JPH06264250A - 表面が金属化された炭素繊維強化プラスチック成形体の製造方法および表面が金属化された炭素繊維強化プラスチック成形体 - Google Patents

表面が金属化された炭素繊維強化プラスチック成形体の製造方法および表面が金属化された炭素繊維強化プラスチック成形体

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JPH06264250A
JPH06264250A JP4949793A JP4949793A JPH06264250A JP H06264250 A JPH06264250 A JP H06264250A JP 4949793 A JP4949793 A JP 4949793A JP 4949793 A JP4949793 A JP 4949793A JP H06264250 A JPH06264250 A JP H06264250A
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carbon fiber
fiber reinforced
plastic molded
reinforced plastic
plating
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Hideyuki Arakane
秀行 荒金
Kunihiko Ueda
邦彦 上田
Toru Hotta
徹 堀田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】金属化された炭素繊維強化プラスチック成形品
の表面を強固なめっきで被覆すること。 【構成】炭素繊維2を含有させた炭素繊維強化プラスチ
ック成形品4の表面に低温プラズマを照射し、表面部分
のマトリックス樹脂1を除去することによって炭素繊維
を露出させた後、めっき3を施す。前記の低温プラズマ
を照射して除去するマトリックス樹脂成分の単位表面積
当たりの重量ΔW(g/cm2 )が、次式で示されるも
のであることが望ましい。 (ΔW×100)/(S×R)=H 及び H/D≧
0.5 ただし、S:マトリックス樹脂成分の密度(g/c
3 )、R:マトリックス樹脂成分の体積含有率
(%)、H:除去されたマトリックス樹脂成分の深さ
(cm)、D:炭素繊維の平均直径(cm)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、強固なめっき表面を有
する炭素繊維強化プラスチック成形体の製造方法および
表面にめっき層を有する炭素繊維強化プラスチック成形
体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から炭素繊維強化プラスチック成形
体の耐磨耗性や耐蝕性を向上するために、各種のめっき
法を用いてその表面にめっきを施すことが行われてい
る。これらのめっき法には一長一短があるが、電気めっ
き、なかでも無電解めっきは比較的良質のめっき層が得
られるので一般的に広く使用されている方法である。し
かし、プラスチックに施しためっきには、共通して接着
強度が金属表面に施した場合に比較して低いという欠点
があった。このため、めっきの接着強度を向上させる方
法として、特開昭60−43490号公報にはクロム酸
を使用して化学的にエッチングした後、無電解メッキを
施し、さらにベーキングを行う炭素繊維強化プラスチッ
ク成形品の無電解めっき前処理方法が、特開昭63−2
47376号公報には、表面に低温プラズマを照射した
後、無電解めっきを施すプラスチック成形品への無電解
めっきの前処理方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの方法
を用いることにより、炭素繊維強化プラスチック成形品
とめっきとの付着力の向上を期待できるがまだ十分では
なく、また、クロム酸などの重金属化合物の使用は、環
境保全の観点から避けたいところである。本発明は、環
境に優しい方法で強固なめっきを有するプラスチック成
形体を製造する方法と、強固なめっきを有するプラスチ
ック成形体とを提供することを目的に完成されたもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに本発明は、炭素繊維を含有させたプラスチック成形
品の表面に低温プラズマを照射し、表面部分のマトリッ
クス樹脂成分を除去することによって炭素繊維を露出さ
せた後、めっきを施すことを特徴とする表面が金属化さ
れた炭素繊維強化プラスチック成形体の製造方法を提供
する。本発明の表面が金属化された炭素繊維強化プラス
チック成形体の製造方法においては、前記の低温プラズ
マを照射して除去するマトリックス樹脂成分の単位表面
積当たりの重量ΔW(g/cm2 )は、次の(1)式が
満たされる量であることが望ましい。
【0005】
【数2】 (ΔW×100)/(S×R)=H }(1) H/D≧0.5 ただし、S:マトリックス樹脂成分の密度(g/c
3 ) R:マトリックス樹脂成分の体積含有率(%) H:除去されたマトリックス樹脂成分の深さ(cm) D:炭素繊維の平均直径(cm) さらに、本発明は、炭素繊維が含有されたプラスチック
成形品の表面にめっきが施された炭素繊維強化プラスチ
ック成形体であって、前記プラスチック成形品の表面
は、めっきとの界面において、炭素繊維がマトリックス
樹脂成分の表面よりも該炭素繊維の半径を越える高さの
凸部を形成していることを特徴とする表面が金属化され
た炭素繊維強化プラスチック成形体を提供する。この炭
素繊維強化プラスチック成形体において、凸部を形成し
ている割合は、炭素繊維強化プラスチック成形体の全表
面積に対し、とくに40〜80%の範囲が好ましい。
【0006】
【実施態様例と作用】本発明の表面が金属化された炭素
繊維強化プラスチック成形体の製造方法および炭素繊維
強化プラスチック成形体について、実施態様例をあげ図
面を参照しつつ説明する。図1は、表面を金属化する前
の表面部分のマトリックス樹脂成分を除去した炭素繊維
強化プラスチック成形体表層部の模式的な断面図であ
り、図2は、本発明にかかる表面が金属化された炭素繊
維強化プラスチック成形体表層部の模式的な断面図であ
る。
【0007】まず、本発明にかかる炭素繊維強化プラス
チック成形体の製造に使用し、もしくは本発明の炭素繊
維強化プラスチック成形体に用いるマトリックス樹脂成
分1としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂
などの熱硬化性樹脂、およびABS樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可
塑性樹脂が単独、または2種類以上混合されて用いられ
る。とくに本発明を炭素繊維強化エポキシ樹脂に利用す
れば好適である。マトリックス樹脂成分1には、必要が
あればこのほかの樹脂、添加剤、フィラーなどを添加し
てもよい。これらのマトリックス樹脂成分1を強化する
炭素繊維2は、長繊維であっても短繊維であってもよ
い。また、その形態は、ロービング、織物、編物、チョ
ップのランダム混入などを用いることができる。なお、
上記(1)式におけるDは、単糸の平均直径を指し、4
〜20μmが用いられる。また、炭素繊維以外の繊維を
併用してもよい。
【0008】本発明の表面が金属化された炭素繊維強化
プラスチック成形体の製造方法を説明する。炭素繊維2
によって強化されたプラスチック成形品4は、公知の方
法、たとえば樹脂含浸プリプレグを用いた加圧成形法、
樹脂含有ペレットを用いた押出成形法などにより成形さ
れる。この炭素繊維強化プラスチック成形品4は、切削
加工により所定の形状に加工するとよい。成形品4の表
面に付着した離型剤や成形時に内部から滲出した撥水成
分の薄い表面層を削り取ることになるからである。ある
いは、成形品4の表面をサンドブラストにより機械的に
エッチングしてもよい。処理効果の面では、切削加工と
サンドブラストとの両方を行うことが望ましいが、材料
や工程条件によっては、どちらか一方を実施してもよ
い。さらに通常は、その表面汚れ、油等を除去するため
アセトン等の有機溶剤で洗浄を行う。超音波洗浄を行え
ばさらに洗浄効果があり効果的である。
【0009】つぎに、めっきを施す炭素繊維含有プラス
チック成形品4の表面に低温プラズマを照射する。本発
明で使用する低温プラズマ処理装置には、ベルジャーで
処理物を覆うバッチ式やシール機構を備えた連続処理式
などがあげられる。処理ガスには、ヘリウム、アルゴ
ン、空気、窒素、酸素、水素、ネオン、二酸化炭素など
を単独または二種以上を混合して用いることができる。
装置内でのガス雰囲気圧力は、0.001〜20Tor
rの範囲がよい。より好ましくは0.01〜10Tor
rの範囲がよい。処理方式や電極形状についてもとくに
制限はなく、誘電型と呼ばれるコイル状電極や、容量型
と呼ばれる対局電極などを、平板状、リング状、棒状な
どの電極形状で使用することができる。また、処理装置
の金属内壁を一方の電極としたり、処理物そのものを電
極としてもよい。電極には、周波数10kHz〜100
MHzの高周波で、10W〜100kWの電力を与え、
安定したプラズマを維持することができる。また、放電
周波数は高周波の他に直流、低周波、マイクロ波などを
使用できる。その他、コロナ放電プラズマ処理も適宜使
用できる。
【0010】この様にして発生させた低温プラズマを炭
素繊維強化プラスチック成形品4に照射すると、低温プ
ラズマがそのプラスチック成形品4の表面において炭素
繊維2に先行して表層部のマトリックス樹脂成分1を分
解、蒸散、すなわちエッチングし、相対的に表層部の炭
素繊維2を表面に露出させる作用を有する。本発明の炭
素繊維強化プラスチックは、炭素繊維強化プラスチック
成形品4とめっき3との界面において、表層部の炭素繊
維2がマトリックス樹脂成分1の表面よりも炭素繊維2
の半径を越える高さに凸部を形成し、めっき3に接着し
ている必要がある。研究の結果、表層部の炭素繊維2が
その半径を越える高さに凸部を形成し、露出している
と、めっき3が強固に接着できることが判ったからであ
る。この理由は、炭素繊維2が直径の50%以上露出す
れば、繊維間の隙間にめっきした金属が入込んであり溝
のように離脱しにくくなり、たとえば樹脂のみの材料に
プラズマ処理した場合より、めっきの密着性が向上する
からであろうと考えられる。なお、このような作用効果
が得られるためには、炭素繊維2の凸部が必ずしも炭素
繊維強化プラスチック成形品4の全表面積に渡って露出
している必要はなく、前記炭素繊維強化プラスチック成
形品4の全表面積の40〜80%が露出していればよ
い。一般的に、低温プラズマの照射時間が10秒以上あ
れば、有意差のある処理効果が認められるようになる。
しかし、本発明の表面が金属化された炭素繊維強化プラ
スチック成形体の製造では、めっきによって付着させる
金属膜3との十分な密着性を得るための最少時間と、長
時間の処理による過度の重量減少防止から、通常は、1
分〜60分の処理を行う。
【0011】本発明の表面が金属化された炭素繊維強化
プラスチック成形体の製造方法において、炭素繊維2に
その半径を越える高さに凸部を形成させるための、前記
の低温プラズマ装置や処理条件および照射時間などは、
処理対象のマトリックス樹脂1の種類、成形品の大き
さ、形状などによって異なる。したがって、これらの条
件は、炭素繊維強化プラスチック成形品を試作してプラ
ズマを照射し、成形品4の表面を顕微鏡で観察するか、
または、めっき3を施しその品質を評価して設定するこ
とになる。しかし、研究の結果、この状態に対応するも
のとして、通常、低温プラズマの照射によって減少する
単位表面積当たりの炭素繊維含有プラスチック成形品
(実際には試験片を使用)の減少重量ΔW(g/c
2 )を測定すれば、好ましい条件を選べることが判っ
た。すなわち、ΔWが(1)式を満足するような条件で
照射すれば好ましい結果が得られるのである。
【0012】
【数3】 (ΔW×100)/(S×R)=H }(1) H/D≧0.5 ただし、S:マトリックス樹脂成分の密度(g/c
3 ) R:マトリックス樹脂成分の体積含有率(%) H:除去されたマトリックス樹脂成分の深さ(cm) D:炭素繊維の平均直径(cm) 本発明の表面が金属化された炭素繊維強化プラスチック
成形体は、炭素繊維を含有するプラスチック成形品の表
面にめっきが施された炭素繊維強化プラスチック成形体
であって、前記プラスチック成形品の表面は、めっきと
の界面において、炭素繊維がマトリックス樹脂成分の表
面よりも該炭素繊維の半径を越える高さの凸部を形成し
ていること、すなわち、図1において、マトリックス樹
脂1のめっき面と炭素繊維2の頂点間の距離Hが、炭素
繊維の直径Dの1/2以上が好ましい。
【0013】なお、図3のようにマトリックス樹脂1の
めっき面や、炭素繊維2の頂点の高さが一様でない場合
は、同図のように、プラスチック成形品の一断面につい
て、仮の中間線L0 を引き、そのL0 と各炭素繊維の頂
点までの距離a1 ,a2 ,a 3 ,・・・・am を求め、
また、L0 とマトリックス樹脂1の各めっき面までの距
離b1 ,b2 ,b3 ,・・・・bn を求める。そして次
式によりHを求める。
【0014】
【数4】 ただし、a1 ,a2 ,a3 ,・・・・am は、炭素繊維
の頂点がL0 に対して上側にある場合を“正”、下側に
ある場合を“負”とし、また、b1 ,b2 ,b 3 ,・・
・・bn は、めっき面がL0 に対して下側にかる場合を
“正”、上側にある場合を“負”として上式に代入す
る。
【0015】さらに、本発明において、低温プラズマ処
理の条件は、エッチングしたマトリックス樹脂1の表面
に直径が0.01〜1μmの突起形状が緻密に形成され
るときが最も好適であることも見出だされた。その状態
は、走査型電子顕微鏡によって拡大観察すれば、知るこ
とができる。このような処理条件では、成形品4の表面
に酸素系官能基が導入され、また成形品4の表面とめっ
き3との接着面積が増大するので、めっき3の接着性が
向上するものと考えられる。
【0016】参考までに、プラズマ処理を施した炭素繊
維含有プッラスチック成形品4の表面を、X線光電子分
光法により分析を行った例について説明する。図4はプ
ラズマ処理した前記成形体ののC1sスペクトルの一例
である。分析に使用したサンプルの炭素繊維含有プラス
チック成形品は、切削加工後アセトンで超音波洗浄し、
低温プラズマ照射を行った。処理ガスには空気を使用
し、真空度1.05Torr、高周波電圧2.5kV、
周波数110kHzの条件で5分間照射した。図5は、
比較のために切削加工のままのサンプルのC1sスペク
トルの一例である。これらの図から分かるように、プラ
ズマ処理成形体ではで官能基の増加が見られ、ロステー
ルと称されている共役成分の存在を示す成分の増加が認
められる。これは、炭素繊維中のベンゼン環に由来する
と考えられ、エッチングによる炭素繊維2の露出が進ん
でいることを示し、マトリックス樹脂部分1が優先的に
エッチングされていることを裏付けていると判断され
る。
【0017】この様にして処理された前記炭素繊維強化
プラスチック成形品に、無電解めっきまたは電気めっき
によって、あるいはそれらの組み合わせによって、ニッ
ケル、銅、鉛、亜鉛、すず、金、銀、クロムなどをめっ
きして表面の金属化を行う。なお、溶射や溶融めっきな
ども本発明のめっきに含まれるものとする。さらに、金
属化された表面を研磨すれば、金属並の硬度と鏡面が得
られる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0019】実施例 1〜2、比較例1〜2 パイプ状の炭素繊維強化プラスチック成形体を用い、低
温プラズマによる処理条件を変えて外周面に無電解ニッ
ケルめっきを施し、本発明の炭素繊維強化プラスチック
成形体を製造した。また、全く低温プラズマ処理を実施
しないで無電解メッキを施し、それらの結果を比較し
た。
【0020】なお、パイプ状成形体には、エポキシ樹脂
(密度:1.8g/cm3 )をマトリックスとする外径
100mm、内径94mm、長さ50mmの炭素繊維含
有のプラスチックパイプでこのパイプの炭素繊維の体積
含有率は55%、炭素繊維の平均直径は7μmであっ
た。まず、パイプ外周面を所定の外径に切削加工した
後、表面を粒度#120、空気圧力が4kgf/cm3
のサンドブラスト処理し、ついでアセトンで超音波洗浄
し、ほこりなどの汚れを除去した後、得られたパイプを
低温プラズマ処理した。低温プラズマは、0.75mm
2 の弗素樹脂被覆電線を200ターン巻いたコイル電極
方式の低温プラズマ発生装置(HF−601MD:春日
電気(株)製)を用い、高周波電源の周波数は110k
Hz、処理ガスは空気で照射した。真空度、処理電圧、
処理時間などの条件は表1に示した。
【0021】低温プラズマ処理後のサンプルを、1リッ
トル中に30gのSnCl2 と20ミリリットルのHC
lとを溶解した溶液に常温で5分間浸漬し、感受性化処
理を行なった。このサンプルを水洗後、1リットル中に
0.3gのPbCl2 と5ミリリットルのHClとを溶
解した溶液に常温で5分間浸漬し、活性化処理を行っ
た。水洗後、95℃のニッケルめっき液(かにぜん
(株)製のブルーシューマー5倍希釈を使用)に5分間
浸漬して、厚さが約2μmの無電解ニッケルめっきを形
成させた。
【0022】前記サンプル素地と無電解ニッケルめっき
の密着性を、JISH8504に規定された、引き剥が
し試験方法と、はんだ付け試験方法(はんだの代わり
に、エポキシ系接着剤を使用した)により評価し、その
結果を表1に示した。
【0023】
【表1】 実施例 3〜4、比較例3〜4 実施例1に用いた炭素繊維強化プラスチックパイプのサ
ンプルに実施例1と同様の予備処理を施した後、実施例
1中の水準1と同じ条件でプラズマ照射を実施した。こ
のサンプルに表2に示した電気ニッケルめっきおよびク
ロムめっきを施して、外観を観察した。観察結果を合わ
せて表2に示した。
【0024】
【表2】 プラズマ処理と無電解ニッケルめっきと電気ニッケルめ
っきとクロムめっきを組み合わせ、極めて良好な外観
で、実用上なんら問題のない金属膜を炭素繊維強化プラ
スチック成形品上に形成することができた。
【0025】
【発明の効果】本発明の炭素繊維強化プラスチック成形
体は、炭素繊維強化プラスチック成形品とめっきとの界
面において、炭素繊維がマトリックス樹脂成分の表面よ
りも該炭素繊維の半径を越える高さに凸部を形成し、め
っきに接着しているので、単にプラスチック表面にめっ
きを施した鍍金プラスチック成形体と比較すると、めっ
きが強固に接着し剥がれにくい。その理由は、めっきと
成形品との接着面が広いこと、めっきが炭素繊維の間隙
に入込んで強固に接着すること、さらに炭素繊維による
導電性の向上がめっきに有利に作用することなどが考え
られる。
【0026】また、本発明の炭素繊維強化プラスチック
成形体の製造方法を利用し、炭素繊維を含有させたプラ
スチック成形品の表面に低温プラズマを照射すると、炭
素繊維部分に対してマトリックス樹脂部分が選択的にエ
ッチングされ、炭素繊維を露出させるとともに樹脂表面
に微細な凹凸を形成させ、さらに、酸素系官能基が導入
されて表面を活性化せしめ、強固なめっきを施すことが
できる。このようにして形成しためっきは、機械部品や
構造材として使用するのに十分な耐摩耗性や耐食性を有
する。また、低温プラズマ処理は乾式であるので、作業
は一工程で安価な、さらに無公害なめっき前処理方法と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面を金属化する前の表面部分のマトリック
ス樹脂成分を除去した炭素繊維強化プラスチック成形体
表層部の模式的な断面図。
【図2】 本発明にかかる炭素繊維強化プラスチック成
形体表層部の模式的な断面図。
【図3】 表面を金属化する前の表面部分のマトリック
ス樹脂成分を除去した炭素繊維強化プラスチック成形体
表層部の模式的な断面図。
【図4】 プラズマ処理した炭素繊維強化プラスチック
成形品のX線光電子分光法によるC1sスペクトルの一
例。
【図5】 比較のために切削加工のままの炭素繊維強化
プラスチック成形品のX線光電子分光法によるC1sス
ペクトルの一例。
【符号の説明】
1:マトリックス樹脂成分 2:炭素繊維 3:め
っき 4:炭素繊維強化プラスチック成形品

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素繊維を含有させたプラスチック成形品
    の表面に低温プラズマを照射し、表面部分のマトリック
    ス樹脂成分を除去することによって炭素繊維を露出させ
    た後、めっきを施すことを特徴とする表面が金属化され
    た炭素繊維強化プラスチック成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記の低温プラズマを照射して除去するマ
    トリックス樹脂成分の単位表面積当たりの重量ΔW(g
    /cm2 )は、(1)式が満たされる量であることを特
    徴とする請求項1に記載の、表面が金属化された炭素繊
    維強化プラスチック成形体の製造方法。 【数1】 (ΔW×100)/(S×R)=H }(1) H/D≧0.5 ただし、S:マトリックス樹脂成分の密度(g/c
    3 ) R:マトリックス樹脂成分の体積含有率(%) H:除去されたマトリックス樹脂成分の深さ(cm) D:炭素繊維の平均直径(cm)
  3. 【請求項3】炭素繊維を含有するプラスチック成形品の
    表面にめっきが施された炭素繊維強化プラスチック成形
    体であって、前記プラスチック成形品の表面は、めっき
    との界面において、炭素繊維がマトリックス樹脂成分の
    表面よりも該炭素繊維の半径を越える高さの凸部を形成
    していることを特徴とする表面が金属化された炭素繊維
    強化プラスチック成形体。
  4. 【請求項4】凸部を形成している割合は、炭素繊維強化
    プラスチック成形体の全表面積に対し、40〜80%で
    ある請求項3に記載の表面が金属化された炭素繊維強化
    プラスチック成形体。
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