JP2016180142A - 溶銑予備処理方法 - Google Patents

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喜雄 鈴木
幸介 齋藤
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Abstract

【課題】溶銑予備処理炉内の耐火物溶損の発生を抑止しつつ、炉壁に付着した地金を除去できる溶銑予備処理方法の提供。
【解決手段】鉛直下方を向く先端に斜め下方かつ略等角度間隔で配設されるn個のノズルを有する上吹きランス2と、不活性ガスの吐出による撹拌機構3とを用い、転炉型溶銑予備処理炉1の溶銑Mへの脱珪及び脱炭処理を行う溶銑予備処理方法であって、上記脱珪及び脱炭処理と共にCOガスを含むスラグSを予備処理炉1の炉壁1aに沿って形成する工程と、予備処理炉1の炉壁1aに形成される地金BをスラグS中のCOガスの燃焼により溶解する工程とを備えており、スラグS形成工程における上吹きランス2の酸素ガスGの溶銑面衝突圧力が1600〜6500Pa、上記地金溶解工程における上吹きランス2の酸素ガスGの溶銑面衝突圧力が200〜1200Paである溶銑予備処理方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶銑予備処理方法に関する。
溶銑予備処理炉では、一般に脱珪、脱燐、脱炭等の溶銑予備処理が行われる。これらの処理は、例えば溶銑予備処理炉の炉口から酸素吹き込み用のランスを挿入し、このランスから溶銑面に高速の酸素を吹き付ける、いわゆる酸素ガスの上吹きによって行われる。この上吹き酸素ガスの溶銑面への衝突圧は特に脱燐処理において大きくされる。この場合、上吹き酸素ガスにより脱炭してC含有量が3%以下となった融点の高い溶銑が飛散して、炉壁に接触することがある。この接触した溶銑は地金として炉壁に付着する。このような地金が出湯口手前に付着すると、出湯時に地金が堰となり、炉内残銑が発生し易い。このため溶銑の歩留まりが低下するおそれがある。
この地金は融点が高いため、二次燃焼により溶解除去しようとすると、溶銑予備処理炉内の耐火物の溶損が発生するおそれがある。そこで、耐火物の溶損を抑止しつつ、二次燃焼により地金を溶解除去するランスが提案されている(特開平08−232010号公報)。このランスは、ノズル出口の形状を工夫することで、炉口方向に酸素ガスの流れを作り、炉口付近の地金溶解を促進している。
しかしながら、この従来のランスを用いた溶銑予備処理では、炉口付近を対象として地金を溶解しているため、炉口付近を除く炉壁の地金の除去は、十分なものとはいえない。
特開平08−232010号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、溶銑予備処理炉内の耐火物溶損の発生を抑止しつつ、炉壁に付着した地金を除去できる溶銑予備処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、脱珪及び脱炭処理を行う際に所定の条件下でCOガスを含むスラグを炉壁に形成し、上記スラグ中のCOガスの燃焼により地金を溶解することで、溶銑予備処理炉内の耐火物溶損の発生を抑止しつつ、炉壁に付着した地金を除去できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、上記課題を解決するためになされた本発明の溶銑予備処理方法は、鉛直下方を向く先端に斜め下方かつ略等角度間隔で配設されるn個のノズルを有する上吹きランスと、不活性ガスの吐出による撹拌機構とを用い、転炉型溶銑予備処理炉の溶銑への脱珪及び脱炭処理を行う溶銑予備処理方法であって、上記脱珪及び脱炭処理と共にCOガスを含むスラグを上記予備処理炉の炉壁に沿って形成する工程と、上記予備処理炉の炉壁に形成される地金を上記スラグ中のCOガスの燃焼により溶解する工程とを備えており、上記スラグ形成工程における上記上吹きランスの酸素ガスの溶銑面衝突圧力が1600Pa以上6500Pa以下、上記撹拌機構による不活性ガスの撹拌投入エネルギーが900W/t以上2400W/t以下、脱珪前の溶銑中のSi濃度をSi[質量%]とするときの溶銑への酸素ガス供給量が8.3×Si+1.9[Nm/t]以上8.3×Si+4.1[Nm/t]以下であり、上記地金溶解工程における上記上吹きランスの酸素ガスの溶銑面衝突圧力が200Pa以上1200Pa以下、上記撹拌機構による不活性ガスの撹拌投入エネルギーが300W/t以上2100W/t以下、溶銑への酸素ガス供給量が3.3Nm/t以上7.1Nm/t以下であり、上吹きランスの中心軸が溶銑面と交わる点と炉壁との最短距離をJ[mm]、下記式(1)により算出される上吹きランスの中心軸が溶銑面と交わる点から酸素ガスの溶銑面衝突領域内で最も遠い点と炉壁との最短距離をI[mm]とするとき、I/Jが0.08以上0.25以下であることを特徴とする。
Figure 2016180142
ただし、Kは、上吹きランスの中心軸からノズル出口最外周までの距離[mm]である。Hは、上吹きランスのノズル出口から溶銑面までの距離(上吹きランス高さ)[mm]である。Xcは、上吹きランスのノズルから吐出後のガスジェットのハードコア長さ[mm]である。θは、上吹きランスのノズル傾斜角度[°]である。αは、上記ガスジェットの広がり角[°]である。
当該溶銑予備処理方法は、スラグ形成工程において、COガスを含むスラグを上記炉壁に沿って形成し、地金溶解工程においてこのスラグ中のCOガスの二次燃焼により炉壁に付着した地金を溶解し除去する。また、当該溶銑予備処理方法は、上記スラグ形成工程において、上吹きによる酸素ガスの溶銑面衝突圧力、不活性ガスの撹拌投入エネルギー、及び溶銑への酸素ガス供給量を上記範囲内とするので、溶銑予備処理炉内の耐火物溶損の発生を抑止しつつスラグを形成できる。また、当該溶銑予備処理方法は、地金溶解工程において、上吹きによる酸素ガスの溶銑面衝突圧力、不活性ガスの撹拌投入エネルギー、溶銑への酸素ガス供給量及び上記I/Jを上記範囲内とするので、溶銑予備処理炉内の耐火物溶損の発生を抑止しつつ、炉壁に付着した地金を溶解し除去できる。従って、当該溶銑予備処理方法は、溶銑予備処理炉内の耐火物溶損の発生を抑止しつつ、溶銑の歩留まりの低下を抑止できる。
平均溶銑面を基準とする転炉型溶銑予備処理炉の平均炉口高さをY[mm]、上記スラグ形成工程において形成される上記スラグの平均高さをZ[mm]とするとき、Z/Yとしては、0.3以上0.65以下が好ましい。地金は平均溶銑面から転炉型溶銑予備処理炉の平均炉口高さの0.3倍以上0.65倍以下の高さの範囲の炉壁に付着し易い。そのため、このようにZ/Yを上記範囲内とすることで上記スラグが地金の付着する炉壁部分を覆うように形成されるので、より確実に耐火物溶損の発生を抑止しつつ、炉壁に付着した地金を除去できる。
ここで、「溶銑面」とは、上吹き等の処理を行わない静止状態での溶銑の表面を意味する。また、「溶銑面衝突領域」とは、溶銑面のうち上吹きランスから吐出された酸素ガスが衝突する部分を指す。
また、「酸素ガスの溶銑面衝突圧力」とは、以下の式(2)で表されるPs[Pa]を意味する。
Figure 2016180142
上記式(2)において、Cは、酸素ガスの吐出速度の音速に対する比(マッハ数)Mを用いて下記式(3)で表される値である。また、Xは、酸素ガスを吐出するノズルの出口径D[mm]を用いて下記式(4)で算出される無次元距離であり、X は、下記式(5)で定義される無次元の仮想原点である。また、P0(X =15)は、下記式(6)で算出される値であり、無次元距離X=15における絶対圧力[Pa]である。
Figure 2016180142
なお、マッハ数M、無次元距離X=0における絶対圧力P0(X =0)は下記式(7)及び(8)でそれぞれ算出できる。また、ノズル出口径Dは、一般に圧力損失が少なくなるように決められ、ノズルスロート径d[mm]を用いて下記式(9)により算出できる。
Figure 2016180142
ここで各変数の意味は以下の通りである。なお、既出の変数名と同一のものは説明を省略する。κは、定圧モル比熱の定積モル比熱に対する比(比熱比)であり、酸素の場合は、1.4である。Patmは、大気圧であり、101325Paである。Rは、気体定数であり、8314Pa・m/K/kmolである。Tは、上吹きランスのノズル入口の酸素ガス温度[K]であり、室温(298K)とする。Aは、上吹きランスのノズルスロート部の断面積[m]である。mは、酸素ガスの分子量であり、32である。QTmは、上吹き酸素ガスの質量流量[kg/s]であり、上吹き酸素ガス流量Q[Nm/min]を用いて、下記式(10)より算出される。
Figure 2016180142
また、「撹拌投入エネルギー」とは、「森一美、佐野正道、「インジェクション冶金の動力学」;鉄と鋼,第67巻(1981年),第6号,687頁」に記載されている下記式(11)で表されるε[W/t]を意味する。
Figure 2016180142
ここで各変数の意味は以下の通りである。なお、既出の変数名と同一のものは説明を省略する。Qは、撹拌機構の不活性ガス流量[Nm/min]である。Tは、溶銑温度[K]である。Wは、溶銑重量[t]である。ρは、溶銑密度[kg/m]である。gは、重力加速度[m/s]であり、9.8m/sである。hは、炉内溶銑の平均深さ[m]である。
また、上記式(1)のガスジェットのハードコア長さXc[mm]は、ノズル前圧力Po[kgf/cm]を用いて下記式(12)を用いて算出できる。ここで、ノズル前圧力Poは下記式(13)を用いて算出できる。
Figure 2016180142
ここで各変数の意味は以下の通りである。なお、既出の変数名と同一のものは説明を省略する。FO2は、上吹き酸素ガス速度[Nm/hr]である。nは、上吹きランスのノズル数である。εは、流量係数であり、0.85である。
以上説明したように、本発明の溶銑予備処理方法は、溶銑予備処理炉内の耐火物溶損の発生を抑止しつつ、炉壁に付着した地金を除去することができる。
本発明の一実施形態の溶銑予備処理方法のスラグ形成工程における溶銑予備処理炉の模式的断面図である。 図1の溶銑予備処理方法の地金溶解工程における溶銑予備処理炉の模式的断面図である。 図1の溶銑予備処理方法に使用する上吹きランスの酸素ガス吐出状態を表す模式的部分断面図である。 図3の酸素ガスの溶銑面衝突領域を示す模式的上面図である。
以下、本発明に係る溶銑予備処理方法の実施形態について図を参照しつつ説明する。
当該溶銑予備処理方法は、上吹きランスと撹拌機構とを用い、転炉型溶銑予備処理炉の溶銑への脱珪及び脱炭処理を行う溶銑予備処理方法である。また、当該溶銑予備処理方法は、上記脱珪及び脱炭処理と共にCOガスを含むスラグを上記予備処理炉の炉壁に沿って形成する工程と、上記予備処理炉の炉壁に形成される地金を上記スラグ中のCOガスの燃焼により溶解する工程とを備える。
<転炉型溶銑予備処理炉>
図1及び図2に示す転炉型溶銑予備処理炉1は、上底吹き転炉であり、上吹きランス2と、撹拌機構としての底吹き羽口3及びインジェクションランス4とを備える。また、転炉型溶銑予備処理炉1は、1又は複数回の溶銑予備処理が行われた後の状態の炉であり、脱燐処理等により炉壁1aに地金Bが付着している。
転炉型溶銑予備処理炉1の容量としては、特に限定されないが、例えば50t以上250t以下とできる。
高炉から出銑される溶銑Mには、一般に0.2質量%以上1.0質量%以下の珪素や4.5質量%以上4.8質量%以下の炭素が含まれる。この珪素や炭素は、転炉型溶銑予備処理炉1での脱珪及び脱炭処理により除去される。この際に脱珪及び脱炭処理後の塩基度を調整する目的で、CaO等の副原料を溶銑Mに投入してもよい。
上記脱珪及び脱炭処理を行うには、まず転炉型溶銑予備処理炉1に溶銑Mを装入すると共にCaO等の副原料を投入する。次に転炉型溶銑予備処理炉1の炉口から上吹きランス2を挿入し、この上吹きランス2から酸素ガスGを溶銑Mに吹きつける。また、これと同時に転炉型溶銑予備処理炉1の底部に設けられた底吹き羽口3、及び炉口から溶銑中に差し込まれたインジェクションランス4から不活性ガスを溶銑Mに吹き込む。このように不活性ガスを溶銑Mに吹き込むことで、溶銑Mが撹拌され、溶銑Mに吹きつけられた酸素ガスGが、溶銑M中の珪素及び炭素と反応し、脱珪及び脱炭ができる。
上吹きランス2は、溶銑予備処理炉1の炉口から挿入され、その先端が溶銑Mの上側に配設され、鉛直下方を向く。また、上吹きランス2は、上記先端に斜め下方かつ略等角度間隔で配設されるn個のノズルを有する。上吹きランス2のノズル数としては、特に限定されないが、例えば2個以上5個以下とできる。また、上吹きランス2の高さは、酸素ガスGを溶銑Mに吹きつける際に所望する溶銑面衝突圧力等により決まるが、当該溶銑予備処理方法の場合、スラグ形成工程において1500mm以上2500mm以下、地金溶解工程において4000mm以上5500mm以下とできる。
上吹きランス2は、図3に示すように各ノズル21から酸素ガスGを吐出する。このノズル21の形状は略円錐台であり、ノズルスロート21a側が狭く、ノズル出口21bが広い。また、ノズル21は、ノズルスロート21aの中心とノズル出口21b中心とを結ぶ中心軸が、上吹きランスの中心軸Nから外側に向かって傾斜角度θ[°]で配設されている。
ノズル21から吐出された酸素ガスGは、中心流速が音速以上であるジェットコア領域ではほぼ直進し、その後、一定の広がり角度αで広がりながら溶銑面に衝突する。そして、衝突した酸素ガスGの一部が溶銑M中に供給される。
図4にノズル数が3である上吹きランス2から吐出された酸素ガスGによる溶銑面衝突領域M1を示す。図4に示すように上記酸素ガスGの溶銑面衝突領域M1は略円形状となり、通常ノズル21の数と同数存在する。ここで、上吹きランスの中心軸Nが溶銑面と交わる点N0と炉壁1aとの最短距離が距離J[mm]である。また、上吹きランス2の中心軸Nが溶銑面と交わる点N0から酸素ガスGの溶銑面衝突領域M1内で最も遠い点M10と炉壁1aとの最短距離が距離I[mm]である。この距離I[mm]は、溶銑面及び溶銑面衝突領域M1を真円近似して、図3に示すように上記式(1)により算出できる。
底吹き羽口3は、溶銑予備処理炉1の底部に設けられている。この底吹き羽口3から不活性ガスを溶銑Mに吹き込むことによって溶銑Mが撹拌され、上述した酸素ガスGと珪素及び炭素との反応効率が高まる。
底吹き羽口3の羽口数としては、特に限定されないが、例えば2以上5以下とできる。また、使用する不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられ、中でも安価な窒素ガスが好ましい。
インジェクションランス4は、溶銑予備処理炉1の炉口から挿入され、その先端が溶銑M中に位置するように配設される。このインジェクションランス4から不活性ガスを溶銑Mに吹き込むことによって溶銑Mが撹拌され、上述した酸素ガスGと珪素及び炭素との反応効率が高まる。上記不活性ガスとしては、底吹きに用いる不活性ガスと同様とできる。
地金Bは、脱燐処理等において炉壁1aに付着した融点の高い溶銑である。この地金Bは平均溶銑面から転炉型溶銑予備処理炉1の平均炉口高さの0.3倍以上0.65倍以下の高さの範囲の炉壁1aに付着し易い。
<溶銑予備処理方法>
当該溶銑予備処理方法は、脱珪及び脱炭処理と共に行われる。当該溶銑予備処理方法を行う処理頻度の下限としては、40チャージに1回が好ましく、35チャージに1回がより好ましい。一方、当該溶銑予備処理方法を行う処理頻度の上限としては、20チャージに1回が好ましく、25チャージに1回がより好ましい。当該溶銑予備処理方法を行う処理頻度が上記下限未満である場合、炉内残銑により溶銑の歩留まりが低下するおそれがある。逆に、当該溶銑予備処理方法を行う処理頻度が上記上限を超える場合、溶銑予備処理のコストが増大するおそれがある。
以下、各工程について説明する。
(スラグ形成工程)
スラグ形成工程では、図1に示すように上吹きランス2から溶銑M中に酸素を供給して脱珪反応及び脱炭反応を進行させつつ、スラグSを形成する。このスラグSを形成する際に、脱炭反応で生成したCOガスの一部がスラグS中に懸濁する。また、脱珪反応及び脱炭反応を促進させるため、上記上吹きランス2からの酸素供給と共に、底吹き羽口3及びインジェクションランス4から不活性ガスを投入し、溶銑Mを撹拌する。
スラグ形成工程における上記上吹きによる酸素ガスGの溶銑面衝突圧力の下限としては、1600Paであり、2000Paがより好ましく、3000Paがさらに好ましい。一方、スラグ形成工程における上記上吹きによる酸素ガスGの溶銑面衝突圧力の上限としては、6500Paであり、5000Paがより好ましく、4000Paがさらに好ましい。スラグ形成工程における上記上吹きによる酸素ガスGの溶銑面衝突圧力が上記下限未満である場合、溶銑中に供給される酸素ガスGが不足し、十分に脱珪反応及び脱炭反応が進行しないおそれや、形成されるスラグSの溶銑面からの高さが不足し、地金Bの除去効果が低下するおそれがある。逆に、スラグ形成工程における上記上吹きによる酸素ガスGの溶銑面衝突圧力が上記上限を超える場合、溶銑Mの飛散により溶銑の歩留まりが低下するおそれや炉壁1aの地金付着量が増加し地金溶解工程で十分に地金Bを除去できないおそれがある。なお、上記酸素ガスGの溶銑面衝突圧力は、酸素ガスGの流量の増減又は上記上吹きランス2の溶銑面からの高さの増減により制御できる。
スラグ形成工程における不活性ガスによる撹拌投入エネルギー(底吹きによる投入エネルギーとインジェクションによる投入エネルギーとの和)の下限としては、900W/tであり、1000W/tがより好ましく、1100W/tがさらに好ましい。一方、スラグ形成工程における不活性ガスによる撹拌投入エネルギーの上限としては、2400W/tであり、1500W/tがより好ましく、1300W/tがさらに好ましい。スラグ形成工程における不活性ガスによる撹拌投入エネルギーが上記下限未満である場合、溶銑M中の酸素ガスGと珪素及び炭素との反応効率が向上せず、十分に脱珪反応及び脱炭反応が進行しないおそれや、形成されるスラグSの溶銑面からの高さが不足し、地金Bの除去効果が低下するおそれがある。逆に、スラグ形成工程における不活性ガスによる撹拌投入エネルギーが上記上限を超える場合、溶銑Mの飛散により溶銑の歩留まりが低下するおそれや炉壁1aの地金付着量が増加し地金溶解工程で十分に地金Bを除去できないおそれがある。なお、撹拌投入エネルギーは、上記底吹き羽口3又はインジェクションランス4からの不活性ガス流量の増減により制御できる。
スラグ形成工程における溶銑Mへの酸素ガス供給量の下限としては、脱珪前の溶銑M中のSi濃度をSi[質量%]とするとき、8.3×Si+1.9[Nm/t]であり、8.3×Si+2.5[Nm/t]がより好ましい。一方、スラグ形成工程における溶銑Mへの酸素ガス供給量の上限としては、8.3×Si+4.1[Nm/t]であり、8.3×Si+3.5[Nm/t]がより好ましい。ここで、第1項(8.3×Si)は、溶銑M中の珪素を全て反応させ二酸化珪素とするために必要な酸素供給量で、下記式(14)から導出される。ここで、Wは溶銑重量[t]であり、mSiはSiの原子量である。従って、第2項の定数部(8.3×Siを除く固定値)が溶銑M中の脱炭反応を進行させスラグSを形成するために必要な酸素量を意味する。スラグ形成工程における溶銑Mへの酸素ガス供給量が上記下限未満である場合、形成されるスラグSの溶銑面からの高さが不足し、地金Bの除去効果が低下するおそれがある。逆に、スラグ形成工程における溶銑Mへの酸素ガス供給量が上記上限を超える場合、形成されるスラグSの溶銑面からの高さが大きくなり過ぎ、地金Bよりも上方にある耐火物の溶損が発生するおそれがある。
Figure 2016180142
なお、溶銑M中の脱炭反応を進行させスラグSを形成するために必要な酸素量は、脱炭素効率、二次燃焼率、スラグSへのCOガス残留率及びガス温度から、スラグ高さが所定の範囲内となるように決定することができる。ここで、脱炭素効率は、脱炭量と脱珪外酸素量とから算出でき、二次燃焼率は、排ガス中のCO濃度の測定により算出できる。また、スラグSへのCOガス残留率は、スラグSの形成高さをマイクロ波レベル計を用いて測定することで算出したスラグ量から計算でき、ガス温度は、排ガス温度計で測定した温度を用いることができる。
平均溶銑面を基準とする転炉型溶銑予備処理炉1の平均炉口高さをY[mm]、スラグ形成工程において形成される上記スラグSの平均高さをZ[mm]とするとき、Z/Yの下限としては、0.3が好ましく、0.4がより好ましい。一方、上記Z/Yの上限としては、0.65が好ましく、0.6がより好ましい。上記Z/Yが上記下限未満である場合、地金Bの除去効果が低下するおそれがある。逆に、上記Z/Yが上記上限を超える場合、地金Bよりも上方にある耐火物の溶損が発生するおそれがある。これに対し、上記Z/Yを上記範囲内とすることで、上記スラグSが地金Bの付着する炉壁部分を覆うように形成されるので、より確実に耐火物溶損の発生を抑止しつつ、炉壁1aに付着した地金Bを除去できる。
(地金溶解工程)
地金溶解工程では、スラグ形成工程で形成したスラグS中のCOガスを二次燃焼させることにより高温となったスラグSで地金Bを溶解する。この工程では形成したスラグSの高さを維持しつつ効率良く二次燃焼させるために、上吹きランス2から溶銑M中に酸素を供給することにより脱炭処理とスラグS中のCOガスの二次燃焼とを促進させる。
地金溶解工程における上記上吹きによる酸素ガスGの溶銑面衝突圧力の下限としては、200Paであり、300Paがより好ましく、500Paがさらに好ましい。一方、地金溶解工程における上記上吹きによる酸素ガスGの溶銑面衝突圧力の上限としては、1200Paであり、900Paがより好ましく、700Paがさらに好ましい。地金溶解工程における上記上吹きによる酸素ガスGの溶銑面衝突圧力が上記下限未満である場合、溶銑中に供給される酸素ガスGが不足し、十分に脱炭反応が進行しないおそれがある。逆に、地金溶解工程における上記上吹きによる酸素ガスGの溶銑面衝突圧力が上記上限を超える場合、溶銑M中に供給される酸素の割合が増加するため、溶銑M中の炭素との脱炭反応の反応効率が高まり過ぎ、スラグS中のCOガスと酸素との反応効率が低下するおそれがある。
地金溶解工程における不活性ガスによる撹拌投入エネルギーは、スラグ形成工程において珪素の除去が行われているため、スラグ形成工程における不活性ガスによる撹拌投入エネルギーより減らすことができる。地金溶解工程における不活性ガスによる撹拌投入エネルギーの下限としては、300Wであり、500Wがより好ましく、700Wがさらに好ましい。一方、地金溶解工程における不活性ガスによる撹拌投入エネルギーの上限としては、2100Wであり、1500Wがより好ましく、1200Wがさらに好ましい。地金溶解工程における不活性ガスによる撹拌投入エネルギーが上記下限未満である場合、溶銑M中の酸素ガスGと炭素との反応効率が向上せず、十分に脱炭反応が進行しないおそれがある。逆に、地金溶解工程における不活性ガスによる撹拌投入エネルギーが上記上限を超える場合、溶銑M中の炭素との脱炭反応の反応効率が高まり過ぎ、スラグS中のCOガスと酸素との反応効率が低下するおそれがある。
地金溶解工程における溶銑Mへの酸素ガス供給量は、スラグ形成工程において珪素の除去が行われているため、スラグ形成工程における酸素ガス供給量より減らすことができる。地金溶解工程における溶銑Mへの酸素ガス供給量の下限としては、3.3Nm/tであり、4Nm/tがより好ましく、5Nm/tがさらに好ましい。一方、地金溶解工程における溶銑Mへの酸素ガス供給量の上限としては、7.1Nm/tであり、6.5Nm/tがより好ましく、6Nm/tがさらに好ましい。地金溶解工程における溶銑Mへの酸素ガス供給量が上記下限未満である場合、スラグSの高さが維持されず、地金Bの除去効果が低下するおそれがある。逆に、地金溶解工程における溶銑Mへの酸素ガス供給量が上記上限を超える場合、スラグSの溶銑面からの高さが大きくなり過ぎ、地金Bよりも上方にある耐火物の溶損が発生するおそれがある。
地金溶解工程における上吹きランス2の中心軸が溶銑面と交わる点N0と炉壁1aとの最短距離をJ[mm]、上吹きランス2の中心軸が溶銑面と交わる点N0から酸素ガスGの溶銑面衝突領域M1内で最も遠い点M10と炉壁1aとの最短距離をI[mm]とするとき、I/Jの下限としては、0.08であり、0.1がより好ましく、0.12がさらに好ましい。一方、上記I/Jの上限としては、0.25であり、0.2がより好ましく、0.18がさらに好ましい。上記I/Jが上記下限未満である場合、火点が炉壁1aに近づき過ぎるため、耐火物の溶損が発生するおそれがある。逆に、上記I/Jが上記上限を超える場合、スラグSの温度が十分に高まらず、地金Bの除去効果が低下するおそれがある。
(利点)
当該溶銑予備処理方法は、スラグ形成工程において、COガスを含むスラグSを転炉型溶銑予備処理炉1の炉壁1aに形成し、地金溶解工程においてこのスラグS中のCOガスの二次燃焼により炉壁1aに付着した地金Bを除去する。また、当該溶銑予備処理方法は、上記スラグ形成工程において、上吹きによる酸素ガスGの溶銑面衝突圧力、不活性ガスによる撹拌投入エネルギー、及び溶銑Mへの酸素ガス供給量を所定範囲内とするので、溶銑予備処理炉1内の耐火物溶損の発生を抑止しつつスラグSを形成できる。また、当該溶銑予備処理方法は、地金溶解工程において、上吹きによる酸素ガスGの溶銑面衝突圧力、不活性ガスによる撹拌投入エネルギー、溶銑Mへの酸素ガス供給量、及び上記I/Jを所定範囲内とするので、溶銑予備処理炉1内の耐火物溶損の発生を抑止しつつ、炉壁1aに付着した地金Bを溶解し除去できる。従って、当該溶銑予備処理方法は、溶銑予備処理炉1内の耐火物溶損の発生を抑止しつつ、溶銑の歩留まりの低下を抑止できる。
[その他の実施形態]
当該溶銑予備処理方法は、上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、底吹き及びインジェクションにより溶銑撹拌を行う場合を説明したが、インジェクションによる溶銑撹拌は、必須ではなく、例えば底吹きのみにより溶銑撹拌を行ってもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜21、比較例1〜130)
溶銑予備処理炉(転炉)を用い、実施例1〜21及び比較例1〜130のスラグ形成工程及び地金溶解工程を含む溶銑予備処理方法を行った。以下にその処理手順を示す。なお、使用した転炉は、容量が95tの上底吹き転炉である。この転炉の上吹きランスは、ノズル数n=3、ノズルスロート径d=27mm、ノズルスロート部の断面積A=572mm、ノズル出口径D=36.7mm、ノズル傾斜角度θ=7°、ガスジェットの広がり角α=10°、ランス中心軸からノズル出口最外周までの距離K=65mmのランスである。また、この転炉の底吹き羽口は羽口数=3であり、撹拌する不活性ガスとしては、窒素ガスを用いた。
まず、溶銑を転炉に準備した。使用する転炉としては、上記溶銑予備処理方法を実施せず30ch使用し、地金が付着したものを用いた。また、準備した溶銑の重量、炭素濃度及び珪素濃度は、表1〜4に示す通りであった。なお、溶銑密度ρは7000kg/m、溶銑温度Tは1200℃以上1400℃以下であった。
さらに、塩基度調整用の副原料として、CaOを溶銑に投入した。CaOの投入量は、塩基度(CaO量/SiO量)が1.7となるように表1〜4に示す量とした。また、溶銑を転炉に装入した後の上吹きランスの中心軸が溶銑面と交わる点と炉壁との最短距離J、及び溶銑の平均深さhは、表1〜4に示す通りであった。なお、表中で上記最短距離Jは、「中心軸と炉壁との最短距離」と記載している。
Figure 2016180142
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次に、上吹き酸素ガス供給量及び酸素ガスの溶銑面衝突圧力Psが表5〜8となるように調整して、スラグ形成工程を行った。この時、酸素ガスの溶銑面衝突圧力は、上吹きランス高さHにより調整した。なお、上吹きランス高さは、特公平4−81734に記載のマイクロ波レベル計を用い、溶銑装入後の溶銑面レベルを測定し、その溶銑面レベルと酸素ランスの吐出口の高さとの差を上吹きランス高さとした。また、各実施例及び比較例における上吹き酸素ガス速度FO2は表5〜8に示す通りとした。なお、上吹き酸素ガス流量Qは、上記上吹き酸素ガス速度FO2を分速に変換した数値、すなわち上記上吹き酸素ガス速度FO2を60で除した数値となる。
また、底吹きの不活性ガス流量Qは、撹拌投入エネルギーεが所望の値となるように調整した。底吹きの不活性ガス流量Q及び撹拌投入エネルギーを表5〜8に示す。
また、上記上吹き酸素ガス供給量は、式(14)により算出される脱珪に必要な酸素ガス供給量と、上記上吹き酸素ガス供給量から脱珪に必要な酸素ガス供給量を除いた脱珪外酸素ガス供給量とに分離した。この算出結果を表5〜8に示す。
Figure 2016180142
Figure 2016180142
Figure 2016180142
Figure 2016180142
最後に、上吹き酸素ガス供給量及び酸素ガスの溶銑面衝突圧力Psが表9〜12となるように調整して、地金溶解工程を行った。この時、酸素ガスの溶銑面衝突圧力は、上吹きランス高さHにより調整した。また、各実施例及び比較例における上吹き酸素ガス速度FO2及び上吹き酸素ガス供給量は、表9〜12に示す通りとした。また、底吹きの不活性ガス流量Qは、撹拌投入エネルギーεが所望の値となるように調整した。底吹きの不活性ガス流量Q及び撹拌投入エネルギーを表9〜12に示す。
また、ガスジェットのハードコア長さXc[mm]及びノズル前圧力Po[kgf/cm]を上吹きランスの中心軸が溶銑面と交わる点から酸素ガスの溶銑面衝突領域内で最も遠い点と炉壁との最短距離Iを上吹きランスの中心軸が溶銑面と交わる点と炉壁との最短距離Jで除した値(I/J)が所望の値となるように調整した。ガスジェットのハードコア長さ、ノズル前圧力、溶銑面の周囲が炉壁に最近接する位置と炉壁との最短距離及びI/Jの値を表9〜12に示す。なお、上吹きランスの中心軸が溶銑面と交わる点と炉壁との最短距離Jは、表1〜4に記載した値である。また、表中で上記最短距離Iは、「溶銑面衝突領域と炉壁との最短距離」と記載している。
Figure 2016180142
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<評価方法>
スラグ形成工程及び地金溶解工程を行う前後で、フェロトロン社のレーザープロフィル計「LaCam−M」を用いて、転炉内に付着している地金の厚み及び耐火物の厚みを測定し、以下の判定基準で評価した。
(付着地金の評価)
A:付着地金が認められず、除去されている。
B:付着地金の残留が認められ、除去が不十分である。
(耐火物の評価)
A:耐火物の損傷が認められない。
B:耐火物の損傷が認められる。
(総合)
A:付着地金の評価及び耐火物の評価が共にAである。
B:付着地金の評価又は耐火物の評価のいずれかがBである。
これらの結果を表13及び表14に示す。
Figure 2016180142
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表13及び表14において、実施例1〜21は総合評価がAであり、付着地金の評価及び耐火物の評価が共にAである。これに対して比較例1〜130は総合評価がBであり、付着地金の評価又は耐火物の評価がBである。つまり、実施例1〜21から、スラグ形成工程において、上吹きによる酸素ガスの溶銑面衝突圧力、不活性ガスによる撹拌投入エネルギー、及び溶銑への酸素ガス供給量を所定範囲内とすることで、転炉内の耐火物溶損の発生を抑止しつつスラグを形成できることが分かる。また、実施例1〜21から、地金溶解工程において、上吹きによる酸素ガスの溶銑面衝突圧力、不活性ガスによる撹拌投入エネルギー、溶銑への酸素ガス供給量、及び上記I/Jを所定範囲内とすることで、溶銑予備処理炉内の耐火物溶損の発生を抑止しつつ、炉壁に付着した地金を溶解し除去できることが分かる。
さらに詳細に見ると、比較例4、27等は、スラグ形成工程において、溶銑衝突圧力又は撹拌投入エネルギーが大きいため、溶銑等により地金が炉壁の地金付着量が増加し易く、地金除去が不十分になったと考えられる。また、比較例11、94等は、地金溶解処理工程において、溶銑衝突圧力又は撹拌投入エネルギーが大きいため、溶銑中の脱炭反応の反応効率が高まり過ぎ、スラグ中のCOガスと酸素との反応効率が低下したと考えられる。逆に、比較例1、6、16、57等は、スラグ形成工程又は地金溶解処理工程において、溶銑衝突圧力又は撹拌投入エネルギーが小さいため、溶銑中の酸素ガスの反応が十分に進行せず、スラグ中のCOガスによる二次燃焼が不十分となり、地金除去が不十分になったと考えらえる。
また、比較例5、10、13等はスラグ形成工程での脱Si外酸素ガス供給量が多いため、スラグの高さが大きくなり過ぎ、耐火物の溶損が発生したと考えられる。また、比較例17、20、23等は地金溶解処理工程での上吹き酸素ガス供給量が多いため、スラグの高さが大きくなり過ぎ、耐火物の溶損が発生したと考えられる。
また、比較例68、89では、スラグ形成工程又は地金溶解処理工程において、溶銑への酸素ガス供給量が少ないため、溶銑中の酸素ガスの反応が十分に進行せず、スラグ中のCOガスによる二次燃焼が不十分となり、地金除去が不十分になったと考えらえる。
さらに、比較例2、3、31等はI/Jの値が大きいため、火点が炉壁から遠く、耐火物の溶損は抑止できているものの、地金除去が不十分になったと考えらえる。逆に、比較例8、9、61等はI/Jの値が小さいため、火点が炉壁に近づき過ぎ、耐火物の溶損が発生したと考えられる。
<地金付着が発生しない処理頻度の検討>
地金付着による炉内残銑の影響が発生し難い処理頻度を求めるため、実施例1の溶銑予備処理方法を30chに1回の頻度で実施した場合と、溶銑予備処理方法を実施しない場合とについて、1炉代の残銑量及び耐火物損傷速度を評価した。この評価結果を表15に示す。
Figure 2016180142
表15において、実施例1の溶銑予備処理方法を実施した場合は、実施しない場合に比べて残銑量が0.34t/ch減少し、耐火物損傷速度が同等という効果が得られる。このことから、実施例1の溶銑予備処理方法を例えば30chに1回の割合で実施することで、耐火物溶損の発生を抑止しつつ、炉壁に付着した地金を除去できることが分かる。
以上説明したように、本発明の溶銑予備処理方法は、溶銑予備処理炉内の耐火物溶損の発生を抑止しつつ、炉壁に付着した地金を除去することができる。従って、当該溶銑予備処理方法は、溶銑予備処理炉内の耐火物溶損の発生を抑止しつつ、溶銑の歩留まりの低下を抑止できる。
1 溶銑予備処理炉
1a 炉壁
2 上吹きランス
21 ノズル
21a ノズルスロート
21b ノズル出口
3 底吹き羽口
4 インジェクションランス
B 地金
S スラグ
G 酸素ガス
M 溶銑
M1 溶銑面衝突領域
M10 上吹きランスの中心軸が溶銑面と交わる点から溶銑面衝突領域内で最も遠い点
N 上吹きランスの中心軸
N0 上吹きランスの中心軸が溶銑面と交わる点

Claims (2)

  1. 鉛直下方を向く先端に斜め下方かつ略等角度間隔で配設されるn個のノズルを有する上吹きランスと、不活性ガスの吐出による撹拌機構とを用い、転炉型溶銑予備処理炉の溶銑への脱珪及び脱炭処理を行う溶銑予備処理方法であって、
    上記脱珪及び脱炭処理と共にCOガスを含むスラグを上記予備処理炉の炉壁に沿って形成する工程と、
    上記予備処理炉の炉壁に形成される地金を上記スラグ中のCOガスの燃焼により溶解する工程とを備えており、
    上記スラグ形成工程における上記上吹きランスの酸素ガスの溶銑面衝突圧力が1600Pa以上6500Pa以下、上記撹拌機構による不活性ガスの撹拌投入エネルギーが900W/t以上2400W/t以下、脱珪前の溶銑中のSi濃度をSi[質量%]とするときの溶銑への酸素ガス供給量が8.3×Si+1.9[Nm/t]以上8.3×Si+4.1[Nm/t]以下であり、
    上記地金溶解工程における上記上吹きランスの酸素ガスの溶銑面衝突圧力が200Pa以上1200Pa以下、上記撹拌機構による不活性ガスの撹拌投入エネルギーが300W/t以上2100W/t以下、溶銑への酸素ガス供給量が3.3Nm/t以上7.1Nm/t以下であり、
    上吹きランスの中心軸が溶銑面と交わる点と炉壁との最短距離をJ[mm]、下記式(1)により算出される上吹きランスの中心軸が溶銑面と交わる点から酸素ガスの溶銑面衝突領域内で最も遠い点と炉壁との最短距離をI[mm]とするとき、
    I/Jが0.08以上0.25以下であることを特徴とする溶銑予備処理方法。
    Figure 2016180142
    ただし、Kは、上吹きランスの中心軸からノズル出口最外周までの距離[mm]である。Hは、上吹きランスのノズル出口から溶銑面までの距離[mm]である。Xcは、上吹きランスのノズルから吐出後のガスジェットのハードコア長さ[mm]である。θは、上吹きランスのノズル傾斜角度[°]である。αは、上記ガスジェットの広がり角[°]である。
  2. 平均溶銑面を基準とする転炉型溶銑予備処理炉の平均炉口高さをY[mm]、上記スラグ形成工程において形成される上記スラグの平均高さをZ[mm]とするとき、Z/Yが0.3以上0.65以下である請求項1に記載の溶銑予備処理方法。
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