JP2016170891A - 蓄電デバイス電極形成用組成物、蓄電デバイス電極、及び蓄電デバイス - Google Patents

蓄電デバイス電極形成用組成物、蓄電デバイス電極、及び蓄電デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】電極塗工性に優れ、充放電特性に優れる蓄電デバイスを形成するための電極形成用組成物であって、有機活物質の凝集緩和に効果がある電極形成用組成物を提供すること。【解決手段】前記課題は、有機活物質と分散剤とを含有する、蓄電デバイス電極形成用組成物、また、分散剤がノニオン性分散剤である蓄電デバイス電極形成用組成物、さらに、導電助剤である炭素材料を含有する蓄電デバイス電極形成用組成物によって解決される。【選択図】なし

Description

蓄電デバイス電極形成用組成物、蓄電デバイス電極、及び蓄電デバイスに関する。
近年、デジタルカメラや携帯電話のような小型携帯型電子機器が広く用いられるようになってきた。これらの電子機器には、容積を最小限にし、かつ重量を軽くすることが常に求められてきており、搭載される電池においても、小型、軽量かつ大容量などが求められる。又、自動車用途に加え、定置用途など電池の用途は拡大しつつあり、年々、要求性能は高まりつつある。更に、高出力が求められる用途においては、キャパシターなどが用いられることがあり、こちらも性能向上が求められている。
そのような要求に応えるため、有機化合物を蓄電材料として用いることが注目されている。有機化合物では、無機化合物に比べて多様な分子設計が可能である。このため、有機化合物を蓄電材料として用いる場合、分子設計により、種々の特性を有する蓄電デバイスを実現することが可能である。
また、従来蓄電材料として利用されてきた金属酸化物とは異なり、有機化合物は貴金属元素や有害な重金属元素を利用しないので、安定した原料供給が見込める上に、廃棄やリサイクルの面での安全性向上が期待できる。
有機化合物を蓄電材料として用いた例として、例えば、ポリアニリンやポリチオフェン等の導電性高分子(特許文献1)、安定ラジカルを有する化合物(特許文献2)、スルフィド結合を含む有機硫黄系化合物(特許文献3)などが挙げられる。また、Yanliang Liang等による総説として多くの材料がまとめられている(非特許文献1)。
しかし、このような蓄電材料となる有機化合物の中には、形成される合材層中に部分的凝集が生じることが多い。これは、例えば電極形成に使用される合材インキ中で不溶であり、合材インキ中で分散性が不十分なことなどが理由として挙げられる。その場合、電極塗工の際に凝集物により均一な塗膜が得られない。また、部分的凝集に起因して電極上に抵抗分布が生じ、蓄電デバイスとして使用した際に電流が集中し、部分的な発熱及び劣化が促進される等の不具合が生じることがある。
また、一般に有機化合物は絶縁体であるため、例えば電池として電荷蓄積のための酸化還元反応を行うにあたり、凝集が生じていると凝集体内部まで電子が伝達できず未反応となり、放電容量を引き出せないことがある。あるいは、凝集体内部に電解液が浸透しない場合も、酸化還元反応に関わるイオンの供給が不足することで前記問題が生じることがある。
特開昭61−124070号公報 特開2004−207249号公報 特開2001−273901号公報
Adv.EnergyMater.(2012),2,742−769
本発明の目的は、電極塗工性に優れ、充放電特性に優れる蓄電デバイスを形成するための電極形成用組成物であって、有機活物質の凝集緩和に効果がある電極形成用組成物を提供することである。
本発明は、分散剤の利用により有機活物質の凝集を緩和できたものである。
即ち本発明は、有機活物質と分散剤とを含有する、蓄電デバイス電極形成用組成物に関する。
また本発明は、更に、前記分散剤がノニオン性分散剤である、蓄電デバイス電極形成用組成物に関する。
また本発明は、更に、導電助剤である炭素材料を含有する、前記蓄電デバイス電極形成用組成物に関する。
また本発明は、集電体と前記何れかの蓄電デバイス電極形成用組成物から形成される合材層を具備する、蓄電デバイス用電極に関する。
また本発明は、正極と負極と電解質とを具備する蓄電デバイスであって、前記正極または負極の少なくとも一方が、前記蓄電デバイス用電極である、蓄電デバイスに関する。
分散剤の利用により、有機活物質の分散性及びその安定性が向上したため、本発明の電極形成用組成物を得ることができた。本発明の電極形成用組成物は、凝集の少ない合材層を形成でき、充放電特性に優れる蓄電デバイスを提供できる。
蓄電デバイス用電極は、種々の方法で得ることができる。
例えば、金属箔等の集電体の表面に、
(1)活物質および分散剤と液状媒体とを含有する蓄電デバイス電極形成用組成物(以下、合材インキという)や、
(2)活物質および分散剤と導電助剤と液状媒体とを含有する合材インキや、
(3)活物質および分散剤とバインダーと液状媒体とを含有する合材インキや、
(4)活物質および分散剤と導電助剤とバインダーと液状媒体とを含有する合材インキを、
用いて合材層を形成し、電極を得ることができる。
あるいは、金属箔の集電体の表面に、導電助剤と液状媒体とを含有する下地層形成用組成物を用い、下地層を形成し、該下地層上に、前記の合材インキ(1)〜(4)やその他の合材インキ用いて合材層を形成し、電極を得ることもできる。
いずれの場合であっても、活物質の分散状態が蓄電デバイスの性能を左右することは背景技術の項で詳述した。
そこで、まず本発明における分散剤について説明する。分散剤は有機活物質に吸着し、有機活物質の分散性およびその安定性を向上する働きがあるものである。分散剤としては(高分子系)イオン性分散剤および(高分子系)ノニオン性分散剤が挙げられ、一般的に分散剤として知られる化合物を使用することができる。分散剤は、有機活物質に対して凝集を緩和する効果が得られれば特に限定されるものではないが、活物質の分散性、塗工適性などを考慮するとノニオン性分散剤が好ましい。
イオン性分散剤は、アニオン性分散剤およびカチオン性分散剤、更に両者の性質を併せ持つ両性分散剤に大別される。
アニオン性分散剤としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基およびそれらを一部あるいは全てを中和した骨格を含有する、高分子系分散剤および界面活性剤などが挙げられる。高分子系アニオン性分散剤を例示すると、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、3−スルホプロピルアクリレート、リン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチルなどの重合性単量体の単独重合物、または他の重合性単量体との共重合物およびそれらのアルカリ中和物が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ステアリン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
カチオン性分散剤としては、環状を含むアミノ基およびアミノ基の一部あるいは全て中和した骨格や4級アンモニウム塩を含有する、高分子系分散剤および界面活性剤などが挙げられる。高分子系カチオン性分散剤を例示すると、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジンなどの重合性単量体の単独重合物、または他の重合性単量体との共重合物およびそれらの酸中和物が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、トリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、1−ドデシルピリジニウムクロリドなどが挙げられる。
両性分散剤としては、前記アニオン性骨格と前記カチオン性骨格を共に含有する、高分子系分散剤および界面活性剤が挙げられる。高分子系両性分散剤を例示すると、スチレン−マレイン酸−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの共重合物などが挙げられる。両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、オレイルジメチルアミンN−オキシドなどが挙げられる。
ノニオン性分散剤は、前記アニオン性、カチオン性および両性分散剤以外の分散剤である。
ノニオン性分散剤は、高分子系および界面活性剤が挙げられるが、有機活物質の分散性およびその安定性を考慮すると高分子系が好ましい。
高分子系ノニオン性分散剤としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
また、ノニオン性分散剤は、次に例示する複数の単量体から構成される共重合体でも良い。
芳香環を有する単量体としては、スチレン、α−メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレートを例示出来る。
鎖式飽和炭化水素基を有する単量体としては、具体的に例示すると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜22のアルキル(メタ)アクリレートがあり、好ましくは炭素数2〜12、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキル基を有するアルキル基含有アクリレートまたは対応するメタクリレートが挙げられる。これらのアルキル基は分岐してもよく、具体例としては、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ブチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等、脂肪酸ビニル化合物が挙げられる。
更に、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等、α−オレフィン化合物が挙げられる。
環状飽和炭化水素基を有する単量体としては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン構造を有する単量体としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等、末端に水酸基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノアクリレートまたはモノメタアクリレート等、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等、末端にアルコキシ基を有し、ポリオキシアルキレン鎖を有するモノアクリレートまたは対応するモノメタアクリレートがある。また、アルキルビニルエーテル化合物としては、ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等が挙げられる。
また、グリシジル(メタ)クリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のように環式化合物を用いても良い。
水酸基を有する単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシスチレン、ビニルアルコール、アリルアルコール等が挙げられる。
また、ビニルアルコールの誘導体である単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステルが例示できる。これらのビニルエステルを共重合し、得られた共重合体を水酸化ナトリウムなどにより鹸化することで、水酸基を形成できる。
窒素含有の単量体としては、N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド等のモノアルキロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド等を例示できる。
更にその他の単量体としては、パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキルアルキル(メタ)アクリレート類;
パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のパーフルオロアルキル、アルキレン類等のパーフルオロアルキル基含有ビニルモノマー、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラノール基含有ビニル化合物及びその誘導体などを挙げることができ、これらの群から複数用いることができる。
エチニル化合物としては、アセチレン、エチニルベンゼン、エチニルトルエン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等が挙げられる。これらは単独もしくは2種類以上を併用して使用することもできる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどが挙げられる。
なお、高分子系分散剤の質量平均分子量は、有機活物質の分散性が良好な点から、好ましくは1000〜100000であり、さらに好ましくは5000〜50000である。
(活物質)
合材インキ中で使用される活物質について以下で説明する。本発明で使用される有機活物質とは、有機分子自身が酸化還元反応を起すものや、有機分子が電荷担体として機能することで電池の充放電反応を起すことが出来るものである。
有機活物質としては、特に限定はされないが、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子、1,4−ベンゾキノン、2,5−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、9,10−アントラキノン、フェナントレンキノン、5,7,12,14−ペンタセンテトロンなどのキノン化合物やそのポリマー化合物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ロジソン酸二リチウムなどのカルボニル化合物やそのポリマー化合物、ルベアン酸などのチオカルボニル化合物やそのポリマー化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルなどの安定ラジカル化合物やそのポリマー化合物、インディゴ、インディゴカルミン、トリキノキサリニレン、トリオキソトリアンギュレン、テトラチアフルバレンなどの複素環化合物やそのポリマー化合物などを使用することもできる。
有機二次電池は、有機活物質を正極または負極に用いた二次電池である。二次電池の構成については後述する。
有機二次電池用の正極活物質としては、前記の有機活物質から選択できる。また、無機活物質を混合、あるいは有機活物質と無機活物質を複合化して用いてもよい。
無機活物質としては、例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。具体的には、MnO、V25、V613、TiO2等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料、TiS2、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。
有機二次電池用の負極活物質としては、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能なものが望ましい。例えば、金属Li、その合金であるスズ合金、シリコン合金、鉛合金等の合金系、LiXFe23、LiXFe34、LiXWO2、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、ケイ素酸リチウム等の金属酸化物系の無機化合物、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子系の有機活物質、ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が挙げられる。これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
また、前記有機活物質のうち異なるものを負極活物質として組み合わせて用いても良い。
(導電助剤)
次に、導電助剤である炭素材料について説明する。
本発明における導電助剤である炭素材料としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。導電性、入手の容易さ、およびコスト面から、カーボンブラックの使用が好ましい。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンの酸化処理は、カーボンを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンの分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、官能基の導入量が多くなる程カーボンの導電性が低下することが一般的であるため、酸化処理をしていないカーボンの使用が好ましい。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m2/g以上、1500m2/g以下、好ましくは50m2/g以上、1500m2/g以下、更に好ましくは100m2/g以上、1500m2/g以下のものを使用することが望ましい。
また、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡などで測定された粒子径を平均したものである。
導電助剤である炭素材料の合材インキ中の分散粒径は、0.03μm以上、5μm以下に微細化することが望ましい。
ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックスL等(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、205等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD(アクゾ社製)、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35(電気化学工業社製、アセチレンブラック)等、グラファイトとしては例えば人造黒鉛や燐片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
導電性炭素繊維としては石油由来の原料から焼成して得られるものが良いが、植物由来の原料からも焼成して得られるものも用いることができる。例えば石油由来の原料で製造される昭和電工社製のVGCFなどを挙げることができる。
合材インキは、バインダーを更に含有することもできる。
本発明の中のバインダーとは、導電助剤やその他活物質などの粒子を結着させるために使用されるものであり、それら粒子を溶媒中へ分散させる効果は小さいものである。
バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等のセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、ポリアニリンやポリアセチレン等の導電性樹脂等、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、及びテトラフルオロエチレン等のフッ素原子を含む高分子化合物が挙げられる。又、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良い。これらバインダーは、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
また、水性液状媒体を使用する場合、一般的に水性エマルションとも呼ばれるバインダーも使用できる。水性エマルションとは、バインダー樹脂が水中で溶解せずに、微粒子の状態で分散されているものである。
使用するエマルションは特に限定されないが、(メタ)アクリル系エマルション、ニトリル系エマルション、ウレタン系エマルション、ジエン系エマルション(SBRなど)、フッ素系エマルション(PVDFやPTFEなど)等が挙げられる。水溶性高分子と異なり、エマルションは粒子間の結着性と柔軟性(膜の可とう性)に優れるものが好ましい。
本発明に使用する液状媒体としては、例えば、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類、水等が挙げられる。
これらの中でも、比誘電率が15以上の極性溶剤を使用することが好ましい。比誘電率は、溶剤の極性の強さを表す指標のひとつであり、浅原ほか編「溶剤ハンドブック」( (株) 講談社サイエンティフィク、1 9 9 0 年) 等に記載されている。
更に、合材インキには、成膜助剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、pH調整剤、粘性調整剤などを必要に応じて配合できる。
<合材インキ>
前記したように、一般的な蓄電デバイス用の合材インキは、活物質と、溶媒を必須とし、必要に応じて導電助剤と、バインダーとを含有する。
活物質はできるだけ多く含まれることが好ましく、例えば、合材インキ固形分に占める活物質の割合は、30質量%以上、99質量%以下が好ましい。導電助剤を含む場合、合材インキ固形分に占める導電助剤の割合は、0.1〜80質量%であることが好ましい。バインダーを含む場合、合材インキ固形分に占めるバインダーの割合は、0.1〜25質量%であることが好ましい。
塗工方法によるが、固形分5〜90質量%の範囲で、合材インキの粘度は、100mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
(分散機・混合機)
本発明の電極形成用組成物を得る際に用いられる装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;または、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、または、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。
<電極>
本発明の蓄電デバイス電極形成用組成物のうち合材インキを、集電体上に塗工・乾燥し、合材層を形成し、蓄電デバイス用電極を得ることができる。
あるいは、集電体上に下地層を形成し、該下地層上に、合材層を設け、蓄電デバイス用電極を得ることもできる。
(集電体)
電極に使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、各種蓄電デバイスにあったものを適宜選択することができる。
例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。リチウムイオン電池の場合、特に正極材料としてはアルミニウムが、負極材料としては銅が、それぞれ好ましい。
又、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状の集電体も使用できる。
集電体上に合材インキや下地層形成用組成物を塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。
具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げる事ができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
又、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。電極合材層の厚みは、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。また、下地層を具備する場合には下地層と合材層との厚みの合計は、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
<蓄電デバイス>
(電池構成)
正極もしくは負極の少なくとも一方に、本発明の蓄電デバイス電極形成用組成物からなる合材層を備えた電極を用い、二次電池、キャパシターなどの蓄電デバイスを得ることができる。蓄電デバイスは、正極と、負極と、電解質とを含む。正極と負極とは、セパレーターなどを介して対向するように配置される。
二次電池としては、リチウムイオン二次電池の他、ナトリウムイオン二次電池、マグネシウムイオン二次電池、ナトリウム硫黄二次電池、リチウム空気二次電池等が挙げられ、それぞれの二次電池で従来から知られている、電解液やセパレーター等を適宜用いることができる。
キャパシターとしては、リチウムイオンキャパシターなどが挙げられ、従来から知られている、電解液やセパレーター等を適宜用いることができる。
(電解液)
リチウムイオン二次電池の場合を例にとって説明する。電解液としては、リチウムを含んだ電解質を非水系の溶剤に溶解したものを用いる。
電解質としては、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiC49SO3、Li(CF3SO23C、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、又はLiBPh4等が挙げられるがこれらに限定されない。
また、充放電にリチウムが関与しない場合、前記以外にも電解質としては、四フッ化ホウ酸テトラエチルアンモニウム(TEABF4)、四フッ化ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(TEMABF4)、トリエチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TEMATFSI)、テトラエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TEATFSI)、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1')− ビピロリジニウム(SBP−BF4)等が挙げられる。また、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(EMI−BF4)、ジエチルメチル(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボラート(DEME−BF4)、トリメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TMPA−TFSI)、ブチルメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(BMP−TFSI)等のイオン液体を用いることもできる。
非水系の溶剤としては特に限定はされないが、例えば、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びγ−オクタノイックラクトン等のラクトン類;
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、及び1,2−ジブトキシエタン等のグライム類;
メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;
ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、
アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。又これらの溶剤は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
更に前記電解液を、ポリマーマトリクスに保持しゲル状とした高分子電解質とすることもできる。ポリマーマトリクスとしては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリホスファゼン系樹脂、及びポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
(セパレーター)
セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びそれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
(電池構造)
本発明の組成物を用いたリチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシター、空気二次電池の構造については特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレーターとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例および比較例における「部」は「質量部」を表す。
[合成例1]
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブタノール200.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、N−ビニル−2−ピロリドン120.0部、スチレン80部および重合開始剤としてV−601(和光純薬工業製)12.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、更に110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬工業製)0.6部を添加し、更に110℃で1時間反応を続けて、共重合体溶液を得た。
更に、室温まで冷却した後、水を400部添加して水性化した後、100℃まで加熱し、ブタノールを水と共沸させて留去した。
水で希釈し、不揮発分20%の分散剤の水溶液を得た。また、不揮発分20%の分散剤の水溶液の粘度は、40mPa・sであった。
[合成例2]
合成例1と同様の方法で、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(PME−100、日油製)160.0部、スチレン40部および重合開始剤としてV−601(和光純薬工業製)12.6部とした、共重合体を合成し、不揮発分20%の分散剤の水溶液を得た。
[合成例3]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水40部と界面活性剤としてアデカリアソープSR−10(株式会社ADEKA製)0.2部とを仕込み、別途、メチルメタクリレート48.5部、ブチルアクリレート50部、アクリル酸1部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5部、イオン交換水53部および界面活性剤としてアデカリアソープSR−10(株式会社ADEKA製)1.8部をあらかじめ混合しておいたプレエマルジョンのうちの1%を更に加えた。内温を70℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液10部の10%を添加し重合を開始した。反応系内を70℃で5分間保持した後、内温を70℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5%水溶液の残りを3時間かけて滴下し、更に2時間攪拌を継続した。固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却した。25%アンモニア水を添加して、pHを8.5とし、更にイオン交換水で固形分を50%に調整して水性エマルションのバインダーを得た。
[実施例1]
有機活物質である9,10−アントラキノン21部、分散剤であるポリビニルピロリドン(PVP)水溶液を3部(固形分として0.6部)、水66.6部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に導電助剤である炭素材料としてアセチレンブラック(デンカブラックHS−100:電気化学工業社製)を5.4部、バインダー(ポリテトラフルオロエチレン30−J:三井・デュポンフロロケミカル社製、60%水系分散体)4部を混合し、二次電池電極用合材インキを作製した。以下の方法にて、合材インキとしての分散度を求めた。
[実施例2]
有機活物質である9,10−アントラキノン21部、分散剤であるポリビニルピロリドンのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液を3部(固形分として0.6部)、NMP40.6部をニーダーに入れて分散を行い、更に導電助剤である炭素材料としてファーネスブラック(ミツビシカーボン#3050B:三菱化学社製))を5.4部、バインダー(KFポリマー#7208:クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン社製、8%NMP系分散体)30部を混合し、二次電池電極用合材インキを作製した。以下の方法にて、合材インキとしての分散度を求めた。
[実施例3〜9、比較例1、2]
表1に示す分散剤、導電助剤、バインダーに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3〜9の二次電池電極用合材インキと、比較例1、2の二次電池電極用合材インキを得、以下の方法にて、合材インキとしての分散度を求めた。
(合材インキの分散度の判定)
合材インキの分散度は、グラインドゲージによる判定(JIS K5600−2−5に準ず)より求めた。
評価結果を表1に示す。表中の数字は粗大粒子の大きさを示し、数値が小さいほど分散性に優れ、均一な合材インキであることを示している。
Figure 2016170891
[実施例10]
有機活物質である3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物21部、分散剤であるポリビニルピロリドン(PVP)水溶液を3部(固形分として0.6部)、水66.6部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に導電助剤である炭素材料としてアセチレンブラック(デンカブラックHS−100)を5.4部、バインダー(ポリテトラフルオロエチレン30−J:三井・デュポンフロロケミカル社製、60%水系分散体)4部を混合し、二次電池電極用合材インキを作製した。
[実施例11]
有機活物質である3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物21部、分散剤であるポリビニルピロリドンのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液を3部(固形分として0.6部)、NMP40.6部をニーダーに入れて分散を行い、更に導電助剤である炭素材料としてアセチレンブラック(デンカブラックHS−100)を5.4部、バインダー(KFポリマー#7208:クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン社製、8%NMP系分散体)30部を混合し、二次電池電極用合材インキを作製した。
[実施例12〜18、比較例3、4]
表2に示す分散剤、導電助剤、バインダーに変更した以外は、実施例10と同様の方法で、実施例12〜18の二次電池電極用合材インキと、比較例3、4の二次電池電極用合材インキを得、実施例1と同様の方法にて、合材インキとしての分散度を求めた。
Figure 2016170891
<正極>、<コイン型電池>
実施例1〜18及び比較例1〜4の二次電池電極用合材インキを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥して電極の厚みが70μmとなるよう調整した。
次に、得られた正極を、直径16mmに打ち抜き作用極と、金属リチウム箔対極と、作用極及び対極の間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリオレフィンフィルム)と、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)とからなるコイン型電池を作製した。コイン型電池はアルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で行い、コイン型電池作製後、以下に示す充放電特性と充放電サイクル特性の電池特性評価を行った。
(充放電特性)
得られたコイン型電池について、充放電装置(北斗電工社製SM−8)を用い、充放電測定を行った。
充電電流60mA/gにて充電終止電圧4.2Vまで定電流充電を続けた。電池の電圧が4.2Vに達した後、放電電流60mA/gで放電終止電圧1.5Vに達するまで定電流放電を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして3サイクルの充電・放電を繰り返し、3サイクル目の放電容量を初回放電容量とした。
使用する活物質が9,10−アントラキノンの場合は、充放電特性として、実施例1〜9、比較例2は比較例1の初回放電容量に対する各電池の初回放電容量の百分率(%)を求めた。結果を表1に示す。
また、使用する活物質が3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物の場合は、充放電特性として、実施例10〜18、比較例4は比較例3の初回放電容量に対する各電池の初回放電容量の百分率(%)を求めた。結果を表2に示す。
(充放電サイクル特性)
前記の各充電・放電サイクルを30サイクル行い、放電容量維持率(初回放電容量に対する30回目の放電容量の百分率)を算出した(100%に近いほど良好)。結果を表1、2に示す。
○:「維持率が85%以上。極めて良好。」
○△:「維持率が75%以上、85%未満。良好。」
△:「維持率が65%以上、75%未満。使用可能。」
×:「維持率が65%未満。実用上問題あり、使用不可。」
表1、2に示すように、本発明の電極形成用組成物を含む合材インキを作製した場合、合材インキ中での有機活物質の分散性が向上し、凝集がなくなったため、優れた電極塗工性が得られる。また、本発明の蓄電デバイス用電極は、例えば電池特性においても有機活物質の凝集に起因すると考えられる放電容量低下が抑えられ、更に、充放電サイクル特性が向上したものと考察している。

Claims (5)

  1. 有機活物質と分散剤とを含有する、蓄電デバイス電極形成用組成物。
  2. 分散剤が、ノニオン性分散剤である、請求項1記載の蓄電デバイス電極形成用組成物。
  3. さらに、導電助剤である炭素材料を含有する、請求項1または2記載の蓄電デバイス電極形成用組成物。
  4. 集電体と、請求項1〜3いずれか記載の蓄電デバイス電極形成用組成物から形成される合材層を具備する、蓄電デバイス用電極。
  5. 正極と負極と電解質とを具備する蓄電デバイスであって、前記正極または前記負極の少なくとも一方が、請求項4記載の蓄電デバイス用電極である、蓄電デバイス。

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