JP2016172501A - キャニスタの配置構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、車体後部の構造を活用して、当該車体後部に配置されるキャニスタの温度を効果的に上昇させるキャニスタの配置構造を提供する。【解決手段】本発明は、車体の後部のフロアパネル9の下側に配置されたマフラー11と、マフラーと車体前後方向に並んでフロアパネルの下側に配置されたリヤデファレンシャル装置13と、マフラーとリヤデファレンシャル装置との間を下側から覆うよう配置されたリヤサスペンション部材27とで囲まれるフロアパネルの下側の領域αに、キャニスタ37(33)が配置されるものとした。同構成により、キャニスタは、マフラーの熱やリヤデファレンシャル装置の熱により温度上昇しやすい領域に配置されるので、キャニスタは十分に温度上昇される。【選択図】図1

Description

本発明は、燃料タンク内の蒸散ガスを吸着、脱離するキャニスタの配置構造に関する。
自動車(車両)では、燃料タンク内の燃料の蒸散ガスが大気に放出されないよう、キャニスタを用いて燃料タンク内の蒸散ガスを吸着させたり、吸着した蒸散ガスをキャニスタから離脱させて処理することが行われている。
キャニスタにおける脱離作用の効率は、キャニスタ温度が高くなるにしたがい高まる。そのため、キャニスタは高雰囲気温度となるエンジンルーム内に配置されるケースもある。しかし、蒸散ガス排出規制の強化により、キャニスタの容量を大きくせざる得ない場合がある。この場合、限られたエンジンルーム内では、キャニスタの設置は難しい。
このような場合、キャニスタは、設置スペースが確保しやすい車体の後部に配置されることが多い。そのため、近時では車体後部の構造を利用して、キャニスタの温度を高めることが行われている。例えば特許文献1のように車体後部のサイドメンバ、クロスメンバ、排気パイプで囲まれた空間にキャニスタを配置したり、特許文献2のようにデファレンシャル装置の近くにキャニスタを配置したりして、キャニスタが配置される空間の雰囲気温度を高める工夫が講じられている。
特許第2910607号 特許第5101686号
ところが、前者の構造は(特許文献1)、キャニスタの配置される空間は大きく、キャニスタの下側は開放されるため、キャニスタの温度が上昇され難い。後者の構造は(特許文献2)、デファレンシャル装置からの熱(オイルからの熱)に頼るため、キャニスタの温度が上昇され難い。
そこで、本発明の目的は、車体後部の構造を活用して、当該車体後部に配置されるキャニスタの温度を効果的に上昇させるキャニスタの配置構造を提供する。
本発明の態様は、車体の後部に、燃料タンクの燃料蒸散ガスを吸着するキャニスタを配置するキャニスタの配置構造であって、車体の後部のフロアパネルの下側に配置されたマフラーと、マフラーと車体前後方向に並んでフロアパネルの下側に配置されたリヤデファレンシャル装置と、マフラーとリヤデファレンシャル装置との間を下側から覆うよう配置されたリヤサスペンション部材とを有し、キャニスタは、フロアパネルの下側でリヤデファレンシャル装置とリヤサスペンション部材とマフラーとで囲まれた領域に配置されるものとした。
本発明によれば、キャニスタは、前後方向が車体前後方向で並んで配置されたリヤデファレンシャル装置とマフラーで覆われ、下側や側方がリヤサスペンション部材で覆われるという、フロアパネルの下側の限られた領域に配置される。しかも、同領域は、マフラーの熱やリヤデファレンシャル装置の熱により温度が上昇しやすいうえ、熱がこもりやすいので、キャニスタは効率よく温度上昇される。
それ故、車体後部の構造を活用して、車体後部に配置されるキャニスタの温度を十分に上昇させることができる。これにより、キャニスタの脱離作用の効率を十分に高めることができる。しかも、キャニスタの下側は、リヤサスペンション部材との重なりにより護られるため、車両走行中のチッピング(飛び石)によるキャニスタの損傷も抑えられる。
本発明の一実施形態の車体後部の構造を、同車体後部に配置したキャニスタと共に示す斜視図。 同車体後部の一部を分解した分解斜視図。 図1中の矢視Aから見た側面図。 図1中の矢視Bから見た下面図。 図1中の矢視Cから見た後面図。
以下、本発明を図1から図5に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は例えば自動車(車両)の車体1の後部側のフレーム構造を示し、図2は同フレーム構造の一部を分解した斜視図を示している。図中の符号Fは自動車のフロント側を示し、符号Rは自動車のリヤ側を示している。
自動車は、例えばFR駆動方式が採用されている。車体1のフレーム構造を説明すると、図1および図2中3は、車体1の前後方向に延びる一対のサイドフレームである。サイドフレーム3は、車体前部から前輪(図示しない)、後輪5を経て、例えば荷室の有る車体後部まで延びる。後輪5の配置されるサイドフレーム3部分には、クロスメンバ7が架け渡されている。これらサイドフレーム3、クロスメンバ7で構成されるフレームの上面に、フロアパネル9が設けられる。
サイドフレーム3の最後尾となる後部間には、車幅方向に沿う向き、すなわち横向きでメインマフラー11(本願のマフラーに相当)が据え付けられている。メインマフラー11は、車幅方向中央に位置して、フロアパネル9の直下(下側)に配置される。またメインマフラー11と隣接した車体前後方向前側となるクロスメンバ7の直下には、メインマフラー11と並んでリヤデファレンシャル装置13が配置されている。リヤデファレンシャル装置13前部からは、車体前部のエンジン(図示しない)へ向かうプロペラシャフト15(伝達軸)が延び、車幅方向両側部からは、後輪5へ向かう出力軸17が延びていて、エンジンからの駆動力が車幅方向両側の後輪5へ伝達される。
またサイドフレーム3の後端側となる後輪5間には、例えばマルチリンク式のサスペンション装置19が設けられている。同装置19は、サイドフレーム3間に設けたサブフレーム21を有している。サブフレーム21は、例えばサイドフレーム3の下部に固定される左右一対のC形のフレーム25と、フレーム25間に掛け渡されるサスクロスメンバ27(本願のリヤサスペンション部材に相当)と有して構成される。サスクロスメンバ27は、フレーム25と取着される部位から、下側へ凹むよう略C形をなしている。中央の凹部分27aは、例えば図1および図2に示されるようにメインマフラー11とリヤデファレンシャル装置13の間(空間)を下側から覆い隠すよう車幅方向に沿って配置されている。つまり、メインマフラー11とリヤデファレンシャル装置13の間は、サスクロスメンバ27の凹部分27aで下側や側方が覆われる小空間となる。そして、サスクロスメンバ27の車幅方向両端部から側方へ延びた複数本のリンク23(図1,2に一部しか図示せず)が後輪5へ至り、後輪5をそれぞれ独立して上下方向に変位可能に支え、後輪5を懸架している。ショックアブソーバやスプリング部材は、図示していない。
メインマフラー11の車幅方向一端側からは、図1に示されるようにサスクロスメンバ27の側部に沿いにC形に曲がり、さらにサスクロスメンバ27の下端を越え、車体前部に有るエンジン(図示しない)へ向かう中継用の排気管11aが延びている。同メインマフラー11の反対側(他側側)からは、大気開放用の排気管11bが延びている。
燃料タンク31(二点鎖線で図示)は、例えばリヤデファレンシャル装置13から車体前側のサイドフレーム部分間に据え付けられる。
こうした車体後部に、燃料タンク31内の燃料の蒸散ガスの吸着、脱離を行うキャニスタ33が配置されている。キャニスタ33は、例えば粒状の活性炭(図示しない)が箱形ケース35aに収容された第1キャニスタ35(以下、単にキャニスタ35という)と、ハニカムカーボン(図示しない)が筒形ケース37aに収容された第2キャニスタ37(以下、単にキャニスタ37という)と、これらキャニスタ35,37間を連結する中継パイプ39とを有して構成されるものである。つまり、二つのケースに分けることにより、キャニスタ33の据付自由度を高めている。またキャニスタ37の出口部(図示しない)には、蒸散ガス経路の漏洩のチェックを行うためのベントソレノイドバルブ41や、エアフィルタ43が一体に組み付けられていて、キャニスタ37を、ベントソレノイドバルブ41やエアフィルタ43を含んだ1つのユニット(アッセンブリ化)としている。
こうしたキャニスタ33が、車体後部のうちの雰囲気温度が高くなる部位に配置されている。このキャニスタ33の配置構造の詳細が図3〜図5に示されている。図3は図1中の矢視Aから見た図、図4は図1中の矢視Bから見た図、図5は図1中の矢視Cから見た図をそれぞれ示している。
すなわち、キャニスタ35は、図1、図2および図4に示されるようにメインマフラー11の近く、例えば排気管11aから近いサイドフレーム3後部の下部分に据え付けられている。ちなみにキャニスタ35の下部は、プロテクタ部材45で覆われている。このキャニスタ35には、燃料タンク31内の燃料の蒸散ガスをキャニスタ35,37へ導く配管部材47(図1)や、キャニスタ35,37に吸着した蒸散ガスを例えばエンジンのインテークマニホルド(図示しない)へ導く配管部材49(図1)が設けられる。
またキャニスタ37は、車体1の後部フレーム構造において、熱がこもりやすい部位に配置される。すなわち、図3〜図5に示されるようにキャニスタ37は、フロアパネル9下の、リヤデファレンシャル装置13とサスクロスメンバ27とメインマフラー11とで囲まれた上記小空間の領域であるところのフロア下領域αに配置されている。
具体的には、キャニスタ37は、ベントソレノイドバルブ41やエアフィルタ43と共に、サスクロスメンバ27と大部分と重なるよう、例えば横向き(車幅方向向き)の姿勢で、フロア下領域αに収められている。同フロア下領域αは、メインマフラー11や排気管11aからの熱やリヤデファレンシャル装置13の熱(オイルの熱)を受けて温度が上昇しやすい。しかも、熱がこもりやすい部位でもあり、キャニスタ37の雰囲気温度は高い温度域で保たれやすい。ちなみにキャニスタ37は、ブラケット51および弾性部材(図示しない)を介して、ベントソレノイドバルブ41およびエアフィルタ43と共に、クロスメンバ7やフロアパネル9などに固定され、ベントソレノイドバルブ41の作動に伴う振動が車体1に伝わるのを抑えるものとなっている。
またキャニスタ35とキャニスタ37とをつなぐ中継パイプ39は、メインマフラー11から延びる排気管11aの一部の直上で、同排気管11aの経路に沿って配管されている。これにより、中継パイプ39を通るときから、蒸散ガスが排気ガスの熱により加熱、すなわち温度上昇されるようにしている。
ちなみに、エアフィルタ43の出口部は、ベント用のホース部材53(図1)に接続されて、キャニスタ35付近へ向かい延び、例えば燃料タンク31の給油系をなす給油パイプ(図示しない)に構成されるベントパイプに接続され、大気へ開口している。
こうしたキャニスタ33の配置構造により、燃料タンク31内の蒸散ガスは、キャニスタ35に導かれ、同キャニスタ35の活性炭にて吸着される。さらにキャニスタ35で吸着しきれなかった蒸散ガスは、中継パイプ39を通じ、キャニスタ37へ導かれ、同キャニスタ37のハニカムカーボンにて吸着される。蒸散ガスの燃料成分が除かれた空気は、ベントソレノイドバルブ41、エアフィルタ43、ホース部材53を通じ、燃料タンク31の給油パイプに構成されるベントパイプへ流入して、大気へ放出される。
また吸着した蒸散ガスの処理は、エンジンのインテークマニホルド(いずれも図示しない)の負圧をキャニスタ35,37に与え、キャニスタ35の活性炭、キャニスタ37のハニカムカーボンから蒸発燃料をパージすることにより、エンジンで燃焼処理される。
こうした蒸散ガスの処理系は、キャニスタ35,37が、メインマフラー11の近くに配置されるので、メインマフラー11を流れる排気ガス(エンジン)の熱を受けて、キャニスタ35の活性炭、キャニスタ37のハニカムカーボンの温度は上昇する。
特にキャニスタ37は、前後がリヤデファレンシャル装置13とメインマフラー11とで覆われ、下側および側方がサスクロスメンバ27(リアサスペンション部材)にて覆われるといった限られた空間、すなわちフロア下領域αに配置されるために、温度上昇は著しい。すなわち、メインマフラー11からの熱(排気ガスの熱)やリヤデファレンシャル装置13からの熱(オイルの熱)が同領域αへ放熱されることによって、キャニスタ37の雰囲気温度は、高温度にまで上昇する。しかも、フロア下領域αは、リヤデファレンシャル装置13やメインマフラー11やサスクロスメンバ27で囲まれていることによって、熱はこもりやすいので、上昇した温度は保ち続けやすい。
それ故、キャニスタ37のハニカムカーボンは、エンジンやリヤデファレンシャル装置13の排熱により効率よく加熱され、同ハニカムカーボンの温度を効果的に上昇させることができる。
したがって、車体後部の構造を活用して、キャニスタ37の温度を十分に上昇させることができ、キャニスタ37の脱離作用の効率を十分に高めることができる。しかも、キャニスタ37の下側は、同キャニスタ37と重なるサスクロスメンバ27(サスペンション部材)により護られるので、自動車(車両)の走行中のチッピング(飛び石)によるキャニスタ37の損傷も抑えることができる。
特にキャニスタ33は、キャニスタ35とキャニスタ37とに分けて、片側のキャニスタ37をフロア下領域αに配置したことにより、容量増大に対応しやすい。しかも、同構造は、キャニスタ35とキャニスタ37との間をつなぐ経路をなす中継パイプ39自体も蒸散ガスを貯める部位となるため、コンパクトな構造でありながら、容易にキャニスタ33の容量増大に対応できる。
そのうえ、キャニスタ37には、エンジン始動時にキャニスタ37からエンジン(図示しない)までの経路のリークチェックをする際にバルブを閉じ経路全体の負圧を保つベントソレノイドバルブ41が一体に設けられていることで、リークチェック時にキャニスタ37からエンジンまでを負圧に保つ経路長を短く設定でき、より早期にリークチェックを行うことができる。
加えて、中継パイプ39は、メインマフラー11の排気管11aの一部と沿うように配置されたことにより、蒸発ガスは、キャニスタ37の前段から加熱(排気ガスの熱)されながら、キャニスタ37へ流入するので、キャニスタ37の温度低下を防ぐことで、キャニスタ37のハニカムカーボンにおける効率が向上される。つまり、制約の有る車体後部の構造を十分に活用して、キャニスタ37の脱離性能を向上させることができる。
なお、上述した一実施形態における各構成および組合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であることはいうまでもない。また本発明は、一実施形態によって限定されることはなく、「特許請求の範囲」によってのみ限定されることはいうまでもない。例えば一実施形態では、マルチリンク式のリヤサスペンション装置を構成するサスクロスメンバで、リヤデファレンシャル装置とメインマフラーとの間が覆い隠される構造を用いが、これに限らず、リジッド式のサスペンション装置の、サスペンション部材となるトーションバーで、リヤデファレンシャル装置とメインマフラーとの間が覆い隠される構造に、本発明を適用してもよい。また一実施形態では、2つに分けたキャニスタの一方をフロア下領域αに配置したが、これに限らず、分けない構造、すなわち1つのキャニスタをフロア下領域αに配置してもよい。
1 車体
9 フロアパネル
11 メインマフラー(マフラー)
11a 排気管
13 リヤデファレンシャル装置
21 サブフレーム
27 サスクロスメンバ(リヤサスペンション部材)
31 燃料タンク
33 キャニスタ
35 第1キャニスタ
37 第2キャニスタ
39 中継パイプ
α フロア下領域(囲まれた領域)

Claims (3)

  1. 車体の後部に、燃料タンクの燃料蒸散ガスを吸着するキャニスタを配置するキャニスタの配置構造であって、
    前記車体の後部のフロアパネルの下側に配置されたマフラーと、
    前記マフラーと車体前後方向に並んで前記フロアパネルの下側に配置されたリヤデファレンシャル装置と、
    前記マフラーと前記リヤデファレンシャル装置との間を下側から覆うよう配置されたリヤサスペンション部材とを有し、
    前記キャニスタは、前記フロアパネルの下側で前記リヤデファレンシャル装置と前記リヤサスペンション部材と前記マフラーとで囲まれた領域に配置される
    ことを特徴とするキャニスタの配置構造。
  2. 前記キャニスタは、前記燃料タンクとつながる第1キャニスタと、同第1キャニスタと中継パイプを介して連結される第2キャニスタとに分けて構成され、
    前記第1キャニスタが、前記囲まれた領域とは異なる前記マフラーと近い位置に配置され、前記第2キャニスタが、前記囲まれた領域に配置される
    ことを特徴とする請求項1に記載のキャニスタの配置構造。
  3. 前記マフラーは、当該マフラーから延びる排気管を有し、
    前記中継パイプは、前記排気管の一部と沿うように配置される
    ことを特徴とする請求項2に記載のキャニスタの配置構造。
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