JP2016175875A - 水系口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】細胞を活性化し、新陳代謝を高めると考えられているパンテノールの安定性を向上させた水系口腔用組成物の提供。
【解決手段】15質量%以上の水及びパンテノールを含有する組成物において、グリチルリチン酸塩を配合する水系口腔用組成物。グリチルリチン酸塩として、好ましくはグリチルリチン酸ジカリウムが配合量として0.01〜1質量%用いられ、一方パンテノールの配合量は好ましくは0.4質量%である水系口腔用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、パンテノールを安定配合した水系口腔用組成物に関する。より詳細には、パンテノールにグリチルリチン酸塩を配合することでパンテノールの安定性を向上させた水系口腔用組成物に関する。
パンテノールは細胞を活性化し新陳代謝を高めると考えられており、日用品においては、ヘアケアやスキンケアにおける分野でかゆみ防止、日焼け肌ケアや頭皮ケアなどの目的で使用されており、口腔内組織における代謝改善の目的でも使用できると考えられる。一方、パンテノールは一般的に水に溶解させた状態において安定性が悪いことが知られている。このため、パンテノールを有用成分として水系製剤に配合しても、所期の効果を持続させることが難しく、特に、有効成分として医薬部外品や医薬品に配合する場合、大きな課題となっていた。
水溶液中におけるパンテノールを安定化させる過去の試みとして、ホウ酸と併用する方法(特許文献1)、ホウ酸に加え1分子中に3個以上の水酸基を有する化合物と併用する方法(特許文献2)、アラントインとジフェンヒドラミンを併用する方法(特許文献3)、イブプロフェンピコノールと併用する方法(特許文献4)が挙げられる。これらの方法は何れも口腔用途の組成物に使用できない医薬成分等の併用により解決しているものであり、水系口腔用組成物にパンテノールを安定配合する方法としては存在しなかった。
特開平05−017355号公報 特開2002−265357号公報 特開2006−335676号公報 特開2015−010060号公報
本発明は、パンテノールを安定に配合した水系口腔用組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、かかる事情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことにグリチルリチン酸塩とパンテノールを配合することにより、水系組成物においてもパンテノールの安定性を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の項1〜項4に記載の水系口腔用組成物を提供するものである。
項1.
パンテノールとグリチルリチン酸塩を配合することを特徴とする水系口腔用組成物。
項2
組成物が医薬部外品若しくは医薬品である項1に記載の水系口腔用組成物。
項3
グリチルリチン酸塩がグリチルリチン酸ジカリウムであることを特徴とする項1または項2の何れか1項に記載の水系口腔用組成物。
項4
パンテノールの配合量が0.4質量%であることを特徴とする項1〜項3の何れか1項に記載の水系口腔用組成物。
本発明の水系口腔用組成物は、パンテノールの安定性を向上させることができるため、特にパンテノールを有効成分として配合する口腔・咽喉領域に使用する医薬部外品や医薬品において活用することが最適である。
本発明でいう水系口腔用組成物とは、パンテノールが完全に溶解している状態で存在する組成物を意味し、具体的には組成物全量に対して15質量%以上の水を含有する組成物をいう。従って、液体や液状だけでなく、ペースト状やゲル状などの流動しない形態も含まれる。
本発明において、パンテノールは水系口腔用組成物全量に対して、通常0.1〜1質量%、好ましくは0.2〜0.7質量%、さらに好ましくは0.3〜0.5質量%、最も好ましくは0.4質量%である。0.1質量%より少ない場合、パンテノールの効果が得られない可能性があり好ましくなく、1質量%を超えると安全性上のリスクが発生する可能性があるため好ましくない。
本発明においてグリチルリチン酸塩は水溶性の塩であり、具体的には、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸ジナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸カルシウムからなる群を意味する。この中でも、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸ジナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムが好ましく、グリチルリチン酸ジカリウムおよびグリチルリチン酸モノアンモニウムがより好ましく、グリチルリチン酸ジカリウムが最も好ましい。グリチルリチン酸塩の配合量は、パンテノールの安定性の向上効果及びグリチルリチン酸ジカリウム自体が有する口腔組織に対する効果の面から考慮すると、水系口腔用組成物全量に対して0.01〜1質量%、好ましくは0.1〜0.8質量%、更に好ましくは0.2〜0.6質量%、最も好ましくは0.3〜0.5質量%である、0.01質量%に満たない場合は、十分なパンテノール安定効果が得られない可能性があるため好ましくなく、1質量%を超えると配合しただけに見合う効果が得られない可能性があるため、経済的観点から好ましくない。
本発明の水系口腔用組成物は、練歯磨、ゲル歯磨、液体歯磨、洗口剤、含漱剤、マウススプレイ、口臭予防剤、口腔用湿潤付与剤、舌苔除去(補助)剤、口腔殺菌剤、咽喉殺菌剤、口腔咽喉薬、歯周病治療剤などの形態で提供することができる。
口腔用組成物は前記の成分に加え、本発明の効果を損なわない範囲であれば、通常、口腔用組成物や医薬品において配合される任意の成分を配合することができる。具体的には、界面活性剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、薬効剤、pH調整剤、増粘剤が挙げられる。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤や両性イオン性界面活性剤が挙げられ、非イオン性界面活性剤がより好ましい。。両性イオン性界面活性剤の例としては、Nーラウリルジアミノエチルグリシン、NーミリスチルジエチルグリシンなどのNーアルキルジアミノエチルグリシン、NーアルキルーNーカルボキシメチルアンモニウムベタイン、2−アルキル−1ヒドロキシエチルイミダゾリンベタインナトリウムなどが挙げられる。また、非イオン性界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステルやマルトース脂肪酸エステルなどの糖脂肪酸エステル;マルチトール脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル;モノラウリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートやポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ラウリン酸ジエタノールアミドのような脂肪酸アルカノールアミド;ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ラウリルグルコシド、デシルグルコシドなどのアルキルグルコシド;ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンブロックコポリマーなどが挙げられる。これら非イオン性界面活性剤の中でも、エチレンオキサイドの平均付加モル数が2〜150であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、その中でもエチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100、さらには40〜80のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が特に好ましい。これらの非イオン性界面活性剤や両性イオン性界面活性剤は、単独または二種以上を組み合わせ、組成物全量に対して、0.01〜0.5質量%を配合することができ、その中でも0.01〜0.3質量%とすることが好ましい。
湿潤剤としては、構成炭素数が3もしくは4個の二価アルコール以外の多価アルコールやエチルアルコールを配合することが出来る。かかる多価アルコールとしては、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、マンニトール、パラチニットなどの糖アルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらの湿潤剤は、単独または二種以上を組み合わせて配合することができる。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、グリチルリチン、キシリット、スクラロース、キシリトール、パラチノース、パラチニット、エリスリトール、マルチトールなどが挙げられる。これらの甘味剤は、単独または二種以上を組み合わせて配合することができる。
香味剤としては、メントール、カルボン酸、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n−デシルアルコール、シトロネール、α−テルピネオール、メチルアセタート、シトロネニルアセタート、メチルオイゲノール、シネオール、リナロール、エチルリナロール、チモール、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、珪皮油、シソ油、冬緑油、丁子油、ユーカリ油、ピメント油などの香料が挙げられる。これらの香味剤は、単独または二種以上を組み合わせ、組成物全量に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜1重量%程度配合することができる。
薬効剤の例としては、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素(リテックエンザイム)などの酵素;トラネキサム酸やイプシロンアミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシルアラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸などの坑炎症剤;チアミン類、リボフラビン類、ピリドキシン類、ビタミンB12類、葉酸、ナイアシン、ビオチン、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD類、ビタミンE類、ビタミンKなどのビタミン類;その他、グリセロフォスフェート、クロロフィル、塩化ナトリウム、カロペプタイドドデシルジアミノエチルグリシン、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノールなどが挙げられる。これらの薬効剤は、単独または二種以上を組み合わせて配合することができる。
増粘剤としては、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース;アルギン酸ナトリウムなどのアルカリ金属アルギネート;アルギン酸プロピレングリコールエステル、キサンタンガム、トラガントガム、カラヤガム、アラビヤガム、カラギーナンなどのガム類;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。これらの増粘剤は、単独または二種以上を組み合わせて、組成物全量に対して0.001〜1質量%程度配合することができる。
pH調整剤としては、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マレイン酸、アスパラギン酸、コハク酸、グルクロン酸、フマル酸、グルタミン酸、アジピン酸、およびこれらの塩や、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウムなどが挙げられる。これらpH調整剤は、単独または二種以上を組み合わせて配合することができる。なお、本発明の水系口腔用組成物におけるpHは特に制限されないが、通常pH6〜7、好ましくはpH6.3〜7.0、より好ましくは、pH6.4〜7.0である。pHが6より低いとエナメル質の脱灰を生じる可能性があるため好ましくなく、7を超えると所期の本願効果を得られない場合があるため好ましくない。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。なお、以下特に断りのない限り「%」は「質量%」を示す。
表1に記載の組成に従って、パンテノール及びグリチルリチン酸ジカリウムを精製水に溶解させ、被検体を調製した。調整直後の被検体についてパンテノール量を測定した。次いで、これらの被検体を50mLずつPET容器(約60ml容)に充填し、55℃、1ヶ月放置し、放置後のパンテノール量を測定した。得られた2つの測定値を用いて下記の算出式により「パンテノール残留率(%)」を算出した。得られた結果を表1に示した。なお、表中の「−」は実施していないことを意味する。また、パンテノールの定量は下記に方法に従った。

(算出式)
(パンテノール残留率)=100* [(55℃、1Mの定量値)/(製造直後の定量値)]

(パンテノールの定量試験方法)
検体1gを精密に量り、水を加えて50mLとし試料溶液とした。別に標品パンテノールを精密に量り、水を加えて正確にメスアップしたものを標準溶液に用いた。なお、標品の秤取量及びメスアップ量については被検体に含まれるパンテノール量に応じて適宜調整する。

(液体クロマトグラフィー測定条件)
検出器:紫外可視吸光光度計(測定波長208nm)
カラム:液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲル
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:0.01mol/L pH2.5リン酸塩緩衝液/液体クロマトグラフィー用アセトニトリル混液(19:1)
Figure 2016175875
表1に示したとおり、グリチルリチン酸ジカリウムはパンテノール0.1〜0.4質量%の範囲において、0.01〜0.4質量%を併用することにより経時安定性を向上させることがわかった。特に、パンテノール配合量が0.4質量%において本願効果が最も顕著であり、その中でもグリチルリチン酸ジカリウムの配合量が0.02〜0.4質量%であるときが最も良いことがわかった。
以下、本発明の水系口腔用組成物の処方例を示す。なお、以下、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を示す。
(練歯磨)

成 分 名 配 合 量
パンテノール 0.4
グリチルリチン酸モノアンモニウム 0.1
濃グリセリン 10
無水リン酸カルシウム 10
ソルビット 5
メチルセルロース 2
ラウリル硫酸ナトリウム 1
パラオキシ安息香酸ナトリウム 0.2
サッカリンナトリウム 0.1
香料 0.8
精製水 残 部
合 計 100
(練歯磨)

成 分 名 配 合 量
パンテノール 0.4
グリチルリチン酸ジナトリウム 0.2
濃グリセリン 20
炭酸カルシウム 15
ソルビット 10
ヒドロキシエチルセルロース 2
ラウリル硫酸ナトリウム 1
シクロデキストリン 1
サッカリンナトリウム 0.1
香料 0.8
精製水 残 部
合 計 100
(軟膏剤)

成 分 名 配 合 量
パンテノール 0.4
グリチルリチン酸ジナトリウム 0.2
流動パラフィン 10
カルボキシビニルポリマー 1
モノステアリン酸ソルビタン 0.5
モノオレイン酸POE(20)ソルビタン 0.5
ポリビニルピロリドン 0.5
l−メントール 0.1
精製水 残 部
合 計 100

Claims (4)

  1. パンテノールとグリチルリチン酸塩を配合することを特徴とする水系口腔用組成物。
  2. 組成物が医薬部外品若しくは医薬品である請求項1に記載の水系口腔用組成物。
  3. グリチルリチン酸塩がグリチルリチン酸ジカリウムであることを特徴とする請求項1または2の何れか1項に記載の水系口腔用組成物。
  4. パンテノールの配合量が0.4質量%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の水系口腔用組成物。
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Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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