JP2010095769A - 熱交換器用ブレージングシート - Google Patents
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Abstract
【課題】高強度でろう付時の耐エロージョン性及びろう付性に優れる熱交換器用ブレージングシートを提供する。
【解決手段】0.3〜2.0%(質量%、以下同様)のMnと、0.5〜1.2%のSiと、0.1〜1.5%のCuとを含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる組成を有するアルミニウム合金芯材と、5.0〜12.0%のSiと、0.05〜0.5%のTiとを含有し、液相線温度が590℃以上のアルミニウム合金ろう材と、を備え、アルミニウム合金芯材の片面又は両面にアルミニウム合金ろう材をクラッドすることを特徴とする熱交換器用ブレージングシートを採用する。
【選択図】なし
【解決手段】0.3〜2.0%(質量%、以下同様)のMnと、0.5〜1.2%のSiと、0.1〜1.5%のCuとを含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる組成を有するアルミニウム合金芯材と、5.0〜12.0%のSiと、0.05〜0.5%のTiとを含有し、液相線温度が590℃以上のアルミニウム合金ろう材と、を備え、アルミニウム合金芯材の片面又は両面にアルミニウム合金ろう材をクラッドすることを特徴とする熱交換器用ブレージングシートを採用する。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱交換器用ブレージングシートの改良に関するものである。
近年、自動車の軽量化に伴い、自動車用の熱交換器には、従来用いられていた銅合金に代えてアルミニウム材料が多用されている。例えば、ラジエータ、カーエアコン用コンデンサ、カーエアコン用エバポレータ、インタクーラ及び各種オイルクーラ等の大部分がアルミニウム化されている。
このようなアルミニウム材料を用いた熱交換器の組立プロセスには、ろう付け法が採用されている。ろう材には、例えば、JISに規定されている4343合金(Al−7.5%Si)や4045合金(Al−10%Si)等のアルミニウムを主成分としたろう付用の合金が用いられている。そして、ろう合金は、主に熱交換器用ブレージングシート(代表的な芯材としてAl−Mn系アルミニウム合金)の面材として構成されて、ろう付に供されている。
ろう合金は、ろう付される母材よりも融点が低い合金が用いられるため、ろう付法によって組み立てられる製品を所定の温度(約600℃)まで加熱することにより、溶融したろう合金が母材表面を流動して、ろう付のための継手(フィレット)が形成される。
しかしながら、母材の部位によっては、温度が高めにずれる部位、逆に低めで昇温が遅れる部位などが存在し、ろう付加熱昇温及び保持時に温度分布が生じる場合がある。それにより、流動を開始したろうが高温にさらされて母材への拡散が進行し、母材の一部溶融(エロージョン)を促進する結果を招くことがある。
従来、エロージョンを防止する方法として、ろう付時の製品全体の昇温速度を遅くしたり、遮熱版を用いて母材の一部の温度上昇を抑制すること等が行われてきた。しかしながら、昇温速度を遅くした場合には、ろう付に要する時間が長くなって生産性が低下し、ひいてはコストアップにつながる結果となっていた。
そこで、良好なろう付性を保つとともに、過剰なエロージョンを抑制するため、アルミニウム合金を芯材として、従来から用いられているAl-Si系ろう合金中にTi及びMn、Zrを添加し、また必要に応じてCrを添加したアルミニウムろう合金が面材として用いられた熱交換器用ブレージングシートが提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1によれば、ろう合金を上述の成分とすることにより、ろう材の液相線温度が上昇するとともに、流動係数が低くなる。これにより、ろう付の際、ろう合金がろう付接合部から流れ出てしまうのを抑制することができ、ろう付性が向上すると共にろう付接合される素材にエロージョンが生じるのを抑制することができるというものである。
特開2007−182602号公報
特許文献1によれば、ろう合金を上述の成分とすることにより、ろう材の液相線温度が上昇するとともに、流動係数が低くなる。これにより、ろう付の際、ろう合金がろう付接合部から流れ出てしまうのを抑制することができ、ろう付性が向上すると共にろう付接合される素材にエロージョンが生じるのを抑制することができるというものである。
ところで、熱交換器の各部材にはさらなる高強度化が求められており、ブレージングシートの芯材には、CuやSi等が添加されて高強度化が図られ、その添加量も増加する傾向にある。しかしながら、芯材に上記元素を添加すると高強度化は達成されるが、芯材の融点(固相線温度)が低下してしまうという問題があった。このような場合に特許文献1に記載のアルミニウムろう合金を面材として用いても、母材のエロージョンの進行及び芯材へのろう侵食を充分に抑制することができない場合があった。一方、ろう付け時のエロージョン抑制のため、芯材への添加量を制限すると、ブレージングシートの高強度化が充分に達成できないという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、上述したように温度が高めにずれた部位に溶融ろうが過剰に流れ込んだ場合であっても母材のエロージョンが進行することなく、且つ、ブレージングシートの芯材へのろう侵食が発生しにくい、高強度でろう付時の耐エロージョン性及びろう付性に優れる熱交換器用ブレージングシートを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題について鋭意研究した結果、高強度化のためにアルミニウム合金芯材に融点を低下させるSi,Cuなどの元素が所定量添加されたブレージングシートにおいて、従来のAl−Siで構成されるアルミニウム合金ろう材中にTiを添加して液相線温度を590℃以上としたろう材を使用することがアルミニウム合金芯材へのろう侵食やろう付性向上に非常に効果的であることを見出し、本発明に至った。特に、アルミニウム合金芯材の融点が600〜625℃の範囲のブレージングシートは、ろう付時にエロージョンが発生しやすいため、本アルミニウム合金ろう材と組み合わせて使用することで、著しい改善を図ることができる。
すなわち、本発明は、以下に関する。
すなわち、本発明は、以下に関する。
(1)請求項1に記載の発明
0.3〜2.0%(質量%、以下同様)のMnと、0.5〜1.2%のSiと、0.1〜1.5%のCuとを含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる組成を有するアルミニウム合金芯材と、5.0〜12.0%のSiと、0.05〜0.5%のTiとを含有し、液相線温度が590℃以上のアルミニウム合金ろう材と、を備え、前記アルミニウム合金芯材の片面又は両面に前記アルミニウム合金ろう材をクラッドすることを特徴とする熱交換器用ブレージングシート。
(2)請求項2に記載の発明
前記アルミニウム合金芯材の融点が、600〜630℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用ブレージングシート。
(3)請求項3に記載の発明
前記アルミニウム合金ろう材が、0.5〜10.0%のZnをさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器用ブレージングシート。
(4)請求項4に記載の発明
前記アルミニウム合金ろう材が、0.1〜2.0%のMn、0.01〜0.5%のZr、0.05〜1.0%のCrから選ばれる群のうち、少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱交換器用ブレージングシート。
(5)請求項5に記載の発明
前記アルミニウム合金芯材が、0.05〜0.3%のTi、0.05〜0.3%のZr、0.05〜0.3%のMg、0.3〜1.0%のFeから選ばれる群のうち、少なくとも一種をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱交換器用ブレージングシート。
0.3〜2.0%(質量%、以下同様)のMnと、0.5〜1.2%のSiと、0.1〜1.5%のCuとを含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる組成を有するアルミニウム合金芯材と、5.0〜12.0%のSiと、0.05〜0.5%のTiとを含有し、液相線温度が590℃以上のアルミニウム合金ろう材と、を備え、前記アルミニウム合金芯材の片面又は両面に前記アルミニウム合金ろう材をクラッドすることを特徴とする熱交換器用ブレージングシート。
(2)請求項2に記載の発明
前記アルミニウム合金芯材の融点が、600〜630℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用ブレージングシート。
(3)請求項3に記載の発明
前記アルミニウム合金ろう材が、0.5〜10.0%のZnをさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器用ブレージングシート。
(4)請求項4に記載の発明
前記アルミニウム合金ろう材が、0.1〜2.0%のMn、0.01〜0.5%のZr、0.05〜1.0%のCrから選ばれる群のうち、少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱交換器用ブレージングシート。
(5)請求項5に記載の発明
前記アルミニウム合金芯材が、0.05〜0.3%のTi、0.05〜0.3%のZr、0.05〜0.3%のMg、0.3〜1.0%のFeから選ばれる群のうち、少なくとも一種をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱交換器用ブレージングシート。
上述したように、ブレージングシートの溶融ろうが過剰に流動することで母材のエロージョンや芯材へのろう侵食が発生するが、これは、アルミニウム合金ろう材の液相線温度を上げて過剰な溶融ろうの流動を抑制することで防止することができる。また、溶融ろうの表面張力を増大させることで、ろう充填性を向上させることができる。さらに、上記アルミニウム合金ろう材と、融点が600〜630℃の範囲であるアルミニウム合金芯材との組合せにより、高強度化と耐エロージョン性とを両立させることが可能となる。
従って、上記ろう材と芯材とを組み合わせることにより、高強度で耐エロージョン性及びろう付性に優れるブレージングシートとなることが明らかとなった。
従って、上記ろう材と芯材とを組み合わせることにより、高強度で耐エロージョン性及びろう付性に優れるブレージングシートとなることが明らかとなった。
本発明の熱交換器用ブレージングシートでは、0.3〜2.0%(質量%、以下同様)のMnと、0.5〜1.2%のSiと、0.1〜1.5%のCuとを含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる組成を有するアルミニウム合金芯材と、5.0〜12.0%のSiと、0.05〜0.5%のTiとを含有し、液相線温度が590℃以上のアルミニウム合金ろう材と、を備え、アルミニウム合金芯材の片面又は両面にアルミニウム合金ろう材がクラッドされて構成されている。
また、必要に応じて、アルミニウム合金芯材の融点が、600〜630℃の範囲とされると共に、アルミニウム合金ろう材が、0.5〜10.0%のZn、0.1〜2.0%のMn、0.01〜0.5%のZr、0.05〜1.0%のCrから選ばれる群のうち、少なくとも1種をさらに含有する成分組成とされている。
更に、必要に応じて、0.05〜0.3%のTi、0.05〜0.3%のZr、0.05〜0.3%のMg、0.3〜1.0%のFeから選ばれる群のうち、少なくとも一種をさらに含有する成分組成とされている。
また、必要に応じて、アルミニウム合金芯材の融点が、600〜630℃の範囲とされると共に、アルミニウム合金ろう材が、0.5〜10.0%のZn、0.1〜2.0%のMn、0.01〜0.5%のZr、0.05〜1.0%のCrから選ばれる群のうち、少なくとも1種をさらに含有する成分組成とされている。
更に、必要に応じて、0.05〜0.3%のTi、0.05〜0.3%のZr、0.05〜0.3%のMg、0.3〜1.0%のFeから選ばれる群のうち、少なくとも一種をさらに含有する成分組成とされている。
アルミニウム合金芯材を上述の成分とすることにより、芯材の高強度化と耐侵食性とを両立させることが可能となる。
また、アルミニウム合金ろう材を上述の成分とすることにより、Al−Si系溶融ろうの液相線温度を増加させると共に、溶融ろうの表面張力を増大させることができる。これにより、ろう付の際、過剰な溶融ろうの流動を抑制すると共に、ろう充填性を向上させることができる。
したがって、母材のエロージョンが進行することなく、且つ、芯材へのろう侵食が発生しにくい、高強度で耐エロージョン性及びろう付性に優れる熱交換器用ブレージングシートとすることができる。
また、アルミニウム合金ろう材を上述の成分とすることにより、Al−Si系溶融ろうの液相線温度を増加させると共に、溶融ろうの表面張力を増大させることができる。これにより、ろう付の際、過剰な溶融ろうの流動を抑制すると共に、ろう充填性を向上させることができる。
したがって、母材のエロージョンが進行することなく、且つ、芯材へのろう侵食が発生しにくい、高強度で耐エロージョン性及びろう付性に優れる熱交換器用ブレージングシートとすることができる。
以下、本発明に係る熱交換器用ブレージングシートの実施の形態について説明する。
本発明の熱交換器用ブレージングシートは、0.3〜2.0%(質量%、以下同様)のMnと、0.5〜1.2%のSiと、0.1〜1.5%のCuとを含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる組成を有するアルミニウム合金芯材と、5.0〜12.0%のSiと、0.05〜0.5%のTiとを含有し、液相線温度が590℃以上のアルミニウム合金ろう材と、を備え、アルミニウム合金芯材の片面又は両面にアルミニウム合金ろう材がクラッドされて構成されている。更に、必要に応じて、アルミニウム合金芯材の融点が、600〜630℃の範囲とされると共に、アルミニウム合金ろう材が、0.5〜10.0%のZn、0.1〜2.0%のMn、0.01〜0.5%のZr、0.05〜1.0%のCrから選ばれる群のうち、少なくとも1種をさらに含有する成分組成とされている。
本発明の熱交換器用ブレージングシートは、0.3〜2.0%(質量%、以下同様)のMnと、0.5〜1.2%のSiと、0.1〜1.5%のCuとを含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる組成を有するアルミニウム合金芯材と、5.0〜12.0%のSiと、0.05〜0.5%のTiとを含有し、液相線温度が590℃以上のアルミニウム合金ろう材と、を備え、アルミニウム合金芯材の片面又は両面にアルミニウム合金ろう材がクラッドされて構成されている。更に、必要に応じて、アルミニウム合金芯材の融点が、600〜630℃の範囲とされると共に、アルミニウム合金ろう材が、0.5〜10.0%のZn、0.1〜2.0%のMn、0.01〜0.5%のZr、0.05〜1.0%のCrから選ばれる群のうち、少なくとも1種をさらに含有する成分組成とされている。
[ブレージングシートの構成]
本発明の熱交換器用ブレージングシートは、アルミニウム合金芯材の片面又は両面にアルミニウム合金ろう材が張り合わせる(クラッド)ことで得られる。
また、ブレージングシートの構成は、特に限定されるものではなく、アルミニウム合金芯材の片面に犠牲材を用いることにより、犠牲材/芯材/ろう材という構成としてもよい。
本発明の熱交換器用ブレージングシートは、アルミニウム合金芯材の片面又は両面にアルミニウム合金ろう材が張り合わせる(クラッド)ことで得られる。
また、ブレージングシートの構成は、特に限定されるものではなく、アルミニウム合金芯材の片面に犠牲材を用いることにより、犠牲材/芯材/ろう材という構成としてもよい。
[アルミニウム合金芯材の成分組成]
本発明のアルミニウム合金芯材は、0.3〜2.0%(質量%、以下同様)のMnと、0.5〜1.2%のSiと、0.1〜1.5%のCuとを含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる組成を有する。上記成分範囲で芯材の高強度化を行うと融点が600〜630℃となる。この場合に液相線温度が590℃以上のろう材と組み合わせることで、耐エロージョン性が著しく向上し、芯材の高強度化との両立が可能となる。
以下、本実施形態のアルミニウム合金芯材の、成分組成の数値限定理由について説明する。
本発明のアルミニウム合金芯材は、0.3〜2.0%(質量%、以下同様)のMnと、0.5〜1.2%のSiと、0.1〜1.5%のCuとを含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる組成を有する。上記成分範囲で芯材の高強度化を行うと融点が600〜630℃となる。この場合に液相線温度が590℃以上のろう材と組み合わせることで、耐エロージョン性が著しく向上し、芯材の高強度化との両立が可能となる。
以下、本実施形態のアルミニウム合金芯材の、成分組成の数値限定理由について説明する。
「Mn」0.3%以上2.0%以下
マンガン(Mn)は、ブレージングシートの強度を向上させるために用いられる。アルミニウム合金芯材に添加されるMnの含有量は0.3〜2.0質量%とすることが好ましい。Mnの含有量が上記範囲未満であると、Mnを添加することによる強度向上の効果が十分に得られない恐れがある。また、Mnの含有量が上記範囲を超えると、粗大な金属間化合物が生成されて、ブレージングシートの製造時における圧延性が著しく低下する。
マンガン(Mn)は、ブレージングシートの強度を向上させるために用いられる。アルミニウム合金芯材に添加されるMnの含有量は0.3〜2.0質量%とすることが好ましい。Mnの含有量が上記範囲未満であると、Mnを添加することによる強度向上の効果が十分に得られない恐れがある。また、Mnの含有量が上記範囲を超えると、粗大な金属間化合物が生成されて、ブレージングシートの製造時における圧延性が著しく低下する。
「Si」0.5%以上1.2%以下
シリコン(Si)は、ブレージングシートの強度を向上させるために用いられる。Siは、Mnと微細なAl-Mn-Si系化合物を形成して、強度向上に寄与する。アルミニウム合金芯材に添加されるSiの含有量は0.5〜1.2質量%とすることが好ましい。Siの含有量が上記範囲未満であると、Siを添加することによる強度向上の効果が十分に得られない恐れがある。また、Siの含有量が上記範囲を超えると、固相線温度の低下により、600℃前後で行なわれる加熱ろう付け処理において、局部的な溶融を招く虞がある。
シリコン(Si)は、ブレージングシートの強度を向上させるために用いられる。Siは、Mnと微細なAl-Mn-Si系化合物を形成して、強度向上に寄与する。アルミニウム合金芯材に添加されるSiの含有量は0.5〜1.2質量%とすることが好ましい。Siの含有量が上記範囲未満であると、Siを添加することによる強度向上の効果が十分に得られない恐れがある。また、Siの含有量が上記範囲を超えると、固相線温度の低下により、600℃前後で行なわれる加熱ろう付け処理において、局部的な溶融を招く虞がある。
「Cu」0.1%以上1.5%以下
銅(Cu)は、ブレージングシートの強度を向上させるために用いられる。Cuは、基材のマトリックス中に固溶し、強度を向上させると共に、電位を貴にして犠牲材及び芯材との電位差を増大し、ブレージングシートの耐食性を向上させる作用を有する。アルミニウム合金芯材に添加されるCuの含有量は、0.1〜1.5質量%とすることが好ましい。Cuの含有量が上記範囲未満であると、Cuを添加することによる強度向上の効果や、電位貴化の効果が十分に得られない恐れがある。また、Cuの含有量が上記範囲を超えると、鋳造時にクラックが発生したり、固相線温度の低下により、600℃前後で行なわれる加熱ろう付け処理において、局部的な溶融を招く虞がある。また、Cuの含有量が上記範囲を超えると、アルミニウム合金芯材の自己耐食性が低下する恐れがある。
銅(Cu)は、ブレージングシートの強度を向上させるために用いられる。Cuは、基材のマトリックス中に固溶し、強度を向上させると共に、電位を貴にして犠牲材及び芯材との電位差を増大し、ブレージングシートの耐食性を向上させる作用を有する。アルミニウム合金芯材に添加されるCuの含有量は、0.1〜1.5質量%とすることが好ましい。Cuの含有量が上記範囲未満であると、Cuを添加することによる強度向上の効果や、電位貴化の効果が十分に得られない恐れがある。また、Cuの含有量が上記範囲を超えると、鋳造時にクラックが発生したり、固相線温度の低下により、600℃前後で行なわれる加熱ろう付け処理において、局部的な溶融を招く虞がある。また、Cuの含有量が上記範囲を超えると、アルミニウム合金芯材の自己耐食性が低下する恐れがある。
「Ti」0.05以上0.3%以下、「Zr」0.05以上0.3%以下
チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)は、ろう付後に微細な金属間化合物として素地中に分散し、強度を向上させる作用を有するので必要に応じて添加する。ここで、Ti,Zrの含有量が0.05%未満では所望の効果が得られないために好ましくなく、Ti,Zrの含有量が0.3%を超えると鋳造性や圧延性が低下するので好ましくない。したがって、Ti,Zrの含有量を0.05%以上0.3%以下とした。また、Ti,Zrの含有量のより好ましい範囲は、0.1%以上0.15%以下である。
チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)は、ろう付後に微細な金属間化合物として素地中に分散し、強度を向上させる作用を有するので必要に応じて添加する。ここで、Ti,Zrの含有量が0.05%未満では所望の効果が得られないために好ましくなく、Ti,Zrの含有量が0.3%を超えると鋳造性や圧延性が低下するので好ましくない。したがって、Ti,Zrの含有量を0.05%以上0.3%以下とした。また、Ti,Zrの含有量のより好ましい範囲は、0.1%以上0.15%以下である。
「Mg」0.05以上0.3%以下
マグネシウム(Mg)は,ろう付時に固溶し、材料強度を向上させる作用を有する。また、ろう付後に材料中のSiあるいはZnとMg2Si,MgZn2を形成して、時効硬化によってさらなる強度の向上に寄与する。Mgは、その含有量が0.05%未満では所望の効果が得られないため好ましくなく、0.3%を超えて含有するとろう付時にフラックスと反応してろう付性を著しく低下させるため好ましくない。したがって、Mgの含有量を0.05%以上0.3%以下とした。
マグネシウム(Mg)は,ろう付時に固溶し、材料強度を向上させる作用を有する。また、ろう付後に材料中のSiあるいはZnとMg2Si,MgZn2を形成して、時効硬化によってさらなる強度の向上に寄与する。Mgは、その含有量が0.05%未満では所望の効果が得られないため好ましくなく、0.3%を超えて含有するとろう付時にフラックスと反応してろう付性を著しく低下させるため好ましくない。したがって、Mgの含有量を0.05%以上0.3%以下とした。
「Fe」0.3以上1.0%以下
鉄(Fe)は、素地中にAl−Fe(−Mn−Si)系金属間化合物として微細分散し、強度を向上させる効果を有している。
Feの含有量は、質量%で0.3%以上1.0%以下の範囲であることが好ましい。
Feの含有量が0.3%未満では上記の効果が充分に得られないため、好ましくない。また、1.0%を超えると、粗大金属間化合物が生成し、圧延性が低下すると共に芯材の自己腐食性も増大してしまうので好ましくない。
また、Feの含有量のより好ましい範囲は、0.5%以上0.75%以下である。
鉄(Fe)は、素地中にAl−Fe(−Mn−Si)系金属間化合物として微細分散し、強度を向上させる効果を有している。
Feの含有量は、質量%で0.3%以上1.0%以下の範囲であることが好ましい。
Feの含有量が0.3%未満では上記の効果が充分に得られないため、好ましくない。また、1.0%を超えると、粗大金属間化合物が生成し、圧延性が低下すると共に芯材の自己腐食性も増大してしまうので好ましくない。
また、Feの含有量のより好ましい範囲は、0.5%以上0.75%以下である。
[アルミニウム合金ろう材の成分組成]
本発明のアルミニウム合金ろう材は、5.0〜12.0%のSiと、0.05〜0.5%のTiとを含有し、液相線温度が590℃以上であり、更に、必要に応じて、0.5〜10.0%のZn、0.1〜2.0%のMn、0.01〜0.5%のZr、0.05〜1.0%のCrから選ばれる群のうち、少なくとも1種をさらに含有する成分組成とされている。
以下、本実施形態のアルミニウム合金ろう材の、成分組成の数値限定理由について説明する。
本発明のアルミニウム合金ろう材は、5.0〜12.0%のSiと、0.05〜0.5%のTiとを含有し、液相線温度が590℃以上であり、更に、必要に応じて、0.5〜10.0%のZn、0.1〜2.0%のMn、0.01〜0.5%のZr、0.05〜1.0%のCrから選ばれる群のうち、少なくとも1種をさらに含有する成分組成とされている。
以下、本実施形態のアルミニウム合金ろう材の、成分組成の数値限定理由について説明する。
「Si」5.0%以上12.0%以下
ケイ素(Si)は、Alに含有することによってAlの融点を低くする作用を有しており、アルミニウム合金ろう材を用いたろう付温度(580〜610℃)で溶融して流動させ、所定のフィレットを形成するのに必要な基本元素である。
Siの含有量は、質量%で5.0%以上12.0%以下の範囲であることが好ましく、この範囲内であれば、ろう材として優れた機能が得られる。
Siの含有量が5.0%未満だと、充分な流動性が得られず、ろう付温度において溶融ろうが不足し、ろう付不良が発生する。
Siの含有量が12.0%を超えると、非常にエロージョン性の高い溶融ろうが生成するので好ましくない。
また、Siの含有量のより好ましい範囲は、7.0%以上11.0%以下である。
ケイ素(Si)は、Alに含有することによってAlの融点を低くする作用を有しており、アルミニウム合金ろう材を用いたろう付温度(580〜610℃)で溶融して流動させ、所定のフィレットを形成するのに必要な基本元素である。
Siの含有量は、質量%で5.0%以上12.0%以下の範囲であることが好ましく、この範囲内であれば、ろう材として優れた機能が得られる。
Siの含有量が5.0%未満だと、充分な流動性が得られず、ろう付温度において溶融ろうが不足し、ろう付不良が発生する。
Siの含有量が12.0%を超えると、非常にエロージョン性の高い溶融ろうが生成するので好ましくない。
また、Siの含有量のより好ましい範囲は、7.0%以上11.0%以下である。
「Ti」0.05%以上0.5%以下
チタン(Ti)は、Al−Si系合金に添加することにより、Al−Si系合金溶融ろうの液相線温度を上昇させることにより過剰なろう侵食を抑制する効果を有している。また、溶融ろうの表面張力を増大させ、ろう充填性を向上させる効果を有している。
Tiの含有量は、質量%で0.05%以上0.5%以下の範囲であることが好ましい。
Tiの含有量が0.05%未満だと、上述の効果が充分に得られず、また、0.5%を超えると、鋳造や圧延による加工が困難になるとともに、ろう付の際に、ろうが流動するのを阻害する粗大金属間化合物の形成及び成長が進行してしまうので好ましくない。
また、Tiの含有量のより好ましい範囲は、0.1%以上0.3%以下である。
チタン(Ti)は、Al−Si系合金に添加することにより、Al−Si系合金溶融ろうの液相線温度を上昇させることにより過剰なろう侵食を抑制する効果を有している。また、溶融ろうの表面張力を増大させ、ろう充填性を向上させる効果を有している。
Tiの含有量は、質量%で0.05%以上0.5%以下の範囲であることが好ましい。
Tiの含有量が0.05%未満だと、上述の効果が充分に得られず、また、0.5%を超えると、鋳造や圧延による加工が困難になるとともに、ろう付の際に、ろうが流動するのを阻害する粗大金属間化合物の形成及び成長が進行してしまうので好ましくない。
また、Tiの含有量のより好ましい範囲は、0.1%以上0.3%以下である。
ブレージングシートのろう付で造管されるチューブを用いた熱交換器等では、ろう付時に部材間の接合部に過剰な溶融ろうが流れ込む場合に、ろう付接合される部材にエロージョンが生じることがある。つまり、ろう付温度(約600℃)未満でろう材の溶融を抑制させれば、接合部への過剰な溶融ろうの流れ込みがなくなり、エロージョンが生じにくくなるが、それにはアルミニウム合金ろう材の液相線温度を590℃以上とすることが有効である。
また、部材間の接合部に溶融ろうが留まらない場合に、接合部が完全に充填されずにろう充填不良が生じることがある。つまり、溶融ろうのろう充填性を向上させれば、接合部に十分な量のろうを留めることができ、ろう充填不良は生じにくくなるが、それには溶融ろうの表面張力を増大させることが有効である。
本発明では、ろう材中にTiを添加することでろう材の特性を変化させること、すなわち、溶融ろうの液相線温度を上昇させて融点の低い芯材と組み合わせた場合でも、ろう付時の耐エロージョン性を向上させると共に表面張力を増大させてろう充填性を向上させることを見出した。
また、部材間の接合部に溶融ろうが留まらない場合に、接合部が完全に充填されずにろう充填不良が生じることがある。つまり、溶融ろうのろう充填性を向上させれば、接合部に十分な量のろうを留めることができ、ろう充填不良は生じにくくなるが、それには溶融ろうの表面張力を増大させることが有効である。
本発明では、ろう材中にTiを添加することでろう材の特性を変化させること、すなわち、溶融ろうの液相線温度を上昇させて融点の低い芯材と組み合わせた場合でも、ろう付時の耐エロージョン性を向上させると共に表面張力を増大させてろう充填性を向上させることを見出した。
「Zn」0.5%以上10.0%以下
亜鉛(Zn)は、ブレージングシートの電位を卑(マイナス)にすることにより、接合部材に対する犠牲陽極効果を向上させる。
Znの含有量は、質量%で0.5%以上10.0%以下の範囲とすることが好ましく、1.0%以上3.0%以下の範囲とすることがより好ましい。
Znの含有量が10.0%を超えると、腐食速度が速くなりすぎて自己耐食性が低下する。また、Znの含有量が0.5%未満だと、上述のような犠牲陽極効果が充分に得られなくなる。
亜鉛(Zn)は、ブレージングシートの電位を卑(マイナス)にすることにより、接合部材に対する犠牲陽極効果を向上させる。
Znの含有量は、質量%で0.5%以上10.0%以下の範囲とすることが好ましく、1.0%以上3.0%以下の範囲とすることがより好ましい。
Znの含有量が10.0%を超えると、腐食速度が速くなりすぎて自己耐食性が低下する。また、Znの含有量が0.5%未満だと、上述のような犠牲陽極効果が充分に得られなくなる。
「Mn」0.1%以上2.0%以下
マンガン(Mn)は、Al−Si系合金に添加すると、溶融ろう中に固溶あるいはAl−Mn系金属間化合物として存在することにより、溶融ろうの表面張力を増大させ、ろう充填性を向上させる効果を有している。
Mnの含有量は、質量%で0.1%以上2.0%以下の範囲であることが好ましい。
Mnの含有量が0.1%未満だと、上述の効果が充分に得られず、また、2.0%を超えると、ろうの流動を阻害する粗大金属間化合物の形成及び成長が進行してしまうので好ましくない。
また、Mnの含有量のより好ましい範囲は、0.3%以上1.0%以下である。
マンガン(Mn)は、Al−Si系合金に添加すると、溶融ろう中に固溶あるいはAl−Mn系金属間化合物として存在することにより、溶融ろうの表面張力を増大させ、ろう充填性を向上させる効果を有している。
Mnの含有量は、質量%で0.1%以上2.0%以下の範囲であることが好ましい。
Mnの含有量が0.1%未満だと、上述の効果が充分に得られず、また、2.0%を超えると、ろうの流動を阻害する粗大金属間化合物の形成及び成長が進行してしまうので好ましくない。
また、Mnの含有量のより好ましい範囲は、0.3%以上1.0%以下である。
「Zr」0.01%以上0.5%以下
ジルコニウム(Zr)は、Al-Si系合金に添加することにより、Al-Si系合金溶融ろうの液相線温度を上昇させて過剰な溶融を抑制する効果を有している。また、溶融ろうの表面張力を増大させ、ろう充填性を向上させる効果を有している。
Zrの含有量は、質量%で0.01%以上0.5%以下であることが好ましい。
Zrの含有量が0.01%未満だと、上述の効果が充分に得られず、また、0.5%を超えると、ろうの流動を阻害する粗大金属間化合物の形成及び成長が進行してしまうので好ましくない。
また、Zrの含有量のより好ましい範囲は、0.05%以上0.2%以下である。
ジルコニウム(Zr)は、Al-Si系合金に添加することにより、Al-Si系合金溶融ろうの液相線温度を上昇させて過剰な溶融を抑制する効果を有している。また、溶融ろうの表面張力を増大させ、ろう充填性を向上させる効果を有している。
Zrの含有量は、質量%で0.01%以上0.5%以下であることが好ましい。
Zrの含有量が0.01%未満だと、上述の効果が充分に得られず、また、0.5%を超えると、ろうの流動を阻害する粗大金属間化合物の形成及び成長が進行してしまうので好ましくない。
また、Zrの含有量のより好ましい範囲は、0.05%以上0.2%以下である。
「Cr」0.05%以上1.0%以下
クロム(Cr)は、Al-Si系合金に添加することにより、溶融ろうの表面張力を増大させ、ろう充填性を向上させる効果を有している。
Crの含有量は、質量%で0.05%以上1.0%以下の範囲であることが好ましい。
Crの含有量が0.05%未満だと、上述の効果が充分に得られず、1.0%を超えると、ろうの流動を阻害する金属間化合物の形成及び成長が進行してしまうので好ましくない。
また、Crの含有量のより好ましい範囲は、0.2%以上0.5%以下である。
クロム(Cr)は、Al-Si系合金に添加することにより、溶融ろうの表面張力を増大させ、ろう充填性を向上させる効果を有している。
Crの含有量は、質量%で0.05%以上1.0%以下の範囲であることが好ましい。
Crの含有量が0.05%未満だと、上述の効果が充分に得られず、1.0%を超えると、ろうの流動を阻害する金属間化合物の形成及び成長が進行してしまうので好ましくない。
また、Crの含有量のより好ましい範囲は、0.2%以上0.5%以下である。
「Ti,Zrの同時添加による効果」
Tiは、Al−Si系ろう合金において、その添加量に応じてAl−Ti系金属間化合物及び固溶体を形成し、溶融ろうの充填性を向上させる。
また、ZrもTiと同様の効果を有しており、Zr添加量をTi添加量にあわせて制御することで、Tiとの複合作用により、溶融ろうの特性を著しく変化させることが可能となる。
さらに、上述したように、Ti及びZrは、Al−Si系合金溶融ろうの液相線温度を上昇させる効果があり、耐エロージョン性を向上させる効果もある。この効果は、Ti及びZrの複合添加により、より一層顕著に発揮される。
Mnは、Ti,Zrと関係なく、Al−Si系合金溶融ろう中に固溶および金属間化合物として存在し、溶融ろうの表面張力を増大させ、ろう充填性を向上させる効果がある。
上記観点から、これらの元素を同時に含有させることで、複合作用によって溶融ろうの充填性、母材侵食性及び溶融ろうの流動性を制御することが可能となり、従来のろう材合金と比べ、ろう充填不良及び溶融ろうの流動による過剰な母材溶融(エロージョン)を著しく抑制する改善効果がある。
Tiは、Al−Si系ろう合金において、その添加量に応じてAl−Ti系金属間化合物及び固溶体を形成し、溶融ろうの充填性を向上させる。
また、ZrもTiと同様の効果を有しており、Zr添加量をTi添加量にあわせて制御することで、Tiとの複合作用により、溶融ろうの特性を著しく変化させることが可能となる。
さらに、上述したように、Ti及びZrは、Al−Si系合金溶融ろうの液相線温度を上昇させる効果があり、耐エロージョン性を向上させる効果もある。この効果は、Ti及びZrの複合添加により、より一層顕著に発揮される。
Mnは、Ti,Zrと関係なく、Al−Si系合金溶融ろう中に固溶および金属間化合物として存在し、溶融ろうの表面張力を増大させ、ろう充填性を向上させる効果がある。
上記観点から、これらの元素を同時に含有させることで、複合作用によって溶融ろうの充填性、母材侵食性及び溶融ろうの流動性を制御することが可能となり、従来のろう材合金と比べ、ろう充填不良及び溶融ろうの流動による過剰な母材溶融(エロージョン)を著しく抑制する改善効果がある。
「Mg、Sr、Bi、Ca、Sb」
本発明のアルミニウム合金ろう材では、Al-Si系合金のろう材にノコロックフラックスの効果を阻害し、ろう付性を低下させない範囲として、例えば0.3質量%以下の範囲でMgが含有された成分組成であっても良い。この場合、Mgが含有された成分組成であっても、上述した本発明の効果が損なわれることはない。
また、ろう付時の表面酸化皮膜の成長を抑制して接合性を向上させるため、Sr,Bi,Ca,Sbの各元素を、それぞれ質量%で0.1%以下の範囲で添加することもできる。
本発明のアルミニウム合金ろう材では、Al-Si系合金のろう材にノコロックフラックスの効果を阻害し、ろう付性を低下させない範囲として、例えば0.3質量%以下の範囲でMgが含有された成分組成であっても良い。この場合、Mgが含有された成分組成であっても、上述した本発明の効果が損なわれることはない。
また、ろう付時の表面酸化皮膜の成長を抑制して接合性を向上させるため、Sr,Bi,Ca,Sbの各元素を、それぞれ質量%で0.1%以下の範囲で添加することもできる。
以上説明したように、本発明の、高強度で耐エロージョン性及びろう付性に優れる熱交換器用ブレージングシートによれば、アルミニウム合金芯材が上述の成分組成とされていることにより、芯材の高強度化と耐侵食性とが両立されている。さらに、アルミニウム合金ろう材が上述の成分組成とされていることにより、Al−Si系溶融ろうの液相線温度を増加させると共に、溶融ろうの表面張力を増大させることができる。
これにより、ろう付の際、接合部に過剰なろう材が供給された場合であっても、ろう付接合される素材にエロージョンが生じるのを抑制すると共に、ろう充填性を向上させることができる。
従って、上記ろう材と芯材とを組み合わせることにより、高強度で耐エロージョン性及びろう付性に優れる熱交換器用ブレージングシートが得られる。
これにより、ろう付の際、接合部に過剰なろう材が供給された場合であっても、ろう付接合される素材にエロージョンが生じるのを抑制すると共に、ろう充填性を向上させることができる。
従って、上記ろう材と芯材とを組み合わせることにより、高強度で耐エロージョン性及びろう付性に優れる熱交換器用ブレージングシートが得られる。
以下、実施例を示して本発明の熱交換器用ブレージングシートの効果を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものでは無い。
本実施例では、下記表1に示す成分組成のアルミニウム合金芯材及びアルミニウム合金ろう材を用いて、高強度で耐エロージョン性及びろう付性に優れるブレージングシート(実施例)及び比較例のブレージングシートを作製し、後述の各項目について評価を行った。
以下に、アルミニウム合金芯材、アルミニウム合金ろう材及びブレージングシートの作製工程、及び各評価試験項目について説明する。
本実施例では、下記表1に示す成分組成のアルミニウム合金芯材及びアルミニウム合金ろう材を用いて、高強度で耐エロージョン性及びろう付性に優れるブレージングシート(実施例)及び比較例のブレージングシートを作製し、後述の各項目について評価を行った。
以下に、アルミニウム合金芯材、アルミニウム合金ろう材及びブレージングシートの作製工程、及び各評価試験項目について説明する。
[作製工程]
表1に示す成分組成を有したアルミニウム合金芯材、表2に示す成分組成を有したアルミニウム合金ろう材をそれぞれ作製し、犠牲陽極材として7072合金を用いたアルミニウムブレージングシートを作製した。
表1に示す成分組成を有したアルミニウム合金芯材、表2に示す成分組成を有したアルミニウム合金ろう材をそれぞれ作製し、犠牲陽極材として7072合金を用いたアルミニウムブレージングシートを作製した。
実施例及び比較例の各ブレージングシートは、犠牲陽極材/芯材/ろう合金のクラッド率をそれぞれ10%/80%/10%となるように表1中の芯材と表2中のろう材とを組み合わせ、熱間圧延処理を行うことによってクラッド材とし、厚さが約1.3mmになるまで冷間圧延処理を施した後、360℃で3Hrのバッチ焼鈍を行い、調質をO材とした。
そして、実施例及び比較例の各ブレージングシートを、窒素ガス雰囲気中において、600℃のろう付温度で3分間保持した後、室温まで冷却するろう付相当熱処理を実施し、以下に示す「ろう流動係数」、「最大ろう侵食深さ(エロージョン性)」及び「ろう付後の強度(引張強さ)」の測定を行った。
そして、実施例及び比較例の各ブレージングシートを、窒素ガス雰囲気中において、600℃のろう付温度で3分間保持した後、室温まで冷却するろう付相当熱処理を実施し、以下に示す「ろう流動係数」、「最大ろう侵食深さ(エロージョン性)」及び「ろう付後の強度(引張強さ)」の測定を行った。
[ろう流動係数]
上記作製工程で得られたブレージングシートの各サンプルを、縦60mm×横25mmの試験片に加工し、この初期状態における試験片全体の質量W0を測定した(図1(a)参照)。次いで、高純度窒素ガス雰囲気中において、温度600℃で3分間保持してろう合金を溶融させた。
そして、図1(b)に示すような、試験片の一端側から縦方向で1/4までの部分(つまり、60mm/4=15mm)の部位の質量WBを測定し、次式(1)にてろう流動係数を求めた。
ろう流動係数={(流動移動後のフィレットろう量)/(ろう付前の対象ろう量)}={(WB−W0/4)/(3W0/4×クラッド率)}={(4WB−W0)/(3W0×クラッド率)}・・・(1)
上記ろう流動係数により、以下の基準でろう流動性を評価した(◎○×で表記)。
(1)◎:ろう流動係数が0.35以上だった。
(2)○:ろう流動係数が0.20超0.35未満の範囲だった。
(3)×:ろう流動係数が0.20以下だった。
上記作製工程で得られたブレージングシートの各サンプルを、縦60mm×横25mmの試験片に加工し、この初期状態における試験片全体の質量W0を測定した(図1(a)参照)。次いで、高純度窒素ガス雰囲気中において、温度600℃で3分間保持してろう合金を溶融させた。
そして、図1(b)に示すような、試験片の一端側から縦方向で1/4までの部分(つまり、60mm/4=15mm)の部位の質量WBを測定し、次式(1)にてろう流動係数を求めた。
ろう流動係数={(流動移動後のフィレットろう量)/(ろう付前の対象ろう量)}={(WB−W0/4)/(3W0/4×クラッド率)}={(4WB−W0)/(3W0×クラッド率)}・・・(1)
上記ろう流動係数により、以下の基準でろう流動性を評価した(◎○×で表記)。
(1)◎:ろう流動係数が0.35以上だった。
(2)○:ろう流動係数が0.20超0.35未満の範囲だった。
(3)×:ろう流動係数が0.20以下だった。
[最大ろう侵食深さ(エロージョン性)]
上記ろう流動係数測定後の各サンプルについて、試験片下端のろう溜まり部の任意断面について光学顕微鏡を用いて観察し、最も母材へのろう侵食(エロージョン)が激しい部位のろう侵食深さを測定した(図2(a)及び図2(b)参照)。
上記ろう侵食深さにより、以下の基準で耐エロージョン性を評価した(◎○×で表記)。
(1)◎:ろう侵食深さが0.25mm以下だった。
(2)○:ろう侵食深さが0.25mm超0.5mm以下の範囲だった。
(3)×:ろう侵食深さが0.5mm超だった。
上記ろう流動係数測定後の各サンプルについて、試験片下端のろう溜まり部の任意断面について光学顕微鏡を用いて観察し、最も母材へのろう侵食(エロージョン)が激しい部位のろう侵食深さを測定した(図2(a)及び図2(b)参照)。
上記ろう侵食深さにより、以下の基準で耐エロージョン性を評価した(◎○×で表記)。
(1)◎:ろう侵食深さが0.25mm以下だった。
(2)○:ろう侵食深さが0.25mm超0.5mm以下の範囲だった。
(3)×:ろう侵食深さが0.5mm超だった。
[ろう付後の強度(引張強さ)]
ろう付相当の熱処理を行ったブレージングシートサンプルからJIS5号引張試験片を加工して引張試験を実施し、各サンプルの引張強さを測定した。
ここで、芯材として従来から一般的に使用されている3003合金の強度は110MPaであり、本発明のアルミニウム合金はいずれも高強度化が図られていることから、引張強さとして最低120MPa以上は必要であるとした。
なお、3003合金の融点は645℃であるのに対して、本発明の合金はいずれも高強度化によって融点が低下しており、3003合金を芯材として用いた場合よりも芯材へのエロージョンが生じやすくなっている。
ろう付相当の熱処理を行ったブレージングシートサンプルからJIS5号引張試験片を加工して引張試験を実施し、各サンプルの引張強さを測定した。
ここで、芯材として従来から一般的に使用されている3003合金の強度は110MPaであり、本発明のアルミニウム合金はいずれも高強度化が図られていることから、引張強さとして最低120MPa以上は必要であるとした。
なお、3003合金の融点は645℃であるのに対して、本発明の合金はいずれも高強度化によって融点が低下しており、3003合金を芯材として用いた場合よりも芯材へのエロージョンが生じやすくなっている。
ブレージングシートの成分組成、測定結果及び評価結果の一覧を、実施例については表3に、比較例については表4にそれぞれ示す。
[評価結果]
表3に示すように、本発明で規定する成分組成を有してなる実施例1〜18のブレージングシートは、全てのサンプルにおいてろう流動係数が0.25から0.75の範囲であり、ろう流動性の評価が何れも◎又は○であった。
また、実施例1〜18のブレージングシートは、全てのサンプルにおいてろう侵食深さが0.5mm以下であり、エロージョン抑制特性の評価が何れも◎又は○であった。
さらに、実施例1〜18のブレージングシートは、全てのサンプルにおいて引張強さが120MPa以上であった。
表3に示すように、本発明で規定する成分組成を有してなる実施例1〜18のブレージングシートは、全てのサンプルにおいてろう流動係数が0.25から0.75の範囲であり、ろう流動性の評価が何れも◎又は○であった。
また、実施例1〜18のブレージングシートは、全てのサンプルにおいてろう侵食深さが0.5mm以下であり、エロージョン抑制特性の評価が何れも◎又は○であった。
さらに、実施例1〜18のブレージングシートは、全てのサンプルにおいて引張強さが120MPa以上であった。
これに対して、比較例1に示すブレージングシートは、芯材SにおいてMnの含有量が0.1%、Siの含有量が0.3%と本発明で規定する下限を下回っており、ろう付後の引張強さが120MPa未満(100MPa)であり、強度不十分となった。
また、比較例2に示すブレージングシートは、芯材TにおいてMnの含有量が2.1%と本発明で規定する上限を上回っており、ろう流動性、耐エロージョン性及び引張強さの特性面では問題がないが、ブレージングシートの製造時において圧延性が低下するという製造面での問題があった。
また、比較例3に示すブレージングシートは、芯材UにおいてSiの含有量が1.5%と本発明で規定する上限を上回っており、ろう流動係数が0.20と低く、ろう流動性評価が×となった。さらに、ろう侵食深さが1.02mmと大きく、耐エロージョン性評価が×となった。
また、比較例4に示すブレージングシートは、芯材VにおいてCuの含有量が1.7%と本発明で規定する上限を上回っており、ろう侵食深さが0.65mmと大きく、耐エロージョン性評価が×となった。また、ブレージングシートの製造時において圧延性が低下するという問題があった。
また、比較例5に示すブレージングシートは、芯材WにおいてMn,Si,Cuの含有量が本発明の規定範囲内となっているものの、Tiが0.35%と本発明の規定範囲外となっており、また、Zr,Mg,Feの各成分が含有されていない。
一方、比較例6に示すブレージングシートは、芯材XにおいてMn,Si,Cuの含有量が本発明の規定範囲内となっているものの、Zrが0.35%と本発明の規定範囲外となっており、また、Ti,Mg,Feの各成分が含有されていない。
この比較例5及び比較例6に示すブレージングシートは、ろう流動性、耐エロージョン性及び引張強さの特性面では問題がないが、ブレージングシートの製造時において鋳造性が低下するという製造面での問題があった。
一方、比較例6に示すブレージングシートは、芯材XにおいてMn,Si,Cuの含有量が本発明の規定範囲内となっているものの、Zrが0.35%と本発明の規定範囲外となっており、また、Ti,Mg,Feの各成分が含有されていない。
この比較例5及び比較例6に示すブレージングシートは、ろう流動性、耐エロージョン性及び引張強さの特性面では問題がないが、ブレージングシートの製造時において鋳造性が低下するという製造面での問題があった。
また、比較例7に示すブレージングシートは、芯材YにおいてMn,Si,Cuの含有量が本発明の規定範囲内となっているものの、Mgが0.35%と本発明の規定範囲外となっており、また、Ti,Zr,Feの各成分が含有されていない。
この比較例7に示すブレージングシートは、ろう流動性、耐エロージョン性及び引張強さの特性面では問題がないが、ろう付時に芯材Yがフラックスと反応してろう付性を著しく低下させるという製造面での問題があった。
この比較例7に示すブレージングシートは、ろう流動性、耐エロージョン性及び引張強さの特性面では問題がないが、ろう付時に芯材Yがフラックスと反応してろう付性を著しく低下させるという製造面での問題があった。
また、比較例8に示すブレージングシートは、芯材ZにおいてMn,Si,Cuの含有量が本発明の規定範囲内となっているものの、Feが1.2%と本発明の規定範囲外となっており、また、Ti,Zr,Mgの各成分が含有されていない。
この比較例8に示すブレージングシートは、ろう流動性、耐エロージョン性及び引張強さの特性面では問題がないが、芯材Zに粗大金属間化合物が生成し、圧延性が低下するという製造面での問題があった。
この比較例8に示すブレージングシートは、ろう流動性、耐エロージョン性及び引張強さの特性面では問題がないが、芯材Zに粗大金属間化合物が生成し、圧延性が低下するという製造面での問題があった。
また、比較例9に示すブレージングシートは、ろう材mにおいてSiの含有量が4.0%と本発明で規定する下限を下回っており、Zn,Mn,Zr,Crの各成分が含有されていない。そして、流動係数は0.18であり、ろう流動性の評価が×となった。
一方、比較例10に示すブレージングシートは、ろう材nにおいてSiの含有量が12.5%と本発明で規定する上限を上回っており、Zn,Mn,Zr,Crの各成分が含有されていない。そして、ろう侵食深さは0.81mmであり、耐エロージョン性の評価が×となった。
一方、比較例10に示すブレージングシートは、ろう材nにおいてSiの含有量が12.5%と本発明で規定する上限を上回っており、Zn,Mn,Zr,Crの各成分が含有されていない。そして、ろう侵食深さは0.81mmであり、耐エロージョン性の評価が×となった。
また、比較例11に示すブレージングシートは、ろう材oにおいてTiの含有量が0.01%と本発明で規定する下限を下回っており、Zn,Mn,Zr,Crの各成分が含有されていない。
一方、比較例12に示すブレージングシートは、ろう材pにおいてSiの含有量が0.6%と本発明で規定する上限を上回っており、Zn,Mn,Zr,Crの各成分が含有されていない。
比較例11及び比較例12のブレージングシートは、いずれもろう侵食深さが0.5mm以上であり、耐エロージョン性の評価が×となった。
一方、比較例12に示すブレージングシートは、ろう材pにおいてSiの含有量が0.6%と本発明で規定する上限を上回っており、Zn,Mn,Zr,Crの各成分が含有されていない。
比較例11及び比較例12のブレージングシートは、いずれもろう侵食深さが0.5mm以上であり、耐エロージョン性の評価が×となった。
また、比較例13に示すブレージングシートは、ろう材qにおいてSi,Tiの含有量が本発明の規定範囲内となっているものの、Znが11.0%と本発明の規定範囲外となっており、また、Mn,Zr,Crの各成分が含有されていない。
この比較例13に示すブレージングシートは、ろう流動性、耐エロージョン性及び引張強さの特性面では問題がないが、ろう材の腐食速度が増大しすぎて、ブレージングシートの耐食性が低下した。
この比較例13に示すブレージングシートは、ろう流動性、耐エロージョン性及び引張強さの特性面では問題がないが、ろう材の腐食速度が増大しすぎて、ブレージングシートの耐食性が低下した。
また、比較例14に示すブレージングシートは、ろう材rにおいてSi,Tiの含有量が本発明の規定範囲内となっているものの、Mnが2.2%と本発明の規定範囲外となっており、また、Zn,Zr,Crの各成分が含有されていない。
さらに、比較例15に示すブレージングシートは、ろう材sにおいてSi,Tiの含有量が本発明の規定範囲内となっているものの、Zrが0.7%と本発明の規定範囲外となっており、また、Zn,Mn,Crの各成分が含有されていない。
更にまた、比較例16に示すブレージングシートは、ろう材tにおいてSi,Tiの含有量が本発明の規定範囲内となっているものの、Crが1.2%と本発明の規定範囲外となっており、また、Zn,Mn,Zrの各成分が含有されていない。
比較例14〜16のブレージングシートは、いずれもろう流動係数が0.20以下であり、ろう流動性の評価が×となった。
さらに、比較例15に示すブレージングシートは、ろう材sにおいてSi,Tiの含有量が本発明の規定範囲内となっているものの、Zrが0.7%と本発明の規定範囲外となっており、また、Zn,Mn,Crの各成分が含有されていない。
更にまた、比較例16に示すブレージングシートは、ろう材tにおいてSi,Tiの含有量が本発明の規定範囲内となっているものの、Crが1.2%と本発明の規定範囲外となっており、また、Zn,Mn,Zrの各成分が含有されていない。
比較例14〜16のブレージングシートは、いずれもろう流動係数が0.20以下であり、ろう流動性の評価が×となった。
一般に、ろう流動係数測定試験において生じるろう溜まり部で、芯材へのろう侵食深さ(エロージョン深さ)が0.5mm超となった場合には、激しいエロージョンにより流動する溶融ろうの量が減少し、接合部におけるろう材の量が不足したり、ろう付時に変形が生じたり、製品の耐久強度や耐食性などが低下する等の問題がある。
また、溶融ろうの流動係数が0.20以下となった場合には、ろう付接合部においてろう材が不足するため十分なフィレットが形成されずに接合不良が生じるという問題がある。
また、溶融ろうの流動係数が0.20以下となった場合には、ろう付接合部においてろう材が不足するため十分なフィレットが形成されずに接合不良が生じるという問題がある。
実施例1〜18に示すブレージングシートでは、上述したように、ろう流動係数が0.25〜0.75の範囲であり、ろう侵食深さが0.5mm以下であり、引張強さが120MPa以上となっている。
上記結果により、本発明で規定する成分組成を有するアルミニウム合金芯材及びアルミニウム合金ろう材からなる熱交換器用ブレージングシートが、高強度で耐エロージョン性及びろう付性に優れていることが明らかである。
上記結果により、本発明で規定する成分組成を有するアルミニウム合金芯材及びアルミニウム合金ろう材からなる熱交換器用ブレージングシートが、高強度で耐エロージョン性及びろう付性に優れていることが明らかである。
Claims (5)
- 0.3〜2.0%(質量%、以下同様)のMnと、0.5〜1.2%のSiと、0.1〜1.5%のCuとを含有し、残部がAlと不可避不純物とからなる組成を有するアルミニウム合金芯材と、
5.0〜12.0%のSiと、0.05〜0.5%のTiとを含有し、液相線温度が590℃以上のアルミニウム合金ろう材と、を備え、
前記アルミニウム合金芯材の片面又は両面に前記アルミニウム合金ろう材をクラッドすることを特徴とする熱交換器用ブレージングシート。 - 前記アルミニウム合金芯材の融点が、600〜630℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器用ブレージングシート。
- 前記アルミニウム合金ろう材が、0.5〜10.0%のZnをさらに含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器用ブレージングシート。
- 前記アルミニウム合金ろう材が、0.1〜2.0%のMn、0.01〜0.5%のZr、0.05〜1.0%のCrから選ばれる群のうち、少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の熱交換器用ブレージングシート。
- 前記アルミニウム合金芯材が、0.05〜0.3%のTi、0.05〜0.3%のZr、0.05〜0.3%のMg、0.3〜1.0%のFeから選ばれる群のうち、少なくとも一種をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の熱交換器用ブレージングシート。
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2008
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