JP2016168884A - 作業車 - Google Patents
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Abstract
Description
[1] 前車軸ケースの延出端側に備えたキングピンを介して操向操作可能に連結された車輪支持ケースを備え、その車輪支持ケースを、前車軸ケースの前側に配設されたタイロッドに連結して操向操作自在に構成してあるトラクタ(特許文献1参照)。
これを抑制するには、図示はしないが、他物との接触を避けられるように、タイロッドの前方側を覆うタイロッドカバーを、前車軸ケースなどに取り付けることが考えられる。このようなタイロッドカバーを用いれば、走行機体の前進作業中における雑草や作物との接触を抑制して、タイロッドに対する絡まりを回避し易い点では有用である。
旋回時にタイロッドカバーの横外方側にはみ出すタイロッド部分は、車輪支持ケースに対して連結軸を介して相対回動自在に連結されている。そして、そのタイロッド部分と車輪支持ケースとの連結箇所は防塵用ブーツで覆われている。旋回時におけるタイロッド部分のはみ出しにともなって、この防塵用ブーツもタイロッドカバーの横外方側にはみ出してしまうので、雑草や作物との接触頻度が高い作業環境下では、防塵用ブーツが早期の内に損傷してしまう虞がある。
上記課題を解決するために講じた本発明における作業車の技術手段は、トランスミッション側から左右横側方へ延出された前車軸ケースと、前記前車軸ケースの延出端側に備えたキングピンを介して操向操作可能に連結された車輪支持ケースと、前記前車軸ケースの前側に配設されたタイロッドとを備え、前記車輪支持ケースには前記キングピンの軸心から離れた位置に軸心を有した連結軸が立設され、前記タイロッドには前記連結軸に外嵌するボス部が備えられていて、前記連結軸に前記ボス部を外嵌させることにより前記車輪支持ケースと前記タイロッドとが連結され、前記ボス部とその下方側の前記車輪支持ケースとにわたって防塵用ブーツが装着され、前記タイロッドの前記ボス部を設けた側の端部に、前記防塵用ブーツの前側を遮蔽するブーツガードが取り付けられているということである。
上記解決手段1にかかる本発明の構成によると、タイロッド側のボス部とその下方側の車輪支持ケースとにわたって装着された防塵用ブーツの前側を遮蔽するブーツガードが、タイロッドのボス部を設けた側の端部に取り付けられている。
したがって、操向操作に伴う車輪支持ケースの姿勢変化に拘わらず、ブーツガードが常に防塵用ブーツの前側に位置し、防塵用ブーツに対する雑草や作物の接触を抑制することができ、防塵用ブーツの耐久性向上を図り得る利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、直進走行状態に操作された位置の前記タイロッドの前部を覆うタイロッドカバーが、前記タイロッド及び前記ブーツガードよりも前方側に設けられているということである。
上記の解決手段2によれば、直進走行状態におけるタイロッドの前部を覆うタイロッドカバーが、ブーツガードよりも前方側に設けられているので、直進状態でのブーツガードとタイロッドカバーとの干渉を避け、ブーツガードを常に防塵用ブーツの保護を行えるように配備できる利点がある。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記ブーツガードの大部分は、直進走行状態では前記タイロッドカバーの後側に隠れ、前記車輪支持ケースに装備された前輪のステアリング操作にともなって、旋回中心側における前記タイロッドカバーの横外側端部よりも横外方側へ突出するように設けられているということである。
上記の解決手段3によれば、ブーツガードの大部分は、直進走行状態ではタイロッドカバーの後側に隠れ、前輪のステアリング操作にともなってタイロッドカバーの端部から突出するので、そのブーツガードが存在する箇所もタイロッドカバーで覆われ、直進走行状態でのブーツガードが存在する箇所に対する雑草や作物の引っかかりなどを抑制し易い点で有利である。
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記ブーツガードの前記車輪支持ケース側の端部下方に、前記車輪支持ケースとの干渉を回避するための凹部が形成されているということである。
〔解決手段4〕
上記の解決手段4によれば、ブーツガードの車輪支持ケース側の端部下方に、車輪支持ケースとの干渉を回避するための凹部を形成したことにより、旋回操作時に、旋回半径の外側に位置する車輪支持ケースが、ブーツガードと干渉することを回避し得る。
したがって、ブーツガードをできるだけ左右方向で車輪支持ケースに近づけて広範囲に配置でき、防塵ブーツに対する雑草や作物との接触をより確実に回避し易いという利点がある。
尚、以下の実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。つまり、機体の作業走行時における前進側の進行方向(図2における矢印F参照)が「前」、後進側への進行方向(図2における矢印B参照)が「後」、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(図2における矢印R参照)が「右」、同様に左側に相当する方向(図2における矢印L参照)が「左」である。
図1は、本発明における作業車の一例であるトラクタの全体側面を示している。
このトラクタは、機体フレーム10の前部に左右一対の前輪11を駆動及び操向操作自在に備え、後部に左右一対の後輪12を駆動自在に備えた自走機体1に、図外の作業装置を連結するための連結装置2を備えたものである。
機体フレーム10は、エンジンEを取り付け可能なエンジン搭載フレーム10Aと、エンジンEの後部側に一体連結されたクラッチハウジングCと、後部側のミッションケース7と、前記クラッチハウジングCとミッションケース7とを連結する伝動ケース10Bと、を一体的に連結したモノコック構造で構成されている。
運転部の後端部では、運転座席14の後側近くに配置された状態でロプスフレーム17が機体フレーム10に連結固定されている。また、前記機体フレーム10の後部を構成するミッションケース7の後部側には、ロータリ耕耘装置などの各種の作業装置(図示せず)を連結して昇降操作可能な前記連結装置2が装備されている。
このように構成された連結装置2は、連結した作業装置の対機体高さを変更あるいは調節可能な昇降リンク機構として用いられるものである。
リヤPTO軸23には、前述したロータリ耕耘装置などの、機体後方側に連結される各種作業装置へ動力が伝達され、ミッドPTO軸24には、前輪11側へ動力を伝達するための前輪駆動軸25など、ミッションケース7よりも前方側に装備される各種装置に対して動力が伝達される。
エンジンボンネット30の内部空間であるエンジンルームには、前記エンジンEの他、図示はしないがラジエータ、エアクリーナ、作動油冷却用のオイルクーラ、バッテリ、などの各種エンジン関連機器が収容されている。
エンジンボンネット30の後部側には、前記各種エンジン関連機器が収容されるエンジンルームの外側に位置させて、ステアリングハンドル13を装備した操縦部パネル15が、運転座席14との間に運転部ステップ16を介在させた状態で連設されている。
操縦部パネル15の内部には、後述するパワステシリンダ40を伸縮操作して、前輪11の操向操作を行うためのパワーステアリング機構4が装備されている。
このパワーステアリング機構4は、ステアリングハンドル13のステアリング操作に基づいて、図3乃至図6に示すように、前車軸ケース18の前方側に配備されたパワステシリンダ40に圧油を給排し、前輪11の操向操作を行うものであり、全油圧式のオービットロールなどで構成されている。
このパワステシリンダ40は、シリンダケース41内で左右往復移動可能なシリンダロッド42を備え、そのシリンダロッド42の左右両端部側に、車輪支持ケース19と連結されるタイロッド5が、球継ぎ手50を介して屈折可能に連結されている。このように両端部にタイロッド5が連結されている左右往復移動可能なシリンダロッド42は、左右の車輪支持ケース19を同方向に操向操作するタイロッドを兼用するものである。
このボス部52は、前車軸ケース18の左右両端部に連結された車輪支持ケース19に対して、後述する連結軸19Cに嵌合して連結されるものである。
この車輪支持ケース19の取り付けハブ19Aに前輪11が装着されている。したがって、前輪11は、キングピンの軸心y1回りでの車輪支持ケース19の回動に伴って右又は左に操向操作される。
連結軸19Cの上部に対して、タイロッド5の他端側に設けたボス部52が嵌合連結されるのであるが、その連結軸19Cとボス部52との連結箇所は次のように構成されている。つまり、連結軸19Cの上部には、球面状の軸部19Dが備えられており、ボス部52の内面側には、その球面状の軸部19Dを支持するように球面状に凹入する軸受部52Aが形成されている。
これによって、タイロッド5と車輪支持ケース19との間で、上下方向あるいは水平方向での相対姿勢変化が生じても、支障なく連結状態を維持して、前輪11の操向操作を行い得るものである。
このタイロッドカバー6は、パワステシリンダ40のシリンダケース41の左右の端部と、直進走行状態における左右両側の前輪11との間を閉塞するように設けられている。
このように構成されているので、図3及び図5に示すように、前輪11が直進走行状態であれば、タイロッド5の左右方向での横外側端位置と、タイロッドカバー6の横外側端位置とは、タイロッドカバー6の横外側端が僅かに機体内方側に位置する程度で、ほぼ一致した状態である。
しかしながら、図6に示すように、前輪11が左旋回方向に操作されると、シリンダロッド42が左側に移動し、左側のタイロッド5は、タイロッドカバー6の横外側端よりも大きく横外方へ延出されて、タイロッドカバー6の横外側端からはみ出した状態となる。
図9に示すように、車輪支持ケース19の上面19Bと、その車輪支持ケース19の上面19Bに立設された連結軸19Cに対して嵌合連結されているタイロッド5の前記他端側に設けたボス部52とにわたって防塵用ブーツ53が装着されている。
この防塵用ブーツ53は、ゴムなどの弾性材料で構成され、上下両端側が開放された筒状に形成されている。また、この防塵用ブーツ53は、車輪支持ケース19の上面19Bと、タイロッド5のボス部52の下面との間隔d1よりも上下方向で十分に長く形成されている。
このブーツガード55は、図4乃至図9に示すように、タイロッド5の前面側で、タイロッド5の軸杆部分51の途中位置と、ボス部52の前輪11に近い側の外周部とにわたって溶接固定された屈曲板状部材で構成されている。また、ブーツガード55は、図4乃至図8に示すように、防塵用ブーツ53の前側で、防塵用ブーツ53の左右方向幅の全体を遮蔽するように設けられている。
つまり、装着された防塵用ブーツ53の上下方向幅L1は、車輪支持ケース19の上面19Bとタイロッド5のボス部52の下面との間隔d1よりも上下方向で長く形成され、その防塵用ブーツ53の上下方向幅L1よりもブーツガード55の上下方向幅L2がさらに長く形成されている。したがって、ブーツガード55は、防塵用ブーツ53の上下方向での全体を遮蔽するように上下方向でも幅広く設けられている。
この状態でも、ブーツガード55は防塵用ブーツ53の前側に位置して、防塵用ブーツ53を雑草や作物との接触から回避できるように保護する機能を有してはいる。しかし、そのブーツガード55の直前位置に、ブーツガード55よりも遙かに面積の大きいタイロッドカバー6が、ブーツガード55を全体的に遮蔽するように存在しているので、この直進状態に限っては、ブーツガード55による防塵用ブーツ53への保護機能よりも、タイロッドカバー6による保護機能の方が優先的に作用している。
この図6に示す状態では、仮想線で示されるタイロッドカバー6の左端からタイロッド5が大きく旋回中心側に露出した状態となる。これに伴い、防塵用ブーツ53も当然に、タイロッドカバー6の左端から離れて旋回中心側に移行するので、ブーツガード55が存在しない場合には前側が露出した状態となる。
そして、図6及び図8に示すように、前輪11が左右何れかに操向操作されたとき、旋回外側に位置する前輪11(図6では右側の前輪11)は、その前半部が、図6に示すようにタイロッドカバー6の横外側端位置に近づく方向に操舵される。
この凹部55Aは左右のブーツガード55のそれぞれに形成されている。
図1及び図10に示すように、ミッションケース7の前部には、ミッドPTO軸24が前方側へ向けて突出する状態で装備されている。
このミッドPTO軸24の支持構造について説明する。
このミッドPTO軸24は、一本の引き抜き材によって構成され、かつ、その前端側と後端側とのそれぞれにスプライン部24A,24Aを刻設してある。そして、両端側のスプライン部24Aと同径、もしくは両スプライン部24Aよりも径の大きい軸中間部24Bが、ミッションケース7の前ケース壁70に形成した支持ボス71に支持されている。
また、ベアリング72のインナーレース72Bは、ミッションケース7の内方側への移動が、ミッドPTO軸24の外周面に装着したサークリップ73によって阻止されている。インナーレース72Bのミッションケース7の外方側への移動は、位置決め用スリーブ74と、その位置決め用スリーブ74のミッションケース7の外方側への移動を阻止するように、ミッドPTO軸24の外周面に装着したサークリップ75とによって規制されている。
位置決め用スリーブ74の外周側には、支持ボス71の内周側との間で、外部からの異物の侵入を阻止するための環状のシール材76が装着されている。
このシール材76は、ミッションケース7の内方側の端部が、環状のカラー77を介してベアリング72のアウターレース72Aに当接し、ミッションケース7の外方側の端部が支持ボス71の内周側に装着したサークリップ78に当接することにより位置決めされている。
上記の実施形態では、ブーツガード55として、防塵用ブーツ53の前側にのみ設けた構造のものを例示したが、これに限られるものではない。
例えば、ブーツガード55を、防塵用ブーツ53の前側のみならず後側でも、タイロッド5の軸杆部分51とボス部52とにわたって設けることにより、防塵用ブーツ53の前側と後側とが遮蔽された構造となるように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、左右の前輪11が直進方向に向けられていると、ブーツガード55の大部分がタイロッドカバー6の背面側に隠れた状態となるように構成した構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、左右の前輪11が直進方向に向けられている状態で、タイロッドカバー6の横外側に並ぶ状態でブーツガード55が設けられた構造のものであってもよい。
また、タイロッドカバー6を省略したものであっても差し支えない。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
上記の実施形態では、ブーツガード55に、車輪支持ケース19との干渉を回避するための凹部55Aが形成された構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、ブーツガード55のうち、車輪支持ケース19と干渉する部位を部分的に可撓性のあるゴム垂れなど形成したり、車輪支持ケース19との接触によって、操向作動方向とは反対側へ逃げるように揺動可能に構成するなど、適宜構造を採用することもできる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
6 タイロッドカバー
18 前車軸ケース
19 車輪支持ケース
19C 連結軸
y1 軸心
y2 軸心
52 ボス部
53 防塵用ブーツ
55 ブーツガード
55A 凹部
Claims (4)
- トランスミッション側から左右横側方へ延出された前車軸ケースと、
前記前車軸ケースの延出端側に備えたキングピンを介して操向操作可能に連結された車輪支持ケースと、
前記前車軸ケースの前側に配設されたタイロッドとを備え、
前記車輪支持ケースには前記キングピンの軸心から離れた位置に軸心を有した連結軸が立設され、前記タイロッドには前記連結軸に外嵌するボス部が備えられていて、前記連結軸に前記ボス部を外嵌させることにより前記車輪支持ケースと前記タイロッドとが連結され、
前記ボス部とその下方側の前記車輪支持ケースとにわたって防塵用ブーツが装着され、
前記タイロッドの前記ボス部を設けた側の端部に、前記防塵用ブーツの前側を遮蔽するブーツガードが取り付けられている作業車。 - 直進走行状態に操作された位置の前記タイロッドの前部を覆うタイロッドカバーが、前記タイロッド及び前記ブーツガードよりも前方側に設けられている請求項1記載の作業車。
- 前記ブーツガードの大部分は、直進走行状態では前記タイロッドカバーの後側に隠れ、前記車輪支持ケースに装備された前輪のステアリング操作にともなって、旋回中心側における前記タイロッドカバーの横外側端部よりも横外方側へ突出するように設けられている請求項2記載の作業車。
- 前記ブーツガードの前記車輪支持ケース側の端部下方に、前記車輪支持ケースとの干渉を回避するための凹部が形成されている請求項1〜3のいずれか一項記載の作業車。
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