JP2016179612A - 異種材接合品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】異種材同士を、簡素な設備にて低コストで、しかも、剥離が生じることが回避されるように接合する。
【解決手段】高分子材、金属材又は無機材のいずれかからなる第1部材12の第1接合面16にSiOx系ガラス膜の前駆体膜を形成し、さらに、該前駆体膜に対して酸化処理を施し、その表面が水酸基で修飾されたSiOx系ガラス膜20を形成する。この膜が形成された第1接合面16に、少なくとも熱可塑性樹脂(ただし、前記高分子材と同一の樹脂を除く)を含む第2部材14の第2接合面18を重畳し、加熱することで前記第2部材14を溶融する。その後、溶融した前記第2部材14を冷却固化させ、前記第1接合面16と前記第2接合面18を接合する。又は、射出によって第2部材14を形成するようにしてもよい。
【選択図】図2

Description

本発明は、高分子材、金属材又は無機材のいずれかからなる第1部材の第1接合面と、熱可塑性樹脂からなる第2部材の第2接合面とを接合して得られる異種材接合品及びその製造方法に関する。
従来、金属材又は無機材からなる部材と、熱可塑性樹脂からなる部材とを熱溶着により接合し、いわゆる異種材接合品を得る技術が周知である。この周知技術は、低融点である熱可塑性樹脂を溶融して金属材又は無機材に付着させ、その後、冷却固化することによって両部材を接合するものである。
ところで、溶融した熱可塑性樹脂の金属材又は無機材に対する濡れ性は、さほど大きくはない。すなわち、熱可塑性樹脂は、金属材又は無機材から弾かれ易い傾向にある。従って、熱可塑性樹脂の金属材又は無機材に対する密着性を確保することには困難を伴う。このような理由から、異種材接合品の接合強度を向上させることは困難であると認識されている。
しかしながら、特に構造材では、異種材接合品の接合強度が大きいことが望まれる。そこで、特許文献1、2には、金属材の接合面に化学エッチング処理を施して微細孔を形成し、該微細孔に溶融した熱可塑性樹脂を進入させ、この状態で冷却固化することが提案されている。この場合、いわゆるアンカー効果を発現させ、これにより接合強度を向上させることを試みている。
特開2009−255429号公報 特開2010−64397号公報
化学エッチング処理には、エッチング液を貯留するための貯留槽や、化学エッチング処理後の廃液を処理するための処理槽をはじめとする設備が必要である。すなわち、処理のための環境の規模が大きくならざるを得ない。しかも、廃液を処理するためにコストが高騰する。その上、化学エッチング処理は長時間を要するため、異種材接合品を効率よく得ることができないという不具合が顕在化している。さらに、小形状の部材であれば多数個に対してバッチ処理を行うことが可能であるが、大形状の部材を処理する場合には処理槽として大型のものが必要となり、また、局部的な処理を行うことも困難であるためにコストが高騰する。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、接合強度に優れ、しかも、連続生産を行う工程ライン上で利用可能な簡素な設備にて低コストで作製することが可能な異種材接合品及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、高分子材、金属材又は無機材のいずれかからなる第1部材の第1接合面と、少なくとも熱可塑性樹脂(ただし、前記高分子材と同一の樹脂を除く)を含む第2部材の第2接合面とを接合した異種材接合品において、
前記第1接合面に、厚みが25nm以上であり、且つ水酸基が当該第1接合面の平面面積あたり3×10-10個/cm2以上の密度で修飾されたSiOx系ガラス膜が形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、高分子材、金属材又は無機材のいずれかからなる第1部材の第1接合面と、少なくとも熱可塑性樹脂(ただし、前記高分子材と同一の樹脂を除く)を含む第2部材の第2接合面とを接合する異種材接合品の製造方法において、
前記第1接合面に、厚みが25nm以上であるSiOx系ガラス膜の前駆体膜を形成する工程と、
前記前駆体膜に対して酸化処理を行い、3×10-10個/cm2以上の密度で水酸基が修飾されたSiOx系ガラス膜を得る工程と、
を有することを特徴とする。
このように、本発明では、水酸基が多く結合したSiOx系ガラス膜を得、該SiOx系ガラス膜上に第2部材を接合するようにしている。この場合、接合強度が大きくなり、接合界面で剥離が生じ難くなる。
なお、第2部材の好適な例としては、強化繊維を含む繊維強化樹脂が挙げられる。
前駆体膜を得る好適な手法としては、化学的気相成長(CVD)法による成膜が挙げられる。特に、放電、熱、光等のエネルギによって気体をプラズマ化するプラズマ装置を用いるのが好適である。すなわち、出発材料に対してプラズマガスを接触させ、これにより生じた分解物を第1部材の表面で化学反応により膜状に堆積させる。これにより、出発材料を源とする前駆体膜が第1部材に形成される。
また、前駆体膜に対する酸化処理もプラズマ処理によって行うことができる。すなわち、前駆体膜に対してプラズマガスを接触させればよい。これにより前駆体膜の表面のメチル基が化学酸化によって水酸基に置換され、その結果、第2部材をなす熱可塑性樹脂に対する接合力が強固なものとなる。
本発明によれば、水酸基が多く結合したSiOx系ガラス膜上に、熱可塑性樹脂を含む第2部材を接合するようにしている。この場合、第2部材に対する接合強度が大きくなり、第1部材と第2部材の接合界面で剥離が生じ難くなる。すなわち、接合強度が大きな異種材接合品を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る異種材接合品の全体概略斜視図である。 図1の異種材接合品の接合界面近傍の要部拡大縦断面図である。 図1の異種材接合品を得る過程で使用されるプラズマ発生装置の要部概略縦断面図である。 実施例1と比較例2の孔径分布曲線である。
以下、本発明に係る異種材接合品及びその製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る異種材接合品10の全体概略斜視図である。この異種材接合品10は、第1部材12と第2部材14の一部同士が重畳され、該重畳部位が接合されて構成される。以下、接合部を含む第1部材12の上端面を第1接合面16、第2部材14の下端面を第2接合面18と表記する。
第1部材12は、高分子材、金属材又は無機材からなる。高分子材の具体例としては各種の熱硬化性樹脂が挙げられるが、熱可塑性樹脂であってもよい。また、金属材の好適な具体例としてはアルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金や、鉄、炭素鋼及びステンレス鋼等の鉄合金が挙げられ、無機材の好適な具体例としては、炭素材やガラス、セラミックス等が挙げられる。
また、第2部材14は、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、スチロール樹脂、ABS樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート、アセタール樹脂等のような熱可塑性樹脂単体、又は炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含む繊維強化熱可塑性樹脂(FRTP)からなる。ただし、第1部材12が熱可塑性樹脂からなる高分子材である場合、第2部材14の熱可塑性樹脂は、高分子材とは別の熱可塑性樹脂である。
接合界面近傍の断面を拡大した図2に示すように、第1部材12の第1接合面16には、SiOx系ガラス膜20が設けられている。すなわち、第1部材12と第2部材14は、SiOx系ガラス膜20を介して接合されている。
SiOx系ガラス膜20はアモルファス構造であり、その膜厚は25nm以上である。また、孔径が1nm未満の微細孔が多数存在し、このために表面積が大きい。さらに、表面粗度は10nmを超える。そして、SiOx系ガラス膜20は水酸(−OH)基で修飾されている。水酸基は、3×10-10個/cm2以上の密度で存在する。
このような構成のSiOx系ガラス膜20が存在することにより、接合部に優れた接合強度が発現する。従って、異種材接合品10の第1部材12、第2部材14の各々を図1中の矢印X、矢印Y方向に引っ張って破断させると、第2部材14において切断による破壊が生じる。又は、第1部材12側の破断面に、第2部材14(FRTP板)由来の樹脂成分や強化繊維が残留する。このことは、第1部材12と第2部材14の接合界面に剥離が生じているのではなく、第2部材14に内部破壊が生じていることを意味する。すなわち、接合部の引っ張り剪断強度は、第2部材14の引っ張り剪断強度を上回る。
しかも、SiOx系ガラス膜20は絶縁体であるため、第1部材12が金属材からなる場合であっても電蝕が発生することが回避される。このため、腐蝕や電蝕によって異種材接合品10が劣化することが回避される。
このような異種材接合品10は、以下のようにして製造することができる。
先ず、第1接合面16上に、SiOx系ガラス膜20となる前駆体膜を形成する。
この成膜をプラズマCVD処理で行う場合には、例えば、プラズマトリート社製のオープンエア(登録商標)プラズマシステムを用いることができる。図3は、そのようなプラズマ発生装置の一例である。
このプラズマ発生装置30は、中空状のケーシング32と、該ケーシング32の内部に収容された電極34とを有し、この中の電極34には、通電を行うための電源36が電気的に接続される。なお、ケーシング32の内壁には、円環形状のインシュレータ38が電極34を囲繞するようにして設けられる。
ケーシング32において、図3中の下端部にはノズル部材40が連結される。このノズル部材40には、第1部材12の第1接合面16に対してプラズマガスを吐出するための吐出孔42が形成されている。
すなわち、ケーシング32の上端部にはガス供給管44が連結され、このガス供給管44からは、ケーシング32の内部に向かってイグニッションガスが導出される。イグニッションガスの一部は電極34の作用下にプラズマ化し、プラズマガスとして吐出孔42から吐出される。プラズマガスは、吐出孔42に対向するように位置決め固定された第1部材12に向かって流通する。
該吐出孔42の近傍には、図示しない出発材料供給源に接続された出発材料供給管46が配設される。該出発材料供給管46の位置は、ケーシング32とノズル部材40との間に図示しないスペーサを介装したり、又は該スペーサを取り外したりすることにより、電極34に対して離間又は接近するように可変である。すなわち、電極34と出発材料供給管46の離間距離を適宜変更することによって、出発材料がプラズマガスに接触する時点でのプラズマの温度や酸化力の強度を調整することが可能となっている。
また、この出発材料供給管46からは、プラズマガスの流通方向に対して直交する方向に流通するように、撥水性膜を形成するための出発材料が導出される。ただし、出発材料は、後述する成膜時にのみ供給され、後述する清浄化処理及び酸化処理時には供給されない。
このようなプラズマ発生装置30で清浄化処理を実施するには、電源36から電極34に通電を行うとともに、ガス供給管44を介してケーシング32の内部にイグニッションガス(例えば、乾燥空気や乾燥窒素)を導入する。通電により、電極34とノズル部材40との間でグロー放電が起こるようになる。このグロー放電により、イグニッションガスの一部が励起されてプラズマガスとなる。
このようにして得られたプラズマガスは、吐出孔42から第1部材12に向かって吐出される。この吐出孔42からのプラズマガスの吐出と同時に、前記出発材料供給管46から、前駆体膜を形成するための出発材料を供給する。さらに、プラズマ発生装置30を第1部材12に沿って走査することにより、第1接合面16上にSiOx系ガラス膜20の前駆体膜が形成される。
なお、第1部材12に対して予め清浄化処理を施すことがより望ましい。この清浄化処理は、アセトン等の各種有機溶剤を用いて行うようにしてもよいし、プラズマ処理によって行うようにしてもよい。
成膜の際の好適なイグニッションガスは、乾燥窒素である。また、出発材料としては、例えば、ケイ素系アルコキシドであるヘキサメチルジシロキサン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン等を用いることができる。なお、ヘキサメチルジシロキサンの構造式は以下の通りである。
Figure 2016179612
プラズマガスの高エネルギにより、出発材料が部分的に分解する。すなわち、分解物が得られる。この分解物は、プラズマガスとともに第1接合面16に吹き付けられて該第1接合面16に付着した後、重合して高分子化する。その結果、第1接合面16上にSiOx系ガラスからなる前駆体膜が形成される。この時点で、前駆体膜では、Si同士がOを介して結合し、且つSiにメチル(−CH3)基が結合している。
この前駆体膜に対し、メチル基を水酸基に置換する酸化処理を施す。この際にも、図3に示すプラズマ発生装置30を使用することが好ましい。ただし、成膜処理と酸化処理を、別個の装置をそれぞれ用いる流れ作業として行うようにしてもよい。
すなわち、イグニッションガスとして、例えば、乾燥空気や乾燥窒素を供給してプラズマガスを得る。このプラズマガスを、吐出孔42を介して前駆体膜に吐出する。その結果としてメチル基が水酸基に置換され、水酸基で修飾されたSiOx系ガラス膜20が形成される。なお、この工程では、出発材料を供給する必要はない。
以上のように、本実施の形態によれば、清浄化処理、前駆体膜の形成、及び酸化処理を、1個のプラズマ発生装置30を用いて実施することが可能なようにしている。このため、上記の作業を効率よく実施することができる。
しかも、このプラズマ発生装置30では、チャンバや排気ポンプ等の真空設備が不要である。従って、設備が簡素化し、設備投資も低廉化する。なお、各工程に最適化したノズルを有する複数のプラズマ発生装置を組み合わせて用いるようにしてもよいことは勿論である。
形成されたSiOx系ガラス膜20には、上記したように多数の微細孔が存在することに加え、面粗度が比較的大きい。このため、該SiOx系ガラス膜20は、実質的な表面積が、平面として計算される面積(平面積)よりも著しく大きい。従って、多くの水酸基を結合させることが可能である。すなわち、水酸基を3×10-10個/cm2以上の密度とすることができる。
次に、上記のSiOx系ガラス膜20が形成された第1接合面16に対し、第2部材14の第2接合面18を重畳する。これにより形成された重畳部に対し、加熱処理を施す。必要に応じ、荷重を付与する(すなわち、加圧を行う)ようにしてもよい。
加熱により、第2部材14(熱可塑性樹脂)が溶融する。ここで、SiOx系ガラス膜20には、多くの水酸基が結合している。このために溶融した熱可塑性樹脂に対する親和性が大きい。すなわち、溶融した熱可塑性樹脂は、SiOx系ガラス膜20を十二分に濡らす。従って、溶融した熱可塑性樹脂とSiOx系ガラス膜20、ひいては第1接合面16との接触面積が十分に大きくなる。
この状態で、熱可塑性樹脂を冷却固化することにより、第1接合面16と第2接合面18が互いに接合(溶着)する。以上により、異種材接合品10が得られるに至る。
SiOx系ガラス膜20を介して接合した接合部では、接合強度が大きい。すなわち、接合強度に優れる異種材接合品10を得ることができる。
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、SiOx系ガラス膜20を、プラズマを用いない化学的気相成長(CVD)法や物理的気相成長(PVD)法等、プラズマCVD以外の手法で成膜するようにしてもよい。また、酸化処理を、酸化剤による化学プロセスや、酸化雰囲気中での加熱、紫外光等の光照射、オゾン処理、コロナ放電等によって実施するようにしてもよい。
さらに、プラズマCVDを行う場合であっても、従来周知のように真空プロセスで実施するようにしてもよい。プラズマの発生手段についても、グロー放電以外の電気放電や火炎等、物質にエネルギを付与して励起状態を生じさせられるものならば特に制限はない。
[実施例1]
第1部材12として、Al−Mg合金からなる厚み1.5mmのA5052(JIS)板を選定した。この第1部材12の一端面(第1接合面16)に対し、図3に示すプラズマ発生装置30からプラズマガスを吐出することで清浄化処理を施した。次に、イグニッションガスを乾燥窒素として1740リットル/時間で供給し、プラズマ電圧セットアップ値を95%、周波数を21kHz、プラズマサイクルタイムを25%とするジェネレータ設定でプラズマ放電を行った。出発材料供給管46は、原位置(市販時の位置)から4.5mm下方、すなわち、電極34から一層離間する位置に設定した。
また、120リットル/時間で供給した乾燥窒素ガスをキャリアガスとし、85℃に保ったエバポレータを介してヘキサメチルジシロキサンを40g/時間で出発材料供給管46から導出した。これにより、ヘキサメチルジシロキサンを第1接合面16上で重合させ、SiOx系ガラス膜の前駆体膜を形成した。なお、吐出孔42と第1接合面16との離間距離は10mmとし、ケーシング32を40m/分の速度で第1接合面16上を走査した。
次に、得られた前駆体膜に対し、プラズマガスによる酸化処理を施した。この際、イグニッションガスとして乾燥空気を3000リットル/時間で供給し、プラズマ電圧セットアップ値を95%、周波数を21kHz、プラズマサイクルタイムを25%とするジェネレータ設定でプラズマ放電を行った。なお、吐出孔42と第1接合面16との離間距離は10mmとし、ケーシング32を40m/分の速度で前駆体膜上を走査した。以上により、シリコンウェハ上にSiOx系ガラス膜を形成した。これを実施例1とする。
[比較例1]
比較のため、A5052板の一端面をエタノールで脱脂洗浄したのみとした。これを比較例1とする。
[比較例2]
前駆体膜を形成する際、イグニッションガスを乾燥空気とし、且つ出発材料供給管46を原位置(市販時の位置)としたことを除いては実施例1に準拠してA5052板上にSiOx系ガラス膜を形成した。これを比較例2とする。
[比較例3]
前駆体膜を形成する際、出発材料供給管46を原位置(市販時の位置)から1.5mm下方、すなわち、電極34から一層離間する位置に設定したことを除いては実施例1に準拠してA5052板上にSiOx系ガラス膜を形成した。これを比較例3とする。
以上の実施例1、比較例2、3につき、SiOx系ガラス膜の構造及び膜厚をFE−SEMにて評価した。また、面粗度をAFM、孔径を陽電子消滅寿命法で評価し、さらに、水酸基量(密度)を測定した。水酸基量の測定に際しては、イオンクロマトグラフィとTOF−SIMSを採用した。
結果を、表1に併せて示す。この表1から、実施例1において、比較例2、3と比べて水酸基量が際立って多いことが分かる。
Figure 2016179612
なお、TOF−SIMSでは、その測定原理上、試料最表面から数nmの極表面の原子情報しか得られない。TOF−SIMSとイオンクロマトグラフの各測定結果を対比し、実施例1では、凹凸の多い試料表面の深くまで水酸基が豊富に導入されているといえる。一方、表面構造が均一で平坦な比較例2においては、水酸基の導入は試料の最表面部にとどまっている。
さらに、実施例1と比較例2につき、孔径分布を調べた。結果を図4に併せて示す。図4から、実施例1ではブロードなピークが出現しているのに対し、比較例2ではシャープなピークが出現していることが分かる。このことは、実施例1では、骨格構造が無秩序なアモルファスとなっており、一方、比較例2では、骨格構造が秩序だっていることを示唆する。このことから、実施例1の方が、SiOx骨格が柔軟であり化学反応が進行する際の障害がより少ないこと、換言すれば、ガラスの酸化反応がより内部まで容易に進行することが明らかである。
以上の実施例1、比較例1〜3に対し、樹脂射出成形による接合を試みた。すなわち、実施例1、比較例1〜3のA5052板を射出成形装置のキャビティに収容した状態で、東レ社製の「トレカ短繊維ペレット1001T15」(炭素繊維の含有率が重量比で約15%であり、母材がナイロン−6であるFRTP)を射出した。この樹脂が冷却固化することにより、異種材接合品を得た。
この異種材接合品の両端部にAl製のタブを接着してラップシェア引っ張り試験を実施した。結果を、表2に併せて示す。
Figure 2016179612
表2から、水酸基密度が大きな実施例1において、大きな破断強度が得られることが分かる。また、破壊の形態を比較してみても、実施例1では全て樹脂板部分が切断しており、接合界面での剥離は認められない。このことから、接合部の引っ張り剪断強度が、第2部材樹脂の引っ張り剪断強度を上回る高いものであったことが明らかである。
また、実施例1の接合部に局所的に大きな力を付加することによって意図的に接合部に破壊を生じさせた試料において、A5052板側の破断面を光学顕微鏡にて観察したところ、該A5052板の破断面に樹脂成分や炭素繊維が残留していることが確認された。このことからも、A5052板とFRTPとの接合部が破断する前に、FRTPに内部破壊が生じていることが分かる。
比較例1、3では、冷却時に接合部に自然剥離が生じた。また、比較例2では、破断強度が小さく、且つ接合界面での剥離であることが認められた。
10…異種材接合品 12…第1部材
14…第2部材 16…第1接合面
18…第2接合面 20…SiOx系ガラス膜
30…プラズマ発生装置 32…ケーシング
34…電極 36…電源
38…インシュレータ 40…ノズル部材
42…吐出孔 44…ガス供給管
46…出発材料供給管

Claims (4)

  1. 高分子材、金属材又は無機材のいずれかからなる第1部材の第1接合面と、少なくとも熱可塑性樹脂(ただし、前記高分子材と同一の樹脂を除く)を含む第2部材の第2接合面とを接合した異種材接合品において、
    前記第1接合面に、厚みが25nm以上であり、且つ水酸基が当該第1接合面の平面面積あたり3×10-10個/cm2以上の密度で修飾されたSiOx系ガラス膜が形成されていることを特徴とする異種材接合品。
  2. 高分子材、金属材又は無機材のいずれかからなる第1部材の第1接合面と、少なくとも熱可塑性樹脂(ただし、前記高分子材と同一の樹脂を除く)を含む第2部材の第2接合面とを接合する異種材接合品の製造方法において、
    前記第1接合面に、厚みが25nm以上であるSiOx系ガラス膜の前駆体膜を形成する工程と、
    前記前駆体膜に対して酸化処理を行い、3×10-10個/cm2以上の密度で水酸基が修飾されたSiOx系ガラス膜を得る工程と、
    を有することを特徴とする異種材接合品の製造方法。
  3. 請求項2記載の製造方法において、前記前駆体膜を、出発材料に対してプラズマガスを接触させることで得ることを特徴とする異種材接合品の製造方法。
  4. 請求項2又は3記載の製造方法において、前記前駆体膜に対する酸化処理を、該前駆体膜に対してプラズマガスを接触させることで行うことを特徴とする異種材接合品の製造方法。
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