<第1実施例>
図1は第1実施例のネットワークシステム10の概略構成の一例を示す図解図である。
この図1を参照して、この発明の第1実施例であるネットワークシステム10はDHCPサーバとして機能するPC12を含み、PC12はハブ14を介して複数の表示装置16(表示装置16a、16b、…、16n)、表示装置16とは異なる複数のネットワーク機器18(ネットワーク機器18a、18b)に接続される。ここで、ネットワーク機器とは、ネットワーク対応の機器ないし装置を意味し、たとえば、PC12以外のコンピュータ(PCまたはサーバ)、プリンタ、ファクシミリおよび複合機などが該当する。また、表示装置16もネットワーク機器に該当する。
たとえば、PC12、表示装置16、ネットワーク機器18は、それぞれ、ハブ14にLANケーブルを用いて接続される。また、複数の表示装置16の各々および複数のネットワーク機器18の各々は、DHCPクライアントとして機能する。以下、この明細書では、PC12以外のネットワーク機器である表示装置16およびネットワーク機器18をまとめていう場合には、「クライアント」と呼ぶことにする。
ただし、この第1実施例では、ネットワークシステム10のうち、ネットワーク機器18(18a、18b)を除いた構成がマルチディスプレイシステム10aと呼ばれる。
PC12は、情報処理装置の一例であり、汎用のPCを用いることができる。このPC12では、DHCP機能はオフ(無効に)され、固定IPアドレス(たとえば、192.168.0.100)およびサブネットマスク(たとえば、255.255.255.0)が設定されている。
ハブ14は、汎用のスイッチングハブであり、ネットワークシステム10において、PC12、複数の表示装置16および複数のネットワーク機器18を通信可能に接続する。ただし、この第1実施例では、ハブ14は、DHCP機能を有していない、または、DHCP機能がオフされているものとする。
表示装置16は、マルチディスプレイを構成する表示装置である。マルチディスプレイシステム10aでは、複数台の表示装置16が一直線上に配列されたりマトリクス状に配列されたりする。第1実施例では、ネットワークシステム10(マルチディスプレイシステム10a)は、n台の表示装置16(第1表示装置16a、第2表示装置16b、…、第n表示装置16n)を有している。この明細書においては、第1表示装置16a、第2表示装置16b、…、第n表示装置16nを区別する必要が無い場合には、単に「表示装置16」ということにする。表示装置16の具体的な構成については、図2を用いて後で詳細に説明する。
ネットワーク機器18は、上述したように、表示装置16とは異なるネットワーク機器である。第1実施例では、ネットワーク機器18aのDHCP機能は有効(オン)である。一方、ネットワーク機器18bのDHCP機能はオフであり、固定IPアドレス(たとえば、192.168.0.20)およびサブネットマスク(この第1実施例では、255.255.255.0)が設定される。
図2は図1に示した表示装置16の電気的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、表示装置16は、CPU30を含み、CPU30はバス32を介して、RAM34、ROM36、通信部38、表示駆動部40、映像信号入力部44、操作部46および電源制御部48に接続される。また、表示駆動部40には、表示部42が接続される。
CPU30は、表示装置16の全体的な制御を司る。RAM34は、CPU30のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。ROM36は、表示装置16を制御するための制御プログラムや表示装置16の各種設定情報についてのデータを記憶したりする。
通信部38は、他のコンピュータ(PC12または/および他の表示装置16)と通信するためのインターフェイスであり、たとえば、有線LAN、RS−232C、USB、DDC/CI(Display Data Channel Command Interface)、HDMI−CEC(High Definition Multimedia Interface Consumer Electronics Control)などを用いることができる。
ただし、図1では、各表示装置16がハブ14に接続されるようにしてあるが、複数の表示装置16はデイジーチェーン接続されてもよい。かかる場合には、通信部38には、入力ポートおよび出力ポートが設けられる。
また、他の実施例として、通信部38は、無線LANによって実現されてもよい。
表示駆動部40は、表示部42に表示される映像ないし画像を生成および出力するためのコントローラである。表示部42は、表示パネルおよびバックライトを含み、表示駆動部40から与えられる映像ないし画像についてのデータを出力する。
映像信号入力部44は、他のコンピュータまたは外部メモリ(USBメモリ、HDDなど)から入力される映像または画像についてのデータを入力するためのインターフェイスであり、DisplayPort、HDMI(登録商標)、DVIおよびD−SUBなどが利用される。
操作部46は、表示装置16に設けられる各種の操作ボタン(操作キー)およびリモコン受信部であり、ユーザによる操作入力を受け付けたり、リモコン(図示せず)から送信されるリモコン信号(赤外線信号)を受信したりする。たとえば、操作部46は、表示装置16についての各種の情報を設定および変更する場合に使用される。各種の情報としては、ホワイトバランスと輝度、色、マルチディスプレイのサイズ(配列)およびマルチディスプレイにおける位置(配置位置)などが該当する。
電源制御部48は、CPU12aの指示の下、電源(電圧)を各コンポーネントに供給および停止するための回路(スイッチ回路)である。図示は省略するが、電源制御部48には、商用電源からの交流電圧が適宜降圧および整流(ノイズ除去)された直流電圧(直流電源)が印加される。
この第1実施例の表示装置16は、次の機能を有している。一つ目として、表示装置16は、コンピュータ(PC12)にTelnetで接続されると、接続状態を確立した後(ソケット(BSD)を開いた後)、接続完了を接続元に返す機能を有している。二つ目として、表示装置16は、Telnetで接続された後、所定のコマンド(テキストで記載されたコマンド)に応じた処理(動作)を実行する機能を有している。
この第1実施例では、所定のコマンドは、製造番号の送信コマンド、DHCPオフの設定コマンド、固定IPアドレスの設定コマンド、サブネットマスクの設定コマンド、リブートの実行コマンド、文字列の表示コマンドおよび文字列の非表示コマンドである。
製造番号の送信コマンド(serial No.?)は、表示装置16に割り当てられた固有の識別番号である製造番号を送信(通知)させるためのコマンドである。表示装置16は、製造番号の送信コマンドを受信すると、当該コマンドの送信元(第1実施例では、PC12である。以下、同じ)に、自機に設定(記憶)されている製造番号を返す(送信する)。ただし、この第1実施例では、表示装置16には、製造番号が割り当てられているものとする。また、この第1実施例では、固有の識別番号として製造番号を使用するようにしてあるが、通信部38に割り当てられるMACアドレスを使用することもできる。ただし、MACアドレスを使用する場合には、後述するIP割当テーブル102において、製造番号に代えてMACアドレスが記述(管理)され、通信部38を交換した場合には、このIP割当テーブル102に記述されたMACアドレスを変更する必要がある。
DHCPオフの設定コマンド(DHCP OFF)は、DHCP機能をオフに設定させるためのコマンドである。表示装置16は、DHCPオフの設定コマンドを受信すると、DHCP機能をオフして、当該コマンドの送信元に、OKを返す。この第1実施例では、DHCP機能をオフに設定した場合には、当該設定は表示装置16を再起動(リブート)した後に有効に(反映)される。ただし、リブートしないで有効にされてもよい。
固定IPアドレスの設定コマンド(IPSET xxx.xxx.xxx.xxx)は、指定するIPアドレス(xxx.xxx.xxx.xxx)を固定IPアドレスとして設定させるためのコマンドである。表示装置16は、固定IPアドレスの設定コマンドを受信すると、指定されたIPアドレスを固定IPアドレスとして設定し、当該コマンドの送信元にOKを返す。固定IPアドレスの設定は、DHCP機能がオフである場合にのみ有効であり、表示装置16をリブートした後に有効にされる。つまり、リブートした後に、表示装置16は、固定IPアドレスを使用する設定(以下、「固定IPアドレス設定」という)に変更される。ただし、リブートしないで有効にされてもよい。この場合には、固定IPアドレスの設定コマンドを受信すると、当該コマンドに記載されたIPアドレスが固定IPアドレスとして設定され、後述するサブネットマスクが設定された後に、固定IPアドレス設定に変更される。
サブネットマスクの設定コマンド(SubNet yyy.yyy.yyy.yyy)は、指定するサブネットマスク(yyy.yyy.yyy.yyy)を設定させるためのコマンドである。表示装置16は、サブネットマスクの設定コマンドを受信すると、指定されたサブネットマスクを固定IPアドレスに対応して設定し、当該コマンドの送信元にOKを返す。このコマンドに従うサブネットマスクの設定は、DHCP機能がオフである場合にのみ有効であり、表示装置16をリブートした後に有効にされる。ただし、リブートしないで有効にされてもよい。
リブートの実行コマンド(Reboot)は、再起動(リブート)を実行させるためのコマンドである。表示装置16は、リブートの実行コマンドを受信すると、当該コマンドの送信元にOKを返してから、リブートを実行する。
なお、上記のように、DHCP機能をオフに設定、固定IPアドレスの設定およびサブネットマスクの設定を、リブートを実行しないで有効にする場合には、このリブートの実行コマンドは無くてもよい。
文字列の表示コマンド(Display zzz)は、ユーザが入力(指定)した文字列(zzz)を表示させるためのコマンドである。表示装置16は、文字列の表示コマンドを受信すると、指定された文字列を表示パネル(表示画面)に表示する。
文字列の非表示コマンド(NON−Display)は、文字列の表示コマンドに従って表示させた文字列を非表示(消去)されるためのコマンドである。
このような構成のネットワークシステム10では、PC12は、マルチディスプレイを構成する複数の表示装置16の固定IPアドレスを設定する。ただし、表示装置16では、固定IPアドレスが設定される前(DHCP機能がオフされる前)においては、DHCP機能はオンであるものとする。
図3および図4は、ネットワークシステム10において、表示装置16に固定IPアドレスが割り当てられる方法(処理)を説明するための図解図である。
ただし、ネットワーク機器18bは、固定IPアドレスを使用する設定となっており、DHCP機能はオフされている。また、図3および図4においては、点線および矢印で示すように、下方に向かうに従って時間が進む。このことは、図8−図10、図23および図24においても同様である。
また、図5および図6は、表示装置16に固定IPアドレスを設定する場合に、PC12に接続されたモニタ(図示せず)に表示される設定画面100の例を示す。この設定画面100では、PC12を含むネットワーク上のクライアントに、当該PC12がIPアドレスを割り当てるためのテーブル(以下、「IP割当テーブル」という)102が表示される。また、この設定画面100では、IP割当テーブル102の下方に、3つのボタン画像(アイコン)104、106、108が設けられる。アイコン104は、選択された表示装置16に対して文字列の表示コマンドを送信し、当該表示装置16に表示させるためのアイコンである。この第1実施例では、文字列は、対応する表示装置16に付されたIP割当テーブル102におけるID(三桁の数字)である。アイコン106は、アイコン104を押すことにより表示された文字列を消去(非表示)させるためのアイコンである。アイコン108は、選択された表示装置16に対して固定IPアドレスを設定するためのアイコンである。
なお、IP割当テーブル102の左端に表示されるチェックボックスが指示(選択)されると、対応する表示装置16が選択され、チェックのマークが表示される(図6参照)。また、選択された状態で、チェックボックスが指示(選択)されると、対応する表示装置16の選択が解除され、チェックのマークが非表示される。ただし、PC12は、IPアドレスをリース提供したクライアントが表示装置16であることが判断された場合に、固定IPアドレスを割り当て、これに応じて、当該表示装置16を自動的に選択された状態する。
図3に示すように、たとえば、PC12は、固定IPアドレスを割り当てる処理(IPアドレス割当処理)を開始すると、自身に設定されている固定IPアドレス(192.168.0.100)とサブネットマスク(255.255.255.0)を取得し、取得したサブネットマスクに基づいて使用可能なIPアドレスを算出(決定)する。つまり、IPアドレスの対象範囲(192.168.0.0〜192.168.0.255)が求められる。ただし、IPアドレスの最後の数字が“0”である場合には、ネットワーク自体を表し、また、最後の数字が“255”である場合には、ブロードキャストに使用されるため、これらのIPアドレスについては、特定のクライアントに割り当てることができない。したがって、実際の対象範囲は192.168.0.1〜192.168.0.254となる。
このとき、図5(A)に示すように、設定画面100では、PC12自身に設定されている固定IPアドレスが割当(1)IPアドレスの欄に記述され、IDの欄に“001”が記述される。この第1実施例では、IDとしては、クライアントがネットワーク上で認識された順番に従って三桁の数字(シリアル番号)が付される。また、PC12には、固定IPアドレスが設定されているため、DHCPの欄には“オフ”が記述される。また、PC12は、表示装置16ではないため、製造番号の欄に横棒が記述され、既に固定IPアドレスが設定されているため、割当(2)IPアドレスの欄にも横棒が記述される。ただし、IP割当テーブル102では、横棒は該当する数値または情報が無いことを意味し、単なる空欄(未設定)とは異なる。
図3に戻って、次に、PC12は、対象範囲において使用中の固定IPアドレスを探索する。つまり、ネットワークシステム10を構成するクライアントに設定されている固定IPアドレスを取得し、取得した固定IPアドレスが対象範囲に含まれるかどうかを判断する。ここで、既に使用されている固定IPアドレスは、対象範囲から除外され、対象範囲が更新される。
なお、固定IPアドレスを探索する方法は公知技術であるため、その詳細な説明は省略する。
図1に示す例では、固定IPアドレスが設定されたネットワーク機器18bがネットワークに接続されているため、PC12は、探索した結果、ネットワーク機器18bに設定された固定IPアドレス(192.168.0.20)を取得する。したがって、PC12では、図5(B)に示すように、設定画面100において、ネットワーク機器18bについての固定IPアドレスがIP割当テーブル102の割当(1)IPアドレスの欄に追加され、これに対応して、IDの欄に“002”が記述される。また、ネットワーク機器18bには、固定IPアドレスが設定されているため、DHCPの欄には“オフ”が記述される。PC12は、固定IPアドレスの探索を終了すると、対象範囲からすでに使用されているIPアドレスを除外する。したがって、この第1実施例では、PC12は、IPアドレスの対象範囲から最後の数字が“20”と“100”のIPアドレスを除外する。
なお、この第1実施例では、固定IPアドレスが設定されたクライアントとして、ネットワーク機器18bのみを示してあるが、固定IPアドレスが設定されたクライアントが複数存在する場合には、探索された順番に固定IPアドレスがIP割当テーブル102に追加される。
また、この第1実施例では、PC12は、使用中の固定IPアドレスを探索するようにしてあるが、探索を行わない場合もある。かかる場合には、DHCPを使用する環境において、固定IPアドレスを勝手に使用しないようにルール付けされる。
図3に戻って、PC12は、IPアドレスの対象範囲を決定し、使用中の固定IPアドレスの探索を終了すると、IPアドレスのリース要求の受付を開始する。
PC12がIPアドレスのリース要求の受付を開始した後に、第1表示装置16aからIPアドレス(仮IPアドレス)のリース要求があると、これに応じて、PC12は、クライアントである第1表示装置16aにIPアドレスを割り当てて、割り当てたIPアドレスをリース提供する。このとき、サブネットマスクも提供される。また、第1表示装置16aは、リース提供されたIPアドレスおよびサブネットマスクを設定し、ネットワーク(ネットワークシステム10)に参加する。
厳密には、PC12は、クライアントからのリース要求に対して、IPアドレスをリース提供すると、クライアントは、リース提示されたアドレスを選択し、受け入れの通知を返す。そして、PC12は、クライアントからのリース選択を受けると、これを承認し、クライアントにリース確認通知を送信する。この通知には、その他のDHCPオプション情報(サブネットマスク等の情報を含む。)が含まれる。したがって、リース確認通知を受け取ったクライアントは、DHCPオプションに基づいてTCP/IPを構成し、ネットワークに参加する。
このとき、第1表示装置16aに対してID(ここでは、“003”)が付与され、IP割当テーブル102に追加されるとともに、このIDに対応して、当該第1表示装置16aに割り当てたIPアドレスが割当て(1)IPアドレスの欄に記述される。この第1実施例では、PC12は、最後の数字が“1”から順番に、リース提供するIPアドレスを割り当てるものとする。したがって、ここでは、第1表示装置16aに対してIPアドレス(192.168.0.1)が割り当てられる。ただし、サブネットマスクは、PC12と同じサブネットマスク(255.255.255.0)である。
続いて、PC12は、リース提供したIPアドレスを宛先として第1表示装置16aにTelnetで接続する。これに応じて、第1表示装置16aは、接続状態を確立する。つまり、第1表示装置16aはソケット(BSDソケット)を開く。そして、第1表示装置16aは、PC12に接続完了を返す。
これに応じて、PC12は、第1表示装置16aに製造番号の送信コマンドを送信する。第1表示装置16aは、製造番号の送信コマンドを受信すると、これ応じて、自身の製造番号(たとえば、“DP0001”)を、当該コマンドの送信元に送信する。
なお、製造番号は、表示装置16の製造元で割り当てられる固有の識別番号であり、アルファベットおよび数字を用いて決定されるのが一般的であるが、限定される必要はない。数字またはアルファベットのみで決定されてもよいし、これに加えて、記号が用いられてもよい。
図4に示すように、PC12は、第1表示装置16aから製造番号を受信すると、この製造番号を当該第1表示装置16a(ID“003”)に対応して、IP割当テーブル102の製造番号の欄に記述する。さらに、PC12は、第1表示装置16aに固定IPアドレスを割り当てる。この第1実施例では、固有IPアドレスを割り当てる方法は、リース提供するIPアドレスと同じであり、対象範囲において、最後の数字が小さい順番で固定IPアドレスが割り当てられる。したがって、第1表示装置16aには、固定IPアドレスとして“192.168.0.1”が割り当てられる。
したがって、図6(A)に示すように、第1表示装置16についての情報がIP割当テーブル102に登録される。具体的には、IDの欄に“003”が記述され、製造番号の欄に“DP0001”が記述され、DHCPの欄に“オン”が記述され、割当(1)IPアドレスの欄に“192.168.0.1”が記述される。さらに、割当(2)IPアドレスの欄にも“192.168.0.1”が記述される。
図4に戻って、PC12は、ネットワーク機器18aからのIPアドレスのリース要求があると、これに応じて、上述したように、ネットワーク機器18aにIPアドレスを割り当てて、割り当てたIPアドレスをリース提供する。
そして、PC12は、リース提供したIPアドレスを宛先としてネットワーク機器18aにTelnetで接続する。ネットワーク機器18aでは、接続状態を確立するが、表示装置16とは異なり、接続完了を返す機能を有していないため、接続完了をPC12に返さない。
PC12は、一定時間(たとえば、10秒)応答が無い場合に、Telnetで接続したクライアントが表示装置16でないと判断する。また、製造番号の送信コマンドは、表示装置16でないと判断されたクライアントに送信されることはない。同様に、ネットワーク機器18aは表示装置16ではないため、固定IPアドレスは割り当てられない。
ただし、PC12は、提供したIPアドレスを管理する必要があるため、IP割当テーブル102にネットワーク機器18aの情報も登録する。具体的には、IDの欄に“004”が記述され、製造番号の欄に横棒が記述され、DHCPの欄に“オン”が記述され、割当(1)IPアドレスの欄に“192.168.0.2”が記述される。さらに、割当(2)IPアドレスの欄には横棒が記述される。
このようにして、PC12は、ネットワーク上のすべてのクライアントからのリース要求に応じて、IPアドレスを割り当てるとともにリース提供し、リース提供したIPアドレスを宛先としてTelnetで接続することにより、接続中のクライアントが表示装置16であるかどうかを判断する。また、クライアントが表示装置16である場合には、PC12は、当該表示装置16についての製造番号を取得し、固定IPアドレスを割り当てる。
なお、図3および図4では、PC12が、一部のクライアントからのリース要求に対応した場合のみを示し、他の表示装置16(16b、…、16n)からのリース要求に対応した場合については省略してある。また、PC12は、リース要求を受け付けた順に、クライアントにIPアドレスをリース提供し、IPアドレスをリース提供したクライアントにTelnetで接続し、当該クライアントが表示装置16である場合に、固定IPアドレスを割り当てる。
図7の設定画面100には、たとえば、図1に示したネットワークシステム10において、DHCP機能がオンであるクライアントにIPアドレスをリース提供し、さらに、表示装置16に固定IPアドレスを割り当てた状態におけるIP割当テーブル102が示される。図1に示した例では、DHCP機能がオンであるクライアントは、n台の表示装置16とネットワーク機器18aであるため、割当(1)IPアドレスの欄と割当(2)IPアドレスの欄に記載されたIPアドレスでは、一部のIPアドレスにおいて、最後の数字が一つ異なっている。つまり、リース提供されるIPアドレスよりも、割り当てられた固定IPアドレスの方が一つ少ない。
ただし、図7の設定画面100の例は、DHCP機能がオンに設定されているクライアントが20台未満である場合について示してある。なお、表示装置16が20台以上である場合には、上述したように、最後の数字が“20”と“100”であるIPアドレスは対象範囲から除外されているため、当該IPアドレスが表示装置16に割り当てられることはない。
また、図7に示す設定画面100において、縦向きの“…”は省略を意味する。実際には、設定画面100において、IP割当テーブル102の部分は、スクロール可能に表示される。このことは、他の設定画面100についても同様である。
図7に示すような設定画面100において、アイコン108がオンされると、PC12は、表示装置16に固定IPアドレス設定に変更する処理を実行する。このとき、割当(2)IPアドレスの欄に記述された(割当られた)固定IPアドレスが用いられる。
図8〜図10は、表示装置16を固定IPアドレス設定に変更する方法(処理)を説明するためのPC12および第1表示装置16a〜第n表示装置16nの動作の概略について説明する。
以下では、すべての表示装置16(16a〜16n)に固定IPアドレスが割り当てられており、このすべての表示装置16(16a〜16n)が固定IPアドレス設定に変更される場合について説明する。ただし、実際には、設定画面100において、選択(チェック)されている表示装置16に対してのみ、固定IPアドレス設定に変更する処理が実行される。また、図8〜図10に示す例では、第1表示装置16aから第n表示装置16nまで順番に処理が実行されるように図示および説明するが、IDの数字が小さい順に処理が実行される。
固定IPアドレス設定に変更する処理が開始されると、図8に示すように、PC12は、Telnetで第1表示装置16aに接続する。これに応じて、第1表示装置16aは接続状態を確立し、接続完了をPC12に返す。
すると、PC12は、第1表示装置16aに対して割り当てられた固定IPアドレスの設定コマンドを、当該第1表示装置16aに送信する。図7のIP割当テーブル102の割当(2)IPアドレスの欄の記載から分かるように、第1表示装置16aには、固定IPアドレスとして、192.168.0.1が割り当てられている。第1表示装置16aは、固定IPアドレスの設定コマンドを受信すると、当該コマンドに記載(指定)された固定IPアドレスを設定し、OKをPC12に返す。
次に、PC12は、サブネットマスクの設定コマンドを第1表示装置16aに送信する。ただし、サブネットマスクは、PC12に設定されているサブネットマスクであり、IPアドレスがリース提供されたときに与えられたサブネットマスク(255.255.255.0)と同じである。第1表示装置16aは、サブネットマスクの設定コマンドを受信すると、当該コマンドに記載(指定)されたサブネットマスクを上記の固定IPアドレスに対応して設定し、OKをPC12に返す。
続いて、PC12は、DHCPオフの設定コマンドを第1表示装置16aに送信する。第1表示装置16aは、DHCPオフの設定コマンドを受信すると、当該コマンドに従ってDHCP機能をオフに設定し、OKをPC12に返す。
このように、PC12が各表示装置16に順次Telnetで接続し、固定IPアドレスの設定コマンド、サブネットマスクの設定コマンドおよびDHCPオフの設定コマンドを送信することにより、各表示装置16では、指定された固定IPアドレスが設定され、指定されたサブネットマスクが設定され、そして、DHCP機能がオフに設定される。ここでは、図9に示すように、第n表示装置16まで上記の設定が実行される。
第1表示装置16aから第n表示装置16nまでの固定IPアドレス等の設定が終了すると、PC12は、各表示装置16をリブートさせる。これは、固定IPアドレスの設定、サブネットマスクの設定およびDHCP機能をオフの設定を有効にするためである。つまり、表示装置16が固定IPアドレス設定に変更される。
具体的には、図10に示すように、PC12は、第1表示装置16aにTelnetで接続する。これに応じて、第1表示装置16aは接続状態を確立し、接続完了をPC12に返す。
すると、PC12は、リブートの実行コマンドを第1表示装置16aに送信する。これに応じて、第1表示装置16aは、OKをPC12に返してから、リブートを実行する。
このように、PC12が各表示装置16に順次Telnetで接続し、リブートの実行コマンドを送信することにより、各表示装置16では、リブートが実行される。したがって、図10に示すように、第n表示装置16まで順次リブートが実行される。
なお、図8〜図10に示した例では、PC12によって割り当てられた固定IPアドレスがそのまま設定される場合について説明したが、固定IPアドレスは、ユーザによって変更可能である。たとえば、図11に示すように、IDが“001”の第1表示装置16aと“00n+2”の第n表示装置16nとの間で、割当(2)IPアドレスに記述された固定IPアドレスを入れ替えることができる。これは、第1表示装置16a〜第n表示装置16nで構成されるマルチディスプレイの配列に従ってユーザにとって分かり易い固定IPアドレスを設定しておいた方が、後に、各表示装置16の各種の情報を設定(変更)する場合に、当該各表示装置16に各種の情報を設定(変更)するためのコマンドを送信し易いからである。
ただし、二台以上の表示装置16間でIPアドレスを入れ替えることもできるし、単に、割り当てられていないIPアドレスに変更することもできる。
なお、IPアドレスを変更する場合に、重複するIPアドレスが存在する場合には、アイコン108が押されたタイミングなどの任意のタイミングで、その旨のエラーが報知される。たとえば、エラーメッセージが設定画面100の前面に表示されたり、エラーを報知する音がスピーカから出力されたり、それらの両方が実行されたりする。
また、ユーザは、マルチディスプレイを構成する各表示装置16の位置を確認する場合に、たとえば、アイコン104をオンして、対応するIDの番号を各表示装置16に表示させる。また、ユーザは、アイコン106をオンして、表示装置16に表示されたIDの番号を非表示させる。
上記のように、この第1実施例において、Telnetで接続した場合に、一度にリブートまで実行させないのは、連続して(まとめて)リブートを実行させることにより、一台目の表示装置16にリブートの実行コマンドを送信から最後(n台目)の表示装置16にリブートの実行コマンドを送信するまでの時間を表示装置16のリブートにかかる時間(たとえば、10秒以内)に抑えるためである。たとえば、図11に示したように、割当(2)IPアドレスの入れ替えがある場合、ID“003”の第1表示装置16aのリブートを実行してからID“00n+2”の第n表示装置16nの割当(2)IPアドレスの変更を行うまでの時間が表示装置16のリブートにかかる時間を越えてしまうと、第1表示装置16aと第n表示装置16nとでIPアドレス(192.168.0.n)が重複してしまう。この重複を避けるため、この第1実施例では、すべての表示装置16に固定IPアドレスを設定した後に、まとめてリブートの実行コマンドを送信するようにしてある。
図12は図1に示したPC12のRAM12bのメモリマップ200の一例を示す図解図である。図12に示すように、RAM12bは、プログラム記憶領域202およびデータ記憶領域204を含む。プログラム記憶領域202は、PC12で実行される情報処理プログラムを記憶し、情報処理プログラムは、通信プログラム202a、画像生成プログラム202b、画像表示プログラム202c、IP対象算出プログラム202d、固定IP探索プログラム202e、アドレス割当プログラム202fおよびコマンド送信プログラム202gなどで構成される。
通信プログラム202aは、ネットワーク上の他のクライアント、この第1実施例では、複数の表示装置16の各々および複数のネットワーク機器18の各々と通信するためのプログラムである。
画像生成プログラム202bは、後述する画像生成データ204bなどを用いて、モニタに設定画面100などの各種の画面を表示するための画面データを生成するためのプログラムである。画像表示プログラム202cは、画像生成プログラム202bに従って生成された画面データをモニタに出力するためのプログラムである。
IP対象算出プログラム202dは、自身に設定されたサブネットマスクに応じて、使用可能なIPアドレスの対象範囲を算出(決定)するためのプログラムである。固定IP探索プログラム202eは、自身を含むネットワーク上のクライアントに設定された固定IPアドレスを探索するためのプログラムである。この固定IP探索プログラム202eに従って、PC12は、ネットワーク上のクライアントに固定IPアドレスを問い合わせて、これ応じて、送信される固定IPアドレスを取得する。
アドレス割当プログラム202fは、上述したようなIP割当テーブル102を作成および更新し、ネットワーク上のクライアントからIPアドレスのリース要求に応じてリース提供するIPアドレスを割り当てたり、ネットワーク上の表示装置16に固定IPアドレスを割り当てたりするためのプログラムである。
コマンド送信プログラム202gは、自動で、または、ユーザの指示に従って、製造番号の送信コマンド、固定IPアドレスの設定コマンド、サブネットマスクの設定コマンド、リブートの実行コマンド、文字列の表示コマンドおよび文字列の非表示コマンドなどの各種のコマンドを表示装置16に送信するためのプログラムである。
図示は省略するが、プログラム記憶領域202には、上記のプログラムの他に、ユーザの指示(操作ないし入力)を検出するためのプログラムなど、PC12で実行される他のプログラムも記憶される。
また、データ記憶領域204には、送受信バッファ204aが設けられるとともに、画像生成データ204b、IPアドレスデータ204c、サブネットマスクデータ204d、対象範囲データ204eおよびIP割当テーブルデータ204fが記憶される。
送受信バッファ204aは、ネットワーク上のクライアントとの間で送受信されるデータおよび表示装置16に送信するコマンドを一時記憶するためのバッファである。
画像生成データ204bは、設定画面100などの各種画面を生成するためのデータであり、ポリゴンデータやテクスチャデータなどを含む。IPアドレスデータ204cは、自身に設定される固定IPアドレスについてのデータである。サブネットマスクデータ204dは、自身に設定されているサブネットマスクについてのデータである。
対象範囲データ204eは、使用可能なIPアドレスについて対象範囲を示すデータであり、ネットワーク上で既に使用されている固定IPアドレスのデータは除外される。IP割当テーブルデータ204fは、IP割当テーブル102に含まれる各情報についてのデータである。
データ記憶領域204には、情報処理プログラムを実行するために必要な他のデータも記憶され、また、当該情報処理プログラムを実行するために必要なカウンタ(タイマ)やフラグなども設けられる。
図13は図2に示した表示装置16のRAM34のメモリマップ300の一例を示す図解図である。図13に示すように、RAM34は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。プログラム記憶領域302は、表示装置16で実行される制御プログラムを記憶し、制御プログラムは、通信プログラム302a、画像取得プログラム302b、画像生成プログラム302c、画像表示プログラム302d、リース要求プログラム302e、製造番号通知プログラム302f、固定IP設定プログラム302g、サブネットマスク設定プログラム302h、DHCP機能設定プログラム302i、リブート実行プログラム302jおよび文字列表示制御プログラム302kなどで構成される。
通信プログラム302aは、他のコンピュータ(この第1実施例では、PC12)と通信するためのプログラムである。
画像取得プログラム302bは、通信可能に接続されたコンピュータ(第1実施例では、PC12)から送信される画像データまたは映像データを取得するためのプログラムであり、映像信号入力部44に入力された画像データまたは映像データを受信して、後述する画像データバッファ304bに一時記憶する。
画像生成プログラム302cは、後述する文字列表示制御プログラム302kに従って文字列の表示コマンドに記述された文字列を表示する場合に、当該文字列を含む表示画面の画面データを生成するためのプログラムである。ただし、画像生成プログラム302cは、各種の情報を設定する場合に表示部42に表示される表示画面の画面データを生成するためのプログラムでもある。ただし、画面データは、表示駆動部40に内蔵されるGPUが後述する画像生成データ304cを用いて、表示駆動部40に内蔵されるVRAM上に生成される。
画像表示プログラム302dは、画像取得プログラム302bに従って取得された画像データまたは映像データに対応する画像または映像を表示部42に表示するためのプログラムであり、表示駆動部40を制御して、画像データバッファ304bに記憶された画像データまたは映像データを表示部42に出力する。また、画像表示プログラム302dは、画像生成プログラム302cに従って生成された画面データに対応する表示画面を表示部42に表示するためプログラムであり、表示駆動部40を制御して、VRAM上に生成された画面データを表示部42に出力する。
リース要求プログラム302eは、DHCP機能がオンである場合に、IPアドレスのリース要求をブロードキャストし、これに対して、DHCPサーバ(第1実施例では、PC12)からリース提供されるIPアドレスおよびサブネットマスクを設定するためのプログラムである。
製造番号通知プログラム302fは、通信可能に接続されたコンピュータ(第1実施例では、PC12)からの製造番号の送信コマンドに応じて、当該コマンドの送信元に、自身に割り当てられた製造番号を送信するためのプログラムである。たとえば、製造番号のデータは、ROM36に記憶される。
固定IP設定プログラム302gは、通信可能に接続されたコンピュータ(第1実施例では、PC12)からの固定IPアドレスの設定コマンドに応じて、当該コマンドに記述されたIPアドレスを固定IPアドレスとして設定し、当該コマンドの送信元に、OK(固定IPアドレスを設定した旨の通知)を返す(送信する)ためのプログラムである。
サブネットマスク設定プログラム302hは、通信可能に接続されたコンピュータ(第1実施例では、PC12)からのサブネットマスクの設定コマンドに応じて、当該コマンドに記述されたサブネットマスクを設定し、当該コマンドの送信元に、OK(サブネットマスクを設定した旨の通知)を返す(送信する)ためのプログラムである。
DHCP機能設定プログラム302iは、通信可能に接続されたコンピュータ(第1実施例では、PC12)からのDHCPオフの設定コマンドに応じて、DHCP機能をオフに設定し、当該コマンドの送信元に、OK(DHCP機能をオフに設定した旨の通知)を返す(送信する)ためのプログラムである。
リブート実行プログラム302jは、通信可能に接続されたコンピュータ(第1実施例では、PC12)からのリブートの実行コマンドに応じて、当該コマンドの送信元に、OK(リブートを実行する旨の通知)を返した(送信した)後に、リブートを実行するためのプログラムである。
文字列表示制御プログラム302kは、通信可能に接続されたコンピュータ(第1実施例では、PC12)からの文字列の表示コマンドに応じて、当該コマンドに記述された文字列を表示部42に表示させたり、文字列の非表示コマンドに応じて、表示部42に表示された文字列を非表示させたりするためのプログラムである。
図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、上記のプログラムの他に、ユーザの指示(操作ないし入力)を検出するためのプログラムや他のコマンドに応じて処理を実行するためのプログラムなど、表示装置16で実行される他のプログラムも記憶される。
また、データ記憶領域304には、送受信バッファ304aおよび画像データバッファ340bが設けられるとともに、画像生成データ304cが記憶される。
送受信バッファ304aは、PC12などの他のコンピュータとの間で送受信されるデータおよびPC12から受信したコマンドを一時記憶するためのバッファである。画像データバッファ304bは、通信可能に接続されたコンピュータや外部メモリから入力された(受信した)画像データまたは映像データを一時記憶するためのバッファである。画像生成データ304cは、文字列を含む表示画面などの各種画面を生成するためのデータであり、ポリゴンデータやテクスチャデータなどを含む。
データ記憶領域304には、制御プログラムを実行するために必要な他のデータも記憶され、また、当該制御プログラムを実行するために必要なカウンタ(タイマ)やフラグなども設けられる。
図14および図15は、図1に示したPC12に内蔵されるCPU12aのIPアドレス割当処理の一例を示すフロー図である。また、図16は、図2に示した表示装置16に内蔵されるCPU30のIPアドレス割当処理の一例を示すフロー図である。
たとえば、ユーザがIPアドレス割当処理の実行を指示すると、図14に示すように、PC12のCPU12aは、IPアドレス割当処理を開始し、ステップS1で、自身に設定されている(割り当てられている)固定IPアドレスとサブネットマスクを取得する。ここでは、CPU12aは、PC12自身に設定されている固定IPアドレスとサブネットマスクを読み出し、対応するIPアドレスデータ204cおよびサブネットマスクデータ204dをRAM12bに記憶する。また、CPU12aは、IP割当テーブルデータ204fに対応するIP割当テーブル102において、IDの欄に“001”を記述し、このIDに対応して、DHCPの欄に“オフ”を記述するとともに、割当(1)IPアドレスの欄に固定IPアドレスを記述し、製造番号および割当(2)IPアドレスの欄に該当なしの情報(たとえば、横棒)を記述する。
続くステップS3では、IPアドレスの対象範囲を決定する。ここでは、CPU12aは、サブネットマスクデータ204dが示すサブネットマスクに基づいて、使用可能なIPアドレスの範囲を算出(決定)し、対応する対象範囲データ204eをRAM12bのデータ記憶領域204に記憶する。ただし、対象範囲から、“0”と“255”のIPアドレスは除外される。
続いて、ステップS5で、対象範囲で固定IPアドレスが設定されたクライアントをネットワーク上で探索する。そして、ステップS7で、IPアドレスの対象範囲を更新する。ここでは、CPU12aは、ステップS3で決定した対象範囲において、IPアドレスデータ204cが示すPC12に設定された固定IPアドレスおよび探索されたクライアントに設定された固定IPアドレスを使用不可に設定する。このとき、CPU12aは、IP割当テーブル102において、探索されたクライアントの各々について、IDを記述し、各IDに対応してDHCPの欄に“オフ”を記述するとともに、割当(1)IPアドレスの欄に固定IPアドレスを記述し、製造番号および割当(2)IPアドレスの欄に該当なしの情報を記述する。
次に、ステップS9で、IPアドレスのリース要求の受付を開始し、ステップ11で、変数iを初期値に設定する(i=1)。ただし、変数iは、リース提供するIPアドレスを決定するための変数である。続くステップS13では、IPアドレスのリース要求があるかどうかを判断する。ステップS13で“NO”であれば、つまりIPアドレスのリース要求が無ければ、IPアドレス割当処理を終了する。なお、この第1実施例では、IPアドレスのリース要求が無い場合には、すぐにIPアドレス割当処理を終了するようにしてあるが、所定時間(たとえば、5〜10秒)待機するようにしてもよい。
一方、ステップS13で“YES”であれば、つまりIPアドレスのリース要求があれば、ステップS15で、要求元にi番目のIPアドレスを割り当てる。このとき、CPU12aは、IP割当テーブル102に、次の順番となるIDを記述し、このIDに対応して、DHCPの欄に“オン”を記述するとともに、割当(1)IPアドレスの欄に割り当てたIPアドレスを記述する。
続いて、ステップS17では、割り当てたIPアドレスを要求元にリース提供し、図15に示すステップS19で、要求元にTelnetで接続する。このとき、CPU12aは、通信プログラム202aを実行し、リース提供したIPアドレスを宛先としてTelnetで接続する。
続くステップS21では、応答が有るかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、Telnetで接続したクライアントから接続確認が返されたかどうかを判断する。ステップS21で“NO”であれば、つまり応答が無ければ、ステップS23で、Telnetで接続してから一定時間が経過したかどうかを判断する。図示は省略するが、CPU12aは、Telnetで接続したときからの時間をタイマでカウントし、このステップS23では、タイマのカウント値が一定時間を越えたかどうかを判断している。
ステップS23で“NO”であれば、つまりTelnetで接続してから一定時間が経過していない場合には、そのままステップS21に戻る。一方、ステップS23で“YES”であれば、つまりTelnetで接続してから一定時間が経過した場合には、Telnetで接続した(要求元の)クライアントが表示装置16でないため、ステップS33に進む。
また、ステップS21で“YES”であれば、つまり応答が有れば、Telnetで接続した(要求元の)クライアントが表示装置16であるため、ステップS25で、製造番号の送信コマンドを送信する。続くステップS27では、応答が有るかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、Telnetで接続した表示装置16から製造番号が通知(送信)されたかどうかを判断する。
ステップS27で“NO”であれば、つまり応答が無ければ、同じステップS27に戻って、応答が有るのを待機する。一方、ステップS27で“YES”であれば、ステップS29で、製造番号を記憶する。ここでは、CPU12aは、IP割当テーブル102において、割り当てた(リース提供した)IPアドレスに対応して、表示装置16から送信された製造番号を記述する。
次のステップS31では、固定IPアドレスを割り当てる。ここでは、CPU12aは、対象範囲データ204eに記述された使用可能なIPアドレスのうち、最後の数字が小さいものから順に、固定IPアドレスを表示装置16に割り当てる。このとき、IP割当テーブル102において、対応する割当(2)IPアドレスの欄に、割り当てた固定IPアドレスが記述される。
そして、ステップS33で、変数iを1加算して(i=i+1)、図14に示したステップS13に戻る。したがって、リース要求したクライアントの数だけ、ステップS13〜S33の処理が繰り返し実行され、各クライアントにIPアドレスがリース提供され、そのうちの表示装置16については、さらに、固定IPアドレスが割り当てられる。
また、表示装置16では、主電源がオンされると、図16に示すように、CPU30は、IPアドレス割当処理を開始し、ステップS51で、IPアドレスのリース要求をブロードキャストする。次のステップS53では、IPアドレスのリース提供があるかどうかを判断する。ステップS53で“NO”であれば、つまりIPアドレスのリース提供が無ければ、そのままステップS51に戻る。一方、ステップS53で“YES”であれば、つまりIPアドレスのリース提供があれば、ステップS55で、リース提供されたIPアドレスを設定する。このとき、CPU30は、PC12から通知されたDHCPオプション情報に含まれるサブネットマスクも設定する。
次のステップS57では、PC12からTelnetで接続が有るかどうかを判断する。ステップS57で“NO”であれば、つまりPC12からTelnetで接続が無ければ、同じステップS57に戻る。一方、ステップS57で“YES”であれば、つまりPC12からTelnetで接続が有れば、ステップS59で、接続状態を確立し、ステップS61で、PC12に接続完了を返す。
続いて、ステップS63で、PC12から製造番号の送信コマンドを受信したかどうかを判断する。ステップS63で“NO”であれば、つまりPC12から製造番号の送信コマンドを受信していなければ、同じステップS63に戻る。一方、ステップS63で“YES”であれば、つまりPC12から製造番号の送信コマンドを受信すれば、ステップS65で、製造番号をPC12に送信して、IPアドレス割当処理を終了する。
なお、表示装置16とは異なるネットワーク機器18のプロセッサのIPアドレス割当処理のフロー図は省略するが、ネットワーク機器18では、図16に示したIPアドレス割当処理において、ステップS51〜S59の処理が実行されるだけである。したがって、ネットワーク機器18では、Telnetで接続されたPC12に対して接続完了が返されることはない。
IPアドレス割当処理が終了すると、PC12と複数の表示装置16の各々との間で、固定IPアドレス設定に変更する処理(固定IPアドレス設定処理)が実行される。図17および図18は、図1に示したPC12に内蔵されるCPU12aの固定IPアドレス設定処理を示すフロー図である。図19および図20は、図2に示した表示装置16に内蔵されるCPU30の固定IPアドレス設定処理を示すフロー図である。
設定画面100において、アイコン108をオンすると、図17に示すように、CPU12aは、固定IPアドレス設定処理を開始し、ステップS81で、変数jを初期値に設定する(j=1)。次のステップS83では、j番目の表示装置にTelnetで接続する。ただし、変数jは複数の表示装置16の各々に順番にTelnetで接続するための変数である。たとえば、CPU12aは、複数の表示装置16のうち、IP割当テーブル102において、IDが示す番号が小さい順に、各表示装置16にTelnetで接続する。ただし、CPU12aは、IP割当テーブル102において、製造番号が記述されているIDに対応するクライアントが表示装置16であると判断する。
続いて、ステップS85では、j番目の表示装置16から応答が有るかどうかを判断する。ステップS85で“NO”であれば、つまりj番目の表示装置16から応答が無ければ、同じステップS85に戻る。一方、ステップS85で“YES”であれば、つまりj番目の表示装置16から応答があれば、ステップS87で、固定IPアドレスの設定コマンドを送信する。ここでは、CPU12aは、IP割当テーブル102を参照して、j番目の表示装置16についてのIDに対応して割当(2)IPアドレスの欄に記述されたIPアドレスを記述(指定)した固定IPアドレスの設定コマンドを当該表示装置16に送信する。
次のステップS89では、j番目の表示装置16から応答が有るかどうかを判断する。ステップS89で“NO”であれば、同じステップS89に戻るが、“YES”であれば、ステップS91で、サブネットマスクの設定コマンドを送信する。ここでは、CPU12aは、サブネットマスクデータ204dが示すサブネットマスクを記述(指定)したサブネットマスクの設定コマンドをj番目の表示装置16に送信する。
そして、ステップS93では、j番目の表示装置16から応答が有るかどうかを判断する。ステップS93で“NO”であれば、同じステップS93に戻るが、“YES”であれば、図18に示すステップS95で、DHCPオフの設定コマンドをj番目の表示装置16に送信する。
次のステップS97では、変数jが最大値jmaxであるかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、ネットワーク上のすべての表示装置16について、固定IPアドレスおよびサブネットマスクを設定させるとともに、DHCP機能をオフに設定させたかどうかを判断する。ただし、最大値jmaxは、IP割当テーブル102において、IDに対応して製造番号が記述されたIDの個数に相当する。
ステップS97で“NO”であれば、つまり変数jが最大値jmaxでなければ、ステップS99で、変数jを1加算して(j=j+1)、図17に示したステップS83に戻る。一方、ステップS97で“YES”であれば、つまり変数jが最大値jmaxであれば、ステップS101で、変数kに初期値を設定して(k=1)、ステップS103で、k番目の表示装置16にTelnetで接続する。ただし、変数kは、上述した変数jと同様に、複数の表示装置16の各々に順番にTelnetで接続するための変数である。たとえば、CPU12aは、複数の表示装置16のうち、IP割当テーブル102において、IDが示す番号が小さい順に、各表示装置16にTelnetで接続する。
次のステップS105では、k番目の表示装置16から応答が有るかどうかを判断する。ステップS105で“NO”であれば、同じステップS105に戻るが、“YES”であれば、ステップS107で、k番目の表示装置16にリブートの実行コマンドを送信する。
そして、ステップS109で、k番目の表示装置16から応答が有るかどうかを判断する。ステップS109で“NO”であれば、同じステップS109に戻るが、“YES”であれば、ステップS111で、変数kが最大値kmax(k=kmax)であるかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、すべての表示装置16に、リブートの実行を指示したかどうかを判断する。ただし、最大値kmaxは、最大値jmaxと同様に、IP割当テーブル102において、IDに対応して製造番号が記述されたIDの個数に相当する。
ステップS111で“NO”であれば、つまり変数kが最大値kmaxでなければ、ステップS113で、変数kを1加算して(k=k+1)、ステップS103に戻る。一方、ステップS111で“YES”であれば、つまり変数kが最大値kmaxであれば、固定IPアドレス設定処理を終了する。
また、表示装置16のCPU30は、上記のIPアドレス割当処理を終了すると、図19に示すように、固定IPアドレス設定処理を開始し、ステップS131で、PC12からTelnetで接続が有るかどうかを判断する。ステップS131で“NO”であれば、同じステップS131に戻る。一方、ステップS131で“YES”であれば、ステップS133で、接続状態を確立し、ステップS135で、接続完了をPC12に返す。
なお、この第1実施例では、CPU30は、IPアドレス割当処理を終了すると、固定IPアドレス設定処理を開始するようにしてあるが、IPアドレス割当処理を終了した後に、PC12からTelnetで接続が有る場合に、固定IPアドレス設定処理を開始するようにしてもよい。かかる場合には、ステップS131の処理は省略される。
続いて、ステップS137では、固定IPアドレスの設定コマンドを受信したかどうかを判断する。ステップS137で“NO”であれば、つまり固定IPアドレスの設定コマンドを受信していなければ、そのままステップS137に戻る。一方、ステップS137で“YES”であれば、つまり固定IPアドレスの設定コマンドを受信すれば、ステップS139で、固定IPアドレスの設定コマンドに記述されたIPアドレスを固定IPアドレスとして設定し、ステップS141で、“OK”をPC12に返す。
次に、ステップS143では、サブネットマスクの設定コマンドを受信したかどうかを判断する。ステップS143で“NO”であれば、つまりサブネットマスクの設定コマンドを受信していなければ、そのままステップS143に戻る。一方、ステップS143で“YES”であれば、つまりサブネットマスクの設定コマンドを受信すれば、ステップS145で、サブネットマスクの設定コマンドに記述されたサブネットマスクを固定IPアドレスに対応して設定し、ステップS147で、“OK”をPC12に返す。
図20に示すように、次のステップS149では、DHCPオフの設定コマンドを受信したかどうかを判断する。ステップS149で“NO”であれば、つまりDHCPオフの設定コマンドを受信していなければ、そのままステップS149に戻る。一方、ステップS149で“YES”であれば、つまりDHCPオフの設定コマンドを受信すれば、ステップS151で、DHCP機能をオフに設定して、ステップS153で、“OK”をPC12に返す。
続いて、ステップS155では、PC12からTelnetで接続が有るかどうかを判断する。ステップS155で“NO”であれば、同じステップS155に戻る。一方、ステップS155で“YES”であれば、ステップS157で、接続状態を確立し、ステップS159で、接続完了をPC12に返す。
そして、ステップS161では、リブートの実行コマンドを受信したかどうかを判断する。ステップS161で“NO”であれば、つまりリブートの実行コマンドを受信していなければ、そのままステップS161に戻る。一方、ステップS161で“YES”であれば、つまりリブートの実行コマンドを受信すれば、ステップS163で、“OK”をPC12に返して、ステップS165で、リブートを実行して、固定IPアドレス設定処理を終了する。したがって、リブートが実行された後に、固定IPアドレス、サブネットマスクおよびDHCP機能のオフについての各設定が有効にされる。
第1実施例によれば、DHCPサーバであるPC12は、クライアントからリース要求があると、IPアドレスをリース提供し、リース提供したクライアントに対してTelnetで接続することにより、クライアントが表示装置16かどうかを判断し、表示装置16である場合には、当該表示装置16にリース要求の有った順に、固定IPアドレスを割り当てて、割り当てた固定IPアドレス設定に変更させるので、PC12が各表示装置16に固定IPアドレスを一元的に設定することができる。
なお、第1実施例では、PC12は、IPアドレスをリース提供した後に、Telnetで接続し、接続完了の応答が無い場合には、表示装置16以外のネットワーク機器18であると判断し、当該ネットワーク機器18については、固定IPアドレスを割り当てないようにしたが、これに限定される必要はない。
たとえば、PC12は、接続完了の応答が無い場合であっても、IPアドレスをリース提供したすべてのクライアントに固定IPアドレスを割り当てて、固定IPアドレスの設定を指示するようにしてもよい。このようにしても、表示装置16には、固定IPアドレスが設定される。この場合、表示装置16以外のネットワーク機器18は、固定IPアドレスのコマンドを受信したとしても、固定IPアドレスが設定されることはない。
また、この第1実施例では、PC12からのコマンドに応じてIPアドレスを設定したり、サブネットマスクを設定したり、DHCP機能をオフに設定したりした場合、およびリブートを実行する前に、PC12にOKを返すようにしたが、OKは返さなくてもよい。かかる場合には、PC12から各コマンドが順番に、表示装置16に送信される。
さらに、第1実施例では、PC12がネットワーク上の表示装置16に固定IPアドレスを設定する場合について示したが、固定IPアドレスを設定する対象は表示装置16に限定される必要はない。たとえば、クライアントのコンピュータ、プリンタ、ファクシミリまたは複合機などのネットワーク機器であれば、上述したような制御プログラムを実行させることにより、PC12からのコマンドに応じて固定IPアドレスを一元的に設定することができる。
<第2実施例>
第2実施例のネットワークシステム10では、ネットワークの構成が異なる以外は、第1実施例と同じであるため、異なる点についてのみ説明し、重複する説明については省略する。
第2実施例では、ネットワークシステム10は、PC12および複数の表示装置16以外のネットワーク機器18を含まないため、ネットワークシステム10とマルチディスプレイシステム10aとは同等である。
したがって、PC12は、IPアドレスの対象範囲を決定する場合に、固定IPアドレスが設定されたクライアントを探索する必要がない。このため、第2実施例においては、第1実施例で示した固定IP探索プログラム202eは不要である。また、PC12のCPU12aが実行するIPアドレス割当処理において、ステップS5の処理は省略される。
また、第2実施例では、リース提供するIPアドレスと割り当てる固定IPアドレスは同じにすることができるため、リース提供するIPアドレスを割り当てれば、固定IPアドレスを割り当てる必要はない。したがって、IP割当テーブル102において、割当(2)IPアドレスの欄は不要であり、また、PC12のCPU12aが実行するIPアドレス割当処理において、ステップSS31の処理は省略される。
第2実施例においても、第1実施例と同様に、PC12が各表示装置16に固定IPアドレスを一元的に設定することができる。
<第3実施例>
第3実施例のネットワークシステム10は、ネットワークの構成が異なるとともに、複数の表示装置16の配列およびこの配列における各表示装置16の位置が決定されている以外は、第1実施例と同じであるため、異なる点についてのみ説明し、重複する説明については省略する、または簡単に説明する。
この第3実施例では、第2実施例と同様に、ネットワークシステム10は、PC12および複数の表示装置16以外のネットワーク機器18を含まないため、ネットワークシステム10とマルチディスプレイシステム10aとは同等である。
また、第3実施例では、マルチディスプレイ160に使用される表示装置16の個数およびその配列は予め決定されている。したがって、各表示装置16には、マルチディスプレイ160の配列の情報および自身の位置の情報が記憶されている。ただし、マルチディスプレイ160の配列の情報は、縦に並べる表示装置16の個数および横に並べる表示装置16の個数で表されるため、それらの個数を掛け算することにより、マルチディスプレイ160に使用される表示装置16の個数(総数)を知ることができる。また、マルチディスプレイ160における表示装置16自身の位置は、配列における行数と列数とで表される。
さらに、第3実施例では、マルチディスプレイ160に使用される複数の表示装置16に固定IPアドレスを割り当てる場合の当該固定IPアドレスの並び順も決定されている。ただし、固定IPアドレスは、対象範囲において、最後の数字が小さい順に割り当てられる。
図21(A)は第3実施例におけるマルチディスプレイ160に使用される複数の表示装置16の配列の一例を示す図解図である。図21(B)は図21(A)に示すマルチディスプレイ160において、各表示装置16に固定IPアドレスを割り当てる場合の当該固定IPアドレスの並び順の一例を示す図解図である。図21(C)は図21(A)に示すマルチディスプレイ160において、各表示装置16に固定IPアドレスを割り当てる場合の当該固定IPアドレスの並び順の他の例を示す図解図である。
図21(A)に示すように、第3実施例では、マルチディスプレイ160において、9台の表示装置16(16a〜16i)が縦方向および横方向にそれぞれ3台ずつ並べられる。つまり、9台の表示装置16が3×3で配列される。また、第1表示装置16a〜第9表示装置16iは、向かって左上から右方向であり、かつ上から下方向に向かう順番に配置される。具体的には、位置を用いて説明すると、第1表示装置16aは位置(1,1)に配置され、第2表示装置16bは位置(1,2)に配置され、第3表示装置16cは位置(1,3)に配置され、第4表示装置16dは位置(2,1)に配置され、第5表示装置16eは位置(2,2)に配置され、第6表示装置16fは位置(2,3)に配置され、第7表示装置16gは位置(3,1)に配置され、第8表示装置16hは位置(3,2)に配置され、そして、第9表示装置16iは位置(3,3)に配置される。つまり、各表示装置16は、配列の情報として3×3を記憶するとともに、自身の位置の情報として(行数,列数)を記憶する。
図21(A)に示すように、複数の表示装置16が配列されている場合には、たとえば、左上の第1表示装置16aを開始位置とし、時計回りの並び順で各表示装置16に固定IPアドレスを割り当てることが決定(設定)されると、図21(B)の矢印で示すように、第1表示装置16aから順に第9表示装置16iまで、IPアドレスの最後の数字が1ずつ増加するように、固定IPアドレスが割り当てられる。
また、図21(A)に示すように、複数の表示装置16が配列されている場合には、たとえば、右上の第3表示装置16cを開始位置とし、反時計回りの並び順で各表示装置16に固定IPアドレスを割り当てることが決定(設定)されると、図21(C)の矢印で示すように、第3表示装置16c、第2表示装置16b、第1表示装置16a、第4表示装置16d、第5表示装置16e、第6表示装置16f、第9表示装置16i、第8表示装置16hおよび第7表示装置16gの順に、IPアドレスの最後の数字が1ずつ増加するように、固定IPアドレスが割り当てられる。
なお、図21(B)および(C)は単なる例示であり、固定IPアドレスを割り当てる場合の開始位置となる表示装置16および割り当てる固定IPアドレスの並び順は任意に決定(設定)することができる。
この第3実施例では、PC12は、マルチディスプレイ160を構成する表示装置16の配列(数)および各表示装置16の位置を知る必要があるため、コマンド送信プログラム202gに従って、表示装置16から配列(サイズ)および位置を取得するためのコマンドがさらに送信される。
一方、表示装置16では、サイズの送信コマンドに応じて、サイズの情報をPC12に通知(送信)し、位置の送信コマンドに応じて、位置の情報を送信する。したがって、図22に示すように、第3実施例では、RAM34のプログラム記憶領域302には、サイズ通知プログラム302mおよび位置通知プログラム302nがさらに記憶される。
また、上述したように、第3実施例では、マルチディスプレイ160のサイズ(配列)よび表示装置16の位置がそれぞれ記憶されるため、図22に示すように、RAM34のデータ記憶領域304には、サイズデータ304dおよび位置データ304eが記憶される。
第3実施例では、固定IPアドレスは、マルチディスプレイ160の配列において、予め決定(設定)された並び順で固定IPアドレスが割り当てられるため、表示装置16の位置で割り当てられる固定IPアドレスは決まる。したがって、第1実施例で示したようなIP割当テーブル102は不要であり、マルチディスプレイ160のサイズと、表示装置16の位置に応じて、固定IPアドレスが割り当てられる。
図23および図24は、位置情報に基づいて表示装置16を固定IPアドレス設定に変更する方法を説明するための図解図である。ここでは、第1表示装置16aを固定IPアドレス設定に変更する場合について説明するが、他の表示装置16についても同様である。また、固定IPアドレスに変更される順番は、リース要求が受け付けられた順番であり、配列および位置とは関係ない。
図23に示すように、第1表示装置16aは、IPアドレスのリース要求をブロードキャストすると、これに応じて、PC12は、IPアドレスをリース提供する。すると、第1表示装置16aでは、リース提供されたIPアドレスが設定される。
続いて、PC12は、IPアドレスを提供した第1表示装置16aにTelnetで接続する。第1表示装置16aは接続状態を確立し、接続完了をPC12に返す。
すると、PC12は、第1表示装置16aにサイズの送信コマンドを送信する。第1表示装置16aは、サイズの送信コマンドに応じて、サイズ(ここでは、3×3)の情報(サイズ情報)をPC12に通知(送信)する。
なお、サイズは、一度通知されれば良いため、PC12がサイズの送信コマンドを送信するのは、最初にIPアドレスをリース提供した(最初にTelnetで接続した)表示装置16だけである。
PC12は、サイズ情報を受信すると、このサイズ情報を記憶し、続いて、第1表示装置16aに、位置の送信コマンドを送信する。第1表示装置16aは、位置の送信コマンドに応じて、位置(ここでは、(1,1))の情報(位置情報)をPC12に通知(送信)する。
PC12は、第1表示装置16aから位置情報を受信すると、サイズ(配列)および予め決定された並び順に従うとともに、第1表示装置16aの位置に応じた固定IPアドレスを決定する(割り当てる)。たとえば、図21(A)に示したようなサイズで、図21(B)に示したような並び順に従えば、第1表示装置16aの固定IPアドレスは、192.168.0.1に決定される。
そして、PC12は、図24に示すように、固定IPアドレスの設定コマンドを送信する。ただし、このコマンドには、先に決定した固定IPアドレスが記述される。第1表示装置16aは、固定IPアドレスの設定コマンドを受信すると、当該コマンドに記述されたIPアドレスを固定IPアドレスとして設定し、“OK”をPC12に返す。
続いて、PC12は、サブネットマスクの設定コマンドを送信する。ただし、サブネットマスクは、PC12に設定されているサブネットマスクである。第1表示装置16aは、サブネットマスクの設定コマンドを受信すると、当該コマンドに記述されたサブネットマスクを設定し、“OK”をPC12に返す。
第1表示装置16aにおいて、固定IPアドレスおよびサブネットマスクが設定されると、PC12は、DHCPオフの設定コマンドを第1表示装置16aに送信する。第1表示装置16aは、DHCPオフの設定コマンドを受信して、DHCP機能をオフに設定し、“OK”をPC12に返す。
これに応じて、PC12は、リブートの実行コマンドを第1表示装置16aに送信する。すると、第1表示装置16aは、“OK”をPC12に返した後に、リブートを実行する。
なお、第3実施例では、表示装置16の位置に応じて固定IPアドレスを割り当てるため、固定IPアドレスが重複することが無いため、PC12は、Telnetで表示装置16に接続すると、一回の接続で、リブートの実行コマンドまで送信するようにしてある。
以下、第3実施例における位置情報に基づいて表示装置16を固定IPアドレス設定に変更する場合の処理(固定IPアドレス設定処理)について、フロー図を用いて説明する。図25〜図27は、PC12に内蔵されるCPU12aの固定IPアドレス設定処理を示すフロー図である。図28および図29は、表示装置16に内蔵されるCPU30の固定IPアドレス設定処理の一部を示すフロー図である。ただし、図28および図29に示すCPU30の固定IPアドレス設定処理は、第1実施例の図19および図20に示した固定IPアドレス設定処理の一部を変更したものであるため、変更していない部分については図示を省略してある。以下、具体的に説明するが、すでに説明した処理については簡単に説明することにする。
ユーザから固定IDアドレス設定への変更の指示が与えられると、図25に示すように、PC12のCPU12aは固定IPアドレス設定処理を開始し、ステップS201で、IPアドレスのリース要求が有るかどうかを判断する。ステップS201で“NO”であれば、同じステップS201に戻るが、“YES”であれば、ステップS203で、変数iに初期値を設定する(i=1)。
次のステップS205で、要求元に1番目のIPアドレスを割り当て、ステップS207で、割り当てたIPアドレスを要求元にリース提供する。そして、ステップS209で、要求元にTelnetで接続し、ステップS211で、応答が有るかどうかを判断する。
ステップS211で“NO”であれば、同じステップS211に戻るが、“YES”であれば、ステップS213で、サイズの送信コマンドを送信し、ステップS215で、応答が有るかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、要求元の表示装置16からサイズ情報を受信したかどうかを判断する。
ステップS215で“NO”であれば、同じステップS215に戻るが、“YES”であれば、ステップS217で、サイズ情報を記憶し、図26に示すステップS219で、位置の送信コマンドを送信する。続くステップS221では、応答が有るかどうかを判断する。つまり、CPU12aは、要求元の表示装置16から位置情報を受信したかどうかを判断する。
ステップS221で“NO”であれば、同じステップS221に戻るが、“YES”であれば、ステップS223で、サイズおよび並び順に従うとともに、位置に応じて固定IPアドレスを割り当て、ステップS225で、固定IPアドレスの設定コマンドを送信する。この固定IPアドレスの設定コマンドには、ステップS223で割り当てた固定IPアドレスが記述される。
続いて、ステップS227では、応答が有るかどうかを判断する。ステップS227で“NO”であれば、同じステップS227に戻るが、“YES”であれば、ステップS229で、サブネットマスクの設定コマンドを送信する。このサブネットマスクの設定コマンドには、PC12に設定されているサブネットマスクが記述される。
続くステップS231では、応答があるかどうかを判断する。ステップS231で“NO”であれば、同じステップS231に戻るが、“YES”であれば、ステップS233で、DHCPオフの設定コマンドを送信する。次のステップS235では、応答があるかどうかを判断する。
ステップS235で“NO”であれば、同じステップS235に戻るが、“YES”であれば、図27に示すステップS237で、リブートの実行コマンドを送信し、ステップS239で、応答があるかどうかを判断する。ステップS239で“NO”であれば、同じステップS239に戻るが、“YES”であれば、ステップS241で、すべての固定IPアドレスを設定したかどうかを判断する。ここでは、CPU12aは、サイズ情報から分かる表示装置16の個数が変数iの値と一致するかどうかを判断する。
ステップS241で“YES”であれば、つまりすべての固定IPアドレスを設定すれば、固定IPアドレス設定処理を終了する。一方、ステップS241で“NO”であれば、つまり固定IPアドレスを設定していない表示装置16が残っている場合には、ステップS243で、変数iを1加算して(i=i+1)、ステップS245で、IPアドレスのリース要求があるかどうかを判断する。
ステップS245で“NO”であれば、同じステップS245に戻るが、“YES”であれば、ステップS247で、要求元にi番目のIPアドレスを割り当て、ステップS249で、割り当てたIPアドレスを要求元にリース提供する。そして、ステップS251で、要求元にTelnetで接続する。続いて、ステップS253では、応答が有るかどうかを判断する。ステップS253で“NO”であれば、同じステップS253に戻るが、“YES”であれば、図26に示したステップS219に戻る。つまり、ステップS219〜S253の処理が繰り返されることにより、2番目以降の表示装置16の固定IPアドレス設定への変更が行われる。
また、表示装置16の主電源がオンされると、図28に示すように、表示装置16のCPU30は固定IPアドレス設定処理を開始し、ステップS301で、IPアドレスのリース要求をブロードキャストする。次のステップS303では、IPアドレスのリース提供が有るかどうかを判断する。ステップS303で“NO”であれば、ステップS301に戻るが、“YES”であれば、ステップS305で、リース提供されたIPアドレスを設定し、ステップS131に進む。
ステップS131では、PC12からTelnetで接続が有るかどうかを判断する。ステップS131で“NO”であれば、同じステップS131に戻るが、“YES”であれば、ステップS133で、接続状態を確立する。続いて、ステップS135で、接続完了をPC12に返すと、図29に示すように、ステップS307で、サイズの送信コマンドを受信したかどうかを判断する。
ステップS307で“NO”であれば、つまりサイズの送信コマンドを受信していなければ、そのままステップS311に進む。一方、ステップS307で“YES”であれば、つまりサイズの送信コマンドを受信すれば、ステップS309で、サイズ情報を送信して、ステップS311に進む。
ステップS311では、位置の送信コマンドを受信したかどうかを判断する。ステップS311で“NO”であれば、つまり位置の送信コマンドを受信していなければ、ステップS307に戻る。一方、ステップS311で“YES”であれば、つまり位置の送信コマンドを受信すれば、ステップS313で、位置情報を送信し、ステップS137へ進む。
なお、ステップS137以降の処理は、第1実施例の固定IPアドレス設定処理と同じである。
第3実施例によれば、第1実施例と同様に、PC12が複数の表示装置16に固定IPアドレスを一元的に割り当てることができる。
また、第3実施例によれば、マルチディスプレイ160のサイズおよび固定IPアドレスを割り当てる並び順に従うとともに、マルチディスプレイ160を構成する各表示装置16の位置に応じて固定IPアドレスを割り当てるので、所定の配列の複数の表示装置16に所定の並び順に従って連続する固定IPアドレスを設定することができる。したがって、表示装置16に各種の情報を設定したり、各種の情報を確認したりする場合に、そのような設定および確認のためのコマンドを送信する宛先が分かり易い。
なお、上述の各実施例で挙げた画面および具体的な数値等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。また、同じ効果が得られる場合には、フロー図に示した各ステップの順番は適宜変更されてもよい。