以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るシャッター付き収容装置の構成を概略的に示すための斜視図であり、シャッターが開放された状態を示している。図2は、本発明の実施の形態に係るシャッター付き収容装置の構成を概略的に示すための斜視図であり、シャッターが閉鎖された状態を示している。図3は、図1に示す状態におけるシャッター付き収容装置の右側面図であり、図4は、図2に示す状態におけるシャッター付き収容装置の右側面図である。本発明の実施の形態に係るシャッター付き収容装置においては、収容装置としての棚を備えており、棚は、例えば、商品等の物品を陳列するための物品陳列棚である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係るシャッター付き収容装置1は、互いに対向する前面部2及び後面部3と、互いに対向する上面部4及び下面部5と、互いに対向する右側面部6及び左側面部7とを画成し、前面部2及び上面部4において少なくとも部分的に広がる開口8を開放及び閉鎖可能にするシャッター10と、シャッター10を移動可能に保持する右側面部6及び左側面部7に夫々配設されたガイドレール20,30とを備える。
具体的には、シャッター付き収容装置1は、六面から成る空間を画成するフレーム体40を備え、フレーム体40が前面部2、後面部3、上面部4、下面部5、右側面部6、及び左側面部7を画成している。ここで、説明の便宜上、前面部2から後面部3に向かって右側を右とし、前面部2から後面部3に向かって左側を左とする。また、前面部2から後面部3に向かう方向を後方とし、後面部3から前面部2に向かう方向を前方とし、上面部4から下面部5に向かう方向を下方とし、下面部5から上面部4に向かう方向を上方とする。前後方向(図1の矢印a方向)と上下方向(図1の矢印b方向)と左右方向(図1の矢印c方向)とは、互いに直交している。
フレーム体40は、図1に示すように、矩形の枠形状を呈する右側部フレーム41と、矩形の枠形状を呈する左側部フレーム42とを備える。右側部フレーム41と左側部フレーム42とは、シャッター付き収容装置1において、左右方向において、互いに対向しており、面対称な形状を有している。右側部フレーム41は、中空筒状の下部フレーム41aと、中空筒状の前部フレーム41bと、中空筒状の後部フレーム41cと、中空筒状の上部フレーム41dとを備える。左側部フレーム42は、右側部フレーム41と同様に、中空筒状の下部フレーム42aと、中空筒状の前部フレーム42bと、中空筒状の後部フレーム42cと、中空筒状の上部フレーム42dとを備える。
右側部フレーム41において、下部フレーム41aは、図1に示すように、下方において、前後方向に延びる部分であり、前部フレーム41bは、下部フレーム41aの前方側の端部から立設された上下方向に延びる部分である。また、右側部フレーム41において、後部フレーム41cは、下部フレーム41aの後方側の端部から立設された上下方向に延びる部分であり、上部フレーム41dは、前部フレーム41bの上方側の端部と後部フレーム41cの上方側の端部とを接続する前後方向に延びる部分である。
同様に、左側部フレーム42において、下部フレーム42aは、図1に示すように、下方において、前後方向に延びる部分であり、前部フレーム42bは、下部フレーム42aの前方側の端部から立設された上下方向に延びる部分である。また、左側部フレーム42において、後部フレーム42cは、下部フレーム42aの後方側の端部から立設された上下方向に延びる部分であり、上部フレーム42dは、前部フレーム42bの上方側の端部と後部フレーム42cの上方側の端部とを接続する前後方向に延びる部分である。
本実施の形態において、下部フレーム41a,42a、前部フレーム41b,42b、後部フレーム41c,42c、及び上部フレーム41d,42dは夫々、その延び方向に直交する面における断面形状が矩形である。なお、下部フレーム41a,42a、前部フレーム41b,42b、後部フレーム41c,42c、及び上部フレーム41d,42dの各々の断面形状は、上述の矩形に限るものではなく、例えば円形等の他の形状であってもよい。
また、フレーム体40は、図1に示すように、夫々右側部フレーム41と左側部フレーム42との間において左右方向に延びる中空筒状又は中空板状のキックボード43と、下部連結フレーム44と、上部連結フレーム45とを備える。キックボード43は、フレーム体40における前方及び下方部分において右側部フレーム41と左側部フレーム42とを接続し、例えば、右側部フレーム41の前部フレーム41bの下方側の端部と、左側部フレーム42の前部フレーム42bの下方側の端部とに接続している。下部連結フレーム44は、フレーム体40における後方及び下方部分において右側部フレーム41と左側部フレーム42とを接続し、例えば、右側部フレーム41の後部フレーム41cの下方側の端部と、左側部フレーム42の後部フレーム42cの下方側の端部とに接続している。上部連結フレーム45は、フレーム体40における上方部分において右側部フレーム41と左側部フレーム42とを接続し、例えば、右側部フレーム41の上部フレーム41dと、左側部フレーム42の上部フレーム42dとに接続している。上部連結フレーム45は、上部フレーム41d,42dにおいて、いずれの場所に接続されていてもよく、例えば、前方側の端部と後方側の端部との間や、後方側の端部との間に接続されている。本実施の形態においては、上部連結フレーム45は、上部フレーム41d,42dにおいて、前方側の端部と後方側の端部との間の中央に接続されている。
ガイドレール20は、図1に示すように、右側部フレーム41の内側の面に設けられており、前部フレーム41bの一部、上部フレーム41d、後部フレーム41c、及び下部フレーム41aの一部に亘って延びている。例えば、前部フレーム41bのキックボード43との結合部の直上から、前部フレーム41b、上部フレーム41d、後部フレーム41c、及び下部フレーム41aに沿って延びている。ガイドレール20は、その延び方向に直交する面における断面形状が略コ字(U字)状であり、右側部フレーム41の内側の面において、外側(右方向)に凹む溝を形成しており、後述するように、シャッター10を移動可能に保持している。
ガイドレール30は、ガイドレール20と同様の形状を有しており、左側部フレーム42の内側の面に設けられており、前部フレーム42bの一部、上部フレーム42d、後部フレーム42c、及び下部フレーム42aの一部に亘って延びている。例えば、前部フレーム42bのキックボード43との結合部の直上から、前部フレーム42b、上部フレーム42d、後部フレーム42c、及び下部フレーム42aに沿って延びている。ガイドレール30は、ガイドレール20と同様の形状を有しており、その延び方向に直交する面における断面形状が略コ字(U字)状であり、左側部フレーム42の内側の面において、外側(左方向)に凹む溝を形成しており、後述するように、シャッター10を移動可能に保持している。
ガイドレール20は、図1に示すように、前部フレーム41bと上部フレーム41dとの間、上部フレーム41dと後部フレーム41cとの間、及び後部フレーム41cと下部フレーム41aとの間の移行部が夫々、滑らかな形状、例えば外側に向かって凸の円弧形状を呈して延びており、他の部分が直線状に延びている。同様に、ガイドレール30は、前部フレーム42bと上部フレーム42dとの間、上部フレーム42dと後部フレーム42cとの間、及び後部フレーム42cと下部フレーム42aとの間の移行部が夫々、滑らかな形状、例えば外側に向かって凸の円弧形状を呈して延びており、他の部分が直線状に延びている。このように、ガイドレール20,30は、直線状の部分の間が滑らかに接続されており、シャッター10は、ガイドレール20,30に沿って滑らかに移動可能となっている。
フレーム体40において、各フレーム41a〜41d,42a〜42d,43〜45は、例えば、鋼板を折曲加工して形成される。また、ガイドレール20,30は、例えば、右側部フレーム41及び左側部フレーム42とは別体として、鋼板を折曲加工して形成して、右側部フレーム41及び左側部フレーム42に夫々取り付けてもよく、または、下部フレーム41a,42a、前部フレーム41b,42b、後部フレーム41c,42c、及び上部フレーム41d,42dを夫々折曲加工して一体的に形成されるようにしてもよい。
また、下部フレーム41a,42a、前部フレーム41b,42b、後部フレーム41c,42c、及び上部フレーム41d,42dは、いずれの結合方法によって対応するフレームに結合されてよく、例えば、図示しない螺子が螺合されることにより互いに結合されるようにしてもよく、また、溶接や嵌合されることにより互いに結合されるようにしてもよい。また、キックボード43、下部連結フレーム44、及び上部連結フレーム45も、いずれの結合方法によって右側部フレーム41及び左側部フレーム42に結合されてよく、例えば、図示しない螺子が螺合されることにより互いに結合されるようにしてもよく、また、溶接や嵌合されることにより互いに結合されるようにしてもよい。
また、ガイドレール20,30が右側部フレーム41及び左側部フレーム42とは別体として夫々形成される場合は、ガイドレール20,30は、いずれの方法によって右側部フレーム41及び左側部フレーム42に夫々取り付けられてもよく、例えば、図示しない螺子が螺合されることにより取り付けられるようにしてもよく、また、溶接や嵌合されることにより取り付けられるようにしてもよい。
フレーム体40の下部には、図1に示すように、複数の接地アジャスター46が取り付けられており、シャッター付き収容装置1は、接地アジャスター46を介して、床面等の接地面上に置かれる。接地アジャスター46は、従来公知の上下方向の高さを調整可能な構造を有しており、フレーム体40の設置面からの高さを調整することができる。接地アジャスター46は、例えば、右側部フレーム41の下部フレーム41a及び左側部フレーム42の下部フレーム42aの夫々の下方の面に設けられている。
図2〜4に示すように、シャッター10は、複数のシャッター片11と、複数の連結軸12とを備える。シャッター片11及び連結軸12は、例えば、ポリカーボネート等の樹脂材から形成されている。シャッター片11は、長手方向の幅がフレーム体40における右側部フレーム41と左側部フレーム42との間の距離に対応した、略矩形の板状の部材であり、長手側の端部において連結軸12を介して、他のシャッター片11の長手側の端部に連結されている。連結軸12は、公知の構造により、各シャッター片11が連結軸12を回転軸として回動可能となるように、互いに隣接するシャッター片11を連結している。このように、シャッター10は、複数のシャッター片11が連結軸12を介して連結されて、シャッター片11の短手方向に連なって形成されており、シャッター10の長手方向の長さは、シャッター片11の数によって設定されている。シャッター10の短手側の端部の一方(開放方向側)がシャッター10の前端部13となり、シャッター10の短手側の端部の他方(閉鎖方向側)がシャッター10の後端部14となる。図3,4に示すように、前端部13及び後端部14においても、各シャッター片11には連結軸12が取り付けられている。
連結軸12は、シャッター片11の長手方向長さよりも長く、シャッター10において、連結軸12の両端は、シャッター片11の短手側の端部から所定の距離突出している。この突出する連結軸12の両端は、シャッター付き収容装置1において、ガイドレール20,30の溝内を摺動可能にガイドレール20,30の溝内に収容されている。これにより、シャッター10がガイドレール20,30に保持され、ガイドレール20,30に沿って移動可能になっている。シャッター片11の長手方向の長さは、シャッター片11の短手側の両端部がシャッター付き収容装置1においてガイドレール20,30の溝内に入り込まない長さに設定されている。
また、連結軸12は、上述のように、シャッター片11の短手側の端部から突出していないものであってもよい。この場合、シャッター片11の長手方向の長さは、シャッター片11の短手側の両端部がシャッター付き収容装置1においてガイドレール20,30の溝内に収容される長さに設定されている。シャッター片11の短手側の両端部がガイドレール20,30の溝内を摺動可能にガイドレール20,30の溝内に収容され、これにより、シャッター10がガイドレール20,30に保持され、ガイドレール20,30に沿って移動可能になっている。また、シャッター片11の短手方向の長さは、シャッター片11がガイドレール20,30の溝内を摺動可能な長さになっている。なお、この場合、シャッター10の前端部13及び後端部14において、各シャッター片11には連結軸12が取り付けられていなくてもよい。
図1〜4に示すように、シャッター10は、前端部13がキックボード43の上方側の面に当接する閉鎖位置(図2,4参照)から、前端部13が上部フレーム41d,42d又は後部フレーム41c,42cの範囲に位置する開放位置(図1,3参照)まで移動可能な長さに設定されている。シャッター10が閉鎖位置に位置する状態において、後端部14は後部フレーム41c,42c又は下部フレーム41a,42aの範囲に位置し、シャッター10が開放位置に位置する状態において、後端部14は下部フレーム41a,42aにおいて最も前方側に位置している。
このように、シャッター10は、前面部2及び上面部4を少なくとも部分的に開放及び閉鎖可能になっており、本実施の形態においては、前面部2においてキックボード43から上方及び上面部4の一部又は全てを開放及び閉鎖可能になっている。つまり、シャッター付き収容装置1において、前面部2におけるキックボード43から上方及び上面部4の一部又は全てに亘る範囲が開口8となっており、この開口8を介して、外部から内部に進入可能になっている。
シャッター付き収容装置1は、図1に示すように、右側面部6及び左側面部7にサイドパネル47a,47bが夫々取り付けられており、また、後面部3に後部カバー48が取り付けられている。サイドパネル47a,47bは、例えばアクリル材等から形成された板状の部材であり、右側部フレーム41及び左側部フレーム42に夫々取り付けられて、右側部フレーム41及び左側部フレーム42の空間を夫々閉鎖している。後部カバー48は、例えば鋼板等から形成された板状の部材であり、後面部3において右側部フレーム41及び左側部フレーム42に取り付けられており、後面部3の空間を閉鎖している。後部カバー48は、後部フレーム41c,42cにおけるガイドレール20,30よりも前方側に取り付けられている。また、図1に示すように、シャッター付き収容装置1には、キックボード43の上方側の端部から後方に向かって平面状に延びる底板49が設けられている。
シャッター付き収容装置1は内部に収容装置を備えている。本実施の形態においては、シャッター付き収容装置1は内部に収容装置としての棚を備えており、より具体的には、物品を陳列するための物品陳列棚50を備えている。物品陳列棚50は、より具体的には商品陳列棚である。
物品陳列棚50は、少なくとも1つの棚板51を有しており、例えば3つの棚板51を有している。棚板51は、例えば、鋼板等から形成された板状に延びる部材であり、シャッター付き収容装置1の内部に上下方向に間隔をあけて配設されている。物品陳列棚50は、例えば、一対の支柱52を備える。支柱52は、直線状に延びる筒状の部材であり、延び方向に直交する断面の形状が矩形である。支柱52は、例えば、鋼板を折曲加工することにより形成されている。支柱52の1つの側面には、複数の穴52aが等間隔に形成されている。
一対の支柱52は、図1に示すように、穴52aの形成された面が前方を向くように、後面部3側において上下方向に立設されている。具体的には、一対の支柱52の一方は、その上下側の端部が右側部フレーム41の上部フレーム41dと下部フレーム41aとに固定され、また、その後面部3側の面が右側部フレーム41の後部フレーム41cに固定されている。また、一対の支柱52の他方は、その上下側の端部が左側部フレーム42の上部フレーム42dと下部フレーム42aとに固定され、また、その後面部3側の面が左側部フレーム42の後部フレーム42cに固定されている。支柱52の固定は公知の方法でなされており、例えば螺子による螺合や溶接、嵌合等の方法によって固定されている。
棚板51の短手側の両端部には、ブラケット53が取り付けられており、ブラケット53は、左右方向において対向する一対の支柱52の穴52aの少なくともいずれか1組に係止可能な構造を有している。棚板51は、ブラケット53を介して一対の支柱52に固定されている。ブラケット53の構造は、公知のいずれの構造であってよい。
このように、シャッター付き収容装置1は、内部に物品陳列棚50を備えており、シャッター10を閉鎖することにより、物品陳列棚50を外部空間から遮断することができる。また、シャッター10を開放することにより、物品陳列棚50は開口8を介して外部に開放され、外部からの物品陳列棚50への接近が可能になる。
また、シャッター付き収容装置1は、後面部3に配設された弾性を備える弾性部材としてのコイルバネ61と、シャッター10に配設されたコイルバネ61と係合可能な開放係合部材としての開放係合爪62と、シャッター10に配設されたコイルバネ61と係合可能な閉鎖係合部材としての閉鎖係合爪63とを備える。開放係合爪62は閉鎖係合爪63よりも開放方向側に配設されている。
図5は、本発明の実施の形態に係るシャッター付き収容装置1の後面部3の構成を説明するための図であり、図5(a)は、シャッター10が開放位置と閉鎖位置との中間に位置する状態におけるシャッター付き収容装置1の部分透過背面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す後面部3を左右方向に見た部分拡大断面図である。図5(a)はシャッター10を透過して示している。
図5(a)に示すように、コイルバネ61は、後面部3において、左右方向に延びており、一端が右側部フレーム41の後部フレーム41cに、他端が左側部フレーム42の後部フレーム42cに接続されて、後部フレーム41cと後部フレーム42cとの間に掛け渡されているか又は張設されている。また、コイルバネ61は、後述するように、開放係合爪62と閉鎖係合爪63との間であって、シャッター10の移動に伴う開放係合爪62及び閉鎖係合爪63の各々の軌道に交差して掛け渡されている。コイルバネ61の上下方向における位置は、後述するようにコイルバネ61が開放係合爪62及び閉鎖係合爪63と係合可能となる位置であればいずれの位置であってもよいが、後部フレーム41c,42cの上下方向において中央の位置が好ましい。また、図5(b)に示すように、コイルバネ61は、後面部3において、シャッター10よりも前方に位置している。
図5(a),(b)に示すように、開放係合爪62及び閉鎖係合爪63は、シャッター10の左右方向の中央に設けられており、また、開放係合爪62及び閉鎖係合爪63は、シャッター10の開放及び閉鎖方向(上下方向)において所定の間隔dだけ離間して配設されている。また、シャッター10が開放位置と閉鎖位置との中間の位置(以下、シャッター中間位置ともいう。)に位置する状態において、コイルバネ61が上下方向において開放係合爪62と閉鎖係合爪63との中間に位置するように、開放係合爪62及び閉鎖係合爪63はシャッター10に位置決めされている。また、シャッター10は、シャッター中間位置において、前面部2の側の自重と後面部3の側の自重とが釣り合うよう設計されている。
また、図5(b)に示すように、開放係合爪62は、後面部3において、シャッター10の前方側の面に取り付けられて、閉鎖方向(上方)に凹む凹部62aを備えるフック状の係合爪である。開放係合爪62は、凹部62aにコイルバネ61の左右方向中央部を収容してコイルバネ61と係合可能となっており、シャッター10がシャッター中間位置から開放方向に所定の距離(d/2)を移動されると、凹部62aは閉鎖方向側からコイルバネ61を収容して係合するようになっている。更にシャッター10を開放方向に移動すると、開放係合爪62はコイルバネ61を下方に引っ張り下方にたわませる。
また、図5(b)に示すように、閉鎖係合爪63は、後面部3において、シャッター10の前面部2側の面に取り付けられて、開放方向(下方)に凹む凹部63aを備えるフック状の係合爪である。閉鎖係合爪63は、凹部63aにコイルバネ61の左右方向中央部を収容してコイルバネ61と係合可能となっており、シャッター10がシャッター中間位置から閉鎖方向に所定の距離(d/2)を移動されると、凹部63aは開放方向側からコイルバネ61を収容して係合するようになっている。更にシャッター10を閉鎖方向に移動すると、閉鎖係合爪63はコイルバネ61を上方に引っ張り上方にたわませる。
シャッター10が開放位置に位置する状態において、開放係合爪62が後面部3に位置するように、シャッター10、ガイドレール20,30、及び開放係合爪62等は形状やサイズ、配設位置等が設定されており、また、シャッター10が閉鎖位置に位置する状態において、閉鎖係合爪63が後面部3に位置するように、シャッター10、ガイドレール20,30、及び閉鎖係合爪63等は形状やサイズ、配設位置等が設定されている。これにより、シャッター10が開放位置又は閉鎖位置に位置する状態において、コイルバネ61が下面部5又は上面部4に巻き込まれて、コイルバネ61が下部連結フレーム44又は上部連結フレーム45等に噛み込まれてシャッター10が移動不能になることを防止できる。
また、図5(a),(b)に示すように、コイルバネ61よりも前方側において、上下方向に延びる弾性部材ガイド部材としての筒状のコイルバネガイドフレーム64が下部連結フレーム44から上方に立設されている。コイルバネガイドフレーム64は、上方側の端部が、例えば、上部フレーム41d,42dの間において左右方向に延びる筒状の補助フレーム65によって支持されている。コイルバネガイドフレーム64は、コイルバネ61に近接されており、後述するように、コイルバネ61が上方又は下方にたわんだ際に、コイルバネ61が前後方向に暴れることがないように、コイルバネ61をシャッター10との間に挟み、コイルバネ61のガイドとして機能する。コイルバネガイドフレーム64は、コイルバネ61に当接されていてもよく、離間されていてもよい。また、コイルバネガイドフレーム64は、開放係合爪62及び閉鎖係合爪63を収容する上下方向に延びる逃げ溝64aを備えている。この逃げ溝64aにより、開放係合爪62及び閉鎖係合爪63がコイルバネガイドフレーム64に干渉することなく移動可能になっている。
シャッター付き収容装置1においては、シャッター10が移動する際に、シャッター10、開放係合爪62、及び閉鎖係合爪63が、フレーム体40や、下部連結フレーム44、上部連結フレーム45、補助フレーム65等に干渉することがないように形状やサイズ、配設位置が設定されている。
ついで、上述の構成を有するシャッター付き収容装置1の作用について説明する。
シャッター10がシャッター中間位置(図5(a),(b)参照)から開放方向(下方)に移動されると、開放係合爪62及び閉鎖係合爪63も共に開放方向に移動し、開放係合爪62はコイルバネ61に接近していき、閉鎖係合爪63はコイルバネ61から遠ざかっていく。そして、シャッター10がシャッター中間位置から、開放係合爪62と閉鎖係合爪63との間の間隔dの半分の距離(d/2)開放方向に移動された位置(以下、開放当接位置ともいう。)にシャッター10が達すると、開放係合爪62の凹部62a内にコイルバネ61が収容され、開放係合爪62がコイルバネ61と係合する(図6(a),(b)参照)。
この状態から、シャッター10が更に開放方向に移動されると、開放係合爪62は、コイルバネ61との係合状態を維持しながら下方に移動し、コイルバネ61を引っ張り、コイルバネ61を下方に向かってたわませる。コイルバネ61は開放係合爪62により引き伸ばされ、開放係合爪62を介してシャッター10に上方に向かう弾性力を発生する(図7参照)。この弾性力により、シャッター10は閉鎖方向に付勢される。シャッター10には、その後面部3における自重に抗してコイルバネ61からの上向きの弾性力が作用するため、シャッター10の自重によるシャッター10を開放方向に付勢する力の一部又は前部が相殺され、シャッター10の操作性が向上される。
シャッター10が更に開放方向に移動されることにより、シャッター10の自重によるシャッター10を開放方向に付勢する力は大きくなっていくが、コイルバネ61が更に引き伸ばされてコイルバネ61のシャッター10を閉鎖方向に付勢する力も大きくなっていく。このため、開放当接位置(図6(a),(b)参照)よりもシャッター10が開放方向に移動されている状態においては、コイルバネ61の弾性力によりシャッター10の良好な操作性が維持される。
シャッター10が更に開放方向に移動され、シャッター10が開放位置に到達すると(図7参照)、シャッター10は、例えばガイドレール20,30若しくは右側部フレーム41及び左側部フレーム42に設けられている図示しないストッパーに当接し、シャッター10は止まる。図7に示すように、シャッター10が開放位置に位置する状態において、開放係合爪62は、後面部3に位置している。一方、閉鎖係合爪63は、シャッター10の後端部14近傍の一部と共に下面部5に位置している。また、開口8が開放される。
このように、開放係合爪62がコイルバネ61との係合を始めた開放当接位置から開放位置までの領域(以下、開放係合領域ともいう。)においてシャッター10が開放方向に移動している間は、開放係合爪62とコイルバネ61とが係合して、コイルバネ61が開放係合爪62を介してシャッター10を閉鎖方向に付勢し、シャッター10の操作性の向上が図られている。
また、コイルバネ61が開放係合爪62によって引っ張られている際でも、コイルバネ61は、シャッター10とコイルバネガイドフレーム64との間に挟まれているので、コイルバネ61の暴れが抑制され、コイルバネ61と開放係合爪62との間の係合が解離されることの防止が図られている。
なお、開放係合領域においては、シャッター10の自重によるシャッター10を開放方向に付勢する力が、コイルバネ61のシャッター10を閉鎖方向に付勢する力と釣り合うか、または、コイルバネ61のシャッター10を閉鎖方向に付勢する力よりも大きくなるように、例えば開放係合爪62の配設位置、コイルバネ61のバネ定数やシャッター10の重量等が設定されている。
開口8が開放された開放位置からシャッター10を閉鎖方向に移動させる際には、シャッター10の自重による開放方向への力に抗して、コイルバネ61がシャッター10を閉鎖方向に付勢しているため、シャッター10を閉鎖方向へ動かす操作が容易になっている。シャッター10が開放係合領域において閉鎖方向に移動している間は、開放係合爪62とコイルバネ61との係合により、シャッター10の操作が容易になっている。シャッター10が開放係合領域を閉鎖方向に移動するに連れて、上記シャッター10の開放方向への移動の際とは逆に、シャッター10の自重による開放方向への力は小さくなっていき、コイルバネ61のシャッター10を閉鎖方向に付勢する力も小さくなっていく。
シャッター10が更に閉鎖方向に移動され、シャッター10が開放係合領域を超えると(図6(a),(b)参照)、開放係合爪62とコイルバネ61とは離間され、その間の係合は解かれて、コイルバネ61によるシャッター10への付勢はなくなる。
この状態から、更に閉鎖方向にシャッター10が開放係合爪62と閉鎖係合爪63との間の間隔dだけ移動されるまで、コイルバネ61は、引っ張られることなく無負荷の状態(初期状態)で、開放係合爪62と閉鎖係合爪63との間の空間に延びている。
シャッター10が閉鎖方向に更に移動され、シャッター中間位置から開放係合爪62と閉鎖係合爪63との間の間隔dの半分の距離(d/2)だけシャッター10が閉鎖方向に移動された位置(以下、閉鎖当接位置ともいう。)にシャッター10が達すると、閉鎖係合爪63の凹部63a内にコイルバネ61が収容され、閉鎖係合爪63が開放方向側からコイルバネ61と係合する(図8(a),(b)参照)。
閉鎖当接位置から、シャッター10が更に閉鎖方向に移動されると、閉鎖係合爪63は、コイルバネ61との係合状態を維持しながら上方に移動し、コイルバネ61を引っ張り、コイルバネ61を上方に向かってたわませる(図9参照)。コイルバネ61は閉鎖係合爪63により引き伸ばされ、閉鎖係合爪63を介してシャッター10に下方に向かう弾性力を発生する。この弾性力により、シャッター10は開放方向に付勢される。シャッター10には、その前面部2における自重による閉鎖方向への力に抗してコイルバネ61からの下向き(開放方向)の弾性力が作用するため、シャッター10の自重によるシャッター10を閉鎖方向に付勢する力の一部又は全部が相殺され、シャッター10の操作性が向上される。
シャッター10が更に閉鎖方向に移動されることにより、シャッター10の自重によるシャッター10を閉鎖方向に付勢する力は大きくなっていくが、コイルバネ61が更に引き伸ばされてコイルバネ61のシャッター10を開放方向に付勢する力も大きくなっていく。このため、閉鎖当接位置(図8(a),(b)参照)よりもシャッター10が閉鎖方向に移動されている状態においては、コイルバネ61の弾性力によりシャッター10の良好な操作性が維持される。
シャッター10が更に閉鎖方向に移動され、シャッター10が閉鎖位置に到達すると(図9参照)、シャッター10は、例えばガイドレール20,30若しくは右側部フレーム41及び左側部フレーム42に設けられている図示しないストッパーに当接し、シャッター10は止まる。図9に示すように、シャッター10が閉鎖位置に位置する状態において、閉鎖係合爪63は、後面部3に位置している。一方、開放係合爪62は、シャッター10の前端部13近傍の一部と共に上面部4に位置している。また、開口8が閉鎖される。
このように、閉鎖係合爪63がコイルバネ61との係合を始める閉鎖当接位置から閉鎖位置までの領域(以下、閉鎖係合領域ともいう。)においてシャッター10が閉鎖方向に移動されている際は、閉鎖係合爪63とコイルバネ61とが係合して、コイルバネ61が閉鎖係合爪63を介してシャッター10を開放方向に付勢し、シャッター10の操作性の向上が図られている。
また、コイルバネ61が閉鎖係合爪63によって引っ張られている際においても、コイルバネ61は、シャッター10とコイルバネガイドフレーム64との間に挟まれているので、コイルバネ61の暴れが抑制され、コイルバネ61と閉鎖係合爪63との間の係合が解離されることの防止が図られている。
なお、閉鎖係合領域においては、シャッター10の自重によるシャッター10を閉鎖方向に付勢する力が、コイルバネ61のシャッター10を開放方向に付勢する力と釣り合うか、または、コイルバネ61のシャッター10を開放方向に付勢する力よりも大きくなるように、例えば閉鎖係合爪63の配設位置、コイルバネ61のバネ定数やシャッター10の重量等が設定されている。
開口8が閉鎖された閉鎖位置からシャッター10を開放方向に移動させる際には、シャッター10の自重による閉鎖方向への力に抗して、コイルバネ61がシャッター10を開放方向に付勢しているため(図9参照)、シャッター10を開放方向へ動かす操作が容易になっている。シャッター10が閉鎖係合領域を開放方向に移動している間は、閉鎖係合爪63とコイルバネ61との係合により、シャッター10の操作が容易になっている。シャッター10が閉鎖係合領域を開放方向に移動するに連れて、上記シャッター10の閉鎖方向への移動の際とは逆に、シャッター10の自重による閉鎖方向への力は小さくなっていき、コイルバネ61のシャッター10を開放方向に付勢する力も小さくなっていく。
シャッター10が更に開放方向に移動され、シャッター10が閉鎖係合領域を超えると(図8(a),(b)参照)、閉鎖係合爪63とコイルバネ61とは離間され、その間の係合は解かれて、コイルバネ61によるシャッター10への付勢はなくなる。
この状態から、更に開放方向にシャッター10が開放係合爪62と閉鎖係合爪63との間の間隔dだけ移動されるまで、コイルバネ61は、引っ張られることなく無負荷の状態(初期状態)で、開放係合爪62と閉鎖係合爪63との間の空間に延びている。
シャッター10が開放方向に更に移動され、開放当接位置に達すると(図6(a),(b)参照)、開放係合爪62の凹部62a内にコイルバネ61が収容され、開放係合爪62がコイルバネ61と係合し、以降は上述のように作用する。
上述のように、シャッター付き収容装置1においては、シャッター10が開放係合領域又は閉鎖係合領域において移動している際は、シャッター10の自重によりシャッター10を付勢する力に抗してコイルバネ61がシャッター10を付勢するため、シャッター10の操作性が良好なものになっている。また、シャッター10の閉鎖時及び開放時に発生するシャッター10の衝突音が低減されている。
また、シャッター10が、開放係合領域と閉鎖係合領域との間の領域において、つまり、シャッター中間位置から開放当接位置まで及びシャッター中間位置から閉鎖当接位置までの領域において、開放方向又は閉鎖方向に移動されている際は、コイルバネ61は、開放係合爪62及び閉鎖係合爪63に係合しておらず、引っ張られることなく無負荷の状態となっている。このように、シャッター10が、間隔dだけ離れた開放係合領域と閉鎖係合領域との間の領域において、開放方向又は閉鎖方向に移動されている際は、コイルバネ61は開放方向又は閉鎖方向にたわんで延びることはなく、無負荷の初期状態となっている。
このように、シャッター付き収容装置1においては、シャッター10が開放又は閉鎖される際に、間隔dのシャッター10の移動距離の間は、コイルバネ61が開放方向又は閉鎖方向にたわんで伸びることはない。このため、シャッター10の閉鎖位置から開放位置への移動又は開放位置から閉鎖位置への移動の際に、コイルバネ61の開放方向又は閉鎖方向へのたわみ量(伸び量)を、シャッター10の移動距離よりも少なくすることができる。
このため、開口8の開放及び閉鎖方向の幅を大きくするために、シャッター10の長手方向の寸法を長くして、また、物品の収容空間を最大限にして、開放位置においてシャッター10の後端部14側の一部が下面部5内に入り込むようなシャッター付き収容装置1であっても、シャッター10の開閉移動においてコイルバネ61に係合された開放係合爪62及び閉鎖係合爪63は後面部3内に留まるようにでき、シャッター10の開閉移動によってコイルバネ61が上面部4や下面部5に噛み込まれることを防止することができる。このように、シャッター10の移動距離を低減させるために、シャッター付き収容装置1の画成領域(輪郭)を変形させる必要はなく、シャッター付き収容装置1の物品の収容空間を最大限に保つことができる。これにより、シャッター付き収容装置1の物品の収容空間を最大限に保ちつつ、シャッター10の開閉範囲を大きくすることができる。
このように、本発明の実施の形態に係るシャッター付き収容装置1によれば、シャッター10の操作性の向上を図りつつ、また、物品の収容空間を最大限に保ちつつ、シャッター10の開閉範囲を大きくすることができる。
本発明の実施の形態に係るシャッター付き収容装置1においては、開放係合爪62と閉鎖係合爪63との間の間隔dを、シャッター10の材質や重量、サイズに合わせて設定することにより、シャッター10の開放方向及び閉鎖方向の操作性を一定に保つことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
例えば、開放係合部材及び閉鎖係合部材は、上述の開放係合爪62及び閉鎖係合爪63に限るものではなく、上述のように、開放係合領域及び閉鎖係合領域において夫々コイルバネ61と係合可能な形態であればよい。例えば、磁力によりフック状の係合部が飛び出す構成の係合爪を開放係合部材及び閉鎖係合部材としてもよい。この場合、コイルバネ61は磁化されているものとする。
また、コイルバネ61、開放係合爪62、及び閉鎖係合爪63を磁化し、コイルバネ61が磁力により開放係合爪62及び閉鎖係合爪63を引き付けるようにしてもよい。これにより、コイルバネ61と開放係合爪62及び閉鎖係合爪63との間の係合をより強固にすることができる。この場合、コイルバネガイドフレーム64及び付随して補助フレーム65を省略してもよい。
また、弾性部材は、上述のコイルバネ61に限るものではなく、例えば、ゴム等であってもよい。また、弾性部材として、コイルバネ61を2つ上下方向に離間して平行に設け、上方のコイルバネ61に開放係合爪62が開放係合領域において閉鎖方向側から係合し、下方のコイルバネ61に閉鎖係合爪63が閉鎖係合領域において開放方向側から係合するようにしてもよい。これにより、シャッター10の長手方向の幅を大きくし、シャッター10の移動距離が大きくなった場合であっても、開放係合爪62と閉鎖係合爪63との間の間隔dを広く設定することにより、コイルバネ61の伸び量を低減して、上述と同様の効果を奏することができる。
また、シャッター付き収容装置1においては、コイルバネ61、開放係合爪62、及び閉鎖係合爪63は、後面部3においてシャッター10の後方側に設けられており、コイルバネガイドフレーム64はシャッター10より前方側に設けられているものとしたが、コイルバネ61、開放係合爪62、及び閉鎖係合爪63は、後面部3においてシャッター10の後方側に設けられており、コイルバネガイドフレーム64はシャッター10より後方側に設けられていてもよい。
また、フレーム体40の形態は上述のものに限らず、また、物品陳列棚50の形態も上述のものに限らない。例えば、支柱52が設けられておらず、棚板51は右側部フレーム41及び左側部フレーム42に固定されるようにしてもよい。シャッター付き収容装置1は、上述のような物品陳列棚50を備えるものではなく、内部に棚板によって分離されていない1つの空間が形成された収容装置を備えるものであってもよい。