JP2016175879A - ウェットワイパー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】布帛と、該布帛に含浸させた除菌液と、を有し、
前記除菌液が、第4級アンモニウム塩を含み、
前記第4級アンモニウム塩の含有量が、ウェットワイパー100gに対して、0.2〜3.0gであり、
前記第4級アンモニウム塩の脱離率が、60%以上である、ウェットワイパー。
【選択図】なし
Description
〔1〕
布帛と、該布帛に含浸させた除菌液と、を有し、
前記除菌液が、第4級アンモニウム塩を含み、
前記第4級アンモニウム塩の含有量が、ウェットワイパー100gに対して、0.2〜3.0gであり、
前記第4級アンモニウム塩の脱離率が、60%以上である、ウェットワイパー。
〔2〕
前記布帛の含水率が、前記布帛100質量%に対して、300〜1000質量%である、前項〔1〕に記載のウェットワイパー。
〔3〕
第4級アンモニウム塩の含有量が、前記除菌液100質量%に対して、0.1〜1.0質量%である、前項〔1〕又は〔2〕に記載のウェットワイパー。
〔4〕
前記布帛が、親水性繊維を含み、
該親水性繊維の含有量が、前記布帛100質量%に対して、20〜80質量%である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のウェットワイパー。
〔5〕
布帛に第4級アンモニウム塩を含む除菌液を含浸させる含浸工程と、
前記含浸工程前、前記含浸工程中、及び前記含浸工程後のいずれかにおいて、前記布帛の面方向に圧縮するように応力をかける加圧工程と、を含む、ウェットワイパーの製造方法。
本実施形態のウェットワイパーは、布帛と、該布帛に含浸させた除菌液と、を有し、前記除菌液が、第4級アンモニウム塩を含み、前記第4級アンモニウム塩の含有量が、ウェットワイパー100gに対して、0.2〜3.0gであり、前記第4級アンモニウム塩の脱離率が、60%以上である。
布帛を構成する繊維としては、特に限定されないが、例えば、親水性繊維及び疎水性繊維が挙げられる。親水性繊維を用いることにより、かきとった汚れを取りこんで離さない(再汚染防止)性能がより向上する傾向にある。布帛を構成する繊維は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。このなかでも、親水性繊維を含むことが好ましい。
除菌液は、第4級アンモニウム塩を含み、必要に応じてその他有効成分を含むことができる。有効成分としては、特に限定されないが、例えば、清浄、殺菌、静菌、消毒、及び除菌等の作用を有する成分が挙げられる。
第4級アンモニウム塩は、下記(1)で表されるような四級アンモニウム塩構造を分子内に有していれば、特に限定されるものではないが、例えば、塩化ベンザルコニウム等のハロゲン化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等のハロゲン化ベンゼトニウム;塩化セチルピリジニウム等のアルキルピリジニウム塩;オクチルトリメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ミリスチルトリメチルアンモニウム塩、及びセチルトリメチルアンモニウム塩等のアルキルトリメチルアンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩などが挙げられる。
[R(CH3)3N+]nX ・・式(2)
[R(CH3)N+(CH2CH2O)m'H[(CH2CH2O)m''H]]nX・・式(3)
[R(CH3)2N+CH2C6H5]nX ・・式(4)
[RPy+]nX ・・式(5)
(式(2)、(3)、(4)、及び(5)中、Rは、各々独立して、アルキル基を表し、Xは、各々独立して、1価又は2価の陰イオンを表し、m’及びm’’は、2〜40の整数を示し、n又は2の整数を表す。また、Pyはピリジンの略である。)
その他の有効成分としては、特に限定されないが、例えば、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル、又は2,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジブロモ−ジフェニルエーテル等のようなハロゲン化ジフェニルエーテル;フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、パラクロロ−メタ−キシレノール(PCMX)等のようなフェノール化合物;2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(3,4,6−トリクロロフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−クロロ−6−ブロモフェノール)、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)スルフィド、又はビス(2−ヒドロキシ−5−クロロベンジル)スルフィド等のようなビスフェニル化合物;3,4,4’−トリクロロカルバニリド等のようなハロゲン化カルバニリド;ベンジルアルコール;クロルヘキシジン;グルコン酸クロルヘキシジン;塩酸クロルヘキシジンが挙げられる。有効成分は、ウェットワイパーの用途に応じて適宜選択することができ、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
除菌液は、溶媒を含む。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、水及び/又は非水溶媒が挙げられる。非水溶媒を用いることにより、有効成分又はその他の成分の溶解性がより向上する傾向にある。
除菌液は、界面活性剤、低級アルコール、キレート剤、防腐剤、着色料、香料、及び安定剤などを含んでもよい。
本実施形態のウェットワイパーの製造方法は、布帛に第4級アンモニウム塩を含む除菌液を含浸させる含浸工程と、含浸工程前、含浸工程中、及び含浸工程後のいずれかにおいて、布帛の面方向に圧力をかける加圧工程と、を含む。また、必要に応じて、例えば、布帛を製造する布帛製造工程を含んでもよい。以下、各工程について説明する。
布帛製造工程は、布帛を製造する工程であり、布帛の種類に応じて公知の方法を用いることができる。例えば、布帛として不織布を用いる場合の製造方式には、ウェブ形成と繊維間接着の2工程がある。
加圧工程は、含浸工程前、含浸工程中、及び含浸工程後のいずれかにおいて、布帛の面方向に圧縮するように応力をかける工程である。面方向に圧縮するように応力をかけるとは、巻取り速度を速くするなどにより巻取り方向に引っ張る方法;ロールなどを用いて面方向に加圧する方法が挙げられる。加圧工程は、含浸工程前、含浸工程中、及び含浸工程後のいずれかにおいて1回行ってもよいし、含浸工程前、含浸工程中、及び含浸工程後のいずれかにおいて複数回行ってもよい。
含浸工程は、布帛に除菌液を含浸させる工程である。除菌液の含浸方法としては、除菌液が、特に限定されないが、例えば、ボトル容器にロール状に巻き取られた布帛を、ロール面(円形状になっている面をいう。)がボトル容器の底部に接するように入れ、ロール状に巻き取られた布帛の上方ロール面側より除菌液を投入することにより含浸させる方法;布帛に除菌液を含浸させて、除菌液における溶媒を必要に応じて蒸留などにより一部留去する方法;布帛に除菌液を含浸させて、除菌液における溶媒を必要に応じて蒸留などにより一部留去し、次いで、水を含浸させる方法が挙げられる。なお、留去される溶媒は、ウェットワイパーに残存していてもよい。
本実施形態のウェットワイパーは、種々の払拭対象、被払拭物に用いることができる。
100±1×100±1mm四方の布帛を用意し、含水前の布帛の質量を測定した。そして、蒸留水の中に布帛を60秒間浸漬した後取り出し、120秒間吊るした。その後、含水後の布帛の質量を測定した。得られた二つの質量に基づいて、布帛の含水率を下記計算式より求めた。
[計算式]
布帛の含水率(%)={(含水後の布帛の質量−含水前の布帛の質量)/布帛の質量}×100
実施例及び比較例で得られたウェットワイパーから試験片を切り取り、質量を測定した。その後、試験片を水中に30分間浸漬させて、第4級アンモニウム塩を抽出した。次いで、水中に溶解した第4級アンモニウム塩の濃度を高速液体クロマトグラフにて定量した。得られた濃度に基づいて、第4級アンモニウム塩の含有率を下記計算式より求めた。
(装置構成)
UV検出器:SPD−6AV (検出波長 256nm 島津製作所製))、
カラム :ODSカラム(CAPCELL PAK UG80型 資生堂製)、
移動相 :アセトニトリルと1.3%過塩素酸ナトリウム水溶液の混合物(混合比55/45)を用いて定量した。
[計算式]
第4級アンモニウム塩の含有率(%)={試験片中から水に抽出された第4級アンモニウム塩の質量(W1)/試験片の質量(W2)}×100
W1=試験片の抽出水溶液中の第4級アンモニウム塩の濃度(質量%)×{抽出水の質量(W4)+試験片中の水の質量(W3)}
実施例及び比較例で得られたウェットワイパーから試験片を切り取り、質量を測定した。その後、試験片を3000rpmで5分間遠心分離して含浸されていた液を取り出した。取り出した液に含まれる第4級アンモニウム塩の濃度を高速液体クロマトグラフにて定量した。得られた濃度に基づいて、第4級アンモニウム塩の脱離率を下記計算式より求めた。
[計算式]
第4級アンモニウム塩の脱離率(%)={取り出した液に含まれる第4級アンモニウム塩の質量(W5)/試験片中の第4級アンモニウム塩の質量(W6)}×100
W5=取り出した液に含まれる第4級アンモニウム塩の濃度(質量%)×取り出した液量(W7)
W6=含浸液の第4級アンモニウム塩の濃度(質量%)×{取り出した液量(W7)+試験片中に残った水の質量(W8)}
ステンレスバットに大腸菌液(1×108個/mLに調製)を0.1mL滴下した。16g/cm2の荷重かけてウェットワイパーで1往復払拭を行った。払拭後、ステンレスバットに10mLの生理食塩水を加え残存する菌を抽出した。菌の抽出液をSCDLP寒天培地に接種し、35℃で約2日間培養し菌数を確認した。菌数に基づいて、除菌効率を下記計算式により求めた。
[計算式]
除菌効率(%)={(最初に接種した菌数−ワイパー払拭後残存する菌数)/最初に接種した菌数}×100
ボトル容器のロール状に巻き取られた不織布をボトル容器にロール状の面が接するように配置した場合の上方部から底部までの4ヶ所からそれぞれ試験片を切り取り、水中に30分間浸漬させ、第4級アンモニウム塩を抽出した。その後に、水中に溶解した第4級アンモニウム塩の濃度を高速液体クロマトグラフにて定量した。得られた濃度に基づいて、吸着溶解率を下記計算式より求めた。
(高速液体クロマトグラフの装置構成)
UV検出器:SPD−6AV (検出波長 256nm 島津製作所製))
カラム :ODSカラム(CAPCELL PAK UG80型 資生堂製)
移動相 :アセトニトリルと1.3%過塩素酸ナトリウム水溶液の混合物(混合比55/45)
[計算式]
吸着溶解率(%)=試験片中から水に抽出された第4級アンモニウム塩の質量(W9)/試験片の質量(W10)×100
W9=試験片の抽出水溶液中の第4級アンモニウム塩の濃度(質量%)×{抽出水の質量(W12)+試験片中の水の質量(W11)}
ロール外側、ロール中央、ロール内側のシートよりそれぞれ上方部から底部までの4ヶ所の試験片における吸着溶解率の最大値と最小値から、各シートにおける吸着溶解率の最大/最小比率を求めた。
ロール状に巻き取られた不織布から上記と同様に切り取った試験片をパネラー10人で使用し、使用時のべたつき性を評価した。評価基準は次のとおりである。
(評価基準)
○:べたつかないと評価したパネラーが8人以上。
△:べたつかないと評価したパネラーが5〜7人。
×:べたつかないと評価したパネラーが5人未満。
ロール状に巻き取られた不織布から上記と同様に切り取った試験片をポリデキストロース寒天培地(栄研化学株式会社製)に貼付し、カビ懸濁液(クラドスポリウムかび106〜107cfu/mL)1mLを滴下しコンラージ棒で広げ培養を行った。培養時間は25℃で2週間とした。2週間後の試験片を目視にて観察し、下記評価基準は以下の通りであるにより防かび性を評価した。
(評価基準)
○:試験片にかびが全く発生しない。
△:試験片の3分の1未満がかびで覆われている。
×:試験片の3分の1以上がかびで覆われている。
有効成分として50質量%ラウリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド水溶液1.5質量部と精製水98.5質量部をステンレス容器に投入し、15分間、300rpmで撹拌を行い、0.75質量%除菌液を調製した。
目付量50g/m2のクロスレイ−スパンレース製法で製造した不織布(組成比 ウッドパルプ/ポリエステル=60/40)を幅15cmのシート状に裁断し、長さ方向に18cmごとにミシン目を入れて90枚のロール巻きとした。この時、巻取りスピードを通常より速い100m/sで行った。その不織布の一部を取り出して含水率を測定した。ロール状に巻き取られた不織布をボトル容器にロール状の面が接するように配置し、このロール巻きの質量に対して2.5倍量の除菌液を上方ロール面側から含浸させてウェットワイパーを製造した。
目付量50g/m2のクロスレイ−スパンレース製法で製造した不織布(組成比 ウッドパルプ/ポリエステル=60/40)を幅15cmのシート状に裁断し、長さ方向に18cmごとにミシン目を入れた。この不織布に対して質量比で2.5倍量の除菌液をシャワー状に不織布に降りかけつつ、90枚のロール巻きとした。この時、巻取りスピードは100m/sで行った。それ以外は実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
目付量50g/m2のクロスレイ−スパンレース製法で製造した不織布(組成比 ウッドパルプ/ポリエステル=60/40)を幅15cmのシート状に裁断し、除菌液を満たした液中を通した後、2本のゴムロールの線圧5kg/cmで挟んで搾り、続いて長さ方向に18cmごとにミシン目を入れて90枚のロール巻きとした。この時、巻取りスピードは60m/sで行った。それ以外は実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
除菌液100質量%に対する第4級アンモニウム塩の含有量を、0.1質量%(実施例4)、1.0質量%(実施例5)とした以外は実施例1と同様にしてウェットワイパーを製造し、実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
クロスレイ−スパンレース製法で製造した目付量50g/m2の不織布(組成比 ウッドパルプ/(ポリエステル/ポリプロピレン混綿)=20/80)(実施例6)、目付量55g/m2のレーヨン系不織布(組成比 ウッドパルプ/レーヨン/ポリエステル=40/40/20)(実施例7)を幅15cmのシート状に裁断し、長さ方向に18cmごとにミシン目を入れて90枚のロール巻きとした以外は、実施例1と同様にしてウェットワイパーを製造し、実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
クロスレイ−スパンレース製法において高圧水による交絡工程の後に、通常より線圧の高い30kg/cmで水を搾って目付量50g/m2の不織布(組成比 ウッドパルプ/ポリエステル)=60/40)を製造し、幅15cmのシート状に裁断し、長さ方向に18cmごとにミシン目を入れて90枚のロール巻きとした。この時、巻取りスピードを60m/sで行った以外は、実施例1と同様にしてウェットワイパーを製造し、実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
クロスレイ−スパンレース製法で製造した目付量50g/m2の不織布(組成比 ウッドパルプ/レーヨン/ポリエステル=30/60/10)を幅15cmのシート状に裁断し、長さ方向に18cmごとにミシン目を入れて90枚のロール巻きとし、除菌液100質量%に対する第4級アンモニウム塩の含有量を1.0質量%とした以外は、実施例1と同様にしてウェットワイパーを製造し、実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
クロスレイ−スパンレース製法で製造した目付量50g/m2の不織布(組成比 レーヨン/ポリエステル/ポリプロピレン=10/45/45)を幅15cmのシート状に裁断し、長さ方向に18cmごとにミシン目を入れて90枚のロール巻きとし、除菌液100質量%に対する第4級アンモニウム塩の含有量を0.6質量%とした以外は、実施例1と同様にしてウェットワイパーを製造し、実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
目付量50g/m2のクロスレイ−スパンレース製法で製造した不織布(組成比 ウッドパルプ/ポリエステル=60/40)を幅15cmのシート状に裁断し、長さ方向に18cmごとにミシン目を入れて90枚のロール巻きとした。この時、巻取りスピードを60m/sで行った以外は、実施例1と同様にしてウェットワイパーを製造し、実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
除菌液100質量%に対する第4級アンモニウム塩の含有量を1.5質量%(比較例2)、0.1質量%(比較例3)とした以外は比較例1と同様にしてウェットワイパーを製造し、実施例1と同様に評価を実施した。結果を表1に示す。
Claims (5)
- 布帛と、該布帛に含浸させた除菌液と、を有し、
前記除菌液が、第4級アンモニウム塩を含み、
前記第4級アンモニウム塩の含有量が、ウェットワイパー100gに対して、0.2〜3.0gであり、
前記第4級アンモニウム塩の脱離率が、60%以上である、ウェットワイパー。 - 前記布帛の含水率が、前記布帛100質量%に対して、300〜1000質量%である、請求項1に記載のウェットワイパー。
- 第4級アンモニウム塩の含有量が、前記除菌液100質量%に対して、0.1〜1.0質量%である、請求項1又は2に記載のウェットワイパー。
- 前記布帛が、親水性繊維を含み、
該親水性繊維の含有量が、前記布帛100質量%に対して、20〜80質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のウェットワイパー。 - 布帛に第4級アンモニウム塩を含む除菌液を含浸させる含浸工程と、
前記含浸工程前、前記含浸工程中、及び前記含浸工程後のいずれかにおいて、前記布帛の面方向に圧縮するように応力をかける加圧工程と、を含む、ウェットワイパーの製造方法。
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