JP2016182694A - 液体吐出装置及び液体吐出方法 - Google Patents

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徹司 武石
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Shota Hiramatsu
翔太 平松
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Abstract

【課題】搬送機構の駆動量と媒体の搬送量との対応関係がずれても、媒体への液体の着弾位置のずれを小さく抑えることができる液体吐出装置及び液体吐出方法を提供する。
【解決手段】液体吐出装置の一例である印刷装置は、用紙を搬送するベルト搬送方式の搬送機構と、インクを吐出する吐出ユニットと、搬送機構の搬送部の駆動量を検出する第1センサーと、用紙を検出対象として用紙の搬送量を検出する第2センサーとを備えている。コントローラーは、エンコーダーにより搬送機構の搬送ベルトの駆動量F1を計測し(S14)、イメージセンサーにより用紙の搬送量F2を計測する(S15)。そして、目標搬送速度VcをF1/F2倍に設定して搬送モーターを速度制御し(S17,S19)、周期TjをF1/F2倍に設定した吐出タイミングでインク吐出制御を行う(S20〜S22)。
【選択図】図14

Description

本発明は、用紙等の媒体を搬送する搬送機構と、媒体に液体を吐出する液体吐出部とを備える液体吐出装置及び液体吐出方法に関する。
従来から、この種の液体吐出装置の一例として、用紙等の媒体を搬送する搬送機構と、媒体にインク(液体の一例)を吐出する吐出ヘッドとを有する印刷装置が広く知られている(例えば特許文献1〜3等)。
例えば特許文献1には、搬送機構を構成するローラー等の消耗部材の経年変化や外部からの過負荷による用紙搬送時の搬送誤差に基づく搬送量を補正する印刷装置が開示されている。この印刷装置は、搬送機構により搬送される用紙を検知し用紙長を計測する計測手段と、計測した用紙長を複数記憶する記憶手段とを備え、入力手段により入力された用紙のサイズと、記憶手段に記憶された複数の用紙長とから補正比率を演算し、その補正比率から用紙の搬送量を補正して、用紙の搬送を行う。
また、例えば特許文献2には、吐出ヘッドのノズルから吐出した液体を媒体上の適切な位置に着弾させるために、吐出ヘッドと媒体との相対移動速度に応じて、吐出タイミングを補正する技術が開示されている。
また、特許文献3には、複数のローラーに巻き掛けられた無端状の搬送ベルトが回転することにより、搬送ベルト上の媒体を搬送するベルト搬送方式の搬送機構を備えたラインプリンターが開示されている。このラインプリンターでは、搬送ベルト(搬送部)に形成された磁気スケールを検出して搬送ベルトの駆動量を検出するエンコーダーを備え、エンコーダーの出力パルス信号に基づき、吐出ヘッドのインクの吐出タイミングを規定する吐出タイミング信号が生成される。吐出タイミング信号は、搬送ベルトの駆動速度に応じてパルス周期が切り換えられることで、印刷分解能を変化させる。
特開2004−244145号公報 特開2000−198189号公報 特開2009−51179号公報
ところで、この種の印刷装置に備えられた搬送ベルト方式やローラー搬送方式等の搬送機構では、印刷装置を使用するうちにローラーが摩耗し、そのローラー径(直径)が徐々に小さく変化する。この種のローラー径の変化や、搬送機構を構成する部品の組み付け誤差等は、動力源である搬送モーターの動力で駆動されるローラーの1回転当たりに、搬送ベルトや搬送ローラー等の搬送部の媒体と接触する部分の駆動量(移動量)が、想定値からずれる原因となる。また、媒体の搬送中に、搬送ベルトや搬送ローラー等の搬送部の加減速等が原因で、駆動部との摩擦抵抗の小さい媒体では、搬送部と媒体との間に滑りが発生する場合がある。
また、印刷装置に備えられるコントローラーは、搬送機構を構成するローラー又は搬送モーターの回転を検出するエンコーダーから入力したエンコーダー信号に基づいて、搬送ベルトや搬送ローラー等の搬送部の駆動量を管理する。しかし、前述のローラー径の変化、搬送機構の組み付け誤差、搬送部と媒体との滑り等が原因で、コントローラーが搬送モーターを駆動した際に、媒体の実際の搬送量及び搬送速度が、目標搬送量及び目標搬送速度からずれてしまう場合がある。例えばラインプリンターにおいて媒体の搬送速度が目標搬送速度からずれていたり、シリアルプリンターにおいて媒体の搬送量が目標搬送量からずれていたりすると、媒体への印刷位置がずれてしまう。
また、吐出ヘッドの吐出タイミングを規定する吐出タイミング信号は、搬送機構の駆動を検出するエンコーダー信号に基づいて生成される。この場合、前述のローラー径の変化、搬送機構の組み付け誤差、搬送部と媒体との滑り等が原因で、媒体の搬送位置と吐出ヘッドのインクの吐出タイミングとがずれ、吐出ヘッドから吐出されたインク滴が媒体に着弾して形成される印刷ドットの搬送方向のピッチがずれ、印刷品質の低下をもたらす。このため、搬送機構の駆動量と、この駆動量と対応する媒体の搬送量との対応関係がずれても、搬送モーターの搬送量又は搬送速度の制御及び吐出ヘッドの吐出タイミングの制御うち、少なくとも1つの適正化を図ることが望まれる。
なお、この種の課題は、ラインプリンターやシリアルプリンター等の印刷装置に限らず、コントローラーが管理する搬送部の搬送量や搬送速度と、媒体の実際の搬送量や搬送速度とが異なることが起こりうる液体吐出装置において、概ね同様の課題が存在する。
本発明の目的は、搬送機構の駆動量と媒体の搬送量との対応関係がずれても、媒体への液体の着弾位置のずれを小さく抑えることができる液体吐出装置及び液体吐出方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液体吐出装置は、媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、媒体を搬送する搬送機構と、前記媒体に液体を吐出する液体吐出部と、前記搬送機構の駆動量を検出する第1検出部と、前記搬送機構の駆動量に対応する前記媒体の搬送量を、前記媒体を検出対象として検出する第2検出部と、前記搬送機構と前記液体吐出部とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1検出部が検出した前記搬送機構の駆動量と、前記第2検出部が検出した前記媒体の搬送量とに基づいて、前記搬送機構と前記液体吐出部とのうち少なくとも一方の制御を補正する。
この構成によれば、制御部は、第1検出部により検出された搬送機構の駆動量と、第2検出部により検出された媒体の搬送量とに基づいて、制御対象である搬送機構と液体吐出部とのうち少なくとも一方の制御を補正する。よって、搬送機構の駆動量と媒体の搬送量との対応関係がずれても、その割に、媒体に施される液体吐出処理の品質の低下を小さく抑えることができる。
上記液体吐出装置では、前記制御部は、前記搬送機構の駆動量又は駆動速度を補正することが好ましい。
この構成によれば、制御部により、第1検出部により検出された搬送機構の駆動量と、第2検出部により検出された媒体の搬送量とに基づいて、搬送機構の駆動量又は駆動速度が補正される。よって、搬送機構の駆動量と媒体の搬送量との対応関係がずれても、その割に、液体吐出部が吐出した液体の媒体に対する着弾位置のずれを小さく抑えることができる。
上記液体吐出装置では、前記制御部は、前記液体吐出部の液体の吐出タイミングを補正することが好ましい。
この構成によれば、制御部により、液体吐出部の液体の吐出タイミングが補正される。よって、搬送機構の駆動量と媒体の搬送量との対応関係がずれても、その割に、媒体に対する液体の着弾位置のずれを小さく抑えることができる。
上記液体吐出装置では、前記第1検出部は、前記搬送機構の駆動量を検出可能なエンコーダーを有し、前記制御部は、前記エンコーダーの検出信号を入力して前記駆動量と前記搬送量とに基づいて信号のパルス周期を補正した基準パルス信号を生成し、当該基準パルス信号に基づき前記液体吐出部の吐出タイミングを規定する吐出タイミング信号を生成することが好ましい。
この構成によれば、制御部は、第1検出部が有するエンコーダーから検出信号を入力して、駆動量と搬送量とに基づいて信号のパルス周期を補正することで基準パルス信号を生成し、基準パルス信号に基づいて吐出タイミング信号を生成する。よって、補正後の吐出タイミング信号により液体吐出部の吐出タイミングが制御されることで、搬送機構の駆動量と媒体の搬送量とがずれても、その割に、媒体に対する液体の着弾位置のずれを小さく抑えることができる。
上記液体吐出装置では、前記第1検出部は、前記搬送機構を構成する回転ローラーの回転量を検出可能なエンコーダーを有し、前記制御部は、前記第1検出部と前記第2検出部との検出時点から前記エンコーダーが前記回転ローラーの1回転を検出し終わる前に、前記液体吐出部に前記駆動量と前記搬送量とに基づき補正した吐出タイミングで液体を吐出させることが好ましい。
この構成によれば、検出された駆動量と搬送量とに基づき補正された吐出タイミングでの液体の吐出は、当該駆動量と搬送量とが検出された時点から回転ローラーが1回転を終える前に行われる。よって、検出結果に基づく補正を吐出タイミングに比較的早期に反映することができる。例えば検出結果をほぼリアルタイムに補正を施して反映させた吐出タイミングで液体を吐出させることができる。
上記液体吐出装置では、前記第1検出部と前記第2検出部は、前記搬送機構による前記媒体の1ページ分の搬送中に、前記搬送機構の駆動量と前記媒体の搬送量とを検出し、前記制御部は、同じページの前記媒体の搬送中に、前記駆動量と前記搬送量とに基づき補正した吐出タイミングで前記液体吐出部に液体を吐出させることが好ましい。
この構成によれば、第1検出部と第2検出部が媒体の1ページ分の搬送中に検出した駆動量と搬送量とに基づき補正された吐出タイミングでの液体吐出部の液体の吐出は、第2検出部が検出対象とした同じページの媒体の搬送中に行われる。よって、その検出対象の同じページの媒体に、補正された吐出タイミングで液体を吐出させることができる。
上記液体吐出装置では、前記第2検出部は、前記媒体の2次元の画像データを経時的に取得するイメージセンサーを有し、経時的に取得した2次元の画像データに基づき前記媒体の搬送量を単位時間毎に検出することが好ましい。
この構成によれば、第2検出部は、イメージセンサーが経時的に取得した2次元の画像データの差分から媒体の搬送量を単位時間毎に検出するので、媒体にその搬送量を検出するためのマーキング等の被検出部を施す必要がない。
上記液体吐出装置では、前記制御部は、前記イメージセンサーが前記搬送量を検出するために取得した前回と今回の画像データのうち今回の画像データの次の画像データを取得する前に、前記駆動量と前記搬送量とに基づき補正した吐出タイミングで前記液体吐出部に液体を吐出させることが好ましい。
この構成によれば、イメージセンサーが搬送量を検出するために用いた前回と今回の画像データのうち今回の画像データの次の画像データが取得される前に、検出された駆動量と搬送量とに基づき補正された吐出タイミングで行われる。よって、イメージセンサーが画像データを取得する周期よりも短い周期で比較的早期に、検出結果を吐出タイミングに反映させることができる。例えば検出結果をほぼリアルタイムに吐出タイミングに反映させることができる。
上記液体吐出装置では、前記イメージセンサーは、前記液体吐出部のノズル列よりも前記媒体の搬送方向上流側の位置に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、第2検出部が有するイメージセンサーは、液体吐出部のノズル列よりも媒体の搬送方向上流側の位置に配置されているので、媒体に液体の吐出を開始する前に、搬送速度又は吐出タイミングを補正できる。よって、液体を吐出する1枚目の媒体から制御部による制御の補正を行うことができる。
上記液体吐出装置では、前記イメージセンサーは、前記液体吐出部と前記媒体の搬送経路を挟んで対向する位置に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、イメージセンサーは、液体吐出部と媒体の搬送経路を挟んで対向する位置に配置され、媒体の液体吐出部と対向する部分の画像を経時的に取得するので、補正の精度を高くすることができる。例えばリアルタイムで補正することも可能になる。
上記液体吐出装置では、前記搬送機構は、前記液体吐出部と対向する搬送位置と、前記搬送位置から前記液体吐出部から離れる方向へ退避した退避位置との間を移動可能に構成され、前記イメージセンサーは、前記搬送機構に設けられ、前記液体吐出部は、前記搬送機構が退避位置に移動した状態の下で、メンテナンスを目的として液体を吐出することが好ましい。
この構成によれば、液体吐出部は、搬送機構が退避位置に移動した状態の下で、メンテナンスを目的として液体を吐出することで、ノズルの目詰まりを防止する。このとき、搬送機構に設けられたイメージセンサーは、搬送機構が退避位置に配置されることで、液体吐出部の液体の吐出対象エリアから退避する。このため、液体吐出部から吐出された液体がイメージセンサーに付着することが抑制される。よって、液体の付着に起因するイメージセンサーの検出精度の低下が抑制される。
上記液体吐出装置では、前記搬送機構は、前記媒体を搬送する複数の搬送ベルトを備えたベルト搬送機構であり、前記イメージセンサーは、前記複数の搬送ベルト間の隙間から媒体の前記搬送ベルトに載置される側の面を検出することが好ましい。
この構成によれば、イメージセンサーは、複数の搬送ベルト間の隙間から媒体の搬送ベルトに載置される側の面、つまり液体吐出部から吐出された液体が着弾する面と反対側の面を検出する。イメージセンサーに液体を付着しにくくすることができる。
上記液体吐出装置では、前記搬送機構は、媒体の搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の搬送ベルトと、前記複数の搬送ベルトを前記幅方向の両側で独立に駆動する二つの動力源と、を備え、前記制御部は、前記イメージセンサーが経時的に取得した画像データに基づき前記媒体のスキューを検出し、検出した前記スキューを小さくするように前記二つの動力源を制御することが好ましい。
この構成によれば、制御部は、イメージセンサーが経時的に取得した画像データに基づき媒体のスキューを検出し、スキューを小さくするように二つの動力源を制御する。よって、搬送機構による媒体の搬送中にスキューを小さくする補正をすることができる。よって、スキューに起因する媒体に対する液体の着弾位置のずれを小さく抑えることができる。
上記課題を解決する液体吐出方法は、液体吐出部から媒体に液体を吐出する液体吐出方法であって、媒体を搬送する搬送機構の駆動量を検出する第1検出ステップと、前記媒体を検出対象として前記搬送機構の駆動量に対応する前記媒体の搬送量を検出する第2検出ステップと、前記搬送機構と前記液体吐出部とを制御する制御ステップと、を備え、前記制御ステップでは、検出された前記駆動量と前記搬送量とに基づいて、前記搬送機構と前記液体吐出部とのうち少なくとも一方の制御を補正する。この方法によれば、液体吐出装置と同様の作用効果を得ることができる。
第1実施形態における印刷装置を示す側断面図。 搬送機構及び吐出ユニットを示す模式平面図。 搬送機構及び吐出ユニットを示す模式側面図。 吐出ユニット及びその制御系を示す模式図。 吐出ヘッドの底面及び吐出駆動系を示す模式図。 印刷装置の電気的構成を示すブロック図。 吐出制御装置の電気的構成を示すブロック図。 イメージセンサーを示す模式斜視図。 搬送系の速度制御データを示すグラフ。 (a)〜(c)は基準パルスの補正方法を説明する信号波形図。 単位時間当たりの搬送機構の駆動量と用紙の搬送量とを示すグラフ。 搬送機構の速度変動と用紙の速度変動とを示すグラフ。 吐出タイミング信号の生成方法を説明する信号波形図。 印刷制御ルーチンを示すフローチャート。 第2実施形態における印刷制御ルーチンを示すフローチャート。 第3実施形態における搬送機構及び吐出ユニットを示す模式平面図。 第4実施形態におけるローラー搬送方式の搬送機構及び吐出ユニットを示す模式側面図。
以下、液体吐出装置を、ラインプリンターからなる印刷装置に具体化した一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の印刷装置11の筐体12内には、媒体の一例としての用紙Pを媒体搬送路13に沿って搬送する搬送装置14と、搬送されている用紙Pに液体の一例としてのインクを吐出して印刷を施す液体吐出部の一例としての吐出ユニット15(印刷ユニット)とが設けられている。
吐出ユニット15は、図1の紙面と直交する方向に延びるラインヘッド型の吐出ヘッド16を備えている。そして、この吐出ヘッド16から吐出されたインクが用紙Pに付着することにより、用紙Pに画像や文書が印刷される。
搬送装置14は、印刷前の用紙Pを媒体搬送路13へ給送する給送機構部20と印刷済みとなった用紙Pを筐体12外に排出する排出機構部17と、を備えている。
排出機構部17は、排出経路に沿って配置された複数の排出ローラー対18によって用紙Pを媒体排出口12bから筐体12外に排出する。排出された用紙Pは、図1に二点鎖線で示すように、載置台19上に積層状態で載置される。
給送機構部20は、給送元がそれぞれ異なる、第1給送部21と、第2給送部22と、第3給送部23とを有している。第1給送部21は、筐体12の一側面(図1では右側面)に設けられたカバー12Fが開放されると露出する挿入口12aから筐体12内に挿入された用紙Pを、第1給送ローラー対41を構成する2つのローラーの回転によって、搬送機構30へ給送する。また、第1〜第3給送部21〜23の合流箇所よりも少し搬送方向下流側の位置には、搬送ローラー対42が設けられ、給送された用紙Pは搬送ローラー対42を構成する2つのローラーの回転によって搬送機構30へ搬送される。また、搬送機構30の搬送方向上流側端部の上方位置には搬送従動ローラー43が配置されている。
また、第2給送部22は、筐体12の下部に設けられた給紙カセット12cから用紙Pを給送する。第2給送部22は、給紙カセット12c内の最上位の用紙Pを送り出すピックアップローラー26aと、送り出された用紙Pを1枚に分離する分離ローラー対26bと、分離された1枚の用紙Pを2つのローラーの回転によって搬送機構30へ給送する第2給送ローラー対26cとを備えている。
第3給送部23は、用紙Pに両面印刷を行うときに、片面が印刷済みとなった用紙Pを、表裏反転させて再び搬送機構30に導くための供給部である。搬送機構30から排出された片面のみ印刷済みの用紙Pは、分岐機構27によって分岐搬送路28に導かれ、各ローラーの正転の後の逆転によって、用紙Pは、図1において吐出ユニット15よりも上方に位置する反転供給路29に導かれる。そして、複数の反転搬送ローラー対45の回転によって、用紙Pは、反転供給路29に沿って給送されることにより媒体搬送路13に合流し、その後、搬送機構30に再び導かれる。このように搬送機構30に再び導かれた用紙Pの吐出ヘッド16に対向する未印刷の面に印刷されて両面印刷を終えた用紙Pは、排出機構部17を通って媒体排出口12bから筐体12外に排出される。
搬送機構30は、吐出ヘッド16のインクを吐出可能なノズル開口面(図1では下面)に対向する印刷領域に配置されている。本実施形態の搬送機構30は、静電吸着式のベルト搬送機構により構成されている。搬送機構30は、用紙Pの印刷領域の部分を吐出ヘッド16と一定のギャップを保持した状態に支持しつつ搬送する。そして、吐出ヘッド16が、一定速度で搬送される用紙Pにおける搬送機構30により一定のギャップに保持された部分にインクを吐出することで、一定速度で搬送しながら用紙Pに印刷される。
また、図1に示すように、印刷装置11には、搬送機構30を、図1に実線で示す搬送位置と、二点鎖線で示す退避位置との2位置の間で移動させる不図示の搬送機構用の移動装置と、吐出ヘッド16のメンテナンスを行うメンテナンス装置47とが設けられている。ベルト搬送機構からなる搬送機構30は、一対のローラー31,32と、一対のローラー31,32に巻き掛けられた搬送ベルト33とを有する。そして、搬送機構30は、搬送機構用の移動装置によって、搬送方向上流側のローラー31を中心として回動することで、搬送位置と退避位置との間を移動する。
図1に示すように、メンテナンス装置47は、吐出ヘッド16に対してメンテナンスを行うメンテナンス部48を有している。メンテナンス部48は、不図示のメンテナンス用の移動装置により、図1に示すように吐出ユニット15から斜め下方へ離間した退避位置と、吐出ヘッド16と僅かなギャップを隔てた直下に位置するメンテナンス位置との間を移動する。メンテナンス部48は、搬送機構30が同図に二点鎖線で示す退避位置に位置しているときに、これに入れ替わってメンテナンス位置に配置される。吐出ヘッド16は、メンテナンス部48のキャップ49にインク滴を吐出してノズルの目詰まりを防止するフラッシング(空吐出)を行う。また、メンテナンス部48は、吐出ユニット15が下方へ少し変位して吐出ヘッド16がキャップ49と接触した状態で、キャップ49内に導入された負圧により吐出ヘッド16のノズルから増粘したインク及び気泡等を強制的に吸引排出することで、吐出ヘッド16をクリーニングする。
次に、吐出ユニット15及び搬送機構30の構成及び制御について、図2及び図3を参照して説明する。
図2及び図3に示すように、印刷装置11は、吐出ユニット15と搬送機構30とを備えている。吐出ユニット15は、用紙Pの搬送方向Yと交差(特に直交)する幅方向Wに沿って延びる長尺状のユニットとして構成される。搬送機構30は、吐出ユニット15のインク吐出方向側(図3では下側)に対向する位置に配置されている。搬送機構30は、ベルト搬送機構により構成され、吐出ユニット15からのインクの吐出対象である用紙Pを搬送方向Yに搬送するために駆動される。
搬送機構30は、搬送方向Yに所定の間隔を離して配置された一対のローラー31,32と、一対のローラー31,32に巻き掛けられた複数(図2の例では2つ)の搬送ベルト33とを備える。搬送方向上流側に配置された駆動側のローラー31の軸部31aには、動力源の一例としての搬送モーター35の出力軸が連結されている。また、ローラー31と搬送ベルト33を挟んだ上方位置には、搬送ベルト33と接触して連れ回りが可能な従動ローラー44が配置されている。用紙Pは、従動ローラー44によって搬送ベルト33上への給送タイミングが調整される。搬送機構30では、用紙Pと接触して搬送力を付与するために駆動される搬送ベルト33により、搬送部の一例が構成される。なお、搬送モーター35とローラー31との動力伝達経路上に減速機構が介在してもよい。
また、印刷装置11には、搬送機構30の駆動量を検出する第1センサー36が設けられている。本実施形態では、第1センサー36は、例えばローラー31の回転を検出するエンコーダーの一例としてのロータリーエンコーダー37を備える。ロータリーエンコーダー37(以下「エンコーダー37」ともいう。)は、ローラー31の軸部31bと一体回転可能な円板状のスケール板37aと、スケール板37aの周縁に一定ピッチで形成されたスリット又は透明材料部等からなる不図示の光透過部を光学的に検出する光学式センサー37bとを有している。エンコーダー37は、ローラー31の回転量にパルス数が比例するエンコーダーパルス信号ES(以下、「エンコーダー信号ES」ともいう。)を出力する。エンコーダー37から出力されたエンコーダー信号ESは、制御部の一例としてのコントローラー50に入力される。コントローラー50は、エンコーダー37から入力したエンコーダー信号ESに基づいて吐出ユニット15の吐出タイミングを決める吐出タイミング信号PTSを生成し、その生成した吐出タイミング信号PTSに基づき吐出ユニット15を構成する各吐出ヘッド16のノズルから吐出されるインクの吐出タイミングを制御する。なお、本実施形態では、ローラー31により「回転ローラー」の一例が構成され、第1センサー36により「第1検出部」の一例が構成される。
コントローラー50は、印刷モードに応じた一定の駆動速度で搬送モーター35を駆動制御する。搬送モーター35が一定の駆動速度で駆動されるが、搬送ベルト33の駆動速度Vd(移動速度)は、そのときのローラー31,32の直径や搬送ベルト33の厚み等に依存する。印刷装置11の使用開始時の当初のローラー31,32の直径や搬送ベルト33の厚み等から、搬送ベルト33の駆動速度Vdは規定速度となるように設定されている。しかし、搬送機構30の組み付けのばらつきや、部品の摩耗等によるローラー31,32の直径や搬送ベルト33の厚みの変動等が原因で、搬送ベルト33の駆動速度Vdが規定速度から外れる場合がある。
コントローラー50は、エンコーダー37から入力するエンコーダー信号ESのパルスエッジを計数することで、搬送機構30の駆動量、すなわち搬送ベルト33の駆動量(移動量)を取得する。そして、コントローラー50は、単位時間当たりの搬送ベルト33の駆動量から、搬送ベルト33の駆動速度Vdを取得する。本例では、エンコーダー信号ESのパルスの周期Tprtを計時し、この周期Tprtの逆数である1/Tprt(=Vprt)を、搬送ベルト33の現在の駆動速度Vd(=Vprt)として取得する。
また、コントローラー50には、印刷データPDが入力される。コントローラー50は、入力した印刷データPDに基づき吐出ユニット15を制御し、吐出ユニット15から搬送中の用紙Pに向かってインク滴を吐出させ、用紙Pに印刷データPDに基づく画像又は文書を印刷する。また、コントローラー50は、搬送モーター35を印刷モードに応じた一定の駆動速度で駆動させるので、印刷中は、搬送ベルト33上の用紙Pは搬送方向Yに一定の搬送速度Vpで搬送される。そして、コントローラー50により制御された吐出ユニット15は、一定の搬送速度Vpで搬送される用紙Pに対して、一定の吐出タイミングでインク滴を吐出する。これにより、用紙Pには、インク滴の着弾よる印刷ドットが、搬送方向Yに、一定の搬送速度Vpと一定の吐出タイミング(吐出周期)とにより決まる一定のドットピッチで形成される。この結果、用紙Pには、印刷データPDに基づく画像等が、印刷モードに応じた所定の印刷解像度で印刷される。
また、印刷装置11には、用紙Pを検出対象として用紙Pの位置及び搬送量を検出する第2センサー38が設けられている。第2センサー38は、イメージセンサー39を備える。第2センサー38は、イメージセンサー39が経時的に取得した2次元の画像データの差分から用紙Pの搬送量を検出する。イメージセンサー39は、吐出ユニット15と対向する位置に配置されている。詳しくは、イメージセンサー39は、搬送機構30を構成する複数の搬送ベルト33間の隙間OPに、搬送ベルト33の用紙載置面よりも少し下方の位置に配置されている。イメージセンサー39は、搬送ベルト33に載置された用紙Pのインクが着弾される側の印刷面と反対側の面(裏面)を検出対象とする。なお、本実施形態では、第2センサー38により「第2検出部」の一例が構成される。
図2及び図3に示すように、イメージセンサー39は、搬送機構30に対してローラー31,32及び搬送ベルト33等の可動部分と干渉しない位置に取り付けられている。そのため、メンテナンスの目的で、搬送機構30が搬送位置から退避位置へ退避したとき、イメージセンサー39も、搬送機構30と共に吐出ユニット15と対向する位置から退避する。このため、搬送機構30が退避位置に配置された状態の下で、吐出ユニット15がメンテナンス部48に向かってインク滴を吐出しても、そのときのインク滴がイメージセンサー39に付着することが回避される。
コントローラー50は、第1センサー36が検出した搬送機構30の駆動量と、第2センサー38が検出した用紙Pの搬送量とに基づいて補正値を取得し、この補正値に基づき印刷に関する制御を補正する。本実施形態では、印刷に関する制御の補正として、搬送速度の補正と、吐出タイミングの補正とを行う。
ここで、搬送機構30の駆動量と用紙Pの搬送量は、本来一定の対応関係にある。しかし、搬送機構30の組み付けのばらつきや、印刷装置11の経年劣化等に起因するローラー31,32の直径や搬送ベルト33の厚み(以下、ローラーの直径等という。)の変動が原因で、搬送機構30において用紙Pと接触して用紙Pに搬送力を付与する搬送部である搬送ベルト33の駆動量が変動する。
例えばローラー31が摩耗して小径化すると、ローラー31の回転量は同じでも、コントローラー50がエンコーダー37から入力するエンコーダー信号ESのパルスエッジを計数して取得した搬送機構30の駆動量は、ローラー31の直径等が小さくなった分だけ小さくなる。つまり、搬送モーター35が、印刷モードに応じた一定の同じ目標速度で駆動されていても、ローラー31の直径等が小さくなった分だけ、搬送ベルト33によって搬送される用紙Pの搬送速度は遅くなる。このため、第1センサー36が検出する搬送機構30の駆動量と、第2センサー38が検出する用紙Pの搬送量とが、当初の対応関係からずれてくる。
このため、コントローラー50は、第1センサー36が検出した搬送機構30の駆動量と、第2センサー38が検出した用紙Pの搬送量とに基づいて、搬送モーター35の単位時間当たりの駆動量である駆動速度を補正することにより、用紙Pの搬送速度Vpを目標速度にする。
また、搬送機構30の駆動量と用紙Pの搬送量との対応関係がずれ、用紙Pの搬送速度Vpが遅くなっているにも関わらず、エンコーダー信号ESに基づき生成される吐出タイミング信号のパルス周期である吐出ユニット15のインク吐出周期が同じままであると、印刷ドットの搬送方向Yのドットピッチが規定値よりも短くなる。これは、搬送方向Yの印刷解像度が正規の値よりも高くなることを意味する。このため、コントローラー50は、第1センサー36が検出した搬送機構30の駆動量F1と、第2センサー38が検出した用紙Pの搬送量F2とに基づいて、エンコーダー信号から吐出タイミング信号を生成する過程でパルス周期を補正する。
また、用紙Pと搬送ベルト33との間で滑りが発生すると、ローラー31の回転量の割に用紙Pの搬送量が少なくなる。この場合も、用紙Pの搬送速度Vpが遅くなっているにも関わらず、エンコーダー信号に基づき生成される吐出タイミング信号のパルス周期が同じままであると、印刷ドットの搬送方向Yのドットピッチが規定値よりも短くなって、印刷解像度が少し過剰に高くなる。上記の吐出タイミング信号のパルス周期の補正は、この種の滑りに起因する吐出タイミングのずれをも補正する。すなわち、コントローラー50は、第1センサー36が検出する搬送機構30の駆動量と、第2センサー38が検出する用紙Pの搬送量とに基づいて、吐出タイミング信号のパルス周期を補正することで、ローラー31や搬送ベルト33の摩耗や、用紙Pと搬送ベルト33間の滑り等に起因する吐出タイミングのずれを補正する。
本実施形態では、コントローラー50は、用紙P(1ページ分)の搬送中に第1センサー36と第2センサー38が駆動量F1と搬送量F2とを検出した同じページの用紙Pの搬送中に、吐出ヘッド16に駆動量F1と搬送量F2とに基づき補正した吐出タイミングでインクを吐出させる。つまり、1枚(1ページ)の用紙Pの搬送中に駆動量F1と搬送量F2との検出と、その検出結果に基づき補正された吐出タイミングでのインクの吐出とを行う。
また、本実施形態では、コントローラー50は、第1センサー36と第2センサー38とが駆動量F1と搬送量F2とを検出した時点から、エンコーダー37がローラー31の1回転を検出し終わる前に、駆動量F1と搬送量F2とに基づき補正した吐出タイミングで吐出ヘッド16にインクを吐出させる。
さらに、本実施形態では、コントローラー50は、イメージセンサー39が搬送量F2を検出するために取得した前回と今回の画像データのうち今回の画像データの次(次回)の画像データを取得する前に、駆動量F1と搬送量F2とに基づき補正した吐出タイミングで吐出ヘッド16にインクを吐出させる。つまり、センサー36,38による駆動量F1と搬送量F2との検出時点と、その検出結果に基づき補正した吐出タイミングでのインクの吐出時点との間の時間間隔は、イメージセンサー39が画像データを取り込む周期(フレームレートの逆数)よりも短い。換言すれば、イメージセンサー39による今回の画像データの取得時点と、今回の画像データを用いて補正した吐出タイミングでのインクの吐出時点との間の時間間隔は、イメージセンサー39が画像データを取り込む周期よりも短い。
次に、図4及び図5を参照して、吐出ユニット15の構成について説明する。図4に示すように、吐出ユニット15は、想定される最大幅の用紙Pの幅全域に亘って印刷が可能な所定長さを有する。本例の吐出ユニット15は、その長手方向に沿って複数の吐出ヘッド16が所定の配置パターンで配列された所謂マルチヘッドタイプのものである。吐出ヘッド16のノズル開口面16aには、複数(同図では例えば4つ)のノズル列Nが設けられている。複数の吐出ヘッド16は、例えば一定の間隔で配列された2列の吐出ヘッド16が列間で列方向に半ピッチずれたジグザグ状に配列されている。吐出ヘッド16間で同種(例えば同一インク色)のノズル列Nがノズル列方向(幅方向W)に連続して分布して位置している。このため、この印刷装置11では、各吐出ヘッド16の同種のノズル列Nによって、想定最大幅の用紙Pに幅一杯に印刷することが可能となっている。
図4に示すように、コントローラー50は、ヘッドコントローラー51を介して吐出ユニット15を構成する複数の吐出ヘッド16と電気的に接続されている。コントローラー50は、入力した印刷データPDに基づきヘッドコントローラー51を介して複数の吐出ヘッド16を制御する。ヘッドコントローラー51は、コントローラー50から入力した印刷データPDを各吐出ヘッド16と対応するデータ部分(分配データ)に分配し、各分配データを各吐出ヘッド16へ転送する。各吐出ヘッド16のノズル列Nのノズル161(図5参照)から吐出されたインク滴が、搬送中の用紙Pの表面に着弾することで、用紙Pに印刷データPDに基づく画像等が印刷される。
図5に示すように、吐出ヘッド16のノズル開口面16aに設けられた複数(図5では4つ)のノズル列Nは、用紙Pの搬送方向と交差する方向(ノズル列方向)に一定のノズルピッチで一列に配列されたF個(図5ではF=360)のノズル♯1〜♯Fによりそれぞれ構成されている。
本例では、複数のノズル列Nを構成するノズル161は、異なる色のインク滴を吐出する。図5の例では、複数のノズル列Nは、ノズル161から黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の4色のインク滴をそれぞれ吐出する。なお、ノズル列におけるノズル♯1〜♯Fの配列パターンは、1列に限らず、2列が列間で半ピッチずつずれたジグザグ状でもよい。
図5に示すように、吐出ヘッド16には、1ノズル列毎に1つの吐出駆動素子群162が内蔵されている。吐出駆動素子群162は、1ノズル列分のノズル数と同数の吐出駆動素子163を有している。吐出ヘッド16には、ノズル161と吐出駆動素子163とを有する吐出部164が、1ノズル列当たりにノズル数と同数個ずつ設けられている。但し、図5では吐出ヘッド16の外側に、ノズル161に対応する一部の吐出駆動素子163だけを模式的に描いている。吐出駆動素子163は、例えば圧電振動子又は静電駆動素子からなる。吐出駆動素子163は、所定波形の駆動パルス(電圧パルス)が印加されると、電歪作用又は静電駆動作用により、ノズル161に連通するインク室の壁部の一部からなる振動板(図示せず)を振動させてインク室を膨張・圧縮させることにより、ノズル161からインク滴を吐出させる。なお、吐出ヘッド16は、圧電方式及び静電方式に限定されず、ヒーター素子からなる吐出駆動素子が加熱したインクの膜沸騰により発生した気泡の膨張圧を利用してノズル161からインク滴を吐出させるサーマル方式でもよい。
図6は、印刷装置11の電気的構成を示す。図6に示すように、印刷装置11は、コントローラー50、ヘッドコントローラー51及びモーター駆動回路52,53を備えている。また、印刷装置11は、入力系として前述のエンコーダー37と、イメージセンサー39とを備えている。コントローラー50は、モーター駆動回路52、53を介して給送モーター54及び搬送モーター35をそれぞれ所定の速度プロファイルに従って、加速・定速・減速を伴う駆動速度で駆動制御することで、搬送装置14を介して用紙Pの給送及び搬送を行う。そして、搬送機構30へ送られた用紙Pは、搬送ベルト33上に静電吸着された状態で一定の搬送速度で搬送される。
また、コントローラー50は、例えばホスト装置(図示せず)から入力した印刷データPDに基づいてヘッドコントローラー51を介して吐出ヘッド16(詳しくはノズル毎に内蔵された吐出駆動素子163)を駆動制御する。
コントローラー50は、CPU60(中央処理装置)、カスタムLSIとしてのASIC61(Application Specific Integrated Circuit)(特定用途向け集積回路)、ROM62、RAM63、不揮発性メモリー64(例えばフラッシュROM)、入力インターフェイス65、入出力インターフェイス66及びクロック回路67等を備えている。CPU60、ASIC61、ROM62、RAM63、不揮発性メモリー64、入力インターフェイス65及び入出力インターフェイス66はバス68を介して互いに接続されている。
図6に示す入力インターフェイス65は、ホスト装置と有線又は無線で通信可能に接続され、ホスト装置から例えば通信ケーブル(いずれも図示せず)を介して転送されてきた印刷データPDを受信して印刷装置11に入力する。入力された印刷データPDは、RAM63に格納される。
ROM62には、各種制御プログラム及び各種データが記憶されている。不揮発性メモリー64には、印刷制御プログラム(ファームウェアプログラム)をはじめとする各種プログラム及び印刷処理に必要な各種データ等が記憶されている。不揮発性メモリー64には、搬送モーター35の駆動速度の補正及び吐出ヘッド16の吐出タイミングの補正等を行うプログラムPR、及び搬送モーター35を速度制御する際に用いる速度制御データVD等が記憶されている。
RAM63には、CPU60が実行するプログラム及びCPU60による演算結果及び処理結果である各種データ、さらにASIC61で処理された各種データ等が一時記憶される。また、RAM63には、印刷データPDや、印刷データPDから吐出データを生成する過程で生成される中間データ等が格納される。吐出データは、吐出ヘッド16がノズルからインク滴を1回吐出する1ノズル列分(1色分)のデータである。
CPU60は、印刷データPDに含まれる印刷言語で記述されたコマンドを解析(解釈)する。ASIC61は、印刷データPD中の中間コードを印刷ドットに対応する画素が所定の階調で示されたビットマップデータに変換してRAM63上に展開する画像展開処理部71を備えている。そして、展開された所定の吐出回数分の吐出データ(階調値データ)が、入出力インターフェイス66からヘッドコントローラー51を介して吐出ユニット15に出力されることで、吐出ユニット15が吐出制御される。
コントローラー50には、入力系として、搬送モーター35により回転駆動されるローラー31の回転量に比例する数のパルスを有するエンコーダー信号ESを出力するエンコーダー37及びイメージセンサー39が電気的に接続されている。
また、図6に示すASIC61は、画像展開処理等の他、吐出ヘッド16のノズルから吐出されるインク滴の吐出タイミングを決定する吐出タイミング信号PTSを生成する処理を行う。このため、ASIC61には、画像展開処理部71の他、吐出タイミング信号PTSの生成に用いられるエッジ検出回路72、補正回路73及び印刷タイミング発生回路74を備えている。エッジ検出回路72は、エンコーダー37からエンコーダー信号ESを入力してそのパルスエッジを検出する度にパルスを発生させてエンコーダー信号と同じ周期の基準パルス信号RS1を出力する。
補正回路73は、CPU60から指示された補正値に基づいて基準パルス信号RS1のパルス周期を補正して基準パルス信号RS2を生成し、補正された周期の基準パルス信号RS2を印刷タイミング発生回路74に出力する。
印刷タイミング発生回路74は、補正回路73から入力した基準パルス信号RS2及びクロック回路67から入力したクロック信号CK等を用いた信号生成処理を行って吐出タイミング信号PTSを生成する。印刷タイミング発生回路74が行う信号生成処理には、基準パルス信号RS2の1周期を複数に分割(逓倍)したパルス周期のパルス信号を発生させる周期分割処理(逓倍処理)と、得られたパルス信号を、吐出タイミングを調整するためのディレイ時間だけ遅延させて吐出タイミング信号PTSを生成する遅延処理とが含まれる。印刷タイミング発生回路74が生成した吐出タイミング信号PTSは、ヘッドコントローラー51を介して吐出ユニット15に出力される。
また、補正回路73から出力された基準パルス信号RS2は、PFカウンター75に入力される。PFカウンター75は、モーター制御用の搬送位置yを計数する第1カウンターと、用紙Pの搬送位置yを計数する第2カウンターとを備える。ASIC61は、搬送モーター35の駆動を開始と同時にPFカウンター75の第1カウンターをリセットし、第1カウンターに計数を開始させる。第1カウンターは、入力した基準パルス信号RS2の例えばパルスエッジを計数することで、その得られたカウント値から搬送モーター35の駆動開始位置を原点とするモーター駆動量に相当する搬送位置yを検出する。この搬送位置yは、図9に示す速度制御データVDを参照して実行される搬送モーター35の速度制御に用いられる。また、ASIC61は、給送途中の用紙Pを不図示のセンサーが検知すると、PFカウンター75の第2カウンターをリセットし、第2カウンターに計数を開始させる。第2カウンターは、入力した基準パルス信号RS2の例えばパルスエッジを計数することで、その得られたカウント値から用紙Pの基準位置を原点とする搬送方向Yの位置を示す搬送位置yを検出する。この搬送位置yは、搬送中の用紙Pの位置の把握に用いられる。
また、図6に示す印刷タイミング発生回路74は、搬送ベルト33の駆動速度VdのデータをCPU60に出力する。詳しくは、印刷タイミング発生回路74は、補正回路73から入力した基準パルス信号RS2のパルスの1周期の期間に、クロック回路67から入力するクロック信号CKの例えばパルスエッジ数を計数することで、その周期Tprtを検出する。さらに印刷タイミング発生回路74は、その周期Tprtの逆数を演算した値を現在の駆動速度Vd2(=1/Tprt)としてCPU60に出力する。また、印刷タイミング発生回路74は、吐出タイミング信号PTSの出力タイミングを決めるディレイ値Dpの決定に必要な後述する各種の値PG,Vc,VpをCPU60から入力する。
印刷装置11は、図7に示す吐出制御装置80を備える。印刷装置11は、図6に示すコントローラー50内のコンピューターが、プログラムPRを実行することで構築される、各種の機能部を有する図7に示す印刷制御部81を備えている。図7に示すように、印刷制御部81は、機能部として、主制御部82、搬送制御部83、ヘッド制御部84及び駆動パルス生成部86を備えている。主制御部82は、各部83、84,86に指示を出して搬送モーター35の駆動制御及び吐出ヘッド16の吐出タイミング制御等の各種の制御を司る。
搬送制御部83は、搬送モーター35を駆動制御することで、搬送ベルト33の速度制御を行う。このとき、搬送制御部83は、搬送ベルト33の現在の駆動速度Vdを取得し、駆動速度Vdをその時の搬送位置yを基に速度制御データVD(図6参照)を参照して取得される目標速度に近づけるフィードバック制御を行う。これにより搬送制御部83は、搬送ベルト33を図9に示す速度プロファイルに沿って加速・定速・減速させることで、定速度で駆動中の搬送ベルト33によって印刷中の用紙Pを一定速度で搬送する。
ヘッド制御部84は、吐出ヘッド16が備える複数の吐出部164のノズル161からインク滴を吐出する吐出制御を行う。ヘッド制御部84は、画像展開処理部71(図6参照)により印刷データPDを展開して吐出データを生成してヘッド駆動回路55へ出力する。また、ヘッド制御部84は、吐出タイミングを補正する際の基準となる基準値(ディレイ基準値)を印刷タイミング発生回路74に出力する。基準値とは、搬送ベルト33が目標搬送速度Vc(定速度)のときに適正な吐出タイミングとなるように設定された基準となるディレイ値である。この基準値は印刷モードに応じた目標搬送速度Vc毎に設定されている。
駆動パルス生成部86は、ノズル161から1ドットを吐出する吐出周期(1周期)毎に複数種(例えば2種又は3種)の吐出波形を含む駆動パルスを生成してヘッド駆動回路55へ出力する。本実施形態の吐出ヘッド16は、複数サイズのインク滴を吐出可能である。吐出ヘッド16は、一例として大中小3種類のインク滴を吐出可能である。なお、吐出可能なインク滴のサイズは、1種類でもよいし、2種類又は4種類以上でもよい。
ヘッド駆動回路55は、吐出データと駆動パルスを入力する。ヘッド駆動回路55は、入力した駆動パルスのうち、入力される吐出データの画素の階調値に応じた1種又は2種の吐出波形を選択し、その選択した吐出波形の駆動パルスを吐出タイミング信号PTSに基づくタイミングで、吐出駆動素子群162を構成する各吐出駆動素子163(図5参照)に印加する。これにより、ヘッド駆動回路55は、インク滴の吐出・非吐出の選択と、吐出する際のインク滴のサイズを制御する。そして、吐出駆動素子163に吐出データの階調値に応じた吐出波形の駆動パルスが印加されることで、例えば電歪作用によってインク室が膨張・圧縮することにより、ノズル161から吐出データに応じたサイズのインク滴が吐出される。
また、図7に示す吐出制御装置80は、エッジ検出回路72から基準パルス信号RS1を入力する第1速度検出部76を備える。第1速度検出部76は、入力した基準パルス信号RS1の1周期の期間に、入力するクロック信号CKの例えばパルスエッジを計数することで、基準パルス信号RS1の周期Tを計測する。そして、計測した周期Tの逆数を、駆動速度Vd1、つまり搬送ベルト33(すなわちローラー31)の単位時間当たりの駆動量F1として印刷制御部81に出力する。
図7に示すように、印刷タイミング発生回路74は、補正回路73から基準パルス信号RS2を入力する第2速度検出部91、補正部92、ディレイ値設定部93及び吐出タイミング信号生成部94を備える。第2速度検出部91は、入力した基準パルス信号RS2の1周期の期間に、入力するクロック信号CKのパルスエッジ数を計数することで、基準パルス信号RS2の周期Tを計測し、その周期Tの逆数を、搬送ベルト33の実際の駆動速度Vd2(補正後の駆動速度)として補正部92に出力する。補正部92は、印刷制御部から取得した各種設定値に基づいてディレイ値Dpを求め、ディレイ値Dpをディレイ値設定部93に設定する。吐出タイミング信号生成部94は、ディレイ値設定部93から読み出したディレイ値Dpをディレイカウンター95に設定する。そして、吐出タイミング信号生成部94は、ディレイカウンター95がディレイ値Dpを計数し終わって遅延時間を経過するまで待機し、ディレイ値Dpを計数し終わると、吐出タイミング信号PTSをヘッドコントローラー51に出力する。なお、第2速度検出部91が検出した補正後の駆動速度Vd2のデータは、印刷制御部81にも出力され、前述したように搬送制御部83による搬送モーター35の速度制御に用いられる。
次に図8を参照して、イメージセンサー39の構成を説明する。図8に示すようにイメージセンサー39は、光を取り込む透明な窓部56Aを有するイメージセンサー用のIC部品56と、用紙Pの表面に光を照射可能な発光部57とを備えている。発光部57は例えばレーザー光を出射可能な発光ダイオードからなる。IC部品56と発光部57は、発光部57が用紙Pに照射したレーザー光の反射光がIC部品56の窓部56Aに入射される所定の位置関係に配置されている。IC部品56は、用紙Pのうちレーザー光の照射領域SAの画像を撮像した2次元の画像データを経時的に入力し、前回と今回の画像データの差分に基づいて用紙Pの移動方向及び移動量を検出する。IC部品56は1つの出力ピンから用紙Pの搬送方向Yの移動量(以下、「搬送量F2」ともいう。)を示す検出信号Syを出力する。詳しくは、IC部品56は、窓部56Aから入射したレーザー光の像を撮像素子で撮像し、単位時間毎の画像データの差分に基づいて、用紙P上のX・Y平面におけるX方向(幅方向Wに同じ)の搬送量と搬送方向Yの搬送量とを出力ピンから出力する。IC部品56の1つの出力ピンからは用紙Pの搬送方向Yの位置yを示す検出信号Syが出力される。
次に、図9を参照して、速度制御データVDを用いて行われる搬送モーター35の速度制御について説明する。図9のグラフに示されるように、この速度制御データVDは、搬送位置yと駆動速度Vdとの関係が示されたデータである。CPU60は、搬送モーター35の駆動開始時点からエンコーダー信号ESを基に計数した搬送位置yから、速度制御データVDを参照してその搬送位置yに応じた目標速度を取得し、実速度を目標速度に近づけるフィードバック制御を行う。なお、フィードバック制御に替え、フィードフォワード制御を行ってもよい。
本例では、搬送モーター35の駆動開始位置である原点から搬送位置yaまでの区間が加速領域であり、搬送位置yaで目標搬送速度Vc(定速度)に到達すると、目標搬送速度Vcに保持される。用紙Pに対する印刷は目標搬送速度Vcで行われる。そして、印刷が終わって搬送位置yが搬送位置ybに達すると、搬送モーター35の減速が開始され、停止位置ygで搬送モーター35の駆動が停止されるまでに、用紙Pは排出される。
ところで、ローラー31,32の直径が小さくなると、搬送モーター35の駆動量の割に搬送ベルト33の駆動量が小さくなるため、用紙Pの搬送量も小さくなる。この場合、搬送位置yがyaに達して、搬送モーター35の駆動速度が目標速度に達していても、実際の搬送ベルト33の駆動速度Vdは目標搬送速度Vcよりも低い定速度Vc1(図9における二点鎖線)にしか達していない。この場合、低めの定速度Vc1で用紙Pは搬送されることになる。また、用紙Pの先端を不図示のセンサーで検知してから、第2カウンターがエンコーダー信号に基づく計数を開始して用紙Pの搬送位置yを取得しているが、この搬送位置yが実際の用紙Pの搬送位置からずれることになる。この場合、用紙Pが実際の印刷開始位置に達する前に印刷開始位置に達したものと判断されて吐出ユニット15によるインク滴の吐出が開始されてしまい、用紙Pに対する印刷位置が搬送方向Yにずれる虞がある。
次に図10を参照して、補正回路73を用いた基準パルス信号RS1のパルス周期の補正について説明する。搬送ベルト33と用紙Pとの間に滑りがないものとしたとき、図10(a)に示すように、当初のローラー径D1の下では、基準パルス信号RS1に基づく搬送ベルト33の単位時間To当たりの駆動量F1と、この駆動量F1に対応する用紙Pの単位時間To当たり搬送量F2とが、同じであったとする。その後、ローラー31,32の摩耗等により、当初のローラー径D1よりも小さなローラー径D2(<D1)になると、図10(b)に示すように、搬送ベルト33の単位時間To当たりの駆動量F1が同じでも、この駆動量F1に対応する用紙Pの単位時間To当たりの搬送量F2は、ローラー径が小さくなった差分ΔDに応じて小さくなる。このため、コントローラー50が管理する1パルス周期当たりの駆動量F1/10よりも、実際の用紙Pの1パルス周期当たりの搬送量F2が小さくなる。ここで、吐出タイミング信号PTSの周期Tjは、基準パルス信号を逓倍して生成されるため、吐出タイミング信号PTSの周期Tjの割に用紙Pの搬送量が小さくなるので、この吐出周期Tjで吐出されるインク滴が着弾してできる印刷ドットのドットピッチが短くなって、搬送方向Yにおける印刷解像度が高くなってしまう。
そのため、補正回路73は、図10(b)のときの駆動量F1と搬送量F2とに基づいて、基準パルス信号RS1の周期をF1/F2倍に補正して、図10(c)に示す基準パルス信号RS2を生成する。この基準パルス信号を用いれば、1パルス周期当たりの用紙Pの搬送量が当初のローラー径D1のときと同じになる。なお、ローラー径が小さくなった例で説明したが、搬送機構30の組み付けのばらつきなど、他の原因であっても、補正回路73により、基準パルス信号RS1のパルス周期をF1/F2倍に補正した基準パルス信号RS2を用いることで、適切な周期Tjの吐出タイミング信号や搬送位置yが得られる。
図11に示すように、搬送機構30の構成部品の摩耗や組み付けのばらつきに起因し、エンコーダー37から出力されるエンコーダー信号ESに基づき取得される単位時間To当たりの駆動量F1(同図の実線)よりも、イメージセンサー39が用紙Pを検出対象として検出した用紙Pの搬送量F2(同図の一点鎖線)が小さくなったとする。本例のコントローラー50は、駆動量F1と搬送量F2との比F1/F2に基づいて、搬送モーター35の速度制御の補正と、吐出ヘッド16の吐出タイミング制御の補正とを行う。コントローラー50は、搬送位置yを基に速度制御データVDを参照して取得した目標速度をF1/F2倍した値を新規の目標速度として、搬送モーター35を速度制御する。また、コントローラー50は、補正値F1/F2を補正回路73に出力する。補正回路73は、入力した基準パルス信号RS1のパルス周期をF1/F2倍したパルス周期をもつ基準パルス信号RS2を生成する。この基準パルス信号RS2が印刷タイミング発生回路74内で逓倍されることにより、適正な周期Tjの吐出タイミング信号PTSが生成される。つまり、コントローラー50は、補正回路73にパルス周期をF1/F2倍に変換する処理を指示することで、吐出タイミング信号PTSの周期Tjを補正する。
また、図12に示すように、搬送ベルト33の駆動速度Vdが周期的に変動する場合、搬送ベルト33の加速度変化によって用紙Pが搬送ベルト33上を一瞬滑って、搬送ベルト33に速度の位相遅れを伴って追従する場合がある。このように搬送ベルト33の駆動速度Vdと用紙Pの搬送速度Vpとがずれる場合も、駆動量F1と搬送量F2との比に基づき、吐出ヘッド16の吐出タイミングが補正されることで、用紙Pの適切な位置にインク滴を着弾させることが可能である。なお、駆動速度Vdの周期的に変動の原因としては、搬送モーター35の駆動速度の変動や、ローラー31,32等の駆動系の偏心、外部の振動源からの振動等が挙げられる。
次に、図7及び図13を参照して、印刷タイミング発生回路74で行われる吐出タイミング信号PTSの生成について説明する。コントローラー50内の図7に示す印刷制御部81では、演算部85が、イメージセンサー39からの検出信号に基づいて単位時間前の前回の位置y1と今回の位置y2とを取得し、前回の位置y1と今回の位置y2の差分を計算して用紙Pの現在速度Vp(つまり単位時間当たりの搬送量F2)を演算する。また、主制御部82は、指定された印刷モード及び用紙種の情報から、吐出ヘッド16のノズル開口面16aと用紙Pとの間のギャップPGを取得する。さらに搬送制御部83は、指定の印刷モードに応じた目標搬送速度Vcを取得する。そして、ヘッド制御部84は、用紙の現在速度Vp、ギャップPG及び目標搬送速度Vcの各情報を、補正部92に与える。補正部92は、用紙Pの現在速度Vp、ギャップPG、目標搬送速度Vc及びインク吐出速度Vmの各情報を用いて、ディレイ値Dp(PTSディレイ段数)を、次式により算出する。
Dp=(PG/Vm)・(Vc−Vp) …(1)
なお、イメージセンサー39が用紙Pを検出できない状態で吐出制御が行われるときや、イメージセンサー39の用紙Pの検出値を用いず吐出制御を行うとき(例えば1ページ目)は、上記(1)式において、用紙Pの搬送速度Vpに替え、搬送ベルト33の補正後の駆動速度Vd2が用いられる。なお、常に駆動速度Vd2を用いてディレイ値Dpを求めてもよい。
補正部92は、上記(1)式で取得したディレイ値Dpをディレイ値設定部93に設定する。ディレイ値設定部93は、例えば不図示のレジスターを内蔵し、補正部92がレジスターにディレイ値Dpを格納することで、ディレイ値Dpが設定される。
吐出タイミング信号生成部94は、補正回路73からの周期がF1/F2倍に補正された基準パルス信号RS2と、クロック回路67からのクロック信号CKとを入力するとともに、ディレイ値設定部93からディレイ値Dpを入力する。吐出タイミング信号生成部94は、基準パルス信号RS2を逓倍して吐出タイミング信号と同じパルス周期をもつ基準タイミング信号PRSを生成する。また、吐出タイミング信号生成部94は、基準タイミング信号PRSよりも、パルス周期の十分短い補正計数用パルスCP(図13参照)を生成する。
吐出タイミング信号生成部94は、ディレイ値Dpに基づくディレイ時間を計時するためのディレイカウンター95を備える。ディレイカウンター95には、ディレイ値Dpが目標値として設定されるとともに、基準タイミング信号PRSと、補正計数用パルスCPとが入力される。ディレイカウンター95は、図13に示すように、基準タイミング信号PRSのパルスをトリガーとして、補正計数用パルスCPのパルス数の計数を開始してその計数値がディレイ値Dpに達すると、吐出タイミング信号PTSを出力する。つまり、吐出タイミング信号生成部94は、基準タイミング信号PRSのパルスを、ディレイ値Dpに応じた時間だけ遅らせたタイミングで出力することで、吐出タイミング信号PTSを生成する。
次に、印刷装置11の作用を説明する。印刷ジョブを受け付けると、図7に示す印刷制御部81は、そのとき指定の印刷モードから決まる目標搬送速度Vc(定速度)と、印刷モード及び用紙種の情報から決まるギャップPGとを、補正部92に送る。また、本例では、第1速度検出部76から搬送ベルト33の駆動速度Vd、つまり単位時間当たりの駆動量F1を入力する。
コントローラー50は、用紙Pの給送が開始されると、図14に示す印刷制御ルーチンのプログラムPRを実行する。そして、コントローラー50は、この印刷制御の中で、搬送機構30の駆動量を検出する第1センサー36と、用紙Pを検出対象として用紙Pの搬送量を検出する第2センサー38との各検出信号に基づいて、搬送モーター35の駆動速度の補正及び吐出ヘッド16の吐出タイミングの補正を行う。
以下、図14を参照して、コントローラー50が実行する印刷制御について説明する。
まずステップS11では、1ページ目の印刷を開始する。印刷の開始により、まず用紙Pの搬送を開始する。給送モーター54の駆動により用紙Pの給送を開始する。
続くステップS12では、用紙Pを目標搬送速度Vcで搬送するよう搬送モーター35を制御する。例えば印刷モード等に応じた目標搬送速度Vcに達するように速度制御データVDを参照して、搬送モーター35を速度制御する。搬送モーター35の駆動が開始されると、搬送ベルト33が回転し始め、やがて駆動速度Vdは目標搬送速度Vcに達する。用紙Pは、例えば目標搬送速度Vcで駆動中の搬送ベルト33上に搬入される。ここで、ローラー31,32が摩耗して当初のローラー径D1よりも小さなローラー径D2になっている場合、ローラー31の1回転当たりにエンコーダー37から出力されるパルス数が一定でも、ローラー31の1回転で搬送ベルト33が駆動される駆動量は、ローラー31の小径化により相対的に小さくなる。
ステップS13では、エンコーダーのパルス周期に比例する周期Tjでインクを吐出する吐出制御を行う。つまり、1ページ目の印刷中は、補正回路73での周期の補正は行われず、基準パルス信号RS1と同じ周期Tjの基準パルス信号RS2が印刷タイミング発生回路74に入力される。印刷タイミング発生回路74は補正なしの周期Tjの吐出タイミング信号PTSを吐出ヘッド16に出力する。
ステップS14では、エンコーダーにより搬送ベルトの単位時間当たりの駆動量F1を計測する。つまり、第1速度検出部76がエンコーダー37のエンコーダー信号を基にエッジ検出回路72が生成した基準パルス信号RS1を入力し、基準パルス信号RS1に基づいて搬送機構30の単位時間当たりの駆動量F1(つまり駆動速度Vd)を検出する。すなわち、用紙Pと接触して用紙Pに搬送力を付与する搬送部の一例である搬送ベルト33の駆動速度Vdを検出する。なお、本実施形態では、このステップS14の処理が、「第1検出ステップ」の一例に相当する。
ステップS15では、イメージセンサーにより用紙の単位時間当たりの搬送量F2を計測する。つまり、イメージセンサー39の検出信号Syに基づいて、用紙Pの単位時間当たりの搬送量F2を計測する。すなわち、用紙Pの単位時間To前の前回の位置y1と、今回の位置y2との差分を計算することで、単位時間当たりの用紙Pの搬送量F2(=y1−y2)を計測する。なお、本実施形態では、このステップS15の処理が、「第2検出ステップ」の一例に相当する。
こうしてステップS12,S13の処理により、目標搬送速度Vcで搬送中の用紙Pに、各吐出ヘッド16から補正なしの吐出周期Tjでインク滴が吐出されることで、1ページ目の用紙Pへの印刷が行われる。
ステップS16では、1ページ目の印刷が終了したか否かを判断する。1ページ目の印刷が終了していなければ、ステップS12に戻り、1ページ目の印刷(S12,S13)の継続と、搬送ベルト33の駆動量F1と用紙Pの搬送量F2との計測とを行う(S14,S15)。一方、1ページ目の印刷が終了した場合は、次のステップS17に進む。なお、搬送ベルト33の駆動量F1と用紙Pの搬送量F2との計測は、少なくとも1回行われればよい。例えば不図示のセンサーにより、1ページ目の用紙Pの先端を検知した時点からその用紙Pの後端を検知した時点までの1ページ当たりの駆動量F1と搬送量F2とを計測してもよい。この場合、用紙Pの先端検知時から後端検知時までの経過時間が単位時間Toとなる。また、複数回計測した値の例えば平均値を取得したり、搬送位置y毎に計測値を取得して搬送位置yに対する計測値の変動が分かる形態で計測データを取得したりしてもよい。
ステップS17では、目標搬送速度VcをF1/F2倍に設定する。つまり、Vc=Vc・F1/F2に設定する。
ステップS18では、次ページの印刷を開始する。例えばF1,F2の計測に使う1ページ目の印刷を終えた場合、次ページ(例えば2ページ目)の印刷を開始する。
次のステップS19では、用紙Pを目標搬送速度Vcで搬送する制御を行う。ここで、Vc=Vc・F1/F2に設定されているため、用紙Pの搬送速度Vpが目標搬送速度Vcになるように搬送モーター35が速度制御される。このとき、速度制御データVDを補正し、搬送位置yに対する目標速度をF1/F2倍に補正した値を新規の目標速度として搬送モーター35を速度制御する。この結果、搬送ベルト33の駆動速度Vdは目標搬送速度Vcに達し、搬送ベルト33は一定の目標搬送速度Vcで駆動される。このため、用紙Pが印刷開始位置に到達するまでに目標搬送速度Vcに達し、目標搬送速度Vcで搬送中の用紙Pに対して吐出ヘッド16からインク滴が吐出されることになる。
ステップS20では、エンコーダーにより搬送ベルトの単位時間当たりの駆動量F1を計測する。つまり、第1速度検出部76が入力した基準パルス信号RS1に基づいて搬送機構30の単位時間当たりの駆動量F1(つまり駆動速度Vd)を検出する。なお、本実施形態では、このステップS20の処理が、「第1検出ステップ」の一例に相当する。
ステップS21では、イメージセンサーにより用紙の単位時間当たりの搬送量F2を計測する。つまり、イメージセンサー39の検出信号Syに基づいて、用紙Pの単位時間当たりの搬送量F2(つまり搬送速度Vp)を計測する。なお、本実施形態では、このステップS21の処理が、「第2検出ステップ」の一例に相当する。
ステップS22では、周期TjをF1/F2倍に設定して、吐出ヘッド16からインクを吐出する吐出制御を行う。つまり、Tj=Tj・F1/F2に設定して、吐出ヘッド16からインクを吐出する吐出制御を行う。ここで、コントローラー50は、F1/F2値で示される補正値を補正回路73に指示する。補正回路73は、エッジ検出回路72から入力した図10(b)に示す基準パルス信号RS1のパルス周期を、図10(c)に示すように、F1/F2倍に補正して基準パルス信号RS2を生成し、その基準パルス信号RS2を印刷タイミング発生回路74に出力する。印刷タイミング発生回路74は、この基準パルス信号RS2を逓倍した周期Tjを有する吐出タイミング信号PTSを、そのときのディレイ値Dpから決まるタイミングで出力する。その吐出タイミング信号PTSはヘッドコントローラー51に出力され、さらにヘッドコントローラー51から各吐出ヘッド16内のヘッド駆動回路55を介して吐出駆動素子群162に出力される。このとき、ヘッドコントローラー51により吐出タイミング信号PTSはノズル列の位置に応じたタイミングに調整されてから、対応するヘッド駆動回路55に出力される。ここで、Tj=Tj・F1/F2に設定されるため、例えばローラー31,32が摩耗して当初のローラー径D1よりも小さなローラー径D2であっても、当初のローラー径D1であるときと同じ周期Tjで吐出ヘッド16が吐出制御される。なお、本実施形態では、ステップS17及びS18の処理(補正を伴う搬送制御)と、このステップS22の処理(補正を伴う吐出制御)とが、「制御ステップ」の一例に相当する。
例えば図12に示すように、搬送ベルト33の速度が周期的に変動してそのときの加速度変化等に起因する力により用紙Pが搬送ベルト33上を一瞬滑って、用紙Pが搬送ベルト33の速度変動に遅れて追従し、その搬送速度Vpが周期的に変動する場合がある。この場合、搬送ベルト33の駆動速度Vd(単位時間当たりの駆動量)と用紙Pの搬送速度Vp(単位時間当たりの搬送量)との対応関係がずれることになる。しかし、F1/F2値を補正値としてF1/F2倍の周期Tjの吐出タイミング信号PTSが生成され、この補正後の吐出タイミング信号PTSに基づいて吐出ヘッド16の吐出タイミングが制御される。このため、吐出ヘッド16のノズルから吐出されたインク滴が用紙Pに着弾した印刷ドットはほぼ一定の間隔で形成される。また、イメージセンサー39は、吐出ユニット15の対向する位置、すなわち吐出ヘッド16から吐出されたインク滴が着弾する領域で用紙Pの搬送量を検出するので、吐出ヘッド16をほぼリアルタイムで適正な吐出タイミングに補正することができる。
ステップS23では、現在ページの印刷を終了したか否かを判断する。現在ページの印刷を終了していなければ、ステップS19に戻る。そして、搬送ベルト33を補正後の駆動速度Vdで制御する搬送制御を継続するとともに(S19)、駆動量F1の計測(S20)と、搬送量F2の計測(S21)と、吐出ヘッド16を補正後の周期Tj(=Tj・F1/F2)に基づく吐出タイミングで駆動させる吐出制御とを継続する(S22)。こうして補正後の目標搬送速度Vcで駆動される搬送ベルト33によって搬送される用紙Pに、補正後の周期Tjで吐出ヘッド16からインク滴が吐出されることで、現在のページの用紙Pへの印刷が行われる。一方、現在ページの印刷を終了すれば、ステップS24に進む。
ステップS24では、印刷を終了したか否かを判断する。印刷を終了していなければ、ステップS18に戻り、次ページの印刷を開始する。そして、搬送ベルト33を補正後の駆動速度Vdで制御する搬送制御(S21)と、駆動量F1の計測(S20)と、搬送量F2の計測(S21)と、吐出ヘッド16を周期Tj(=Tj・F1/F2)に基づく吐出タイミングで駆動させる吐出制御とを行う。こうして補正後の目標搬送速度Vcで駆動される搬送ベルト33によって搬送される用紙Pに、補正後の周期Tjで吐出ヘッド16からインク滴が吐出されることで、次ページの用紙Pへの印刷が行われる。そして、指定された枚数の印刷を全て終えると、ステップS24で肯定判定となり、コントローラー50は、この印刷制御ルーチンを終了する。
以上詳述した第1実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)コントローラー50は、第1センサー36により検出された搬送機構30の駆動量F1と、第2センサー38により検出された用紙Pの搬送量F2とに基づいて、搬送機構30と吐出ヘッド16との両方の制御を補正する。よって、搬送機構30の駆動量と、搬送機構30により搬送される用紙Pの搬送量との対応がずれても、その割に、印刷品質の低下を小さく抑えることができる。
(2)コントローラー50は、搬送機構30の駆動速度を補正する。よって、搬送機構30の駆動速度と用紙Pの搬送速度との対応がずれても、その割に、吐出ヘッド16が吐出したインク滴の用紙Pに対する着弾位置のずれを小さく抑えることができる。
(3)コントローラー50は、吐出ヘッド16の吐出タイミングを補正する。よって、搬送機構30の駆動量と用紙Pの搬送量との対応がずれても、その割に、用紙Pに対するインク滴の着弾位置のずれを小さく抑えることができる。
(4)第2センサー38は、経時的に取得した2次元の画像データの単位時間当たりの差分から用紙Pの搬送速度を検出する。よって、用紙Pにその搬送量を検出するためのマーキング等を施す必要がない。
(5)コントローラー50は、第1センサー36と第2センサー38とが用紙Pの1ページ分の搬送中に駆動量F1と搬送量F2とを検出し、第2センサー38が検出対象とした同じページの用紙Pの搬送中に、駆動量F1と搬送量F2とに基づき補正された吐出タイミングで吐出ヘッド16にインク滴を吐出させる。よって、その検出対象の同じページの用紙Pに、補正された吐出タイミングでインク滴を吐出させることができる。
(6)コントローラー50は、第1センサー36と第2センサー38とが駆動量F1と搬送量F2とを検出した時点から、ローラー31の1回転以内に、その駆動量F1と搬送量F2とに基づき補正した吐出タイミングで吐出ヘッド16にインク滴を吐出させる。よって、例えば検出結果をほぼリアルタイムに反映させた吐出タイミングでインク滴を吐出させることができる。
(7)コントローラー50は、第1センサー36と第2センサー38とが検出した駆動量F1と搬送量F2とに基づく補正は、イメージセンサーが搬送量を検出するために用いた前回と今回の画像データのうち今回の画像データの次に取得されるべき次回の画像データが検出される前に行われる。よって、イメージセンサーが画像データを取得する周期よりも短い周期で比較的早期に、検出結果を吐出タイミングに反映させることができる。例えば検出結果をほぼリアルタイムに吐出タイミングに反映させることができる。
(8)第1センサー36は、搬送機構30の駆動量F1を検出可能なエンコーダー37を有し、吐出ヘッド16は、エンコーダー37のエンコーダー信号ES(検出信号の一例)から生成される吐出タイミング信号PTSに基づき吐出制御される。コントローラー50は、エンコーダー信号ESに基づく基準パルス信号RS1を入力した補正回路73に駆動量F1と搬送量F2との比に基づき信号のパルス周期を補正させ、このパルス周期が補正された基準パルス信号RS2を逓倍して生成した基準タイミング信号PRS信号に基づいて吐出タイミング信号PTSを生成する。よって、搬送機構30の駆動量と用紙Pの搬送量との対応がずれても、補正後の吐出タイミング信号PTSに基づき吐出ヘッド16の吐出タイミングが制御されることで、用紙Pに対するインクの着弾位置のずれを小さく抑えることができる。
(9)イメージセンサー39を、吐出ヘッド16と用紙Pの搬送経路を挟んで対向する位置に配置したので、用紙Pの吐出ヘッド16と対向する部分の画像を経時的に取得することができ、補正の精度を高くすることができる。例えばリアルタイムで補正することも可能になる。
(10)イメージセンサー39を、搬送位置と退避位置との間を移動可能な搬送機構30に取り付けた。このため、搬送機構30が退避位置に移動した状態の下で、吐出ヘッド16が、メンテナンスを目的としてインクを吐出したとき、イメージセンサー39は、搬送機構30と共に吐出ヘッド16の吐出対象エリアから退避しているため、吐出ヘッド16から吐出されたインクがイメージセンサー39に付着することが抑制される。よって、インクの付着に起因するイメージセンサー39の検出精度の低下が抑制される。
(11)搬送機構を、用紙Pを搬送する複数の搬送ベルト33を備えたベルト搬送機構とし、イメージセンサー39を、複数の搬送ベルト33間の隙間OPに配置することで、隙間OPから用紙Pの搬送ベルト33に載置される側の面で、つまり吐出ヘッド16から吐出されたインクが着弾する面と反対側の面である裏面を検出する。よって、イメージセンサー39にインクを付着しにくく、インクの付着に起因するイメージセンサー39の検出精度の低下を抑制できる。
(第2実施形態)
次に図2、図3及び図15等を参照して、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、1ページ目の用紙Pについては、駆動量F1と搬送量F2とに基づく補正値を取得する計測のために通常の印刷を行ったが、本実施形態では、1ページ目についても、駆動量F1と搬送量F2とに基づく補正値で印刷制御を補正する。なお、第1実施形態と共通の構成については説明を省略し、特に第1実施形態と異な点のみを説明する。
本実施形態では、第2センサー38を構成するイメージセンサー39は、図2及び図3に二点鎖線で示すように、吐出ヘッド16よりも搬送方向Y上流側の位置に配置されている。但し、イメージセンサー39は、吐出ユニット15における各吐出ヘッド16のどのノズル列よりも搬送方向上流側に位置していればよい。
このため、用紙が各吐出ヘッド16のどのノズル列と対向する位置に到達する前、つまり吐出ヘッド16がインク滴の吐出を開始する印刷開始前に、イメージセンサー39の検出信号に基づき第2センサー38が用紙Pの実際の搬送速度を取得することが可能となる。そして、コントローラー50は、不揮発性メモリー64に記憶された図15にフローチャートで示されるプログラムPRを実行することで、印刷制御に関する補正を行う。この第2実施形態も、前記第1実施形態と同様に、搬送速度の補正と、吐出タイミングの補正とを行う。
以下、図15を参照して、コントローラー50が実行する印刷制御について説明する。
まずステップS31では、1ページ目の用紙Pを搬送させるために搬送ベルト33を目標搬送速度Vcで駆動させるべく搬送機構30を含む搬送系の駆動を開始する。コントローラー50は、速度制御データVD(図6参照)を参照して、図9に示す速度プロファイルに従って搬送モーター35を速度制御する。搬送ベルト33の駆動速度はやがて目標搬送速度Vcに達し、以後、搬送ベルト33は目標搬送速度Vcで駆動される。
用紙Pは、例えば目標搬送速度Vcで駆動中の搬送ベルト33上に搬入される。ここで、ローラー31,32が摩耗して当初のローラー径D1よりも小さなローラー径D2になっている場合、エンコーダー37からはローラー31,32が1回転当たりに出力されるパルス数は一定でも、ローラー31,32の1回転で駆動される搬送ベルト33の駆動量は、ローラー31,32の摩耗による小径化に伴い相対的に小さくなる。
ステップS32では、エンコーダーにより搬送ベルトの単位時間当たりの駆動量F1を計測する。つまり、第1速度検出部76がエンコーダー37のエンコーダー信号を入力したエッジ検出回路72が生成した基準パルス信号RS1を入力し、基準パルス信号RS1に基づいて搬送機構30の単位時間当たりの駆動量F1、つまり搬送ベルト33の駆動速度Vdを検出する。なお、本実施形態では、このステップS32の処理が、「第1検出ステップ」の一例に相当する。
ステップS33では、イメージセンサーにより用紙の単位時間当たりの搬送量F2を計測する。つまり、第2センサー38がイメージセンサー39の検出信号Syに基づいて、用紙Pの単位時間当たりの搬送量F2、つまり用紙Pの搬送速度Vpを計測する。すなわち、第2センサー38は、イメージセンサー39が検出した用紙Pの単位時間To前の前回の位置y1と、今回の位置y2との差分を計算することで、単位時間To当たりの用紙Pの搬送量F2(=y1−y2)を計測する。なお、本実施形態では、このステップS33の処理が、「第2検出ステップ」の一例に相当する。
こうしてステップS32,S33の処理により、目標搬送速度Vcで搬送中の用紙Pに、各吐出ヘッド16から補正なしの基準パルス信号RS1に基づく吐出周期Tjで、インク滴が吐出されることで、1ページ目の用紙Pに印刷がなされる。
ステップS34では、目標搬送速度VcをF1/F2倍に設定して、搬送モーター35を速度制御する。つまり、Vc=Vc・F1/F2に設定して、搬送ベルト33の駆動速度を制御する。
ステップS35では、周期TjをF1/F2倍に設定して、吐出ヘッド16からインクを吐出する吐出制御を行う。つまり、Tj=Tj・F1/F2に設定して、吐出ヘッド16からインクを吐出する吐出制御を行う。ここで、コントローラー50は、F1/F2比で示される補正値を補正回路73に指示する。補正回路73は、エッジ検出回路72から入力した基準パルス信号RS1のパルス周期をF1/F2倍に補正して基準パルス信号RS2を生成し、その基準パルス信号RS2を印刷タイミング発生回路74に出力する。印刷タイミング発生回路74は、この基準パルス信号RS2を逓倍した周期Tjを有する吐出タイミング信号PTSを、そのときのディレイ値Dpから決まるタイミングで出力する。なお、本実施形態では、ステップS34及びS35の処理が、「制御ステップ」の一例に相当する。
ステップS36では、現在ページの印刷を終了したか否かを判断する。現在ページの印刷を終了していなければ、ステップS32に戻り、目標搬送速度VcをF1/F2倍に設定して、搬送機構30の搬送制御を継続するとともに(S32〜S34)、周期TjをF1/F2倍に設定して、吐出ヘッド16からインクを吐出する吐出タイミングの制御を継続する(S32,S33,S35)。そして、現在ページの印刷を終了すると、ステップS37に進む。
ステップS37では、印刷を終了したか否かを判断する。印刷を終了していなければ、ステップS38に進んで次ページの印刷を開始する。そして、次ページの用紙について、ステップS32〜S36の各処理を同様に行って、次ページの用紙への印刷を行う。そして、全ページの印刷を終えると(S37で肯定判定)、当該印刷制御を終了する。
こうして1枚目の用紙Pから、搬送速度の補正と吐出タイミングの補正とが行われるので、全てのページで高い印刷品質の印刷を行うことができる。
以上詳述したように第2実施形態によれば、前記第1実施形態における効果(1)〜(8)が同様に得られる他、以下に示す効果を得ることができる。
(12)イメージセンサー39を、吐出ヘッド16のノズル列よりも用紙Pの搬送方向上流側の位置に配置したので、用紙Pにインクの吐出を開始する前に、コントローラー50は、搬送速度又は吐出タイミングを補正できる。よって、インクを吐出する1枚目の用紙Pからコントローラー50による補正を行うことができる。
(第3実施形態)
次に図16を参照して、第3実施形態について説明する。本実施形態では、コントローラー50が、第2センサー38の検出信号を用いて用紙Pのスキューを補正する。なお、第1実施形態と共通の構成については説明を省略し、特に第1実施形態と異なる点のみを説明する。
図16に示すように、搬送機構30は、幅方向Wの両側に配置されてそれぞれ独立して駆動される一対のベルト搬送機構30A,30Bを備えたベルト搬送機構である。すなわち、搬送機構30は、第1ベルト搬送機構30Aと第2ベルト搬送機構30Bとを備えている。
図16に示すように、第1ベルト搬送機構30Aは、搬送方向Yに所定の間隔を離して配置された一対のローラー31A,32Aと、一対のローラー31A,32Aに巻き掛けられた無端状の第1搬送ベルト33Aとを備えている。さらに第1ベルト搬送機構30Aは、ローラー31Aを駆動する動力源の一例としての第1搬送モーター35Aと、ローラー31Aの回転を検出するロータリーエンコーダー37Aを有する第1センサー36Aとを備えている。
また、第2ベルト搬送機構30Bは、搬送方向Yに所定の間隔を離して配置された一対のローラー31B,32Bと、一対のローラー31B,32Bに巻き掛けられた無端状の第2搬送ベルト33Bとを備えている。さらに第2ベルト搬送機構30Bは、ローラー31Bを駆動する動力源の一例としての第2搬送モーター35Bと、ローラー31Bの回転を検出するロータリーエンコーダー37Bを有する第1センサー36Bとを備えている。
吐出ユニット15よりも搬送方向上流側の位置には、搬送される用紙Pのうち第1搬送ベルト33Aに載置される部分を検出エリアとするイメージセンサー39と、搬送される用紙Pのうち第2搬送ベルト33Bに載置される部分を検出エリアとするイメージセンサー39とが配置されている。そして、それぞれ異なる搬送ベルト33A,33B上の用紙Pの部分を検出するイメージセンサー39の検出信号により、各第2センサー38は、搬送中の用紙Pの幅方向Wに異なる複数箇所(図16の例では2箇所)における移動方向及び単位時間当たりの搬送量F2(つまり搬送速度Vp)を検出する。
制御部の一例としてのコントローラー50には、2つのロータリーエンコーダー37A,37Bからのエンコーダー信号と、2つのイメージセンサー39からの検出信号とが入力される。また、コントローラー50は、2つの搬送モーター35A,35Bを個別に駆動制御し、複数の搬送ベルト33A,33Bの駆動速度をそれぞれ個別に制御する。
また、コントローラー50は、一対の第2センサー38がそれぞれ検出した用紙Pの幅方向Wの両側の部分における移動方向及び移動速度に基づいて、用紙Pのスキューを検出する。コントローラー50は、一対の第2センサー38がそれぞれ検出した用紙Pの幅方向Wの両側の部分で移動方向が搬送方向Yと異なる場合や、一対の第2センサー38がそれぞれ検出した用紙Pの幅方向Wの両側の部分で搬送量が異なる場合に、用紙Pのスキューを検出する。
よって、コントローラー50は、第2センサー38により用紙Pのスキューを検出し、その検出したスキューを小さくするように二つの搬送モーター35A,35Bを制御する。例えば用紙Pの幅方向Wの両側の部分で搬送速度が異なる場合、搬送速度が遅い側の搬送ベルトを駆動する搬送モーターの駆動速度を上昇させ、搬送速度が速い側の搬送ベルトを駆動する搬送モーターの駆動速度を減少させる。これにより、搬送ベルト33A,33Bにより搬送される用紙Pの搬送速度を目標搬送速度に維持しつつ、用紙Pのスキューを小さくすることができる。こうして用紙Pがどちらの向きにスキューしても、2つの搬送モーター35A,35Bの制御により、用紙Pのスキューを小さくすることができる。
なお、本実施形態では、第1及び第2実施形態で行った搬送速度の補正及び吐出タイミングの補正は、複数の第2センサー38の検出信号と複数のロータリーエンコーダー37A,37Bのエンコーダー信号とに基づいて行っている。但し、複数のうち一つの第2センサー38の検出信号と一つのロータリーエンコーダーのエンコーダー信号とに基づいて行ってもよい。また、スキュー検出用に2つの第2センサー38(イメージセンサー39)を設けたが、1つの第2センサー38によりスキューを検出してもよい。第2センサー38を1つとする場合は、用紙Pの幅方向Wの中心位置を検出対象とするのが好ましい。
以上詳述したように第3実施形態によれば、前記第1実施形態における効果(1)〜(8)が同様に得られる他、以下に示す効果を得ることができる。
(13)搬送機構30は、用紙Pの搬送方向Yと交差する幅方向Wに並ぶ複数の搬送ベルト33A,33Bと、複数の搬送ベルト33A,33Bを幅方向Wの両側で独立に駆動する二つの動力源の一例として搬送モーター35A,35Bとを備える。コントローラー50は、第2センサー38により用紙Pのスキューを検出し、検出したスキューを小さくするように二つの搬送モーター35A,35Bを制御する。よって、搬送機構30による用紙Pの搬送中に用紙Pのスキューを小さくする補正をすることができる。よって、スキューに起因する用紙Pに対するインクの着弾位置のずれを小さく抑えることができる。例えばエンコーダー37からのエンコーダー信号に基づき搬送モーター35A,35Bを同じ回転速度で駆動しているにも関わらず、用紙Pのスキューが発生した場合に各搬送モーター35A,35Bの制御により、用紙Pのスキューを小さくすることができる。よって、用紙Pに高い印刷品質で印刷をすることができる。
(第4実施形態)
次に図17を参照して、第4実施形態について説明する。本実施形態では、搬送機構がローラー搬送方式である例である。なお、第1実施形態と共通の構成は説明を省略し、特に異なる点のみを説明する。
図17に示すように、印刷装置11は、ラインヘッドユニットからなる吐出ユニット15と、吐出ユニット15と対向する位置に配置され、搬送される用紙Pを支持する支持面100aを有する支持台100とを備えている。また、印刷装置11は、吐出ユニット15と支持台100との間の搬送経路に沿って用紙Pを搬送方向Yに搬送可能なローラー搬送方式の搬送機構30を備えている。搬送機構30は、搬送方向Yに支持台100を挟んだ両側に配置された上流側に位置する搬送ローラー対101と下流側に位置する排出ローラー対102とを備える。搬送ローラー対101の搬送方向Yの上流側には、搬送ローラー対42が設けられている。搬送ローラー対101は、動力源の一例としての搬送モーター35の動力に基づいて回転する駆動ローラー103と、駆動ローラー103の回転に連れ回りする従動ローラー104とを備える。また、排出ローラー対102は、同じく搬送モーター35の動力で回転する駆動ローラー105と、駆動ローラー105の回転に連れ回りする歯付きローラー106とを備える。この歯付きローラー106に対して搬送方向Yの上流側と下流側には同様の歯付きローラー107が複数個設けられている。吐出ユニット15が例えばマルチヘッドタイプの場合、吐出ユニット15は支持台100の支持面100aと所定のギャップを隔てて対向する複数の吐出ヘッド16を有する。また、搬送方向Yに支持台100を挟んだ両側に位置する小ローラー108と歯付きローラー107によって、用紙Pは支持面100aと平行に案内される。このため、支持面100aに押さえ付けられた用紙Pの部分には、吐出ヘッド16のノズルから所定のギャップを隔ててインク滴が吐出される。
印刷装置11には、搬送ローラー対101の駆動ローラー103の回転を検出するロータリーエンコーダー37が設けられている。コントローラー50は、エンコーダー37から入力するエンコーダー信号ESに基づき、ローラー搬送方式の搬送機構30のうち用紙Pと接触して用紙Pに搬送力を付与する搬送部の一例である駆動ローラー103の駆動量を検出する。また、吐出ユニット15よりも搬送方向Yの上流側には、用紙Pを検出対象として用紙Pの位置を検出するイメージセンサー39が、不図示のブラケットに支持された状態で配置されている。第2センサー38は、イメージセンサー39が用紙Pの表面を経時的に撮像して取得した前回と今回の2次元画像データの差分に基づき検出した用紙Pの搬送方向Yの位置を示す検出信号Syから、用紙Pの搬送量F2を検出する。
そして、コントローラー50は、エンコーダー37により検出された駆動ローラー103の単位時間当たりの駆動量F1(回転駆動量)と、イメージセンサー39の検出信号に基づき第2センサー38が検出した用紙Pの単位時間当たりの搬送量F2とに基づいて、搬送モーター35の駆動速度の補正及び吐出ヘッド16の吐出タイミングの補正を行う。コントローラー50は、図15に示す印刷制御ルーチンを実行する。但し、ローラー搬送方式のこの例では、搬送ベルトに替え、駆動ローラー103の駆動速度を補正する。なお、図17に二点鎖線で示すイメージセンサー39を、支持面100aから吐出ヘッド16側に露出する状態で支持台100に埋設し、吐出ユニット15と用紙Pの搬送経路を挟んで対向する位置に配置した構成も採用できる。この構成の場合、コントローラー50は、図14に示す印刷制御ルーチンを実行する。但し、搬送ベルトに替え、駆動ローラー103の駆動速度を補正する。このようなローラー搬送方式の搬送機構30であっても、第1実施形態及び第2実施形態の効果(1)〜(12)を同様に得ることができる。
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・搬送機構30と吐出ヘッド16とのうち少なくとも一方の制御を補正すればよい。例えば吐出ヘッドの吐出タイミング制御については補正せず搬送機構30の駆動制御を補正してもよいし、搬送機構30の駆動制御については補正せず吐出ヘッド16の吐出タイミング制御を補正してもよい。また、吐出ヘッドの吐出タイミングの補正は、周期Tj及びディレイ値Dpの補正に限定されず、周期Tjのみの補正、ディレイ値Dpのみの補正でもよい。例えば図12に示すように、速度が変動する場合でも、速度の平均値が目標搬送速度Vcである場合、例えばローラー31の偏心による速度変動の場合は、ディレイ値Dpの補正だけでも対応できる。
・第1実施形態において、吐出ヘッド16よりも搬送方向上流側で用紙Pを検出するイメージセンサーを追加し、1ページ目から駆動量F1と搬送量F2とに基づく補正を行ってもよい。
・駆動量F1と搬送量F2とに基づく補正値は、比(F1/F2)に限定されず、例えば差ΔF(=F1−F2)でもよい。
・コントローラー50が、単位時間当たりの駆動量F1と搬送量F2とに基づき、搬送機構30による媒体の搬送量と搬送速度との両方を補正してもよい。また、コントローラー50が、搬送機構30による媒体の搬送量を補正するが搬送速度を補正しない構成でもよい。この構成によれば、コントローラー50により、第1センサー36により検出された搬送機構30の駆動量と、第2センサー38により検出された用紙Pの搬送量とに基づいて、搬送機構30による用紙Pの搬送量又は搬送速度が補正される。
・第1検出部は、ローラーの回転の検出するエンコーダーに替え、特許文献3に記載の搬送ベルトに形成された磁気スケール等のスケールを検出対象として搬送ベルトの駆動量を直接検出するエンコーダーでもよい。この構成によっても、搬送ベルトと用紙Pとの滑り等に起因して、搬送ベルトの駆動量F1と用紙Pの搬送量F2との対応がずれている場合でも、搬送制御と吐出制御とのうち少なくとも一方を補正することで、印刷品質の低下を小さく抑えることができる。
・第1検出部をイメージセンサーにしてもよい。例えばイメージセンサーによりローラーの外周面を検出してローラーの駆動量を取得したり、イメージセンサーにより搬送ベルトを検出対象として搬送ベルトの駆動量を検出したりしてもよい。
・シリアルプリンターに適用してもよい。シリアルプリンターでは、例えば図17において吐出ユニット15が、用紙Pの搬送方向Yと交差する走査方向(幅方向Wに同じ)に往復移動可能なキャリッジに置き換わる。コントローラー50は、搬送速度の補正及び吐出タイミングの補正に加え、用紙Pを搬送方向Yに間欠的に搬送させるときに次の印刷位置まで用紙Pを搬送させる搬送部及び回転ローラーの一例としての搬送ローラーの駆動量を補正する。例えば、コントローラー50は、次の印刷位置まで用紙Pを搬送させるための目標搬送量ΔYを取得すると、この目標搬送量ΔYを駆動量F1と搬送量F2とに基づく補正値で補正した値(例えばΔY・F1/F2)を新たな目標搬送量とし、この補正後の目標搬送量(目標駆動量)に達するまで搬送モーター35を駆動させる。なお、シリアルプリンターの搬送機構は、ベルト搬送方式であってもよい、
・第1検出部の一例を構成する第1センサー36を、ロータリーエンコーダーに替え、イメージセンサーとし、搬送機構の駆動量もイメージセンサーで検出してもよい。例えばベルト搬送方式の搬送機構では、搬送ベルト33をイメージセンサーで検出して搬送ベルト33の単位時間当たりの駆動量を取得したり、ローラー搬送方式の搬送機構では搬送ローラー対を構成する駆動ローラーの周面をイメージセンサーで検出して駆動ローラーの単位時間当たりの駆動量を取得したりしてもよい。
・媒体をイメージセンサー以外のセンサーにより検出してもよい。例えば媒体の非印刷領域(余白等)又は裏面(非印刷面)にマークを一定ピッチで施し、マークを検出して用紙Pの搬送量又は搬送速度を検出してもよい。
・液体吐出装置は、例えばキャリッジが主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能なラテラル式プリンターに適用してもよい。
・コントローラー50内の印刷制御部81内に構築される各機能部は、プログラムを実行するコンピューターによりソフトウェアで実現されたり、例えばFPGA(field-programmable gate array)やASIC(Application Specific IC)等の電子回路によりハードウェアで実現されたり、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されたりしてもよい。
・吐出対象物は、用紙等の媒体に限定されず、樹脂製のフィルムやシート、樹脂と金属の複合体フィルム(ラミネートフィルム)、織物、不織布、金属箔、金属フィルム、セラミックシートなどであってもよい。また、用紙やシート等の平坦形状のものに限らず、円柱、円錐、多角錐等の所定形状を有する立体物でもよい。
・液体吐出装置は、用紙等の媒体に印刷を行う印刷装置に限らず、液体吐出方式(例えばインクジェット方式)で樹脂液滴を吐出して三次元立体物(吐出対象物の一例)を成形する液体吐出装置でもよい。このような媒体の搬送速度と搬送部の駆動速度とに基づいて搬送速度の補正及び吐出タイミングの補正をすることで、着弾位置の精度を高めることができるので、精度の高い三次元立体物を成形できる。
・液体吐出装置は、前記実施形態におけるインクを吐出するプリンター(印刷装置)に限定されず、インク以外の他の液体を吐出したりする液体吐出装置であってもよい。なお、液体吐出装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体は、液体吐出装置から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体を含むものとする。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する液体吐出装置がある。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する液体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置であってもよい。また、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液体吐出装置であってもよい。
11…液体吐出装置の一例としての印刷装置、15…吐出部の一例としての吐出ユニット、16…液体吐出部の一例を構成する吐出ヘッド、30…搬送機構(ベルト搬送機構)、31,31A,31B…回転ローラーの一例としてのローラー、32,32A,32B…ローラー、33,33A,33B…搬送ベルト、35,35A,35B…動力源の一例としての搬送モーター、36…第1検出部の一例としての第1センサー、37…第1検出部を構成するエンコーダー、38…第2検出部の一例としての第2センサー、39…第2検出部を構成するイメージセンサー、50…制御部の一例としてのコントローラー、73…補正回路、76…第1速度検出部、91…第2速度検出部、92…補正部、94…吐出タイミング信号生成部、P…媒体の一例としての用紙、Y…搬送方向、W…幅方向、OP…隙間、N1〜N4…ノズル列、Sy…検出信号、F1…搬送ベルトの駆動量、F2…用紙の搬送量、Vd…駆動速度、Vp…搬送速度(移動速度)、RS2…基準パルス信号、PTS…吐出タイミング信号。

Claims (14)

  1. 媒体に液体を吐出する液体吐出装置であって、
    媒体を搬送する搬送機構と、
    前記媒体に液体を吐出する液体吐出部と、
    前記搬送機構の駆動量を検出する第1検出部と、
    前記搬送機構の駆動量に対応する前記媒体の搬送量を、前記媒体を検出対象として検出する第2検出部と、
    前記搬送機構と前記液体吐出部とを制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記第1検出部が検出した前記搬送機構の駆動量と、前記第2検出部が検出した前記媒体の搬送量とに基づいて、前記搬送機構と前記液体吐出部とのうち少なくとも一方の制御を補正することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記制御部は、前記搬送機構の駆動量又は駆動速度を補正することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記制御部は、前記液体吐出部の液体の吐出タイミングを補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記第1検出部は、前記搬送機構の駆動量を検出可能なエンコーダーを有し、
    前記制御部は、前記エンコーダーの検出信号を入力して前記駆動量と前記搬送量とに基づいて信号のパルス周期を補正した基準パルス信号を生成し、当該基準パルス信号に基づき前記液体吐出部の吐出タイミングを規定する吐出タイミング信号を生成することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
  5. 前記第1検出部は、前記搬送機構を構成する回転ローラーの回転量を検出可能なエンコーダーを有し、
    前記制御部は、前記第1検出部と前記第2検出部との検出時点から前記エンコーダーが前記回転ローラーの1回転を検出し終わる前に、前記液体吐出部に前記駆動量と前記搬送量とに基づき補正した吐出タイミングで液体を吐出させることを特徴とする請求項3又は4に記載の液体吐出装置。
  6. 前記第1検出部と前記第2検出部は、前記搬送機構による前記媒体の1ページ分の搬送中に、前記搬送機構の駆動量と前記媒体の搬送量とを検出し、
    前記制御部は、同じページの前記媒体の搬送中に、前記駆動量と前記搬送量とに基づき補正した吐出タイミングで前記液体吐出部に液体を吐出させることを特徴とする請求項3又は4に記載の液体吐出装置。
  7. 前記第2検出部は、前記媒体の2次元の画像データを経時的に取得するイメージセンサーを有し、
    経時的に取得した2次元の画像データに基づき前記媒体の搬送量を単位時間毎に検出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  8. 前記制御部は、前記イメージセンサーが前記搬送量を検出するために取得した前回と今回の画像データのうち今回の画像データの次の画像データを取得する前に、前記駆動量と前記搬送量とに基づき補正した吐出タイミングで前記液体吐出部に液体を吐出させることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
  9. 前記イメージセンサーは、前記液体吐出部のノズル列よりも前記媒体の搬送方向上流側の位置に配置されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の液体吐出装置。
  10. 前記イメージセンサーは、前記液体吐出部と前記媒体の搬送経路を挟んで対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の液体吐出装置。
  11. 前記搬送機構は、前記液体吐出部と対向する搬送位置と、前記搬送位置から前記液体吐出部から離れる方向へ退避した退避位置との間を移動可能に構成され、
    前記イメージセンサーは、前記搬送機構に設けられ、
    前記液体吐出部は、前記搬送機構が退避位置に移動した状態の下で、メンテナンスを目的として液体を吐出することを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
  12. 前記搬送機構は、前記媒体を搬送する複数の搬送ベルトを備えたベルト搬送機構であり、
    前記イメージセンサーは、前記複数の搬送ベルト間の隙間から媒体の前記搬送ベルトに載置される側の面を検出することを特徴とする請求項11に記載の液体吐出装置。
  13. 前記搬送機構は、媒体の搬送方向と交差する幅方向に並ぶ複数の搬送ベルトと、
    前記複数の搬送ベルトを前記幅方向の両側で独立に駆動する二つの動力源と、を備え、
    前記制御部は、前記イメージセンサーが経時的に取得した画像データに基づき前記媒体のスキューを検出し、検出した前記スキューを小さくするように前記二つの動力源を制御することを特徴とする請求項7乃至12のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
  14. 液体吐出部から媒体に液体を吐出する液体吐出方法であって、
    媒体を搬送する搬送機構の駆動量を検出する第1検出ステップと、
    前記媒体を検出対象として前記搬送機構の駆動量に対応する前記媒体の搬送量を検出する第2検出ステップと、
    前記搬送機構と前記液体吐出部とを制御する制御ステップと、を備え、
    前記制御ステップでは、検出された前記駆動量と前記搬送量とに基づいて、前記搬送機構と前記液体吐出部とのうち少なくとも一方の制御を補正することを特徴とする液体吐出方法。
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