製ブレージングシートを提供することを課題とする。
本発明者は、従来のAl−Zn系合金にSi、Mnを添加することで硬度が上昇し、犠牲陽極材の自己消耗性を抑制できるため、耐エロージョン・コロージョン性を向上させることができることを見出した。さらに、犠牲陽極材の組成および厚さを規定することで、犠牲陽極材の硬さおよびZn拡散を制御でき、これにより、耐エロージョン・コロージョン性を向上させることができることを見出した。
すなわち、本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、心材と、前記心材の一方の面に設けられた犠牲陽極材と、前記心材の他方の面に設けられたろう材とを有し、前記犠牲陽極材は、Si:0.5〜1.5質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Zn:3.0〜6.0質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、前記犠牲陽極材の厚さが35〜65μmであることを特徴とする。
このような構成によれば、アルミニウム合金製ブレージングシートは、犠牲陽極材がSi、Mnを所定量含有することで、犠牲陽極材の硬度が上昇し、Znを所定量含有することで、犠牲陽極材の耐食性が向上する。
また、アルミニウム合金製ブレージングシートは、犠牲陽極材の厚さを規定することで、犠牲陽極材の耐食性が向上するとともに、犠牲陽極材の自己消耗性が抑制される。
また、アルミニウム合金製ブレージングシートは、犠牲陽極材の厚さを規定することで、犠牲陽極材の耐食性が向上するとともに、犠牲陽極材の自己消耗性が抑制される。
また、本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、前記犠牲陽極材において、さらに、前記不可避的不純物としてのFeが0.30質量%未満であることが好ましい。
このような構成によれば、アルミニウム合金製ブレージングシートは、犠牲陽極材の自己消耗性が抑制される。
このような構成によれば、アルミニウム合金製ブレージングシートは、犠牲陽極材の自己消耗性が抑制される。
また、本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、前記心材が、Si:0.4〜1.5質量%、Mn:0.6〜2.0質量%、Cu:0.3〜1.2質量%、Ti:0.02〜0.3質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなることが好ましい。
このような構成によれば、アルミニウム合金製ブレージングシートは、心材の強度、ろう付性および耐食性が向上する。
このような構成によれば、アルミニウム合金製ブレージングシートは、心材の強度、ろう付性および耐食性が向上する。
また、本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、前記心材が、Cr:0.02〜0.2質量%、Zr:0.02〜0.2質量%のうちの1種または2種をさらに含有することが好ましい。
このような構成によれば、アルミニウム合金製ブレージングシートは、心材の破壊靭性および疲労強度が向上する。
このような構成によれば、アルミニウム合金製ブレージングシートは、心材の破壊靭性および疲労強度が向上する。
本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートは、耐エロージョン・コロージョン性に優れる。
以下、本発明に係るアルミニウム合金製ブレージングシートについて具体的に説明する。
≪アルミニウム合金製ブレージングシート≫
図1に示すように、アルミニウム合金製ブレージングシート(以下、適宜、ブレージングシートという)1は、心材2と、心材2の一方の面に設けられた犠牲陽極材3と、心材2の他方の面に設けられたろう材4とを有する3層からなるものである。
≪アルミニウム合金製ブレージングシート≫
図1に示すように、アルミニウム合金製ブレージングシート(以下、適宜、ブレージングシートという)1は、心材2と、心材2の一方の面に設けられた犠牲陽極材3と、心材2の他方の面に設けられたろう材4とを有する3層からなるものである。
《犠牲陽極材》
犠牲陽極材3は、Si、Mn、Znを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、さらに所定の厚さとしたものである。また、犠牲陽極材3は、不可避的不純物としてのFe含有量を所定とすることが好ましい。以下、犠牲陽極材3の各成分の限定理由について説明する。なお、各成分の含有量は、犠牲陽極材3全体についての含有量である。
犠牲陽極材3は、Si、Mn、Znを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、さらに所定の厚さとしたものである。また、犠牲陽極材3は、不可避的不純物としてのFe含有量を所定とすることが好ましい。以下、犠牲陽極材3の各成分の限定理由について説明する。なお、各成分の含有量は、犠牲陽極材3全体についての含有量である。
<Si:0.5〜1.5質量%>
Siは母相に固溶することで犠牲陽極材3の硬度を向上させる元素である。Si含有量が0.5質量%未満では、上記効果が十分ではなく、1.5質量%を超えると犠牲陽極材3の固相線温度が低下して、溶融を招く。そのため、Siの含有量は、0.5〜1.5質量%とする。Si含有量は、硬度を向上させる観点から、好ましくは0.7質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上である。また、固相線温度の低下を抑制する観点から、好ましくは1.2質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下である。
Siは母相に固溶することで犠牲陽極材3の硬度を向上させる元素である。Si含有量が0.5質量%未満では、上記効果が十分ではなく、1.5質量%を超えると犠牲陽極材3の固相線温度が低下して、溶融を招く。そのため、Siの含有量は、0.5〜1.5質量%とする。Si含有量は、硬度を向上させる観点から、好ましくは0.7質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上である。また、固相線温度の低下を抑制する観点から、好ましくは1.2質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下である。
<Mn:0.1〜1.5質量%>
MnはAl−Mn系化合物を晶出または析出して、ろう付後の犠牲陽極材3の硬度を向上させる元素である。Mn含有量が0.1質量%未満では、上記効果が十分ではなく、1.5質量%を超えると鋳造時に巨大な金属間化合物が晶出し、製造を阻害する恐れがある。そのため、Mnの含有量は、0.1〜1.5質量%とする。Mn含有量は、硬度を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上である。また、巨大な金属間化合物の晶出を抑制する観点から、好ましくは1.2質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下である。
MnはAl−Mn系化合物を晶出または析出して、ろう付後の犠牲陽極材3の硬度を向上させる元素である。Mn含有量が0.1質量%未満では、上記効果が十分ではなく、1.5質量%を超えると鋳造時に巨大な金属間化合物が晶出し、製造を阻害する恐れがある。そのため、Mnの含有量は、0.1〜1.5質量%とする。Mn含有量は、硬度を向上させる観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上である。また、巨大な金属間化合物の晶出を抑制する観点から、好ましくは1.2質量%以下、より好ましくは1.1質量%以下である。
<Zn:3.0〜6.0質量%>
Znは犠牲陽極材3の電位を卑にすることができ、心材2との電位差を形成することで犠牲防食効果により耐食性を向上させる元素である。Zn含有量が3.0質量%未満では、上記効果が十分ではなく、6.0質量%を超えると自己消耗性が大きくなり、早期に犠牲陽極材3が消失して耐食性が低下する。そのため、Znの含有量は、3.0〜6.0質量%とする。Zn含有量は、耐食性を向上させる観点から、好ましくは3.5質量%以上、より好ましくは3.7質量%以上である。また、自己消耗性を抑制する観点から、好ましくは5.5質量%以下、より好ましくは5.3質量%以下である。
なお、Zn含有量が3.0質量%未満では、後述するY/X値が0.45以上となり、6.0質量%を超えると、Y/X値が0.25以下となる。
Znは犠牲陽極材3の電位を卑にすることができ、心材2との電位差を形成することで犠牲防食効果により耐食性を向上させる元素である。Zn含有量が3.0質量%未満では、上記効果が十分ではなく、6.0質量%を超えると自己消耗性が大きくなり、早期に犠牲陽極材3が消失して耐食性が低下する。そのため、Znの含有量は、3.0〜6.0質量%とする。Zn含有量は、耐食性を向上させる観点から、好ましくは3.5質量%以上、より好ましくは3.7質量%以上である。また、自己消耗性を抑制する観点から、好ましくは5.5質量%以下、より好ましくは5.3質量%以下である。
なお、Zn含有量が3.0質量%未満では、後述するY/X値が0.45以上となり、6.0質量%を超えると、Y/X値が0.25以下となる。
<残部:Alおよび不可避的不純物>
犠牲陽極材3の残部はAlおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、例えば、Mg、Cr、Zr、Fe、In、Sn等が挙げられる。
犠牲陽極材3の残部はAlおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、例えば、Mg、Cr、Zr、Fe、In、Sn等が挙げられる。
<不可避的不純物としてのFe:0.30質量%未満>
Feは自己消耗性を増大させる元素である。そのため、Feは積極的に添加せず、不可避的不純物に含有されるのみとする。不可避的不純物としての含有量は、自己消耗性を抑制するため、0.30質量%未満であることが好ましい。Fe含有量は、自己消耗性を抑制する観点から、より好ましくは0.25質量%以下である。下限値については少ないほど好ましいが、0質量%とすることは困難なため、0.05質量%を下限値とすればよい。
Feは自己消耗性を増大させる元素である。そのため、Feは積極的に添加せず、不可避的不純物に含有されるのみとする。不可避的不純物としての含有量は、自己消耗性を抑制するため、0.30質量%未満であることが好ましい。Fe含有量は、自己消耗性を抑制する観点から、より好ましくは0.25質量%以下である。下限値については少ないほど好ましいが、0質量%とすることは困難なため、0.05質量%を下限値とすればよい。
<犠牲陽極材の特性>
ブレージングシート1は、当該ブレージングシート1を590℃×6分加熱する、ろう付相当加熱処理後の犠牲陽極材3のビッカース硬さが35Hv以上となる。
さらに、ろう付相当加熱処理後の犠牲陽極材3の表面近傍の最大Zn濃度(X)と、犠牲陽極材3と心材2との界面から30μmの位置でのZn濃度(Y)との比(Y/X値)が、下記式(1)の関係を満たす。
ブレージングシート1は、当該ブレージングシート1を590℃×6分加熱する、ろう付相当加熱処理後の犠牲陽極材3のビッカース硬さが35Hv以上となる。
さらに、ろう付相当加熱処理後の犠牲陽極材3の表面近傍の最大Zn濃度(X)と、犠牲陽極材3と心材2との界面から30μmの位置でのZn濃度(Y)との比(Y/X値)が、下記式(1)の関係を満たす。
0.25<Y/X<0.45・・・(1)
X:ろう付相当加熱処理後の犠牲陽極材3の表面近傍の最大Zn濃度
Y:ろう付相当加熱処理後の犠牲陽極材3と心材2との界面から30μmの位置のZn濃度
X:ろう付相当加熱処理後の犠牲陽極材3の表面近傍の最大Zn濃度
Y:ろう付相当加熱処理後の犠牲陽極材3と心材2との界面から30μmの位置のZn濃度
ろう付相当加熱処理後の犠牲陽極材3のビッカース硬さ、および、Y/X値について説明する。なお、本発明において「ろう付相当加熱処理」とは、590×6分の加熱をいうものとする。また、「犠牲陽極材3の表面近傍」とは、犠牲陽極材3の表面からの、当該表面に垂直な犠牲陽極材3の内面方向の10μmの範囲である。また、「犠牲陽極材3と心材2との界面から30μmの位置」とは、犠牲陽極材3と心材2との界面からの、当該界面に垂直な犠牲陽極材3の表面方向の30μmの位置である。
(ビッカース硬さ:35Hv以上)
チューブ内部を冷却水が高速で流れる際に、エロージョン・コロージョンが発生することがある。しかしながら、犠牲陽極材3の硬度をある一定以上とすることによりエロージョンやコロージョンによる犠牲陽極材3の消耗を抑制できることを本発明者は見出した。犠牲陽極材3のろう付相当加熱処理後のビッカース硬さが35Hv未満の場合には、消耗抑制効果が十分に得られない。そのため、ビッカース硬さは35Hv以上とする。ビッカース硬さは、犠牲陽極材3の消耗を抑制する観点から、好ましくは40Hv以上である。なお、上限値については、心材との強度差の観点から、例えば心材硬度以下とすればよい。
チューブ内部を冷却水が高速で流れる際に、エロージョン・コロージョンが発生することがある。しかしながら、犠牲陽極材3の硬度をある一定以上とすることによりエロージョンやコロージョンによる犠牲陽極材3の消耗を抑制できることを本発明者は見出した。犠牲陽極材3のろう付相当加熱処理後のビッカース硬さが35Hv未満の場合には、消耗抑制効果が十分に得られない。そのため、ビッカース硬さは35Hv以上とする。ビッカース硬さは、犠牲陽極材3の消耗を抑制する観点から、好ましくは40Hv以上である。なお、上限値については、心材との強度差の観点から、例えば心材硬度以下とすればよい。
(0.25<Y/X<0.45)
チューブ内部を冷却水が高速で流れる際に、エロージョン・コロージョンが発生することがある。しかしながら、EPMA(Electron Probe MicroAnalyser)によるZnの拡散プロファイルにおいて、Y/X値をある一定範囲とすることにより、エロージョン・コロージョンによる犠牲陽極材3の消耗を抑制できることを本発明者は見出した。
チューブ内部を冷却水が高速で流れる際に、エロージョン・コロージョンが発生することがある。しかしながら、EPMA(Electron Probe MicroAnalyser)によるZnの拡散プロファイルにおいて、Y/X値をある一定範囲とすることにより、エロージョン・コロージョンによる犠牲陽極材3の消耗を抑制できることを本発明者は見出した。
Y/X値が0.25以下では犠牲陽極材3の自己消耗性が大きくなり、早期に犠牲陽極材3が消失して、耐エロージョン・コロージョン性が低下する。一方、Y/X値が0.45以上では、心材2に対し電位が十分に卑にならず、耐食性が低下する。そのため、Y/X値は0.25を超えて0.45未満とする。Y/X値は、自己消耗性を抑制する観点から、好ましくは0.3以上である。また、電位を卑にする観点から、好ましくは0.4以下である。
ろう付相当加熱処理後の犠牲陽極材3のビッカース硬さ、および、Y/X値は、犠牲陽極材3の成分、および、犠牲陽極材3の板厚により制御する。すなわち、犠牲陽極材3の成分、および、犠牲陽極材3の板厚が本発明の規定を満たせば、ビッカース硬さが35Hv以上、かつY/X値が0.25を超えて0.45未満となる。
<犠牲陽極材の厚さ:35〜65μm>
犠牲陽極材3の厚さが35μm未満では、Y/X値が0.45以上となり、心材2に対して電位が十分に卑にならず、耐食性が低下する。一方、犠牲陽極材3の厚さが65μmを超えると、Y/X値が0.25以下となり、犠牲陽極材3の自己消耗性が大きくなり、早期に犠牲陽極材3が消失して、耐エロージョン・コロージョン性が低下する。そのため、犠牲陽極材3の厚さは、35〜65μmとする。犠牲陽極材3の厚さは、Y/X値をより適度にする観点から、好ましくは40μm以上、より好ましくは50μm以上である。また、Y/X値をより適度にする観点から、好ましくは60μm以下、より好ましくは58μm以下である。
犠牲陽極材3の厚さが35μm未満では、Y/X値が0.45以上となり、心材2に対して電位が十分に卑にならず、耐食性が低下する。一方、犠牲陽極材3の厚さが65μmを超えると、Y/X値が0.25以下となり、犠牲陽極材3の自己消耗性が大きくなり、早期に犠牲陽極材3が消失して、耐エロージョン・コロージョン性が低下する。そのため、犠牲陽極材3の厚さは、35〜65μmとする。犠牲陽極材3の厚さは、Y/X値をより適度にする観点から、好ましくは40μm以上、より好ましくは50μm以上である。また、Y/X値をより適度にする観点から、好ましくは60μm以下、より好ましくは58μm以下である。
《心材》
心材2としては、例えばAl−Mn系合金からなるものが挙げられる。心材2の成分については特に規定されるものではないが、後述するように、心材2は、Si、Mn、Cu、Tiを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなることが好ましい。また、心材2は、Cr、Zrのうちの1種または2種をさらに所定量含有することが好ましい。以下、心材2の各成分の限定理由について説明する。なお、各成分の含有量は、心材2全体についての含有量である。
心材2としては、例えばAl−Mn系合金からなるものが挙げられる。心材2の成分については特に規定されるものではないが、後述するように、心材2は、Si、Mn、Cu、Tiを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなることが好ましい。また、心材2は、Cr、Zrのうちの1種または2種をさらに所定量含有することが好ましい。以下、心材2の各成分の限定理由について説明する。なお、各成分の含有量は、心材2全体についての含有量である。
<Si:0.4〜1.5質量%>
Siは、母相に固溶することや、Mn或いは、不純物として含有されているFeとともに、Al−Mn−Si、Al−Fe−Si、Al−Mn−Fe−Si系化合物を形成することによって、強度を向上させる元素である。Si含有量が0.4質量%以上であれば、上記効果が向上し、1.5質量%以下であれば、心材2の固相線温度の低下が抑制され、心材2の溶融がより抑制される。そのため、Siの好ましい含有量は、0.4〜1.5質量%である。Si含有量は、上記効果をより向上させる観点から、より好ましくは0.5質量%以上である。また、固相線温度の低下を抑制する観点から、より好ましくは1.3質量%以下である。
Siは、母相に固溶することや、Mn或いは、不純物として含有されているFeとともに、Al−Mn−Si、Al−Fe−Si、Al−Mn−Fe−Si系化合物を形成することによって、強度を向上させる元素である。Si含有量が0.4質量%以上であれば、上記効果が向上し、1.5質量%以下であれば、心材2の固相線温度の低下が抑制され、心材2の溶融がより抑制される。そのため、Siの好ましい含有量は、0.4〜1.5質量%である。Si含有量は、上記効果をより向上させる観点から、より好ましくは0.5質量%以上である。また、固相線温度の低下を抑制する観点から、より好ましくは1.3質量%以下である。
<Mn:0.6〜2.0質量%>
Mnは、強度、ろう付性および耐食性を向上させ、また電位を貴にする効果がある元素である。Mn含有量が0.6質量%以上であれば、上記効果が向上し、2.0質量%以下であれば、鋳造時において巨大な金属間化合物の晶出が抑制され、製造を阻害する恐れや、塑性加工性を低下させる恐れが低減される。そのため、Mnの好ましい含有量は、0.6〜2.0質量%である。Mn含有量は、上記効果をより向上させる観点から、より好ましくは0.8質量%以上である。また、巨大な金属間化合物の晶出を抑制する観点から、より好ましくは1.8質量%以下である。
Mnは、強度、ろう付性および耐食性を向上させ、また電位を貴にする効果がある元素である。Mn含有量が0.6質量%以上であれば、上記効果が向上し、2.0質量%以下であれば、鋳造時において巨大な金属間化合物の晶出が抑制され、製造を阻害する恐れや、塑性加工性を低下させる恐れが低減される。そのため、Mnの好ましい含有量は、0.6〜2.0質量%である。Mn含有量は、上記効果をより向上させる観点から、より好ましくは0.8質量%以上である。また、巨大な金属間化合物の晶出を抑制する観点から、より好ましくは1.8質量%以下である。
<Cu:0.3〜1.2質量%>
Cuは、固溶強化作用により強度を向上させ、また電位を気にして犠牲陽極材3やフィンとの電位差を大きくして、犠牲陽極効果による防食効果を向上させる元素である。Cu含有量が0.3質量%以上であれば、上記効果が向上し、1.2質量%以下であれば、心材2の融点が低下して溶融が起こることが抑制され、粒界腐食の発生が抑制される。そのため、Cuの好ましい含有量は、0.3〜1.2質量%である。Cu含有量は、上記効果をより向上させる観点から、より好ましくは0.5質量%以上である。また、心材2の融点の低下を抑制する観点から、より好ましくは1.1質量%以下である。
Cuは、固溶強化作用により強度を向上させ、また電位を気にして犠牲陽極材3やフィンとの電位差を大きくして、犠牲陽極効果による防食効果を向上させる元素である。Cu含有量が0.3質量%以上であれば、上記効果が向上し、1.2質量%以下であれば、心材2の融点が低下して溶融が起こることが抑制され、粒界腐食の発生が抑制される。そのため、Cuの好ましい含有量は、0.3〜1.2質量%である。Cu含有量は、上記効果をより向上させる観点から、より好ましくは0.5質量%以上である。また、心材2の融点の低下を抑制する観点から、より好ましくは1.1質量%以下である。
<Ti:0.02〜0.3質量%>
Tiは、固溶強化により強度を向上させ、また耐食性を向上させる元素である。Ti含有量が0.02質量%以上であれば、上記効果が向上し、0.3質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。そのため、Tiの好ましい含有量は、0.02〜0.3質量%である。Ti含有量は、上記効果をより向上させる観点から、より好ましくは0.07質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、より好ましくは0.25質量%以下である。
Tiは、固溶強化により強度を向上させ、また耐食性を向上させる元素である。Ti含有量が0.02質量%以上であれば、上記効果が向上し、0.3質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。そのため、Tiの好ましい含有量は、0.02〜0.3質量%である。Ti含有量は、上記効果をより向上させる観点から、より好ましくは0.07質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、より好ましくは0.25質量%以下である。
<Cr:0.02〜0.2質量%>
Crは、均質加熱処理時・熱間圧延時にAl−Cr系の分散粒子を形成することができる元素である。Crを添加することで、前記分散粒子により再結晶後、微細な結晶粒を得ることができる。そして、結晶粒微細化により、破壊靱性や疲労強度等の向上効果が大きくなる。Cr含有量が0.02質量%以上であれば、上記効果が向上し、0.2質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。そのため、Crの好ましい含有量は、0.02〜0.2質量%である。Cr含有量は、上記効果をより向上させる観点から、より好ましくは0.04質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、より好ましくは0.15質量%以下である。
Crは、均質加熱処理時・熱間圧延時にAl−Cr系の分散粒子を形成することができる元素である。Crを添加することで、前記分散粒子により再結晶後、微細な結晶粒を得ることができる。そして、結晶粒微細化により、破壊靱性や疲労強度等の向上効果が大きくなる。Cr含有量が0.02質量%以上であれば、上記効果が向上し、0.2質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。そのため、Crの好ましい含有量は、0.02〜0.2質量%である。Cr含有量は、上記効果をより向上させる観点から、より好ましくは0.04質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、より好ましくは0.15質量%以下である。
<Zr:0.02〜0.2質量%>
Zrは、均質加熱処理時・熱間圧延時にAl−Zr系の分散粒子を形成することができる元素である。Zrを添加することで、前記分散粒子により再結晶後、微細な結晶粒を得ることができる。そして、結晶粒微細化により、破壊靱性や疲労強度等の向上効果が大きくなる。Zr含有量が0.02質量%以上であれば、上記効果が向上し、0.2質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。そのため、Zrの好ましい含有量は、0.02〜0.2質量%である。Zr含有量は、上記効果をより向上させる観点から、より好ましくは0.04質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、より好ましくは0.15質量%以下である。
Zrは、均質加熱処理時・熱間圧延時にAl−Zr系の分散粒子を形成することができる元素である。Zrを添加することで、前記分散粒子により再結晶後、微細な結晶粒を得ることができる。そして、結晶粒微細化により、破壊靱性や疲労強度等の向上効果が大きくなる。Zr含有量が0.02質量%以上であれば、上記効果が向上し、0.2質量%以下であれば、溶解・鋳造時に粗大な金属間化合物が生成されにくく、粗大な金属間化合物が破壊の起点となることによる靱性や疲労特性の低下が抑制される。そのため、Zrの好ましい含有量は、0.02〜0.2質量%である。Zr含有量は、上記効果をより向上させる観点から、より好ましくは0.04質量%以上である。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、より好ましくは0.15質量%以下である。
なお、Cr、Zrのいずれも含有させる場合は、CrおよびZrの添加による効果を向上させる観点から、より好ましい含有量は、合計で0.04質量%以上である。ただし、好ましい含有量として合計で0.02質量%以上であればよい。また、粗大な金属間化合物の生成を抑制する観点から、好ましい含有量は、合計で0.2質量%以下、より好ましくは0.15質量%以下である。すなわち、Cr、Zrの合計量が0.02〜0.2質量%であることが好ましい。
(残部:Alおよび不可避的不純物)
心材2の残部はAlおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、例えば、Fe、Mg等が挙げられる。
心材2の残部はAlおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、例えば、Fe、Mg等が挙げられる。
《ろう材》
ろう材4としては、例えばAl−Si系からなるものが挙げられる。ろう材4は、通常のろう付に使用されるAl−Si系合金ろう材を使用することができるが、その種類は特に限定されるものではない。例えば、JIS4343、4045等を使用することが好ましい。さらに、必要に応じて、それらの合金にZn、Cu、Mg等を添加してもよい。
ろう材4としては、例えばAl−Si系からなるものが挙げられる。ろう材4は、通常のろう付に使用されるAl−Si系合金ろう材を使用することができるが、その種類は特に限定されるものではない。例えば、JIS4343、4045等を使用することが好ましい。さらに、必要に応じて、それらの合金にZn、Cu、Mg等を添加してもよい。
《ブレージングシートの厚さ》
ブレージングシート1の厚さは特に制限はないが、好ましくは0.3mm以下であり、より好ましくは0.25mm以下である。また、0.08mm以上であることが好ましい。
ブレージングシート1の厚さは特に制限はないが、好ましくは0.3mm以下であり、より好ましくは0.25mm以下である。また、0.08mm以上であることが好ましい。
≪ブレージングシートの製造方法≫
次に、本発明のブレージングシートの製造方法の一例について説明する。
本発明のブレージングシートは、前記組成の合金から板状に形成された心材の一方の面にAl−Si系ろう材をクラッドし、心材の他方の面に前記組成の合金から形成された犠牲陽極材をクラッドすることによって製造される。
次に、本発明のブレージングシートの製造方法の一例について説明する。
本発明のブレージングシートは、前記組成の合金から板状に形成された心材の一方の面にAl−Si系ろう材をクラッドし、心材の他方の面に前記組成の合金から形成された犠牲陽極材をクラッドすることによって製造される。
例えば、以下のようにして製造される。まず、心材、ろう材、および、犠牲陽極材を構成するアルミニウム合金を連続鋳造により造塊し、必要に応じて均質化処理を施す。その後、ろう材、犠牲陽極材の鋳塊については、それぞれ所定厚さまで熱間圧延し、ついで、心材の鋳塊と組み合わせて、常法にしたがって、熱間圧延によりクラッド材とする。その後、冷間圧延、必要に応じて中間焼鈍を行い、最終冷間圧延を実施し、所定厚さに仕上げる。
なお、均質化処理は400〜600℃で2〜20時間、中間焼鈍は350〜450℃で2〜20時間実施することが好ましい。また、最終冷間圧延後、必要に応じて150〜350℃で2〜20時間の仕上げ焼鈍を実施する。仕上げ焼鈍を実施する場合、中間焼鈍を省略することが可能である(なお、H1n、H2n、H3nのいずれも可である)。
以下,本発明に係るブレージングシートにおいて、実施例を比較例と対比して説明する。これらの実施例は、本発明の一実施態様を示すものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。
<供試材の作製>
表1に示す組成を有する犠牲陽極材用アルミニウム合金およびJIS4343合金を鋳造し、それぞれ450℃×10hの均質化処理を行い、所定の厚さまで熱間圧延を行い、それぞれの熱間圧延板を作製した。また、表2に示す組成を有する心材用アルミニウム合金を鋳造し、450℃×10hの均質化処理を行い、面削した。作製した熱間圧延板と心材用アルミニウム合金鋳塊とを合わせ材として熱間圧延を行い、クラッド材を得た。その後、冷間圧延によって0.3mmまたは0.18mm厚さとし、300℃×5hの最終焼鈍を行うことで3層構造のブレージングシート(調質H24)を作製し、後述する各種試験の供試材とした。
表1に示す組成を有する犠牲陽極材用アルミニウム合金およびJIS4343合金を鋳造し、それぞれ450℃×10hの均質化処理を行い、所定の厚さまで熱間圧延を行い、それぞれの熱間圧延板を作製した。また、表2に示す組成を有する心材用アルミニウム合金を鋳造し、450℃×10hの均質化処理を行い、面削した。作製した熱間圧延板と心材用アルミニウム合金鋳塊とを合わせ材として熱間圧延を行い、クラッド材を得た。その後、冷間圧延によって0.3mmまたは0.18mm厚さとし、300℃×5hの最終焼鈍を行うことで3層構造のブレージングシート(調質H24)を作製し、後述する各種試験の供試材とした。
<供試材のろう付相当加熱処理>
供試材に対して、窒素雰囲気下で590℃×6分保持でのろう付相当加熱処理を行った。
供試材に対して、窒素雰囲気下で590℃×6分保持でのろう付相当加熱処理を行った。
<ビッカース硬さ>
ろう付相当加熱処理後の供試材断面からマイクロビッカース試験機(ミツトヨ、HM−200システムC)により犠牲陽極材のビッカース硬さを測定した。ビッカース硬さは35Hv以上を合格(○)とし、さらに40Hv以上を合格(◎)、35Hv未満を不合格(×)とした。試験荷重は5g、荷重時間は10sとした。結果を表3に示す。
ろう付相当加熱処理後の供試材断面からマイクロビッカース試験機(ミツトヨ、HM−200システムC)により犠牲陽極材のビッカース硬さを測定した。ビッカース硬さは35Hv以上を合格(○)とし、さらに40Hv以上を合格(◎)、35Hv未満を不合格(×)とした。試験荷重は5g、荷重時間は10sとした。結果を表3に示す。
<犠牲陽極材の表面近傍の最大Zn濃度(X)と、犠牲陽極材と心材との界面から30μmの位置でのZn濃度(Y)との比(Y/X)>
ろう付相当加熱処理後の供試材断面からEPMA(JEOL、JXA−8230)による線分析を行い、Zn拡散プロファイルを測定した。そのZn拡散プロファイルより犠牲陽極材の表面近傍の最大Zn濃度(X)、および、犠牲陽極材と心材との界面から30μmの位置でのZn濃度(Y)を測定し、その比(Y/X値)を算出した。Y/X値は、0.25を超え、0.45未満の範囲となるものを合格(○)とし、さらに0.30以上0.40以下となるものを合格(○)、0.25以下または0.45以上を不合格(×)とした。結果を表3に示す。
ろう付相当加熱処理後の供試材断面からEPMA(JEOL、JXA−8230)による線分析を行い、Zn拡散プロファイルを測定した。そのZn拡散プロファイルより犠牲陽極材の表面近傍の最大Zn濃度(X)、および、犠牲陽極材と心材との界面から30μmの位置でのZn濃度(Y)を測定し、その比(Y/X値)を算出した。Y/X値は、0.25を超え、0.45未満の範囲となるものを合格(○)とし、さらに0.30以上0.40以下となるものを合格(○)、0.25以下または0.45以上を不合格(×)とした。結果を表3に示す。
<腐食試験>
ろう付相当加熱処理後の供試材から面寸法が60mm×100mmの試験片を切出した。この試験片について、犠牲陽極材側が試験面となるように、ろう材面全体と端面全体および犠牲陽極材表面の外縁5mm幅の領域を、速乾性接着剤を用いてコーティングした。また、Cl−:195ppm、SO4 2−:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe2+:300ppm(pH=3)を含有する水溶液を腐食試験液として調製した。そして、図2に示すように、ノズル径2mmのノズル10の先端を完全に腐食試験液20に浸漬させ、ノズル10の先端から2mm離れた位置に、試験片(ブレージングシート)1を配置した。試験片1は、心材2の一方の面に犠牲陽極材3、他方の面にろう材4を設けたものである。そして、この腐食試験液を流速10m/sでノズル10の穴から噴出させ、試験片1に、腐食試験液(噴出させた腐食試験液20a)を24時間の間衝突させた。これにより、試験片1の冷却水側の腐食性を評価した。具体的には、上記試験片1について、貫通腐食の有無を確認した。貫通腐食が発生しなかったものの中で、試験後の試料残存厚が元々の板厚の1/2以下を合格(○)とし、元々の板厚の1/2を超えるものを合格(◎)とし、貫通腐食が発生したものを不合格(×)とした。結果を表3に示す。
ろう付相当加熱処理後の供試材から面寸法が60mm×100mmの試験片を切出した。この試験片について、犠牲陽極材側が試験面となるように、ろう材面全体と端面全体および犠牲陽極材表面の外縁5mm幅の領域を、速乾性接着剤を用いてコーティングした。また、Cl−:195ppm、SO4 2−:60ppm、Cu2+:1ppm、Fe2+:300ppm(pH=3)を含有する水溶液を腐食試験液として調製した。そして、図2に示すように、ノズル径2mmのノズル10の先端を完全に腐食試験液20に浸漬させ、ノズル10の先端から2mm離れた位置に、試験片(ブレージングシート)1を配置した。試験片1は、心材2の一方の面に犠牲陽極材3、他方の面にろう材4を設けたものである。そして、この腐食試験液を流速10m/sでノズル10の穴から噴出させ、試験片1に、腐食試験液(噴出させた腐食試験液20a)を24時間の間衝突させた。これにより、試験片1の冷却水側の腐食性を評価した。具体的には、上記試験片1について、貫通腐食の有無を確認した。貫通腐食が発生しなかったものの中で、試験後の試料残存厚が元々の板厚の1/2以下を合格(○)とし、元々の板厚の1/2を超えるものを合格(◎)とし、貫通腐食が発生したものを不合格(×)とした。結果を表3に示す。
表3に示すように、実施例であるNo.1〜3、No.6〜15、No.22〜25は、本発明の構成を満たすため、すべての評価項目において合格であった。
一方、比較例であるNo.4、5、16〜21は、本発明の構成を満たさないため、以下の結果となった。
一方、比較例であるNo.4、5、16〜21は、本発明の構成を満たさないため、以下の結果となった。
No.4は、犠牲陽極材の厚さが薄いため、Y/X値が不合格となり、腐食試験の評価が不合格となった。
No.5は、犠牲陽極材の厚さが厚いため、Y/X値が不合格となり、腐食試験の評価が不合格となった。
No.16は、犠牲陽極材のSi含有量が少ないため、ビッカース硬さが不合格となり、腐食試験の評価が不合格となった。
No.17は、犠牲陽極材のSi含有量が多いため、ろう付相当加熱処理時に供試材が溶融した。
No.18は、犠牲陽極材のMn含有量が少ないため、ビッカース硬さが不合格となり、腐食試験の評価が不合格となった。
No.19は、犠牲陽極材のMn含有量が多いため、供試材の製造時に割れが生じた。
No.20は、犠牲陽極材のZn含有量が少ないため、Y/X値が不合格となり、腐食試験の評価が不合格となった。
No.21は、犠牲陽極材のZn含有量が多いため、Y/X値が不合格となり、腐食試験の評価が不合格となった。
No.5は、犠牲陽極材の厚さが厚いため、Y/X値が不合格となり、腐食試験の評価が不合格となった。
No.16は、犠牲陽極材のSi含有量が少ないため、ビッカース硬さが不合格となり、腐食試験の評価が不合格となった。
No.17は、犠牲陽極材のSi含有量が多いため、ろう付相当加熱処理時に供試材が溶融した。
No.18は、犠牲陽極材のMn含有量が少ないため、ビッカース硬さが不合格となり、腐食試験の評価が不合格となった。
No.19は、犠牲陽極材のMn含有量が多いため、供試材の製造時に割れが生じた。
No.20は、犠牲陽極材のZn含有量が少ないため、Y/X値が不合格となり、腐食試験の評価が不合格となった。
No.21は、犠牲陽極材のZn含有量が多いため、Y/X値が不合格となり、腐食試験の評価が不合格となった。
以上、本発明について実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて改変・変更等することができることはいうまでもない。
1 アルミニウム合金製ブレージングシート、試験片
2 心材
3 犠牲陽極材
4 ろう材
10 ノズル
20 腐食試験液
20a 噴出させた腐食試験液
2 心材
3 犠牲陽極材
4 ろう材
10 ノズル
20 腐食試験液
20a 噴出させた腐食試験液
Claims (4)
- 心材と、前記心材の一方の面に設けられた犠牲陽極材と、前記心材の他方の面に設けられたろう材とを有し、
前記犠牲陽極材は、Si:0.5〜1.5質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Zn:3.0〜6.0質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
前記犠牲陽極材の厚さが35〜65μmであることを特徴とするアルミニウム合金製ブレージングシート。 - 前記犠牲陽極材は、さらに、前記不可避的不純物としてのFeが0.30質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
- 前記心材は、Si:0.4〜1.5質量%、Mn:0.6〜2.0質量%、Cu:0.3〜1.2質量%、Ti:0.02〜0.3質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
- 前記心材は、Cr:0.02〜0.2質量%、Zr:0.02〜0.2質量%のうちの1種または2種をさらに含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金製ブレージングシート。
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- 2015-03-27 JP JP2015066059A patent/JP2016186096A/ja active Pending
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