JP6477080B2 - ドラムヘッド及びドラム - Google Patents

ドラムヘッド及びドラム Download PDF

Info

Publication number
JP6477080B2
JP6477080B2 JP2015055088A JP2015055088A JP6477080B2 JP 6477080 B2 JP6477080 B2 JP 6477080B2 JP 2015055088 A JP2015055088 A JP 2015055088A JP 2015055088 A JP2015055088 A JP 2015055088A JP 6477080 B2 JP6477080 B2 JP 6477080B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
drum
head
opening
effective vibration
opening hole
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015055088A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016177003A (ja
Inventor
洋平 和田
洋平 和田
隆二 橋本
隆二 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamaha Corp
Original Assignee
Yamaha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamaha Corp filed Critical Yamaha Corp
Priority to JP2015055088A priority Critical patent/JP6477080B2/ja
Priority to US15/051,934 priority patent/US9472175B2/en
Priority to EP16158914.8A priority patent/EP3070707A1/en
Priority to CN201610140275.4A priority patent/CN105989818B/zh
Publication of JP2016177003A publication Critical patent/JP2016177003A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6477080B2 publication Critical patent/JP6477080B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10DSTRINGED MUSICAL INSTRUMENTS; WIND MUSICAL INSTRUMENTS; ACCORDIONS OR CONCERTINAS; PERCUSSION MUSICAL INSTRUMENTS; AEOLIAN HARPS; SINGING-FLAME MUSICAL INSTRUMENTS; MUSICAL INSTRUMENTS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G10D13/00Percussion musical instruments; Details or accessories therefor
    • G10D13/10Details of, or accessories for, percussion musical instruments
    • G10D13/20Drumheads
    • GPHYSICS
    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10DSTRINGED MUSICAL INSTRUMENTS; WIND MUSICAL INSTRUMENTS; ACCORDIONS OR CONCERTINAS; PERCUSSION MUSICAL INSTRUMENTS; AEOLIAN HARPS; SINGING-FLAME MUSICAL INSTRUMENTS; MUSICAL INSTRUMENTS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G10D13/00Percussion musical instruments; Details or accessories therefor
    • G10D13/01General design of percussion musical instruments
    • G10D13/02Drums; Tambourines with drumheads
    • GPHYSICS
    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10DSTRINGED MUSICAL INSTRUMENTS; WIND MUSICAL INSTRUMENTS; ACCORDIONS OR CONCERTINAS; PERCUSSION MUSICAL INSTRUMENTS; AEOLIAN HARPS; SINGING-FLAME MUSICAL INSTRUMENTS; MUSICAL INSTRUMENTS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • G10D13/00Percussion musical instruments; Details or accessories therefor
    • G10D13/10Details of, or accessories for, percussion musical instruments
    • G10D13/14Mutes or dampers

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Acoustics & Sound (AREA)
  • Multimedia (AREA)
  • Electrophonic Musical Instruments (AREA)
  • Golf Clubs (AREA)
  • Percussion Or Vibration Massage (AREA)

Description

本発明は、ドラムヘッド及びこれを備えるドラムに関する。
一般に、アコースティックドラムでは、ドラムヘッドを打撃した際に発生する発生音の音量が大きい。このため、ドラムを演奏する場所や、ドラムと共に演奏する他の楽器との音量のバランスを考慮して、音量を低減する必要がある。
従来では、ドラムの音量(発生音の音量)を低減する様々な構造が開示されている。例えば特許文献1には、ドラムヘッドの打面やこれと反対側の面の一部領域に各種ミュート部材を取り付けた構造が開示されている。この構造では、ドラムヘッドを打撃した際のドラムヘッドの振動をミュート部材によって吸収することで、発生音の音量低減を図っている。
また、例えば特許文献2には、開口径が微小(例えばコンマ数mm〜数mm程度)とされた多数の小孔を全体に形成した構造のドラムヘッドが開示されている。この構造では、ドラムヘッドが打撃されて振動しても、ドラムヘッドの振動の空気への伝搬が減少することで、発生音の音量低減を図っている。
米国特許第5637819号明細書 特許第3835084号公報
しかしながら、特許文献1のようにミュート部材をドラムヘッドに取り付けた構造のドラムでは、打撃時の発生音におけるサステイン(音の伸び)が、ミュート部材を設けない通常のドラムヘッドと比較して非常に短くなる。このため、ミュート部材を用いたドラムによる発生音の音色は、通常のドラムヘッドを用いた場合の発生音の音色と比較して、明るさのない不自然な音色(劣化した音色)となってしまう、という問題がある。
また、特許文献2のドラムヘッドであっても、打撃した際の発生音におけるサステインが通常のドラムヘッドと比較して非常に短くなり、アタック音のみが強調された不自然な音色となってしまう。また、多数の小孔によってドラムヘッドに応力集中が発生して耐久性が低下してしまう。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、打撃した際の発生音の音量を低減しながら、サステインを通常のドラムヘッドに近づけて、通常のドラムヘッドにより近い音色を得ることが可能なドラムヘッド及びこれを備えるドラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のドラムヘッドは、膜部を有し、前記膜部の外周領域に、前記膜部の周方向に沿って配列された複数の開口孔が形成され、平面視した前記開口孔のうち前記膜部の径方向内側の端部が、前記径方向内側に向けて先細る凸状に形成され、前記膜部の外縁に一体に形成される外側膜部を有し、前記開口孔が、前記膜部と前記外側膜部との境界を跨いで形成されていることを特徴とする。
本発明のドラムヘッドは、例えば筒状に形成された胴部の開口に取り付けられる。また、膜部は、例えばドラムヘッドが胴部の開口に取り付けられた状態で胴部の開口の縁部の内側に配される部分である。
本発明によれば、胴部に取り付けたドラムヘッドを打撃した際の発生音の音量を低減しながら、サステインを通常のドラムヘッドに近づけて、通常のドラムヘッドにより近い音色を得ることができる。
本発明の第一実施形態に係るドラムを示しており、(a)は上面図、(b)は(a)のIB−IB矢視断面図、(c)は(a)のIC−IC矢視断面図である。 本発明の一実施形態に係るドラムヘッドを示しており、(a)は上面図、(b)は(a)のIIB−IIB矢視断面図である。 ドラムヘッドの比較例を示す上面図である。 ドラムヘッドの比較例を示す上面図である。 図2に示す実施例ヘッド、図4に示す比較例ヘッド、及び、通常ヘッドによる音圧レベルの周波数特性を示すグラフである。 ドラムヘッドによる音圧の測定結果であり、(a)は通常ヘッドの場合のグラフ、(b)は実施例ヘッドの場合のグラフ、(c)は比較例ヘッドの場合のグラフである。 第一実施形態のドラムヘッドの変形例を示す上面図である。 図7(a)に示すドラムヘッドによる音圧の測定結果を示すグラフである。 第一実施形態のドラムヘッドを適用したスネアドラムの側断面図である。 図9に示すスネアドラムにおいて、(a)はバターヘッドの第一例を示す上面図、(b)はバターヘッドの第二例を示す上面図、(c)はスネアサイドヘッドの一例を示す下面図である。 第一実施形態のドラムヘッドを適用したバスドラムの構成を示しており、(a)はバスドラムの側面図、(b)は(a)のバスドラムのバターヘッドの第一例を示す平面図、(c)は(a)のバスドラムのバターヘッドの第二例を示す平面図である。 本発明の第二実施形態に係るスネアドラムを示す側断面図である。 図12に示すスネアドラムにおいて、(a)はバターヘッドを示す上面図、(b)はスネアサイドヘッドを示す下面図である。 通常ドラム、第一実施例ドラム、及び、図12,13に示す第二実施例ドラムによる音圧レベルの時間履歴を相対的に示すグラフである。 第二実施形態のスネアサイドヘッドの変形例を示す下面図である。 第二実施形態のドラムヘッドの変形例を示す平面図である。 第二実施形態のドラムヘッドの変形例を示す平面図である。
〔第一実施形態〕
以下、図1〜6を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1,2に示すように、この実施形態に係るドラム1は、タムであり、筒状のシェル(胴部)2と、シェル2の一方の開口に取り付けられて打面として使用されるドラムヘッド3と、を備える。
シェル2は、木材や金属などの材料によって構成されている。
ドラムヘッド3は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などのフィルムからなる平面視円形のヘッド部11を備える。ヘッド部11は、シェル2の一方の開口の縁部2Aの内側に配される膜部12と、膜部12の外縁に一体に形成され、シェル2の一方の開口の縁部2Aの外側に配される外側膜部13と、を有する。膜部12は、ドラムヘッド3を一方の開口に取り付けた状態で打撃された際に有効に振動する部分である。以下の説明では、膜部12を有効振動膜部12と呼ぶ。
図2において、外側膜部13は、ヘッド部11をシェル2に取り付けていない状態においても、有効振動膜部12の外縁から、有効振動膜部12の径方向外側に向かうにしたがって有効振動膜部12の膜厚方向に傾斜するように延在しているが、これに限ることはない。
また、本実施形態のドラムヘッド3は、ヘッド部11(外側膜部13)の外縁に連結されて、ヘッド部11を平面視円形状に保持するフレッシュフープ14を備える。フレッシュフープ14の内径寸法はシェル2の外径寸法よりも大きく設定されている。
また、図1に示すように、ドラム1は、上記ヘッド部11をシェル2の一方の開口に張り付けて有効振動膜部12にテンションを付与する張設部4を備える。本実施形態の張設部4は、従来周知のラグ21、フープ22及びチューニングボルト23によって構成されている。
ラグ21及びこれに螺着されるチューニングボルト23は、シェル2の周方向に均等に複数配列されている。そして、各ラグ21に螺着された各チューニングボルト23を締め付けることで、フープ22がドラムヘッド3のフレッシュフープ14をシェル2の一方の開口側から他方の開口側に向けて付勢する。これによって、有効振動膜部12にテンションが付与される。
そして、図1,2に示すように、本実施形態のドラムヘッド3においては、有効振動膜部12の外周領域12Aに、複数の開口孔15が形成されている。ここで、外周領域12Aとは、有効振動膜部12のうち打撃されない領域、あるいは、演奏において打撃される必要がない領域を示す。本実施形態のドラムヘッド3は、ドラムスティックによって打撃される。この場合、有効振動膜部12のうちドラムスティックによって打撃される中央領域12Bを確保できるように、外周領域12Aは、例えば有効振動膜部12の半径の75%よりも径方向外側の領域に設定されるとよい。
複数の開口孔15は、有効振動膜部12の周方向に沿って等間隔に配列されている。平面視した各開口孔15のうち有効振動膜部12の径方向内側の端部は、径方向内側に向けて先細る凸状に形成されている。本実施形態では、各開口孔15の径方向内側の端部の縁形状が円弧状に形成されている。また、本実施形態では、有効振動膜部12の径方向に沿う開口孔15の寸法が、有効振動膜部12の周方向に沿う開口孔15の寸法よりも小さい。
さらに、本実施形態の開口孔15は、有効振動膜部12と外側膜部13との境界を跨ぐように形成されている。すなわち、開口孔15は、有効振動膜部12及び外側膜部13の両方にわたって形成されている。
開口孔15の径方向外側の端部は、例えば図1,2に示すように、フレッシュフープ14に到達してもよいが、例えばフレッシュフープ14に到達しなくてもよい。開口孔15の径方向外側の端部がフレッシュフープ14に到達しない場合には、ヘッド部11をフレッシュフープ14に取り付けた後に開口孔15を容易に形成することができる。すなわち、ドラムヘッド3を容易に製造することができる。
本実施形態において、複数の開口孔15は互いに同じ形状かつ同じ大きさに形成されている。有効振動膜部12における各開口孔15の開口面積は、例えば78mm以上に設定されるとよい。
図1,2では、開口孔15の数が、張設部4のラグ21やチューニングボルト23と同数に設定されているが、これに限ることはない。また、ドラムヘッド3は、図1に示すように、開口孔15がラグ21やチューニングボルト23に対してヘッド部11の径方向に並ばないように、シェル2に取り付けられてもよいが、これに限ることはない。
本実施形態のドラムヘッド3及びこれを備えるドラム1によれば、有効振動膜部12に複数の開口孔15が形成されている。これにより、シェル2に取り付けたドラムヘッド3を打撃した際には、ドラムヘッド3の振動の空気への伝搬が減少するため、ドラムヘッド3の打撃による発生音の音量を低減することができる。
また、開口孔15が有効振動膜部12の外周領域12Aに形成されることで、各開口孔15の開口面積を大きく設定することが可能となる。その結果として、開口孔15を通じてドラム1の内外に流出入する空気の流速増加に伴うエネルギー損失の発生を抑制あるいは防止して、打撃時の発生音におけるサステインを通常のドラムヘッド(開口孔15の無いドラムヘッド)に近づけることができる。
さらに、開口孔15のうち有効振動膜部12の径方向内側の端部が、径方向内側に向けて先細る凸状に形成されている。このため、張設部4によって有効振動膜部12にテンションを付与する際に、有効振動膜部12のうち開口孔15の径方向内側の部位に十分なテンションを付与することができる。したがって、ドラムヘッド3を打撃した際に開口孔15の径方向内側の部位に不要な共振が現れることを防ぎ、さらにサステインを通常のドラムヘッドに近づけられるため、音色が劣化することを防止できる。
例えば図3に示すように、ドラムヘッド3A,3Bに形成される開口孔15Aのうち有効振動膜部12の径方向内側の端部が、径方向内側に向けて先細る凸状に形成されていない場合、具体的には図3(a)に示すように、開口孔15Aの径方向内側の端部が有効振動膜部12の径方向外側に窪む凹状に形成されていたり、図3(b)に示すように、開口孔15Aの径方向内側の端部が矩形状に形成されていたりする場合には、有効振動膜部12のうち開口孔15Aの径方向内側の部位にテンションを付与することができない。このため、ドラムヘッド3A,3Bを打撃した際には開口孔の径方向内側の部位に不要な共振が現れ、音色が劣化してしまう。また、テンションを付与できない部位においてエネルギー損失が発生し、サステインが伸びなくなってしまう。
以上のことから、本実施形態のドラムヘッド3及びこれを備えるドラム1によれば、ドラムヘッド3を打撃した際の発生音の音量を低減しながら、サステインを通常のドラムヘッドに近づけて、通常のドラムヘッドにより近い音色を得ることができる。これにより、ドラムヘッド3の用途が練習に限られず、ドラムヘッド3は聴衆に披露する演奏にも適用することが可能となる。
また、本実施形態のドラムヘッド3によれば、複数の開口孔15が有効振動膜部12の外周領域12Aに形成されるため、開口孔15が形成されていない有効振動膜部12の中央領域12Bを打撃用の領域として活用できる。すなわち、ドラムヘッド3の耐久性も確保することができる。
さらに、本実施形態のドラムヘッド3によれば、開口孔15のうち有効振動膜部12の径方向外側の端部が有効振動膜部12に位置しないため、開口孔15を有効振動膜部12のみに形成する場合と比較して、サステインを通常のドラムヘッドにより近づけることができる。また、開口孔15を有効振動膜部12のみに形成する場合と比較して、ドラムスティックによって打撃される中央領域12Bの面積を十分に確保しながら有効振動膜部12における開口孔15の開口面積を容易に拡大することができる。すなわち、発生音の音量をより低減することが可能となる。
また、本実施形態のドラムヘッド3によれば、有効振動膜部12の径方向に沿う開口孔15の寸法が、有効振動膜部12の周方向に沿う開口孔15の寸法よりも小さい。このため、中央領域12Bの面積を十分に確保しながら、開口孔15の開口面積も大きく設定することが可能となる。
さらに、本実施形態のドラムヘッド3によれば、複数の開口孔15が等間隔に配列されることで、ドラムヘッドの対称性が良好に保たれるため、打撃に伴うドラムヘッド3の全ての振動モードを通常のドラムヘッドに近い振動形態とすることができる。したがって、通常のドラムヘッドにさらに近い音色を得ることができる。
また、本実施形態のドラムヘッド3は、通常のドラムヘッドと同じ構造である。このため、張設部4によるヘッド部11の張り具合の調整(チューニング)を、通常のドラムヘッドの場合と同様に実施することもできる。さらに、同一のシェル2に対して通常のドラムヘッドを本実施形態のドラムヘッド3に交換できるため、シェル2の特徴や特色に応じた音色を有する発生音の音量低減を図ることができる。
また、本実施形態のドラムヘッド3では、開口孔15の開口面積を変えることにより、所望の発生音の音量に設定することが可能となる。例えば、開口孔15の開口面積を大きくすることで、発生音の音量を小さくすることができる。したがって、開口孔15の開口面積が異なる複数種類のドラムヘッド3を用意しておくことで、演奏に必要な音量の発生音を発生するドラムヘッド3を適切に選択することも可能となる。
上記した本実施形態のドラムヘッド3による効果について、開口孔15が形成されていない通常のドラムヘッド(以下、通常ヘッドと呼ぶ。)、及び、図4に示すように有効振動膜部12の外周領域12Aに、開口面積が7mmの小孔15Cを多数形成した比較例のドラムヘッド3C(以下、比較例ヘッド3Cと呼ぶ。)と比較した実験を示して説明する。
図5は、図2に示す本実施形態のドラムヘッド3(以下、実施例ヘッド3と呼ぶ。)、不図示の通常ヘッド、図4に示す比較例ヘッド3Cについて、同じ条件で打撃した際の発生音の周波数特性を示している。
図5に示すように、通常ヘッドによる発生音の周波数特性には、複数のピークが現れる。このうち、最も低い周波数におけるピークは発生音の基音を示し、これよりも高い周波数における複数のピークは発生音の倍音を示している。
実施例ヘッド3及び比較例ヘッド3Cによる周波数特性においても、通常ヘッドと同様のピークが現れる。
ただし、比較例ヘッド3Cでは、各ピークにおける音圧レベルの大きさが、通常ヘッドの場合と比較して著しく低下している。また、比較例ヘッド3Cにおける各ピークの鋭さも、通常ヘッドの場合と比較して著しく低下している。すなわち、比較例ヘッド3Cによる発生音では、基音や倍音が強調されない音となることを示している。これは、比較例ヘッド3Cでは、サステインが極端に短く、アタックのみが強調された不自然な音色となることを意味する。
これに対し、実施例ヘッド3では、各ピークにおける音圧レベルの大きさが、通常ヘッドの場合と比較して低下しているものの、比較例ヘッド3Cと比べると低下する度合いが非常に小さい。また、実施例ヘッド3における各ピークの鋭さは、比較例ヘッド3Cの場合と比較して、通常ヘッドの場合の鋭さに近い。すなわち、実施例ヘッド3による発生音では、通常ヘッドと同様に基音や倍音が強調された音となっていることを示している。これは、実施例ヘッド3では、サステインがある程度長く保持された自然な音色となることを意味する。
サステインに関する実施例ヘッド3と比較例ヘッド3Cとの違いは、図6に示すように明らかである。
図6は、通常ヘッド、実施例ヘッド3及び比較例ヘッド3Cについて、同じ条件で打撃した際の発生音の音圧の時間履歴を示している。図6の各グラフにおける音圧は、各ドラムヘッドにおける音圧の最大値を1として表しており、絶対的な音圧の大きさを示すものではない。
図6に示すように、通常ヘッド、実施例ヘッド3及び比較例ヘッド3Cのいずれであっても、打撃した瞬間における発生音の音圧が最も高く、その後、音圧が時間の経過と共に低下していく。
ただし、図6(c)に示す比較例ヘッド3Cでは、図6(a)に示す通常ヘッドと比較して、音圧が打撃した直後に急激に低下する。すなわち、比較例ヘッド3Cによる発生音では、サステインが極端に短く、アタックのみが強調された不自然な音色となる。これに対し、図6(b)に示す実施例ヘッド3では、音圧が低下する度合いが通常ヘッドよりも大きいものの、比較例ヘッド3Cと比較して非常に小さい。すなわち、実施例ヘッド3による発生音では、サステインがある程度長く保持された自然な音色となる。
上記した音色が実施例ヘッド3と比較例ヘッド3Cとで異なる理由は、例えば以下のように考えられる。
実施例ヘッド3や比較例ヘッド3Cの有効振動膜部12を打撃して有効振動膜部12が振動した際には、空気が開口孔15や小孔15Cを通じてシェル2の内外に流出入する。ここで、例えば比較例ヘッド3Cの小孔15Cのように開口面積が非常に小さい場合には、空気が小孔15Cを通過する際に空気の流速が大きく増加し、その結果、オリフィスの原理によってエネルギー損失が発生する。これによって、有効振動膜部12の自然な振動が阻害され、通常ヘッドにおける有効振動膜部12の振動態様と大きく異なってしまう。
これに対し、実施例ヘッド3の開口孔15のように開口面積が大きい場合、すなわち、開口面積が例えば78mm以上である場合には、空気が開口孔15を通過する際の空気の流速の増加が、比較例ヘッド3Cと比較して小さくなる、あるいは、空気が開口孔15を通過する際に空気の流速が増加しない。これにより、オリフィスの原理によるエネルギー損失を小さく抑えることができる、あるいは、エネルギー損失の発生自体を防止できる。これによって、有効振動膜部12の自然な振動を保持できる、あるいは、有効振動膜部12の振動態様を、通常ヘッドの場合の振動態様に近づけることができる。
以上のことから、有効振動膜部12における各開口孔15の開口面積は、例えば有効振動膜部12を打撃した際に開口孔15を通じてシェル2の内外に流出入する空気の流速の増加を抑制する程度に大きく設定されることが好ましい。
また、通常ヘッド、実施例ヘッド3及び比較例ヘッド3Cについて、同じ条件で打撃した際の発生音の最大音圧レベル(最大音量)を測定したところ、通常ヘッドの場合の最大音圧レベルが最も高く、比較例ヘッド3C、実施例ヘッド3の順番で最大音圧レベルが小さくなる、という結果が得られた。すなわち、実施例ヘッド3の方が、比較例ヘッド3Cよりも打撃した際の音量を効果的に低減できることが明らかとなった。音量が低減する要因としては、有効振動膜部12に開口孔15が形成されていることで、振動によって音を放射する有効振動膜部12の有効面積が少なくなることが考えられる。
上記した第一実施形態においては、例えば図7に示すように、開口孔15D,15E,15Fが有効振動膜部12のみに形成されてもよい。この場合、平面視した開口孔15D,15E,15Fのうち有効振動膜部12の径方向外側の端部が、径方向外側に向けて先細る凸状に形成されているとよい。
このように構成されることで、張設部4(図1参照)等によって有効振動膜部12にテンションを付与する際に、有効振動膜部12のうち開口孔15D,15E,15Fの径方向外側の部位にも十分なテンションを付与することができる。このため、ドラムヘッド3D,3E,3Fを打撃した際に開口孔15D,15E,15Fの径方向内側の部位に不要な共振が現れることを防ぎ、音色が劣化することを防止できる。
例えば図3に示すように、有効振動膜部12のみに形成される開口孔15Aのうち有効振動膜部12の径方向外側の端部が、径方向内側に向けて先細る凸状に形成されていない場合、具体的には図3(a)に示すように、開口孔15Aの径方向外側の端部が有効振動膜部12の径方向内側に窪む凹状に形成されていたり、図3(b)に示すように、開口孔15Aの径方向外側の端部が矩形状に形成されていたりする場合には、有効振動膜部12のうち開口孔15Aの径方向外側の部位に十分なテンションを付与できない場合がある。このため、ドラムヘッド3A,3Bを打撃した際には開口孔15Aの径方向外側の部位に不要な共振が現れ、音色が劣化する虞がある。
開口孔15D,15Eが有効振動膜部12のみに形成される場合、例えば図7(a)に示すように開口孔15Dは平面視円形状に形成されてもよいし、例えば図7(b)に示すように開口孔15Eは平面視で楕円形状あるいは卵形状に形成されてもよい。
また、例えば図7(a)、図7(b)に示すように、開口孔15D,15Eのうち有効振動膜部12の径方向内側の端部の縁形状は、円弧状に形成されてもよい。また、例えば図7(c)に示すように、開口孔15Fのうち有効振動膜部12の径方向内側の端部の縁形状は、有効振動膜部12の径方向に直交する方向に延びる直線部151と、直線部151の両端から有効振動膜部12の径方向外側に向かうにしたがって有効振動膜部の周方向に離れるように傾斜して延びる一対の傾斜線部152と、を有する形状に形成されてもよい。また、例えば図7(a),(b)に示すように、開口孔15D,15Eのうち有効振動膜部12の径方向外側の端部の縁形状は、円弧状に形成されてもよい。また、例えば図7(c)に示すように、開口孔15Fのうち有効振動膜部12の径方向外側の端部の縁形状は、有効振動膜部12の径方向内側の端部の縁形状と同様に、直線部151及び傾斜線部152を有する形状に形成されてもよい。
また、図7(b)、(c)に例示するように、縦横比が異なる開口孔15E,15Fを形成する場合、有効振動膜部12の径方向に沿う開口孔15E,15Fの寸法は、有効振動膜部12の周方向に沿う開口孔15E,15Fの寸法よりも小さいとよい。
開口孔15D,15E,15Fが有効振動膜部12のみに形成されたドラムヘッド3D,3E,3Fであっても、上記実施形態と同様の効果を奏する。すなわち、ドラムヘッド3D,3E,3Fを打撃した際の発生音の音量を低減しながら、サステインを通常のドラムヘッドに近づけて、通常のドラムヘッドにより近い音色を得ることができる。
上記構成のドラムヘッド3D,3E,3Fによる効果について、図8を参照して説明する。図8は、図7(a)に例示したドラムヘッド3D(以下、変形例ヘッド3Dと呼ぶ。)について、前述した通常ヘッド、実施例ヘッド3(図2参照)及び比較例ヘッド3C(図4参照)と同じ条件で打撃した際の発生音の音圧の時間履歴を示している。
図8に示すように、変形例ヘッド3Dでは、音圧が低下する度合いが、図6(a)に示す通常ヘッドの場合よりも大きいものの、図6(c)に示す比較例ヘッド3Cと比較して非常に小さい。すなわち、変形例ヘッド3Dによる発生音は、サステインがある程度長く保持された自然な音色となる。
ただし、変形例ヘッド3Dでは、音圧が低下する度合いが、図6(b)に示す実施例ヘッド3と比較して大きい、すなわち、変形例ヘッド3Dにおけるサステインは実施例ヘッド3よりも短い。したがって、開口孔は有効振動膜部12のみに形成されるよりも、有効振動膜部12と外側膜部13との境界を跨いで形成されることが、より好ましい。
そして、ヘッド部11に形成される複数の開口孔は、有効振動膜部12の周方向に一列で並べられることに限らず、例えば複数列で並べられてもよい。この場合、複数の開口孔は、例えば一の列の開口孔と他の列の開口孔とが有効振動膜部12の径方向に隣り合うように配列されてもよいし、例えば隣り合わないように千鳥状に配列されてもよい。
また、第一実施形態のドラムヘッド3は、例えば図9,10に示すように、スネアドラム(ドラム)40に適用されてもよい。この場合には、第一実施形態と同様のドラムヘッド3を、少なくともスネアドラム40のバターヘッド3Gとして構成するとよい。また、例えば第一実施形態と同様のドラムヘッド3を、スナッピ41によって打撃されるスネアサイドヘッド3Hとして構成してもよい。これにより、スネアサイドヘッド3Hの有効振動膜部12がスナッピ41によって打撃されることで発生する発生音の音量を低減することができる。
バターヘッド3Gにおいて開口孔15が形成される外周領域12Aの内縁の径寸法は、第一実施形態の場合と同様に、ドラムスティックによって打撃される中央領域12Bを確保できるように、例えば有効振動膜部12の半径の75%よりも径方向外側の領域に設定されるとよい。一方、スネアサイドヘッド3Hにおいては、少なくともスナッピ41によって打撃される領域を確保すればよいため、例えばスネアサイドヘッド3Hにおける外周領域12Aの内縁の径寸法は、バターヘッド3Gにおける外周領域12Aの内縁の径寸法よりも小さく設定されてもよい。
上記したスネアドラム40において、バターヘッド3G及びスネアサイドヘッド3Hに形成される開口孔15の数は、例えば図10のように互いに異なってもよいが、例えば同じであってもよい。
バターヘッド3G及びスネアサイドヘッド3Hの両方に本発明のドラムヘッドを適用したスネアドラム40によれば、自然な音色を保ったままで、バターヘッド3Gによる発生音の音量、及び、スネアサイドヘッド3Hによる発生音の音量をバランスよく低減することができる。
また、バターヘッド3Gに形成される開口孔15のうち径方向内側の端部の縁形状は、例えば図10(a)のように円弧状に形成されてもよいが、例えば図10(b)のように、有効振動膜部12の径方向に直交する方向に延びる直線部151と、直線部151の両端から有効振動膜部12の径方向外側に向かうにしたがって有効振動膜部12の周方向に離れるように傾斜して延びる一対の傾斜線部152と、を有する形状に形成されてもよい。図10(b)に例示する開口孔15の場合、図10(a)に例示する開口孔15と比較して、バターヘッド3Gにおける外周領域12Aの径寸法が小さくても開口孔15の開口面積を大きく設定できる。このため、ドラムスティックによって打撃される中央領域12Bをより広く設定することが可能となる。すなわち、図10(b)に例示する開口孔15の形状は、バターヘッド3Gに好適な形状である。
また、第一実施形態のドラムヘッド3は、例えば図11に示すように、バスドラム(ドラム)50に適用されてもよい。この場合には、第一実施形態と同様のドラムヘッド3を、バスドラム50のバターヘッド3Iとして構成するとよい。
バスドラム50のバターヘッド3Iはフットペダル(不図示)によって打撃されるため、バターヘッド3Iにおいて打撃される位置は予め定められることが多い。このため、バスドラム50のバターヘッド3Iにおいて開口孔15が形成される外周領域12Aの内縁の径寸法は、例えば図11(b)に示すように大きく設定されてもよいが、例えば図11(c)に示すように小さく設定されてもよい。すなわち、バスドラム50のバターヘッド3Iには、フットペダルによって打撃される中央領域12Bが極端に小さくなるように、開口面積の大きい開口孔15を形成してもよい。
バスドラム50のバターヘッド3Iにおいて開口孔15が形成される外周領域12Aの内縁の径寸法は、例えば有効振動膜部の半径の64%よりも径方向外側の領域に設定されるとよい。また、外周領域12Aの内縁の径寸法は、例えば有効振動膜部の半径の40%よりも径方向外側の領域に設定されてもよい。
バターヘッド3Iに第一実施形態のドラムヘッドを適用したバスドラム50によれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。すなわち、自然な音色を保ったままで、バターヘッド3Iによる発生音の音量を効果的に低減できる。
また、様々な種類のフロントヘッド3Jやミュート部材(不図示)と適宜組み合わせることにより、開口孔15の無い通常のバターヘッドを用いた場合と同様に、バスドラム50において発生する発生音を所望の音色に調整することもできる。
〔第二実施形態〕
次に、図12〜14を参照して本発明の第二実施形態について説明する。本実施形態では、第一実施形態と同一の構成要素について同一符号を付す等して、その説明を省略する。
図12,13に示すように、この実施形態に係るドラムは、図9,10に例示したものと同様のスネアドラム40Aであり、筒状のシェル(胴部)2と、シェル2の一方の開口に取り付けられるバターヘッド(第一ドラムヘッド)3Kと、他方の開口に取り付けられるスネアサイドヘッド(第二ドラムヘッド)3Lと、スネアサイドヘッド3Lに対して選択的に押し付けられるスナッピ41と、を備える。
バターヘッド3K及びスネアサイドヘッド3Lは、それぞれ第一実施形態のドラムヘッド3と同様のヘッド部11及びフレッシュフープ14を備える。また、本実施形態のスネアドラム40Aは、第一実施形態のドラム1と同様に、バターヘッド3K及びスネアサイドヘッド3Lの各ヘッド部11をシェル2の各開口に張り付けて各有効振動膜部12にテンションを付与する張設部4を備える。
そして、バターヘッド3K及びスネアサイドヘッド3Lのうち有効振動膜部12の外周領域12Aには、第一実施形態と同様の複数の開口孔15が形成されている。開口孔15の数は、例えば図13のようにバターヘッド3Kとスネアサイドヘッド3Lとで同じであってもよいが、例えば互いに異なってもよい。
さらに、本実施形態では、バターヘッド3Kの有効振動膜部12に、開口孔15よりも小さい小孔17が複数形成されている。各小孔17の開口面積は、例えば0.7mm以上30mm以下に設定されるとよい。複数の小孔17は、開口孔15の形成領域を除く有効振動膜部12の領域全体に形成されている。この場合、複数の小孔17は、例えば図13(a)のように有効振動膜部12のうち外側膜部13との境界近傍の領域に形成されなくてもよいが、例えばこの領域にも形成されてよい。
一方、本実施形態のスネアサイドヘッド3Lには、上記した小孔17が形成されない。
本実施形態のバターヘッド3K及びこれを備えるスネアドラム40Aによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態のバターヘッド3K及びスネアドラム40Aによれば、有効振動膜部12に複数の小孔17が形成されている。このため、シェル2に取り付けたバターヘッド3Kを打撃してその有効振動膜部12が振動した際には、小孔17を通じてスネアドラム40Aの内外に流出入する空気の流速増加に伴うエネルギー損失が大きくなる。すなわち、空気が小孔17を通じてスネアドラム40Aの内外に流出入することでバターヘッド3Kの振動が抑制される。これにより、開口孔15のみを形成したバターヘッド3Kと比較して、打撃時の発生音におけるサステインを短くすることが可能となる。特に、低音域(例えば100〜800Hzの周波数帯域)の振動モードのサステインを短くすることができる。一般にスネアドラムはタイトな(しまりのある)音が求められることが多く、スネアドラム40Aのように小孔17を形成して低域(特に基音)のサステインを短くすることは非常に有効である。
また、本実施形態のバターヘッド3K及びスネアドラム40Aによれば、有効振動膜部12に形成する小孔17の数を調整することで、サステインを調整することができる。例えば、サステインをより短くしたい場合には、小孔17をより多く形成すればよい。
上記した本実施形態のスネアドラム40Aによる効果について、バターヘッド及びスネアサイドヘッドに開口孔15や小孔17が形成されていない通常のスネアドラム(以下、通常ドラムと呼ぶ。)、及び、図9,10に例示したようにバターヘッド3G及びスネアサイドヘッド3Hに開口孔15のみを形成したスネアドラム40(以下、第一実施例ドラム40と呼ぶ。)と比較して説明する。
本実施形態のスネアドラム40A(以下、第二実施例ドラム40Aと呼ぶ。)、通常ドラム、及び、第一実施例ドラム40の各バターヘッドを同じ条件で打撃した際の等価騒音レベルを測定した。その結果、第一実施例ドラム40及び第二実施例ドラム40Aの等価騒音レベルは、ほぼ同等であり、いずれも通常ドラムよりも低い。すなわち、第一実施例ドラム40及び第二実施例ドラム40Aでは、打撃時の発生音の音量を通常ドラムよりも低減することができる。
音量が低減する主要因としては、有効振動膜部12に開口孔15が形成されていることで、振動によって音を放射する有効振動膜部12の有効面積が少なくなることが考えられる。また、音量が低減する副要因としては、バターヘッド及びスネアサイドヘッドのうち一方のヘッドからの音の放射が少なくなることで、他方のヘッドの応答が減少し、これに伴って他方のヘッドからの音の放射も少なくなることが考えられる。
また、通常ドラム、第一実施例ドラム40及び第二実施例ドラム40Aによる発生音の周波数特性を測定した。その結果、いずれのドラムであっても基音や倍音を示す複数のピークが現れるものの、低音域(例えば100〜800Hzの周波数帯域)における各ピークの鋭さは、通常ドラム及び第二実施例ドラム40Aと、第一実施例ドラム40とで異なる。第一実施例ドラム40における各ピークの鋭さは、通常ドラム及び第二実施例ドラム40Aよりも鋭い。これは、第一実施例ドラム40におけるサステインが、通常ドラム及び第二実施例ドラム40Aよりも長いことを意味する。
一方、第二実施例ドラム40Aにおける各ピークの鋭さは、通常ドラムとほぼ同等である。これは、第二実施例ドラム40Aにおけるサステインが、通常ドラムに近い長さであることを意味する。すなわち、第二実施例ドラム40Aによる発生音の音色は、第一実施例ドラム40よりも通常ドラムの音色に近いことを意味する。
各ドラムにおけるサステインについて、図14を参照して説明する。図14のグラフは、通常ドラム、第一実施例ドラム40及び第二実施例ドラム40Aについて、同じ条件で打撃した際の発生音の相対的な音圧レベルの時間履歴を示している。図14のグラフでは、発生音のうち基音(200Hz付近の音)の時間履歴を例示している。また、図14のグラフでは、通常ドラム、第一実施例ドラム40及び第二実施例ドラム40Aによる基音のうち最大の音圧レベルを一致させている。
図14に示すように、通常ドラム、第一実施例ドラム40及び第二実施例ドラム40Aのいずれであっても、打撃した瞬間における基音(発生音)の音圧レベルが最も高く、その後、音圧レベルが時間の経過と共に減衰していく。
ただし、第一実施例ドラム40では、打撃した後に基音(発生音)の音圧レベルが減衰する度合いが通常ドラムや第二実施例ドラム40Aよりも小さい。すなわち、第一実施例ドラム40による基音(発生音)では、サステインが通常ドラムや第二実施例ドラム40Aよりも長い。
これに対し、第二実施例ドラム40Aでは、打撃した後に基音(発生音)の音圧レベルが減衰する度合いが、通常ドラムよりも若干大きいものの、第一実施例ドラム40と比較すると通常ドラムと似ている。すなわち、第二実施例ドラム40Aによる基音(発生音)では、サステインが通常ドラムにより近い長さとなる。
サステインが第一実施例ドラム40と、通常ドラムや第二実施例ドラム40Aとで異なる理由は、例えば以下のように考えられる。
通常ドラムには開口孔15や小孔17が無いため、通常ドラムのバターヘッドを打撃してバターヘッド及びスネアサイドヘッドの有効振動膜部12が振動した際に、空気が各ヘッドを通してシェル2の内外に流出入することはない。また、スナッピ41がスネアサイドヘッドに押し付けられることで、スネアサイドヘッドの有効振動膜部12の振動は減衰しやすい。これらの条件は、一部の振動モードにおけるバターヘッドの有効振動膜部12の振動を制約する方向に機能する、特に、基音をはじめとする低音域の振動モードにおける有効振動膜部12の振動を制約する方向に機能する。すなわち、有効振動膜部12の振動を制約するようにシェル2内の空気の負荷が有効振動膜部12にかかる。このため、一部の振動モード(特に低音域の振動モード)における有効振動膜部12の振動が早く減衰する、すなわち、サステインが短くなる。
これに対し、第一実施例ドラム40のバターヘッド3Gを打撃してバターヘッド3G及びスネアサイドヘッド3Hの有効振動膜部12が振動した際には、空気が開口孔15のみを通じてシェル2の内外に流出入する。このため、バターヘッド3Gの有効振動膜部12は、空気やスナッピ41を押し付けたスネアサイドヘッド3Hによる制約を受けずに自由に振動する。その結果、有効振動膜部12の振動は、前述した一部の振動モード(特に低音域の振動モード)も含め、通常ドラムの場合よりも遅く減衰する、すなわち、サステインが長くなる。
一方、第二実施例ドラム40Aのバターヘッド3Kを打撃してバターヘッド3K及びスネアサイドヘッド3Lの有効振動膜部12が振動した際には、空気が開口孔15だけではなく小孔17も通じてシェル2の内外に流出入する。空気が小孔17を通過する際には、オリフィスの原理によってエネルギー損失が発生するため、一部の振動モード(特に低音域の振動モード)における有効振動膜部12の振動が抑制される。その結果、有効振動膜部12の振動が、通常ドラムの場合と同様に早く減衰する、すなわち、サステインが短くなる。
したがって、第二実施例ドラム40Aでは、通常ドラムと同様の響きや音色を保ちながら、音量を効果的に低減することができる。
上記した第二実施形態においては、例えば図15に示すように、スネアサイドヘッド3Lの有効振動膜部12に、第二実施形態と同様の複数の小孔17が形成されてもよい。バターヘッド3K及びスネアサイドヘッド3Lの両方に複数の小孔17が形成される構成では、スネアドラム40Aにおける基音(発生音)のサステインをさらに短くすることができる。
また、複数の小孔17は、例えばスネアサイドヘッド3Lのみに形成されてもよい。この構成では、バターヘッド3Kに複数の小孔17が形成されないことで、スティック等で打撃されるバターヘッド3Kの耐久性向上を図ることができる。また、この構成では、基音(発生音)ののサステインが、第二実施形態の場合よりも若干長くなるものの、第一実施例ドラム40よりは短くすることができる。
また、複数の小孔17は、例えば図16に示すように、有効振動膜部12のうち第二外周領域12Cのみに形成されてもよい。すなわち、第二外周領域12Cよりも内側の第二中央領域12Dには、複数の小孔17が形成されなくてもよい。
第二外周領域12Cは、例えば外周領域12Aと同様に、有効振動膜部12のうち打撃されない領域、あるいは、演奏において打撃される必要がない領域であってよい。第二外周領域12Cの内縁(第二外周領域12Cと第二中央領域12Dとの境界)は、例えば外周領域12Aの内縁と同じ位置に設定されてもよいが、例えば図16のように外周領域12Aの内縁よりも内側に位置してもよい。第二外周領域12Cは、例えば有効振動膜部12の半径の55%よりも径方向外側の領域に設定されるとよい。第二外周領域12Cの内縁が外周領域12Aの内縁よりも内側に位置する場合には、複数の小孔17の形成領域を容易に確保できる。
第二外周領域12Cのみに複数の小孔17を形成する構成では、基音のサステインよりも倍音のサステインを効果的に短くすることができる。また、この構成をバターヘッド3Kに適用した場合には、スティック等で打撃されるバターヘッドの耐久性を向上できる効果も奏する。
また、複数の小孔17は、例えば図17に示すように、有効振動膜部12のうち第二中央領域12Dのみに形成されてもよい。すなわち、第二外周領域12Cには、複数の小孔17が形成されなくてもよい。この構成では、倍音のサステインよりも基音のサステインを効果的に短くすることができる。
また、上記した第二実施形態やその変形例では、いずれも開口孔15がバターヘッド3K及びスネアサイドヘッド3Lの両方に形成されているが、開口孔15は少なくともバターヘッド3Kに形成されていればよい。その上で、複数の小孔17がバターヘッド3K及びスネアサイドヘッド3Lの少なくとも一方に形成されていればよい。また、開口孔15のないスネアサイドヘッド3Lに複数の小孔17を形成する場合でも、複数の小孔17は、有効振動膜部12の領域全体、あるいは、第二外周領域12Cのみ、あるいは、第二中央領域12Dのみに形成されてよい。これらの構成であっても、第二実施形態と同様の効果を奏する。
また、第二実施形態やその変形例等の構成は、図11に例示したようなバスドラムに適用されてもよい。すなわち、バスドラムの少なくともバターヘッド(第一ドラムヘッド)に開口孔15が形成され、バスドラムのバターヘッド及びフロントヘッド(第二ドラムヘッド)の少なくとも一方に複数の小孔17が形成されてもよい。このように構成されるバスドラムであっても、第二実施形態と同様の効果を奏する。バスドラムでは、スネアドラムと同様にタイトな(しまりのある)音が求められることが多いため、小孔17を形成してサステインを短くすることは非常に有効である。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、ドラムヘッド3に形成される複数の開口孔15は、少なくとも有効振動膜部12の周方向に沿って互いに間隔をあけて配列されればよい。複数の開口孔15は、例えば有効振動膜部12の軸線(胴部2の軸線)を基準として互いに回転対称あるいは線対称となる位置に配されてもよい。
複数の開口孔15が、回転対称あるいは線対称となる位置に配され、不等間隔で配列されるドラムヘッドであっても、ある程度の対称性が保たれるため、多くの振動モードを通常のドラムヘッドに近い振動形態として、通常のドラムヘッドに近い音色を得ることができる。ただし、複数の開口孔15を不等間隔で配列したドラムヘッドでは、複数の開口孔15を等間隔で配列したドラムヘッド3と比較して、対称性が一部崩れ、一部の振動モードに変化が生じる。このため、複数の開口孔15は等間隔で配列したドラムヘッド3の方が、通常のドラムヘッドにより近い音色を得ることができる。
本発明のドラムヘッドは、ドラムスティックやフットペダルの他、マレットや手など任意の手段によって打撃されることで音が発生する任意のドラムに適用することができる。また、本発明のドラムヘッドは、筒状に形成されて二つの開口を有する胴部を備えるドラムに適用されることに限らず、例えばティンパニ等のように一つの開口のみを有する胴部を備えるドラムにも適用できる。
1…ドラム、2…シェル(胴部)、2A…縁部、3,3D,3E,3F…ドラムヘッド、12…有効振動膜部(膜部)、12A…外周領域、13…外側膜部、15,15D,15E,15F…開口孔、17…小孔、40,40A…スネアドラム(ドラム)、3G,3K…バターヘッド(ドラムヘッド)、3H,3L…スネアサイドヘッド(ドラムヘッド)、50…バスドラム(ドラム)、3I…バターヘッド(ドラムヘッド)

Claims (6)

  1. 膜部を有し、
    前記膜部の外周領域に、前記膜部の周方向に沿って配列された複数の開口孔が形成され、
    平面視した前記開口孔のうち前記膜部の径方向内側の端部が、前記径方向内側に向けて先細る凸状に形成され
    前記膜部の外縁に一体に形成される外側膜部を有し、
    前記開口孔が、前記膜部と前記外側膜部との境界を跨いで形成されているドラムヘッド。
  2. 前記膜部の径方向に沿う前記開口孔の寸法が、前記膜部の周方向に沿う前記開口孔の寸法よりも小さい請求項1に記載のドラムヘッド。
  3. 複数の前記開口孔が、前記膜部の周方向に沿って等間隔または回転対称に配列されている請求項1または請求項2に記載のドラムヘッド。
  4. 前記膜部に、前記開口孔よりも小さい小孔が複数形成されている請求項1から請求項のいずれか一項に記載のドラムヘッド。
  5. 胴部と、前記胴部の開口に取り付けられる請求項1から請求項のいずれか一項に記載のドラムヘッドと、を備えるドラム。
  6. 筒状に形成された胴部と、
    請求項1から請求項のいずれか一項に記載のドラムヘッドからなり、前記胴部の一方の開口に取り付けられる第一ドラムヘッドと、
    前記胴部の他方の開口に取り付けられる第二ドラムヘッドと、を備え、
    前記第一ドラムヘッド及び前記第二ドラムヘッドの少なくとも一方に、前記開口孔よりも小さい小孔が複数形成されているドラム。
JP2015055088A 2015-03-18 2015-03-18 ドラムヘッド及びドラム Active JP6477080B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015055088A JP6477080B2 (ja) 2015-03-18 2015-03-18 ドラムヘッド及びドラム
US15/051,934 US9472175B2 (en) 2015-03-18 2016-02-24 Drum head and drum
EP16158914.8A EP3070707A1 (en) 2015-03-18 2016-03-07 Drum head and drum
CN201610140275.4A CN105989818B (zh) 2015-03-18 2016-03-11 鼓面皮和鼓

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015055088A JP6477080B2 (ja) 2015-03-18 2015-03-18 ドラムヘッド及びドラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016177003A JP2016177003A (ja) 2016-10-06
JP6477080B2 true JP6477080B2 (ja) 2019-03-06

Family

ID=55486564

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015055088A Active JP6477080B2 (ja) 2015-03-18 2015-03-18 ドラムヘッド及びドラム

Country Status (4)

Country Link
US (1) US9472175B2 (ja)
EP (1) EP3070707A1 (ja)
JP (1) JP6477080B2 (ja)
CN (1) CN105989818B (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3358565A4 (en) * 2015-09-30 2019-06-19 Yamaha Corporation DRUM SKIN AND DRUM
US11854514B2 (en) 2019-10-23 2023-12-26 D'addario & Company, Inc. Drumhead with reduced volume

Family Cites Families (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5725264Y2 (ja) * 1977-03-23 1982-06-01
US4254685A (en) * 1979-06-13 1981-03-10 Rose Calvin D Drum and drumhead structure
US4616552A (en) * 1985-12-10 1986-10-14 Jang Chan Hwei Jazz drumhead
US5159139A (en) * 1990-06-13 1992-10-27 Evans Products, Inc. Drumhead with overtone suppression
US5637819A (en) 1992-06-23 1997-06-10 Rtom Corporation Percussion instrument damping
JPH06308945A (ja) * 1993-04-20 1994-11-04 Yasuhiro Niizawa 左右面で、音色、振動時間等の異なる太鼓。
US5920021A (en) * 1996-05-23 1999-07-06 Drum Workshop, Inc. Drum head with sound attenuating annular coating
JP3835084B2 (ja) * 1999-11-15 2006-10-18 ヤマハ株式会社 ドラム、減音装置および電子打楽器用ヘッド
US6518490B2 (en) * 2001-01-23 2003-02-11 Drum Workshop, Inc. Drum head with sound attenuating center coating
JP3656633B2 (ja) * 2002-01-18 2005-06-08 ヤマハ株式会社 ドラム用ヘッド
US6700044B1 (en) * 2002-09-30 2004-03-02 Joseph Bencomo, Jr. Adjustment assembly for a musical drum
JP4380611B2 (ja) * 2005-09-08 2009-12-09 ヤマハ株式会社 ドラムヘッド
KR200414490Y1 (ko) * 2006-01-19 2006-04-20 영동군 북의 가죽 조임장치
CN102930858A (zh) 2011-08-08 2013-02-13 谢朝盈 静音鼓皮
US20130042744A1 (en) * 2011-08-16 2013-02-21 Chao-Ying HSIEN Silent drumhead
US20130312585A1 (en) * 2012-05-24 2013-11-28 Tianjin Jinbao Musical Instruments Co., Ltd Drum skin for volume-reduced or electronic drums
JP5630618B2 (ja) * 2012-07-27 2014-11-26 ヤマハ株式会社 スネアドラム
JP2015041090A (ja) * 2013-08-23 2015-03-02 ヤマハ株式会社 ドラム

Also Published As

Publication number Publication date
CN105989818B (zh) 2019-10-11
US9472175B2 (en) 2016-10-18
US20160275925A1 (en) 2016-09-22
JP2016177003A (ja) 2016-10-06
CN105989818A (zh) 2016-10-05
EP3070707A1 (en) 2016-09-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101429784B1 (ko) 스틸팬 악기 및 이를 포함하는 앙상블
US7659469B2 (en) Pitch modulator drum
JP5630618B2 (ja) スネアドラム
US5159139A (en) Drumhead with overtone suppression
US8294013B2 (en) Percussion resonance system
US5892168A (en) Drum head with floating muffling ring
JP6548402B2 (ja) ドラム用減衰調整装置
JPS6046437B2 (ja) セクシヨンに分けられた音楽用ドラム
WO2017056993A1 (ja) ドラムヘッドおよびドラム
US20170287452A1 (en) Drum head with a plurality of cushioned openings
JP6477080B2 (ja) ドラムヘッド及びドラム
WO2016043075A1 (ja) ドラム
US7074995B2 (en) Unique sounding drum
CA2945755A1 (en) Internal bracing for a guitar
JP6439534B2 (ja) ドラム
JP6569442B2 (ja) ドラムおよびドラム用フープ
JP2018155969A (ja) シンバル
JP2016177124A (ja) ドラム
US20170278492A1 (en) Drum head and drum
JP2015041090A (ja) ドラム
US20070234873A1 (en) Drum Design with Acoustic Advantages and for minimal Travel from Drum to Drum
JP3137025U (ja) ドラムヘッド及びそのドラムヘッドを備えたドラム
US20150206519A1 (en) Musical drum
US1653424A (en) Banjo
WO2007023511A2 (en) Percussion musical instrument of the tunable drum kind having mechanics built into the shell

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180125

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181012

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181023

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181109

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181213

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190121

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6477080

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151