JP2016177124A - ドラム - Google Patents

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Abstract

【課題】通常のドラムの音色を保ったままでサステインを短くできるようにする。【解決手段】胴部2を含むドラム本体と、膜部12を有し、前記膜部12に開口孔15を形成したドラムヘッド3と、前記開口孔15を覆う遮蔽部6と、を備えるドラムを提供する。また、前記遮蔽部6が、前記開口孔15の縁部との間に隙間t1が形成されるように前記開口孔15を覆うドラムを提供する。また、前記遮蔽部6が、前記胴部2、及び、前記ドラム本体のフープ22の少なくとも一方で支持されているドラムを提供する。【選択図】図4

Description

本発明は、ドラムに関する。
一般に、アコースティックドラムでは、ドラムヘッドを打撃することで音を発生する。この発生音の音色は、主に、アタック音と呼ばれる打撃した瞬間の立ち上がりと、サステイン(音の伸び)と呼ばれるドラムヘッドの振動の自由減衰により決定される。ドラムを演奏する際には、音楽のジャンルや演奏する場所などの用途に応じて、上記したアタック音やサステインの調整が必要となる場合がある。
従来では、アタック音やサステインを調整するための様々な構造が提案されている。例えば特許文献1には、ドラムヘッドの打面やこれと反対側の面の外周領域に各種ミュート部材を取り付けた構造が開示されている。この構造では、ドラムヘッドを打撃した際のドラムヘッドの外周領域の振動をミュート部材によって吸収することで、サステインを短くすることができる。
米国特許第5637819号明細書
しかしながら、特許文献1のようにミュート部材をドラムヘッドに取り付けた構造のドラムでは、ドラムヘッドの振動態様が、ミュート部材を設けない通常のドラムと比較して大きく変化してしまう。
このため、ミュート部材を用いたドラムによる発生音の音色が、通常のドラムによる発生音の音色と大きく異なってしまう、すなわち、ドラム本来の音色が失われてしまう、という問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、通常のドラムの音色を保ったままでサステインを短くすることが可能なドラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のドラムは、胴部を含むドラム本体と、膜部を有し、前記膜部に開口孔を形成したドラムヘッドと、前記開口孔を覆う遮蔽部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、通常のドラムの音色を保ったままでサステインを短くすることができる。
本発明の一実施形態に係るスネアドラムを示す上面図である。 本発明の一実施形態に係るスネアドラムを示す下面図である。 図1,2のIII−III矢視断面図である。 図1のIV−IV矢視断面図である。 通常ドラム、比較例ドラム、及び、図1〜4に示す実施例ドラムによる音圧レベルの時間履歴を相対的に示すグラフである。 図1〜4に示すスネアドラムの第一変形例を示す要部拡大断面図である。 図1〜4に示すスネアドラムの第二変形例を示す上面図である。 本発明の他の実施形態に係るバスドラムを示す側面図である。 図8に示すバスドラムをバターヘッド側から見た平面図である。 図8に示すバスドラムに第一例のフロントヘッドを設けた平面図である。 図8に示すバスドラムに第二例のフロントヘッドを設けた平面図である。
以下、図1〜5を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1〜3に示すように、この実施形態に係るドラムは、スネアドラム1であり、筒状のシェル(胴部)2と、シェル2の一方の開口に取り付けられて打面として使用されるバターヘッド(ドラムヘッド)3Aと、シェル2の他方の開口に取り付けられるスネアサイドヘッド(ドラムヘッド)3Bと、を備える。以下の説明では、バターヘッド3A、スネアサイドヘッド3Bをドラムヘッド3と呼ぶことがある。
シェル2は、木材や金属などの材料によって構成されている。
バターヘッド3A、スネアサイドヘッド3Bの各ドラムヘッド3は、いずれもPET(ポリエチレンテレフタレート)などのフィルムからなる平面視円形のヘッド部11を備える。ヘッド部11は、シェル2の各開口の縁部2A,2Bの内側に配される膜部12と、膜部12の外縁に一体に形成され、シェル2の各開口の縁部2A,2Bの外側に配される外側膜部13と、を有する。膜部12は、バターヘッド3Aの膜部12を打撃した際に有効に振動する部分である。以下の説明では、膜部12を有効振動膜部12と呼ぶ。
外側膜部13は、ドラムヘッド3をシェル2に取り付けた状態において、有効振動膜部12の外縁から、有効振動膜部12の径方向外側に向かうにしたがって有効振動膜部12の膜厚方向に傾斜するように延在する。
また、本実施形態のドラムヘッド3は、ヘッド部11(外側膜部13)の外縁に連結されて、ヘッド部11を平面視円形状に保持するフレッシュフープ14を備える。フレッシュフープ14の内径寸法はシェル2の外径寸法よりも大きく設定されている。
また、スネアドラム1は、スネアサイドヘッド3Bに対して選択的に押し付けられるスナッピ4と、各ドラムヘッド3のヘッド部11をシェル2の各開口に張り付けて有効振動膜部12にテンションを付与する張設部5と、備える。
本実施形態の張設部5は二つのドラムヘッド3に対して一つずつ設けられる。また、張設部5は、従来周知のラグ21、フープ22及びチューニングボルト23によって構成されている。ラグ21及びこれに螺着されるチューニングボルト23は、シェル2の周方向に均等に複数配列されている。そして、各ラグ21に螺着された各チューニングボルト23を締め付けることで、フープ22がドラムヘッド3のフレッシュフープ14をシェル2のうちドラムヘッド3を取り付けた一方の開口側から他方の開口側に向けて付勢する。これによって、有効振動膜部12にテンションが付与される。
そして、図1,2,4に示すように、各ドラムヘッド3の有効振動膜部12には、その厚さ方向に貫通する開口孔15が形成されている。本実施形態では、開口孔15が、有効振動膜部12の外周領域12Aにおいて有効振動膜部12の周方向に沿って複数配列されている。ここで、外周領域12Aとは、有効振動膜部12のうち打撃されない領域、あるいは、演奏において打撃される必要がない領域を示す。
バターヘッド3Aにおける外周領域12Aの内縁は、有効振動膜部12のうちドラムスティック等によって打撃される中央領域12Bを確保できるように、例えば有効振動膜部12の半径の75%よりも径方向外側に位置するとよい。一方、スネアサイドヘッド3Bにおいては、少なくともスナッピ4によって打撃される領域を確保できればよいため、スネアサイドヘッド3Bにおける外周領域12Aの内縁は、例えば図2のようにバターヘッド3Aにおける外周領域12Aの内縁よりも有効振動膜部12の径方向内側に位置してもよい。
図1,2に示すように、各ドラムヘッド3において複数の開口孔15は、有効振動膜部12の周方向に沿って等間隔に配列されている。平面視した各開口孔15のうち有効振動膜部12の径方向内側の端部は、径方向内側に向けて先細る凸状に形成されている。本実施形態では、各開口孔15の径方向内側の端部の縁形状が円弧状に形成されている。また、本実施形態のバターヘッド3Aでは、有効振動膜部12の径方向に沿う開口孔15の寸法が、有効振動膜部12の周方向に沿う開口孔15の寸法よりも小さい。
さらに、本実施形態では、図4に例示するように、各開口孔15が有効振動膜部12と外側膜部13との境界を跨ぐように形成されている。すなわち、開口孔15は、有効振動膜部12及び外側膜部13の両方にわたって形成されている。
開口孔15の径方向外側の端部は、例えば図4のようにフレッシュフープ14に到達してもよいが、例えばフレッシュフープ14に到達しなくてもよい。開口孔15の径方向外側の端部がフレッシュフープ14に到達しない場合には、ヘッド部11をフレッシュフープ14に取り付けた後に開口孔15を容易に形成することができる。すなわち、ドラムヘッド3を容易に製造することができる。
本実施形態の各ドラムヘッド3では、複数の開口孔15が互いに同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。有効振動膜部12における各開口孔15の開口面積は、例えば78mm以上に設定されるとよい。
図1,2では、開口孔15の数が、張設部5のラグ21やチューニングボルト23と同数に設定されているが、これに限ることはない。また、各ドラムヘッド3は、例えば図1,2に示すように、開口孔15が周方向に隣り合うラグ21やチューニングボルト23の間に位置するように、シェル2に取り付けられてもよいが、これに限ることはない。
さらに、スネアドラム1は、図1〜4に示すように、各ドラムヘッド3の開口孔15の縁部との間に隙間t1が形成されるように開口孔15を覆う遮蔽部6を備える。遮蔽部6は、各ドラムヘッド3の複数の開口孔15に対して一つずつ設けられる。
遮蔽部6は、バターヘッド3Aやスネアサイドヘッド3Bを打撃しても振動しない程度の剛性を有している。遮蔽部6は、アルミニウム、ステンレス等の金属、樹脂、発泡樹脂など、空気を通さない任意の材料によって構成されてよい。本実施形態の遮蔽部6は、板状に形成されている。遮蔽部6の板厚は、例えば図4のようにドラムヘッド3の厚みよりも大きくてもよいが、これに限ることはない。
本実施形態において、遮蔽部6の平面視形状は、開口孔15の平面視形状に相似している。また、平面視した遮蔽部6の大きさは、平面視した開口孔15よりも小さい。この遮蔽部6は、その板厚方向がドラムヘッド3の厚さ方向に一致するように、開口孔15に挿入されている。すなわち、本実施形態の遮蔽部6は開口孔15の大半を埋めている。この状態において、開口孔15の縁部と遮蔽部6との隙間t1は、平面視した開口孔15の径方向内側に現れる。隙間t1の寸法(開口孔15と遮蔽部6との間隔)は、ドラムヘッド3と遮蔽部6が干渉しない範囲でなるべく小さく設定するとよい。隙間t1の寸法は、例えば1〜2mm程度であるとよい。
また、開口孔15に挿入される遮蔽部6は、例えば有効振動膜部12に対してシェル2の外側に突出する高さが低くなるように、あるいは、シェル2の外側に突出しないように配されるとよい。
上記した遮蔽部6は、シェル2及び張設部5を含むドラム本体10で支持されている。本実施形態では、遮蔽部6がシェル2で支持されている。具体的には、遮蔽部6は、支持部7を介してシェル2の内周面に固定される。
本実施形態のスネアドラム1によれば、ドラムヘッド3の有効振動膜部12に開口孔15が形成されると共に、開口孔15の縁部と遮蔽部6との間に隙間t1が形成されるように開口孔15が遮蔽部6によって覆われている。このため、シェル2に取り付けたバターヘッド3Aを打撃して各ドラムヘッド3の有効振動膜部12が振動した際には、各ドラムヘッド3において開口孔15の縁部と遮蔽部6との間の隙間t1を通じてスネアドラム1の内外に流出入する空気の流速増加に伴うエネルギー損失が大きくなる。すなわち、空気が隙間t1を通じてスネアドラム1の内外に流出入することで各ドラムヘッド3の振動が抑制される。これにより、開口孔15を有するが、遮蔽部6を備えないドラムと比較して、打撃時の発生音におけるサステインを短くすることができる。スネアドラム1では、タイトな(しまりのある)音が求められることが多いため、開口孔15を覆う遮蔽部6を設けてサステインを短くすることは非常に有効である。
なお、サステインを短くする度合いは、隙間t1の大きさを変化させることで、適宜調整できる。例えば、隙間t1を大きくすると、サステインが長くなる。
また、本実施形態のスネアドラム1によれば、各ドラムヘッド3の有効振動膜部12に複数の開口孔15が形成されている。これにより、バターヘッド3Aを打撃した際には、各ドラムヘッド3の振動の空気への伝搬が減少するため、打撃による発生音の音量を低減することができる。
具体的には、バターヘッド3Aに複数の開口孔15が形成されていることで、バターヘッド3Aの有効振動膜部12がドラムスティック等によって打撃されることで発生する発生音の音量を低減できる。また、スネアサイドヘッド3Bに複数の開口孔15が形成されていることで、スネアサイドヘッド3Bの有効振動膜部12がスナッピ4によって打撃されることで発生する発生音の音量を低減できる。これにより、バターヘッド3Aによる発生音の音量、及び、スネアサイドヘッド3Bによる発生音の音量をバランスよく低減することができる。
また、開口孔15が有効振動膜部12の外周領域12Aに形成されることで、各開口孔15の開口面積を大きく設定できる。その結果、打撃による発生音の音量を効果的に低減することができる。
また、本実施形態のスネアドラム1によれば、遮蔽部6がシェル2で支持されている。これにより、遮蔽部6は主にシェル2の内部に位置するため、ドラムヘッド3を交換する際に、遮蔽部6がドラムヘッド3の交換を阻害することを防止できる。すなわち、ドラムヘッド3を通常のスネアドラムの場合と同様に、容易に交換することができる。
また、本実施形態では、開口孔15を有するドラムヘッド3がバターヘッド3Aやスネアサイドヘッド3Bであるため、遮蔽部6がバターヘッド3Aやスネアサイドヘッド3Bの打撃を阻害することを抑制できる。
さらに、本実施形態のスネアドラム1によれば、各ドラムヘッド3に形成される開口孔15のうち有効振動膜部12の径方向内側の端部が、径方向内側に向けて先細る凸状に形成されている。このため、張設部5によって有効振動膜部12にテンションを付与する際に、有効振動膜部12のうち開口孔15の径方向内側の部位に十分なテンションを付与することができる。したがって、ドラムヘッド3を打撃した際に開口孔15の径方向内側の部位に不要な共振が現れることを防いで、音色が劣化することを防止できる。
例えば、ドラムヘッド3に形成される開口孔15のうち有効振動膜部12の径方向内側の端部が、径方向内側に向けて先細る凸状に形成されていない場合には、有効振動膜部12のうち開口孔15の径方向内側の部位にテンションを付与することができない。このため、ドラムヘッド3が打撃により振動した際には開口孔15の径方向内側の部位に不要な共振が現れ、音色が劣化してしまう。
また、本実施形態のスネアドラム1によれば、複数の開口孔15が有効振動膜部12の外周領域12Aに形成されるため、開口孔15が形成されていない有効振動膜部12の中央領域12Bを打撃用の領域として活用できる。すなわち、ドラムヘッド3(特にバターヘッド3A)の耐久性も確保することができる。
さらに、本実施形態のスネアドラム1によれば、各ドラムヘッド3において、開口孔15のうち有効振動膜部12の径方向外側の端部が有効振動膜部12に位置しないため、開口孔15を有効振動膜部12のみに形成する場合と比較して、ドラムスティックやスナッピ4等によって打撃される中央領域12Bの面積を十分に確保しながら有効振動膜部12における開口孔15の開口面積を容易に拡大することができる。すなわち、発生音の音量をより低減することが可能となる。
また、本実施形態のスネアドラム1によれば、有効振動膜部12の径方向に沿う開口孔15の寸法が、有効振動膜部12の周方向に沿う開口孔15の寸法よりも小さい。このため、中央領域12Bの面積を十分に確保しながら、開口孔15の開口面積も大きく設定することが可能となる。
さらに、本実施形態のスネアドラム1によれば、複数の開口孔15が等間隔に配列されることで、ドラムヘッドの対称性が良好に保たれるため、打撃に伴う各ドラムヘッド3の全ての振動モードを開口孔15のない通常のドラムヘッドに近い振動形態とすることができる。したがって、通常のスネアドラムにさらに近い音色を得ることができる。
また、本実施形態では、各ドラムヘッド3が通常のドラムヘッドと同じ構造である。このため、張設部5によるヘッド部11の張り具合の調整(チューニング)を、通常のドラムヘッドの場合と同様に実施することもできる。さらに、同一のシェル2に対して通常のドラムヘッドを本実施形態のドラムヘッド3に交換できるため、シェル2の特徴や特色に応じた音色を有しながら発生音の音量低減を図ることができる。
また、本実施形態のスネアドラム1のドラムヘッド3では、開口孔15の開口面積を変えることにより、所望の発生音の音量に設定することができる。例えば、開口孔15の開口面積を大きくすることで、発生音の音量を小さくすることができる。したがって、開口孔15の開口面積が異なる複数種類のドラムヘッド3を用意しておくことで、演奏に必要な音量の発生音を発生するドラムヘッド3を適切に選択することも可能となる。
上記した本実施形態のスネアドラム1による効果について、バターヘッド3A及びスネアサイドヘッド3Bに開口孔15が形成されていない通常のスネアドラム(以下、通常ドラムと呼ぶ。)、及び、バターヘッド3A及びスネアサイドヘッド3Bに開口孔15を形成するが遮蔽部6を備えないスネアドラム(以下、比較例ドラムと呼ぶ。)と比較して説明する。
本実施形態のスネアドラム1(以下、実施例ドラム1と呼ぶ。)、通常ドラム、及び、比較例ドラムの各バターヘッドを同じ条件で打撃した際の等価騒音レベルを測定した。その結果、実施例ドラム1及び比較例ドラムの等価騒音レベルは、ほぼ同等であり、いずれも通常ドラムよりも低い。すなわち、開口孔15を有する実施例ドラム1及び比較例ドラムでは、打撃時の発生音の音量を通常ドラムよりも低減することができる。
音量が低減する主要因としては、有効振動膜部12に開口孔15が形成されていることで、振動によって音を放射する有効振動膜部12の有効面積が少なくなることが考えられる。また、音量が低減する副要因としては、バターヘッド及びスネアサイドヘッドのうち一方のヘッドからの音の放射が少なくなることで、他方のヘッドの応答が減少し、これに伴って他方のヘッドからの音の放射も少なくなることが考えられる。
また、通常ドラム、実施例ドラム1及び比較例ドラムによる発生音の周波数特性を測定した。その結果、いずれのドラムであっても基音や倍音を示す複数のピークが現れるものの、低音域(例えば100〜800Hzの周波数帯域)における各ピークの鋭さは、通常ドラム及び実施例ドラム1と、比較例ドラムとで異なる。比較例ドラムにおける各ピークの鋭さは、通常ドラム及び実施例ドラム1よりも鋭い。これは、比較例ドラムにおけるサステインが、通常ドラム及び実施例ドラム1よりも長いことを意味する。
一方、実施例ドラム1における各ピークの鋭さは、通常ドラムとほぼ同等である。これは、実施例ドラム1におけるサステインが、通常ドラムに近い長さであることを意味する。すなわち、実施例ドラム1による発生音の音色は、比較例ドラムよりも通常ドラムの音色に近いことを意味する。
各ドラムにおけるサステインについて、図5を参照して説明する。図5のグラフは、通常ドラム、比較例ドラム及び実施例ドラム1について、同じ条件で打撃した際の発生音の相対的な音圧レベルの時間履歴を示している。図5のグラフでは、発生音のうち基音(200Hz付近の音)の時間履歴を例示している。また、図5のグラフでは、通常ドラム、比較例ドラム及び実施例ドラム1による基音のうち最大の音圧レベルを一致させている。
図5に示すように、通常ドラム、比較例ドラム及び実施例ドラム1のいずれであっても、打撃した瞬間における基音(発生音)の音圧レベルが最も高く、その後、音圧レベルが時間の経過と共に減衰していく。
ただし、比較例ドラムでは、打撃した後に音圧レベルが減衰する度合いが通常ドラムや実施例ドラム1よりも小さい。すなわち、比較例ドラムによる基音(発生音)では、サステインが通常ドラムや実施例ドラムよりも長い。
これに対し、実施例ドラム1では、打撃した後に音圧レベルが減衰する度合いが、通常ドラムよりも若干大きいものの、比較例ドラムと比較すると通常ドラムと似ている。すなわち、比較例ドラムによる基音(発生音)では、サステインが通常ドラムにより近い長さとなる。したがって、実施例ドラム1によれば、通常ドラムと同様のサステインを保ったままで音量の低減を図ることができる。
サステインが比較例ドラムと、通常ドラムや実施例ドラム1とで異なる理由は、例えば以下のように考えられる。
通常ドラムには開口孔15が無いため、通常ドラムのバターヘッドを打撃してバターヘッド及びスネアサイドヘッドの有効振動膜部12が振動した際に、空気が各ドラムヘッドを通してシェル2の内外に流出入することはない。また、スナッピ4がスネアサイドヘッドに押し付けられることで、スネアサイドヘッドの有効振動膜部12の振動は減衰しやすい。これらの条件は、一部の振動モードにおけるバターヘッドの有効振動膜部12の振動を制約する方向に機能する、特に、基音をはじめとする低音域の振動モードにおける有効振動膜部12の振動を制約する方向に機能する。すなわち、有効振動膜部12の振動を制約するようにシェル2内の空気の負荷が有効振動膜部12にかかる。このため、一部の振動モード(特に低音域の振動モード)における有効振動膜部12の振動が早く減衰する、すなわち、サステインが短くなる。
これに対し、比較例ドラムのバターヘッド3Aを打撃してバターヘッド3A及びスネアサイドヘッド3Bの有効振動膜部12が振動した際には、空気が開口孔15を通じてシェル2の内外に流出入する。このため、バターヘッド3Aの有効振動膜部12は、空気やスナッピ4を押し付けたスネアサイドヘッド3Bによる制約を受けずに自由に振動する。その結果、有効振動膜部12の振動は、前述した一部の振動モード(特に低音域の振動モード)も含め、通常ドラムの場合よりも遅く減衰する、すなわち、サステインが長くなる。
一方、実施例ドラム1のバターヘッド3Aを打撃してバターヘッド3A及びスネアサイドヘッド3Bの有効振動膜部12が振動した際には、空気が開口孔15と遮蔽部6との間の狭い隙間t1を通じてシェル2の内外に流出入する。空気が狭い隙間t1を通過する際には、空気の流速が大きく増加し、その結果、オリフィスの原理によってエネルギー損失が発生するため、一部の振動モード(特に低音域の振動モード)における有効振動膜部12の振動が抑制される。その結果、有効振動膜部12の振動が、通常ドラムの場合と同様に早く減衰する、すなわち、サステインが比較例ドラムよりも短くなる。
したがって、実施例ドラム1によれば、通常ドラムと同様の響きや音色を保ちながら、音量を効果的に低減することができる。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば図6に示すように、遮蔽部6は、開口孔15を有効振動膜部12の厚さ方向から覆うように配されてもよい。この場合、遮蔽部6は、有効振動膜部12に対してその厚さ方向に隙間t2をあけて配されればよい。
また、遮蔽部6の一部は、開口孔15の縁部に対して有効振動膜部12の厚さ方向に隙間t2をあけて配されるとよい。このため、平面視した遮蔽部6の大きさは、例えば平面視した開口孔15よりも大きく形成されてもよい。
このように遮蔽部6を配置する場合、開口孔15の縁部と遮蔽部6との隙間t2は、ドラムヘッド3と遮蔽部6が干渉しない範囲、すなわち、有効振動膜部12が振動しても遮蔽部6に接触しない範囲で、なるべく小さく設定するとよい。
また、遮蔽部6を有効振動膜部12に対してその厚さ方向に重ねる場合、遮蔽部6は、例えば図6のようにシェル2の内部に配されるとよい。これにより、遮蔽部6がドラムスティックやスナッピ4等による各ドラムヘッド3の打撃を阻害することを効果的に防止できる。また、上記した遮蔽部6の配置を図6のようにスネアサイドヘッド3Bに適用した場合、遮蔽部6がスナッピ4に接触することを確実に防止できるため、スナッピ4によってスネアサイドヘッド3Bを打撃した際の発生音が、通常のドラムにおける発生音と大きく異なる不自然な音になることを防止できる。
また、遮蔽部6には、例えば図7に示すように、シェル2の内外の空間を連通させる貫通孔31が形成されてもよい。平面視した貫通孔31の大きさは、遮蔽部6や開口孔15よりも小さい。遮蔽部6に形成される貫通孔31の数は、一つでもよいが、例えば図7のように複数であってもよい。この構成では、遮蔽部6に貫通孔31を形成しない場合と比較して、ドラムヘッド3を打撃した際の発生音のサステインが伸びる。
この構成によれば、遮蔽部6に形成される貫通孔31の大きさや数を調整することで、シェル2に対する空気の流出入によるエネルギー損失の度合いを容易に調整することが可能となる。すなわち、有効振動膜部12に形成される開口孔15の大きさや数を変更することなく、サステインを容易に調整することができる。例えば、遮蔽部6に形成される貫通孔31の数や大きさが増加すると、発生音のサステインは伸びる。
また、遮蔽部6は、例えばシェル2に直接固定されてもよいし、例えばシェル2に一体に形成されてもよい。
また、遮蔽部6は、例えばドラム本体10のフープ22で支持されてもよい。この場合、遮蔽部6は、例えばシェル2の外側から開口孔15に挿入されてもよいし、例えばシェル2の外側に配すると共に開口孔15を有効振動膜部12の厚さ方向から覆ってもよい。
また、遮蔽部6をフープ22で支持する場合、遮蔽部6は、例えば上記実施形態の場合と同様に支持部を介してフープ22に固定されてもよいし、例えばフープ22に一体に形成されてもよい。
遮蔽部6をフープ22で支持する構成では、様々な形状や大きさ、数の開口孔15を有する様々な種類のドラムヘッド3に交換する際、ドラムヘッド3の種類に対応するフープ22を、ドラムヘッド3と共に同一のシェル2に対して容易に取り付けることができる。
また、例えば、一部の遮蔽部6がシェル2で支持され、残りの遮蔽部6がフープ22で支持されてもよい。
また、平面視した開口孔15の径方向内側の端部の縁形状は、円弧状に限らず、少なくとも径方向内側に向けて先細る凸状に形成されれば任意の形状であってよい。平面視した開口孔15の径方向内側の端部の縁形状は、例えば有効振動膜部12の径方向に直交する方向に延びる直線部と、直線部の両端から有効振動膜部12の径方向外側に向かうにしたがって有効振動膜部12の周方向に離れるように傾斜して延びる一対の傾斜線部と、を有する形状に形成されてもよい。
また、開口孔15は、例えば有効振動膜部12のみに形成されてもよい。この場合、平面視した開口孔15のうち有効振動膜部12の径方向外側の端部は、径方向内側の端部の場合と同様に、径方向外側に向けて先細る凸状に形成されるとよい。このように構成されることで、張設部5等によって有効振動膜部12にテンションを付与する際に、有効振動膜部12のうち開口孔15の径方向外側の部位にも十分なテンションを付与することができる。このため、ドラムヘッド3が打撃された際に開口孔15の径方向内側の部位に不要な共振が現れることを防ぎ、音色が劣化することを防止できる。
開口孔15が有効振動膜部12のみに形成される場合、開口孔15の平面視形状は、例えば円形状、楕円形状、卵形状などに形成されてもよい。また、平面視した開口孔15の径方向外側の端部及び径方向内側の端部の形状は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
また、各ドラムヘッド3に形成される複数の開口孔15は、有効振動膜部12の周方向に一列で並べられることに限らず、例えば複数列で並べられてもよい。この場合、複数の開口孔15は、例えば一の列の開口孔15と他の列の開口孔15とが有効振動膜部12の径方向に隣り合うように配列されてもよいし、例えば隣り合わないように千鳥状に配列されてもよい。
また、各ドラムヘッド3に形成される複数の開口孔15は、有効振動膜部12の周方向に沿って互いに間隔をあけて配列されればよい。複数の開口孔15は、例えば有効振動膜部12の軸線(シェル2の軸線)を基準として互いに軸対称あるいは線対称となる位置に配されてもよい。
複数の開口孔15が、軸対称あるいは線対称となる位置に配され、不等間隔で配列されたドラムヘッド3であっても、ある程度の対称性が保たれるため、多くの振動モードを通常のドラムヘッドに近い振動形態として、通常のドラムヘッドに近い音色を得ることができる。ただし、複数の開口孔15を不等間隔で配列したドラムヘッド3では、複数の開口孔15を等間隔で配列したドラムヘッド3と比較して、対称性が一部崩れ、一部の振動モードに変化が生じる。このため、複数の開口孔15は等間隔で配列したドラムヘッド3の方が、通常のドラムヘッドにより近い音色を得ることができる。
また、開口孔15は、外周領域12Aに形成されることに限らず、有効振動膜部12のうちドラムスティックやスナッピ等によって打撃され得る領域を除く任意の位置に形成されてもよい。
また、開口孔15は、例えばバターヘッド3Aのみ、あるいは、スネアサイドヘッド3Bのみに形成されてもよい。これらの構成であっても、上記実施形態の場合と同様に、打撃時の発生音のサステインを短くしたり、発生音の音量を低減したりすることができる。
上記した実施形態や変形例の構造は、スネアドラム1に限らず、例えばタムやバスドラムなど、筒状のシェルの両方の開口にドラムヘッドを取り付けたドラムに適用されてもよい。
例えば図8に示すバスドラム40に適用する場合には、例えば図9に示すように、図1に例示した上記実施形態のドラムヘッド3をバスドラム40のバターヘッド3Cとして構成するとよい。
バスドラム40のバターヘッド3Cはフットペダル(不図示)によって打撃されるため、バターヘッド3Cにおいて打撃される位置は予め定められることが多い。このため、バスドラム40のバターヘッド3Cには、例えばフットペダルによって打撃される中央領域12Bが極端に小さくなるように、開口面積の大きい開口孔15を形成してもよい。
一方、バスドラム40のフロントヘッド3Dは、打撃されることがないため、例えば上記実施形態のドラムヘッド3と同様に構成されてもよいが、例えば開口孔15のないドラムヘッドであってもよいし、例えば図10に示すように、一つの開口孔15を任意の位置に形成したドラムヘッドであってもよい。図10に示すバスドラム40には、フロントヘッド3Dの開口孔15を覆う遮蔽部6が設けられていない。
バターヘッド3Cに上記実施形態のドラムヘッド3を適用したバスドラム40によれば、上記実施形態と同様の効果を奏する。すなわち、打撃時の発生音のサステインを短くしたり、発生音の音量を低減したりすることができる。バスドラム40では、スネアドラムと同様にタイトな(しまりのある)音が求められることが多いため、サステインを短くすることは非常に有効である。
また、バスドラム40においては、例えば、バターヘッド3Cとして開口孔15のない通常のドラムヘッドを採用し、かつ、図11に示すように、フロントヘッド3Dとして開口孔15を形成したドラムヘッドを採用すると共に、この開口孔15の縁部との間に隙間が形成されるように開口孔15を覆う遮蔽部6を設けてもよい。開口孔15の形成位置は、例えば図11のように平面視したフロントヘッド3Dの有効振動膜部12の中央部分からずれた位置であってもよいし、例えば有効振動膜部12の中央部分であってもよい。
この構成であっても、上記実施形態の場合と同様に、フロントヘッド3Dのみに開口孔15を形成した通常のバスドラムの音色を保ったままで、打撃時の発生音におけるサステインを短くすることができる。
本発明のドラムは、ドラムスティックやフットペダル、スナッピの他、マレットや手など任意の手段によって打撃されることで音が発生する任意のドラムに適用することができる。また、本発明のドラムは、筒状に形成されて二つの開口を有する胴部を備えるドラムに適用されることに限らず、例えばティンパニ等のように一つの開口のみを有する胴部を備えるドラムにも適用できる。
1…スネアドラム(ドラム)、2…シェル(胴部)、3…ドラムヘッド、3A…バターヘッド(ドラムヘッド)、3B…スネアサイドヘッド(ドラムヘッド)、5…張設部、6…遮蔽部、10…ドラム本体、12…有効振動膜部(膜部)、12A…外周領域、15…開口孔、22…フープ、31…貫通孔、40…バスドラム(ドラム)、3C…バターヘッド(ドラムヘッド)、3D…フロントヘッド(ドラムヘッド)、t1、t2…隙間

Claims (5)

  1. 胴部を含むドラム本体と、
    膜部を有し、前記膜部に開口孔を形成したドラムヘッドと、
    前記開口孔を覆う遮蔽部と、
    を備えるドラム。
  2. 前記遮蔽部が、前記開口孔の縁部との間に隙間が形成されるように前記開口孔を覆う請求項1に記載のドラム。
  3. 前記遮蔽部が、前記胴部、及び、前記ドラム本体のフープの少なくとも一方で支持されている請求項1又は請求項2に記載のドラム。
  4. 遮蔽部に、前記胴部の内外の空間を連通させる貫通孔が形成されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のドラム。
  5. 前記開口孔が、前記膜部の外周領域において前記膜部の周方向に沿って複数配列され、
    前記遮蔽部が、複数の前記開口孔に対応付けて複数設けられている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のドラム。
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