JP2016186049A - ブロック共重合体組成物、粘接着剤組成物及びこれらの製造方法 - Google Patents

ブロック共重合体組成物、粘接着剤組成物及びこれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造工程としての乾燥工程における乾燥状態が良好で、かつ臭気が低いブロック共重合体組成物およびこれを含む粘接着剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)成分:ビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBとを有するブロック共重合体、並びに(b)成分:カルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩を含み、(a)成分中のビニル芳香族化合物単位の含有量が10質量%以上60質量%以下であり、15質量%トルエン溶液粘度が、25℃において、10mPa・s以上70mPa・s未満であり、かつ(a)成分100質量部に対し、(b)成分を0.02質量部以上0.3質量部以下含有する、ブロック共重合体組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ブロック共重合体組成物、粘接着剤組成物及びこれらの製造方法に関する。
溶液型又はホットメルト型の接着剤や粘着剤のベースポリマーとして、ビニル芳香族単量体と共役ジエン単量体とを重合したブロック共重合体(SBS:スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、SIS:スチレン−イソプレン−スチレン共重合体等)が用いられており、これらの生産技術の向上を目的とした検討が行われている。例えば、特許文献1には、特定のポリエーテル化合物を用いてストリッピングをすることにより、ブロック共重合体を製造する方法が示されている。
特開昭50−89494号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているブロック共重合体は、重合工程及びストリッピング工程の後の乾燥工程において、ブロック共重合体の乾燥が十分ではなく、乾燥機の壁面に付着するという問題があり、また、臭気の観点からも更なる改善が必要である。そこで、上記問題点に鑑み、本発明は、製造工程における乾燥状態が良好であり、かつ低臭気のブロック共重合体組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定の成分を所定量含有するブロック共重合体組成物が、上記課題を効果的に解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1. (a)成分:ビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBとを有するブロック共重合体、並びに
(b)成分:カルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩
を含み、
(a)成分中のビニル芳香族化合物単位の含有量が10質量%以上60質量%以下であり、
15質量%トルエン溶液粘度が、25℃において、10mPa・s以上70mPa・s未満であり、かつ
(a)成分100質量部に対し、(b)成分を0.02質量部以上0.3質量部以下含有する、ブロック共重合体組成物。
2. さらに、
(c)成分:無機酸、無機酸のエステル化合物、及び無機酸のエステル塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種
を、前記(a)成分100質量部に対し、0.03質量部以上2.0質量部以下含有する、上記1に記載のブロック共重合体組成物。
3. 前記(c)成分が、非金属を含む酸基が水素と結合してできた酸、その酸のエステル化合物、及びその酸のエステル塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種である、上記2に記載のブロック共重合体組成物。
4. 前記(c)成分が、リン酸、リン酸のエステル化合物、及びリン酸のエステル塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、上記2または3に記載のブロック共重合体組成物。
5. さらに、
(d)成分:オレフィン及び/又はビニル芳香族化合物と、無水マレイン酸と、の共重合体、並びにその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種
を前記(a)成分100質量部に対し、0.001質量部以上0.1質量部以下含有する、上記1〜4のいずれかに記載のブロック共重合体組成物。
6. 前記(b)成分が
(b1)炭素数8以上25以下の脂肪酸及び/又はその塩、
(b2)芳香族カルボン酸及び/又はその塩、並びに
(b3)オキシカルボン酸及び/又はその塩
からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、上記1〜5のいずれかに記載のブロック共重合体組成物。
7. 前記(a)成分が,下記式(1)で表される(a−1)成分と、下記式(2)で表される(a−2)成分とを含み、
成分(a)中の、(a−1)成分の含有量が1〜80質量%であり、(a−2)成分の含有量が20〜99質量%である、上記1〜6のいずれかに記載のブロック共重合体組成物;
(A−B)n 式(1)
[(A−B)km+1−X 式(2)
(式(1)、(2)中、Aは、それぞれ独立して、ビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、Xはカップリング剤の残基を示し、n、kは、それぞれ独立して、1以上の整数であり、mは1〜9の整数である。1つの化合物中に複数のA及び/又はBを含むとき、それらブロックを構成する化合物単位は互いに独立である。)。
8. 前記(a)成分が、下記式(3):
A−(B−A)p 式(3)
(式(3)中、Aはビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、pは1以上の整数である)
で表される(a−3)成分を含む、上記1〜7のいずれかに記載のブロック共重合体組成物。
9. さらに、
(e)成分:ヒンダードフェノール構造を有する化合物
を前記(a)成分100質量部に対し、0.03質量部以上2.0質量部以下含有する、上記1〜8のいずれかに記載のブロック共重合体組成物。
10. さらに、
(f)成分:硫黄、リン及びアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種を有する熱安定剤
を前記(a)成分100質量部に対し、0.01質量部以上1.0質量部以下含有する、上記1〜9のいずれかに記載のブロック共重合体組成物。
11. 工程I:ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とを重合し、ブロック共重合体を製造する工程、
工程II:工程Iで製造されたブロック共重合体と反応停止剤とを混合し、重合反応が停止したブロック共重合体を製造する工程、及び
工程III:カルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩を、工程IIで得られたブロック共重合体100質量部に対して、0.02〜0.3質量部となるように混合する工程
を含む上記1〜10のいずれかに記載のブロック共重合体組成物の製造方法。
12. 上記1〜10のいずれかに記載のブロック共重合体組成物を含む粘接着剤組成物。
本発明のブロック共重合体組成物は、その製造工程において、乾燥状態が良好であり、乾燥機の壁面への付着の問題が低減され、かつ低臭気である。また、本発明のブロック共重合体組成物を含む粘接着剤組成物は、低臭気である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
本実施形態のブロック共重合体組成物は、(a)成分として、ビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBとを有するブロック共重合体、並びに(b)成分としてカルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩を含み、(a)成分中のビニル芳香族化合物単位の含有量が10質量%以上60質量%以下であり、15質量%トルエン溶液粘度が、25℃において10mPa・s以上70mPa・s未満であり、(a)成分100質量部に対し、(b)成分を0.02質量部以上0.3質量部以下含有する。本実施形態のブロック共重合体組成物は、その製造において、脱溶剤後の乾燥の際乾燥状態が良好で、乾燥機の壁面への付着が低減され、かつ低臭気である。また、本実施形態のブロック共重合体組成物を含む粘接着剤組成物も低臭気である。なお、本明細書において、ブロック共重合体組成物の「仕上げ性」とは、ブロック共重合体組成物の製造における、脱溶剤後の乾燥の際のブロック共重合体組成物の乾燥状態のことを意味するものとする。
本実施形態のブロック共重合体組成物に含まれる各成分について以下説明する。
<(a)成分:ブロック共重合体>
本実施形態のブロック共重合体組成物は、ビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックA(以下、「重合体ブロックA」、又は「A」と記載することもある。)と、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックB(以下、「重合体ブロックB」、又は「B」と記載することもある。)と、を有するブロック共重合体(以下、単に「ブロック共重合体」又は「(a)成分」と記載することもある)を含む。ここで、ビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックAの「主体とする」とは、重合体ブロックA中、ビニル芳香族化合物単位を50質量%超え、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上含有することを意味し、100質量%であってもよい。共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBの「主体とする」とは、重合体ブロックB中、共役ジエン化合物単位を50質量%超え、好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上含有することを意味し、100質量%であってもよい。また、「ビニル芳香族化合物単位」及び「共役ジエン化合物単位」とは、それぞれ、重合体中におけるビニル芳香族化合物及び共役ジエン化合物に基づく単位のことをいい、好ましくは、それぞれ、ビニル芳香族単量体単位、及び共役ジエン単量体単位のことをいう。ブロック共重合体中の重合体ブロックAは、共役ジエン化合物単位とビニル芳香族化合物単位との共重合体ブロック及び/又はこれらの水素添加物であってもよいし、ビニル芳香族化合物の単独重合体ブロックであってもよい。重合体ブロックBは、共役ジエン化合物単位とビニル芳香族化合物単位との共重合体ブロック及び/又はこれらの水素添加物であってもよいし、共役ジエン化合物の単独重合体ブロック及び/又はこれらの水素添加物であってもよい。ブロックAとブロックBとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。また、(a)成分として、一種のブロック共重合体を単独で含んでもよいし、二種以上を組み合わせて含んでもよい。
共役ジエン化合物は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。共役ジエン化合物としては、特に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。このなかでも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。また、機械強度の観点から、1,3−ブタジエンがより好ましい。共役ジエン化合物は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ビニル芳香族化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられる。このなかでも、経済性の観点から、スチレンが好ましい。ビニル芳香族化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に用いるブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物単位及び共役ジエン化合物単位以外の化合物単位を含んでもよく、重合工程においては、ビニル芳香族化合物及び共役ジエン化合物の他、当該化合物と共重合可能な他の化合物を用いることができる。
本実施形態における(a)成分中のビニル芳香族化合物単位の含有量は、10質量%以上60質量%以下である。該ビニル芳香族化合物単位の含有量の下限は、好ましくは15質量%以上であり、より好ましくは18質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。また、該ビニル芳香族化合物単位の含有量の上限は、好ましくは57質量%以下であり、より好ましくは55質量%以下であり、さらに好ましくは53%以下である。(a)成分中のビニル芳香族化合物単位の含有量が10質量%以上60質量%以下にあると、ブロック共重合体組成物の仕上げ性に優れる。なお、(a)成分中のビニル芳香族化合物単位の含有量は、後述する実施例において記載する「スチレン含有量」の測定方法として記載した方法により測定することができる。
本実施形態のブロック共重合体組成物において、(a)成分中のビニル芳香族化合物単位の含有量(質量%)に対する重合体ブロックA中のビニル芳香族化合物単位の重合体ブロック量(質量%)、すなわちビニル芳香族化合物単位の重合体ブロック率が、95.0〜99.9%であることが好ましい。なお、ビニル芳香族化合物単位の重合体ブロック率は、後述する実施例において記載する方法により測定することができる。
(a)成分は、共役ジエン化合物単位が水素添加されていてもよく、水素添加されている場合は、臭気を抑制できるという観点から、(a)成分中の共役ジエン化合物単位の総量に対して、水素添加された共役ジエン化合物単位が30〜100mol%であることが好ましく、60〜100mol%であることがより好ましい。また、仕上げ性に優れるという観点からは、(a)成分中の共役ジエン化合物単位の総量に対して、水素添加された共役ジエン化合物単位が90mol%以下であることが好ましく、水添されていなくてもよい。水素添加率は後述する実施例記載の方法により測定することができる。
また、水素添加率は、臭気の観点からは、ビニル結合量のうち、95mol%以上が水素添加されていることが好ましく、98mol%以上であることがより好ましく、100mol%であることがさらに好ましい。ここで、「ビニル結合量」とは、水素添加前において、1,2−結合、3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれている(a)成分中の共役ジエン化合物単位の総mol量に対する、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれている共役ジエン単量体単位の総mol量の割合である。水素添加率は後述する実施例記載の方法で測定することができる。
ビニル結合を形成している結合様式が全て水素添加された上で、ビニル結合以外の結合様式(すなわち1,4−結合)が5mol%以上水素添加されていること、すなわち、共役ジエン化合物単位の総量に対して、「ビニル結合量の値+5」mol%以上の水素添加率であることが好ましい。
なお、ビニル芳香族化合物単位の共役結合が水素添加されてもよいが、保持力や接着性の観点から、全ビニル芳香族単量体単位の共役結合の水素添加率は、30mol%以下が好ましく、10mol%以下が好ましく、3mol%以下がさらに好ましく、0mol%であってもよい。水素添加率は後述する実施例記載の方法で測定することができる。
(a)成分中の共役ジエン化合物(単量体)単位の水素添加前のビニル結合量は、臭気を抑制する観点から、共役ジエン化合物(単量体)単位の総量に対して、15〜45mol%が好ましく、20〜40mol%がより好ましい。
(a)成分として、一種のブロック共重合体を用いてもよいし、二種以上のブロック共重合体を用いてもよい。
(a)成分のブロック共重合体の構造としては、例えば、(A−B)n、B−(A−B)n、A−(B−A)n、(A−B)n−X、(B−A)n−X、A−(B−A)n−X、B−(A−B)n−X、[(A−B)km+1−X、[(B−A)km+1−X、[B−(A−B)km+1−X、[(A−B)k−A]m+1−X等が挙げられる。
ここで、Aは、それぞれ独立して、ビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは、それぞれ独立して、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、Xはカップリング剤の残基を示し、n、kは1以上の整数であり、mは1〜9の整数である。mは1〜3であることがより好ましい。
これらのブロック共重合体の構造の中でも、仕上げ性の向上と臭気の抑制の観点から、(a)成分が下記式(1)で表される(a−1)成分と、下記式(2)で表される(a−2)成分を含むことが好ましい。
(A−B)n 式(1)
[(A−B)km+1−X 式(2)
上記式(1)、(2)中、Aは、それぞれ独立して、ビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは、それぞれ独立して、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、Xはカップリング剤の残基を示し、n、kは、それぞれ独立して、1以上の整数であり、mは1〜9の整数である。mは1〜3であることがより好ましい。また、1つの化合物中に複数のA及び/又はBを含むとき、それらブロックを構成する化合物単位は互いに独立である。
本実施形態の一態様として、ブロック共重合体組成物の仕上げ性の向上と臭気の抑制の観点から、(a)成分中の(a−1)成分の含有量が1〜80質量%であることが好ましく、(a−2)成分の含有量が20〜99質量%であることが好ましい。(a)成分中の(a−1)成分の含有量が10〜70質量%であり、(a−2)成分の含有量が23〜90質量%であることがより好ましく、(a)成分中の(a−1)成分の含有量が20〜65質量%であり、(a−2)成分の含有量が25〜80質量%であることがさらに好ましい。
ここで、(a−1)成分と(a−2)成分は別々に製造されたものであってもよいし、後述するカップリングの工程により、(a−1)成分をカップリングすることにより(a−2)成分を製造してもよい。
本実施形態の一態様として、(a)成分が下記式(3)で表される(a−3)成分を含むと、臭気を抑制することができ好ましい。
A−(B−A)p 式(3)
(式(3)中、Aはビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、pは1以上の整数である。)
(a)成分中に(a−3)成分が含まれる場合、その含有量は(a)成分中に90〜100質量%であることが好ましい。
本実施形態のブロック共重合体組成物は、(a)成分として、(a−1)成分、(a−2)成分、及び(a−3)成分のうち一種を含んでもよいし、二種以上を組み合わせて含んでもよい。
(a)成分として含まれるブロック共重合体の数平均分子量は、仕上げ性の観点から、30,000〜450,000が好ましく、35,000〜380,000がより好ましく、40,000〜300,000がさらに好ましい。数平均分子量は後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
(a)成分が上述する(a−1)成分と(a−2)成分を含む場合、(a−1)成分の数平均分子量は30,000〜110,000が好ましく、35,000〜90,000がより好ましく、40,000〜70,000がさらに好ましい。(a−2)成分の数平均分子量は60,000〜450,000が好ましく、70,000〜380,000がより好ましく、80,000〜300,000がさらに好ましい。(a)成分の数平均分子量は、後述する実施例記載の方法で測定することができる。
〔(a)成分:ブロック共重合体の製造方法〕
本実施形態に用いるブロック共重合体の製造方法は、特に限定されないが、重合工程に加え、必要により、失活工程、カップリング工程、水素添加工程および脱溶剤工程から選ばれる少なくとも一種の工程を経て製造することができる。以下、各工程について説明する。
(重合工程)
重合工程は、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とを重合してブロック共重合体を製造する工程である。重合方法は特に制限されないが、例えば、配位重合、アニオン重合又はカチオン重合等によって得ることができる。このなかでも、構造の制御の容易さの観点からはアニオン重合が好ましい。
アニオン重合によるブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法が適用できる。例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報等に記載された方法が挙げられる。
アニオン重合の場合、ブロック共重合体は、特に限定されないが、例えば、不活性炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を重合開始剤として、少なくとも共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とを重合させて製造することができる。以下、重合開始剤としての有機リチウム化合物のことを「リチウム開始剤」とも記載する。
ブロック共重合体の製造に使用する不活性炭化水素溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
また、有機リチウム化合物としては、公知の化合物を用いることができ、特に限定されないが、例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好ましい。有機リチウム化合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上の混合物を用いてもよい。
リチウム開始剤の添加量は、目的とするブロック共重合体の分子量によるが、一般的には0.01〜0.5phm(単量体100質量部当たりに対する質量部)を用いることができる。リチウム開始剤の添加量は、好ましくは、0.03〜0.3phmであり、より好ましくは、0.05〜0.15phmである。
本実施形態においてリチウム開始剤を重合開始剤として共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とをブロック共重合する方法は、バッチ重合であっても連続重合であっても、又はそれらの組み合わせであってもよい。特に分子量分布が狭く、高い強度を有するブロック共重合体を得るにはバッチ重合方法が推奨される。重合温度は、一般に0℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃であり、より好ましくは40℃〜100℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は24時間以内であり、好適には0.1〜10時間である。また、重合系の雰囲気は窒素ガス等の不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲で単量体及び溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲であればよく、特に限定されるものではない。さらに、重合系内に開始剤及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないように留意することが好ましい。
(失活工程)
本実施形態のブロック共重合体の製造においては、重合後のブロック共重合体に反応停止剤を添加する失活工程を含むことが好ましい。反応停止剤としては、特に限定されないが、水又はアルコールなどが知られている。このなかでも失活効率の観点から、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコールが好ましい。反応停止剤は重合工程のどのタイミングで添加してもよいが、後述するカップリング工程を有する場合はカップリング工程の後に失活工程を行うのが好ましい。活性末端を100mol%としたとき、添加する反応停止剤がこれより少ない量であれば、反応停止剤の添加後に共役ジエン化合物及び/又はビニル芳香族化合物をさらに続けて添加してもよい。これにより失活していない活性末端と共役ジエン化合物及び/又はビニル芳香族化合物との重合反応が継続し、異なる分子量の重合体を含む重合体溶液を得ることができる。
(カップリング工程)
本実施形態のブロック共重合体は、カップリングされたものであってもよく、その場合は、製造工程において、上記重合工程の後にカップリング剤を用いてカップリングする工程を含むことが好ましい。
カップリング剤は、目的とするブロック共重合体の分岐数(例えば式(2)中のmの値)により選択することができる。
前記カップリング剤のうち、2官能カップリング剤としては、公知のものが使用でき、特に限定されない。例えば、エポキシ化合物;ジクロルジメチルシラン、フェニルメチルジクロロシランのようなハロゲン化ケイ素化合物;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランのようなアルコキシケイ素化合物;ジクロルジメチルスズのようなスズ化合物;安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類のようなエステル化合物;ジビニルベンゼン等のようなビニルアレン類等が挙げられる。
3官能カップリング剤としては、公知のものがいずれも使用でき、特に限定されない。例えば、メチル三塩化スズ、トリブチルクロロスズのようなスズ化合物;トリメトキシシラン、トリエトキシシランのようなシラン化合物;メチル三塩化ケイ素、トリメチルクロロケイ素のようなハロゲン化ケイ素化合物等が挙げられる。
4官能カップリング剤としては、公知のものがいずれも使用でき、特に限定されない。例えば、四塩化スズのようなハロゲン化スズ化合物;テトラアリルスズ、テトラ(2−オクテニル)スズのようなアリルスズ化合物;テトラフェニルスズ、テトラベンジルスズのようなスズ化合物;四塩化ケイ素、四臭化ケイ素のようなハロゲン化ケイ素化合物;テトラフェノキシケイ素、テトラエトキシケイ素のようなアルコキシケイ素化合物等が挙げられる。
(水素添加工程)
ブロック共重合体は共役ジエンに由来する不飽和二重結合の一部又は全てが水素添加されていてもよく、その場合は水素添加工程を含むのが好ましい。水素添加工程は、重合工程の後であればよく、失活工程の後であるのがより好ましく、カップリング工程を含む場合は、カップリング工程と失活工程の後に行うのが好ましい。
本実施形態に用いるブロック共重合体の共役ジエン部分を水素添加する方法としては、水添触媒の存在下に、水素を供給し、不飽和部を水素添加する方法が挙げられる。水素添加の際に用いる触媒量を多くすると、水素添加率を大きくすることができる。
水添触媒としては、特に限定はされないが、従来公知の水添触媒である、Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒;Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩、又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒;Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が挙げられる。
このような水添触媒としては、特に限定されないが、具体的には、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報等に記載された水添触媒が挙げられる。
(脱溶剤工程)
脱溶剤工程は、ブロック共重合体を含む溶液の溶媒を脱溶剤する工程である。脱溶剤する方法としては、特に限定されないが、例えばスチームストリッピング法や直接脱溶媒法により脱溶剤する方法が挙げられる。仕上げ性の観点からはスチームストリッピング法で脱溶剤することが好ましい。本実施形態において、脱溶剤工程は、重合工程の後であればよいが、(a)成分に加え後述する(b)成分等の他の成分を混合してから行うのが好ましい。具体的には、上記重合工程の後、必要によりカップリング工程、失活工程、および水素添加工程を経た後、ブロック共重合体を含む溶剤中に後述する(b)成分等他の成分を添加して混合し、続いて脱溶剤工程を行う態様が好ましい。特に、ブロック共重合体を含む溶剤中に、少なくとも(b)成分を添加してから脱溶剤工程を行うことが好ましい。
スチームストリッピング法は、クラム化剤として界面活性剤を用いることが一般的であり、そのような界面活性剤の例としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤が挙げられる。これら界面活性剤は、ストリッピング帯の水に対して一般に0.1〜3000質量ppm添加される。
上記界面活性剤に加えて、Li,Na,Mg,Ca,Al,Zn等の金属の水溶性塩をクラムの分散助剤として用いることもできる。
なお、本実施形態においては、後述する(c)成分または(d)成分が、クラムの分散助剤としての機能を有することもある。
ブロック共重合体の製造における重合工程及びスチームストリッピングを経て得られる水中に分散したクラム状のブロック共重合体の濃度は、一般に0.1〜20質量%(ストリッピング帯の水に対する割合)である。スチームストリッピング時の温度は70〜99℃以下とすると、運転上の支障をきたすことなく、良好な粒径を有するクラムを得ることができる。上記で得られた水分を含むブロック共重合体のクラムを脱水することにより含水率を1〜30質量%に調整し、その後、含水率が1質量%以下になるまで乾燥を行うことが好ましい。
上記ブロック共重合体の製造方法により得られるブロック共重合体中の残存溶媒量は、好ましくは2質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下であり、さらに好ましくは0.01質量%以下である。
その他、重合体の着色防止や高い機械強度の観点から、ブロック共重合体中の金属を除去する脱灰工程、または、ブロック共重合体のpHを調整する中和工程、例えば、酸の添加や炭酸ガスの添加を行ってもよい。
<(b)成分:カルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩>
本実施形態のブロック共重合体組成物はカルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩(本明細書において、単に「(b)成分」と記載することもある。)を含む。
(b)成分の分子量は、800未満であればよく、600以下であることが好ましく、500以下であることが更に好ましく、下限は、100以上であることが好ましく、120以上であることが更に好ましい。
カルボキシル基を有する有機酸としては、特に限定されないが、例えば、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、クエン酸、ポリカルボン酸等が挙げられる。
また、塩を形成するための塩基としては、特に限定されないが、例えば、Li、Na、K等のアルカリ金属及びMg、Ca等のアルカリ土類金属等が挙げられる。
カルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩((b)成分)としては、仕上げ性を向上させる観点から、下記(b1)〜(b3)成分からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、(b1)成分を含むことがより好ましい。本実施形態の好ましい一態様としては、下記(b1)〜(b3)成分から選ばれる少なくとも一種の合計の含有量が、(b)成分のうち70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
(b1)成分:炭素数8以上25以下の脂肪酸及び/又はその塩、
(b2)成分:芳香族カルボン酸及び/又はその塩、
(b3)成分:オキシカルボン酸及び/又はその塩。
(b1)炭素数8以上25以下の脂肪酸及び/又はその塩(以下、「(b1)成分」と記載することもある)の具体例としては、特に限定されないが、オクチル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ベヘン酸、ヒマシ硬化脂肪酸、牛脂脂肪酸及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。これら化合物は1種を単独で用いてもよいし、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。化合物(b1)の炭素数は、好ましくは、8以上23以下、より好ましくは8以上22以下である。
(b2)芳香族カルボン酸及び/又はその塩(以下、「(b2)成分」と記載することもある)の具体例としては、特に限定されないが、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。これら化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(b3)オキシカルボン酸及び/又はその塩(以下、「(b3)成分」と記載することもある)の具体例としては、特に限定されないが、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、ロイシン酸等及びこれらの塩からなる群から選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。これら化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のブロック共重合体組成物は、上述した(b)成分を(a)成分100質量部に対し0.02質量部以上0.3質量部以下含有する。(b)成分の含有量は、(a)成分100質量部に対し、好ましくは0.02質量部以上0.2質量部以下であり、より好ましくは0.02質量部以上0.15質量部以下である。なお、ブロック共重合体組成物中の(a)成分100質量部に対する(b)成分の含有量は、後述する実施例記載の方法によって測定することができる。
カルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸および/またはその塩((b)成分)の含有量が0.02質量部以上0.3質量部以下であると、本実施形態のブロック共重合体の単離、すなわち、仕上げ工程(脱溶剤工程後の乾燥を行う工程)において、乾燥性に優れ、結果として高い収率が得られ、かつ、臭気および着色を抑制することができる。
<(c)成分:無機酸、無機酸のエステル化合物、及び無機酸のエステル塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種>
本実施形態のブロック共重合体組成物は、仕上げ性の観点から無機酸、無機酸のエステル化合物、及び無機酸のエステル塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種(本明細書において、単に「(c)成分」と記載することもある)を含むことが好ましい。
ここで無機酸とは、塩素、硫黄、窒素、リンなどの非金属を含む酸基が水素と結合した酸が好ましく、特に限定されないが、例えば塩酸、硫酸、硝酸、硼酸、リン酸、炭酸などが挙げられる。
無機酸のエステル化合物及び無機酸のエステル塩化合物としては、公知のものが使用でき、特に限定されない。(c)成分としては、上述の非金属を含む酸基が水素と結合した酸である無機酸、そのエステル化合物及びそのエステル塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種が、仕上げ性の観点から好ましい。(c)成分としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル硫酸アンモニウム、α−(p−ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)のジハイドロジエンリン酸エステル、モノハイドロジエンリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸カリウム等が挙げられる。
本実施形態のブロック共重合体組成物は、(c)成分として、リン酸、リン酸のエステル化合物、及びリン酸エステル塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むと、ブロック共重合体組成物の仕上げ性が向上するため好ましい。
本実施形態のブロック共重合体組成物が(c)成分を含む場合、(c)成分の含有量は、(a)成分100質量部に対し、0.03質量部以上2.0質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以上0.15質量部以下であることがより好ましく、0.03質量部以上0.12質量部以下であることがさらに好ましい。
ブロック共重合体組成物中の(a)成分100質量部に対する(c)成分の含有量は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
〔(d)成分:オレフィン及び/又はビニル芳香族化合物と、無水マレイン酸と、の共重合体、並びにその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種〕
本実施形態のブロック共重合体組成物は、オレフィン及び/又はビニル芳香族化合物と無水マレイン酸との共重合体、並びにその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種(以下、単に「(d)成分」と記載することもある)を含むことが好ましい。
ここで、オレフィンとしては、エチレンまたは炭素数3以上のα−オレフィンが好ましい。オレフィン及び/又はビニル芳香族化合物と無水マレイン酸との共重合体としては、公知のものが使用でき、特に限定されないが、例えば、エチレン−無水マレイン酸共重合体、プロピレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、α−メチルスチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。また、(d)成分として塩を形成するための塩基としては、Li、Na、K等のアルカリ金属及びMg、Ca等のアルカリ土類金属等が挙げられる。なお、本実施形態においては、(a)成分に該当する共重合体は、(d)成分には該当しないものとする。
(d)成分の共重合体の数平均分子量は、特に限定されないが、例えば、1000〜20000が好ましい。
本実施形態のブロック共重合体組成物は、上述した(d)成分を含む場合、(a)成分100質量部に対し(d)成分を0.001質量部以上0.1質量部以下含有することが好ましく、0.001質量部以上0.08質量部以下含有することがより好ましく、0.001質量部以上0.07質量部以下含有することがさらに好ましい。(d)成分の含有量が上記範囲内であると、本実施形態のブロック共重合体の単離、すなわち、仕上げ工程(脱溶剤工程後の乾燥を行う工程)において、乾燥性に優れ、結果として高い収率でブロック共重合体組成物が得られるようになる。また、(d)成分の含有量が、(a)成分100質量部に対し0.1質量部以下であると、ブロック共重合体組成物の臭気および着色を抑えることができるため好ましい。ブロック共重合体組成物中の(a)成分100質量部に対する(d)成分の含有量は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
〔(e)成分:ヒンダードフェノール構造を有する化合物〕
本実施形態のブロック共重合体組成物は、ヒンダードフェノール構造を有する化合物(以下、単に「(e)成分」と記載することもある)を含有してもよい。(e)成分の含有量は、(a)成分100質量部に対し、0.03質量部以上2.0質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上1.2質量部以下であることがより好ましく、0.05質量部以上1.0質量部以下であることがさらに好ましい。(e)成分の含有量が、(a)成分に対し2.0質量部以下であるとブロック共重合体組成物の着色を抑制することができ、0.03質量部以上2.0質量部以下であると、ブロック共重合体組成物が耐熱性に優れ、結果として低臭気となる。ブロック共重合体組成物中の(a)成分100質量部に対する(e)成分の含有量は、後述する実施例記載の方法によって測定することができる。なお、(e)成分は、酸化防止剤としても用いることができる場合がある。
ヒンダードフェノール構造を有する化合物((e)成分)としては、公知の化合物が使用でき、特に限定されない。(e)成分として、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート〔オクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−0−クレゾール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)]アクリレート等が挙げられる。ブロック共重合体組成物は、これらのうち一種を単独で含んでも二種以上を組み合わせて含んでもよい。
〔(f)成分:硫黄、リン及びアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種を有する熱安定剤〕
本実施形態のブロック共重合体組成物は、硫黄、リン及びアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種を有する熱安定剤(本明細書において、単に「(f)成分」と記載することもある)を含有してもよい。(f)成分の含有量は、(a)成分100質量部に対し、2.0質量部以下であると着色を抑制することができるため好ましく、0.01質量部以上1.0質量部以下であることがより好ましく、0.01質量部以上0.8質量部以下であることがさらに好ましく、0.05質量部以上0.6質量部以下であることがさらにより好ましい。(f)成分の含有量が、(a)成分100質量部に対し、0.01質量部以上1.0質量部以下であると、ブロック共重合体組成物が耐熱性に優れ、結果として低臭気となる。ブロック共重合体組成物中の(a)成分100質量部に対する(f)成分の含有量は、後述する実施例記載の方法によって測定することができる。なお、本発明において、上記(a)〜(e)成分のいずれかに該当する化合物は、(f)成分には該当しないものとする。(f)成分は、酸化防止剤として用いることができる場合がある。
硫黄、リン及びアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種を有する熱安定剤((f)成分)としては、公知の化合物を使用でき、特に限定されないが、例えば、3,3'−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジラウリルチオジプロビオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネートペンタエリスリトールーテトラキス(6−ラウリルチオプロピオネート)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等が挙げられる。これらは一種を単独で含んでも、二種以上を組み合わせて含んでもよい。
〔ブロック共重合体組成物の製造方法〕
本実施形態のブロック共重合体組成物の製造方法において、(a)成分と(b)成分とを混合する方法は特に限定されない。また、(a)成分及び(b)成分以外の成分を含む場合、これら成分を混合する方法及び順序は特に限定されない。
本実施形態のブロック共重合体組成物の製造方法の好ましい一態様として、以下の工程I〜IIIを順に含む製造方法が挙げられる。この製造方法によると、乾燥性に優れ、低臭気であり、仕上げ性に優れるブロック共重合体組成物を得ることができる。
工程I:ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とを重合し、ブロック共重合体を製造する工程、
工程II:上記工程Iで製造されたブロック共重合体と反応停止剤とを混合し、重合反応が停止したブロック共重合体を製造する工程、及び
工程III:カルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩を、ブロック共重合体100質量部に対して、0.02〜0.3質量部となるように混合する工程。
工程Iとしては、上記(a)成分の製造方法で述べた重合工程が挙げられる。工程IIとしては、上述の失活工程が挙げられる。本実施形態においては、工程IIIの後に上述の脱溶剤工程を行うことが好ましい。
本実施形態の一態様として、(b)成分は工程IIIにおいてブロック共重合体を含む溶液に対し添加することが好ましい。(c)成分及び/又は(d)成分は前述の脱溶剤工程において、スチームストリッピングに用いる温水に添加することが好ましい。(e)成分及び/又は(f)成分は、工程IIの後かつ脱溶剤工程より前のブロック共重合体を含む溶液に対し添加することが好ましい。
〔その他の成分〕
本実施形態のブロック共重合体組成物は、必要により光安定剤を添加することができる。光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、及びヒンダードアミン系光安定剤等を挙げることができる。
本実施形態のブロック共重合体組成物の25℃における15質量%トルエン溶液粘度は10mPa・s以上70mPa・s未満である。該トルエン溶液粘度は、仕上げ性の観点から20mPa・s以上であることが好ましく、23mPa・s以上であることがより好ましい。また、該トルエン溶液粘度は、65mPa・s未満であることが好ましく、63mPa・s以下であることがより好ましく、61mPa・s未満であることがさらに好ましい。ブロック共重合体組成物の15質量%トルエン溶液粘度は後述する実施例記載の方法により測定することができる。
〔粘接着剤組成物〕
本実施形態の粘接着剤組成物は、上記ブロック共重合体組成物を含み、さらに粘着付与剤を含むことが好ましく、軟化剤を含んでもよい。
粘着付与剤は、特に限定されないが、例えば、脂肪族系環状炭化水素樹脂(例えば、荒川化学工業(株)製:アルコンM100)、ポリテルペン樹脂(例えば、ヤスハラケミカル(株)製:クリアロンM115)等を好ましく使用できる。
軟化剤は、特に限定されないが、例えば、色調の観点からパラフィン系プロセスオイル(例えば、出光興産(株)製:PW−90)を好ましく使用できる。
〔粘接着剤組成物の製造方法〕
本実施形態の粘接着剤組成物は、公知の方法により、上述したブロック共重合体組成物と粘着付与剤および必要に応じて軟化剤とを混合して製造できる。混合方法としては、例えば、ブロック共重合体組成物、粘着付与剤、および軟化剤を、混合機又はニーダー等で、加熱条件下で均一混合する方法が挙げられる。混合温度は、130℃〜210℃が好ましく、140℃〜200℃がより好ましく、150℃〜190℃がさらに好ましい。混合温度が130℃以上であると、十分にブロック共重合体が溶融し、分散しやすくなる。また、混合温度が210℃以下であると、ブロック共重合体の架橋や粘着付与剤の低分子量成分の蒸発等により、粘接着特性の劣化を招来するおそれを低減することができる。
混合時間は、5〜90分が好ましく、10分〜80分がより好ましく、20分〜70分がさらに好ましい。混合時間が5分以上であると各成分を均一に分散しやすく、90分以下であるとブロック共重合体の架橋や粘着付与剤の低分子量成分の蒸発等により、粘接着特性の劣化を招来するおそれを小さくすることができる。
〔用途〕
本実施形態の粘接着剤組成物は、良好な溶解性、塗工性を有し、粘着性、粘着力、及び保持力に優れ、かつこれらの粘接着特性バランスも良好である。このような特徴を生かして、各種粘着テープ・ラベル類、感圧性薄板、感圧性シート、表面保護シート・フィルム、各種軽量プラスチック成型品固定用裏糊、カーペット固定用裏糊、タイル固定用裏糊、接着剤等に利用でき、特に粘着性テープ用、粘着性シート・フィルム用、粘着性ラベル用、表面保護シート・フィルム用、衛材用の粘接着剤用として有用である。
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本実施形態について詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、重合体の特性や物性の測定は、下記のようにして行った。
〔(I)ブロック共重合体組成物の特性〕
<(I−1)ブロック共重合体組成物の仕上げ性>
後述するように、ブロック共重合体を含む溶液にスチームストリッピングを行って溶媒を除去し、含水クラムを得た。その後、含水クラムを1軸スクリュー押出機型水絞り機に送り、脱水したクラム(ブロック共重合体組成物)を85℃での箱型の熱風乾燥機で1時間乾燥した後のブロック共重合体組成物と、熱風乾燥機の箱の内壁との接着状態を観察した。
仕上げ性の基準としては、評価が良い方から順に、ブロック共重合体組成物が箱の内壁と全く接着していないものを◎、僅かに接着が見られるが、自然に剥がれるものを○、若干の接着が見られるものの、手で簡単に剥がれるものを△、ブロック共重合体が箱の内壁と強固に接着し、かなり強い力をかけないと剥がれない状態を×として評価した。◎であれば実用上優れた仕上げ性であり、○であれば、実用上十分な仕上げ性であると判断した。
<(I−2)スチレン含有量>
一定量のブロック共重合体をクロロホルムに溶解し、紫外分光光度計(島津製作所製、V−2450)にて測定し、スチレン成分に起因する吸収波長(262nm)のピーク強度から検量線を用いて、ブロック共重合体100質量%に対するスチレン含有量(質量%)を算出した。
<(I−3)数平均分子量>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:装置は、ウォーターズ製のACQUITY APC System)で測定し、溶媒にはテトラヒドロフランを用い、温度35℃で測定を行った。分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた数平均分子量である。なお、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求めた)から求めた平均分子量とした。
<(I−4)15質量%トルエン溶液粘度>
溶媒としてトルエンを用い、ブロック共重合体組成物が15質量%になるように溶解し、温度25℃でEMS粘度計(京都電子工業、EMS−1000)を用いて測定を行った。
<(I−5)カルボキシル基を有する、分子量800未満の脂肪酸及び/またはその塩((b)成分)の含有量>
一定量のブロック共重合体組成物をテトラヒドロフランに溶解させ、メタノールにてブロック共重合体を沈殿させた後ろ過し、ろ液を高速液体クロマトグラフィー(Thermo Scientific、Ultimate 3000 クォータナリLCシステム)を用いて測定し、(a)成分100質量部に対する(b)成分の含有量(質量部)を算出した。
<(I−6)無機酸、無機酸のエステル化合物、及び無機酸のエステル塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種((c)成分)の含有量>
一定量のブロック共重合体組成物をテトラヒドロフランに溶解させ、超純水にてポリマーを沈殿させた後、ろ過し、ろ液を高速液体クロマトグラフィー(Thermo Scientific、Ultimate 3000 クォータナリLCシステム)にて測定し、(a)成分100質量部に対する(c)成分の含有量(質量部)を算出した。
<(I−7)オレフィン及び/又はビニル芳香族化合物と、無水マレイン酸との共重合体、並びにその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種((d)成分)の含有量>
一定量のブロック共重合体組成物をテトラヒドロフランに溶解させ、超純水にてポリマーを沈殿させた後、ろ過し、ろ液を高速液体クロマトグラフィー(Thermo Scientific、Ultimate 3000 クォータナリLCシステム)にて測定し、(a)成分100質量部に対する(d)成分の含有量(質量部)を算出した。
<(I−8)(a)成分の水添率>
重水素化されたクロロホルムにブロック共重合体を溶解させ5重量%溶液を作製し、1H−NMR(日本電子、400MHz、積算64回)にて測定した。共役ジエン化合物単位(ブタジエン部分)の総量に対する、水素添加された共役ジエン化合物単位の割合(mol%)を算出した。
<(I−9)ヒンダードフェノール構造を有する化合物((e)成分)の含有量>
一定量のブロック共重合体組成物をテトラヒドロフランに溶解させ、メタノールにてポリマーを沈殿させた後、ろ過し、ろ液を高速液体クロマトグラフィー(Thermo Scientific、Ultimate 3000 クォータナリLCシステム)を用いて測定し、(a)成分100質量部に対する(e)成分の含有量(質量部)を算出した。
<(I−10)硫黄、リン及びアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種を有する熱安定剤((f)成分)の含有量>
一定量のブロック共重合体組成物をテトラヒドロフランに溶解させ、メタノールにてポリマーを沈殿させた後ろ過し、ろ液を高速液体クロマトグラフィー(Thermo Scientific、Ultimate 3000 クォータナリLCシステム)を用いて測定した。(a)成分100質量部に対する(f)成分の含有量(質量部)を算出した。
<(I−11)ビニル結合量>
重水素化されたクロロホルムにブロック共重合体を溶解させ5重量%溶液を作製し、1H−NMR(日本電子、400MHz、積算64回)にて測定した。
<(I−12)スチレンブロック率>
約0.07gのブロック共重合体を精秤し、10mLのクロロホルムに溶解し、クロロホルム溶液中に20mLのオスミニウム酸/ターシャルブチルハイドロパーオキサイド(濃度:0.1g/33mL)の溶液を添加して90〜95℃の湯浴中で15分間還流させ、ブタジエン化合物の二重結合を切断した。メタノールを加え、未分解成分を沈殿させた後、ガラスフィルターを用いてろ過し、ろ物をクロロホルムに溶解した。得られた溶液を紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)にて測定し、スチレン成分に起因する吸収波長(262nm)のピーク強度から検量線を用いてスチレンブロック含有量を算出した。(I−2)において測定した(a)成分中のスチレン含有量に対する(I−12)で測定した重合体ブロックA中のスチレンブロック含有量の割合をスチレンブロック率とした。
〔(II)ブロック共重合体組成物(ポリマー組成物)の臭気官能評価〕
20gのブロック共重合体組成物をガラス製のビンに入れ、アルミホイル等で蓋をし、加熱乾燥機にて160℃、30分加熱した後、加熱乾燥機から取り出し耐熱性のある蓋でキャップし、室温(約25℃)にて30分静置した。基準物質としては、後述するポリマー組成物25の臭気の臭気レベルを5とした。この基準物質と比較したときのブロック共重合体の相対的な臭気レベルを1(臭気弱)〜10(臭気強)の間で評価した。官能評価は10人以上で行い、臭気レベルの平均値が3.0以下であれば実用上優れた性能、4.5以下であれば、実用上十分な性能であると判断した。
〔(III)粘接着剤組成物の臭気官能評価〕
20gの粘接着剤組成物をガラス製のビンに入れ、アルミホイル等で蓋をし、加熱乾燥機にて160℃、30分加熱した後、加熱乾燥機から取り出し耐熱性のある蓋にてキャップし、室温(約25℃)にて30分静置した。基準物質としては、後述するポリマー組成物25を用いて調製した粘接着組成物の臭気レベルを5とした。この基準物質と比較したときの粘接着剤組成物の相対的な臭気レベルを1(臭気弱)〜10(臭気強)の間で評価した。官能評価は10人以上で行い、臭気レベルの平均値が3.0以下であれば実用上優れた性能、4.5以下であれば、実用上十分な性能であると判断した。
〔(IV)水添触媒の調製方法〕
ブロック共重合体の水素添加反応に用いた水添触媒(A)は下記の方法で調製した。窒素置換した反応容器に、乾燥、精製したシクロヘキサン1Lを仕込み、ビスシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mmolを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200mmolを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ、水添触媒(A)を調製した。
〔(V)ブロック共重合体組成物及び粘接着剤組成物の調製〕
以下、各ブロック共重合体組成物の製造方法について説明する。下記ポリマー組成物1〜21とポリマー組成物25〜36は、カップリングスチレン−ブタジエン共重合体を含むブロック共重合体組成物であり、ポリマー組成物22〜24はスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体を含むブロック共重合体組成物である。なお、下記において、単に「ポリマー」と記載したときは、ブロック共重合体を表すものとし、ブロック共重合体とそれ以外の成分を含む「ポリマー組成物」と区別するものとする。また、「ポリマー」のことを、「ブロック共重合体」または「(a)成分」と記載することもある。
<実施例1>
<ポリマー組成物1:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを、洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン336gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約45℃に設定した。次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.5g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンの重合を開始して、最高温度(55℃)に達してから6分後、最高温度から2℃低下した後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)464gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(87℃)に達してから30秒後に、カップリング剤として安息香酸エチルを添加し、カップリングさせた。カップリング剤添加より10分後に、水1.6gを加えて失活させた。得られブロック共重合体溶液中のブロック共重合体((a)成分))をポリマー1とする。
得られたポリマー1を含むブロック共重合体溶液に、有機酸としてオレイン酸とステアリン酸((b1)成分)が質量比1:9(オレイン酸:ステアリン酸)で含まれる混合物を、ブロック共重合体(ポリマー1)100質量部に対して0.2質量部になるように添加して充分混合した。さらに、酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〔以下、「酸化防止剤A」と記載することもある。((e)成分)〕と4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール〔以下、「酸化防止剤B」と記載することもある。((f)成分)〕を、上記ブロック共重合体(ポリマー1)100質量部に対してそれぞれ0.1質量部と0.05質量部添加して充分混合した。この混合溶液をスチームストリッピングするにあたり、α−(p−ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)のジハイドロジエンリン酸エステルとモノハイドロジエンリン酸エステルとが質量比3:1(α−(p−ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)のジハイドロジエンリン酸エステル:モノハイドロジエンリン酸エステル)で含まれる混合物((c)成分)をストリッピング帯の水に対して30質量ppm用い、90〜98℃の温度で溶媒を除去した。溶媒除去槽内のスラリー中のブロック共重合体クラムの濃度は約5質量%であった。
次いで、上記で得られたブロック共重合体クラムの水分散スラリーを、回転式スクリーンに送り、含水率45質量%の含水クラムを得た。この含水クラムを1軸スクリュー押出機型水絞り機に送り、脱水したクラムを得た。この脱水したクラムを85℃での箱型の熱風乾燥機で1時間乾燥した(得られたブロック共重合体組成物をポリマー組成物1とする)。得られたポリマー組成物1は無色透明であった。上記(I−1)で記載した方法により、ポリマー組成物1の仕上げ性について評価した。
ポリマー1のスチレン含有量はポリマー1の全質量に対して42.4質量%であり、スチレンブロック率は97.5%であった。ポリマー1には、式(1)で表される重合体である(a−1)成分と、式(2)で表される重合体である(a−2)成分とが含まれ、(a−1)成分の数平均分子量が5.9万、(a−2)成分の数平均分子量が12.1万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は69:31であった。ポリマー組成物1の15質量%トルエン溶液粘度は25mPa・sであった。
ポリマー組成物1中、(b1)成分の含有量が、ポリマー1の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量が、ポリマー1の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー1のブタジエン部分のビニル結合量は12.4mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ブロック共重合体組成物(ポリマー組成物1)100質量部に対して、粘着付与剤としてアルコンM100(荒川化学工業(株)製)を300質量部、軟化剤としてダイアナプロセスオイルPW−90(出光興産(株)製)を100質量部の配合比で配合し、180℃で30分間、加圧双腕型ニーダー(型式:D0.3−3、(株)森山製作所製)で溶融混練し、淡黄色の均一なホットメルト型粘接着剤組成物を得た。粘接着剤組成物には、前記ブロック共重合体(ポリマー1)100質量部に対して、熱安定剤として2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートを1質量部配合した。得られた粘接着剤組成物の臭気について評価を行った。
<実施例2>
<ポリマー組成物2:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
α−(p−ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)のジハイドロジエンリン酸エステルとモノハイドロジエンリン酸エステルとの混合物に代えてスチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩((d)成分)を、ストリッピング帯の水に対して30質量ppm用いた。その他の条件はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物2を得た。得られたポリマー組成物2は無色透明であった。
ポリマー2のスチレン含有量がポリマー2の全質量に対して42.1質量%であり、スチレンブロック率は97.2%であった。ポリマー2中の(a−1)成分の数平均分子量が5.8万、(a−2)成分の数平均分子量が11.9万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は72:28であった。ポリマー組成物2の15質量%トルエン溶液粘度は26mPa・sであった。
また、(b1)成分の含有量がポリマー2全体に対して0.2質量%であり、(d)成分含有量がポリマー組成物2の全質量に対して0.01質量%であった。なお、ブタジエン部のビニル結合量は12.3mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物2を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例3>
<ポリマー組成物3:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを、洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン280gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約45℃に設定した。次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.4g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンの重合により、最高温度(55℃)に達してから6分後、最高温度から2℃低下した後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)520gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(87℃)に達してから30秒後に、カップリング剤として安息香酸エチルを添加し、カップリングさせた。カップリング剤添加より10分後に、水1.6gを加えて失活させた。その他の条件はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物3を得た。得られたポリマー組成物3は無色透明であった。
ポリマー3のスチレンの含有量がポリマー3の全質量に対して34.8質量%であり、スチレンブロック率が97.3%であった。(a−1)成分の数平均分子量が5.7万、(a−2)成分の数平均分子量が11.9万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は70:30であった。ポリマー組成物3の15質量%トルエン溶液粘度は45mPa・sであった。
また、前記(b1)成分の含有量がポリマー3の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー3の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー3のブタジエン部のビニル結合量は12.1mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物3を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例4>
<ポリマー組成物4:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
カップリング剤である安息香酸エチルの量を変量して、カップリング率を変えた。その他の条件はポリマー組成物1と同様にしてポリマー組成物4を得た。得られたポリマー組成物4は無色透明であった。
ポリマー4のスチレンの含有量がポリマー4の全質量に対して41.5質量%であり、スチレンブロック率が98.0%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.1万、(a−2)成分の数平均分子量が12.3万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は26:74であった。ポリマー組成物4の15質量%トルエン溶液粘度は67mPa・sであった。
また、(b1)成分の含有量がポリマー4の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー4の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー4のブタジエン部のビニル結合量は12.5mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物4を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例5>
<ポリマー組成物5:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
オレイン酸、ステアリン酸が質量比1:9で含まれる混合物(成分(b))の添加量をブロック共重合体((a)成分)100質量部に対して0.08質量部添加した以外はポリマー組成物1と同様にしてポリマー組成物5を得た。得られたポリマー組成物5は無色透明であった。
ポリマー5のスチレンの含有量がポリマー5の全質量に対して42.5質量%であり、スチレンブロック率が98.1%であった。(a−1)成分の数平均分子量が6.0万、(a−2)成分の数平均分子量が12.3万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は70:30であった。ポリマー組成物5の15質量%トルエン溶液粘度は26mPa・sであった。
また、前記(b1)成分の含有量がポリマー5の全質量に対して0.08質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー5の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー5のブタジエン部分のビニル結合量は12.0mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物5を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例6>
<ポリマー組成物6:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
カップリング剤である安息香酸エチルの量を変量して、カップリング率を変えた以外はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物6を得た。得られたポリマー組成物6は無色透明であった。
ポリマー6のスチレンの含有量がポリマー6の全質量に対して41.6質量%であり、前記スチレンブロック率が98.8%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が5.8万、(a−2)成分の数平均分子量が12.0万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は38:62であった。ポリマー組成物6の15質量%トルエン溶液粘度は68mPa・sであった。
また、ポリマー組成物6中、(b1)成分の含有量がポリマー6の全質量に対して0.08質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー6の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ブタジエン部のビニル結合量は12.0mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物6を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例7>
<ポリマー組成物7:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
α−(p−ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)のジハイドロジエンリン酸エステルとモノハイドロジエンリン酸エステルが質量比3:1で含まれる混合物((c)成分)の添加量、ストリッピング帯の水に対して10質量ppm用いた以外はポリマー組成物1の製造と同様にして、ポリマー組成物7を得た。得られたポリマー組成物7は無色透明であった。
ポリマー7のスチレンの含有量がポリマー7の全質量に対しに対して41.9質量%であり、スチレンブロック率が96.9%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.1万、(a−2)成分の数平均分子量が12.6万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は74:26であった。ポリマー組成物7の15質量%トルエン溶液粘度は25mPa・sであった。
また、(b1)成分の含有量がポリマー7の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー7の全質量に対して0.04質量%であった。なお、ポリマー7のブタジエン部分のビニル結合量は12.6mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物7を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例8>
<ポリマー組成物8:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
α−(p−ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)のジハイドロジエンリン酸エステルとモノハイドロジエンリン酸エステルとの混合物((c)成分)に代えてスチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩((d)成分)を、ストリッピング帯の水に対して30ppm用いた以外は、ポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物8を得た。得られたポリマー組成物8は無色透明であった。
ポリマー8のスチレンの含有量がポリマー8の全質量に対して41.9質量%であり、前記スチレンブロック率が97.9%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が5.6万、(a−2)成分の数平均分子量が11.4万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は71:29であった。ポリマー組成物8の15質量%トルエン溶液粘度は27mPa・sであった。
また、(b1)成分の含有量がポリマー8の全質量に対して0.2質量%であり、(d)成分の含有量がポリマー8の全質量に対して0.002質量%であった。なお、ポリマー8のブタジエン部分のビニル結合量は12.4mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物8を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例9>
<ポリマー組成物9:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
実施例1中の酸化防止剤であるオクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートと4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールの添加量を、ブロック共重合体((a)成分)100質量部に対して、それぞれ、0.03質量部と0.01質量部に変えて充分混合した以外はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物9を製造した。得られたポリマー組成物9は無色透明であった。
ポリマー9のスチレンの含有量がポリマー9の全質量に対して42.4質量%であり、スチレンブロック率が98.3%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.2万、(a−2)成分の数平均分子量が12.7万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は70:30であった。ポリマー組成物9の15質量%トルエン溶液粘度は25mPa・sであった。
また、ポリマー組成物9中、(b1)成分の含有量がポリマー9の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー9の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー9のブタジエン部のビニル結合量は12.4mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物9を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例10>
<ポリマー組成物10:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
酸化防止剤であるオクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートと4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールの添加量を、ブロック共重合体100質量部に対して、それぞれ0.4質量部と0.2質量部に変えた以外は、ポリマー1の製造工程と同様にしてポリマー組成物10を得た。得られたポリマー組成物10は無色透明であった。
ポリマー10のスチレンの含有量がポリマー10の全質量に対して42.0質量%であり、スチレンブロック率が98.3%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.3万、(a−2)成分の数平均分子量が13.1万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は66:34であった。ポリマー組成物10の15質量%トルエン溶液粘度は27mPa・sであった。
また、(b1)成分の含有量がポリマー10の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー10の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー10のブタジエン部分のビニル結合量は12.5mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物10を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例11>
<ポリマー組成物11:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
α−(p−ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)のジハイドロジエンリン酸エステルとモノハイドロジエンリン酸エステルとの混合物に代えて、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸カリウム((c)成分)を、ストリッピング帯の水に対して30質量ppm用いた以外は、ポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物11を製造した。得られたポリマー組成物11は無色透明であった。
ポリマー11のスチレンの含有量がポリマー11全体に対して42.3質量%であり、前記スチレンブロック率が96.8%であり、(a−1)成分の数平均分子量が5.9万、(a−2)成分の数平均分子量が12.9万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は67:33であった。ポリマー組成物11の15質量%トルエン溶液粘度は25mPa・sであった。
また、(b1)成分の含有量がポリマー組成物11の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー11の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー組成物11のブタジエン部分のビニル結合量は12.6mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物11を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例12>
<ポリマー組成物12:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
α−(p−ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)のジハイドロジエンリン酸エステルとモノハイドロジエンリン酸エステルとの混合物に代えて、エチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩((d)成分)を、ストリッピング帯の水に対して30質量ppm用いた以外はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物12を製造した。得られたポリマー組成物12は無色透明であった。
ポリマー12のスチレンの含有量がポリマー12の全質量に対して42.1質量%であり、スチレンブロック率が96.8%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が5.7万、(a−2)成分の数平均分子量が11.9万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は67:33であった。ポリマー組成物12の15質量%トルエン溶液粘度は28mPa・sであった。
また、(b1)成分の含有量がポリマー12の全質量に対して0.2質量%であり、(d)成分の含有量がポリマー12の全質量に対して0.01質量%であった。なお、ポリマー12のブタジエン部分のビニル結合量は12.5mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物12を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例13>
<ポリマー組成物13:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを、洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン120gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約42℃に設定した。次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.1g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンの重合により、最高温度(48℃)に達してから6分後、最高温度から2℃低下した後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)680gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(88℃)に達してから30秒後に、カップリング剤として安息香酸エチルを添加し、カップリングさせた。カップリング剤添加より10分後に、水1.6gを加えて失活させ、得られたブロック共重合体溶液中のブロック共重合体をポリマー13とした。その他の条件はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物13を得た。得られたポリマー組成物13は無色透明であった。
ポリマー13のスチレンの含有量がポリマー13の全質量に対して15.3質量%であり、スチレンブロック率が97.8%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.0万、(a−2)成分の数平均分子量が12.5万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は71:29であった。ポリマー組成物13の15質量%トルエン溶液粘度は24mPa・sであった。
また、前記(b1)成分の含有量がポリマー13の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー13の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー13のブタジエン部分のビニル結合量は12.4mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物13を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例14>
<ポリマー組成物14:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを、洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン440gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約46℃に設定した。次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.9g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンの重合により、最高温度(59℃)に達してから6分後、最高温度から2℃低下した後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)360gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(87℃)に達してから30秒後に、カップリング剤として安息香酸エチルを添加し、カップリングさせた。カップリング剤添加より10分後に、水1.6gを加えて失活させ、得られたブロック共重合体溶液中のブロック共重合体をポリマー14とした。その他の条件はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物14を得た。得られたポリマー組成物14は無色透明であった。
ポリマー14のスチレンの含有量がポリマー14の全質量に対して54.8質量%であり、スチレンブロック率が98.1%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.3万、(a−2)成分の数平均分子量が12.8万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は69:31であった。ポリマー組成物14の15質量%トルエン溶液粘度は56mPa・sであった。
また、前記(b1)成分の含有量がポリマー14の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー14の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー14のブタジエン部分のビニル結合量は12.4mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物14を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例15>
<ポリマー組成物15:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
酸化防止剤を添加しなかった以外はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物15を得た。得られたポリマー組成物15は無色透明であった。
ポリマー15のスチレンの含有量がポリマー15の全質量に対して42.5質量%であり、スチレンブロック率が97.3%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.2万、(a−2)成分の数平均分子量が12.7万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は68:32であった。ポリマー組成物15の15質量%トルエン溶液粘度は25mPa・sであった。
また、(b1)成分の含有量がポリマー15の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分含有量がポリマー15の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー15のブタジエン部分のビニル結合量は12.4mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物15を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例16>
<ポリマー組成物16:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
酸化防止剤をオクタデシル−3−(3,5−ジブチル−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートのみ((e)成分)とし、添加量を(a)成分100質量部に対して0.3質量部添加して充分混合した以外はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物16を得た。得られたポリマー組成物16は無色透明であった。
ポリマー16のスチレンの含有量がポリマー16の全質量に対して42.1質量%であり、スチレンブロック率が96.9%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.4万、(a−2)成分の数平均分子量が13.0万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は73:27であった。ポリマー組成物16の15質量%トルエン溶液粘度は25mPa・sであった。
また、(b1)成分含有量がポリマー16の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分含有量がポリマー16の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー16のブタジエン部分のビニル結合量は13.0mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物16を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例17>
<ポリマー組成物17:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
有機酸であるオレイン酸、ステアリン酸の混合物に変えてフェニルプロピオン酸((b2)成分)を、ブロック共重合体100質量部に対して0.12質量部添加した。その他の条件はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物17を得た。得られたポリマー組成物17は無色透明であった。
ポリマー17のスチレンの含有量がポリマー17の全質量に対して42.0質量%であり、前記スチレンブロック率が98.1%であった。(a−1)成分の数平均分子量が6.2万、(a−2)成分の数平均分子量が12.7万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は67:33であった。ポリマー組成物17の15質量%トルエン溶液粘度は26mPa・sであった。
また、(b2)成分の含有量がポリマー17の全質量に対して0.12質量%であり、(c)成分含有量がポリマー17の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー17のブタジエン部分のビニル結合量は12.0mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物17を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例18>
<ポリマー組成物18:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
オレイン酸、ステアリン酸の混合物に代えてクエン酸((b3)成分)を、ブロック共重合体100質量部に対して0.14質量部添加した。その他の条件はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物18を得た。得られたポリマー組成物18は無色透明であった。
ポリマー18のスチレン含有量がポリマー18の全質量に対して42.9質量%であり、スチレンブロック率が96.3%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.1万、(a−2)成分の数平均分子量が12.4万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は68:32であった。ポリマー組成物18の15質量%トルエン溶液粘度は28mPa・sであった。
また、(b3)成分の含有量がポリマー18の全質量に対して0.14質量%であり、(c)成分含有量がポリマー18全体に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー18のブタジエン部分のビニル結合量は12.0mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物18を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例19>
<ポリマー組成物19:3官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
カップリング剤として安息香酸エチルに代えてトリクロロメチルシランを添加し、10分後に水1.6gを添加し失活させた。その他の条件はポリマー1の製造工程と同様の方法を用いてポリマー組成物19を得た。得られたポリマー組成物19は無色透明であった。
ポリマー19のスチレンの含有量がポリマー19の全質量に対して41.7質量%であり、前記スチレンブロック率が96.9%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が5.2万、(a−2)成分として、式(2)のk=1、m=1である成分(以下、「(a−21)成分」と記載することもある)の数平均分子量が10.8万であり、式(2)のk=1、m=2である成分(以下、「(a−22)成分」と記載することもある)の数平均分子量が17.1万で、(a−1)成分と(a−21)成分と(a−22)成分の質量比は50:9:41であった。ポリマー組成物19の15質量%トルエン溶液粘度は44mPa・sであった。
また、(b1)成分の含有量がポリマー19の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー19の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー組成物19のブタジエン部分のビニル結合量は12.6mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物19を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例20>
<ポリマー組成物20:4官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
カップリング剤として安息香酸エチルに代えてテトラクロロシランを添加し、10分後に水1.6gを添加し失活させた以外はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物20を得た。得られたポリマー組成物20は無色透明であった。
ポリマー20のスチレン含有量がポリマー20の全質量に対して42.0質量%であり、スチレンブロック率が97.9%であった。(a−1)成分の数平均分子量が4.9万、(a−2)成分として、式(2)のk=1、m=1である成分((a−21)成分)の数平均分子量が10.2万であり、式(2)のk=1、m=2((a−22)成分)である成分の数平均分子量が16.0万であり、式(2)のk=1、m=3である成分((a−23)成分)の数平均分子量が20.8万であり、(a−1)成分と(a−21)成分と(a−22)成分と(a−23)成分の質量比は55:2:11:32であった。ポリマー組成物20の15質量%トルエン溶液粘度は59mPa・sであった。
また、ポリマー組成物20中、(b1)成分含有量がポリマー20全体に対して0.2質量%であり、(c)成分含有量がポリマー20全体に対して0.1質量%であった。なお、ブタジエン部分のビニル結合量は12.6mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物20用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例21>
<ポリマー組成物21:2官能性カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物を含む組成物>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを、洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン336g、テトラヒドロフラン0.5gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約45℃に設定した。次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.6g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンの重合により、最高温度(55℃)に達してから6分後、最高温度から2℃低下した後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)464gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(87℃)に達してから30秒後に、カップリング剤として安息香酸エチルを添加し、カップリングさせた。カップリング剤添加より10分後に、エタノール0.8gを加えて失活させた。
次に、上記水添触媒(A)をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100質量ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で、水素を67L添加し、ブタジエン由来の二重結合に水素を付加した。これにより得られた水素添加されたブロック共重合体をポリマー21とした。ポリマー21を用いてその他の条件はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物21を得た。得られたポリマー組成物21は無色透明であった。
ポリマー21のスチレン含有量がポリマー21の全質量に対して42.3質量%であり、スチレンブロック率は97.3%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.3万、(a−2)成分の数平均分子量が12.9万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比は69:31であった。ポリマー組成物21の15質量%トルエン溶液粘度は51mPa・sであった。
また、ポリマー組成物(21)中、(b1)成分の含有量がポリマー21の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー21の全質量に対して0.1質量%であった。なお、水素添加前のポリマー21のブタジエン部分のビニル結合量は26.9mol%であり、水素添加後のブタジエン部分の水素添加率は34%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物21を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例22>
<ポリマー組成物22:スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を含む組成物>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを、洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン168gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約45℃に設定した。次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.4g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンの重合により、最高温度(52℃)に達してから6分後、最高温度から2℃低下した後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)464gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(86℃)に達してから3分後、最高温度から1℃低下した後に、スチレン168gを添加し、スチレンがほぼ完全に重合して最高温度(89℃)に達し、6分後に水を1.6g添加し失活させた。その他の条件はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物22を得た。得られたポリマー組成物22は無色透明であった。
ポリマー22のスチレンの含有量がポリマー22の全質量に対して42.4質量%であり、前記スチレンブロック率が96.3%であった。ポリマー22中、式(3)で表される(a−3)成分の数平均分子量が11.2万であり、(a−3)成分の質量割合はポリマー22中100%であった。ポリマー組成物22の15質量%トルエン溶液粘度は67mPa・sであった。
また、(b1)成分の含有量がポリマー22の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー22の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー22のブタジエン部分のビニル結合量は12.3mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物22を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例23>
<ポリマー組成物23:スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物を含む組成物>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを、洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン168g、テトラヒドロフラン0.5gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約47℃に設定した。次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.8g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンの重合により、最高温度(54℃)に達してから3分後、最高温度から1℃低下した後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)464gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(86℃)に達してから3分後、最高温度から1.5℃低下した後に、予め精製したスチレン168gを添加し、重合により最高温度(88℃)に達した。最高温度より10分後に、エタノール0.8gを加えて失活させた。
次に、上記水添触媒(A)をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で、水素を67L添加し、ブタジエン由来の二重結合に水素を付加した。これにより得られた水素添加されたブロック共重合体をポリマー23とした。その他の条件はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物23を得た。得られたポリマー組成物23は無色透明であった。
ポリマー23のスチレン含有量がポリマー23の全質量に対して42.0質量%であり、前記スチレンブロック率は95.2%であった。(a)成分中、(a−3)成分の数平均分子量が13.1万、式(3)成分の質量割合は100%であった。ポリマー組成物23の15質量%トルエン溶液粘度は43mPa・sであった。
また、(b1)成分の含有量がポリマー23の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー23の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー23の水素添加前のブタジエン部分のビニル結合量は27.5mol%であり、水素添加後のポリマー23のブタジエン部分の水素添加率は35%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物23を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<実施例24>
<ポリマー組成物24:スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物を含む組成物>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを、洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン168g、テトラヒドロフラン0.5gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約47℃に設定した。次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.8g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンの重合により、最高温度(54℃)に達してから3分後、最高温度から1℃低下した後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)464gを添加し、重合を継続した。ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(86℃)に達してから3分後、最高温度から1.5℃低下した後に、予め精製したスチレン168gを添加し、重合により最高温度(88℃)に達した。最高温度より10分後に、エタノール0.8gを加えて失活させた。
次に、上記水添触媒(A)をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で、水素を125L添加し、ブタジエン由来の二重結合に水素を付加した。水素添加して得られたポリマーをポリマー24とする。ポリマー24を用いてその他の条件はポリマー組成物1の製造と同様にしいてポリマー組成物24を得た。得られたポリマー組成物24は無色透明であった。
ポリマー24のスチレン含有量がポリマー24の全質量に対して42.7質量%であり、スチレンブロック率は95.0%であった。(a)成分中、(a−3)成分の数平均分子量が13.2万で、(a−3)成分の質量割合は100%であった。ポリマー組成物24の15質量%トルエン溶液粘度は68mPa・sであった。
また、(b1)成分の含有量がポリマー24の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー24の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー24の水素添加前のブタジエン部分のビニル結合量は28.5mol%であり、水素添加後のポリマー24のブタジエン部分の水素添加率は65%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物24を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<比較例1>
<ポリマー組成物25:スチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
カップリング剤を用いずに重合を行った以外はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物25を得た。得られたポリマー組成物25は無色透明であった。
ポリマー25のスチレン含有量がポリマー25の全質量に対して41.7質量%であり、スチレンブロック率は96.8%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.2万で、(a−1)成分の質量比は100%であった。ポリマー組成物25の15質量%トルエン溶液粘度は6.0mPa・sであった。
また、(b1)成分の含有量がポリマー25の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー25の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー25のブタジエン部分のビニル結合量は12.8mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物25を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<比較例2>
<ポリマー組成物26:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
オレイン酸とステアリン酸の混合物に代えて有機酸である数平均分子量が2000のカルボン酸末端ポリスチレンを用い、ブロック共重合体((a)成分)100質量部に対して0.2質量部添加して充分混合した以外は、ポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物26を得た。得られたポリマー組成物26は無色透明であった。
ポリマー26のスチレン含有量がポリマー26全体に対して41.1質量%であり、スチレンブロック率は96.8%であり、(a−1)成分の数平均分子量が6.1万、(a−2)成分の数平均分子量が12.3万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は69:31であった。ポリマー組成物26の15質量%トルエン溶液粘度は26mPa・sであった。
また、数平均分子量が2000のカルボン酸末端ポリスチレンの含有量がポリマー26の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー26の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー26のブタジエン部分のビニル結合量は12.4mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物26を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<比較例3>
<ポリマー組成物27:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
オレイン酸とステアリン酸の混合物に代えて有機酸である数平均分子量が2000のカルボン酸末端ポリスチレンを用い、ブロック共重合体((a)成分)100質量部に対して0.2質量部添加して充分混合した。また、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩((d)成分)を、ストリッピング帯の水に対して30質量ppm用いた。その他の条件はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物27を得た。得られたポリマー組成物27は無色透明であった。
ポリマー27のスチレン含有量がポリマー27の全質量に対して42.1質量%であり、スチレンブロック率は97.2%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.0万、(a−2)成分の数平均分子量が12.4万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比は72:28であった。ポリマー組成物27の15質量%トルエン溶液粘度は25mPa・sであった。
また、数平均分子量が2000のカルボン酸末端ポリスチレンの含有量がポリマー27の全質量に対して0.2質量%であり、(d)成分の含有量がポリマー27全質量に対して0.01質量%であった。なお、ポリマー27のブタジエン部分のビニル結合量は12.1mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物27を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<比較例4>
<ポリマー組成物28:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
カルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩((b)成分)を用いなかったほかはポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物28を得た。得られたポリマー組成物28は無色透明であった。
ポリマー28のスチレン含有量がポリマー28の全質量に対して42.1質量%であり、スチレンブロック率は97.1%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が5.8万、(a−2)成分の数平均分子量が11.9万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は72:28であった。ポリマー組成物28の15質量%トルエン溶液粘度は27mPa・sであった。
また、(c)成分の含有量がポリマー組成物28の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー28のブタジエン部分のビニル結合量は12.1mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物28を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<比較例5>
<ポリマー組成物29:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
オレイン酸及びステアリン酸の混合物((b)成分)の添加量を、ブロック共重合体((a)成分)100質量部に対して0.4質量部に変えた以外はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物29を得た。得られたポリマー組成物29は無色透明であった。
ポリマー29のスチレン含有量がポリマー29の全質量に対して41.2質量%であり、スチレンブロック率は97.2%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.2万、(a−2)成分の数平均分子量が12.8万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は70:30であった。ポリマー組成物29の15質量%トルエン溶液粘度は26mPa・sであった。
また、(b1)成分含有量がポリマー29全質量に対して0.4質量%であり、(c)成分含有量がポリマー29の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー29のブタジエン部分のビニル結合量は12.0mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物29を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<比較例6>
<ポリマー組成物30:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
カルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩((b)成分)と、酸化防止剤((e)成分)とを用いなかった以外はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物30を得た。得られたポリマー組成物30は無色透明であった。
ポリマー30のスチレン含有量がポリマー30の全質量に対して42.8質量%であり、スチレンブロック率は97.5%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が5.7万、(a−2)成分の数平均分子量が11.9万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は74:26であった。ポリマー組成物30の15質量%トルエン溶液粘度は29mPa・sであった。
また、(c)成分含有量がポリマー30の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー30のブタジエン部分のビニル結合量は12.1mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物30を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<比較例7>
<ポリマー組成物31:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
カルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩((b)成分)を添加せず、かつ、ポリマー1の製造で用いたα−(p−ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)のジハイドロジエンリン酸エステルとモノハイドロジエンリン酸エステルとの混合物の添加量を、ストリッピング帯の水に対して1500質量ppmに変えた以外はポリマー組成物1の製造と同様にしてポリマー組成物31を得た。得られたポリマー組成物31は無色透明であった。
ポリマー31のスチレン含有量がポリマー31の全質量に対して41.8質量%であり、スチレンブロック率は97.6%であった。(a−1)成分の数平均分子量が5.8万、(a−2)成分の数平均分子量が12.0万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は74:26であった。ポリマー組成物31の15質量%トルエン溶液粘度は26mPa・sであった。
また、(c)成分の含有量がポリマー31の全質量に対して5.0質量%であり、ポリマー31のブタジエン部分のビニル結合量は12.7mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物31を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<比較例8>
<ポリマー組成物32:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
カルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩((b)成分)と(c)成分を添加せず、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩((d)成分)を、ストリッピング帯の水に対して1500質量ppm用いた。そのほかはポリマー1と同様にしてポリマー組成物32を得た。得られたポリマー組成物32は無色透明であった。
ポリマー32のスチレン含有量がポリマー32の全質量に対して41.9質量%であり、スチレンブロック率は97.6%であった。(a−1)成分の数平均分子量が6.0万、(a−2)成分の数平均分子量が12.2万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は74:26であった。ポリマー組成物32の15質量%トルエン溶液粘度は29mPa・sであった。
また、ポリマー組成物32中、(d)成分の含有量がポリマー32の全質量に対して0.5質量%であった。なお、ポリマー32のブタジエン部部分のビニル結合量は12.3mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物32を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<比較例9>
<ポリマー組成物33:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
(b)成分および(c)成分を用いなかった以外はポリマー組成物と同様にしてポリマー組成物33を得た。得られたポリマー組成物33は無色透明であった。
ポリマー33のスチレン含有量がポリマー33の全質量に対して41.5質量%であり、スチレンブロック率は97.7%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が6.2万、(a−2)成分の数平均分子量が12.7万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は66:34であった。ポリマー組成物33の15質量%トルエン溶液粘度は25mPa・sであった。なお、ポリマー33のブタジエン部分のビニル結合量は12.7mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物33を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<比較例10>
<ポリマー組成物34:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
反応開始剤であるn−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液の添加量を純分で3.8gに変えた以外はポリマー1と同様にしてポリマー組成物34を得た。得られたポリマー組成物34は無色透明であった。
ポリマー34のスチレン含有量がポリマー34の全質量に対して42.0質量%であり、前記スチレンブロック率は97.0%であり、(a−1)成分の数平均分子量が3.5万、(a−2)成分の数平均分子量が7.0万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は75:25であった。ポリマー組成物34の15質量%トルエン溶液粘度は8.0mPa・sであった。
また、ポリマー組成物34中、(b1)成分の含有量がポリマー34の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー34の全質量に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー34のブタジエン部分のビニル結合量は12.3mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物34を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<比較例11>
<ポリマー組成物35:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを、洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン64gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約46℃に設定した。次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.0g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンの重合により、最高温度(49℃)に達してから6分後、最高温度から2℃低下した後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)736gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(92℃)に達してから30秒後に、カップリング剤として安息香酸エチルを添加し、カップリングさせた。カップリング剤添加から10分後に、水1.6gを加えて失活させた。その他の条件はポリマー組成物1の製造工程と同様の方法を用いてポリマー組成物35を得た。得られたポリマー組成物35は無色透明であった。
ポリマー35のスチレン含有量がポリマー35の全質量に対して7.5質量%であり、スチレンブロック率は97.7%であった。(a)成分中、(a−1)成分の数平均分子量が5.5万、(a−2)成分の数平均分子量が11.2万であり、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比〔(a−1):(a−2)〕は70:30であった。ポリマー組成物35の15質量%トルエン溶液粘度は20mPa・sであった。
また、ポリマー組成物35中、(b1)成分の含有量がポリマー35の全質量に対して0.2質量%であり、(c)成分の含有量がポリマー35全体に対して0.1質量%であった。なお、ブタジエン部のビニル結合量は12.4mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物35を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
<比較例12>
<ポリマー組成物36:2官能カップリングスチレン−ブタジエンブロック共重合体を含む組成物>
攪拌機及びジャケット付きの内容量10Lのステンレス製オートクレーブを、洗浄、乾燥、窒素置換し、シクロヘキサン5720g、予め精製したスチレン520gを仕込み、ジャケットに温水を通水して内容物を約46℃に設定した。次に、n−ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(純分で1.9g)を添加し、スチレンの重合を開始した。スチレンの重合により、最高温度(49℃)に達してから6分後、最高温度から2℃低下した後に、ブタジエン(1,3−ブタジエン)280gを添加し、重合を継続し、ブタジエンがほぼ完全に重合して最高温度(92℃)に達してから30秒後に、カップリング剤として安息香酸エチルを添加し、カップリングさせた。カップリング剤添加より10分後に、水1.6gを加えて失活させた。その他の条件はポリマー組成物1の製造工程と同様の方法を用いてポリマー組成物36を得た。得られたポリマー組成物36は無色透明であった。
ポリマー36のスチレン含有量がポリマー36全体に対して64.6質量%であり、前記スチレンブロック率は97.7%であり、(a−1)成分の数平均分子量が6.7万、(a−2)成分の数平均分子量が13.8万で、(a−1)成分と(a−2)成分の質量比は71%と29%であった。ポリマー組成物36の15質量%トルエン溶液粘度は43mPa・sであった。
また、前記(b1)成分含有量がポリマー36全体に対して0.2質量%であり、(c)成分含有量がポリマー36全体に対して0.1質量%であった。なお、ポリマー36のブタジエン部のビニル結合量は12.8mol%であった。
<粘接着剤組成物の製造>
ポリマー組成物1の代わりにポリマー組成物36を用いたほかは実施例1と同様にして粘接着剤組成物を製造し、その臭気を評価した。
ポリマー組成物(ブロック共重合体組成物)1〜36およびこれらを用いた各粘接着剤組成物の組成および評価結果を表1〜表5に示す。なお、粘接着剤組成物の製造において、40分混練してもトルクが安定しない場合は、トルクが安定するまで混練した。
上記ブロック共重合体組成物(ポリマー組成物)の組成及び特性、並びに粘接着剤組成物の特性について、表1〜表5に示す。なお、表中、「ポリマーの質量比(4/3/2/1)」は、4個、3個、2個、及び1個の分岐を有するブロック共重合体のそれぞれの質量比を表し、「ポリマーの分子量((4/3/2/1))は、4個、3個、2個、及び1個の分岐を有するブロック共重合体のそれぞれの数平均分子量(単位は万)を表す。また、実施例22〜24については、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)の質量比とその分子量を記載した。
ここで、上記ポリマー1〜18及びポリマー26〜36に含まれる(a−1)成分は、式(1)中、n=1であるブロック共重合体であり、(а−2)成分は、式(2)中、k=1、m=1であるブロック共重合体である。ポリマー25に含まれる(a−1)成分は、式(1)中、n=1であるブロック共重合体である。ポリマー19に含まれる(a−1)成分は、式(1)中、n=1であるブロック共重合体であり、(а−2)成分は、式(2)中、k=1、m=1であるブロック共重合体と、k=1、m=2であるブロック共重合体である。ポリマー20に含まれる(a−1)成分は、式(1)中、n=1であるブロック共重合体であり、(а−2)成分は、式(2)中、k=1、m=1であるブロック共重合体と、k=1、m=2であるブロック共重合体と、k=1、m=3であるブロック共重合体である。ポリマー22〜24に含まれる(a−3)成分は、式(3)中、p=1であるブロック共重合体である。
Figure 2016186049
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表1〜5に示したように、実施例1〜24のブロック共重合体組成物1〜24(ポリマー組成物1〜24)は、いずれも、実用上良好な仕上げ性を有していることが分かった。また、ブロック共重合体組成物1〜24(ポリマー組成物1〜24)の臭気、及びこれらブロック共重合体組成物をそれぞれ含む粘接着剤組成物の臭気も低く、実用上良好であることが分かった。
本発明のブロック共重合体組成物を含む粘接着剤組成物は、各種粘着テープ・ラベル類、感圧性薄板、感圧性シート、表面保護シート・フィルム、各種軽量プラスチック成型品固定用裏糊、カーペット固定用裏糊、タイル固定用裏糊、接着剤等に利用でき、特に、粘着性テープ用、粘着性シート・フィルム用、粘着性ラベル用、表面保護シート・フィルム用、衛生材料用の粘接着剤として産業上の利用可能性がある。

Claims (12)

  1. (a)成分:ビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックAと、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBとを有するブロック共重合体、並びに
    (b)成分:カルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩
    を含み、
    (a)成分中のビニル芳香族化合物単位の含有量が10質量%以上60質量%以下であり、
    15質量%トルエン溶液粘度が、25℃において、10mPa・s以上70mPa・s未満であり、かつ
    (a)成分100質量部に対し、(b)成分を0.02質量部以上0.3質量部以下含有する、ブロック共重合体組成物。
  2. さらに、
    (c)成分:無機酸、無機酸のエステル化合物、及び無機酸のエステル塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種
    を、前記(a)成分100質量部に対し、0.03質量部以上2.0質量部以下含有する、請求項1に記載のブロック共重合体組成物。
  3. 前記(c)成分が、非金属を含む酸基が水素と結合してできた酸、その酸のエステル化合物、及びその酸のエステル塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項2に記載のブロック共重合体組成物。
  4. 前記(c)成分が、リン酸、リン酸のエステル化合物、及びリン酸のエステル塩化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項2または3に記載のブロック共重合体組成物。
  5. さらに、
    (d)成分:オレフィン及び/又はビニル芳香族化合物と、無水マレイン酸と、の共重合体、並びにその塩からなる群から選ばれる少なくとも一種
    を前記(a)成分100質量部に対し、0.001質量部以上0.1質量部以下含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のブロック共重合体組成物。
  6. 前記(b)成分が
    (b1)炭素数8以上25以下の脂肪酸及び/又はその塩、
    (b2)芳香族カルボン酸及び/又はその塩、並びに
    (b3)オキシカルボン酸及び/又はその塩
    からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のブロック共重合体組成物。
  7. 前記(a)成分が,下記式(1)で表される(a−1)成分と、下記式(2)で表される(a−2)成分とを含み、
    成分(a)中の、(a−1)成分の含有量が1〜80質量%であり、(a−2)成分の含有量が20〜99質量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のブロック共重合体組成物;
    (A−B)n 式(1)
    [(A−B)km+1−X 式(2)
    (式(1)、(2)中、Aは、それぞれ独立して、ビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、Xはカップリング剤の残基を示し、n、kは、それぞれ独立して、1以上の整数であり、mは1〜9の整数である。1つの化合物中に複数のA及び/又はBを含むとき、それらブロックを構成する化合物単位は互いに独立である。)。
  8. 前記(a)成分が、下記式(3):
    A−(B−A)p 式(3)
    (式(3)中、Aはビニル芳香族化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックであり、pは1以上の整数である)
    で表される(a−3)成分を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のブロック共重合体組成物。
  9. さらに、
    (e)成分:ヒンダードフェノール構造を有する化合物
    を前記(a)成分100質量部に対し、0.03質量部以上2.0質量部以下含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のブロック共重合体組成物。
  10. さらに、
    (f)成分:硫黄、リン及びアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種を有する熱安定剤
    を前記(a)成分100質量部に対し、0.01質量部以上1.0質量部以下含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のブロック共重合体組成物。
  11. 工程I:ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とを重合し、ブロック共重合体を製造する工程、
    工程II:工程Iで製造されたブロック共重合体と反応停止剤とを混合し、重合反応が停止したブロック共重合体を製造する工程、及び
    工程III:カルボキシル基を有する、分子量800未満の有機酸及び/又はその塩を、工程IIで得られたブロック共重合体100質量部に対して、0.02〜0.3質量部となるように混合する工程
    を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のブロック共重合体組成物の製造方法。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のブロック共重合体組成物を含む粘接着剤組成物。
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