JP2016179675A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
Description
等を起こしやすく、乾燥に要する時間も必要となり、記録媒体を乾燥させるゾーンや乾燥手段を装置に含めることにあり、小型化の点でも好ましくない。したがって、反応液の乾燥工程を設けずに直ちにインクを記録することは、記録速度を速め、乾燥ゾーンをなくして装置をコンパクトにし、プラテン加熱によるヘッドへの悪影響をなくすためにも有利である。
記録媒体へ、色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液を付着させる反応液付着工程と、
前記記録媒体に付着した前記反応液の揮発成分の残存率が25質量%以上の状態で、前記反応液を付着させた領域へ、前記着色インクをインクジェット法により付着させる着色インク付着工程と、
着色インク付着工程の後、あるいは着色インク付着工程と同一時に、前記反応液を付着させた領域へ、樹脂を含むクリアインクを付着させるクリアインク付着工程と、
を含む。
前記記録媒体は、低吸収性記録媒体又は非吸収性記録媒体であってもよい。
前記着色インクは、樹脂を含む水系の着色インクであってもよい。
前記クリアインクに含む樹脂及び前記着色インクに含む樹脂は、同種の樹脂であってもよい。
前記反応液付着工程及び前記着色インク付着工程の間の記録媒体表面温度が38℃以下であり、前記反応液の前記記録媒体への付着の終了から30秒以内に前記着色インク付着の開始が行われてもよい。
前記反応液付着工程は、反応液を付着させた領域の前記反応液に含まれる前記反応剤の付着量が0.01mg/inch2以上0.2mg/inch2以下である反応液付着工程を含んでてもよい。
前記クリアインク付着工程は、クリアインクを付着させた領域の前記クリアインクの付着量が0.5mg/inch2以上3mg/inch2以下であるクリアインク付着工程を含んでもよい。
前記クリアインクの前記樹脂の含有量は、2質量%以上20質量%以下であってもよい。
適用例1ないし適用例8の何れか一例に記載のインクジェット記録方法に用いるものであり、
色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液と、
着色インクと、
樹脂を含むクリアインクと、
を備える。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録媒体へ色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液を付着させる反応液付着工程と、反応液付着工
程の後、記録媒体に付着した反応液の揮発成分の残存率が25質量%以上の状態で、反応液を付着させた領域へ、着色インクをインクジェット法により付着させる着色インク付着工程と、着色インクを付着させた領域へ、第1樹脂(樹脂)を含むクリアインクを付着させるクリアインク付着工程と、を含む。
反応液付着工程は、記録媒体へ、反応剤を含む反応液を付着させる工程である。反応液は、少なくとも着色インクの付着される領域に付着される。反応液は、記録媒体の一部に付着されてもよいし、全部に付着されてもよい。反応液は、着色インクが付着される領域のみに付着されるほうが、反応液の使用量の削減の観点では好ましい。また、記録媒体には反応液のみが付着された領域が残ってもよい。
本実施形態のインクジェット記録方法は、このような反応液付着工程を含むものである。同様に以下の各付着工程において、所定の付着量の付着工程を含むという表現は、少なくとも、当該付着量である付着工程を含むという意味である。また、付着量は付着工程におけるものであり、最終的に得られる記録物においては付着した付着物が必ずしも全て残存しているとは限らない。
反応液の揮発成分の残存率(乾燥率)のことを指し、以下の式で算出することができる。
上記式中、Afは記録媒体へ付着させる反応液の合計の付与量(吐出量[mg])である。また、Aeは、記録物を使用するのに十分な状態まで反応液を乾燥(揮発)させた状態の記録媒体上の反応液の残留物量[mg]である。さらに、Aは、着色インクの付着直前の記録媒体上の反応液の総質量[mg]である。
本明細書における非吸収性又は低吸収性の記録媒体とは、インクを全く吸収しない、又はほとんど吸収しない性質を有する記録媒体を指す。定量的には、非吸収性又は低吸収性の記録媒体とは、「ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m2以下である記録媒体」を指す。このブリストー法は、短時間での液体吸収量の測定方法として普及している方法であり、日本紙パルプ技術協会(JAPAN TAPPI)でも採用されている。試験方法の詳細は「JAPAN
TAPPI紙パルプ試験方法2000年版」の規格No.51「紙及び板紙−液体吸収性試験方法−ブリストー法」に述べられている。
着色インク付着工程は、上述した反応液付着工程の後に、色材を含むインクジェット記録用の着色インクを用いて、反応液を付着させた領域へ、画像を記録する工程である。着色インクは、反応液が付着された領域全体に付着される必要はなく、記録媒体には反応液が付着され、着色インクが付着されない領域が残ってもよい。これにより、着色インクに含まれる色材等と反応剤が反応することで、記録媒体の表面において色材が凝集するので、記録される画像の発色性などを向上できる。さらに、着色インクは、反応液が塗布(付着)された記録媒体の表面に付着するので、着色インクと反応剤との反応(相互作用)をより確実に行わせることができる。これにより、記録される画像の印刷ムラ等の発生を抑制できる。さらに、着色インクに第2樹脂が含まれる場合には、反応剤と接触することにより増粘することができ、これにより記録媒体におけるインク滴間の成分の拡散が抑制され、ブリードや滲みを低減することができる。
ていてもよい。この場合には、記録媒体に付着した画像に触れた際に、べたつきが感じられない程度まで乾燥を行ってもよい。画像の乾燥工程は、自然乾燥で行ってもよいが、加熱を伴う乾燥であってもよい。画像の加熱方法は、特に限定されるものではないが、反応液の加熱方法で挙げたものと同様の方法を利用できる。
クリアインク付着工程は、上述した着色インク付着工程の後に、あるいは、着色インク付着工程と同一時に、第1樹脂(樹脂)を含むクリアインクを、反応液を付着させた領域へ、付着させる工程である。クリアインクは、着色インクが付着された領域のみに付着される必要はなく、記録媒体の全面や、着色インクの付着されていない領域に付着されてもよい。着色インク付着工程と同一時にクリアインクの付着工程を行う場合は、例えば、ノズルを有するヘッドと記録媒体との相対的な位置を変化させながらノズルからインクを吐出して記録媒体へ付着させる走査(パス)を複数回行うことで、ヘッドと対向する記録領
域への記録が行われる場合に、着色インクを吐出し記録媒体へ付着させる走査と同じ走査にてクリアインクを吐出して同じ記録領域へクリアインクを付着させるような走査が行われる形態である。着色インク付着工程の後にクリアインクの付着工程を行う場合は、例えば、複数回の走査により記録領域への記録が行われる場合に、着色インクを吐出し記録領域への着色インクの付着が終わった後、クリアインクを吐出して当該記録領域へのクリアインクの付着が行われる形態や、1回の走査により記録領域への記録が行われる場合に、着色インクを吐出するノズルよりもクリアインクを吐出するノズルが走査の方向の下流側に配置されている形態である。このうち、着色インク付着工程の後に、クリアインク付着工程を行うことが、本実施形態の効果が一層高まる点で好ましい。
本実施形態のインクジェット記録方法によれば、記録媒体に対して、発色性、定着性に優れ、印刷ムラが抑制された画像を安定性よく記録することができる。すなわち、本実施形態のインクジェット記録方法によれば、着色インクが、揮発成分の残存率が25質量%以上の状態の反応液に接触することにより、反応液乾燥工程を簡略化でき、かつ、クリア
インクの樹脂(第1樹脂)により、係る凝集体の記録媒体への定着性が良好な画像を形成することができる。
以下、本実施形態のインクジェット記録方法に使用される反応液、着色インク、及びクリアインクについて、反応液、クリアインク、及び着色インクの順に説明する。
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、反応液付着工程には、反応液を使用する。以下、反応液に含まれる成分及び含まれ得る成分について説明する。
本実施形態に係る反応液は、反応剤を含有する。反応剤は、着色インクに含まれる色材、着色インクに含まれ得る顔料分散体及び/又は樹脂と反応することで、色材を凝集させるという機能を有する。これにより、着色インクにより記録される画像の発色性等を向上させることができる。また、反応剤は、着色インクに含まれ得る顔料分散体及び/又は樹脂と反応することで、着色インクの粘度を高める(増粘)ことができる。これにより、着色インクの滲みやブリードを軽減させることができる。
PAA−HCL−3L、PAA−HCL−10L、PAA−H−HCL、PAA−SA、PAA−01、PAA−03、PAA−05、PAA−08、PAA−15、PAA−15C、PAA−25、PAA−H−10C、PAA−D11−HCL、PAA−D41−HCL、PAA−D19−HCL、PAS−21CL、PAS−M−1L、PAS−M−1、PAS−22SA、PAS−M−1A、PAS−H−1L、PAS−H−5L、PAS−H−10L、PAS−92、PAS−92A、PAS−J−81L、PAS−J−81(商品名、ニットーボーメディカル会社製)、ハイモ Neo−600、ハイモロック
Q−101、Q−311、Q−501、ハイマックス SC−505、SC−505(商品名、ハイモ株式会社製)等を用いることができる。
本実施形態に係る反応液は、水を含有してもよい。水は、反応液の主となる媒体として機能し、乾燥により蒸発飛散する成分である。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌した水を用いると、反応液を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
本実施形態に係る反応液は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、上述した低吸収性又は非吸収性の記録媒体に対する反応液の密着性を高める機能、保湿剤としての機能などを備える。
る場合には、その含有量が、反応液の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下とすることができる。
本実施形態に係る反応液は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させる機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。
本実施形態に係る反応液は、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤、樹脂等を含有してもよい。
本実施形態に係る反応液を、インクジェット法により記録媒体に付着させる場合には、像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。また、反応液をインクジェット法により付着させる場合には、同様の観点から、反応液の20℃における粘度が、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、クリアインク付着工程ではクリアインクを使用する。
クリアインクは、樹脂を含有する。本実施形態においてクリアインクに含有する樹脂を第1樹脂ともいう。第1樹脂は、記録される画像の密着性、耐擦過性(定着性)等の物理
的強度を向上させることができる。
に有するものであり、公知のものを適宜選択して用いることができる。オレフィン樹脂としては、市販品を用いることができ、例えばアローベースCB−1200、CD−1200(商品名、ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態に係るクリアインクは、水を含有する。好ましく用いられる水としては、反応液で述べたものと同様であるので、その説明を省略する。水の含有量は、クリアインクの全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
本実施形態に係るクリアインクは、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、第1樹脂に対する第2樹脂の密着性を高めたり、クリアインクの乾燥を抑制するなどの機能を備える。有機溶剤の具体例については、反応液の説明で例示した有機溶剤と同様のもの使用できるので、その説明を省略する。有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、着色インクの全質量に対して、例えば1質量%以上40質量%以下とすることができる。
本実施形態に係るクリアインクは、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、クリアインクの表面張力を低下させ濡れ性を向上させるなどの機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、反応液の説明で例示した界面活性剤と同様のものを使用できるので、その説明を省略する。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、クリアインクの全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
本実施形態に係るクリアインクは、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
本実施形態に係るクリアインクを、インクジェット法により記録媒体に付着させる場合には、像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。また、クリアインクをインクジェット法により付着させる場合には、同様の観点から、クリアインクの20℃における粘度が、3mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上8mPa・s以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、着色インク付着工程では、インクジェット記録用の着色インクを用いて画像を形成する。以下、着色インク付着工程に使用される着色インクに含まれる成分及び含まれ得る成分について説明する。
本実施形態に係る着色インクは、色材を含有する。色材としては、上述した反応液に含まれる反応剤との反応性が優れているという観点から、顔料及び酸性染料を好ましく用いることができる。
、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264、C.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
色材として顔料を使用する場合には、顔料は、着色インクに適用するために、顔料が水中で安定的に分散保持できるようにすることが好ましい。その方法としては、水溶性樹脂及び/又は水分散性樹脂等の樹脂分散剤にて分散させる方法(以下、この方法により処理された顔料を「樹脂分散顔料」ということがある。)、分散剤にて分散させる方法(以下、この方法により処理された顔料を「分散剤分散顔料」ということがある。)、顔料粒子表面に親水性官能基を化学的・物理的に導入し、前記の樹脂あるいは分散剤なしで水中に分散及び/又は溶解可能とする方法(以下、この方法により処理された顔料を「表面処理顔料」ということがある。)等が挙げられる。
性官能基と親水性官能基とを併せ持つモノマーからなる重合体が好ましい。共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
本実施形態に係る着色インクは、水を含有する。好ましく用いられる水としては、反応液で述べたものと同様であるので、その説明を省略する。水の含有量は、着色インクの全質量に対して、例えば50質量%以上とすることができる。
本実施形態に係る着色インクは、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤は、上述した低吸収性又は非吸収性の記録媒体に対する着色インクの密着性を高めたり、インクジェット記録装置のヘッドの乾燥を抑制するなどの機能を備える。有機溶剤の具体例については、反応液の説明で例示した有機溶剤と同様のもの使用できるので、その説明を省略する。有機溶剤の含有量は、特に限定されるものではないが、着色インクの全質量に対して、例えば1質量%以上40質量%以下とすることができる。
本実施形態に係る着色インクは、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、着色インクの表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を向上させるなどの機能を備える。界面活性剤の中でも、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤を好ましく用いることができる。これらの界面活性剤の具体例については、反応液の説明で例示した界面活性剤と同様のものを使用できるので、その説明を省略する。界面活性剤の含有量は、特に限定されるものではないが、着色インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
本実施形態に係る着色インクは、樹脂を含有しても良い。本実施形態において着色インクに含有する樹脂を第2樹脂ともいう。第2樹脂の具体例については、クリアインクの説明で例示した第1樹脂と同様のものを使用できるので、その説明を省略する。第2樹脂を含有する場合には、その含有量(固形分換算量)は、着色インクの全質量に対して、好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上7質量%以下である。また、着色インクに樹脂分散剤を用いる場合には、それを第2樹脂とみなしてもよい。この場合には、第2樹脂は、顔料の分散剤としても機能する。
本実施形態に係る着色インクは、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有してもよい。
本実施形態に係る着色インクは、画像品質とインクジェット記録用のインクとしての信頼性とのバランスの観点から、20℃における表面張力が20mN/m以上40mN/mであることが好ましく、25mN/m以上35mN/m以下であることがより好ましい。なお、表面張力の測定は、例えば、自動表面張力計CBVP−Z(商品名、協和界面科学株式会社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
本実施形態に係るインクジェット記録装置は、記録媒体に対して相対的に移動し、色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液、着色インク、及び、第1樹脂を含むクリアインクを吐出させる記録ヘッドを備える。そして、記録媒体へ、反応液を付着させた後、記録媒体に付着した反応液の揮発成分の残存率が25質量%以上の状態で、反応液を付着させた領域へ、着色インクを付着させ、着色インクを付着させた領域へ、クリアインクを付着させる。
搬送手段10は、例えば、ローラー11によって構成されることができる。搬送手段10は、複数のローラー11を有してもよい。搬送手段10は、図示の例では、記録媒体1の搬送される方向(図中矢印で示した。)において、記録手段20より上流側に設けられているが、これに限定されず、記録媒体1が搬送できる限り、設けられる位置や個数は任意である。搬送手段10は、給紙ロール、給紙トレイ、排紙ロール、排紙トレイ、及び各種のプラテンなどを備えてもよい。
本実施形態のインクジェット記録装置1000は、記録手段20は、記録ヘッド22,24,26を有している。記録ヘッド22は、記録媒体1の所定の領域上に反応液を付着させる。記録ヘッド24は、記録媒体1の反応液が付着された所定の領域上に着色インクを付着させる。また、記録ヘッド26は、記録媒体1の着色インクが付着された所定の領域上にクリアインクを付着させる。なお、図1では、記録手段20として、インクジェット法を用いた場合を示したが、これに限定されず、上述した方法(例えば、スプレーコート、ロールコート)を実施できる態様に変えてもよい。
本実施形態のインクセットは、上述の色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液と、上述の着色インクと、第1樹脂を含むクリアインクと、を含む。本実施形態のインクセットは、これらの構成の他に、他の液体組成物を含んでもよい。また、本実施形態のインクセットの反応液、クリアインクは、必ずしもインクジェット記録装置で使用できる物性を備えていなくてもよい。すなわち、反応液、クリアインクは、スピンコート、スプレーコート、グラビアロールコート、リバースロールコート、バーコート等に適した物性を有してもよい。したがって本実施形態のインクセットは、上述のインクジェット記録方法に使用できる液体の組であり、どのような荷姿でセットとなっていてもよい。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。
表1の配合割合になるように各成分を混合、攪拌した後、10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、反応液を調製した。表2中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水は反応液の全質量が100質量%となるように添加した。表1に記載した各反応液は、反応剤として、硫酸マグネシウム(多価金属塩)、マレイン酸(有機酸)、又は硫酸ナトリウム(無機酸金属塩)を含んでいる。
表2の配合割合になるように、各成分を混合、攪拌した後、10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、着色インクを調製した。着色インクの調製にあたって、顔料、樹脂分散剤及び水を含有する顔料分散液をあらかじめ作成して、顔料分散液と残りの成分とを混合した。表2中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水は着色インクの全質量が100質量%となるように添加した。なお、顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:3(シアン顔料)を用いた。なお、表2に記載した各着色インクは、第2樹脂として、表中の物を含んでいる。各樹脂は以下のとおりである。いずれの表も固形分成分は固形分の質量である。
・ビニブラン2586(商品名、日信化学工業株式会社製、水系スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン)
・D4200(商品名:レザミンD−4200、大日精化工業株式会社製、水系ウレタンエマルジョン)
表3の配合割合になるように、各成分を混合、攪拌した後、10μmのメンブレンフィルターでろ過することにより、クリアインクを調製した。表3中の数値は、全て質量%を示し、イオン交換水はクリアインクの全質量が100質量%となるように添加した。なお、表3に記載した各クリアインクは、第2樹脂として、表中の物を含んでいる。
また、以下の評価試験では、非吸収性の記録媒体として、ポリプロピレンフィルム(商品名「SY51M」、UPM RAFLATA社製)を使用した。
実施例及び比較例の作成条件及び評価結果を表4、表5に示した。各例において、インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン株式会社製)の改造機に、上記で調製した反応液、着色インク及びクリアインクを1ノズル列/1液となるように充填した。プリンターの記録ヘッドのノズル列のノズル密度は300dpiとした。記録媒体をセットし、反応液を、表4、表5中の付着量で塗布した。パターンは10cm×10cmのベタパターンとした。付着後、記録媒体を戻して再びセットし着色インクを同じパターンに重ねて、付着量7mg/inch2で付与して印刷した。
5.6.1.定着性(耐擦過性)
画像の定着性を、布による擦過試験により評価した。学振型摩擦堅牢度試験機AB−301(商品名、テスター産業社製)を用いて耐擦性の評価を行った。具体的には、画像の記録された記録媒体の表面を、白綿布(JIS L 0803準拠)を取り付けた摩擦子で、荷重300gをかけて塗膜が剥がれるまで、又は、30往復擦った。そして、記録媒体の表面における画像(塗膜)のはがれ具合を目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
☆:30往復擦っても塗膜が剥がれない
◎:20往復以上29往復以下で塗膜の剥がれが認められた
○:15往復以上19往復以下で塗膜の剥がれが認められた
△:10往復以上14往復以下で塗膜の剥がれが認められた
×:9往復以内に塗膜の剥がれが認められた
各例のサンプルの記録媒体の表面に記録されたベタパターンを目視にて確認して、印刷ムラ(ベタ埋まり性)の有無を判定した。評価基準は以下の通りである。
◎:パターン内にインクの濃さが不均一になっている様子が観察されない
○:細かな不均一さが認められる
×:大きな不均一さが認められる
定着性評価と同様にして、ベタパターンを300枚のA4PPC用紙に印刷した。ノズル列(300ノズル)について、50枚印刷するごとに、着色インクのノズル検査を行った。以下の評価基準に従って、印字安定性の評価を行い、結果を表に記載した。
○:吐出不能なノズルがない
×:吐出不能なノズルがある(ノズル抜けが発生)がパターンに着色インクの不吐出に起因する着色インクが未着の部分が目立つことはなかった(吐出不能なノズル数が全体の15%未満であった)
××:吐出不能なノズルがあり(ノズル抜けが発生)パターンに着色インクの不吐出に起因する着色インクが未着の部分が目立った(吐出不能なノズル数が全体の15%以上であった)
5.6.4.印字安定性2
定着性評価と同様にして、ベタパターンを300枚のA4PPC用紙に印刷した。ノズル列(300ノズル)について、50枚印刷するごとに、クリアインクのノズル検査を行った。以下の評価基準に従って、印字安定性の評価を行い、結果を表に記載した。
○:吐出不能なノズルがない
×:吐出不能なノズルがある(ノズル抜けが発生)がパターンにクリアインクの不吐出に起因する光沢感の悪い部分が目立つことはなかった(吐出不能なノズル数が全体の15%未満であった)
××:吐出不能なノズルがあり(ノズル抜けが発生)パターンにクリアインクの不吐出に起因する光沢感の悪い部分が目立った(吐出不能なノズル数が全体の15%以上であった)
以上の評価試験の結果を表4、表5に示す。
例10、11では、印字安定性が若干低下したが、非常に良好な定着性及び画質が得られた。これに対して、比較例1、4では、いずれも画質及び印字安定性が不十分となった。さらにクリアインクを用いなかった比較例2では、定着性が不良であり、反応液を用いなかった比較例3では、画質が不十分であった。また、比較例5では、定着性及び印字安定性が低下したが、画質は良好に維持されていた。
(2)実施例3−5から、着色インクの第2樹脂と、クリアインクの第1樹脂の種類が同じであると定着性が良好となる傾向があること
(3)実施例1、4、5から、反応剤はいずれも有効であるが、多価金属塩が特に良好であること
(4)実施例2、6から、反応液を乾燥させることにより、定着性が向上するが、記録時間が長くなってしまうこと
(5)実施例2、7から、反応液が少ないと、画質は若干劣るものの定着性が向上すること
(6)実施例1、7、8、9から、クリアインクの量が、定着性及び画質のバランスを左右すること
(7)比較例1から、反応液の乾燥の程度が強いとにより、定着性が向上するものの、ヒーターによる熱で記録ヘッドに悪影響があること、また、クリアインクの印字安定性も不良となること
(8)比較例2から、クリアインクがないと定着性が不十分となること
(9)比較例3から、反応液がないと定着性は良好となるが画質が不十分となること
(10)比較例4から、反応液の乾燥の程度が強いと、定着性が向上するものの、ヒーターによる熱で記録ヘッドに悪影響があること
(11)比較例5から、反応液を乾燥させると、ヒーターによる記録ヘッドへの悪影響があるものの、クリアインクが無くても定着性は確保できること
(12)実施例10及び実施例11から、反応液を適度に乾燥させると、定着性が非常に良好になること
(13)実施例10及び実施例11から、クリアインクは顔料を含まない分、着色インクよりは目詰りし難いこと、及びその反面、吐出不良があるとパターンの光沢感の劣化が目立つこと
Claims (9)
- 記録媒体へ、色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液を付着させる反応液付着工程と、
前記記録媒体に付着した前記反応液の揮発成分の残存率が25質量%以上の状態で、前記反応液を付着させた領域へ、前記着色インクをインクジェット法により付着させる着色インク付着工程と、
前記着色インク付着工程の後、あるいは前記着色インク付着工程と同一時に、前記反応液を付着させた領域へ、樹脂を含むクリアインクを付着させるクリアインク付着工程と、を含む、インクジェット記録方法。 - 請求項1において、
前記記録媒体は、低吸収性記録媒体又は非吸収性記録媒体である、インクジェット記録方法。 - 請求項1又は請求項2において、
前記着色インクは、樹脂を含む水系の着色インクである、インクジェット記録方法。 - 請求項3において、
前記クリアインクに含む樹脂及び前記着色インクに含む樹脂は、同種の樹脂である、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
前記反応液付着工程及び前記着色インク付着工程の間の記録媒体表面温度が38℃以下であり、前記反応液の前記記録媒体への付着の終了から30秒以内に前記着色インク付着の開始が行われる、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
前記反応液付着工程は、反応液を付着させた領域の前記反応液に含まれる前記反応剤の付着量が0.01mg/inch2以上0.2mg/inch2以下である反応液付着工程を含む、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか一項において、
前記クリアインク付着工程は、クリアインクを付着させた領域の前記クリアインクの付着量が0.5mg/inch2以上3mg/inch2以下であるクリアインク付着工程を含む、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか一項において、
前記クリアインクの前記樹脂の含有量は、2質量%以上20質量%以下である、インクジェット記録方法。 - 請求項1ないし請求項8の何れか一項に記載のインクジェット記録方法に用いるものであり、
色材を含む着色インクの成分を凝集又は増粘させる反応剤を含む反応液と、
着色インクと、
樹脂を含むクリアインクと、
を備えた、インクセット。
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