JP2016167990A - 植物栽培方法及びそれを用いる有用タンパク質の製造 - Google Patents

植物栽培方法及びそれを用いる有用タンパク質の製造 Download PDF

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Abstract

【課題】植物を用いて有用タンパク質を製造する際の植物を栽培する条件を改良し、有用タンパク質の製造効率を最適化する。
【解決手段】有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを有するアグロバクテリウムを、圧力サイクル処理により植物に感染させて該有用タンパク質を発現させるための、植物の栽培方法であって、該方法は、前記植物を、閉鎖型植物工場にて水耕栽培する工程と、前記栽培工程の少なくとも一部において、照射サイクル及び気温を制御する工程と、を含み、前記照射サイクルは、人工光の点灯及び消灯により前記栽培工程中に1サイクル以上とし、そして点灯時間の気温を消灯時間の気温より少なくとも1℃高く制御することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、有用タンパク質を効率よく製造するための、植物の栽培方法及び当該タンパク質をコードするポリヌクレオチドを植物へ導入する方法、並びにそれらの方法により栽培された植物を用いてタンパク質を製造する方法に関する。
近年、植物を用いたタンパク質の製造方法は、複雑なタンパク質の発現が可能、低コストでの大量生産が可能、分離精製が容易、安全性が保障されている等の理由により注目されている。植物を用いたタンパク質の製造方法としては、種々の方法が検討されており、外来遺伝子の発現効率を上げるとともに、タンパク質の製造に適した栽培方法等が報告されている。
特許文献1には、形質転換アグロバクテリウムを感染させたベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)を温室で栽培することによってH1タンパク質などのインフルエンザウイルス様粒子(VLP)を生産する方法が記載されている。
非特許文献1には、タバコ属(Nicotiana)植物にアグロバクテリウムを介した一過性発現でタンパク質を生産する方法において、タバコ属種やウイルス株の種類、及びタバコの葉にウイルスを浸潤(インフィルトレーション)させる際の減圧度等について検討した結果が開示されている。これによれば、アグロバクテリウム溶液を浸潤させる際の減圧度が高すぎると、植物が機械的な損傷を受けて、その後短期間でしおれ、植物死を生ずる一方、減圧度合いを低くすると、葉の50%程度にしか浸潤せずタンパク質の発現量が低下する。その結果、比較的マイルドな条件(50〜200ミリバール、30〜60秒間)でアグロバクテリウムを浸潤させることにより植物の生育に悪影響を与えることなくタンパク質を発現させうることが提案されている。
非特許文献2には、葉の背面から機械的にアグロバクテリウムを感染させ、水耕栽培でタバコにおいて高効率に外来タンパク質であるGFPを発現する方法が開示されている。外来タンパク質の高効率発現を達成する方法として、タバコの水耕栽培の光強度、光照射時間、昼夜温度、相対湿度、侵染時期、採収時期等の条件が最適化され、この条件下であれば、タバコの生長は強壮で葉が整い、葉の色は浅緑〜緑色であって、かつ、感染による外来タンパク質(GFP)の発現が高効率であることが開示されている。
特表2010−533001号公報
Journal of Visualized Experiments,2014, 86, e51204, pp.1-13 南方医科大学学報、2012, 32(6), pp.772−7
上記のように、植物を用いてタンパク質を生産する技術は知られているが、その生産効率を向上させるための条件検討は未だ十分ではない。
すなわち、特許文献1では、植物に導入された、ヘマグルチニン(HA)をコードする遺伝子の発現調節機構について詳細な検討が行われているが、この形質導入植物は、通常の条件で栽培されているにすぎない。
非特許文献1では、真空浸潤法によりアグロバクテリウムを感染させる際の減圧条件がベンサミアナタバコの葉に与える影響について開示されている。しかしながら、タンパク質の生産効率を最適化するためのアプローチは、タバコ植物やアグロバクテリウム菌株の種類の選択及び感染時の物理的条件等の外的要因に関する検討のみであり、タンパク質の生産効率は不十分である。この文献には、十分なタンパク質の発現量を確保するような植物の栽培方法については言及されていない。加えて、減圧度を高めてアグロバクテリウムの感染効率を上げた場合にも十分なタンパク質の発現量を確保する方法については記載されていない。
また、非特許文献2では植物の栽培条件について種々の検討が行われているものの、人工気象器内での植物の栽培条件のみであって、減圧処理によるアグロバクテリウム感染やそれによるタンパク質の発現量への影響については何ら検討されていない。
このように、植物によるタンパク質の一過性発現において、アグロバクテリウム感染時の減圧条件や、栽培条件等の各工程における条件検討はなされているものの、これらを統合して、減圧処理によるアグロバクテリウム感染後に十分なタンパク質の発現量を確保できるような植物の栽培方法についての報告はこれまでにない。
従って、本発明は、植物を用いて有用タンパク質を製造する際の植物を栽培する条件を改良し、有用タンパク質の生産効率を最適化することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、アグロバクテリウム感染前の植物に着目し、感染処理前の植物の栽培方法を最適化することにより、驚くべきことに感染処理後に有用タンパク質の生産効率を向上させ得ることを見出した。特に光の照射サイクルと気温の変動を制御することによって、アグロバクテリウム感染時の機械的および生物学的ストレスに耐性を示す頑健な植物を生育させることができ、それによって植物を用いたタンパク質の発現効率を改善しうることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを有するアグロバクテリウムを、圧力サイクル処理により植物に感染させて該有用タンパク質を発現させるための、植物の栽培方法であって、該方法は、
前記植物を、閉鎖型植物工場にて水耕栽培する工程と、
前記栽培工程の少なくとも一部において、照射サイクル及び気温を制御する工程と、を含み、
前記照射サイクルは、人工光の点灯及び消灯により栽培工程中に1サイクル以上とし、そして点灯時間の気温を消灯時間の気温より少なくとも1℃高く制御することを特徴とする、植物の栽培方法。
[2] 植物に有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを導入する方法であって、
前記植物を閉鎖型植物工場にて水耕栽培する工程と、
前記栽培工程の少なくとも一部において、照射サイクル及び気温を制御する工程であって、人工光の点灯及び消灯により当該照射サイクルを前記栽培工程中に1サイクル以上とし、そして点灯時間の気温を消灯時間の気温より少なくとも1℃高く制御する工程と、
前記植物に、前記ポリヌクレオチドを有するアグロバクテリウムを、圧力サイクル処理により感染させる工程と、
を含むことを特徴とする、植物への前記ポリヌクレオチドの導入方法。
[3] 植物を用いて有用タンパク質を製造する方法であって、
前記植物を、閉鎖型植物工場にて水耕栽培する工程と、
前記栽培工程後の植物に、有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを有するアグロバクテリウムを、圧力サイクル処理により感染させる工程と、
前記感染工程後の植物に有用タンパク質を発現させる工程と、を含み、
前記栽培工程の少なくとも一部において、人工光の点灯及び消灯により前記栽培工程中に1サイクル以上の照射サイクルを有し、そして点灯時間の気温を消灯時間の気温より少なくとも1℃高く制御することを特徴とする、有用タンパク質の製造方法。
[4] 前記点灯時間における気温が、消灯時間の気温より2〜30℃高い範囲内で制御される[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 前記水耕栽培に用いられる養液の温度が、消灯時間の間、前記気温以上の温度で制御される[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 前記養液の点灯時間と消灯時間と間での温度差が、±1℃の範囲で制御される[5]に記載の方法。
[7] 前記発現工程の後に前記有用タンパク質を精製し回収する工程をさらに含むことを特徴とする、[3]〜[6]のいずれかに記載の有用タンパク質の製造方法。
[8] 前記有用タンパク質が、医療用タンパク質であることを特徴とする、[3]〜[7]のいずれかに記載の有用タンパク質を製造する方法。
[9] 前記植物が、ベンサミアナタバコであることを特徴とする、[3]〜[8]のいずれかに記載の有用タンパク質を製造する方法。
一般的に、24時間連続光照射条件下で植物を栽培すると、植物自体が大きく成長するため、バイオマス量が増えて回収するタンパク質の総量が増加する傾向にある。一方、光の照射サイクルと共に気温を制御する本発明の方法によれば、植物の頑健性を向上することにより、アグロバクテリウム感染に対する機械的および生物学的耐性が向上し、植物自体のバイオマス量を増加させるよりも植物内に高濃度にタンパク質を蓄積できることから、タンパク質の精製工程において、精製負荷が軽減され、製造コストの削減の点で効果が大きい。さらに、頑健性が向上した植物は、アグロバクテリウム感染後にバイオマス量が十分に増加することができるため、最終的に回収するタンパク質の総量も増加させることができる。
プラスミドpGFP/MM444の構造を示す。 プラスミドp19/MM444の構造を示す。
本発明の方法のうち、第一の態様は、有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを有するアグロバクテリウムを、圧力サイクル処理により植物に感染させて該有用タンパク質を発現させるための、植物の栽培方法であって、植物を栽培する工程(栽培工程)を含む。
本発明の方法のうち、第二の態様は、植物に有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを導入する方法であって、植物を栽培する工程(栽培工程)、次いで、該植物に該有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを有するアグロバクテリウムを感染させる工程(感染工程)を含む。
本発明の方法のうち、第三の態様は、植物を用いて有用タンパク質を製造する方法であって、植物を栽培する工程(栽培工程)、次いで、該植物に該有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを有するアグロバクテリウムを感染させる工程(感染工程)、及び、感染工程後の植物を栽培して該有用タンパク質を発現させる工程(発現工程)を含む。
以下、本発明の実施の形態について、最も多くの工程を含む、本発明の方法の第三の態様である有用タンパク質の製造方法の流れに従って詳細に説明するが、本発明の方法の第一及び二の態様でも同様に考えられる。
本発明で用いることのできる植物としては、アグロバクテリウムに感染する植物であり、有用タンパク質を発現する植物であればよく、特に限定されない。例えば、双子葉植物と単子葉植物が挙げられる。具体的には、双子葉植物ではナス科植物として、タバコ、ジャガイモ、トマト等が、アブラナ科植物として、ルッコラ、コマツナ、ミズナ、カラシナ、シロイズナズナ等が、キク科植物として、チコリ、エンダイブ、アーティチョーク等が、マメ科植物として、アルファルファ、リョクトウ、ダイズ等が、アカザ科植物としてホウレンソウ、テンサイ等が、シソ科植物としてシソ、バジル等が、セリ科植物としてミツバ等が例示される。単子葉植物としてはイネ科植物として、イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ等が、アオイ科植物としてはワタ等が例示される。中でも、ナス科植物が好ましく、タバコがより好ましい。
タバコとしては、タバコ(Nicotiana tabacum)、ベンサミアナアタバコ(N. benthamiana)、ハナタバコ(N. alata)、キダチタバコ(N. glauca)、ナガバナタバコ(N. longiflora)、ニコチアナ・ペルシア(N. persica)、ニコチアナ・ルスチカ(N. rustica)、ニコチアナ・シルベストシス(N. sylvestris)などが挙げられる。好ましくは、ベンサミアナアタバコである。
本発明において、有用タンパク質とは、医療用や産業用に用いられるタンパク質であれば特に限定はされない。好ましくは、医療用タンパク質である。
医療用タンパク質としては、治療用タンパク質と診断タンパク質に分類され、治療用タンパク質としては、ペプチド、ワクチン、抗体、酵素、ホルモン(好ましくはペプチドホルモン)などが例示され、より具体的には、ワクチンとして使用されるウイルスタンパク質、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン等の造血因子、インターフェロン、インターロイキン(IL)−1やIL−6等のサイトカイン、モノクローナル抗体またはその断片、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、ウロキナーゼ、血清アルブミン、血液凝固第VIII因子、レプチン、インシュリン、幹細胞成長因子(SCF)などが例示される。また、診断タンパク質としては、抗体、酵素、ホルモン等が例示される。
ワクチンとして使用されるウイルスタンパク質として好ましくは、ウイルス様粒子(VLP)の構成タンパク質が挙げられる。VLPの構成タンパク質は単一のタンパク質でもよいし、1つ以上のタンパク質を含んでもよい。ウイルスとしては、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトC型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトB型肝炎ウイルス(HBV)などが挙げられ、インフルエンザウイルスのVLPの構成タンパク質としてはインフルエンザヘマグルチニン(HA)タンパク質、ノロウイルスのVLP構成タンパク質としてはNorwalk virus capsid protein(NVCP)などが例示される。
産業用タンパク質とは、食品、飼料、化粧品、繊維、洗剤、化学品などに用いられるタンパク質であり、ペプチド、酵素、機能性タンパク質が例示される。具体的には、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペプチダーゼ、ルシフェラーゼ、ラクタマーゼ、コラーゲン、ゼラチン、ラクトフェリン、クラゲ緑色蛍光タンパク質(GFP)などが例示される。
以下、本発明の各工程について説明する。
<栽培工程>
本工程における重要な視点は、後に詳述するように、植物を光の照射サイクルと気温変動を制御する条件下で生育させることであり、以下順を追って説明する。
本工程は、前記植物を水耕栽培法で栽培する工程を含む。本明細書において水耕栽培とは、土を使用しない養液栽培のことをいい、ロックウールなどの固形培地に定着させた植物を養液中で栽培する方法や、緩傾斜の平面上に養液を薄く流下させる薄膜水耕法(NFT:Nutrient Film Technique)と、溜めた養液中で栽培する湛液型水耕法(DFT:Deep Flow Technique)等がある。薄膜水耕法(NFT)は、植物を保持するための複数の穴を開けたパネルを栽培台に載置し、該穴に植物を挿通して保持し、養液を供給して栽培する方法である。湛液型水耕法(DFT)は、養液(液肥)の流動により十分な酸素を根部に供給して養分吸収を促進し、さらに液肥の温度及び濃度を含む根圏環境も安定化し、栽培環境を一定に整えるという利点がある。
水耕栽培法は、栽培棚の多段化や、養液のリサイクル、肥料成分およびpHの管理が容易であることから好ましく、これらの中でも、根が養液中でむき出しの状態となるbare-root法が好ましい。根は水の中を自由に伸び、養液との接触面積が増大することで、十分な量の水分と養分を吸収できるため、一般に土壌栽培に比べ生育が旺盛になるからである。
また、水耕栽培においては、肥料を含む水である養液をかけ流したり、循環させたりして、常に植物に養液を供給しながら栽培する方法と、養液を一定期間貯留して植物を栽培する方法が挙げられる。酸素などが豊富に供給されるので植物の高速栽培が可能であることから、養液を常に供給しながら栽培する方法が好ましく、コストメリットの点から養液を循環させて栽培する方法がより好ましい。このような高速栽培の条件においては、本発明の効果が顕著に表れる。
次に、栽培工程における栽培日数は、通常10日以上、好ましくは15日以上、より好ましくは17日以上であり、また、通常45日以下、好ましくは40日以下、より好ましくは35日以下である。なお、ここでは後述する育苗工程を水耕栽培で行う場合には栽培工程の栽培日数に含むものとする。
栽培工程においては、必要に応じて、何度でも移植を行なってもよい。移植の時期としては、播種後または移植後の3日〜18日の間に行なうことが好ましい。
栽培工程では、植物を上記条件下で栽培することができれば、いずれの植物生産システムを用いてもよく、特に限定されない。栽培時の光エネルギーの調整のしやすさから、半閉鎖型、または閉鎖型の植物工場が好ましく、後述する通り、光の照射サイクルによる厳密な光エネルギーの制御が有効なことから、本工程の少なくとも一部は閉鎖型植物工場で行われる。半閉鎖型としては、園芸施設、太陽光型植物工場などが例示される。
ここで、閉鎖型植物工場は、太陽光が当たらない植物工場を意味し、温度、湿度、二酸化炭素濃度、人工光の波長および照射時間などが制御された空間で植物を栽培するシステムである。閉鎖型植物工場を用いることにより、光の制御が可能なので、植物およびそれが生産する物質の品質が安定するという効果や、外気に含まれる病原菌の感染を防ぐことができるという効果がある。さらに、温度、湿度、気流などの栽培環境条件の精密制御が可能となり、栽培工程における植物の生長速度、及び発現工程における有用タンパク質の発現が向上するという効果が得られるので好ましい。
閉鎖型植物工場としては、環境制御された部屋と、該環境制御された部屋内に設置され植物栽培容器を載置する植物栽培容器棚と、該植物栽培容器棚の近接部に配され植物体に光を近接照射する照明を含むシステムが例示される。植物栽培容器棚は複数段に配置可能である。
栽培工程で栽培される植物は、その草丈(cm)が2cm以上であることが好ましく、3cm以上であることがより好ましく、また、25cm以下であることが好ましく、15cm以下であることがより好ましい。草丈が、上述の範囲内であると、栽培棚の多段化により閉鎖型植物工場のSTY(space time yield)向上に有利である。
また、植物内に高濃度のタンパク質を蓄積できる植物を用いた場合には、植物の草丈が上限値以下であると、植物の地上部全体における葉の割合が高くなり、植物1株当たりの葉の収穫量が増え、十分な量のタンパク質を確保することができる。また、精製工程で取り扱いが容易な葉の重量割合が増えることで精製負荷を低減することができ、その結果、容易にタンパク質を確保することができるので好ましい。
なお、ここでいう「草丈」とは、地上部の下端から生長点までの長さを意味し、収穫直後の植物の地下部を切除した後、草丈の長さを測定することにより求めることができる。
栽培工程で栽培される植物は、その地上部新鮮重量(g)が3g以上であることが好ましく、10g以上であることがより好ましく、また、100g以下であることが好ましく、70g以下であることがより好ましい。
地上部新鮮重量が、上述の範囲内である植物は生長速度が速く、このような生長速度の速い時期にある植物を用いると、有用タンパク質の生産効率が向上するので好ましい。特に、植物の高速栽培が可能な条件で栽培工程を実施する場合には、後述の光の照射サイクルと気温変動の制御による、本発明の効果が顕著に得られるため好ましい。高速栽培可能な条件とは、前述の養液を常に供給しながら栽培すること、光の照射時間を長くすること、養液中の肥料成分を多くすること、bare-root法を採用することなどが挙げられ、これらの条件を適宜組み合わせることにより、例えばタバコであれば、育苗を含む栽培期間28日間で地上部新鮮重量60g以上とすることが可能である。
栽培工程で栽培される植物は、その葉重量(g)が2.5g以上であることが好ましく、7.5g以上であることがより好ましく、また、80g以下であることが好ましく、60g以下であることがより好ましい。葉重量が、上述の範囲内である植物は、生長速度が速く、このような生長速度の速い時期にある植物を用いると、有用タンパク質の生産効率が向上するので好ましい。
栽培工程において使用される光源としては、特に制限されないが、太陽光、蛍光灯、LED、冷陰極蛍光ランプ(CCFL、HEFL)、無機・有機EL等を例示することができる。好ましくは、蛍光灯、LED、冷陰極蛍光ランプが挙げられる。LEDは、白熱電球、HIDランプと比較して、光変換効率が高く省電力であるので好ましい。また、植物に葉焼け障害を引き起こす熱線の放出量が小さい点でも好ましい。
本発明おいて、上記光源の中でも蛍光灯、LED、冷陰極蛍光ランプ等の人工光を点灯することによる点灯時間(以下、昼時間と称する場合がある)と、それらを消灯することによる消灯時間(以下、夜時間と称する場合がある)との照射サイクル(以下、昼夜サイクルと称する場合がある)を、栽培工程中に1サイクル以上設けると共に、昼時間の気温を夜時間の気温よりも少なくとも1℃高く制御することを特徴とする。なお、ここで照射(昼夜)サイクルの1サイクルとは、1回の点灯時間と1回の消灯時間からなり、点灯と消灯を各々1回含む期間である。
まず、光の照射サイクルの制御について説明する。
照射サイクルの1サイクルにおける点灯(昼)時間は、1日に1サイクルの場合には、約10時間以上であることが好ましく、より好ましくは12時間以上、さらに好ましくは14時間以上、特に好ましくは15時間以上であって、23時間以下であることが好ましく、より好ましくは22時間以下、さらに好ましくは21時間以下、特に好ましくは20時間以下である。一方、光の照射サイクルの1サイクルにおける消灯(夜)時間は、約1時間以上であることが好ましく、より好ましくは2時間以上、さらに好ましくは3時間以上、特に好ましくは4時間以上であって、14時間以下であることが好ましく、より好ましくは12時間以下、さらに好ましくは10時間以下である。
1日に1サイクルを超える照射サイクルとした場合には、照射サイクルの1サイクルにおける点灯(昼)時間は、1サイクルの昼夜合計時間の40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、98%以下が好ましく、95%以下がより好ましい。
1サイクルを1日を超えて実施する照射サイクルとした場合には、照射サイクルの1サイクルにおける点灯(昼)時間は、1サイクルの昼夜合計時間の45%以上が好ましく、55%以上がより好ましく、98%以下が好ましく、95%以下がより好ましい。
昼夜の合計時間は特に制限されないが、少なくとも6時間以上であることが好ましく、12時間以上がより好ましく、好ましくは72時間以下、より好ましくは48時間以下である。つまり1日に4サイクル以下であって、3日で1サイクル以上であることが好ましい。
なお、ここで照射する光は、パルス光であってもよい。パルス光は、1マイクロ秒〜1秒間の短い間隔でLED等を点滅させることにより得られるものであり、このようなパルス光を用いることにより、生理学上植物が光を必要としない時間には光を当てず、光を必要とする時間だけ光を当てることができるので光合成速度を上昇させ、電力コストを抑えることができる。この場合の照射時間は、LEDが点灯していない時間も照射時間に含むこととし、1日当たりのパルス光照射した時間の合計とする。
また、栽培工程の全期間にわたって、照射(昼夜)サイクルの条件を上記の条件とする必要はなく、例えば、栽培工程を前半と後半に分けて後半のみ照射サイクルの条件を上記の条件とするなど、栽培工程のうちの一定期間のみ上記の条件下で植物を栽培してもよい。この場合、上記の条件下とする期間としては、全栽培期間の3%以上の期間が好ましく、10%以上の期間がより好ましい。また、上記の照射サイクルの条件とする期間は、栽培期間の後半とすることが好ましく、少なくとも栽培期間の終了までの3%以上とすることがより好ましい。これは、植物は栽培期間の最終段階で急速に成長する場合が多いことから、植物の頑健性を向上させるためには、この急速成長期に光の照射サイクルと気温変動の制御を行うことが特に有効である。
栽培工程の全期間のうち、照射サイクルの条件を上記の条件としない期間の照射サイクルの条件については特に制限はなく、この期間は、閉鎖型植物工場で24時間連続昼時間でもよく、開放型植物工場で太陽光のもと、1日24時間サイクルで栽培してもよい。
次に、気温変動の制御について説明する。なお、本明細書において栽培工程における「気温」とは、栽培する植物付近の空気の温度を意味する。よって、例えば、植物の半径30cm以内に設置された温度計で、植物栽培容器棚の棚面から6cm〜12cmの高さの位置で測定した温度を気温とする。環境制御された部屋全体の温度を一定とした場合には部屋全体の温度を気温とし、部屋内に設置された植物栽培容器棚ごとに温度を設定した場合には各棚の温度を気温と称する。
栽培工程での温度制御は、閉鎖型植物工場における任意の方法で行うことができ、例えば、エアーコンディショナー、クーラー、ヒーター又はこれらの組み合わせである。寒冷地における温度制御手段としては、通常、植物工場内を所定温度に加温する暖房装置が用いられている。具体的には、例えばボイラーや温風型加温機、電気式ヒーター、発熱ランプ、ヒートポンプ等を用いた暖房装置・加温装置が使用され、植物工場内の空気や水耕栽培に用いる養液を所定温度に加温・温度制御することができる。
栽培工程での気温は、昼時間の気温が夜時間の気温よりも少なくとも1℃高く制御されていれば特に限定されないが、昼時間の気温は、夜時間の気温よりも2℃以上高いことが好ましく、より好ましくは3℃以上、それより好ましくは4℃以上、さらに好ましくは5℃以上、特に好ましくは8℃以上であれば、目的とするタンパク質の発現効率向上が見られるため好ましい。また、昼時間と夜時間の気温差の上限値としては、好ましくは30℃以下であり、より好ましくは25℃以下であり、さらに好ましくは20℃以下、場合によって好ましくは15℃以下である。従って、昼時間の気温を25℃に設定した場合、夜時間の気温は、5〜24℃が好ましく、10〜23℃がより好ましい。昼時間又は夜時間のそれぞれの気温は、常に一定である必要はなく、平均値として上記範囲にあればよいが、好ましくは、昼時間及び夜時間のそれぞれの期間内において±5℃以内、好ましくは±2℃以内、さらに好ましくは±1℃以内に制御されることが望ましい。
栽培工程での気温は、特に限定されないが、照射(昼夜)サイクルにおける点灯(昼)時間の気温は18℃以上であることが好ましく、より好ましくは20℃以上であって、35℃以下が好ましく、より好ましくは33℃以下である。照射サイクルにおける消灯(夜)時間の気温は5℃以上であることが好ましく、より好ましくは10℃以上であって、28℃以下が好ましく、より好ましくは26℃以下である。
これらの条件を満たすように植物を生育させるための栽培環境は、植物の生育および有用タンパク質の生産に適した条件であれば特に制限されないが、例えば、以下の条件で栽培することができる。
上記昼夜サイクルにおける気温の変動に基づき、水耕栽培に用いる養液の温度(以下、液温ともいう。)も通常これに従って変動する。しかしながら、必ずしも液温が変動する必要はなく、液温が昼夜を通して一定である、又は昼夜サイクルの気温変動とは異なる範囲で液温が変動するように制御されていてもよい。なお、「液温が一定である」とは、特定期間での温度差が±2℃以内、好ましくは±1℃以内であることをいう。
このとき、夜時間における液温が、夜時間における気温以上に制御されることが好ましく、気温より高く制御されることがさらに好ましい。例えば、夜時間の間の液温が、好ましくは気温と同等から10℃の範囲されることが好ましく、より好ましくは1〜5℃高い範囲内で制御されることである。具体的には、夜時間の気温が20℃のとき、液温20〜30℃であり、好ましくは21〜25℃である。
また、夜時間における液温と気温との差が、昼時間における液温と気温との差よりも小さいことが好ましい。
液温は常に一定である必要はなく、10〜30℃、好ましくは15〜27℃の範囲内で変動してもよく、したがって上記夜時間の気温と液温との温度差も変動するが、夜時間を通じた平均値で制御されていてもよい。
また、昼夜で液温が変動するように制御する場合、夜時間における液温が気温以上に制御されていればよく、気温と同様に昼時間の液温が夜時間の液温よりも高くてもよいし、逆に、夜時間の液温が昼時間の液温よりも高くてもよい。
一方、昼時間の液温は、特に限定されるものではないが、好ましくは昼時間の気温と同等か、あるいはそれよりも低く制御されることが好ましい。通常、植物の生長促進のために、昼時間の温度は比較的高めに制御する傾向があることより、液温をこれ以下の温度とすることが養液中の溶存酸素等の観点から好ましい。例えば、昼時間の液温は昼時間の気温よりも1℃以上低くすることが好ましく、より好ましくは2℃以上、さらに好ましくは3℃以上低くすることである。具体的には、液温は、昼時間の間、28℃以下、好ましくは25℃以下であり、夜時間の間は、10℃以上、好ましくは15℃以上である。
栽培工程での養液の温度(液温)制御は、閉鎖型植物工場における任意の方法で行うことができ、例えば、養液を循環させている場合には、タンク内にヒーター又は冷却器を入れ、タンクから送り出す養液の温度を制御する方法等が挙げられる。なお、液温は、各栽培棚で異なる温度に制御してもよい。
上記条件下で栽培して得られた植物は、通常の植物に比べて頑健性が向上し、アグロバクテリウムを浸潤させるときの減圧処理による植物の機械的な損傷に対して耐性を有すると推測される。さらに、頑健性が向上した植物は、アグロバクテリウムに対する生物学的な耐性も有すると考えられ、アグロバクテリウム感染後の生長が促進され、十分なバイオマス量の増加が見込めるうえ、目的とするタンパク質発現も向上しているものと思われる。
本発明の栽培方法により、植物の物理的強度が向上する理由は必ずしも明らかではないが、例えば、葉の光合成で合成されたエネルギーの転流(植物体の、ある部分で合成された物質が篩管(しかん)を通して他の部分に運ばれること)が、夜時間の間に促進され植物体そのものが頑健となることによって、アグロバクテリウムを浸潤させる際の機械的ダメージにも耐え得る健康な状態の植物を得られると推測される。また、アグロバクテリウムに対する生物学的な耐性も獲得したと推測される。その結果、一過性発現における目的タンパク質の発現効率が向上したと考えられる。
通常、栽培工程においては、24時間連続光照射の方が、植物自体は大きく成長する、すなわち、バイオマス量が増えるため、タンパク質の回収量増加を目指す場合には好ましいと考えられる。しかしながら、本発明の方法では、植物工場の生産性向上(栽培棚多段化などにより空間効率向上)のためにバイオマス量を減らしたとしても、タンパク質の発現量(全植物葉重量当たりの目的タンパク質量)を増加させることで最終的なタンパク質の回収量を向上させ得る。加えて、予想外にも、アグロバクテリウム感染後のバイオマス量を増加させることができ、目的のタンパク質の総量を増やすことができることが明らかとなった。
転流の促進は、人工光を消灯することのみでなく、気温にも影響を受けているものと考えられる。さらに水耕栽培の場合には、地上部の植物が接する気温と、根の部分が接触する液温の関係に基づいて、例えば、地上部の気温が液温より低いときに、特に転流が促進されるものと考えられる。
また、上記条件下で栽培することで頑健性の高い植物を栽培することができるため、アグロバクテリウムを浸潤させる際の植物の機械的損傷、特に葉の損傷を防ぐことで、発現工程で産生された目的タンパク質に不純物が混入することが防止でき、目的タンパク質の発現効率が向上すると考えられる。例えば、葉の損傷による変性タンパク質の生成を防止することが挙げられる。変性タンパク質の産生が抑制されることで目的タンパク質の純度が向上し、結果として発現効率が向上する。
上述のことから、本発明の栽培工程で得られた植物はアグロバクテリウムの感染に対する耐性を有し、感染工程でアグロバクテリウムを用いて導入されたポリヌクレオチドが高効率でタンパク質を発現することが可能となる。その結果、目的とする有用タンパク質の発現効率および発現量を向上させることができると考えられる。この効果は、有用タンパク質の種類を問わず期待できる。
また、このような効果は、栽培工程における昼夜の湿度、二酸化炭素濃度及び循環水中の肥料濃度を制御することによってもさらに有効である。
栽培工程における二酸化炭素濃度は、通常300ppm以上、好ましくは500ppm以上であり、また、通常5000ppm以下、好ましくは3000ppm以下である。例えば、昼時間の二酸化炭素濃度が、夜時間の二酸化炭素濃度よりも少なくとも100ppm高く、好ましくは500ppm以上、1000ppm以上高く設定することで、本発明の効果が顕著になる場合がある。
栽培工程における植物工場内の相対湿度は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、また、通常100%以下、好ましくは95%以下である。例えば、昼時間と夜時間の相対湿度の間に50%以内で差を設けることで、本発明の効果が顕著になる場合がある。
また、本工程の1つの好ましい実施形態として、養液に溶解した肥料濃度を昼夜のサイクルに合わせて最適化し、液温を一定にして昼夜循環することを含む。一定の液温とは、常に一定である必要はなく、平均値として所定の温度であればよいが、好ましくは所定の温度の±2℃以内、さらに好ましくは±1℃以内に制御されることが望ましい。最適な肥料濃度とは、例えば、肥料の構成成分によっても異なるが、光合成の盛んな昼時間の濃度を高くし、夜時間の濃度を相対的に低下させることが挙げられる。あるいは、植物体の構造を強化するための栄養素については夜時間の濃度を相対的に高くすることでもよい。
なお、本発明の製造方法においては、栽培工程の前半に育苗工程を行うことが好ましい。育苗工程とは、植物の苗を一定期間人工的な環境下で発芽・育成させ、その後の栽培工程に移植するまでの工程をいう。該育苗工程における温度、湿度等の条件は上記栽培工程における条件と同様の条件とすることができる。また、光照射の条件も太陽光、蛍光灯、LED、冷陰極蛍光ランプ(CCFL、HEFL)、無機・有機EL等を用いた通常の条件を採用することができるが、育苗工程においては、光照射の時間が一日当たり12時間以上24時間以下であるサイクル下で植物を育苗することが好ましい。なお、「光の照射時間が1日あたり12時間以上24時間以下」とは、必ずしも連続照射でなくてもよく、例えば、照射時間が1日あたり20時間の場合、10時間以上の連続照射を1日に2回行なってもよい。すなわち、一日に一回以上の昼夜サイクルで生育させ得る。
<感染工程>
感染工程では、前記栽培工程で得られた植物に、有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを有するアグロバクテリウムを圧力サイクル処理により感染させる。圧力サイクル処理には、加圧又は減圧処理を含む。大気圧(通常は、1気圧=101.325kPa=約0.1MPa)よりも高い圧力で処理する加圧処理を行なう場合、少なくとも1.1気圧(112kPa)、1.5気圧(152kPa)、2気圧(203kPa)、2.5気圧(253kPa)、3気圧(304kPa)、4気圧(405kPa)若しくは5気圧(507kPa)又は任意の中間値又はこれを超える任意の値で処理する。好ましくは1.7気圧(172kPa)〜10気圧(1013kPa)の範囲であり、より好ましくは4気圧(405kPa)〜8気圧の範囲である。大気圧よりも低い圧力で処理する減圧処理を行なう場合、0.005気圧(0.5kPa)〜0.3気圧(30kPa)の範囲が好ましく、0.01気圧(1.0kPa)〜0.1気圧(10.1kPa)の範囲がより好ましく、0.02気圧(2.0kPa)〜0.06気圧(6.1kPa)の範囲がさらに好ましい。減圧の圧力が高すぎる場合は、感染液の浸潤が不十分になるため好ましくない。逆に圧力が低すぎる場合は、液体が沸点に達し著しく蒸発して液体が減少し浸潤が不十分になることや、製造プロセスや設備が大がかりになるためやはり好ましくない。したがって、これらの加圧処理又は減圧処理する時間は、植物の種類や処理する組織に応じて適宜設定することができるが、10秒〜10分であり、好ましくは20秒〜5分であり、さらに好ましくは30秒〜3分程度である。
有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドとは、目的とする有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドのことである。目的とする有用タンパク質とは、有用タンパク質として例示したタンパク質のことである。ポリヌクレオチドとしては、天然型の配列に、目的とする有用タンパク質が得られる範囲内で、適宜、変異や改変を加えたものを用いてもよい。
有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを植物内で過剰発現させるには、該ポリヌクレオチドを適当なプロモーターの下流に機能的に連結し、得られたポリヌクレオチド構築物をアグロバクテリウム法によって植物細胞に導入すればよい。上記プロモーターは、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター、イネのアクチンプロモーターやElongation factor 1βプロモーター、トウモロコシのユビキチンプロモーターなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
アグロバクテリウム法を行う際は、アグロバクテリウムのTiプラスミドやRiプラスミド由来のT−DNA(transfer DNA)を含むバイナリーベクターまたは中間ベクターを用いることができる(Nucl. Acids Res. 12(22):8711-8721 (1984), Plasmid, 7, 15-29 (1982))。バイナリーベクターの具体例として、pBI系ベクター(例えば、pRiceFOX)、pPZP系ベクター(Plant Molecular Biology 25(6): 989-94. (1994))、pCAMBIA系ベクター(ベクター骨格:pPZPベクター)、pSMA系ベクター(Plant Cell Reports 19: 448-453. (2000))を挙げることができるが、これらに限定されない。
該ポリヌクレオチド構築物を発現させるためには、これらのベクターを用いた一過性発現方法を使用することができる(Journal of Virological Methods, 105:343-348 (2002))。また、アグロバクテリウムによる感染は減圧条件下で行うことが好ましく、Plant Science, 122, 1: 101-108 (1997))によって記載された真空に基づく一過性発現方法を使用することがより好ましい。アグロ接種またはアグロインフィルトレーションにより、ポリヌクレオチド構築物を含むアグロバクテリウムは、組織、例えば、葉、植物の地上構造の一部(茎、葉および花を含む)、植物の他の一部(茎、根、花)、または全草の細胞間の空間に入り込む。表皮の通過後に、アグロバクテリウムは感染し、細胞へとポリヌクレオチドを移行させる。ポリヌクレオチドはエピソームとして転写され、mRNAは翻訳され、感染した細胞中で対象となるタンパク質の産生をもたらすが、核の内部でのポリヌクレオチドの継代は一過性である。
<発現工程>
発現工程では感染工程後の植物を栽培して該有用タンパク質を発現させる。発現工程での栽培条件は有用タンパク質が効率よく発現できる条件であれば特に制限されないが、該発現工程における温度、湿度等の条件は上記栽培工程における条件と同様の条件とすることができる。また、光照射の条件も太陽光、蛍光灯、LED、冷陰極蛍光ランプ(CCFL、HEFL)、無機・有機EL等を用いた通常の条件を採用することができる。あるいは、発現させるタンパク質の種類に依存するか又は依存せず、発現に好適な昼夜サイクル及び温湿度等の条件を設定することも可能である。発現工程における栽培日数は、好ましくは3日以上、より好ましくは4日以上であり、また、好ましくは14日以下、より好ましくは10日以下である。
以下に、発現工程での栽培条件のうち、温度、湿度等の条件の具体例を挙げるが、有用タンパク質が効率よく発現できる条件であれば、栽培条件はこれに制限されない。
栽培気温は、通常10℃以上、好ましくは15℃以上であり、また、通常40℃以下、好ましくは37℃以下である。植物工場内の相対湿度は、通常20%以上、好ましくは30%以上であり、また、通常100%以下、好ましくは95%以下である。植物工場内の二酸化炭素濃度は、通常300ppm以上、好ましくは500ppm以上であり、また、通常5000ppm以下、好ましくは3000ppm以下である。
<有用タンパク質回収工程>
発現工程において、植物内に蓄積した有用タンパク質は植物から回収されることが好ましい。植物から有用タンパク質を含む画分を取得し、有用タンパク質を適当な方法により精製することが好ましい。なお、有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドは精製のためのタグ配列を含んでもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
1.形質転換アグロバクテリウムの調製
1.1 発現プラスミド
GFP(クラゲ緑色蛍光タンパク質)発現の検討には、以下の2種類の発現プラスミドを用いた。
植物バイナリーベクターpMM444(特開平9−313059号公報)のカナマイシン耐性発現カセット(ノパリンシンターゼ遺伝子のプロモーター、カナマイシン耐性遺伝子、及びノパリンシンターゼ遺伝子のターミネーターからなる)を、pIZI(特開平7−274752)由来のハイグロマイシン耐性発現カセット(カリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーター、ヒマのカタラーゼ遺伝子の第一イントロン、ハイグロマイシン耐性遺伝子、及びノパリンシンターゼ遺伝子のターミネーター)に置換した。このようにして得られたプラスミドに、さらに、pIG221(Plant Cell Physiol., 31, 805(1990))由来のGUS発現カセット(カリフラワーモザイクウィルスの35Sプロモーター、ヒマのカタラーゼ遺伝子の第一イントロン、β−グルクロニダーゼ遺伝子、及びノパリンシンターゼ遺伝子のターミネーターからなる)のβ−グルクロニダーゼ遺伝子をEGFP遺伝子(pEGFP−N3:クローンテック社製)に置換したEGFP発現カセットを導入し、EGFP遺伝子発現プラスミドを作製した(以下、このプラスミドを「pGFP/MM444」と称する。その構造を図1に示す)。
なお、図1、2において、遺伝子やその制御領域を示す記号の意味は、以下のとおりである。
35SP:カリフラワーモザイクウィルス 35Sプロモーター
int:ヒマカタラーゼ遺伝子 第一イントロン
Nos:ノパリンシンターゼ ターミネーター
Spec:スペクチノマイシン耐性遺伝子
Tc:テトラサイクリン耐性遺伝子
Hm:ハイグロマイシン耐性遺伝子
OripBR322:pBR322 ori
OripRK2:pRK2 ori
BL:T−DNA left border
BR:T−DNA right border
また、pGFP/MM444におけるハイグロマイシン耐性発現カセットを削除し、ついで、EGFP発現カセットのEGFP遺伝子をP19遺伝子(tomato bushy stunt virus由来)に置換することでP19遺伝子発現プラスミドを作製した(以下、このプラスミドを「p19/MM444」と称する。その構造を図2に示す)。なお、P19遺伝子はEGFP遺伝子の発現を強化する働きがあり、このp19/MM444は、pGFP/MM444との共発現に供した。
1.2 アグロバクテリウムの形質転換と形質転換アグロバクテリウムグリセロールストックの調製
上述のプラスミド(pGFP/MM444、p19/MM444)をそれぞれ、エレクトロポレーション法(Mattanovich et al.1989)によってアグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens AGL1: Rhizobium radiobacter ATCC BAA-101; American Type Culture Collection (ATCC), Manassas, VA20108,USA)株に導入した(得られた形質転換アグロバクテリウムを、以下、それぞれ、GFP−アグロバクテリウム、P19−アグロバクテリウムと称する)。
形質転換アグロバクテリム(GFP−アグロバクテリウム、P19−アグロバクテリウム)を、カルベニシリン25μg/mlとスペクチノマイシン50μg/mlを含有するLB培地(SIGMA-ALDRICH社製)にて培養後、グリセロール を加えて最終的にグリセロール濃度を30%となるよう調整し、−80℃で保存することで各形質転換アグロバクテリウムグリセロールストックとした。
1.3 感染工程用形質転換アグロバクテリウムの調製
上記1.2で作成した形質転換アグロバクテリウム(GFP−アグロバクテリウム、P19−アグロバクテリウム)のグリセロールストックをLB培地に植菌して、培養を行った。
培養後、遠心することで集菌し、得られた菌体をインフィルトレーションbuffer(5mM MES、10mM MgCl、pH5.6)に懸濁して濃縮菌液を得た。得られた濃縮菌体をGFP−アグロバクテリウムとP19−アグロバクテリウムの1:1混合菌液のOD600が0.8となるように4Lのインフィルトレーションbufferに加えて、pH5.6に調整し、感染工程用アグロバクテリウム菌液(GFP・P19共発現用)とした。
2.植物バイオマスの調製
2.1 播種
播種用液体肥料(大塚ハウスS1号(大塚アグリテクノ株式会社)0.78g/L、大塚ハウス2号(大塚アグリテクノ株式会社)0.25g/L、pH5.0)を水耕栽培用ウレタンマット(江松化成W587.5mm×D282mm×H28mm:12×2マス、穴径φ9mm)にしみこませ、育苗トレー(W600mm×D300mm×H300mm)に収め、ベンサミアナタバコ(Nictiana benthamiana)種子を播種した。
2.2 育苗
播種後の植物を人工気象器(NC−410HC)(日本医化器械製作所)にて気温28℃、16時間昼/8時間夜の光サイクルにて12日間生育させた。ここで、人工気象器内の空間は一定の気温が保たれていた。
2.3 栽培(前期)
2.2で育苗に用いたウレタンマットを1マスずつ分離し、栽培(前期)用パネル(W600mm×D300mm、30穴)に移植した。移植後の栽培(前期)用パネルを栽培装置にセットし、湛液方式(deep flow technique, DFT方式)にて9日間栽培した。環境条件および養液条件は以下のとおりに制御した。なお、気温を測定するための温度計は、半径5cm以内に複数の植物が存在する位置であって、植物栽培容器棚の棚面から6cm〜12cmの高さに温度センサーがくるように設置した。
《環境条件》
−気温:28℃
−相対湿度:60〜80%
−CO濃度:500ppm
−照明:平均光合成光量子束密度(PPFD):160μmol/m・秒、24h連続照射、三波長蛍光灯「ルピカライン」(三菱電機株式会社)
《養液条件》
液体肥料として、肥料A液(大塚ハウスS1号150g/L、大塚ハウス5号(大塚アグリテクノ株式会社)2.5g/L)、肥料B液(大塚ハウス2号100g/L)をそれぞれ脱塩素水に溶解し、等量に混合して使用した。pH調整にはpH調整剤ダウン(大塚アグリテクノ株式会社)および4%KOH水溶液を用いた。養液の電気伝導度(electrical conductivity, EC)およびpHは「らくらく肥料管理機3」(株式会社セムコーポレーション)を用いてEC:2.3mS/cm、pH6.0になるように調整した。また、養液の温度は25℃に制御した。なお、養液温度は、キャリークール(オリオン機械株式会社)を用いて冷却することで、25℃に制御した。EC、pHおよび温度を上記の通り一定とした養液を循環させて、植物の栽培を行った。
2.4 栽培(後期)
栽培(前期)用パネルより植物体を取り出し、栽培(後期)用パネル(W600mm×D300mm、6穴)に定植した。移植後の栽培(後期)用パネルを栽培装置にセットし、DFT方式にて7日間(播種後28日間)栽培した。環境条件は以下のとおり制御した。養液条件は、栽培(前期)と同様の条件に制御した。なお、温度は栽培(前期)と同様の方法で測定した。
栽培(後期)終了後、後述する3.1の感染を行う前の植物の総重量を表2に示した。
《環境条件》
−温度:28℃(昼時間)/26℃(夜時間)
−相対湿度:45〜65%
−CO濃度:500ppm
−照明:平均PPFD:180μmol/m・秒、20h連続光照射・4h消灯の明暗サイクル、三波長蛍光灯「ルピカライン(登録商標)」(三菱電機株式会社)
3.植物へのアグロバクテリウム感染及び植物の採集
3.1 Vacuum Infiltration(真空浸潤法)による感染
上記2.4で得られた播種後28日目のベンサミアナタバコを逆さにしてビーカー中のアグロバクテリウム菌液(上述の1.3で調製したもの)に全ての葉が完全に液中に浸るように沈めた。
その後、該ビーカーを真空デシケーター(FV−3P)(東京硝子器械株式会社)に入れ、19〜40Torrに1分間静置し、減圧した。その後、バルブを一気に開放して復圧をおこなった。
復圧終了後、植物を正立に戻して栽培(後期)用パネルにはめ込んだ後、栽培装置にセットした。
3.2 感染後の植物の栽培(発現工程)
感染後の栽培は人工気象器(日本医化器械製作所製)内の栽培装置を用いて行った。光源として、三波長蛍光灯「ルピカライン(登録商標)」(三菱電機株式会社)を用い、16時間昼/8時間夜の光サイクルで、平均PPFD125μmol/m・秒にて栽培した。湛液方式(deep flow technique, DFT方式)にて、養液は、EC:2.1〜2.4mS/cm、pH5.6として栽培した。温度は、25℃昼/20℃夜のサイクルとした。また、相対湿度は60〜85%とした。養液の温度は20℃に制御した。なお、液体肥料は栽培(前期)と同様にして、EC、pHおよび温度を上記の通り一定とし、養液を循環させて、植物の栽培を行った。
3.3 栽培された感染葉の採集
6日間かけて上述の発現工程を行ったアグロバクテリウム感染ベンサミアナタバコは、葉柄を含めずに全ての葉を収穫し,−80℃にて保管した。
3.2の発現工程での栽培後の植物の総重量および収穫した葉重量を表2に示した。
4.GFP発現量の測定
4.1 粗抽出液の調製
3.3で凍結保存したGFP・P19共発現アグロバクテリウム感染葉を乳鉢に移し、液体窒素中で磨砕した。その後、サンプル新鮮重量の6倍量のGFPアッセイ用抽出バッファー(50mM Tris−HCl、150mM NaCl、2mM EDTA、0.1%Triton−X100(pH7.25))を加え、激しく懸濁することでタンパク質粗抽出を行った。粗抽出液1mlを1.5mlエッペンドルフチューブに移し、4℃、20,400×g、10分間遠心後、上清を回収し、後述のGFP定量に用いた。
4.2 GFP定量
GFP蛍光の検出にはWallac ARVO SX 1420 Multilabel counter (Perkin-Elmer Life Sciences) を用いて485nmの励起光によって生じる507nmの発光を検出した。定量には段階希釈したGFPスタンダード (rAcGFP1 Protein:タカラバイオ社製) を用いた。測定サンプルはGFP用抽出バッファーで5倍希釈し、100μLずつ、96−ウェルマイクロプレート(Nuncフルオロヌンクプレート:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)に分注し、測定を行い、新鮮重当たりのGFP発現量(mg/kg−FW)、株当たりのGFP発現量(mg)を算出した。3株の測定結果を平均し、栽培(後期)において24h連続光照射・温度一定とした時の値(下記比較例1)を100%とした場合の割合を表1に示した。
[比較例1]
植物バイオマスの調整において、播種、育苗、栽培(前期)は実施例1と同様の条件で行い、2.4栽培(後期)においては、昼夜サイクルがなく24h連続光照射であり、昼夜の温度差がなく、27℃一定の条件で実験を行った。
GFP定量について3株の測定結果を平均し、この値を100%として結果を表1に示した。また、実施例1と同様に測定した植物の総重量および収穫した葉重量を、表2に示した。

上記の結果より、栽培工程において照射サイクル及び気温を制御した場合において、後の発現工程で目的のタンパク質の発現が向上することが確認された。また、栽培工程では連続光照射でバイオマス量が多くなっていたの対して、感染工程および発現工程を経た後では、栽培工程で照射サイクル及び気温の制御を行った実施例1の方が、最終的なバイオマス量が多くなる結果となった。これは、栽培工程において頑健性の高い植物が得られたことにより、感染工程を経た後の植物の生育が良好に進んだためと推察される。

Claims (9)

  1. 有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを有するアグロバクテリウムを、圧力サイクル処理により植物に感染させて該有用タンパク質を発現させるための、植物の栽培方法であって、該方法は、
    前記植物を、閉鎖型植物工場にて水耕栽培する工程と、
    前記栽培工程の少なくとも一部において、照射サイクル及び気温を制御する工程と、を含み、
    前記照射サイクルは、人工光の点灯及び消灯により前記栽培工程中に1サイクル以上とし、そして点灯時間の気温を消灯時間の気温より少なくとも1℃高く制御することを特徴とする、植物の栽培方法。
  2. 植物に有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを導入する方法であって、
    前記植物を閉鎖型植物工場にて水耕栽培する工程と、
    前記栽培工程の少なくとも一部において、照射サイクル及び気温を制御する工程であって、人工光の点灯及び消灯により当該照射サイクルを前記栽培工程中に1サイクル以上とし、そして点灯時間の気温を消灯時間の気温より少なくとも1℃高く制御する工程と、
    前記植物に、前記ポリヌクレオチドを有するアグロバクテリウムを、圧力サイクル処理により感染させる工程と、
    を含むことを特徴とする、植物への前記ポリヌクレオチドの導入方法。
  3. 植物を用いて有用タンパク質を製造する方法であって、
    前記植物を、閉鎖型植物工場にて水耕栽培する工程と、
    前記栽培工程後の植物に、有用タンパク質をコードするポリヌクレオチドを有するアグロバクテリウムを、圧力サイクル処理により感染させる工程と、
    前記感染工程後の植物に有用タンパク質を発現させる工程と、を含み、
    前記栽培工程の少なくとも一部において、人工光の点灯及び消灯により前記栽培工程中に1サイクル以上の照射サイクルを有し、そして点灯時間の気温を消灯時間の気温より少なくとも1℃高く制御することを特徴とする、有用タンパク質の製造方法。
  4. 前記点灯時間における気温が、消灯時間の気温より2〜30℃高い範囲内で制御される請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記水耕栽培に用いられる養液の温度が、消灯時間の間、前記気温以上の温度で制御される請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記養液の点灯時間と消灯時間との間での温度差が、±1℃の範囲で制御される請求項5に記載の方法。
  7. 前記発現工程の後に前記有用タンパク質を精製し回収する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の有用タンパク質の製造方法。
  8. 前記有用タンパク質が、医療用タンパク質であることを特徴とする、請求項3〜7のいずれか一項に記載の有用タンパク質を製造する方法。
  9. 前記植物が、ベンサミアナタバコであることを特徴とする、請求項3〜8のいずれか一項に記載の有用タンパク質を製造する方法。
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