JP2016171142A - 電子機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子部品と受熱部材との設計上の隙間が狭い場合でも、電子部品から受熱部材への熱的接触を確保して隙間の公差を吸収する。
【解決手段】電子機器22は、基板40上の電子部品42から受熱し基板40に沿った方向へ移動可能な移動部材(シールド部材46)と、この移動部材から受熱する受熱部材(画面裏板材34)を有する。移動部材と受熱部材のそれぞれの対向部に、基板40に対し傾斜する傾斜面52S、54Sを備えた傾斜部材52、54が設けられる。
【選択図】図4

Description

本願の開示する技術は電子機器に関する。
表示部を備えた第一の筐体と、この第一の筐体に対しスライド可能で入力部を備えた第二の筐体とを有する携帯端末装置において、第一の筐体又は第二の筐体で発生した熱を放熱する放熱部材を備えた構造がある。かかる構造において、放熱部材は、第一の筐体及び第二の筐体のスライド動作に連動して外部に露出する面積が変化する。
特開2005−223561号公報
基板上の電子部品の熱を受熱部材に伝え、受熱部材から放熱させることで電子部品を冷却する電子機器では、たとえば、電子部品がシールド部材等で覆われることがある。電子部品から受熱部材への伝熱経路に空間が生じてしまっていると、効率的な熱移動が難しい。このため、たとえば、電子部品とシールド部材との間や、シールド部材と受熱部材の間を熱接合部材で接合し、電子部品から受熱部材への熱の移動経路を確保する構造が採られることがある。しかし、このように熱接合部材を用いた構造であっても、シールド部材と受熱部材との伝熱経路に非接触な部分があると、電子部品から放熱部材への効率的な熱移動は難しい。
特に、電子機器の薄型化を図った構造では、電子部品と受熱部材との隙間(ギャップ)の設計値が小さい。電子部品と受熱部材との熱的な接触を確保する設計にした場合、公差の範囲で電子部品と受熱部材と距離が短くなりすぎると、受熱部材やシールド部材が熱接合部材からの大きな反発力(圧力)を受けてしまうことがある。特に、熱接合部材が薄い場合には、熱接合部材の圧縮率が大きくなることがある。
本願の開示技術は、1つの側面として、電子部品と受熱部材との設計上の隙間が狭い場合でも、電子部品から受熱部材への熱的接触を確保して隙間の公差を吸収することが目的である。
本願の開示する技術では、基板上の電子部品から受熱し基板に沿った方向へ移動可能な移動部材と、この移動部材から受熱する受熱部材の対向部に、基板に対し傾斜する傾斜面を備えた傾斜部材が設けられる。
本願の開示する技術では、電子部品と受熱部材との設計上の隙間が狭い場合でも、電子部品から受熱部材への熱的接触を確保し、隙間の公差を吸収できる。
図1は第一実施形態の電子機器を示す分解斜視図である。 図2は第一実施形態の電子機器を分解して示す断面図である。 図3は第一実施形態の電子機器を示す断面図である。 図4は第一実施形態の電子機器を部分的に拡大して示す断面図である。 図5は第一実施形態の電子機器を部分的に拡大して示す図である。 図6は第一実施形態の電子機器を部分的に拡大して示す断面図である。 図7は第一実施形態の電子機器を部分的に拡大して示す断面図である。 図8は第二実施形態の電子機器を部分的に拡大して示す断面図である。 図9は第二実施形態の電子機器を部分的に拡大して示す断面図である。 図10は第二実施形態の電子機器を部分的に拡大して示す断面図である。 図11は第二実施形態の電子機器を部分的に拡大して示す断面図である。 図12は第三実施形態の電子機器を部分的に拡大して示す断面図である。 図13は第四実施形態の電子機器を部分的に拡大して示す断面図である。 図14は第四実施形態の電子機器の傾斜部材を示す斜視図である。 図15は第四実施形態の電子機器の傾斜部材を示す分解斜視図である。 図16は第四実施形態の電子機器の傾斜部材を示す図14の16−16線断面図である。 図17は変形例の電子機器を部分的に拡大して示す断面図である。
第一実施形態の電子機器について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、第一実施形態の電子機器22は、筐体24を有する。以下において、筐体24の幅方向、奥行方向及び厚み方向を、それぞれ矢印W、矢印D及び矢印Tで示す。筐体24の幅方向、奥行方向及び厚み方向は、電子機器22の幅方向、奥行方向及び厚み方向と同じである。以下にいて便宜的に「上」及び「下」と記すことがあるが、実際の電子機器22の使用状態はこれに限定されない。
電子機器22の例としては、たとえば、スマートフォンやタブレット型コンピュータ等の携帯型機器を挙げることができるが、これらに限定されない。
筐体24は、平板状の底壁26を有する。底壁26の周囲からは、筐体24の厚み方向に見て四角枠状の周壁28が立設される。なお、図1〜図3に示す例では、底壁26と周壁28とが一体成形されているが、底壁26と周壁28とは別体でもよい。
筐体24の内部には、バッテリ30と基板ユニット32とが、奥行方向(矢印D方向)に並べて配置される。そして、筐体24内には、バッテリ30及び基板ユニット32上に画面裏板材34及びシート部材36が収容される。さらに、シート部材36上に表示ユニット38が配置される。
表示ユニット38は、電子機器22の情報(画像)を表示するディスプレイであり、より具体的には、たとえば液晶ディスプレイである。
シート部材36は、たとえば、グラファイトシートであり、表示ユニット38の裏面側を覆う。また、後述するように、電子部品42から受けた熱を拡散し放熱する。なお、シート部材36がない構造を採ることも可能である。
画面裏板材34は、剛性を有する板状の部材である。画面裏板材34の作用の例としては、表示ユニット38を支持して表示ユニット38の変形や損傷を抑制すると共に、後述するシールド部材46から受けた熱を拡散し放熱する作用が挙げられる。さらに、画面裏板材34は、電子機器22の剛性を高める作用を有していてもよい。画面裏板材34としては、後述するシールド部材46と同様に、金属を用いることが好ましい。この場合の金属としては、単一材料であっても複合材料であってもよく、具体的には、アルミニウム、銅、ニッケル、マグネシウムや、これらの複合材料、ステンレス鋼などを用いることができる。
図4に示すように、基板ユニット32は、基板40を有する。基板40の上面(画面裏板材34側の面)40Aには、電子部品42が搭載される。電子部品42の例としては、プロセッサ、メモリー等の集積回路、無線通信用のチップ、電力管理用のチップ等を挙げることができるが、これらに限定されない。なお、基板40の下面にも、上面40Aと同様に電子部品を搭載することが可能である。
基板40の上面40Aには、電子部品42を囲むように金属製の壁部材44が立設される。壁部材44の高さは、上面40Aからの電子部品42の高さより高い。
さらに、電子部品42の上側には、基板40の反対側に位置する導電性(金属製)のシールド部材46が配置される。シールド部材46は、移動部材の一例である。
シールド部材46は、基板40と平行に配置される板部46Pと、この板部46Pの周囲から基板40に向かう枠部46Fとを有する。板部46Pは、壁部材44の先端面に接触している。すなわち、壁部材44及びシールド部材46により電子部品42が囲まれている。そして、シールド部材46は、電子部品42から受けた電磁波を、電流として、壁部材44から基板40のグランド部に流す作用を有する。これにより、電子部品42から外部への電磁波の漏れが抑制される。
本実施形態では、シールド部材46の枠部46Fの下端は、基板40とは非接触である。したがって、後述するように、シールド部材46が矢印M1方向及びその反対方向に移動するときに、基板40との接触による摩擦力が作用しない。
シールド部材46及び壁部材44は、導電性を有するだけでなく、剛性を有していることが好ましい。このためシールド部材46及び壁部材44の材料としては、金属を用いることが好ましい。この場合の金属としては、単一材料であっても複合材料であってもよい。金属の具体的には、アルミニウム、銅、ニッケル、マグネシウムや、これらの複合材料、ステンレス鋼などを用いることができるが、これらに限定されない。
図4から分かるように、奥行方向での枠部46Fの内寸N1は、おなじく奥行方向での壁部材44の外寸G1よりも長い。したがって、シールド部材46は、内寸N1と外寸G1の差の範囲で、奥行方向(基板40に沿った方向)に移動可能である。
シールド部材46と画面裏板材34の対向部には、傾斜部材52、54が設けられる。本実施形態では、傾斜部材52、54はそれぞれ、シールド部材46及び画面裏板材34と一体成形されている。
傾斜部材52、54は、傾斜面52S、54Sを有する。図5に示すように、傾斜面52S、54Sは、所定の傾斜角θ(基板40の上面と平行な平面との成す角)を有している。そして、傾斜面52S、54Sは互いに平行な状態で対向している。なお、各図面においては、傾斜面52S、54Sの傾斜角θを実際よりも大きく描いているが、実際の傾斜角θは、図面に表した傾斜角θよりも小さい。傾斜部材52、54は、一定の高さ(矢印H方向の長さ)H1を有する。
図5に実線で(図6にも)に示すように、たとえば、傾斜面52S、54Sの間に間隙GPが生じている状態を考える。シールド部材46が矢印M1方向に移動すると、傾斜面54Sを基準にした傾斜面52Sの対向位置が、矢印M2で示すように、実質的に傾斜面54S側(上側)へ変化する。シールド部材46の矢印M1方向への移動量をL1とすると、傾斜面52Sの上方への実質的な高さ変化量L2は、L2=L1×tan(θ)である。
そして、シールド部材46が矢印M1方向に所定量移動することで、傾斜面52Sが傾斜面54Sに接触する。換言すれば、シールド部材46の奥行方向の位置に応じて、傾斜面52S、54Sが接触した状態、又は非接触の状態を採り得る。
本実施形態では、傾斜面52S、54Sは、傾斜部材52、54についてそれぞれ1つずつ設けられる。
枠部46Fと、壁部材44の間には、バネ56が配置される。バネ56は、常温ではバネ力を発揮しないため、傾斜面52S、54Sの間に間隙GPが生じていても、シールド部材46は矢印M1方向に移動しない。
これに対し、電子部品42が駆動され、この電子部品42から熱を受けると、バネ56はバネ力を発揮する。壁部材44は基板40に固定されているので、バネ56のバネ力は、傾斜面52S、54Sが離間する方向へとシールド部材46を付勢する方向に作用する。
図4に示すように、電子部品42とシールド部材46の板部46Pの間には、熱接合部材58が配置される。熱接合部材58は、表面粘着性、熱伝導性及び柔軟性を有する材料で形成される。熱接合部材58は、電子部品42とシールド部材46の双方に密着してこれらの隙間を埋めることで、電子部品42からシールド部材46への熱移動の抵抗を低下させる。
熱接合部材58は、たとえば、5〜20%程度圧縮して使用されるが、50%程度圧縮して使用されてもよい。
次に、本実施形態の作用を説明する。
電子部品42と画面裏板材34の隙間DP1(あるいは、シールド部材46と画面裏板材34の隙間DP2)は、電子機器22において設計上の所定値に設定される。ただし、公差の範囲内で、この隙間DP1が相対的に狭い場合(図4参照)と広い場合(図6参照)とがある。
図4に示すように、隙間DP1が狭い場合には、傾斜面52S、54Sは接触しており、この状態で、シールド部材46は奥側(図4において右側)の位置にある。すなわち、傾斜面52S、54Sは接触している。電子部品42が作動しておらず、バネ56がバネ力を発揮していない状態でも、傾斜面52S、54Sの接触状態を維持できる。
この状態で、電子部品42の駆動による熱は、熱接合部材58、シールド部材46(傾斜部材52)、画面裏板材34(傾斜部材54)へと伝わることで拡散され放熱される。さらに、画面裏板材34の熱の一部は、シート部材36(図1〜図3参照)にも伝わり、さらに拡散され放熱される。これにより、電子部品42が冷却される。
図6に示すように、隙間DP1が広い場合であって、バネ56がバネ力を発揮していない状態では、傾斜面52S、54Sが非接触である状態が存在することもある。しかし、電子部品42の作動による熱でバネ56がバネ力を発揮すると、図7に示すように、バネ力を受けたシールド部材46が矢印M1方向へ移動し、傾斜面52S、54Sが接触する。すなわち、隙間DP1が広い場合であっても、電子部品42の作動時には傾斜面52S、54Sの接触状態を実現できる。そして、電子部品42の熱が、熱接合部材58、シールド部材46(傾斜部材52)、画面裏板材34(傾斜部材54)へと伝わる。図4に示した場合と同様に、画面裏板材34の熱の一部は、シート部材36(図1〜図3参照)や表示ユニット38にも伝わり、さらに拡散され放熱される。これにより、電子部品42が冷却される。特に、画面裏板材34の熱容量は、シールド部材46よりも大きいので、電子部品42の熱を画面裏板材34まで伝えることで、電子部品42を効率的に冷却できる。
このように、本実施形態では、電子部品42(基板40)と画面裏板材34の隙間DP1にばらつきあっても、傾斜面52S、54Sを接触させた構造を実現できる。たとえば、電子機器22の薄型化を図った構造では、設計上の隙間DP1が狭く設定されることがある。この構造において、公差によって隙間DP1がさらに狭い場合であっても、逆に隙間DP1が広い場合であっても、傾斜面52S、54Sの接触状態を維持できる。
ここで、比較例として、シールド部材と画面裏板材との対向部に、傾斜部材に代えて熱接合部材(第二熱接合部材)が配置された構造の電子機器を考える。比較例の電子機器では、強く圧縮された第二熱接合部材の反力が画面裏板材34に対し法線方向に作用する(横方向への力の逃げがない)。このため、比較例の電子機器では、たとえば、画面裏板金や表示ユニットが湾曲し表示画像の滲み等が発生するおそれがある。また、比較例の電子機器において、シールド部材が湾曲するおそれもあり、この場合には電子部品からの電磁波を確実にシールドすることが難しくなることがある。さらに、比較例の電子機器において、筐体の一部を蓋で開閉する構造とした場合には、筐体の湾曲により蓋の開閉が困難になるおそれもある。
これに対し、本実施形態では、電子部品42と画面裏板材34の設計上の隙間DP1が狭い構造において、公差によりこの隙間DP1にさらに広狭があっても、電子部品42から画面裏板材34までの熱的接触を確保できる。そして、シールド部材46と画面裏板材34の間の圧力をシールド部材46の移動による逃がすことで、画面裏板材34の変形を抑制して表示画面の滲み等を抑制できる。また、シールド部材46の変形を抑制して、電子部品42の電磁波の漏れを抑制した構造を維持できる。さらに、電子機器22の筐体24の一部に蓋部材を有する構造では、蓋部材の開閉に影響を及ぼさない。
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態において、第一実施形態と同様の要素、部材等については同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、第二実施形態の電子機器の全体的構造は、第一実施形態と同様であるので、図示を省略する。
第二実施形態の電子機器62では、傾斜面52S、54Sが、傾斜部材52、54において複数形成される。図8に示す例では、傾斜面52S、54Sは、奥行方向(矢印D方向)に並べて5つ形成される。傾斜面52S、54Sのそれぞれの高さH1(矢印H方向の長さ)は一定である。また、基板40の法線方向(図8の矢印A1方向)に見たとき、傾斜面52Sは奥行方向に隙間無く並んでおり、同様に、傾斜面54Sも奥行方向に隙間無く並んでいる。
第二実施形態における傾斜面52S、54Sの傾斜角θは、第一実施形態における傾斜面52S、54Sの傾斜角θよりも大きい。
第二実施形態において、隙間DP1が狭い場合には、図8に示すように、複数の傾斜面52S、54Sがそれぞれ接触している。電子部品42の駆動による熱は、熱接合部材58、シールド部材46(傾斜部材52)、画面裏板材34(傾斜部材54)へと伝わって、拡散され放熱される。さらに、画面裏板材34の熱の一部は、シート部材36にも伝わり、さらに拡散され放熱される。これにより、電子部品42が冷却される。
第二実施形態において、図9に示すように、隙間DP1が広い場合もある。この場合は、電子部品42の駆動による熱でバネ56がバネ力を発揮することで、図10に示すように、バネ力を受けたシールド部材46が矢印M1方向へ移動し、傾斜面52S、54Sがそれぞれ接触する。
特に、第二実施形態では、傾斜面52S、54Sの傾斜角θが、第一実施形態の傾斜面52S、54Sの傾斜角θよりも大きい。したがって、公差のばらつき等により、隙間DP1が第一実施形態より広い構造であっても、シールド部材46の矢印M1方向への移動で、確実に傾斜面52S、54Sを接触させることができる。換言すれば、第二実施形態では、隙間DP1が第一実施形態と同程度の場合、シールド部材46の移動量が少なくても傾斜面52S、54Sを接触させることができる。たとえば、図11に示す例では、図9に示す例よりも隙間DP1が小さい。この場合は、シールド部材46の矢印M1方向への移動量が図9に示す場合より少なくても、傾斜面52S、54Sは接触する。
なお、これに対し、第一実施形態では、傾斜部材52、54に傾斜面52S、54Sがそれぞれ1つのみ形成されるので、傾斜部材52、54の構造を簡素化できる。
次に、第三実施形態について説明する。第三実施形態において、第一実施形態と同様の要素、部材等については同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、第三実施形態の電子機器の全体的構造は、第一実施形態と同様であるので、図示を省略する。
第三実施形態の電子機器72では、図12に示すように、傾斜面52S、54Sの間に、熱接合性の膜部材74が配置される。膜部材74は、傾斜面52S、54Sに密着し、傾斜面52S、54S間の熱伝導性を高める。
膜部材74としては、電子機器22の作動時の傾斜面52S、54Sの温度(以下「作動時温度」という)において液状のグリースを用いることができる。また、膜部材74として、作動時温度の範囲内の特定温度で相変化(液体と固体)する相変化物質(フェイズチェンジマテリアルと称されることがある)を用いてもよい。さらに、膜部材74tしては、作動時温度において柔軟な固体状のシート等を用いることができる。固体状のシートでは、弾性により映写面52S、54Sに対する高い密着性を確保でき、信頼性の高い説的接触を実現できる。
液状のグリースや相変化物質では、固体状のシートと比較して弾性が低いので、傾斜面52S、54Sが接触した状態で、膜部材74からシールド部材46や画面裏板材34が受ける反力が小さい。
また、特に、相変化物質は、電子部品42からの熱を受けて温度上昇することで、個体から液体へと相変化する物質である。電子機器72の製造段階(常温)では固体なので、電子機器製造時の取り扱いが容易である。
次に、第四実施形態について説明する。第四実施形態において、第一実施形態と同一の要素、部材等については同一符号を付して詳細な説明を省略する。また、第四実施形態の電子機器の全体的構造は、第一実施形態と同様であるので、図示を省略する。
第四実施形態の電子機器82では、図13〜図15に示すように、傾斜面52Sに、幅方向に交互に並ぶ凸部52T及び凹部52Hが形成される。傾斜面54Sには、幅方向に交互に並ぶ凹部54H及び凸部54Tが形成される。
そして、図16にも示すように、凹部54Hに凸部52Tが嵌合し、凹部52Hに凸部54Tが嵌合する。そして、凸部52T、54Tの側面部分と、隣接する凹部54H、52Hの側面部分とが、互いに幅方向(矢印W方向)で接触する接触部84である。なお、幅方向(矢印W方向)は、図13から分かるように、基板40に沿い、且つシールド部材46の移動方向(矢印D方向)と直交する方向である。
第四実施形態では、傾斜面52S、54Sに形成された接触部84が接触するので、傾斜部材52、54が相互に幅方向にずれることを抑制できる。また、電子機器82の製造時には、凸部52T、54Tを凹部52H、54Hに嵌合させることで位置合わせができるので、組み付けが容易である。
上記各実施形態において、バネ56がない構造であっても、シールド部材46の奥行方向への移動で、傾斜面52S、54Sが接触した状態を実現できると共に、画面裏板材34やシールド部材46等が熱接合部材から受ける力(圧縮の反力)を小さくできる。
上記各実施形態のように、バネ56を有する構造では、バネ56がシールド部材46を矢印M1方向(図5及び図7参照)に付勢するので、傾斜面52S、54Sが接触した状態を安定的に維持できる。
バネ56としては、上記のように電子部品42の熱を受けて温度上昇によりバネ力を発揮するバネに限定されない。たとえば、図17に示す板バネ56Pや、コイルバネのように、温度上昇によらずにバネ力を発揮するバネであってもよい。電子部品42の熱を受けてバネ力を発揮するバネを用いると、シールド部材46を基板40に組み付ける状態では、バネ56がバネ力を発揮しないので、組付作業が容易である。
なお、図17では、第一実施形態の電子機器22に板バネ56Pを適用しているが、第二実施形態〜第四実施形態の電子機器62、72、82に板バネ56Pを適用してもよい。
上記各実施形態において、壁部材44がない構造であってもよいが、壁部材44が基板40から立設されていると、壁部材44によってシールド部材46を基板40から所定の高さで支持できる。
また、バネによってシールド部材46を矢印M1方向(図5及び図7参照)に付勢する構造では、バネを壁部材44とシールド部材46の間に配置することで、バネが壁部材44に支持される。このため、バネのバネ力をシールド部材46に確実に作用させることが可能である。
また、導電性(金属製)の壁部材44を用いることで、壁部材44とシールド部材46とにより電子部品42の周囲を覆い、電磁波の漏洩を抑制する効果が高い構造を実現できる。
シールド部材46の枠部46Fは、基板40とは非接触であるので、シールド部材46が奥行方向に移動する場合に、基板40との接触による摩擦力が作用しない。このため、シールド部材46の奥行方向の移動がスムーズであり、バネ56のバネ力を小さく設定できる。
シールド部材46は、移動部材の一例である。基板40に沿った方向へ移動して、画面裏板材34と熱的接触する部材としては、シールド部材46に限定されない。すなわち、電子部品42を囲んで電磁波の漏洩を抑制する部材と、基板40に沿った方向へ移動して画面裏板材34と熱的接触する部材とが別々であってもよい。上記各実施形態のように、シールド部材46が、基板40に沿った方向へ移動して、画面裏板材34と熱的接触する構造では、シールド部材46が移動部材を兼ねているので、部品点数が少ない。
移動部材としては、枠部46Fがない構造であってもよい。すなわち、板部46Pが矢印M1方向及びその反対方向に移動すれば、この移動により、接触面52S、54Sが接触した状態あるいは非接触である状態を採り得る。この場合、電子部品48の電磁波の漏れを抑制するために、あらたにシールド部材を設けてもよい。
シールド部材46(移動部材)に設けられる傾斜部材52は、上記ではシールド部材46と一体成形された例を挙げたが、シールド部材46と傾斜部材52とは別体で形成され、接着剤やネジ等の固定部材により固定された構造でもよい。シールド部材46と傾斜部材52とを一体成形すると、別体の構造と比較して、部品点数が少ない。
シールド部材46と別体の傾斜部材52は、熱を伝えると共に、傾斜部材54(傾斜面54S)との接触を確保できれば、金属製でなくてもよい。たとえば、傾斜部材52は熱伝導性樹脂製でもよい。
同様に、画面裏板材34に設けられる傾斜部材54も、上記では画面裏板材34と一体成形された例を挙げたが、画面裏板材34と傾斜部材54とは別体で形成され、固定部材で固定された構造でもよい。画面裏板材34と傾斜部材54をと一体成形すると、別体の構造と比較して、部品点数が少ない。
画面裏板材34と別体の傾斜部材54も、熱を伝えると共に、傾斜部材52(傾斜面52S)との接触を確保できれば、材質は限定されず、金属製の他、熱伝導性樹脂製でもよい。
上記各実施形態において、電子部品42とシールド部材46との間の熱接合部材58がない構造でもよい。電子部品42とシールド部材46との間に熱接合部材58に熱接合部材58を配置すると、熱接合部材58は、電子部品42とシールド部材46の双方に密着してこれらの隙間を埋め、電子部品42からシールド部材46への熱移動の抵抗を低下させる。すなわち、電子部品42とシールド部材46との間に空間が生じている構造と比較して、熱接合部材58により、電子部品42からシールド部材46への熱の移動が促進される。
上記各実施形態において、画面裏板材34は受熱部材の一例である。すなわち、電子部品42の熱を受けて、この熱を拡散させ放熱する部材(受熱部材)を、画面裏板材34が兼ねている。したがって、受熱部材が画面裏板材34と別体である構造と比較して、部品点数が少ない。特に、画面裏板材34が、表示ユニット38の裏面の全体を支持する大きさを有する構造では、広い面積に熱を拡散して効率的に放熱する構造を容易に実現できる。画面裏板材34(受熱部材)がシールド部材46と表示ユニット36の間に配置されるので、電子部品42の熱は表示ユニット36に伝わる前に画面裏板材34に伝わり、表示ユニット36の過度の温度上昇を抑制できる。
以下に、実施例により、開示の技術をさらに詳細に説明する。以下の実施例1〜実施例3の構造は、それぞれ、上記第一実施形態〜第三実施形態の構造に対応する。
各実施例において、シールド部材46と画面裏板材34の隙間DP2の設計値は0.5mmであり、公差の範囲は±0.1mmである。傾斜面52S、54Sの形状は(矢印A1方向に見た形状)は10mm×10mm、傾斜面52S、54Sの高さH1は0.4mmである。傾斜面52Sは、シールド部材46に一体成形され、傾斜面54Sは、画面裏板材34に一体成形される。バネ56は、50℃以上でバネ力を発揮する形状記憶合金製である。熱接合部材58は、相転移温度48℃の相変化物質(具体例としては、信越化学工業株式会社製のフェイズチェンジマテリアル「PCS−LT−30」)である。
<実施例1>
実施例1では、第一実施形態の構造において、シールド部材46の移動量L1が2.5mmで、高さ変化量L2が0.1mm生じるように傾斜面52S、54Sの傾斜角θが設定される。
実施例1では、電子部品42が発熱し温度が50℃以上になると、熱接合部材58が軟化すると共に、バネ56がバネ力を発揮する。これにより、傾斜面52S、54Sの間隙GPが、シールド部材46の矢印M1方向への移動により解消される。たとえば、間隙GPが0.1mmの場合、シールド部材46が矢印M1方向へ2.5mm移動すると、この間隙GPが解消される。すなわち、シールド部材46や画面裏板材34に対し厚み方向に力を作用させることなく(あるいは小さな力の作用で)、傾斜面52S、54Sを熱的に接触させることができる。
<実施例2>
実施例2では、第二実施形態の構造において、シールド部材46の移動量L1が0.4mmで、高さ変化量L2が0.1mm生じるように傾斜面52S、54Sの傾斜角θが設定される。
実施例2では、電子部品42が発熱し温度が50℃以上になると、熱接合部材58が軟化すると共に、バネ56がバネ力を発揮する。これにより、傾斜面52S、54Sに生じていた間隙GPが、シールド部材46の矢印M1方向への移動により解消される。たとえば、間隙GPが0.1mmの場合、シールド部材46が矢印M1方向へ0.4mm移動すると、この間隙GPが解消される。すなわち、シールド部材46や画面裏板材34に対し厚み方向に力を作用させることなく(あるいは小さな力の作用で)、傾斜面52S、54Sを熱的に接触させることができる。
<実施例3>
実施例3では、第三実施形態の構造において、シールド部材46の移動量L1が2.5mmで、高さ変化量L2が0.1mm生じるように傾斜面52S、54Sの傾斜角θが設定される。
膜部材74は、放熱グリースであり、具体例としては、コスモ石油ルブリカンツ株式会社製のサーマルグリース「SF311」である。
実施例3では、電子部品42が発熱し温度が50℃以上になると、熱接合部材58が軟化すると共に、バネ56がバネ力を発揮する。これにより、傾斜面52S、54Sに生じていた間隙GPが、シールド部材46の矢印M1方向への移動により解消される。たとえば、間隙GPが0.1mmの場合、シールド部材46が矢印M1方向へ2.5mm移動すると、この間隙GPが解消される。すなわち、シールド部材46や画面裏板材34に対し厚み方向に力を作用させることなく(あるいは小さな力の作用で)、傾斜面52S、54Sを熱的に接触させることができる。
以上、本願の開示する技術の実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
本明細書は、以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
基板と、
前記基板に搭載される電子部品と、
前記基板の反対側で前記電子部品から受熱し、前記基板に沿った方向の移動が可能な移動部材と、
前記電子部品の反対側で前記移動部材と対向し前記移動部材から受熱する受熱部材と、
前記移動部材と前記受熱部材のそれぞれの対向部に設けられ、前記基板に対し傾斜する傾斜面を備えた傾斜部材と、
を有する電子機器。
(付記2)
前記移動部材を前記基板に沿って前記傾斜面が接触する方向へ付勢する付勢部材を有する付記1に記載の電子機器。
(付記3)
前記付勢部材が、前記電子部品の作動時の熱を受けて付勢力を発揮する付記2に記載の電子機器。
(付記4)
前記基板に固定される壁部材を有し、
前記付勢部材が前記壁部材と前記移動部材の間に配置される付記2又は付記3に記載の電子機器。
(付記5)
前記移動部材が、前記電子部品を覆い前記基板と電気的に接続される導電性のシールド部材である付記1〜付記4のいずれか1つに記載の電子機器。
(付記6)
前記壁部材が、導電性を有し前記シールド部材と接触する付記5に記載の電子機器。
(付記7)
前記シールド部材が前記基板と非接触である付記6に記載の電子機器。
(付記8)
前記傾斜面が前記傾斜部材に1つ形成される付記1〜付記7のいずれか1つに記載の電子機器。
(付記9)
前記傾斜面が、前記傾斜部材に複数並べて形成される付記1〜付記7のいずれか1つに記載の電子機器。
(付記10)
前記傾斜面の間に配置される熱伝導性の膜部材を有する付記1〜付記9のいずれか1つに記載の電子機器。
(付記11)
前記傾斜面に形成され、前記基板に沿い且つ前記移動部材の前記移動の方向と直交する方向で接触する接触部を有する付記1〜付記10のいずれか1つに記載の電子機器。
(付記12)
前記移動部材側の前記傾斜部材と前記移動部材とが一体成形されている付記1〜付記11のいずれか1つに記載の電子機器。
(付記13)
前記受熱部材側の前記傾斜部材と前記受熱部材とが一体成形されている付記1〜付記12のいずれか1つに記載の電子機器。
(付記14)
前記電子部品と前記移動部材との間に配置される熱接合部材を有する付記1〜付記13のいずれか1つに記載の電子機器。
(付記15)
画像を表示する表示パネルを備え、
前記受熱部材が、前記移動部材と前記表示パネルの間に配置される付記1〜付記14のいずれか1つに記載の電子機器。
22 電子機器
34 画面裏板材(受熱部材の一例)
36 シート部材
40 基板
42 電子部品
44 壁部材
46 シールド部材
52 傾斜部材
52S 傾斜面
54 傾斜部材
54S 傾斜面
56 バネ
58 熱接合部材
62 電子機器
72 電子機器
74 膜部材
82 電子機器
84 接触部

Claims (6)

  1. 基板と、
    前記基板に搭載される電子部品と、
    前記基板の反対側で前記電子部品から受熱し、前記基板に沿った方向の移動が可能な移動部材と、
    前記電子部品の反対側で前記移動部材と対向し前記移動部材から受熱する受熱部材と、
    前記移動部材と前記受熱部材のそれぞれの対向部に設けられ、前記基板に対し傾斜する傾斜面を備えた傾斜部材と、
    を有する電子機器。
  2. 前記移動部材を前記基板に沿って前記傾斜面が接触する方向へ付勢する付勢部材を有する請求項1に記載の電子機器。
  3. 前記付勢部材が、前記電子部品の作動時の熱を受けて付勢力を発揮する請求項2に記載の電子機器。
  4. 前記基板に固定される壁部材を有し、
    前記付勢部材が前記壁部材と前記移動部材の間に配置される請求項2又は請求項3に記載の電子機器。
  5. 前記移動部材が、前記電子部品を覆い前記基板と電気的に接続される導電性のシールド部材である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の電子機器。
  6. 前記傾斜面に形成され、前記基板に沿い且つ前記移動部材の前記移動の方向と直交する方向で接触する接触部を有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の電子機器。
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