JP2016167734A - 振動片の周波数調整方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動片の主振動と副振動との結合による周波数ディップの発生を低減する振動片の周波数調整方法を提供する。【解決手段】本発明の振動片(10)の周波数調整方法は、振動片(10)の両主面12a,12bに励振電極14a,14bが形成され、励振電極14a,14bの外周部18に錘部20が形成され、主振動と副振動とを有する振動片において、錘部20の少なくとも一部を除去する又は付着させることで、振動片(10)の副振動の周波数を調整する。【選択図】図1
Description
本発明は、振動片の周波数調整方法に関する。
従来から、温度特性に優れた水晶振動子が発振器、電子機器等の多方面で使用されている。特に、近年では携帯電話やコンピューター等の様々な電子機器の小型化、薄型化に伴い、それに用いられる水晶振動子に対してもより一層の小型化、薄型化の要求が強まっている。
特許文献1には、屈曲モード振動と捩りモード振動との二つの振動モードを結合させ、優れた温度特性を有する小型の結合振動子が開示されている。この結合振動子の温度特性は、屈曲モード振動と捩りモード振動の共振周波数の差により決まる。そのため、振動部の四隅に錘を付着することで、屈曲モード振動の共振周波数を変化させ温度特性を良くし、且つ基準周波数へ合わせ込む周波数調整方法を行い、小型で優れた温度特性を有する結合振動子を得ている。
特許文献1には、屈曲モード振動と捩りモード振動との二つの振動モードを結合させ、優れた温度特性を有する小型の結合振動子が開示されている。この結合振動子の温度特性は、屈曲モード振動と捩りモード振動の共振周波数の差により決まる。そのため、振動部の四隅に錘を付着することで、屈曲モード振動の共振周波数を変化させ温度特性を良くし、且つ基準周波数へ合わせ込む周波数調整方法を行い、小型で優れた温度特性を有する結合振動子を得ている。
しかしながら、特許文献1に記載の結合振動子では、周囲温度の変化に対する周波数変化量の小さい温度特性を得ることができるが、主振動と基準周波数近傍に発生する輪郭系の不要な副振動とが結合して、周波数あるいは等価直列抵抗値が変動するアクティビティディップ(activity dip)を発生し周波数ディップが生じてしまうという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る振動片の周波数調整方法は、振動片の互いに表裏の関係にある表裏の主面の各々に励振電極が設けられ、前記励振電極の外周部より外側で前記振動片の外縁部との間に錘部が設けられ、主振動と副振動とで振動する振動片において、前記錘部の少なくとも一部を除去する又は付着させることにより、前記振動片の前記副振動の周波数を調整することを特徴とする。
本適用例によれば、振動片の主振動を基準周波数に調整した後に、基準周波数近傍の副振動の周波数を、主振動に影響を及ぼさない励振電極の外周部に設けられた錘部の少なくとも一部を除去するか、又は主振動に影響を及ぼさない励振電極の外周部より外側で振動片の外縁部との間に錘部を付着させることにより、副振動の周波数を変化させることができる。そのため、主振動の基準周波数から離すことができるため、副振動との結合による周波数あるいは等価直列抵抗値が変動するアクティビティディップ(activity dip)の発生による周波数ディップを低減することができるという効果がある。
[適用例2]上記適用例に記載の振動片の周波数調整方法において、前記錘部をレーザーで除去することが好ましい。
本適用例によれば、錘部の除去をレーザーで行うことにより、容易に副振動の周波数を調整することができるため、周波数ディップの発生を低減した振動片を低コストで供給することができる。
[適用例3]上記適用例に記載の振動片の周波数調整方法において、前記錘部を蒸着又はスパッタで付着させることが好ましい。
本適用例によれば、錘部の付着を蒸着又はスパッタで行うことにより、レーザーによる除去する方法と同様に、容易に副振動の周波数を調整することができるため、周波数ディップの発生を低減した振動片を低コストで供給することができる。
[適用例4]上記適用例に記載の振動片の周波数調整方法において、前記主振動は、厚み滑り振動であることが好ましい。
本適用例によれば、厚み滑り振動は、振動片の両主面に励振電極を形成することで、振動エネルギーを励振電極下に閉じ込めることができるので、容易に高いQ値を有する振動片を得ることができる。また、厚み滑り振動は、振動片の励振電極の外周部より外側に錘部を付着させても、周波数が変動せず、Q値も劣化しないため、副振動の周波数を調整することができるため、周波数ディップの発生を低減した振動片を得ることができる。
[適用例5]上記適用例に記載の振動片の周波数調整方法において、前記振動片は、SCカット水晶振動片であることが好ましい。
本適用例によれば、SCカット水晶振動片を用いることで、高いQ値を有し、応力感度特性や耐熱衝撃特性に優れた振動片を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各層や各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各層や各部材の尺度を実際とは異ならせている。また、図7、図8、図9、および図11を除いては、説明の便宜上、互いに直交する3軸として、X’軸、Y”軸、およびZ’軸を図示しており、その図示した矢印の先端側を「+側」、基端側を「−側」としている。また、以下の説明では、X’軸に平行な方向を「X’軸方向」と言い、Y”軸に平行な方向を「Y”軸方向」と言い、Z’軸に平行な方向を「Z’軸方向」と言う。更に、説明の便宜上、Y”軸方向から見たときの平面視において、Y”軸方向の面を主面として説明する。
<第1実施形態>
(振動子)
本発明の第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子の一例として、SCカット水晶振動片を有するSCカット水晶振動子を挙げ、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子の構成を示す概略平面図である。なお、図1において、SCカット水晶振動子100の内部の構成を説明する便宜上、リッド60を取り外した状態を図示している。図2は、図1におけるA−A線の概略断面図である。図3は、本発明の実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片としてのSCカット振動片の切断角度を説明する図であり、図3(a)は1回目の回転における切断角度を説明する図、図3(b)は2回目の回転における切断角度を説明する図である。
(振動子)
本発明の第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子の一例として、SCカット水晶振動片を有するSCカット水晶振動子を挙げ、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子の構成を示す概略平面図である。なお、図1において、SCカット水晶振動子100の内部の構成を説明する便宜上、リッド60を取り外した状態を図示している。図2は、図1におけるA−A線の概略断面図である。図3は、本発明の実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片としてのSCカット振動片の切断角度を説明する図であり、図3(a)は1回目の回転における切断角度を説明する図、図3(b)は2回目の回転における切断角度を説明する図である。
本発明の第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子としてのSCカット水晶振動子100は、図1および図2に示すように、キャビティー44内に支持部36が設けられているベース30と、支持部36に1点支持されている円板状の振動片としてのSCカット水晶振動片10と、リッド60と、を含み構成されている。
(ベース)
ベース30は、図2に示すように、平板状の第1基板32と、第1基板32上に枠状の第2基板34と、を積層し固着して形成され、SCカット水晶振動片10を収容するキャビティー44が形成されている。ベース30のキャビティー44が形成されている側とは反対側の主面には、複数の外部端子42a,42bが設けられている。また、ベース30のキャビティー44が形成されている側の主面には、SCカット水晶振動片10を支持するための支持部36と、電極パッド38bと、支持部36上に形成されている電極パッド38aと外部端子42aとを電気的に接続する配線40aと、電極パッド38bと外部端子42bとを電気的に接続する配線40bとが設けられている。なお、配線40a,40bは、図示しない貫通電極や層間配線を介して、外部端子42a,42bと電気的に接続されている。
ベース30は、図2に示すように、平板状の第1基板32と、第1基板32上に枠状の第2基板34と、を積層し固着して形成され、SCカット水晶振動片10を収容するキャビティー44が形成されている。ベース30のキャビティー44が形成されている側とは反対側の主面には、複数の外部端子42a,42bが設けられている。また、ベース30のキャビティー44が形成されている側の主面には、SCカット水晶振動片10を支持するための支持部36と、電極パッド38bと、支持部36上に形成されている電極パッド38aと外部端子42aとを電気的に接続する配線40aと、電極パッド38bと外部端子42bとを電気的に接続する配線40bとが設けられている。なお、配線40a,40bは、図示しない貫通電極や層間配線を介して、外部端子42a,42bと電気的に接続されている。
支持部36の電極パッド38a上には、導電性バンプや導電性接着剤等の接合部材52を介してSCカット水晶振動片10が1点支持の状態で固定され、且つSCカット水晶振動片10の主面12bに設けられているリード電極16b(図2参照)と電気的に接続されている。ここで、SCカット水晶振動片10を接合部材52で1点支持の状態で固定することにより、SCカット水晶振動片10に加わる接合部材52の硬化時の歪やベース30との線膨張係数差による歪等によって生じる応力の影響を低減できる。
SCカット水晶振動片10を収容したベース30のキャビティー44は、封止部材62を介してリッド60によりほぼ真空の減圧雰囲気で気密封止されている。ほぼ真空の減圧雰囲気で気密封止することにより、ベース30やリッド60の外周からの熱を断熱することができるので、高安定な周波数特性を有するSCカット水晶振動子100を得ることができる。
なお、本実施形態におけるベース30の第1基板32と第2基板34とは、絶縁性を有するセラミックス材料で構成されている。このような形成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア等の酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン等の窒化物系セラミックス、炭化ケイ素等の炭化物系セラミックス等を用いることができる。また、第1基板32に設けられた電極パッド38a,38b、配線40a,40b、および外部端子42a,42b等は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等の金属配線材料を基板上にスクリーン印刷して焼成し、その上にニッケル(Ni)、金(Au)等のめっきを施すことにより形成されている。
(振動片)
第1実施形態に係る振動片としてのSCカット水晶振動片10は、円形の板状であり、SCカット水晶振動片10の互いに表裏の関係にある表裏の主面12a,12bには、それぞれ対向するように励振電極14a,14bと、ベース30に設けられている電極パッド38a,38bと励振電極14a,14bとをそれぞれ電気的に接続するためのリード電極16a,16bと、励振電極14a,14bの外周部18上に各電極と同様の金属材料で構成された錘部20が形成されている。なお、錘部20は、励振電極14a,14bの外周部18より外側でSCカット水晶振動片10の外縁部19との間に設けられている。また、錘部20には後述する第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法により形成された複数の除去部22が設けられている。除去部22はレーザー等により錘部20の一部を除去することにより形成されているため、SCカット水晶振動片10の主面12a側の錘部20を除去した後、レーザー光がSCカット水晶振動片10を透過し、主面12b側の錘部20を除去するため、除去部22においてSCカット水晶振動片10の両主面12a,12bが露出している。なお、SCカット水晶振動片10に形成されている錘部20に設けられている除去部22の位置については、詳細を後述する。
第1実施形態に係る振動片としてのSCカット水晶振動片10は、円形の板状であり、SCカット水晶振動片10の互いに表裏の関係にある表裏の主面12a,12bには、それぞれ対向するように励振電極14a,14bと、ベース30に設けられている電極パッド38a,38bと励振電極14a,14bとをそれぞれ電気的に接続するためのリード電極16a,16bと、励振電極14a,14bの外周部18上に各電極と同様の金属材料で構成された錘部20が形成されている。なお、錘部20は、励振電極14a,14bの外周部18より外側でSCカット水晶振動片10の外縁部19との間に設けられている。また、錘部20には後述する第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法により形成された複数の除去部22が設けられている。除去部22はレーザー等により錘部20の一部を除去することにより形成されているため、SCカット水晶振動片10の主面12a側の錘部20を除去した後、レーザー光がSCカット水晶振動片10を透過し、主面12b側の錘部20を除去するため、除去部22においてSCカット水晶振動片10の両主面12a,12bが露出している。なお、SCカット水晶振動片10に形成されている錘部20に設けられている除去部22の位置については、詳細を後述する。
また、SCカット水晶振動片10はベース30上に搭載され、主面12aに設けられた励振電極14aはリード電極16aと、金(Au)線やアルミニウム(Al)線等の金属からなるボンディングワイヤー50と、を介して電極パッド38bに電気的に接続される。また、主面12bに設けられた励振電極14bはリード電極16bと、接合部材52と、を介して電極パッド38aに電気的に接続される。
SCカット水晶振動片10に形成された励振電極14a,14b、リード電極16a,16b、および錘部20は、SCカット水晶振動片10の両主面12a,12bに、先ず、クロム(Cr)等を成膜し、次に、クロム(Cr)の上に金(Au)等を積層して形成されている。このクロム(Cr)や金(Au)の電極膜は、真空蒸着法やスパッタリング法等によりメタルマスクを用いる方法、又は、SCカット水晶振動片10の両主面12a,12bに成膜された後、フォトリソグラフィ法によってメタルエッチングする方法等で、所望の形状に形成されている。なお、SCカット水晶振動片10と金(Au)の電極膜との密着性を高めるための電極膜の形成材料は、クロム(Cr)に限定されず、ニッケルクロム(NiCr)合金やニッケル(Ni)であっても構わない。また、安定な振動特性や長期安定性を得るために必要な電極膜の形成材料は、金(Au)に限定されず、白金(Pt)や銀(Ag)であっても構わない。
なお、本実施形態に係るSCカット水晶振動片10は、円形の板状を例に説明したが、これに限定されず、矩形状の平板形状であっても構わない。矩形状とすることで、1点支持における支持方向を正確にすることができる。
(切断角度)
次に、SCカット水晶振動片10の切断角度について、図3を参照して詳細に説明する。
SCカット水晶振動片10は、水晶の結晶軸(XYZ)のX軸を中心にY軸およびZ軸をα度回転してY’軸およびZ’軸とし、その後、Z’軸を中心にX軸およびY’軸をβ度回転してX’軸およびY”軸としてなる結晶軸(X’Y”Z’)のY”軸に主面12a,12bが直交した板状の振動片である。
次に、SCカット水晶振動片10の切断角度について、図3を参照して詳細に説明する。
SCカット水晶振動片10は、水晶の結晶軸(XYZ)のX軸を中心にY軸およびZ軸をα度回転してY’軸およびZ’軸とし、その後、Z’軸を中心にX軸およびY’軸をβ度回転してX’軸およびY”軸としてなる結晶軸(X’Y”Z’)のY”軸に主面12a,12bが直交した板状の振動片である。
SCカット水晶振動片10は、先ず、図3(a)に示すように、互いに直交する結晶軸X、Y、Zを有し、X軸は電気軸、Y軸は機械軸、Z軸は光学軸と、それぞれ呼称され、XZ面をX軸の回りに角度αを所定の角度約33°だけ左回転させて得られる平面に沿って切り出される。その後、図3(b)に示すように、新たなX’Z’面をZ’軸の回りに角度βを所定の角度約22°だけ左回転させて得られる平面に沿って切り出され、Y”軸に直交する面を有する平板である。所謂、2回回転Yカット水晶基板である。
SCカット水晶振動片10は、直交する結晶軸X’、Y”、Z’を有し、厚み方向がY”軸であり、Y”軸に直交するX’軸とZ’軸を含む面が主面であり、主面に厚み滑り振動が主振動として励振され、応力感度特性や耐熱衝撃特性等に優れている。
(主振動および副振動)
次に、SCカット水晶振動片10に形成されている錘部20に設けられている除去部22の位置について、図4〜図6を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る振動片の主振動の振動変位を示す概略平面図である。図5は、本発明の実施形態に係る振動片の第1の副振動の振動変位を示す概略平面図である。図6は、本発明の実施形態に係る振動片の第2の副振動の振動変位を示す概略平面図である。なお、図4〜図6は、SCカット水晶振動片10を有限要素法(FEM)により、振動解析を行いX’,Y”,Z’軸方向の各変位量を加算した総量を色分けして示したものである。また、図5および図6は、解析した副振動の中で周波数が主振動の周波数に近かった第1の副振動および第2の副振動の振動変位である。
次に、SCカット水晶振動片10に形成されている錘部20に設けられている除去部22の位置について、図4〜図6を参照して詳細に説明する。
図4は、本発明の実施形態に係る振動片の主振動の振動変位を示す概略平面図である。図5は、本発明の実施形態に係る振動片の第1の副振動の振動変位を示す概略平面図である。図6は、本発明の実施形態に係る振動片の第2の副振動の振動変位を示す概略平面図である。なお、図4〜図6は、SCカット水晶振動片10を有限要素法(FEM)により、振動解析を行いX’,Y”,Z’軸方向の各変位量を加算した総量を色分けして示したものである。また、図5および図6は、解析した副振動の中で周波数が主振動の周波数に近かった第1の副振動および第2の副振動の振動変位である。
SCカット水晶振動片10の主振動である厚み滑り振動は、図4に示すように、SCカット水晶振動片10の中央部で変位量が最大で、励振電極領域の外縁に向かって変位量が小さくなり、励振電極領域の外縁からSCカット水晶振動片10の外縁において変位量が最小となっている。そのため、励振電極領域の外縁からSCカット水晶振動片10の外縁との間に支持領域を設けて固定しても主振動の振動を減衰させることなく、高いQ値を有するSCカット水晶振動子100を得ることができる。
次に、SCカット水晶振動片10の輪郭系の振動に起因した第1の副振動は、図5に示すように、励振電極領域の外側でSCカット水晶振動片10の外縁付近の領域A1,A2および励振電極領域外縁とSCカット水晶振動片10の外縁との間の領域A3,A4において変位量が最大となっている。そのため、第1の副振動の振動変位の大きい領域A1,A2,A3,A4の位置に質量を付着又は領域A1,A2,A3,A4の位置に予め設けた質量を除去することにより振動を拘束したり、解放することで第1の副振動のインピーダンスを変化させ、周波数を変化させることができる。そのため、主振動の周波数に近接した第1の副振動の周波数を主振動の周波数から離す又は遠ざけることができるので、主振動に第1の副振動が結合することにより生じる周波数ディップの発生を低減することができる。
また、図6に示すSCカット水晶振動片10の輪郭系の振動に起因した第2の副振動も第1の副振動と同様に、SCカット水晶振動片10の外縁付近の領域B1において変位量が最大となっている。そのため、第2の副振動の振動変位の大きい領域B1の位置に質量を付着又は領域B1の位置に予め設けた質量を除去することにより、第2の副振動の周波数を変化させることができ、主振動に第2の副振動が結合することにより生じる周波数ディップの発生を低減することができる。
次に、SCカット水晶振動片10における副振動の振動変位の大きい位置に設けた質量の変化量に対する主振動および副振動の周波数変化量について、図7および図8を用いて説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る振動片の錘部重量(△M/M0)に対する主振動の周波数変化量(△f/f0)を示す図である。図8は、本発明の実施形態に係る振動片の錘部重量(△M/M0)に対する主振動および副振動の周波数変化量(△f/f0)を示す図である。
図7は、本発明の実施形態に係る振動片の錘部重量(△M/M0)に対する主振動の周波数変化量(△f/f0)を示す図である。図8は、本発明の実施形態に係る振動片の錘部重量(△M/M0)に対する主振動および副振動の周波数変化量(△f/f0)を示す図である。
SCカット水晶振動片10において、前述した第1の副振動および第2の副振動の振動変位が大きい領域A1,A2,A3,A4,B1の質量を増減し、主振動の周波数変化を振動解析した結果を図7に示す。図7より、領域A1,A2,A3,A4,B1の錘部重量(△M/M0)を±20%変化させても、主振動の周波数変化量(△f/f0)は、±1ppmとほとんど変化しないことが解る。これは、主振動の振動変位が励振電極領域内に収まっているため、励振電極領域の外側である領域A1,A2,A3,A4,B1の質量が変化したとしても、主振動の振動には影響が及ぼされないためである。
次に、各副振動において励振電極領域の外側にある振動変位が大きい領域の質量を増減し、主振動および各副振動の周波数変化を振動解析した結果を図8に示す。図8より、主振動は図7と同様に錘部重量(△M/M0)を±20%変化させても、周波数変化量(△f/f0)は±1ppmであるのに対し、各副振動は錘部重量(△M/M0)を±20%変化させると周波数変化量(△f/f0)は約±700ppm〜約±1900ppmと非常に大きいことが解る。この結果から、励振電極領域の外側にある副振動の振動変位が大きい領域の質量を増減することで、主振動の周波数を変化させずに、副振動の周波数を変動させることができ、主振動と副振動との結合により生じる周波数ディップの発生を低減することができる。
(振動片の製造方法)
次に、本発明の第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法について、振動片としてSCカット水晶振動片10を一例として挙げ、図9を参照して説明する。
図9は、本発明の第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法を示す工程図である。
次に、本発明の第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法について、振動片としてSCカット水晶振動片10を一例として挙げ、図9を参照して説明する。
図9は、本発明の第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法を示す工程図である。
SCカット水晶振動片10の製造方法は、図9に示すように、振動片外形形成工程(Step1)と、電極および錘部形成工程(Step2)と、主振動周波数調整工程(Step3)と、温度特性測定工程(Step4)と、周波数ディップの有無チェック工程(Step5)と、錘部加工工程(Step6)と、を含んでいる。
<振動片外形形成工程(Step1)>
先ず、振動片外形形成工程(Step1)では、Y”軸方向に直交する主面を有するSCカット水晶ブロックを準備し、Y”軸方向を軸とする回転をかけて外形を研磨し、円筒状に加工する。その後、ワイヤーソー装置等により主面に沿って切断し個片化する。個片化された円板状のSCカット水晶基板の主面を研磨装置等でラッピングし、その後、ポリシングして、SCカット水晶基板を作成する。
先ず、振動片外形形成工程(Step1)では、Y”軸方向に直交する主面を有するSCカット水晶ブロックを準備し、Y”軸方向を軸とする回転をかけて外形を研磨し、円筒状に加工する。その後、ワイヤーソー装置等により主面に沿って切断し個片化する。個片化された円板状のSCカット水晶基板の主面を研磨装置等でラッピングし、その後、ポリシングして、SCカット水晶基板を作成する。
<電極および錘部形成工程(Step2)>
電極および錘部形成工程(Step2)では、SCカット水晶基板の表裏の両主面12a,12bに、励振電極14a,14b、リード電極16a,16b、および錘部20を形成する。形成方法としてはSCカット水晶基板を励振電極14a,14b、リード電極16a,16b、および錘部20のパターンが形成された金属マスクで上下から挟み込み、蒸着又はスパッタ装置(図示せず)等を用いて金(Au)等の金属材料を蒸着又はスパッタすることで形成する。なお、SCカット水晶基板と励振電極14a,14b、リード電極16a,16b、および錘部20との密着性を高めるために下地層としてクロム(Cr)等の金属材料を用いて形成しても構わない。また、励振電極14a,14b、リード電極16a,16b、および錘部20の形成方法として、SCカット水晶基板の表裏の両主面12a,12bに金(Au)等の金属材料を蒸着又はスパッタした後に、フォトリソグラフィー技術により、金属材料をエッチングして励振電極14a,14b、リード電極16a,16b、および錘部20を形成する方法でも構わない。また、錘部20はSCカット水晶基板の表裏の両主面12a,12bに形成されているがどちらか一方の主面12a,12bに形成しても構わない。この場合、副振動の周波数調整量は小さくなるが高精度に周波数を調整することができる。
電極および錘部形成工程(Step2)では、SCカット水晶基板の表裏の両主面12a,12bに、励振電極14a,14b、リード電極16a,16b、および錘部20を形成する。形成方法としてはSCカット水晶基板を励振電極14a,14b、リード電極16a,16b、および錘部20のパターンが形成された金属マスクで上下から挟み込み、蒸着又はスパッタ装置(図示せず)等を用いて金(Au)等の金属材料を蒸着又はスパッタすることで形成する。なお、SCカット水晶基板と励振電極14a,14b、リード電極16a,16b、および錘部20との密着性を高めるために下地層としてクロム(Cr)等の金属材料を用いて形成しても構わない。また、励振電極14a,14b、リード電極16a,16b、および錘部20の形成方法として、SCカット水晶基板の表裏の両主面12a,12bに金(Au)等の金属材料を蒸着又はスパッタした後に、フォトリソグラフィー技術により、金属材料をエッチングして励振電極14a,14b、リード電極16a,16b、および錘部20を形成する方法でも構わない。また、錘部20はSCカット水晶基板の表裏の両主面12a,12bに形成されているがどちらか一方の主面12a,12bに形成しても構わない。この場合、副振動の周波数調整量は小さくなるが高精度に周波数を調整することができる。
<主振動周波数調整工程(Step3)>
次に、主振動周波数調整工程(Step3)では、図1および図2に示すように、電極および錘部が形成されたSCカット水晶振動片10をベース30に実装後、周波数調整装置(図示せず)内にセットする。その後、ベース30の外部端子42a,42bをプロービングして、主振動の周波数をモニタリングしながら、励振電極14a,14bにレーザー光を照射して励振電極14a,14bの一部を除去することで、励振電極14a,14bの質量を低減し、主振動の周波数を基準周波数になるように調整する。又は、蒸着やスパッタ等により新たに金属材料を励振電極14a上に付着させることで、励振電極14aの質量を増大し、主振動の周波数を基準周波数になるように調整する。なお、電極および錘部が形成されたSCカット水晶振動片10を周波数調整装置(図示せず)内にセットして、リード電極16a,16bをプロービングして、主振動の周波数をモニタリングしながら、周波数調整を行う方法でも構わない。
次に、主振動周波数調整工程(Step3)では、図1および図2に示すように、電極および錘部が形成されたSCカット水晶振動片10をベース30に実装後、周波数調整装置(図示せず)内にセットする。その後、ベース30の外部端子42a,42bをプロービングして、主振動の周波数をモニタリングしながら、励振電極14a,14bにレーザー光を照射して励振電極14a,14bの一部を除去することで、励振電極14a,14bの質量を低減し、主振動の周波数を基準周波数になるように調整する。又は、蒸着やスパッタ等により新たに金属材料を励振電極14a上に付着させることで、励振電極14aの質量を増大し、主振動の周波数を基準周波数になるように調整する。なお、電極および錘部が形成されたSCカット水晶振動片10を周波数調整装置(図示せず)内にセットして、リード電極16a,16bをプロービングして、主振動の周波数をモニタリングしながら、周波数調整を行う方法でも構わない。
<温度特性測定工程(Step4)>
温度特性測定工程(Step4)では、主振動の周波数調整を行ったSCカット水晶振動片10(SCカット水晶振動子100)を恒温槽等にセットし、所定の温度範囲におけるSCカット水晶振動片10の周波数温度特性を測定する。
温度特性測定工程(Step4)では、主振動の周波数調整を行ったSCカット水晶振動片10(SCカット水晶振動子100)を恒温槽等にセットし、所定の温度範囲におけるSCカット水晶振動片10の周波数温度特性を測定する。
<周波数ディップの有無チェック工程(Step5)>
周波数ディップの有無チェック工程(Step5)では、温度特性測定工程(Step4)における周波数温度特性測定結果から、所定の温度範囲内に周波数ディップが有るか無いかをチェックし、周波数ディップが無い場合は製造を終了する。なお、周波数ディップが有る場合には次工程の錘部加工工程(Step6)を行う。
周波数ディップの有無チェック工程(Step5)では、温度特性測定工程(Step4)における周波数温度特性測定結果から、所定の温度範囲内に周波数ディップが有るか無いかをチェックし、周波数ディップが無い場合は製造を終了する。なお、周波数ディップが有る場合には次工程の錘部加工工程(Step6)を行う。
<錘部加工工程(Step6)>
錘部加工工程(Step6)は、本発明の第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法に相当する工程である。周波数ディップを有するSCカット水晶振動片10(SCカット水晶振動子100)を例えば前述した周波数調整装置(図示せず)にセットし、主振動の周波数近傍に発生し易い、例えば図5に示すような、第1の副振動の振動変位の大きい領域に位置する錘部20を周波数調整装置(図示せず)に備えられたレーザー等により除去する。このように、除去部22を設けることで、第1の副振動の周波数を主振動の周波数より高周波数側又は低周波数側に変動させ、主振動との結合による周波数ディップを低減する。
錘部加工工程(Step6)は、本発明の第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法に相当する工程である。周波数ディップを有するSCカット水晶振動片10(SCカット水晶振動子100)を例えば前述した周波数調整装置(図示せず)にセットし、主振動の周波数近傍に発生し易い、例えば図5に示すような、第1の副振動の振動変位の大きい領域に位置する錘部20を周波数調整装置(図示せず)に備えられたレーザー等により除去する。このように、除去部22を設けることで、第1の副振動の周波数を主振動の周波数より高周波数側又は低周波数側に変動させ、主振動との結合による周波数ディップを低減する。
なお、錘部加工工程(Step6)終了後は、再度、温度特性測定工程(Step4)に戻り、所定の温度範囲におけるSCカット水晶振動片10の周波数温度特性を測定する。その後、周波数ディップの有無チェック工程(Step5)で、周波数温度特性測定結果から、所定の温度範囲内に周波数ディップが有るか無いかをチェックし、周波数ディップが無い場合は製造を終了する。ここで、再度、周波数ディップが有る場合には次工程の錘部加工工程(Step6)を行い、周波数ディップが無くなるまで、温度特性測定工程(Step4)から錘部加工工程(Step6)を繰り返す。
以上の工程を経て、副振動の周波数を主振動の周波数から遠ざけて、副振動との結合による周波数ディップが低減されたSCカット水晶振動片10(SCカット水晶振動子100)が完成する。
<第2実施形態>
(振動片)
次に、本発明の第2実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子について、一例としてSCカット水晶振動子100aを挙げ、図10を参照して説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子の構成を示す概略平面図である。なお、図10において、SCカット水晶振動子100aの内部の構成を説明する便宜上、リッド60(図2参照)を取り外した状態を図示している。
(振動片)
次に、本発明の第2実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子について、一例としてSCカット水晶振動子100aを挙げ、図10を参照して説明する。
図10は、本発明の第2実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子の構成を示す概略平面図である。なお、図10において、SCカット水晶振動子100aの内部の構成を説明する便宜上、リッド60(図2参照)を取り外した状態を図示している。
本発明の第2実施形態に係る振動片としてのSCカット水晶振動片10aは、図1に示す第1実施形態に係るSCカット水晶振動片10と同様の構成であり、違いはSCカット水晶振動片10a上に形成されている錘部20aの形状が異なっている点である。
以下、第2実施形態に係るSCカット水晶振動片10aについて、前述した第1実施形態のSCカット水晶振動片10との相違点を中心に説明する。また、同様の構成には、同一符号を付してあり、同様の事項については、その説明を省略する。
以下、第2実施形態に係るSCカット水晶振動片10aについて、前述した第1実施形態のSCカット水晶振動片10との相違点を中心に説明する。また、同様の構成には、同一符号を付してあり、同様の事項については、その説明を省略する。
第2実施形態に係るSCカット水晶振動片10aは、複数の錘部20aがSCカット水晶振動片10aの主面12aに設けられている励振電極14aより外側の外周部18上に蒸着又はスパッタ等により形成されている。錘部20aは、例えば、図5において説明した第1の副振動の振動変位の大きい領域A1,A2,A3,A4と一致する位置に配置されている。そのため、第1の副振動の振動変位の大きい領域A1,A2,A3,A4の位置に錘部20aが付着されたことにより、第1の副振動の周波数を変動させることができる。よって、主振動の周波数近傍に生じる副振動の振動変位の大きい領域を有限要素法(FEM)等による振動解析によって求め、その位置に、金属材料等で構成された錘部20aを蒸着又はスパッタ等により形成することで、副振動の周波数を変動させ、主振動と副振動との結合による周波数ディップを低減することができる。
(振動片の製造方法)
次に、本発明の第2実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法について、振動片としてSCカット水晶振動片10aを一例として挙げ、図11を参照して説明する。
図11は、本発明の第2実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法を示す工程図である。
次に、本発明の第2実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法について、振動片としてSCカット水晶振動片10aを一例として挙げ、図11を参照して説明する。
図11は、本発明の第2実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法を示す工程図である。
本発明の第2実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法は、図9に示す第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法に比べ、Step2の電極および錘部形成工程が電極形成工程となり、Step6の錘部加工工程が錘部形成工程となっている。
本製造方法の電極形成工程(Step2)では、振動片外形形成工程(Step1)で作成したSCカット水晶基板の表裏の両主面12a,12bに、励振電極14a,14bおよびリード電極16a,16bのパターンが形成された金属マスクを用いて金(Au)等の金属材料を蒸着又はスパッタし、励振電極14a,14bおよびリード電極16a,16bを形成する。
本製造方法の電極形成工程(Step2)では、振動片外形形成工程(Step1)で作成したSCカット水晶基板の表裏の両主面12a,12bに、励振電極14a,14bおよびリード電極16a,16bのパターンが形成された金属マスクを用いて金(Au)等の金属材料を蒸着又はスパッタし、励振電極14a,14bおよびリード電極16a,16bを形成する。
その後、主振動周波数調整工程(Step3)と、温度特性測定工程(Step4)と、周波数ディップの有無チェック工程(Step5)と、を経て、所定の温度範囲内に周波数ディップが有る場合には、錘部形成工程(Step6)を行う。なお、錘部形成工程(Step6)は、本発明の第2実施形態に係る振動片の周波数調整方法に相当する工程である。錘部形成工程(Step6)において、周波数ディップを有するSCカット水晶振動片10(SCカット水晶振動子100)を例えば周波数調整装置(図示せず)にセットし、例えば図5に示すような振動変位の大きい領域に、その領域と同じ位置に錘部20aのパターンが形成された金属マスクでSCカット水晶振動片10を覆い、周波数調整装置(図示せず)に備えられた蒸着又はスパッタ装置等により金属材料等を付着させて錘部20aを形成する。このように、SCカット水晶振動片10に形成された励振電極14aの外周部18上に錘部20aを形成することで、第1の副振動の周波数を主振動の周波数より高周波数側又は低周波数側に変動させ、主振動との結合による周波数ディップを低減する。
また、錘部形成工程(Step6)終了後は、再度、温度特性測定工程(Step4)に戻り、所定の温度範囲におけるSCカット水晶振動片10aの周波数温度特性を測定する。その後、周波数ディップの有無チェック工程(Step5)で、周波数温度特性測定結果から、所定の温度範囲内に周波数ディップが有るか無いかをチェックし、周波数ディップが無い場合は製造を終了する。ここで、再度、周波数ディップが有る場合には次工程の錘部形成工程(Step6)を行い、周波数ディップが無くなるまで、温度特性測定工程(Step4)から錘部形成工程(Step6)を繰り返す。
以上の工程を経て、副振動の周波数を主振動の周波数から遠ざけて、副振動との結合による周波数ディップが低減されたSCカット水晶振動片10a(SCカット水晶振動子100a)が完成する。
<第3実施形態>
(振動片)
次に、本発明の第3実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子について、一例としてSCカット水晶振動子100bを挙げ、図12を参照して説明する。
図12は、本発明の第3実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子の構成を示す概略平面図である。なお、図12において、SCカット水晶振動子100bの内部の構成を説明する便宜上、リッド60(図2参照)を取り外した状態を図示している。
(振動片)
次に、本発明の第3実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子について、一例としてSCカット水晶振動子100bを挙げ、図12を参照して説明する。
図12は、本発明の第3実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子の構成を示す概略平面図である。なお、図12において、SCカット水晶振動子100bの内部の構成を説明する便宜上、リッド60(図2参照)を取り外した状態を図示している。
本発明の第3実施形態に係る振動片としてのSCカット水晶振動片10bは、図1に示す第1実施形態に係るSCカット水晶振動片10と同様の構成であり、違いはSCカット水晶振動片10b上に形成されている錘部20bがSCカット水晶振動片10bの外周部18上から外縁部19に亘って形成されている点である。
以下、第3実施形態に係るSCカット水晶振動片10bについて、前述した第1実施形態のSCカット水晶振動片10との相違点を中心に説明する。また、同様の構成には、同一符号を付してあり、同様の事項については、その説明を省略する。
以下、第3実施形態に係るSCカット水晶振動片10bについて、前述した第1実施形態のSCカット水晶振動片10との相違点を中心に説明する。また、同様の構成には、同一符号を付してあり、同様の事項については、その説明を省略する。
第3実施形態に係るSCカット水晶振動片10bは、錘部20bが励振電極14a,14bより外側の外周部18上と外縁部19に亘って形成されている。錘部20bには、前述した第1実施形態のSCカット水晶振動片10と同様の除去部22と外縁部19に亘って形成された錘部20bをレーザー等で除去した除去部22bが形成されている。輪郭系の振動に起因した副振動の振動変位は、SCカット水晶振動片10bの主面12a,12b上だけでなく、SCカット水晶振動片10bの外形寸法に起因する外縁部19で大きい。そのため、SCカット水晶振動片10bの外縁部19に形成された錘部20bを除去することにより、副振動の周波数を大きく変化させることができるため、周波数ディップの発生をより低減することができる。
(振動片の製造方法)
次に、本発明の第3実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法について、振動片としてSCカット水晶振動片10bを一例として挙げて説明する。
本発明の第3実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法は、図9に示す第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法に比べ、Step2の電極および錘部形成工程が異なっている。
次に、本発明の第3実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法について、振動片としてSCカット水晶振動片10bを一例として挙げて説明する。
本発明の第3実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法は、図9に示す第1実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法に比べ、Step2の電極および錘部形成工程が異なっている。
本製造方法の電極および錘部形成工程(Step2)では、振動片外形形成工程(Step1)で作成したSCカット水晶基板の表裏の両主面12a,12bに、励振電極14a,14b、リード電極16a,16b、および錘部20のパターンが形成された金属マスクを用いて金(Au)等の金属材料を蒸着又はスパッタする。その際、SCカット水晶基板の両主面12a,12bと直交する方向から金属材料を蒸着又はスパッタするのではなく、SCカット水晶基板の両主面12a,12bに対して約45度の角度を有する方向、所謂斜め方向から金属材料を蒸着又はスパッタする。この方法により、SCカット水晶振動片10bの外縁部19に錘部20bを形成することができる。
従って、第3実施形態に係る振動片の周波数調整方法として、SCカット水晶振動片10bの外縁部19に形成された錘部20bをレーザー等により除去することで、副振動の周波数を大きく変化させ、周波数ディップの発生をより低減している。
<第4実施形態>
(振動片)
次に、本発明の第4実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子について、一例としてSCカット水晶振動子100cを挙げ、図13を参照して説明する。
図13は、本発明の第4実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子の構成を示す概略平面図である。なお、図13において、SCカット水晶振動子100cの内部の構成を説明する便宜上、リッド60(図2参照)を取り外した状態を図示している。
(振動片)
次に、本発明の第4実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子について、一例としてSCカット水晶振動子100cを挙げ、図13を参照して説明する。
図13は、本発明の第4実施形態に係る振動片の周波数調整方法により製造した振動片を実装した振動子の構成を示す概略平面図である。なお、図13において、SCカット水晶振動子100cの内部の構成を説明する便宜上、リッド60(図2参照)を取り外した状態を図示している。
本発明の第4実施形態に係る振動片としてのSCカット水晶振動片10cは、図10に示す第2実施形態に係るSCカット水晶振動片10aと同様の構成であり、違いはSCカット水晶振動片10c上に形成されている錘部20cがSCカット水晶振動片10cの外周部18上から外縁部19に亘って形成されている点である。
以下、第4実施形態に係るSCカット水晶振動片10cについて、前述した第2実施形態のSCカット水晶振動片10aとの相違点を中心に説明する。また、同様の構成には、同一符号を付してあり、同様の事項については、その説明を省略する。
以下、第4実施形態に係るSCカット水晶振動片10cについて、前述した第2実施形態のSCカット水晶振動片10aとの相違点を中心に説明する。また、同様の構成には、同一符号を付してあり、同様の事項については、その説明を省略する。
第4実施形態に係るSCカット水晶振動片10cは、複数の錘部20a,20cがSCカット水晶振動片10cの主面12aに設けられている励振電極14aより外側の外周部18上と、外周部18上から外縁部19に亘る位置と、に蒸着又はスパッタ等により形成されている。錘部20aは、図5において説明した第1の副振動の振動変位の大きい領域A3,A4と一致する位置に、錘部20cは領域A1,A2と一致する位置に、それぞれ配置されている。そのため、第1の副振動の振動変位の大きい領域A1,A2,A3,A4の位置に錘部20a,20cが付着されているため、第1の副振動の周波数を変動させることができる。よって、主振動と副振動との結合による周波数ディップを低減することができる。
(振動片の製造方法)
次に、本発明の第4実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法について、振動片としてSCカット水晶振動片10cを一例として挙げて説明する。
本発明の第4実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法は、図11に示す第2実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法に比べ、Step6の錘部形成工程が異なっている。
次に、本発明の第4実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法について、振動片としてSCカット水晶振動片10cを一例として挙げて説明する。
本発明の第4実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法は、図11に示す第2実施形態に係る振動片の周波数調整方法を含む振動片の製造方法に比べ、Step6の錘部形成工程が異なっている。
本製造方法の錘部形成工程(Step6)では、SCカット水晶振動片10c(SCカット水晶振動子100c)を例えば周波数調整装置(図示せず)にセットし、錘部20a,20cのパターンが形成された金属マスクでSCカット水晶振動片10cを覆い、周波数調整装置(図示せず)に備えられた蒸着又はスパッタ装置等により金(Au)等の金属材料を振動変位の大きい領域に付着させて錘部20a,20cを形成する。なお、金属材料を蒸着又はスパッタする際に、SCカット水晶振動片10cの主面12aと直交する方向から金属材料を蒸着又はスパッタするのではなく、SCカット水晶振動片10cの主面12aに対して約45度の角度を有する方向、所謂斜め方向から金属材料を蒸着又はスパッタする。この方法により、SCカット水晶振動片10cの外縁部19に錘部20cを形成することができる。
従って、輪郭系の振動に起因した副振動の振動変位がSCカット水晶振動片10cの外形寸法に起因する外縁部19で大きいため、SCカット水晶振動片10cの外縁部19の領域に蒸着又はスパッタ等により錘部20a,20cを付着することで、副振動の周波数を大きく変化させることができ、周波数ディップの発生をより低減することができる。よって、錘部形成工程(Step6)が本発明の第4実施形態に係る振動片の周波数調整方法に相当する工程である。
以上、本発明の実施形態に係る振動片(SCカット水晶振動片10,10a,10b,10c)、SCカット水晶振動子100,100a,100b,100cについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。例えば、SCカット水晶振動片10,10a,10b,10cに代わり、厚み滑り振動を主振動とする2回回転Yカット系のITカット水晶振動片や1回回転Yカット系のATカット水晶振動片又はBTカット水晶振動片であっても構わない。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
10,10a…振動片としてのSCカット水晶振動片、12a,12b…主面、14a,14b…励振電極、16a,16b…リード電極、18…外周部、19…外縁部、20,20a,20b,20c…錘部、22,22b…除去部、30…ベース、32…第1基板、34…第2基板、36…支持部、38a,38b…電極パッド、40a,40b…配線、42a,42b…外部端子、44…キャビティー、50…ボンディングワイヤー、52…接合部材、60…リッド、62…封止部材、100,100a,100b,100c…SCカット水晶振動子、A1,A2,A3,A4,B1…領域。
Claims (5)
- 振動片の互いに表裏の関係にある表裏の主面の各々に励振電極が設けられ、
前記励振電極の外周部より外側で前記振動片の外縁部との間に錘部が設けられ、
主振動と副振動とで振動する振動片において、
前記錘部の少なくとも一部を除去する又は付着させることにより、
前記振動片の前記副振動の周波数を調整することを特徴とする振動片の周波数調整方法。 - 請求項1に記載の振動片の周波数調整方法において、
前記錘部をレーザーで除去することを特徴とする振動片の周波数調整方法。 - 請求項1に記載の振動片の周波数調整方法において、
前記錘部を蒸着又はスパッタで付着させることを特徴とする振動片の周波数調整方法。 - 請求項1に記載の振動片の周波数調整方法において、
前記主振動は、厚み滑り振動モードであることを特徴とする振動片の周波数調整方法。 - 請求項1に記載の振動片の周波数調整方法において、
前記振動片は、SCカット水晶振動片であることを特徴とする振動片の周波数調整方法。
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