JP2016167371A - 電極前駆体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電池を容易に製造でき、電極形成時の自由度がより高く、材料を無駄なく使用する方法を提供する。
【解決手段】 活物質とポリマーとを含む電極前駆体であって、上記電極前駆体は、溶媒含有量が0.1質量%以下であり、集電体に接するように配置して活物質層を形成するために用いられる電極前駆体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極前駆体に関する。より詳しくは、特に亜鉛負極を含む電池に好適に用いることができる電極前駆体、該電極前駆体を用いて構成される電極、該電極を用いて構成される電池、これらの製造方法に関する。
近年、小型携帯機器から自動車等大型用途まで多くの産業において、電池の重要性が急速に高まっており、主にその容量、エネルギー密度や二次電池化(蓄電池化)の面において優位性を持つ新たな電池系が種々開発・改良されている。
これら多様な電池の中で、亜鉛種を負極活物質とし、亜鉛負極が、電池の普及とともに古くから研究されてきた。亜鉛負極を用いる電池としては、一次電池、二次電池、空気電池等が挙げられ、例えば、正極活物質に空気中の酸素を用いる空気・亜鉛電池(正極が正極活物質を保持しない)、正極活物質にニッケル含有化合物を用いるニッケル・亜鉛電池、正極活物質にマンガン含有化合物を用いるマンガン・亜鉛電池や亜鉛イオン電池、正極活物質に酸化銀を使用する銀・亜鉛電池等が研究及び開発され、特に、空気・亜鉛一次電池、マンガン・亜鉛一次電池、銀・亜鉛一次電池は実用化され、広く世界で使用されている。
亜鉛負極を用いて構成される二次電池は、安価であり、エネルギー密度が高いことから、広く世界で使用されることが期待されるところである。
二次電池(蓄電池)においては、正極と負極のそれぞれが、通常、活物質と呼ばれる電気化学反応を生じる原材料を備える。活物質の量が充放電できる容量となる。このような二次電池等の電池を構成する際、まず集電体が用意され、そこにスラリー状又はペースト状に調製された活物質を含む混合物を集電体に塗布又は圧延にて貼り付ける。最後に、セパレータを介して正極と負極を対面させ、電解液を注入することで二次電池等の電池が構成される(例えば、特許文献1参照。)。
国際公開第2013/27767号
上記のとおり、亜鉛負極等の従来の電極は、集電体と活物質とを電気的に充分に接触させるために、スラリー状又はペースト状(以下、スラリー状等とも言う。)の電極前駆体を集電体上に塗布した後に圧延ロール等でプレスして成形したり、当該電極前駆体を金属発泡体である集電体の孔に含浸して成形したりして構成される。スラリー状又はペースト状は、不安定な状態であるため、保管する間に固形物質の沈降や、水分の蒸発による固化といった経時的変化が生じる。これを防ぐため、スラリー状等の電極前駆体を調製後、速やかに集電体に塗布等されることが一般的である。
以上のことから、二次電池等の電池を組み立てるためには、電池の組立設備だけではなく、スラリー状等の電極前駆体の調製から電極の形成までを一貫して行うための設備や原材料・人員・時間等の各種資源が必要であった。また、電極形成後においては、得られる活物質層と集電体とが容易に分離できなかった。したがって、電池の設計に応じて活物質層を様々な寸法にあわせるときは、活物質層を集電体と共にカットすることとなり、不要な部分の活物質だけを集めてリサイクルすることは困難であった。また、従来は、活物質層部分だけで商品として流通されていなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、電池を容易に製造でき、電極形成時の自由度がより高く、材料を無駄なく使用する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、電池を容易に製造でき、電極形成時の自由度がより高く、材料を無駄なく使用する方法を種々検討し、電極の活物質層を形成する材料となる電極前駆体に着目した。
本発明者は、溶媒含有量が0.1質量%以下である電極前駆体とし、この電極前駆体を集電体に接するように配置して電極を構成することとした。本発明者は、溶媒含有量が0.1質量%以下である電極前駆体を集電体に接するように配置すれば、集電体と活物質とが電気的に接触することで電極として機能でき、優れた充放電特性を有する電池を製造できることを見出した。
そして、本発明者は、溶媒含有量が0.1質量%以下の電極前駆体が、固体状態で安定化されたものであるため、従来のスラリー状等の電極前駆体とは異なり、保管しても上述した経時的変化が無く、調製後速やかに集電体と一体化させて電極を形成する必要が無いことを見出した。その結果、スラリー状等の電極前駆体の調製から電極の形成(集電体との一体化)までを一貫して行うための設備や各種資源が必要なくなる。また、電極形成時に集電体を自由に選ぶことができ、更に、必要に応じて電極前駆体を重ね合わせることもでき、その結果、得られる電極の各種性能を適宜調整することが可能となる。そして、電極形成時に、電池の設計に応じて活物質層部分だけを所望のサイズにカットすることができ、不要な部分をカットした際に発生する切れ端等を収集して再度成形し直すことで容易にリサイクルすることも可能であり、電極前駆体を無駄なく使い切ることができる。また、上記のように固体状態で安定化された電極前駆体は、集電体と一体化されないまま活物質層部分だけで流通されるものである。本発明者は、上記の利点を見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、活物質とポリマーとを含む電極前駆体であって、上記電極前駆体は、溶媒含有量が0.1質量%以下であり、集電体に接するように配置して活物質層を形成するために用いられる電極前駆体である。
本発明はまた、集電体と活物質層とを含んで構成される電極であって、上記活物質層は、本発明の電極前駆体を集電体に接するように配置して形成される電極である。
本発明は更に、本発明の電極を用いて構成される電池である。
本発明はそして、集電体と活物質層とを含んで構成される電極を製造する方法であって、上記方法は、活物質とポリマーとを含み、溶媒含有量が0.1質量%以下である電極前駆体を集電体に接するように配置して該電極を構成する工程を含む電極の製造方法である。
本発明はまた、電池を製造する方法であって、上記方法は、活物質とポリマーとを含み、溶媒含有量が0.1質量%以下である電極前駆体を集電体に接するように配置して、集電体と活物質層とを含んで構成される電極を構成する工程、及び、上記電極を用いて電池を構成する工程を含む電池の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
<電極前駆体>
本発明の電極前駆体は、溶媒含有量が0.1質量%以下であることを特徴とする。
本発明の電極前駆体は、溶媒含有量が0.05質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが更に好ましい。上記溶媒含有量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
上記溶媒含有量とは、電極前駆体全体100質量%中の溶媒の含有量を意味する。
上記溶媒含有量は、本発明の電極前駆体を加熱等による乾燥工程を経て調製した場合は、乾燥工程により溶媒成分が蒸発した後に残った溶媒の質量を算出し、当該溶媒の質量の、電極前駆体全体の質量に対する百分率として算出することができる。
本発明の電極前駆体が含む溶媒としては、水;エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、ブタノール、酢酸ブチル、N−メチルピロリドン等の有機溶媒が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の電極前駆体は、集電体上に接するように配置して用いるものであり、集電体をもたないものである。
集電体とは、電池を構成したときに、正極及び負極のそれぞれにおいて、活物質層よりも、正極と負極とが電気的に接続される経路側に配置される集電体を言う。
本発明の電極前駆体は、成形体であり、その形状は、電池の設計に応じて活物質層として好適な形状とすることができ、特に限定されないが、例えば柱状であることが好ましく、角柱状であることがより好ましく、ブロック状(直方体形状)であることが更に好ましい。
本発明の電極前駆体は、集電体をもたず、通常、電気抵抗が1×10Ωcm以上であるが、集電体上に接するように配置して用いるものである限り、電気抵抗の下限は特に限定されず、例えば後述する導電助剤を含み、電気抵抗が1×10Ωcm未満となるものであっても構わない。電極としての導電性能を発揮する観点からは、該電気抵抗は、例えば、1×10Ωcm以下であることが好ましく、1×10Ωcm以下であることがより好ましい。
上記電気抵抗は、テスターにより測定されるものである。
本発明の電極前駆体は、真密度に対するみかけ密度の割合が、20%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。また、該真密度に対するみかけ密度の割合は、90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましい。
本発明の電極前駆体が含むポリマーとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等の炭化水素部位含有ポリマー、ポリスチレン等に代表される芳香族基含有ポリマー;アルキレングリコール等に代表されるエーテル基含有ポリマー;ポリビニルアルコールやポリ(α−ヒドロキシメチルアクリル酸塩)等に代表される水酸基含有ポリマー;ポリアミド、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンやN−置換ポリアクリルアミド等に代表されるアミド結合含有ポリマー;ポリマレイミド等に代表されるイミド結合含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリメチレングルタル酸等に代表されるカルボキシル基含有ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸塩、ポリマレイン酸塩、ポリイタコン酸塩、ポリメチレングルタル酸塩等に代表されるカルボン酸塩含有ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有ポリマー;エポキシ樹脂等のエポキシ基が開環することにより結合したポリマー;スルホン酸塩部位含有ポリマー;ARB(Aは、N又はPを表す。Bは、ハロゲンアニオンやOH等のアニオンを表す。R、R、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜7のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルカルボキシル基、芳香環基を表す。R、R、Rは、結合して環構造を形成してもよい。)で表される基が結合したポリマーに代表される第四級アンモニウム塩や第四級ホスホニウム塩含有ポリマー;陽イオン・陰イオン交換膜等に使用されるイオン交換性重合体;天然ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR)等に代表される人工ゴム;セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、キチン、キトサン、アルギン酸(塩)等に代表される糖類;ポリエチレンイミンに代表されるアミノ基含有ポリマー;カルバメート基部位含有ポリマー;カルバミド基部位含有ポリマー;エポキシ基部位含有ポリマー;複素環、及び/又は、イオン化した複素環部位含有ポリマー;ポリマーアロイ;ヘテロ原子含有ポリマー;低分子量界面活性剤などが挙げられる。これらのポリマーは、電極前駆体のバインダーとしてはたらき、例えば得られる電極においてクラックの発生を防止できる。
本発明の電極前駆体が含むポリマーとしては、上記のものの中でも、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種を含有するポリマーが好ましい。カルボキシル基の代りにカルボン酸塩を有するポリマーも好ましい。より好ましくは、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素含有ポリマーである。フッ素含有ポリマーを用いると、活物質及びポリマーを混錬する際に、ペースト化しやすくなり、扱いやすくなる。また、ポリマーの繊維化が促進されるため、得られる電極においてクラックの発生を防止できる効果が顕著なものとなる。
ポリマーはその構成単位に該当するモノマーより、ラジカル重合、ラジカル(交互)共重合、アニオン重合、アニオン(交互)共重合、カチオン重合、カチオン(交互)共重合、グラフト重合、グラフト(交互)共重合、リビング重合、リビング(交互)共重合、分散重合、乳化重合、懸濁重合、開環重合、環化重合、光、紫外線や電子線照射による重合、メタセシス重合、電解重合等により得ることができる。これらポリマーが官能基を有する場合には、それを主鎖及び/又は側鎖に有していても良く、架橋剤との結合部位として存在しても良い。これらポリマーは、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記ポリマーは、層状複水化合物や、それ以外の有機架橋剤化合物により、エステル結合、アミド結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、アゴスチック相互作用、水素結合、アセタール結合、ケタール結合、エーテル結合、ペルオキシド結合、炭素−炭素結合、炭素−窒素結合、炭素−酸素結合、炭素−硫黄結合、カルバメート結合、チオカルバメート結合、カルバミド結合、チオカルバミド結合、オキサゾリン部位含有結合、トリアジン結合等を介して、架橋されていてもよい。
上記ポリマーは、重量平均分子量が、200〜7000000であることが好ましい。これにより、電極前駆体のイオン伝導性や可とう性等を調節することができる。ポリマーの重量平均分子量は、より好ましくは、400〜6500000であり、更に好ましくは、500〜5000000である。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
上記電極前駆体におけるポリマーの割合としては、電極前駆体が含む活物質及びポリマー(固形分)の合計100質量%に対して、0.1〜30質量%であることが好ましい。該ポリマーの割合は、より好ましくは、0.3〜15質量%であり、更に好ましくは、0.5〜10質量%であり、特に好ましくは、1〜5質量%である。
なお、本発明の電極前駆体を、圧延により脱水時に生じる空隙を減らして高密度化した場合は、得られる電極において空隙に起因するクラックの発生をより抑制できることから、電極前駆体中の上記ポリマーの割合を小さくして(例えば、3質量%未満として)導電性能を高めた形態が一層好ましいものとなる。
本発明の電極前駆体が含む電極活物質は、亜鉛種又はカドミウム種を含むことが好ましい。本発明の電極前駆体は、これらの金属種を活物質として含む場合に、電極前駆体から形成される活物質層と集電体とを一体化することができ、優れた充放電特性を有する電池を製造できる。なお、ここで、金属種とは、金属単体又は金属化合物を意味する。
カドミウム種としては、金属カドミウム単体が挙げられ、亜鉛種としては、下記のものが挙げられる。
本発明の電極前駆体が含む活物質は、亜鉛種であることが好ましい。これにより、亜鉛種を含む電極前駆体を集電体に接するように配置して形成される電極は、亜鉛が充放電等の過程でイオン化し、移動できるため、当初集電体と活物質層との間に隙間があっても、隙間が埋まって密着性が高くなる。これにより、優れた充放電特性を有する電池を製造できる。亜鉛負極は、デンドライトが析出するといった独自の性質を有するが、一方で、電池の使用中に活物質層と集電体とを一体化できる性質を有し、活物質と集電体とを圧延等により予め密着させることが重要ではない。本発明を亜鉛負極に適用した場合、当該性質を有効に活用できる。なお、亜鉛負極以外にも、電池中で使用したときに活物質がイオン化して溶解・析出する電極(例えば、カドミウム負極)であれば同様に活物質層と集電体とを一体化できる。
本発明の電極前駆体が含む亜鉛種としては、金属亜鉛単体の他、亜鉛含有化合物は、活物質として用いることができるものであればよく、例えば、酸化亜鉛(JIS K1410(2006年)に規定する1種/2種/3種)や、水酸化亜鉛・硫化亜鉛・テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ金属塩・テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ土類金属塩・亜鉛ハロゲン化合物・亜鉛カルボキシラート化合物・亜鉛合金・亜鉛固溶体・ホウ酸亜鉛・リン酸亜鉛・リン酸水素亜鉛・ケイ酸亜鉛・アルミン酸亜鉛・炭酸化合物・炭酸水素化合物・硝酸化合物・硫酸化合物等に代表される周期表の第1族〜第17族に属する元素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を有する亜鉛(合金)化合物、有機亜鉛化合物、亜鉛化合物塩等が挙げられる。
これらの中でも、酸化亜鉛(JIS K1410(2006年)に規定する1種/2種/3種)、水酸化亜鉛、テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ金属塩、テトラヒドロキシ亜鉛アルカリ土類金属塩、亜鉛ハロゲン化合物、亜鉛カルボキシラート化合物、亜鉛合金、亜鉛固溶体、ホウ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ケイ酸亜鉛、アルミン酸亜鉛、炭酸亜鉛、周期表の第1族〜第17族に属する元素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を有する亜鉛(合金)化合物がより好ましい。上記亜鉛合金は、(アルカリ)乾電池や空気電池に使用される亜鉛合金であってもよい。上記亜鉛含有化合物は、1種でも2種以上でも使用することができる。
上記活物質として用いる亜鉛種は、平均粒子径が1nm〜500μmであることが好ましい。より好ましくは5nm〜200μmであり、更に好ましくは10nm〜100μmであり、特に好ましくは、10nm〜60μmである。
亜鉛種の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
本発明の電極前駆体が活物質として含む金属種の割合は、電極前駆体が含む活物質及びポリマー(固形分)の合計100質量%に対して、50〜99.9質量%であることが好ましい。活物質の割合がこのような範囲であると、電極前駆体を用いて形成される電極が、電池容量の点でもより充分なものとなる。該金属種の割合は、より好ましくは、55〜99.5質量%であり、更に好ましくは、60〜99質量%である。
本発明の電極前駆体は、これを用いて作成した二次電池等の電池で水含有電解液を使用した場合に生じるおそれのある水の分解副反応を抑制するために、元素の単体又はこれらの元素を構成元素とする化合物を含ませたものであってもよい。特定の元素としては、Al、B、Ba、Bi、Br、C、Ca、Cd、Ce、Cl、Cu、Eu、F、Ga、Hg、In、La、Mg、Mn、N、Nb、Nd、Ni、P、Pb、S、Sb、Sc、Si、Sm、Sn、Sr、Ti、Tl、Y、Zr等が挙げられる。
本発明の電極前駆体は、更に導電助剤を含むことが好ましい。導電助剤を含むことで、電極前駆体を用いて形成される活物質層の導電性能が高くなり、活物質層に含まれる活物質を有効に利用して電池の容量を更に高めることができる。
上記導電助剤としては、例えば、導電性カーボン、導電性セラミックス、亜鉛・亜鉛末・亜鉛合金・(アルカリ)(蓄)乾電池や空気電池に使用される亜鉛(以下、纏めて金属亜鉛とも称する)、銅・真鍮・ニッケル・銀・ビスマス・インジウム・鉛・錫等の金属等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記導電性カーボンとしては、天然黒鉛・人造黒鉛等の黒鉛、グラッシーカーボン、アモルファス炭素、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、カーボンナノフォーム、活性炭、グラフェン、ナノグラフェン、グラフェンナノリボン、フラーレン、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、ケッチェンブラック、気相法炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ、金属によりコートしたカーボン、カーボンコートした金属、ファイバー状カーボン、ホウ素含有カーボン、窒素含有カーボン、多層/単層カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、バルカン、アセチレンブラック、酸素含有官能基を導入することにより親水処理したカーボン、SiCコートカーボン、分散・乳化・懸濁・マイクロサスペンジョン重合等により表面処理したカーボン、マイクロカプセルカーボン等が挙げられる。
上記導電性セラミックスとしては、例えば、酸化亜鉛と共に焼成したBi、Co、Nb、及び、Yから選ばれる少なくとも1種を含有する化合物等が挙げられる。
上記導電助剤の中でも、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、グラフェン、カーボンブラック、黒鉛化カーボンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、メソカーボンマイクロビーズ、ファイバー状カーボン、多層/単層カーボンナノチューブ、バルカン、アセチレンブラック、酸素含有官能基を導入することにより親水処理したカーボン、金属亜鉛、銅・真鍮・ニッケル・銀・ビスマス・インジウム・鉛・錫等の金属が好ましい。なお、金属亜鉛はアルカリ(蓄)電池や空気電池のような実電池に使用されるものであってもよく、表面を他元素やカーボン等で処理されたものであってもよいし、合金化されていてもよい。固溶体であってもよい。上記導電助剤は、1種でも2種以上でも使用することができる。
上記金属亜鉛は活物質としても働くことが可能である。言い換えれば、電池の使用の過程で、導電助剤である金属亜鉛は酸化還元反応をおこなって活物質としても機能する。なお、同様に、電池の使用の過程で、活物質である亜鉛含有化合物から生成する金属亜鉛は導電助剤としても機能する。負極等の電極の調製段階で合剤として加える金属亜鉛及び亜鉛含有化合物は、電池の使用の過程では、活物質かつ導電助剤として実質的に機能する。
上記導電助剤には、水含有電解液を使用した場合の水の分解副反応を抑制するため、上述した特定の元素と同様の元素の単体又はこれらの元素を構成元素とする化合物を含ませたものであってもよい。導電性カーボンを導電助剤の一つとして使用する場合には、特定の元素としては、Al、B、Ba、Bi、C、Ca、Cd、Ce、Cu、F、Ga、In、La、Mg、Mn、N、Nb、Nd、Ni、P、Pb、S、Sb、Sc、Si、Sn、Ti、Tl、Y、Zrが好ましい。
上記導電助剤の電極前駆体中の含有割合は、電極前駆体中の活物質100質量%に対して、0.0001〜100質量%であることが好ましい。導電助剤の含有割合がこのような範囲であると、活物質層を含んで構成される電極を電池に用いた場合に、より良好な電池性能を発揮する。より好ましくは、0.0005〜60質量%であり、更に好ましくは、0.001〜40質量%である。
なお、電極前駆体の成分として金属亜鉛を使用する場合には、金属亜鉛は活物質ではなく、導電助剤として考えて計算する。また、亜鉛種を活物質とする本発明の電極前駆体では、亜鉛含有化合物である酸化亜鉛や水酸化亜鉛等から電池の使用の過程で生成する金属亜鉛は、系中で導電助剤としての機能も果たすことになるが、電極前駆体や電極(亜鉛負極)調製時には0価の金属亜鉛ではないため、ここでは導電助剤と考えず、活物質と考えて計算する。すなわち、上記活物質、導電助剤の好ましい含有割合は、電極前駆体や電極(亜鉛負極)調製時における亜鉛含有化合物は活物質として考え、金属亜鉛は導電助剤として考えて計算する。
本発明の電極前駆体は、亜鉛種、ポリマー、溶媒以外のその他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。
その他の成分は、特に限定されないが、例えば、アルミナ、シリカ、導電性セラミックス等が挙げられる。その他の成分は、イオン伝導性を補助する等の働きが可能である。
本発明の電極前駆体は、上述した電極前駆体の各種成分を混錬してスラリー状等の電極前駆体とし、これを脱水・圧延等し、必要に応じてオーブン等で加熱して調製することができる。このように、本発明の電極前駆体は、圧延工程を経て得られたものであることが好ましい。なお、圧延により、電極前駆体中において脱水時に生じる空隙を減少させ、高密度化し、これにより得られる電極において空隙に起因するクラックの発生を抑制できる。脱水・圧延は、不織布を介して行ってもよい。
<電極>
本発明はまた、集電体と活物質層とを含んで構成される電極であって、上記活物質層は、上述した本発明の電極前駆体を集電体に接するように配置して形成される電極でもある。
「電極前駆体を集電体に接するように配置して活物質層を形成する」は、後述するとおりである。
本発明の電極前駆体を用いて形成される電極は、従来のものよりも容易に形成することができる。
本発明の電極が含む活物質層は、厚みが0.1mm以上であることが好ましく、0.2mm以上であることがより好ましく、0.3mm以上であることが更に好ましい。また、該活物質層の厚みは、10mm以下であることが好ましい。
なお、ここでいう活物質層の厚みは、活物質層全体の厚みを意味し、複数の電極前駆体が積層して形成された構造の活物質層の場合、当該活物質層全体の厚みを意味する。なお、本発明の電極が含む活物質層は、集電用の導電部材を含まない電極前駆体を重ね合わせて形成することができる等、形成時の自由度が高いため、例えば、活物質層の厚みが厚く容量の大きな電極を容易に形成することができる。
活物質層の厚みは、マイクロメーター等により測定することができる。
本発明の電極が含む活物質層の好ましい形状は、上述した本発明の電極前駆体の好ましい形状と同様である。
本発明の電極が含む活物質層は、1つの電極前駆体のみから形成された構造であってもよく、複数の電極前駆体が積層して形成された構造であってもよい。
複数の電極前駆体が積層して形成された構造の活物質層においては、それぞれの電極前駆体の各種成分の種類・割合は、同じであってもよく、異なっていてもよい。必要であれば、特定の成分の割合が異なる複数の電極前駆体を積層させることにより、活物質層の厚み方向に当該成分割合の分布がある活物質層を作製することも可能である。
本発明の電極を構成する集電体としては、(電解)銅箔、銅メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡銅、パンチング銅、真鍮等の銅合金、真鍮箔、真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)、発泡真鍮、パンチング真鍮、ニッケル箔、耐食性ニッケル、ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)、パンチングニッケル、金属亜鉛、耐食性金属亜鉛、亜鉛箔、亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)、(パンチング)鋼板、導電性を付与した不織布;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等を添加した(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅・真鍮等の銅合金・真鍮箔・真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡真鍮・パンチング真鍮・ニッケル箔・耐食性ニッケル・ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)・パンチングニッケル・金属亜鉛・耐食性金属亜鉛・亜鉛箔・亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)・(パンチング)鋼板・不織布;Ni・Zn・Sn・Pb・Hg・Bi・In・Tl・真鍮等によりメッキされた(電解)銅箔・銅メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡銅・パンチング銅・真鍮等の銅合金・真鍮箔・真鍮メッシュ(エキスパンドメタル)・発泡真鍮・パンチング真鍮・ニッケル箔・耐食性ニッケル・ニッケルメッシュ(エキスパンドメタル)・パンチングニッケル・金属亜鉛・耐食性金属亜鉛・亜鉛箔・亜鉛メッシュ(エキスパンドメタル)・(パンチング)鋼板・不織布;銀;アルカリ(蓄)電池や空気亜鉛電池に集電体や容器として使用される材料等が挙げられる。
<電極の製造方法>
本発明は更に、集電体と活物質層とを含んで構成される電極を製造する方法であって、上記方法は、活物質とポリマーとを含み、溶媒含有量が0.1質量%以下である電極前駆体を集電体に接するように配置して該電極を構成する工程を含む電極の製造方法でもある。
上記「電極前駆体を集電体に接するように配置して該電極を構成する」は、本明細書中、上記電極前駆体を集電体上に塗工・圧着・接着・圧電・圧延・延伸・溶融等したりする必要はなく、固体状態の電極前駆体の少なくとも一部が集電体の少なくとも一部に接触するように配置すればよい。これにより、活物質と集電体とが電気的に接続され、電池を駆動できる電極を形成できる。本発明の電極が、複数の電極前駆体が積層して形成された構造のものである場合も、結着材等を用いる等して電極前駆体間を結着させる必要はなく、本発明の電極前駆体を複数重ね合わせればよい。
なお、本発明の電極前駆体を集電体上に圧着等して活物質層を形成したり、結着材等を用いる等して電極前駆体間を結着したりしても構わない。
上記電極前駆体を集電体に接するように配置する際に、電極前駆体の集電体に接する部分(電極前駆体が直方体形状等の柱状である場合は、底面積)が、集電体の電極前駆体に接する部分よりも大きいときは、本発明の電極前駆体をカットして容易にサイズ調整することができる。電極前駆体の集電体に接する部分の面積は、電池の設計に応じて適宜決定することができる。
なお、カット時に発生した切れ端等の部材は、公知の方法で粉砕し、水等の溶媒を加えて再度混錬し、その後、必要に応じて脱水・圧延等することにより、再度本発明の電極前駆体を得ることができる。
<電池>
本発明はそして、上述した本発明の電極を用いて構成される電池でもある。
上述したとおり、本発明の電池は、本発明の電極を用いて構成されることにより、充分に駆動できるとともに、容易に製造でき、また、組立時の自由度が高いものである。
本発明の電池が、亜鉛種を活物質とする亜鉛負極として本発明の電極を含む電池である場合、正極活物質としては、一次電池や二次電池の正極活物質として通常用いられるものを用いることができ、特に制限されないが、例えば、酸素(酸素が正極活物質となる場合、正極は、酸素の還元や水の酸化が可能なペロブスカイト型化合物、コバルト含有化合物、鉄含有化合物、銅含有化合物、マンガン含有化合物、白金含有化合物等より構成される空気極となる)、オキシ水酸化ニッケル、水酸化ニッケル、コバルト含有水酸化ニッケル等のニッケル化合物、酸化銀などが挙げられる。これらの中でも、例えば、正極活物質がニッケル化合物であることが好ましい。
また、正極活物質が酸素であることもまた好ましい。上述したとおり、本発明の電極が含む活物質層は、集電用の導電部材を含まない電極前駆体を重ね合わせて形成することができる等、形成時の自由度が高いため、容易に活物質層の厚みを厚くすることができる。したがって、本発明の電池が、容量を大きくするために負極活物質の厚みを厚くすることが求められる亜鉛空気電池であることが好ましい。言い換えれば、本発明の電池が空気亜鉛電池であることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
また、本発明の電極を負極として使用した電池の形態としては、一次電池、充放電が可能な二次電池、メカニカルチャージ(亜鉛負極の機械的な交換)の利用、本発明の負極と上述したような正極活物質より構成される正極とは別の第3極の利用等、いずれの形態であっても良い。
本発明の電池に用いる電解液としては、蓄電池の電解液として通常用いられるものを用いることができ、特に制限されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエトキシエタン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、イオン性液体、フッ素含有カーボネート類、フッ素含有エーテル類、ポリエチレングリコール類、フッ素含有ポリエチレングリコール類等が挙げられる。上記有機溶剤系電解液は、1種でも2種以上でも使用することができる。水系電解液としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、硫酸亜鉛水溶液、硝酸亜鉛水溶液、リン酸亜鉛水溶液、酢酸亜鉛水溶液等などが挙げられる。これらの中でも、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液といったアルカリ性電解質が好ましい。上記水系電解液は、1種でも2種以上でも使用することができる。水系電解液は、上記有機溶剤系電解液を含んでいてもよい。
本発明の電池としては、更に、セパレータを使用することもできる。セパレータは、正極と負極を隔離し、電解液を保持して正極と負極との間のイオン伝導性を確保する部材であればよい。セパレータとして特に制限はないが、不織布、濾紙、ポリエチレンやポリプロピレン等の炭化水素部位含有ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン部位含有ポリマー、ポリフッ化ビニリデン部位含有ポリマー、セルロース、フィブリル化セルロース、ビスコースレイヨン、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール含有ポリマー、セロファン、ポリスチレン等の芳香環部位含有ポリマー、ポリアクリロニトリル部位含有ポリマー、ポリアクリルアミド部位含有ポリマー、ポリハロゲン化ビニル部位含有ポリマー、ポリアミド部位含有ポリマー、ポリイミド部位含有ポリマー、ナイロン等のエステル部位含有ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸部位含有ポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸塩部位含有ポリマー、ポリイソプレノールやポリ(メタ)アリルアルコール等の水酸基含有ポリマー、ポリカーボネート等のカーボネート基含有ポリマー、ポリエステル等のエステル基含有ポリマー、ポリウレタン等のカルバメートやカルバミド基部位含有ポリマー、寒天、ゲル化合物、有機無機ハイブリッド(コンポジット)化合物、イオン交換膜性ポリマー、環化ポリマー、スルホン酸塩含有ポリマー、第四級アンモニウム塩含有ポリマー、第四級ホスホニウム塩ポリマー、環状炭化水素基含有ポリマー、エーテル基含有ポリマー、セラミックス等の無機物等が挙げられる。セパレータはこれらのうちの1種であってもよく、2種以上であってもよい。
<電池の製造方法>
本発明はまた、電池を製造する方法であって、上記方法は、活物質とポリマーとを含み、溶媒含有量が0.1質量%以下である電極前駆体を集電体に接するように配置して、集電体と活物質層とを含んで構成される電極を構成する工程、及び、上記電極を用いて電池を構成する工程を含む電池の製造方法でもある。
上記電極を用いて電池を構成する工程は、活物質と集電体との接触が維持される限り、公知の方法を適宜用いることができる。例えば、集電体上に本発明の電極前駆体を1つ以上重ね合わせ、その上にセパレータ、正極を重ね合わせ、適切なサイズの電池セルに挿入して活物質と集電体との接触を維持し、電解質溶液を電池セル中に導入して電池を作製することができる。
なお、本発明の電池の製造方法における電極を構成する工程は、上述した本発明の電極の製造方法と同様である。
本発明の電極前駆体は、上述の構成よりなり、集電体と一体化させることなく保管できるため、電極前駆体の調製から集電体との一体化までを一貫して行う必要がなく、そのための設備や資源が必要ない。また、本発明の電極前駆体は、集電体と一体化されていないため、電極形成時に集電体を自由に選ぶことができ、また、必要に応じて電極前駆体を重ね合わせることもでき、その結果、得られる電極の各種性能を適宜調整できる。更に、電極形成時に所望のサイズに容易にカットすることができ、不要な部分を容易に除去できるとともに、電極前駆体のカット時に生じた切れ端等を再度電池前駆体としてリサイクルすることができる。そして、本発明の電極前駆体は、集電体と一体化されないまま活物質層部分だけで流通されるものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。また、溶媒含有量は、上述の方法で測定した。
(実施例1)
ポリオレフィン水分散液(三井化学社製、ケミパールS100)とポリテトラフルオロエチレンと酸化亜鉛(平均粒子径1μm)とを1:3:96の質量比で混錬し、不織布を介して脱水しながら圧延し、その後60度のオーブンで完全に乾燥させて電極前駆体を作製した。このときの電気抵抗は、1MΩcmまで測定可能なテスターを用いたところ、測定不能な電気抵抗であった。また、この電極前駆体の溶媒含有量は、0.01質量%以下であり、厚みは0.3mmであり、真密度に対するみかけ密度の割合は、70%であった。その電極前駆体を錫でメッキされたパンチング鋼板上に配置し、その上にセパレータ、ニッケル正極の順番で重ね合わせ、電池セルへ挿入した。その後8MKOH溶液を電池セルへ導入し、ニッケル亜鉛電池構成とした。この電池に対し、充放電試験を試みたところ30mA/cmの充放電レートに対し、クーロン効率99.8%を示し、電池として充分に駆動していることを観測した。
(実施例2)
ポリオレフィン水分散液(三井化学社製、ケミパールS100)とポリテトラフルオロエチレンと酸化亜鉛(平均粒子径1μm)とを1:3:96の質量比で混錬し、不織布を介して脱水しながら圧延し、その後60度のオーブンで完全に乾燥させて電極前駆体を作製した。このときの電気抵抗は、1MΩcmまで測定可能なテスターを用いたところ、測定不能な電気抵抗であった。また、この電極前駆体の溶媒含有量は、0.01質量%以下であり、厚みは0.3mmであり、真密度に対するみかけ密度の割合は、70%であった。このときの電極前駆体のサイズ(集電体と接する底面部分の面積)が3cm×3cmであったが、電池セルのサイズ(電極前駆体と接する底面部分の面積)が2cm×2cmであったため、電極前駆体のサイズを電池セルのサイズに合わせるように電極前駆体をカットした。このカットした際に発生した不要部材を粉砕し、水分を加えて再度混錬することで、同様の電極部材を得ることができた。これを集電体とセパレータとニッケル正極と重ねて電池として駆動したところ、99.8%のクーロン効率を示し、電極前駆体をリサイクル利用することができた。
(実施例3)
ポリオレフィン水分散液(三井化学社製、ケミパールS100)とポリテトラフルオロエチレンと酸化亜鉛(平均粒子径1μm)とを1:3:96の質量比で混錬し、不織布を介して脱水しながら圧延し、その後60度のオーブンで完全に乾燥させて電極前駆体を作製した。このときの電気抵抗は、1MΩcmまで測定可能なテスターを用いたところ、測定不能な電気抵抗であった。また、この電極前駆体の溶媒含有量は、0.01質量%以下であり、厚みは0.3mmであり、真密度に対するみかけ密度の割合は、70%であった。このときの活物質容量は100mAh/cmであったが、より大容量の電池を得るために、この電極前駆体を結着材などを用いずに3枚重ね、それに対して集電体とセパレータとニッケル正極を重ね、電池セルに挿入し、電池を構成した。3枚分の容量が駆動できるか確認するために、250mAh/cmまで充電し、放電容量を計測したところ、99.8%の効率で充電電気量を放電できた。
上記実施例は、亜鉛負極や当該亜鉛負極を用いたニッケル亜鉛電池に係るものであり、これが本発明の好適な形態であるが、その他の種々の電極・電池においても、本発明に係る電極前駆体を用いるものであれば、優れた充放電特性を有する電池を容易に製造でき、また、電極形成時の自由度が高いものとなると理解される。少なくとも、本発明に係る電極前駆体を用いて、亜鉛負極等の、電池中で使用したときに活物質がイオン化して溶解・析出する電極を形成すれば、電極形成時の自由度が高いものとなり、また、優れた充放電特性を有する電池を容易に製造できると理解される。

Claims (8)

  1. 活物質とポリマーとを含む電極前駆体であって、
    該電極前駆体は、溶媒含有量が0.1質量%以下であり、集電体に接するように配置して活物質層を形成するために用いられる
    ことを特徴とする電極前駆体。
  2. 前記活物質は、亜鉛種である
    ことを特徴とする請求項1に記載の電極前駆体。
  3. 前記ポリマーは、ハロゲン原子、カルボキシル基、水酸基及びエーテル基からなる群より選択される少なくとも1種を含有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電極前駆体。
  4. 前記ポリマーは、フッ素含有ポリマーを含有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電極前駆体。
  5. 集電体と活物質層とを含んで構成される電極であって、
    該活物質層は、請求項1〜4のいずれかに記載の電極前駆体を集電体に接するように配置して形成される
    ことを特徴とする電極。
  6. 請求項5に記載の電極を用いて構成される
    ことを特徴とする電池。
  7. 集電体と活物質層とを含んで構成される電極を製造する方法であって、
    該方法は、活物質とポリマーとを含み、溶媒含有量が0.1質量%以下である電極前駆体を集電体に接するように配置して該電極を構成する工程を含む
    ことを特徴とする電極の製造方法。
  8. 電池を製造する方法であって、
    該方法は、活物質とポリマーとを含み、溶媒含有量が0.1質量%以下である電極前駆体を集電体に接するように配置して、集電体と活物質層とを含んで構成される電極を構成する工程、及び、
    該電極を用いて電池を構成する工程を含む
    ことを特徴とする電池の製造方法。
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