JP2016173943A - 試料ホルダ、ステージ装置およびそれを用いた荷電粒子線装置 - Google Patents

試料ホルダ、ステージ装置およびそれを用いた荷電粒子線装置 Download PDF

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Abstract

【課題】球形支点と球形受けの摺動面に発生する摩擦力を小さくし、ステージを首振り運動(試料位置調整)させた場合であっても、ステージが時間の経過とともに変形しない試料ホルダを提供する。【解決手段】試料を保持する保持部111と、球形受けと密着配置され摺動により試料の位置を調整可能とする球形支点127とを備え、球形支点127の摺動面は、金属の領域155と、金属よりも摩擦の小さい部材の領域157とを有する試料ホルダとする。【選択図】図8

Description

本発明は、試料ホルダ、ステージ装置およびそれを用いた荷電粒子線装置に関する。
荷電粒子を100万ボルト以上の電圧で加速する荷電粒子線装置で、1nm以下の微細構造を試料に加工するときや観察するとき、加工速度が低下したり観察像が暗く像記録時間が長くなることがある。このとき、試料が単一方向に移動する現象(以下、ドリフトと記述する)があると、加工不良が発生したり微細構造記録ができなくなる。ドリフトは、試料を搭載し荷電粒子線の照射位置を位置決めするステージにおいて、その温度分布の時間変化やステージ変形の時間変化によって発生する。
温度分布は、時間が経過すると共にその変化が小さくなるため、装置起動時に十分な暖機運転をすることでドリフトの影響を小さくすることができる。しかし、ステージの変形は、試料に荷電粒子線を当てる位置を調整する度に発生することと、位置調整毎で変形が異なるため、このステージの変形を小さくしなければ微細な加工や詳細な構造の記録ができない。
試料を搭載するステージには、試料の観察範囲の広さからサイドエントリ型ステージが用いられることが多い。このタイプのステージは、ステージ側に凸型球面を備え、荷電粒子線装置側に設置した凹型球面と摺動させることで試料の位置決めに関わる動作をする。ステージの変形は、この摺動面の摩擦と面圧から生じる摩擦力によって発生し、ステージ変形による反力と釣り合っており(ステージは静止している)、摩擦力が大きいとステージの変形量も大きくなる。外力によってこの面圧が変化して摺動面に生じている摩擦力が小さくなることがあると、先のステージ変形による反力と釣り合わなくなり、摩擦力とステージの変形の反力が釣り合うまでステージの変形の大きさが変化し、ステージはドリフトする。
外力としては、主に外部から伝播する振動によってもたらされ、この振動の周期が短いと、摺動面の摩擦力がステージ変形による反力よりも小さくなる時間が短くなり、ステージの変形量の変化も小さくなる(ドリフトが小さくなる)。更に、摺動面の摩擦力が小さくなると、摺動面に発生する力が小さくなってステージの変形量も小さくなるため、摺動面の摩擦力がステージ変形による反力よりも小さくなる時間内にステージの変形の大きさが変化する量も小さくなり、ステージのドリフトも小さくなる。このドリフトを小さくする技術は、例えば特許文献1に開示されている。
特開平4−129150号公報
特許文献1は、球形支点(凸型球面)と受け(凹型球面)の押圧力可変にする目的でばねを挿入し、その間に発生する摩擦力(=摩擦×押圧力)を小さくして試料がドリフトしないようにしていた。しかし、この方法に因ると、試料の位置を調整するために、球体を支点としてステージを首振り運動させた際に押しばねがその押し方向とは直行する方向に力を発生しステージがこの力で変形するため、ばねが外部からの振動でその伸縮方向に振動してばね力が変化することがあると、ステージが変形し試料が振動する恐れがあった。
本発明の目的は、ステージに搭載された試料のドリフトの問題を解決するために球形支点(凸型球面)とその受け(凹型球面)の摺動面に発生する摩擦力を小さくし、ステージを首振り運動(試料位置調整)させた場合であっても、ステージが時間の経過とともに変形しない試料ホルダ、ステージ装置およびそれを用いた荷電粒子線装置を提供することにある。
上記目的を達成するための一実施形態として、試料を保持する保持部と、
球形受けと密着配置され摺動により前記試料の位置を調整可能とする球形支点と、を備え、
前記球形支点の摺動面は、金属の領域と、前記金属よりも摩擦の小さい部材の領域とを有することを特徴とする試料ホルダとする。
また、試料を保持する先端部及び前記先端部を支持する本体部を備えたホルダと、
前記ホルダの前記本体部を覆って配置され、前記ホルダの前記先端部側に配置された球形支点を備えたステージと、
前記球形支点と密着して配置され摺動により前記試料の位置を調整可能とする球形受けと、を有し、
前記球形支点の摺動面、或いは前記球形受けの摺動面は、金属の領域と、前記金属よりも摩擦が小さな部材の領域と、を有することを特徴とするステージ装置とする。
また、荷電粒子源と、試料を載置し試料位置を調整するステージ装置と、前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を荷電粒子線として前記試料に照射する荷電粒子光学系とを備えた荷電粒子線装置において、
前記ステージ装置は、サイドエントリ型であり、密着配置され前記試料の位置を調整可能とする球形支点と球形受けとを有し、
前記球形支点の摺動面、或いは前記球形受けの摺動面は、金属の領域と前記金属よりも摩擦が小さな部材の領域とを有することを特徴とする荷電粒子線装置とする。
本発明によれば、球形支点とその受け摺動面に発生する摩擦力を小さくし、ステージを首振り運動(試料位置調整)させた場合であっても、ステージが時間の経過とともに変形しない試料ホルダ、ステージ装置およびそれを用いた荷電粒子線装置を提供することができる。
本発明の第1の実施例に係る荷電粒子線装置の全体概略断面図である。 本発明の第1の実施例に係るステージ装置の断面図である。 本発明の第1の実施例に係るステージ装置における球形受けの断面斜視図である。 図3に示す球形受けの構造を説明するための断面図である。 図4に示す球形受けの製作方法を説明するための断面図であり、(a)は切削盤で形成した金属凹面143を覆って金属よりも摩擦の小さな凹面部材141を形成した状態、(b)は凹面部材141の表面を切削盤で目的の高さまで削った状態、(c)は金属凹面143上の凹面部材141を切削して金属凹面139を露出させた状態を示す。 本発明の第1の実施例に係る荷電粒子線装置における球形受けの他の構造を説明する断面斜視図である。 本発明の第2の実施例に係るステージ装置を説明するための斜視図である。 本発明の第2の実施例に係るステージ装置の球形支点の構造を説明するための斜視図である。
発明者等は、ステージに搭載された試料がドリフトするとの問題を解決するための方法として、先ず、変形し難い高剛性部材(W、Mo等)を用いる方法について検討した。しかしながら、この方法ではステージの重量増が危惧された。そこで次に、球形支点とその受け摺動面に発生する摩擦力を小さくするとの観点で検討を行った。摩擦力を小さくするために、発明者等は、従来技術で使用されていたバネを用いることなく球形支点と球形受けとの摺動面の摩擦を小さくすることとした。即ち、球形支点と球形受けの摺動面において、それぞれ摩擦が異なる領域を設ける構成とした。更に、それぞれの摺動面に発生する応力が異なるように、摺動面の位置をその高さが異なる構成とし、球形支点と球形受けとの摩擦を小さくすることにした。これにより、試料のドリフトが小さくなり、微細構造の観測や加工ができる。また、試料の揺れ(振動)が大きくなることはなく、微細構造の観測や加工ができる。
以下実施例により詳細に説明する。なお、本発明は、TEM、SEM、STEM、FIB等の電子線やイオン線を用いて微細構造の観察や加工をするためにサイドエントリ型ステージを備える装置に適用することができる。
本発明の第1の実施例について、図1から図6を用いて説明する。
図1は、本実施例に係る荷電粒子線装置の全体概略断面図である。図1を用いて荷電粒子線装置101の動作について説明する。図1において、荷電粒子線装置101は、電子銃103から放出された荷電粒子105を、集束レンズ107によって対物レンズ109の間に配置されホルダ111で保持された試料(図示せず)上に照射する。荷電粒子105は、試料を透過するときに強度変調を受け、その強度分布が対物レンズ109に取り付けた磁気コイル113によって拡大される。さらに、荷電粒子105の強度分布は、磁気コイルを備えた中間レンズ115と投影レンズ117で順次拡大され、蛍光板119によってその強度分布が可視光に変換され、試料の状態を観察することができる。ホルダ111に保持された試料は、サイドエントリ型のステージ121によって荷電粒子105の照射位置を変えることで、広範囲の状態分布が観察される。なお、ホルダ111は試料が保持される先端部と先端部を支持する本体部からなり、ホルダ111の本体部はステージ121の内部に配置されている。
図2は、実施例に係るサイドエントリ型のステージ装置の断面図である。図2を用いてホルダ111とステージ121の動作について説明する。図2において、試料(図示せず)は、ホルダ111の先端部に保持され、対物レンズ109直下に置かれる。このホルダ111は、その軸方向(左右方向:X方向)の位置が、ネジ123の引っ張りとばね125の押しによって調整される。ホルダ111の軸方向に直交する方向(上下方向:Z方向)の位置は、ホルダ111を保持するステージ121の一部である球形支点127が、荷電粒子線装置101に設置されこれと接する球形受け129の球形中心について、ネジ131の押しとばね133の押しによる摺動によって調整される(首振り運動)。
また、ステージ121の軸まわり方向(X軸まわりの回転方向)の位置は、ネジ(図示せず)の押しとばねの押しによる板135が回転することによって調整される。試料(図示せず)の位置調整において、ステージ121の球形支点127が球形受け129と摺動するとき、摺動面の摩擦と大気圧がステージ121とホルダ111を押す力による面圧で、摺動面に沿った摩擦力が発生する。例えば、真空封止用のOリング137の外径が30ミリメートルであると、大気圧による押し力は71Nになり、球形支点127と球形受け129の摺動面の摩擦が0.3であると、摩擦力は21Nになる。この力でステージ121は、例えば、材料がリン青銅であると、両端で42ミクロンメートル変形して弓型になり、球形支点127付近に28マイクロストレインのひずみが発生する。このとき、ステージ121に外力が掛かることがあると、摺動面の面圧が変化して摺動面に発生する摩擦力が小さくなり、この摩擦力によって変形しているステージ121の変形量が徐々に小さくなる。この変化は、ホルダ111が搭載する試料の位置を変化させるドリフトとなり、加工不良が発生したり微細構造記録ができなくなる。このドリフトは、ステージ121の変形が小さいとドリフトも小さくなることから、本実施例では、球形支点127と球形受け129の摺動面の摩擦を小さくして、ステージ121の変形を小さくすることにした。
図3と図4は、本実施例に係るサイドエントリ型のステージ装置における球形受けの図である。これらの図を用いて球形受け129の構造を説明する。図3において、球形受け129で、球形支点127と接する部分(摺動面)を、球形受け129と同一材(金属)のままの凹面143の領域と、摩擦が凹面143を構成する金属に比べて小さな凹面部材141からなる凹面139の領域とで構成した。そして、例えば、球形支点127の半径が15mmであるとしたとき、凹面143の半径は15mm(図4で、凹面中心145と凹面143の距離)のまま、凹面部材141の凹面139の凹面の直径は14.7mm(図4で、凹面中心145と凹面139の距離)と、摩擦の小さな面が摩擦の大きな面よりも高くなるようにした。
球形支点127がこの球形受け129に密着するには、球形支点127はまず凹面139に先に接触し、凹面部材141を圧縮しながら凹面143に接触する。そのため、球形支点127は、凹面部材141からの反力だけ凹面143に掛かる力が小さくなって面圧が下がることになる。例えば、凹面143の摩擦が0.3、凹面139の摩擦が0.15とする。大気圧によるステージ121の押し力が71Nで、凹面139の反力が41N、凹面143に掛かる力が30Nであるとすると、球形支点127と球形受け129の摺動面に発生する摩擦力は15.15Nとなり、凹面143だけで受ける場合の摩擦力よりも小さく、この力によるステージ121の変形は小さくなり、ドリフトを抑えることができる。このとき、見かけの摩擦は0.21と小さくなる。球形支点127が凹面139から受ける反力F1は、凹面139の面積S1、両面の段差dH、凹面部材141の厚さH、凹面部材141のヤング率E1とすると、式1のように表わすことができる。
F1=E1×S1×(dH/H)・・・(1)
例えば、凹面139の面積12平方ミリメートル、凹面139と凹面143の段差51ミクロンメートル、凹面部材141の厚さ5ミリメートル、凹面部材141のヤング率0.5GPaとすると、61Nの反力となる。凹面部材141がフッ素樹脂素材であると、摩擦係数は0.05なので、凹面143(摩擦係数を0.3とする)に10Nが掛かるとすると、摩擦力は6Nまで小さくなり(このとき、見かけの摩擦は0.08と小さくなる)、ステージ121の変形は小さくドリフトを抑えることができる。なお、凹面139の面積S1を凹面143の面積よりも大きくすることにより、見かけの摩擦を小さくすることができる。
図5は、図4に示す球形受けの製作方法を説明するための断面図であり、球形受け129において、凹面143と凹面部材141に凹面139を作る手順を示したものである。先ず、球面受け129と同一材(金属)を切削盤で加工して形状した凹面143を覆うように凹面部材141を形成し、切削盤で目的の高さよりも高く加工する(図5(a))。次に、凹面部材141の表面を、切削盤で目的の高さ(図5(a)の破線147)まで削る(図5(b))。引き続き、凹面143上の凹面部材141を切削して凹面143を露出させる(図5(c))。なお、凹面143の上に凹面139よりも低くなるように凹面部材141を残してもよい。又は、金属よりも摩擦係数の小さな部材を凹面143上に形成しなおすこともできる。凹面143上に残す凹面部材141或いは凹面143上に形成する部材の厚さは30ミクロンメートル未満が望ましい。これより厚いと部材のバネ作用により、試料が振動する恐れがある。1ミクロンメートル以下の有限値が好適である。
この加工により、球形受け129に凹面部材を組み立てるときに発生する応力を原因とする凹面139の反力の誤差を無くすことができる。本実施例では、凹面139と凹面143は、真空封止用のOリング137を介して大気側に設置しているため、球形支点127と凹面139の摺動による塵埃が真空側に入ることはなく、荷電粒子105が遮られることはない。また、真空度が高くなっても、大気側にある球形支点127と凹面143の摩擦が変化することはなく、試料の加工または観察で荷電粒子105を安定して照射することができる。なお、図5(c)に示すように、凹面部材141は、この凹面139に球形支点127が接触して大気圧による力で変形し、球形支点127が凹面143に接触するまで変形を続ける。
図6は、球形受け129において、摺動面である凹面139と凹面143とを、真空封止用のOリング149を介して真空側に設置する場合の構成を示している。球形受け129に、予め凹面143と、凹面部材151が入る溝153を加工しておき、後から凹面部材151を溝153に挿入し固定する。このとき、球形支点127を備えたステージ121を球形受け129に挿入したままにし、さらに、大気圧による押し力に相当する力を球形支点127が凹面139や凹面143を押す向きに掛けておく。ステージ121が凹面部材151の押し込み方向に動き始める直前まで凹面部材151を押し込む。この調整により、球形支点127が凹面143を押す力は小さくなり、凹面143の摩擦による摩擦力を小さくすることができる。真空中では、金属表面同士が接触すると摩擦が大きくなることがあるが、この球形受け129によって摩擦力を小さくすることができる。また、真空中での金属表面同士の摩擦を小さくするために、凹面143の表面にダイヤモンドライクカーボン被膜やニッケルめっきを施した場合、球形支点127の押す力が強いと被膜やめっきが破壊される恐れがある。図6に示す球形受け129によれば、球形支点127が凹面143を押す力を小さくすることができるため、これら被膜やメッキの破壊を低減・防止することができる。また、真空中でも摩擦力が小さくなり、ステージ21の変形を小さくすることができるためドリフトを抑えることができる。
以上の実施例は、ドリフトを抑えるための一例を示したものであり、ここで説明した通りの構成に限定されるものではなく、例えば、ネジ123またはネジ131の回し操作においてモータを用いて自動化することにより、操作手の振動が試料を振動させることなく、試料の位置を調整することができる。
また、例えば、凹面139と凹面143は、球形支点127が球形受け129に接する面に一対存在すれば本実施例による効果でドリフトを抑えることができ、三対以上存在すればステージ121の静止状態が安定し易く試料の振動を抑えることができる。また、球形支点127と球形受け129の組立で、組立精度を高く繰り返すことができる。
図3或いは図6に示す球形受けを備えた図2に示すサイドエントリ型のステージ装置では、首振り運動による試料位置調整を行っても試料ホルダやステージの変形を低減・防止することができた。また、図2に示すステージ装置を図1に示す荷電粒子線装置に搭載したところ、ドリフト抑制、防止され高画質の画像を得ることができた。
以上本実施例によれば、球形支点とその受けの摺動面に発生する摩擦力を小さくし、ステージを首振り運動(試料位置調整)させた場合であっても、ステージが時間の経過とともに変形しないステージ装置およびそれを用いた荷電粒子線装置を提供することができる。
本発明の第2の実施例について、図7と図8を用いて説明する。なお、実施例1に記載され本実施例に未記載の事項は特段の事情が無い限り本実施例にも適用することができる。
図7は、荷電粒子線装置で荷電粒子線を試料に照射する位置を調整するサイドエントリ型のステージ装置の概要を示す。ステージ装置301は、フランジ213に設けられたネジ穴215を通したネジ(図示せず)により、荷電粒子線装置の鏡体(図示せず)に固定される。また、球形受け205は、フランジ209に設けられたネジ穴211を通したネジ(図示せず)で、荷電粒子線装置の鏡体(図示せず)に固定される。なお、符号207はOリングである。
試料をその先端に設置するホルダ111は、ステージ121に内包され、ネジ123を回すことでステージの移動方向を示す矢印303で示すX方向に試料の位置を調整する。ステージ121は、球形受け205の内部に設置した球形支点の中心(図示せず)について、ネジ131を回すことでZ方向(X軸に対して上下方向)に、また、ネジ201を回すことでY方向(X軸に対して左右方向)に試料の位置を調整する。ネジ203を回すことでα方向(X軸のまわりの回転方向)を調整し、荷電粒子線の試料への入射角度を調整する。ネジ123またはネジ131またはネジ201またはネジ203の回し操作についてモータを用いることにより自動化すると、操作手の振動が試料を振動させることはなく、試料の位置を調整することができる。
図8は、ステージ121における球形支点127が球形受け129と接する部分を選択的に表示したものである。本球形支点127は、球形受け129と接する部分(摺動面)において、球形支点127と同一材(金属)のままの凸面155の領域と、摩擦が凸面155に比べて小さな凸面157の領域とを有する。そして、例えば、球形支点127の半径が15mmであるとしたとき、凸面155の凸面の半径は15mmのまま、金属よりも摩擦の小さな凸面部材の凸面157の凸面の直径は15.3mmと、摩擦が小さな面において摩擦が大きな面よりも高くなるようにした(凸面の中心から遠い構成)。なお、ホルダ111とステージとを一体物として作製することもできる。
球形受け129にこの球形支点127が密着するには、球形受け129はまず凸面157に先に接触し、金属よりも摩擦の小さな凸面部材を圧縮しながら凸面155に接触する。そのため、球形受け129は、金属よりも摩擦の小さな凸面部材からの反力だけ凸面155に掛かる力が小さくなって面圧が下がることになる。例えば、凸面155の摩擦が0.3、凸面157の摩擦が0.15とする。大気圧によるステージ121の押し力が71Nで、凸面157の反力が41N、凸面155に掛かる力が30Nであるとすると、球形支点127と球形受け129の摺動面に発生する摩擦力は15.15Nとなり、凸面155だけで受ける場合の摩擦力よりも小さく、この力によるステージ121の変形は小さくなり、ドリフトを抑えることができる。このとき、見かけの摩擦は0.21と小さくなる。
球形支点127が凸面157から受ける反力F2は、凸面157の面積S2、両面の段差dH、金属よりも摩擦の小さな凸面部材の厚さ、ヤング率をそれぞれH、E2とすると、式2のように表わすことができる。
F2=E2×S2×(dH/H)・・・(2)
例えば、凸面157の面積12平方ミリメートル、凸面155と凸面157の段差51ミクロンメートル、金属よりも摩擦の小さな凸面部材の厚さ、ヤング率をそれぞれ5ミリメートル、0.5GPaとすると、61Nの反力となる。金属よりも摩擦の小さな凸面部材がフッ素樹脂素材であると、摩擦係数は0.05なので、凸面155(摩擦係数を0.3とする)に10Nが掛かるとすると、摩擦力は6Nまで小さくなり(このとき、見かけの摩擦は0.08と小さくなる)、ステージ121の変形は小さくドリフトを抑えることができる。
本実施例がドリフトを抑える効果があることは、上記実施例で説明したとおりであるが、本実施例の構成であれば、ステージ121は、球形支点127が同一材(金属)の球形受け129と凹面143または凸面155で直接接触しているので、この部材よりも摩擦が小さい凹面部材151或いは凸面部材の樹脂材だけで接触するよりも球形支点127の支持剛性が高く、ステージ121について例えば500Hz以下の振幅が大きい振動の発生を抑えることができるという効果がある。
以上の実施例は、ドリフトを抑えるための一例を示したもので、この説明の通りに限定したものではなく、例えば、凸面155と凸面157は、球形支点127が球形受け129に接する面に一対存在すれば本実施例による効果でドリフトを抑えることができ、三対以上存在すればステージ121の静止状態が安定し易く試料の振動を抑えることができる。また、球形支点127と球形受け129の組立で、組立精度を高く繰り返すことができる。
図8に示す球形支点を備えた試料ホルダ、或いはそれを備えた図7に示すサイドエントリ型のステージ装置では、首振り運動による試料位置調整を行っても試料ホルダやステージの変形を低減・防止することができた。また、図7に示すステージ装置を図1に示す荷電粒子線装置に搭載したところ、ドリフトのない高画質の画像を得ることができた。
以上本実施例によれば、球形支点とその受け摺動面に発生する摩擦力を小さくし、ステージを首振り運動(試料位置調整)させた場合であっても、ステージが時間の経過とともに変形しない試料ホルダ、ステージ装置およびそれを用いた荷電粒子線装置を提供することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
101…荷電粒子線装置、103…電子銃、105…荷電粒子、107…集束レンズ、109…対物レンズ、111…ホルダ、113…磁気コイル、115…中間レンズ、117…投影レンズ、119…蛍光板、121…ステージ、123…ネジ、125…ばね、127…球形支点、129…球形受け、131…ネジ、133…ばね、135…板、137…Oリング、139…凹面、141…凹面部材、143…凹面、145…凹面の中心、147…破線、149…Oリング、151…凹面部材、153…溝、155…凸面、157…凸面、201…ネジ、203…ネジ、205…球形受け、207…Oリング、209…フランジ、211…ネジ穴、213…フランジ、215…ネジ穴、301…ステージ装置、303…ステージの移動方向を示す矢印。

Claims (15)

  1. 荷電粒子源と、試料を載置し試料位置を調整するステージ装置と、前記荷電粒子源から放出された荷電粒子を荷電粒子線として前記試料に照射する荷電粒子光学系とを備えた荷電粒子線装置において、
    前記ステージ装置は、サイドエントリ型であり、密着配置され前記試料の位置を調整可能とする球形支点と球形受けとを有し、
    前記球形支点の摺動面、或いは前記球形受けの摺動面は、金属の領域と前記金属よりも摩擦が小さな部材の領域とを有することを特徴とする荷電粒子線装置。
  2. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    密着された前記球形支点と前記球形受けとが引き離された状態では、前記金属よりも摩擦が小さな部材の領域は、前記金属の領域よりも高さが高いことを特徴とする荷電粒子線装置。
  3. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    前記金属よりも摩擦が小さな部材は、フッ素樹脂であることを特徴とする荷電粒子線装置。
  4. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    前記金属の領域は、厚さが30ミクロンメートル未満の部材で覆われていることを特徴とする荷電粒子線装置。
  5. 請求項4記載の荷電粒子線装置において、
    前記金属の領域を覆う部材は、ダイヤモンドライクカーボン被膜或いはニッケルメッキであることを特徴とする荷電粒子線装置。
  6. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    前記金属よりも摩擦が小さな部材の領域は、前記金属の領域よりも面積が大きいことを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    前記球形支点と前記球形受けの摺動面は、真空中に配置されることを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    前記球形支点と前記球形受けの摺動面は、大気圧中に配置されることを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 請求項1記載の荷電粒子線装置において、
    前記金属よりも摩擦が小さな部材の領域と前記金属の領域との対が、三対以上存在することを特徴とする荷電粒子線装置。
  10. 試料を保持する先端部及び前記先端部を支持する本体部を備えたホルダと、
    前記ホルダの前記本体部を覆って配置され、前記ホルダの前記先端部側に配置された球形支点を備えたステージと、
    前記球形支点と密着して配置され摺動により前記試料の位置を調整可能とする球形受けと、を有し、
    前記球形支点の摺動面、或いは前記球形受けの摺動面は、金属の領域と、前記金属よりも摩擦が小さな部材の領域と、を有することを特徴とするステージ装置。
  11. 請求項10記載のステージ装置において、
    密着された前記球形支点と前記球形受けとが引き離された状態では、前記金属よりも摩擦が小さな部材の領域は、前記金属の領域よりも高さが高いことを特徴とするステージ装置。
  12. 請求項10記載のステージ装置において、
    前記金属よりも摩擦が小さな部材は、フッ素樹脂であることを特徴とするステージ装置。
  13. 請求項10記載のステージ装置において、
    前記金属の領域は、厚さが30ミクロンメートル未満の部材で覆われていることを特徴とするステージ装置。
  14. 試料を保持する保持部と、
    球形受けと密着配置され摺動により前記試料の位置を調整可能とする球形支点と、を備え、
    前記球形支点の摺動面は、金属の領域と、前記金属よりも摩擦の小さい部材の領域とを有することを特徴とする試料ホルダ。
  15. 請求項14記載の試料ホルダにおいて、
    前記球形支点と前記球形受けとが引き離された状態では、前記金属よりも摩擦が小さな部材の領域は、前記金属の領域よりも高さが高いことを特徴とする試料ホルダ。
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