JP2016184565A - 押釦スイッチ及びその製造方法 - Google Patents
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このような押釦スイッチは、図8に示すように、プッシャー部1、キートップ部2、キートップ部2をベース部3に支持するドーム部4がゴムなどの弾性材料により一体形成されており、ドーム部4はキートップ部2に加わる押圧荷重によって弾性変形するように薄いドーム状に形成されている。
使用者がキートップ部2を押し込むと、ドーム部4の弾性変形によってストロークと共に荷重は増加する(図9の矢印1)。
荷重がピーク荷重(FP)に達すると、ドーム部4が座屈し荷重が低下する(図9の矢印2)。
この急激な荷重低下により、使用者は押釦スイッチのクリック感(操作感)を感じることができる。
オンストローク後も使用者がキートップ部2を押し込むと、基板に達したプッシャー部1とキートップ部2が撓むことにより荷重が再び増加し(図9の矢印3)フルストローク(SF)に達する。
このときの荷重が復帰荷重(FR)である。
その後、座屈したドーム部4が元に戻り、弾性変形していたドーム部4が初期状態に戻る(図9の矢印5、6)。
例えば、このような押釦スイッチは特許文献1および2に開示されている。
しかしながら、ゴム硬度の高い高硬度のゴム材料で押釦スイッチを作製すると、高いクリック感が得られるものの、オンストローク後の荷重増加が急激なものとなり、操作者に機械的な感触を与えてしまうという問題がある。
(1)本発明の押釦スイッチは、ドーム部と前記ドーム部で繋がれたベース部及びキートップ部とが第1の材料で一体成形されたキートップと、前記キートップ部から前記ベース部方向に突出するように設けられる第2の材料で成形されたプッシャー部と、を備え、前記第2の材料が前記第1の材料よりも軟質な材料からなる。
(2)上記(1)の構成において、前記第1の材料のJIS K 6253−3:2012による測定方法で測定するタイプAデュロメータの硬さの値をXとし、前記第2の材料のJIS K 6253−3:2012による測定方法で測定するタイプAデュロメータの硬さの値をYとすると、前記第2の材料は、前記第1の材料の硬さXから前記第2の材料の硬さYを引いた値Wが5以上となる軟質な材料である。
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記プッシャー部は、前記キートップ部から前記ベース部方向に0.45mm以上突出している。
(5)上記(4)の構成において、前記第1の材料と前記第2の材料がシリコーンゴムである。
(7)上記(6)の構成において、前記キートップ部と前記プッシャー部の接着材料で一体化される部分には、前記キートップ部側に凸部又は凹部が形成され、前記プッシャー部側に前記キートップ部の凸部又は凹部に嵌合する凹部又は凸部が形成されている。
(10)上記(9)の構成において、前記導電部は、前記導電部が設けられる前記プッシャー部の前記端面の外形以下の外形である。
なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
図1は、本発明に係る第1実施形態の押釦スイッチの断面構造を示す図である。
図1に示すように、第1実施形態の押釦スイッチ10は、キートップ20と、プッシャー部30と、導電部40と、を備える。
第1の材料としては、例えば、ウレタンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、イソプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体等の合成ゴムや天然ゴム、ポリエステル系若しくはウレタン系の熱可塑性エラストマ等のゴム弾性体を用いることができるが、この中でもシリコーンゴムが好適である。
なお、製造方法については後述するが、本実施形態では、プッシャー部30のキートップ部23側の他方側の端面31はキートップ部23と接触する接触部23aで融着一体化させている。
第2の材料は、本実施形態では、後ほど説明するが、ベース樹脂が第1の材料と同じ樹脂系の材料であるのが好適であり、但し、第1の樹脂よりも軟質である必要がある。
先ず、プッシャー部を成形するプッシャー部成形ステップを実施する。
具体的には、プッシャー部30となる第2の材料からなるシートと導電部40となる導電シートとを準備する。
なお、上述のように、このとき第2の材料からなるシートは、第1の材料よりも軟質な材料からなるシートが選ばれている。
例えば、導電シートとしては、一方の面にNiと金を順次積層したような金属シートを用いればよい。
図2は、第1の材料を用いてキートップ20を成形するための金型を示した図であり、金型は、図2に示すように下金型Aと上金型Bとからなる。
そして、図2に示すように、キートップ20を形成するのに先立って、下金型Aの有底凹部A1には、先に作製したプッシャー部30が配置される。
しかしながら、導電部40は打ち抜き処理されたプッシャー部30に別途貼り付けられたものであっても良く、この場合、導電部40の外形は、プッシャー部30の一方側の端面32の外形以下の外形であることが好ましい。
上記のように、下金型Aの有底凹部A1にプッシャー部30を配置すると、下金型Aと上金型Bとで形成される内部空間内に第1の材料が投入され、加圧した状態で加熱して、図1に示したドーム部22とドーム部22で繋がれるベース部21及びキートップ部23を一体成形したキートップ20が成形される。
なお、融着一体化とは、樹脂成形時にキートップ20のキートップ部23となる部分とプッシャー部30の他方側の端面31との接触部との間が混ざり合い一体化するだけでなく、混ざり合わないまでも化学結合して一体化するものを含む。
具体的には、プッシャー部30が下金型Aの有底凹部A1から金型の内部空間内に突出する突出高さ(図4のY参照)が、キートップ部23の高さXの50%以下、つまり、Y≦X×0.5とするのが好適であり、さらに、30%以下であるのが好適である。
以下の手順で作製した押釦スイッチ10を準備し、その時の押釦スイッチ10の押下特性について評価を行った。
シリコーンゴムコンパウンドKE−971−U(信越化学工業株式会社製)100重量部に架橋剤C-8(信越化学工業株式会社製)2.0重量部を混練して、これを0.55mmの厚みに分出してプッシャー部30用の未加硫のゴムシートを作製した。
また、表面にNiとAuめっきを設けた金属シートを用意し、その金属シートの裏面にプライマ―No18(信越化学工業株式会社製)を塗布して乾燥機で200℃、1時間加熱処理を行った。
このプッシャー部30のJIS K 6253−3:2012による測定方法で測定するタイプAデュロメータの硬さの値は70である。
なお、この成形したプッシャー部30の厚みは0.45mmであり、導電部40が0.05mmである。
実施例1〜3、5は、比較例1と同様にプッシャー部30のベース樹脂としてシリコーンゴムコンパウンドを用いているが、それぞれ、JIS K 6253−3:2012による測定方法で測定するタイプAデュロメータの硬さの値が、実施例1が65、実施例2が60、実施例3が50、及び、実施例5が30となる材料を用いている。
具体的には、まず、実施例1、2、3及び5用に、タイプAデュロメータの硬さの値が65、60、50、及び30となる未加硫のゴムシートを作製した。
また、表面にNiとAuめっきを設けた金属シートを用意し、その金属シートの裏面にプライマ―No18(信越化学工業株式会社製)を塗布して乾燥機で200℃、1時間加熱処理を行ったものを用いて、金属シートの裏面(プライマ―塗布面)と未加硫のゴムシートとを合わせて長さ300mm、幅60mm、深さ1.5mmの金型内に投入し、165℃で5分間、加圧状態で加熱を行いシリコーンゴムシートの片面に金属シートを設けた1.5mm厚のシートを、上述の硬度の違うそれぞれのゴムシートで作製し、このシートを直径3mmに打ち抜けるように調整した抜き金型で打ち抜いてプッシャー部30の一方側の端面32に導電部40を設けたプッシャー部30を作製した。
実施例1〜3、5では、プッシャー部30を成形するときに有底凹部A1内に丁度収まるプッシャー部30の高さとし、キートップ部23からほぼ1.45mm軟質な材料からなるプッシャー部30が出ているようにした図1に示す押釦スイッチ10とした。なお、導電部40は0.05mmである。
実施例4は、シリコーンゴムコンパウンドKE−941−U(信越化学工業株式会社製)100重量部に架橋剤C-8(信越化学工業株式会社製)2.0重量部を混練して、これを2.5mmの厚みに分出してプッシャー部30用の未加硫のゴムシートを作製した。
なお、実施例4は、キートップ部23からプッシャー部30が1.45mmベース部21側に向けて飛び出したものになっている。
また、キートップ20のJIS K 6253−3:2012による測定方法で測定するタイプAデュロメータの硬さの値は70である。
実施例6は、シリコーンゴムコンパウンドKE−922−U(信越化学工業株式会社製)100重量部に架橋剤C-8(信越化学工業株式会社製)2.0重量部を混練して、これを3.0mmの厚みに分出してプッシャー部30用の未加硫のゴムシートを作製した。
なお、キートップ20のJIS K 6253−3:2012による測定方法で測定するタイプAデュロメータの硬さの値は70である。
また、表1におけるピーク(FP)では、ピーク荷重となるストローク及びその時のピーク荷重(N)を示しており、メーク(SO)では、オンストローク(SO)となるストローク及びその時の荷重(N)を示しており、復帰(FR)では、図9で説明した復帰荷重(FR)及びその時のストロークを示している。
なお、フルストローク(SF)は、押釦スイッチ10を押下げたときに、荷重が10(N)に到達したところとしており、表1の荷重測定には、アイコーエンジニアリング株式会社製の荷重測定器 MODEL1013を用いて測定を行った。
一方、比較例1のキートップ20とプッシャー部30とを同じ硬さの材料で構成した場合と比較して実施例1〜6のようにプッシャー部30の材料の硬度を小さくして軟質材料にしていくと、表1に示すように、メーク(SO)からフルストローク(SF)に至るまでの距離(表1のオーバーストローク参照)を図5の範囲SFで示すように長くすることができ、図5の矢印3で示すメーク(SO)以降の荷重増加が緩やかになることがわかる。
なお、このソフト感を操作者に十分に与える意味からすると、プッシャー部30が、キートップ部23から0.45mm以上突出していることが好適であり、より好適には、1.0mm以上突出しているのが良く、さらに、好適には、1.5mm以上突出しているのが良い。
上記では、プッシャー部30の一方側の端面32だけに導電部40を設けたが、プッシャー部30の他方側の端面31をキートップ部23に入り込ませる場合などでは、プッシャー部30の他方側の端面31に導電部40を設けるようにしてもキートップ部23とプッシャー部30とは融着一体化できるので、プッシャー部30の他方側の端面31に導電部40を設けるようにしても良い。
なお、プッシャー部30の端面に対して導電部40の外形が小さい場合もプッシャー部30の端面とキートップ部23との融着一体化が可能であるので、プッシャー部30の両端面31、32に導電部40を設けるようにしても良い。
第1実施形態では、プッシャー部30の他方側の端面31をキートップ部23に融着一体化する場合について説明してきたが、融着一体化に限られるものではなく、第2実施形態で示すように、接着材料を用いて接着一体化するようにしても良い。
しかしながら、キートップ部23の所定の位置にプッシャー部30を接着する必要があるので、位置合わせの手間や接着の手間が省略される点からすれば、第1実施形態の方が好適であると言える。
このようにすれば、位置合わせを高い精度で簡単に行えるだけでなく、接着面積も増えるので高い接着性を得ることができる。
このようにすることでも接着面積を増やすことができるので高い接着性を得ることができるようになる。
第2実施形態の押釦スイッチ10として図6(a)に示した構成の押釦スイッチ10を作製し、押下特性について評価を行った。
具体的には、シリコーンゴムコンパウンドKE−941−U(信越化学工業株式会社製)100重量部に架橋剤C-8(信越化学工業株式会社製)2.0重量部を混練して、これを2.0mmの厚みに分出してプッシャー部30用の未加硫のゴムシートを作製した。
押下特性について評価を行ったところ、実施例4と同じ特性を得ることができた。
例えば、図7に示す変形例のように、基板50側に予めドーム状導電部55(メタルドーム/導電層を形成したPETドームなど)が設けられている場合もあり、このような場合には、プッシャー部30に導電部を設ける必要はなく、したがって、導電部40を設けることは必須の要件ではない。
このように、本発明は、具体的な実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における変更や改良を施しても良いことは言うまでもなく、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
20 キートップ
21 ベース部
22 ドーム部
23 キートップ部
30 プッシャー部
40 導電部
Claims (14)
- ドーム部と前記ドーム部で繋がれたベース部及びキートップ部とが第1の材料で一体成形されたキートップと、
前記キートップ部から前記ベース部方向に突出するように設けられる第2の材料で成形されたプッシャー部と、を備え、
前記第2の材料が前記第1の材料よりも軟質な材料からなることを特徴とする押釦スイッチ。 - 前記第1の材料のJIS K 6253−3:2012による測定方法で測定するタイプAデュロメータの硬さの値をXとし、前記第2の材料のJIS K 6253−3:2012による測定方法で測定するタイプAデュロメータの硬さの値をYとすると、前記第2の材料は、前記第1の材料の硬さXから前記第2の材料の硬さYを引いた値Wが5以上となる軟質な材料であることを特徴とする請求項1に記載の押釦スイッチ。
- 前記プッシャー部は、前記キートップ部から前記ベース部方向に0.45mm以上突出していることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の押釦スイッチ。
- 前記キートップ部と前記プッシャー部とは、接触部が融着一体化していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の押釦スイッチ。
- 前記第1の材料と前記第2の材料がシリコーンゴムであることを特徴とする請求項4に記載の押釦スイッチ。
- 前記キートップ部と前記プッシャー部とは、接着材料で接着一体化されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の押釦スイッチ。
- 前記キートップ部と前記プッシャー部の接着材料で一体化される部分には、前記キートップ部側に凸部又は凹部が形成され、前記プッシャー部側に前記キートップ部の凸部又は凹部に嵌合する凹部又は凸部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の押釦スイッチ。
- 前記プッシャー部は、前記キートップ部側への入り込み量が、前記キートップ部の高さの50%以下であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の押釦スイッチ。
- 少なくとも前記キートップ部と反対側に位置する前記プッシャー部の一方側の端面には、導電部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の押釦スイッチ。
- 前記導電部は、前記導電部が設けられる前記プッシャー部の前記端面の外形以下の外形であることを特徴とする請求項9に記載の押釦スイッチ。
- 第1の材料よりも軟質な材料からなる第2の材料でプッシャー部を成形するプッシャー部成形ステップと、
ドーム部と前記ドーム部で繋がれるベース部及びキートップ部とが前記第1の材料で一体成形されるキートップの前記キートップ部に前記キートップ部から前記ベース部方向に突出するように前記プッシャー部を一体化する一体化ステップと、を含むことを特徴とする押釦スイッチの製造方法。 - 前記第1の材料のJIS K 6253−3:2012による測定方法で測定するタイプAデュロメータの硬さの値をXとし、前記第2の材料のJIS K 6253−3:2012による測定方法で測定するタイプAデュロメータの硬さの値をYとすると、前記第2の材料は、前記第1の材料の硬さXから前記第2の材料の硬さYを引いた値Wが5以上となる軟質な材料であることを特徴とする請求項11に記載の押釦スイッチの製造方法。
- 前記一体化ステップでは、前記プッシャー部が前記キートップ部から前記ベース部方向に0.45mm以上突出するように前記キートップ部に一体化されることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の押釦スイッチの製造方法。
- 前記第1の材料と前記第2の材料は、ベース樹脂が同じ樹脂系の材料で異なる硬さの材料であり、
前記一体化ステップは、
前記第1の材料を金型の内部空間内で加圧した状態で加熱して、前記キートップを成形するときに、前記内部空間に開口する前記金型に形成された有底凹部に配置されたプッシャー部が前記キートップ部に融着一体化するステップであることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の押釦スイッチの製造方法。
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WO2022203363A1 (ko) * | 2021-03-23 | 2022-09-29 | 삼성전자 주식회사 | 장착 감지 모듈 및 이를 포함하는 전자 장치 |
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JPS62175620U (ja) * | 1986-04-28 | 1987-11-07 |
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