JP2016172492A - 車両用ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

車両用ブレーキ液圧制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】迅速な切換えが可能であってポンプの小型化が可能な車両用ブレーキ液圧制御装置を提供することを課題とする。【解決手段】低μ路である否かを判別する(ST02)。YESであれば、ポンプによる第1増圧状態にする(ST03)。この第1増圧状態で、ポンプ連続作動時間を監視し、この時間が第1所定時間以上であるか否かを判別する(ST04)。否であれば第1増圧状態が維持され、YESであれば、M/C(マスタシリンダ)による第2増圧状態に切り換える(ST05)。【効果】従来、車輪速度の変化に基づいて切り換えていたものを、本発明ではポンプの連続作動時間に基づいて切り換えるようにした。ポンプの連続作動時間に基づいて切り換えることで、良好なタイミングで切り換えることができ、安定した制動力を得ることができるようになった。【選択図】図3

Description

本発明は、車両用ブレーキ液圧制御装置に関する。
アンチロックブレーキシステム(ABS)は、急制動時あるは滑りやすい路面での制動時に、車輪がロック状態になることを防止する装置であり、ABSの構成例が各種提案されている(例えば、特許文献1(請求項1、図1、図4)参照。)。
特許文献1では、増圧時に走行路面の摩擦係数が低いときには、マスタシリンダおよびリザーバと車輪ブレーキとの間をともに遮断した状態でポンプを作動することで、車輪ブレーキのブレーキ液圧を増圧する(特許文献1段落0062)。
また、特許文献1では、増圧時に走行路面の摩擦係数が高いときには、マスタシリンダおよび車輪ブレーキ間を連通するが車輪ブレーキおよびリザーバ間を遮断する状態とし、マスタシリンダから出力される液圧によって、車輪ブレーキのブレーキ液圧を増圧する(特許文献1段落0064)。
例えば、走行中に路面の摩擦係数が変わった場合には、速やかに適切な増圧状態に切り換えることが望まれる。
特開2000−6786号公報
本発明は、迅速な切換えが可能な車両用ブレーキ液圧制御装置を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、操作子の操作に応じて作動液の液圧を発生するマスタシリンダと、作動液を貯留するリザーバと、前記マスタシリンダと車輪ブレーキとの間に設けられる制御弁手段と、前記リザーバに貯留された作動液を前記車輪ブレーキへ吐出可能なポンプと、このポンプ及び前記制御弁手段を制御する車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記マスタシリンダと前記車輪ブレーキとの間を遮断しつつ、前記車輪ブレーキと前記リザーバとの間を遮断し、且つ、前記ポンプを駆動する第1増圧状態と、
前記マスタシリンダと前記車輪ブレーキとの間を連通しつつ、前記車輪ブレーキと前記リザーバとの間を遮断する第2増圧状態と、を選択的に切り換えるにようにして、アンチロックブレーキシステム制御の増圧制御を実施し、
前記第1増圧状態によって前記増圧制御を行っている際に、前記ポンプの連続作動時間が第1所定時間以上になった場合、前記第1増圧状態から前記第2増圧状態に切り換える制御を実施することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の車両用ブレーキ液圧制御装置において、
制御弁手段は、マスタシリンダと車輪ブレーキとの間に設けられる入口制御弁と、車輪ブレーキとリザーバとの間に設けられる出口制御弁とからなり、
第2増圧状態によって増圧制御を行っている際に、出口制御弁の開弁時間の累積が第2所定時間以上になった場合、第2増圧状態から第1増圧状態に切り換える制御を実施することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載の車両用ブレーキ液圧制御装置において、ポンプは、ソレノイドポンプであることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、ポンプの連続作動時間が第1所定時間以上になった場合、ポンプによる第1増圧状態からマスタシリンダによる第2増圧状態に切り換える。例えば、摩擦係数が高い路面(以下、高μ路という。)で摩擦係数が低い路面(以下、低μ路という。)に比べてポンプの作動時間が長くなることから、ポンプの連続作動時間に基づいて切り換えることで、良好なタイミングで切り換えることができ、安定した制動力を得ることができる。
請求項2に係る発明では、第2増圧状態によって増圧制御を行っている際に、出口制御弁の開弁時間の累積が第2所定時間以上になった場合、第2増圧状態から第1増圧状態に切り換えるようにした。第2増圧状態から第1増圧状態への切り換えを的確に行うことができる。
請求項3に係る発明は、ポンプは、ソレノイドポンプである。ソレノイドポンプはモータを駆動源とするポンプに比較して、小型であり、車両用ブレーキ液圧制御装置の小型、軽量化に寄与する。
本発明に係る車両用ブレーキ液圧制御装置の液圧回路図である。 ソレノイドポンプの断面図である。 路面状態と車輪ブレーキの液圧の変化を示すグラフである。 制御フロー図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、本実施形態では、車両用ブレーキ液圧制御装置10を自動二輪車に適用した例について説明するが、車両用ブレーキ液圧制御装置10が搭載される車両はこれに限定されない。
図1に示すように、車両用ブレーキ液圧制御装置10には、ブレーキレバーやブレーキペダル等の操作子11の操作に応じて作動液の液圧を発生するマスタシリンダ12と、作動液を一時的に貯留するリザーバ13と、マスタシリンダ12と車輪ブレーキ14の間に設けられる常開型電磁弁である入口制御弁15及び常閉型電磁弁である出口制御弁16(制御弁手段15、16)と、リザーバ13に貯留された作動液を車輪ブレーキ14側へ吐出可能なポンプ40と、このポンプ40の駆動/停止制御及び入口制御弁15と出口制御弁16の開閉制御をなす制御部17とが備えられている。
まず、通常ブレーキ時、ABS制御時の基本的な動作を説明する。車両用ブレーキ液圧制御装置10は、通常ブレーキ時の通常状態と、ABS制御時の減圧状態、保持状態、増圧状態と、を切り換える機能を有する。
通常ブレーキ時;通常状態は、マスタシリンダ12と車輪ブレーキ14を連通する(入口制御弁15が開)とともに、車輪ブレーキ14とリザーバ13の間を遮断する(出口制御弁16が閉)状態である。操作子11を操作すると、マスタシリンダ12からの作動液圧が入口制御弁15を経由して車輪ブレーキ14に作用し、車輪が制動される。
ABS制御時;車輪がロックしそうになった時に行われ、減圧状態、保持状態、増圧状態が切り換えられる。
ABS制御時の減圧状態は、マスタシリンダ12と車輪ブレーキ14の間を遮断する(入口制御弁15が閉)とともに、車輪ブレーキ14とリザーバ13を連通する(出口制御弁16が開)状態である。車輪ブレーキ14に通じる作動液が、出口制御弁16を通ってリザーバ13に流入し、車輪ブレーキ14に作用している作動液圧が減圧される。
ABS制御時の保持状態は、マスタシリンダ12と車輪ブレーキ14の間、車輪ブレーキ14とリザーバ13の間をそれぞれ遮断する(入口制御弁15及び出口制御弁16が閉)状態である。ポンプ40が停止し、車輪ブレーキ14、入口制御弁15、出口制御弁16及びポンプ40で閉じられた流路内に作動液が閉じ込められ、車輪ブレーキに作用している作動液圧が一定に保たれる。
ABS制御時の増圧状態は、後述する第1増圧状態と第2増圧状態を含む。第1増圧状態は、マスタシリンダ12と車輪ブレーキ14の間、車輪ブレーキ14とリザーバ13の間をそれぞれ遮断し(入口制御弁15及び出口制御弁16が閉)、且つ、ポンプ40を駆動する状態である。また、第2増圧状態は、マスタシリンダ12と車輪ブレーキ14との間を連通しつつ、車輪ブレーキ14とリザーバ13との間を遮断する状態である。
次に、本発明のABS増圧制御を詳細に説明する。
制御部17(車両用ブレーキ液圧制御装置10)は、上述の第1増圧状態による第1増圧制御と上述の第2増圧状態による第2増圧制御を制御項目に含む。
第1増圧制御では、マスタシリンダ12と車輪ブレーキ14との間を遮断しつつ、車輪ブレーキ14とリザーバ13の間を遮断し、且つ、ポンプ40を駆動する。具体的には、制御部17は、入口制御弁15を閉じ、出口制御弁16を閉じ、ポンプ40を駆動する。ポンプ40により、リザーバ13に貯留された作動液が車輪ブレーキ14へ吐出され、車輪ブレーキ14の作動液が増圧される。
第2増圧制御では、マスタシリンダ12と車輪ブレーキ14との間を連通しつつ、車輪ブレーキ14とリザーバ13の間を遮断する。具体的には、入口制御弁15が開かれ、出口制御弁16が閉じられる。マスタシリンダ12で発生した液圧により車輪ブレーキ14の作動液が増圧される。
なお、マスタシリンダ12からリザーバ13への流れを阻止する逆止弁18が、マスタシリンダ12とリザーバ13の間に設けられている。
図2に基づいてポンプ40としてのソレノイドポンプの構造の一例を説明する。なお、便宜上、ソレノイドポンプ40のポンプハウジング41の挿入部である第2部材47が配置される側を「一端側」とし、可動コア43が配置される側を「他端側」とする。
図2に示されるように、ソレノイドポンプ40は、少なくとも一部が固定コア46になる円筒状のポンプハウジング41と、このポンプハウジング41の他端側に固定された有底円筒状のガイドパイプ42と、ポンプハウジング41を貫通する貫通穴45に挿通されるピストン51とを備える。
ポンプハウジング41は、ピストン51が挿通される貫通穴45を備えるとともに固定コア46となる第1部材46と、この第1部材46とは別体に形成されるとともに吸入弁70及び吐出弁80が設けられる第2部材47とから構成されている。
また、ポンプハウジング41内には、圧力室60が形成されている。ソレノイドポンプ40は、ガイドパイプ42内において進退可能に配置され圧力室60に向けてピストン51を押圧する可動コア43と、ポンプハウジング41及びガイドパイプ42に外装されたコイル44と、作動液を圧力室60に吸入する際に開く吸入弁70と、圧力室60から作動液を吐出する際に開く吐出弁80とを備える。なお、コイル44は、電磁コイルである。
ポンプハウジング41のうち他端側の第1部材(固定コア)46は、鉄系材料である磁性材料からなり、円筒形状を呈する。ポンプハウジング41のうち一端側の第2部材(挿入部)47は、ベースとなる基体90に形成された取付穴91にシール材92を介して液密に挿入される。第1部材46の外周には、ガイドパイプ42が取り付けられる。ポンプハウジング41には、ピストン51が挿通される貫通穴45が、ポンプハウジング41の軸線に沿って形成されている。
第1部材46は、一端側の端部外周に形成された第1フランジ部46aと、一端側の端部に形成された凸部46bとを備えている。
また、第1部材46において、貫通穴45は、他端側に形成される大径部45aと、一端側に形成され大径部45aよりも径の小さい小径部45bと、大径部45aと小径部45bとの間に形成される段部45cとを備える。第1部材46の内周部を形成する大径部45aに、ピストン51を可動コア43側に付勢する戻しばね64と、軸方向に移動可能なピストン51と、このピストン51をガイドする筒状のガイド部材65とが配置されている。
第2部材47は、他端側の端部外周に形成された第2フランジ部47aと、他端側の内周に形成されるとともに凸部46bが圧入される凹部47bとを備えている。第2部材47の内周に、第1部材46の一端側が圧入されて第1部材46と第2部材47とが嵌合されている。また、第2部材47は、非磁性体で形成されている。
また、第2部材47において、貫通穴45は、他端側からシール部材56が配置されるシール配置穴45dと、圧力室60と、作動液を導く吸入連通穴45eと、フィルタ61が配置されるフィルタ配置穴45fと、シール配置穴45dと圧力室60との間に形成される支持段部45gとを備える。
コイル44の内径方向から外れた位置(コイル44よりも一端側)で且つ、第1部材46と第2部材47との間に形成されたスペースであるシール配置穴45dに、第2部材47とピストン51との間をシールするシール部材56が配置されている。シール部材56は、例えばOリングである。
第2部材47の凹部47bに、第1部材46の凸部46bが圧入され、第2フランジ部47aに第1フランジ部46aが重なっている。第1フランジ部46aは、取付穴91の開口部にリング状の抜け止め部材93によって固定されている。結果、第1部材46及び第2部材47が共に取付穴91に固定される。
第2部材47の一端側には、基体90の取付穴91の底に形成されたリザーバ13(図1参照)に繋がる吸入液圧路38に向けて、フィルタ配置穴45fが開口している。第2部材47の中央部に吸入弁70が設けられ、吸入弁70の一端側にフィルタ61が設けられている。
また、第2部材47の外周部に、基体90の取付穴91の側壁に形成された吐出液圧路39と圧力室60とを連通する、連通穴62が形成されている。この連通穴62の開口の内空に吐出弁80が設けられている。
圧力室60は、一端側に配置されている。圧力室60は、吸入弁70、吐出弁80及びピストン51(Oリング56)で、貫通穴45が仕切られることで形成されている。
ピストン51は、貫通穴45に移動可能に挿通される本体部52と、この本体部52の中間に形成され戻しばね64の一端を受けるフランジ部53と、本体部52の先端部に形成され弁ばね73の一端を受けるばね座54とを有する。
フランジ部53の径は、本体部52の径よりも大きく、フランジ部53の外周部には、一端側と他端側とを連通する連通溝55が形成されている。連通溝55により、フランジ部53の一端側と他端側との空気の移動を自由にし、ピストン51の軸方向の移動を円滑にすることができる。
また、第1部材46の大径部45a内には、ピストン51を可動コア43側に付勢する戻しばね64が配置されている。戻しばね64はコイルばねであり、その一端はフランジ部53で受けられ、その他端は段部45cで受けられている。
ピストン51は、シール部材56を介してポンプハウジング41の貫通穴45に軸方向摺動可能に挿通されており、摺動によって、その一端部が圧力室60に対して出没するように構成されている。すなわち、圧力室60は、ピストン51が一端側に摺動してピストン51の一端部が圧力室60内に突出することで容積が縮小し、ピストン51が他端側に摺動してピストン51の一端部が圧力室60から没することで容積が増大する。なお、ピストン51は、圧力室60に面する部分に作動液の通路となる開口がなく、ピストン51内を作動液が流通することがない。
吸入弁70は、吸入液圧路38と圧力室60との間の流路を開閉する一方向弁であり、ピストン51の軸と同軸上に配置されている。吸入弁70は、第2部材47に形成される弁座部71と、この弁座部71に着座する球形状の弁体72と、この弁体72を着座する方向に付勢する弁ばね73とで構成されている。
弁体72は、弁ばね73によって、弁座部71に着座するように付勢されている。弁体72は、ピストン51が圧力室60の容積を増大する方向(他端側へ向かう方向)に移動するのに伴い、圧力室60が減圧されて開弁し、吸入液圧路38から圧力室60へ作動液が流入する。また、弁体72は、ピストン51が圧力室60の容積を縮小する方向(一端側へ向かう方向)に移動するのに伴い、圧力室60が増圧されて閉弁し、これにより圧力室60から吸入液圧路38へ流出することを阻止する。
吸入弁70は、ピストン51と同軸上に配置されるとともに、ピストン51の先端部(ばね座54)で弁ばね73の一端を受けているので、弁ばね73を受けるための部品が不要になり、部品点数の削減を図ることができる。
また、戻しばね64は、非作動時にピストン51を非作動位置に付勢する付勢力を有する。このため、後述する、コイル44が消磁した際には、戻しばね64の戻し力によって、ピストン51が圧力室60から離れる方向(可動コア43側)へ摺動する。
また、吸入弁70の外周側に吐出弁80が配置されているので、ピストン51の軸方向に吐出弁80を設ける必要がなく、軸方向の寸法を小さくしてソレノイドポンプ40の小型化を図ることができる。
吐出弁80は、圧力室60と車輪ブレーキ14(図1参照)に繋がる吐出液圧路39との間の流路を開閉する一方向弁であり、連通穴62の開口の内空に設けられている。吐出弁80は、第2部材47の連通穴62に形成される吐出側弁座部81と、この吐出側弁座部81に着座する球形状の吐出側弁体82と、カップ状の吐出側リテーナ83と、この吐出側リテーナ83と吐出側弁体82との間に配設される吐出側弁ばね84とで構成されている。吐出側リテーナ83には、内外を連通する吐出液通穴85が形成されており、吐出側リテーナ83は、連通穴62に圧入されている。また、吐出弁80は、吐出側弁体82の開閉方向が、ピストン51の軸方向と垂直となるように配置されている。
吐出側弁体82は、吐出側弁ばね84によって、吐出側弁座部81に着座するように付勢されている。ピストン51が圧力室60の容積を縮小する方向(一端側へ向かう方向)に移動するのに伴い、圧力室60が増圧されて開弁し、圧力室60から吐出液圧路39へ作動液が流出する。また、吐出側弁体82は、ピストン51が圧力室60の容積が増大する方向(他端側へ向かう方向)に移動するのに伴い、圧力室60が減圧されて閉弁し、これにより吐出液圧路39から圧力室60へ作動液が流入することを阻止する。
可動コア43は、磁性材料からなり、その一端面をピストン51の他端部に当接させた状態でガイドパイプ42の内部を軸方向に移動する。可動コア43は、コイル44を励磁することでポンプハウジング41に引き寄せられ、戻しばね64の付勢力に抗して一端側に移動する。可動コア43が一端側に移動することで、ピストン51も一端側に押動され、圧力室60にピストン51の一端部が突出する。結果、圧力室の容積が縮小し、圧力室内が増圧される。
可動コア43には、可動コア43の軸方向に沿って連通溝43aが形成されている。連通溝43aの一端側は、可動コア43の一端面とポンプハウジング41の他端面との間の空間に連通しており、連通溝43aの他端側は、可動コア43の他端面とガイドパイプの内面との間の空間に連通している。
ガイドパイプ42は、有底筒状を呈し、ポンプハウジング41の第1部材(固定コア)46の他端側に外側から嵌合され、例えば溶接により第1部材46に固定されている。なお、固定方法は溶接に限らず、圧入やかしめ等であってもよい。
コイル44は、樹脂製のボビン44aで環装され、さらにボビン44aの外側には、磁路を形成するヨーク44bが設けられている。
以上に述べたソレノイドポンプ40の作用を次に説明する。
図2に示されるように、制御部17(図1参照)によりコイル44が励磁されると、矢印の様に磁気回路が形成され、可動コア43が一端側に引き寄せられる。可動コア43に押し圧され、ピストン51が、圧力室60側に移動する。圧力室60の容積が縮小するとともに圧力室60が増圧され、吐出側弁体82が外方に移動し、吐出弁80が開く。圧力室60内の作動液は、吐出弁80に流れ、さらに吐出液通穴85から吐出液圧路39へ流出する。
続いて、コイル44が消磁されると、戻しばね64の付勢力によりピストン51及び可動コア43が他端側に移動する。圧力室60の容積が増大するとともに圧力室60が減圧され、吐出側弁体82が圧力室60側へ移動し、吐出弁80が閉じる。圧力室60がさらに減圧されると、弁体72が圧力室60側へ移動し、吸入弁70が開く。作動液が吸入液圧路38から吸入弁70に流れ、さらに圧力室60に吸入される。続いて、弁体72が一端側に移動し、吸入弁70が閉じる。このような動作を繰り返すことで、作動液の吸入・吐出が連続して行われる。
次に、制御部17の処理について図3を用いて詳細に説明する。
まず、制御部17は、増圧制御モードであるか否かを確認する(ST01)。
増圧制御モードであれば(YES)、制御部17は、車両が走行している路面が低μ路であるか否かを判別する(ST02)。車両の走行路面が低μ路であれば(YES)、制御部17は、ポンプ40による第1増圧状態にする(ST03)。すなわち、制御部17は、上述した第1増圧制御を実行する。そして、この第1増圧制御実行中において、制御部17は、ポンプ連続作動時間を監視し、ポンプ連続作動時間が第1所定時間以上であるか否かを判別する(ST04)。ポンプ連続作動時間が第1所定時間未満であれば(NO)、ABS制御における増圧時は、第1増圧制御が実行される。一方、ポンプ連続作動時間が第1所定時間以上となった場合(YES)、制御部17は、M/C(マスタシリンダ)12による第2増圧状態(第2増圧制御)に切り換える(ST05)。
また、ST02において、車両の走行路面が低μ路でなければ(NO)、制御部17は、M/C(マスタシリンダ)12による第2増圧状態にする(ST06)。すなわち、制御部17は、上述した第2増圧制御を実行する。
ST05又はST06の後、制御部17は、第2増圧状態で、出口制御弁16の開弁時間の累積時間を算出し、この累積時間が第2所定時間以上であるか否かを判定する(ST07)。出口制御弁16の開弁時間の累積時間が第2所定時間未満であれば(NO)、制御部17は、ABS制御における増圧制御として、第2増圧制御を実行する。一方、出口制御弁16の開弁時間の累積時間が第2所定時間以上となった場合(YES)、制御部17は、ABS制御における増圧制御として、ポンプ40による第1増圧制御を実行する(ST08)。
車両用ブレーキ液圧制御装置10によるABS制御の一例を説明する。ここでは、マスタシリンダ12から出力される液圧が、ポンプ40の吐出圧よりも高いものとする。
図4に示すように、ABS制御において、時刻t1で増圧制御が開始される。時刻t1では車両の走行路面が低μ路であるため、第1増圧状態として増圧制御が実行される。具体的には、ポンプ40が駆動され、ポンプ40による増圧が開始される。
その後、減圧条件が揃うと、減圧制御が実行される(時刻t2)。図1にて、出口制御弁16を開き、作動液をリザーバ13へ逃がす。その後、保持制御の条件が揃うと、保持制御が実行される(時刻t3)。その後、時刻t4において、増圧条件が揃うと、再び増圧制御が実行される。時刻t4の時点では、車両の走行路面が低μ路であるため、第1増圧制御が実行される。そして、時刻t5で、走行路面が低μ路から高μ路へ変わったものとする。その後、時刻t6で、ポンプ連続作動時間が第1所定時間(T1)以上となり、第1増圧制御から第2増圧制御へ切り換わる。ここで、マスタシリンダ12から出力される液圧がポンプ40の吐出圧よりも高いため、第1増圧制御から第2増圧制御へ切り換わることで、時刻t6以降では、高い液圧が得られ、制動力をより高めることができる。
よって、本発明によれば、ポンプ40に高い吐出性能が要求されないことから、ポンプ40の小型、軽量化が容易に達成できる。
先に述べたように、図1において、車輪のロックの発生が予想されるときには、出口制御弁16を開いて、車輪のロックの発生を予防する。
一方、低μ路では、車輪のロックが発生しやすく、出口制御弁16は、頻繁に開閉され、リザーバ13に作動液が逃がされる。そして、出口制御弁16の開弁時間の累積時間が第2所定時間以上となった場合には、第1増圧制御に切り換えることで、リザーバ内がブレーキ液で満たされることがなく、ABS制御を長時間継続することができる。なお、累積時間は、周期的又は所定のタイミングにてリセットするようにしてもよい。
本発明は、四輪車や二輪車に搭載されるブレーキ液圧制御装置に好適である。
10…車両用ブレーキ液圧制御装置、11…操作子、12…マスタシリンダ、13…リザーバ、14…車輪ブレーキ、15…入口制御弁、16…出口制御弁、17…制御部、40…ポンプ。

Claims (3)

  1. 操作子の操作に応じて作動液の液圧を発生するマスタシリンダと、作動液を貯留するリザーバと、前記マスタシリンダと車輪ブレーキとの間に設けられる制御弁手段と、前記リザーバに貯留された作動液を前記車輪ブレーキへ吐出可能なポンプと、このポンプ及び前記制御弁手段を制御する車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
    前記マスタシリンダと前記車輪ブレーキとの間を遮断しつつ、前記車輪ブレーキと前記リザーバとの間を遮断し、且つ、前記ポンプを駆動する第1増圧状態と、
    前記マスタシリンダと前記車輪ブレーキとの間を連通しつつ、前記車輪ブレーキと前記リザーバとの間を遮断する第2増圧状態と、を選択的に切り換えるにようにして、アンチロックブレーキシステム制御の増圧制御を実施し、
    前記第1増圧状態によって前記増圧制御を行っている際に、前記ポンプの連続作動時間が第1所定時間以上になった場合、前記第1増圧状態から前記第2増圧状態に切り換える制御を実施することを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
  2. 請求項1記載の車両用ブレーキ液圧制御装置において、
    前記制御弁手段は、前記マスタシリンダと前記車輪ブレーキとの間に設けられる入口制御弁と、前記車輪ブレーキと前記リザーバとの間に設けられる出口制御弁とからなり、
    前記第2増圧状態によって前記増圧制御を行っている際に、前記出口制御弁の開弁時間の累積が第2所定時間以上になった場合、前記第2増圧状態から前記第1増圧状態に切り換える制御を実施することを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の車両用ブレーキ液圧制御装置において、
    前記ポンプは、ソレノイドポンプであることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002173013A (ja) * 2000-12-07 2002-06-18 Unisia Jecs Corp アンチスキッド制御装置

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