JP2016166758A - 表面弾性波センサ及び溶液物性測定方法 - Google Patents

表面弾性波センサ及び溶液物性測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、温度が十分に管理されていない環境下や、温度が大幅に変化しうる環境下(例えば、直接メタノール燃料電池)でも、表面弾性波を用いて溶液の物性を簡便にかつ精度よく測定することを目的とする。
【解決手段】本発明は、標準液体を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度に対する、測定溶液を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度の変化を測定する伝搬速度測定部6と、測定溶液の溶媒の温度変化に起因する伝搬速度変化の温度変化と、表面弾性波基板の温度変化に起因する伝搬速度変化の温度変化と、が相殺されることにより、測定溶液の溶媒及び表面弾性波基板の温度変化が補償された状態で、伝搬速度変化に基づいて、溶液の物性を測定する溶液物性測定部8と、を備える表面弾性波センサSである。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面弾性波を用いて溶液の物性を測定する技術に関する。
表面弾性波(SAW:Surface Acoustic Wave)を用いて、溶液の物性(誘電率、導電率及び濃度等)を測定する技術が知られている。非特許文献1では、直接メタノール燃料電池において、SAWセンサを用いて、メタノール水溶液の誘電率を測定し、メタノール水溶液の誘電率に基づいて、メタノール水溶液の濃度を測定し、メタノール水溶液の濃度を管理して、発電効率を高く維持している。
叶浩司、小貝崇、吉村直之、飯島修、森敏正、谷津田博美、"直接メタノール燃料電池用SAWメタノールセンサの開発"、日本無線技報、No.64、pp.46−49、[online]、2013年、日本無線株式会社、[平成26年7月31日検索]、インターネット<URL:http://www.jrc.co.jp/jp/company/html/review64/11.html>
SAWセンサでは、標準液体を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度Vに対する、測定溶液を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度V+ΔVの変化ΔV/Vを測定し、標準液体を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬振幅αに対する、測定溶液を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬振幅α+Δαの変化Δα/kを測定し、伝搬速度変化ΔV/V及び伝搬振幅変化Δα/kに基づいて、測定溶液の物性を測定する。
ここで、測定溶液の濃度を測定するためには、伝搬速度変化ΔV/V及び伝搬振幅変化Δα/kが、標準液体及び測定溶液の濃度の相違に起因するものなのか、標準液体及び測定溶液の温度の相違に起因するものなのか、明確にする必要がある。
そこで、測定溶液の溶媒の物性の温度変化を別途測定したうえで、測定溶液の実際の温度における測定溶液の溶媒の物性を計算する。そして、伝搬速度変化ΔV/V及び伝搬振幅変化Δα/kから、標準液体及び測定溶液の温度の相違に起因する寄与を差し引き、標準液体及び測定溶液の濃度の相違に起因する寄与を抽出する。
ところで、温度が十分に管理されていない環境下や、温度が大幅に変化しうる環境下(例えば、非特許文献1の直接メタノール燃料電池)が、あり得る。このような場合、上述の操作を簡便には実行することができない。だからといって、上述の操作を実行しなければ、測定溶液の濃度を精度よく測定することができない。
そこで、前記課題を解決するために、本発明は、温度が十分に管理されていない環境下や、温度が大幅に変化しうる環境下(例えば、直接メタノール燃料電池)でも、表面弾性波を用いて溶液の物性を簡便にかつ精度よく測定することを目的とする。
上記目的を達成するために、測定溶液の溶媒の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、表面弾性波基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、が相殺されることにより、測定溶液の溶媒及び表面弾性波基板の温度変化が補償された状態で、伝搬速度変化ΔV/Vに基づいて、溶液の物性を測定することとした。
具体的には、本発明は、溶液の物性を測定する表面弾性波センサであって、標準液体を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度に対する、前記溶液を前記伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度の変化を測定する伝搬速度測定部と、前記溶液の溶媒の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、表面弾性波基板の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、が相殺されることにより、前記溶液の溶媒及び前記表面弾性波基板の温度変化が補償された状態で、前記伝搬速度変化に基づいて、前記溶液の物性を測定する溶液物性測定部と、を備えることを特徴とする表面弾性波センサである。
また、本発明は、表面弾性波センサを用いて溶液の物性を測定する方法であって、標準液体を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度に対する、前記溶液を前記伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度の変化を測定する伝搬速度測定ステップと、前記溶液の溶媒の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、表面弾性波基板の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、が相殺されることにより、前記溶液の溶媒及び前記表面弾性波基板の温度変化が補償された状態で、前記伝搬速度変化に基づいて、前記溶液の物性を測定する溶液物性測定ステップと、を順に備えることを特徴とする溶液物性測定方法である。
この構成によれば、伝搬速度変化ΔV/Vから、標準液体及び測定溶液の温度の相違に起因する寄与を差し引いたうえで、標準液体及び測定溶液の濃度の相違に起因する寄与を抽出する必要がなくなる。よって、温度が十分に管理されていない環境下や、温度が大幅に変化しうる環境下(例えば、直接メタノール燃料電池)でも、表面弾性波を用いて溶液の物性を簡便にかつ精度よく測定することができる。
また、本発明は、前記溶液の溶媒の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、前記表面弾性波基板の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、が相殺されるように、前記表面弾性波基板のウェハーカット角度が設定されることを特徴とする表面弾性波センサである。
この構成によれば、測定溶液の溶媒の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度に対する変化率を微調整することができる。よって、測定溶液の溶媒の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、表面弾性波基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、がより精度よく相殺される。そして、温度が十分に管理されていない環境下や、温度が大幅に変化しうる環境下(例えば、直接メタノール燃料電池)でも、表面弾性波を用いて溶液の物性をより精度よく測定することができる。
また、本発明は、前記溶液の溶媒の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、前記表面弾性波基板の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、が相殺されるように、解放伝搬路の電気的絶縁部及び電気的接続部の面積比率が設定されることを特徴とする表面弾性波センサである。
この構成によれば、表面弾性波基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度に対する変化率を微調整することができる。よって、測定溶液の溶媒の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、表面弾性波基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、がより精度よく相殺される。そして、温度が十分に管理されていない環境下や、温度が大幅に変化しうる環境下(例えば、直接メタノール燃料電池)でも、表面弾性波を用いて溶液の物性をより精度よく測定することができる。
また、本発明は、前記溶液の溶媒及び前記標準液体は、純水であり、前記表面弾性波基板は、LiTaO基板であることを特徴とする表面弾性波センサである。
この構成によれば、最も一般的な溶媒である純水に対して、本発明を適用可能である。
このように、本発明は、温度が十分に管理されていない環境下や、温度が大幅に変化しうる環境下(例えば、直接メタノール燃料電池)でも、表面弾性波を用いて溶液の物性を簡便にかつ精度よく測定することができる。
本発明の表面弾性波センサの構成を示す図である。 本発明の純水及びLiTaO基板の温度変化の補償方法を示す図である。 本発明のLiTaO基板の電気機械結合定数の設定方法を示す図である。 本発明のLiTaO基板のウェハーカット角度の設定方法を示す図である。 本発明の解放伝搬路の電気的絶縁部及び電気的接続部の面積比率の設定方法を示す図である。 本発明の溶液物性測定方法を示すフローチャートである。
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は以下の実施形態に制限されるものではない。
以下の説明では、測定溶液の溶媒は、純水であり、標準液体は、純水(20℃)であり、表面弾性波基板は、LiTaO基板である。もっとも、本発明の本質を損なわない限度において、測定溶液の溶媒は、純水に限定されず、標準液体は、純水(20℃)に限定されず、表面弾性波基板は、LiTaO基板に限定されない。
本発明の表面弾性波センサの構成を図1に示す。表面弾性波センサSは、櫛状電極部1、短絡伝搬路2、解放伝搬路3、櫛状電極部4、信号差分測定部5、伝搬速度測定部6、伝搬振幅測定部7及び溶液物性測定部8から構成される。
櫛状電極部1は、表面弾性波を励振する。短絡伝搬路2は、金属薄膜で覆われたLiTaO基板に形成された、表面弾性波の伝搬路である。短絡伝搬路2では、負荷される液体は、LiTaO基板と電気的に絶縁されており、表面弾性波の伝搬特性は、負荷される液体の力学的性質のみに影響される。解放伝搬路3は、金属薄膜で覆われないLiTaO基板に形成された、表面弾性波の伝搬路である。解放伝搬路3では、負荷される液体は、LiTaO基板と電気的に接触されており、表面弾性波の伝搬特性は、負荷される液体の電気的性質及び力学的性質に影響される。櫛状電極部4は、表面弾性波を受信する。
信号差分測定部5は、短絡伝搬路2を伝搬した表面弾性波と、解放伝搬路3を伝搬した表面弾性波と、の差分を測定することにより、表面弾性波の伝搬特性から、伝搬路に負荷される液体の力学的性質(粘度及び密度等)に起因する寄与を差し引き、伝搬路に負荷される液体の電気的性質(誘電率及び導電率等)に起因する寄与を抽出する。
伝搬速度測定部6は、純水(20℃)を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度Vに対する、測定溶液を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度V+ΔVの変化ΔV/Vを測定する。伝搬速度変化ΔV/Vは、数式1のように表わされる。
Figure 2016166758
伝搬振幅測定部7は、純水(20℃)を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬振幅αに対する、測定溶液を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬振幅α+Δαの変化Δα/kを測定する。伝搬振幅変化Δα/kは、数式2のように表わされる。
Figure 2016166758
数式1、2において、ε’は、測定溶液の比誘電率であり、εは、純水(20℃)の比誘電率であり、εは、真空の誘電率であり、ε は、LiTaO基板の実効誘電率であり、σ’は、測定溶液の導電率であり、K は、LiTaO基板の電気機械結合係数であり、ωは、表面弾性波の励振角周波数であり、kは、表面弾性波の励振波数である。
溶液物性測定部8は、伝搬速度変化ΔV/V及び伝搬振幅変化Δα/kに基づいて、測定溶液の物性(比誘電率ε’、導電率σ’及び濃度等)を測定する。
測定溶液の比誘電率ε’は、数式1、2により、数式3のように表わされる。
Figure 2016166758
測定溶液の導電率σ’は、数式1、2により、数式4のように表わされる。
Figure 2016166758
測定溶液の濃度は、測定溶液の濃度と(測定溶液の比誘電率ε’又は測定溶液の導電率σ’)の間の別途測定した相関関係に基づいて、測定することができる。
ここで、測定溶液の濃度を測定するためには、伝搬速度変化ΔV/V及び伝搬振幅変化Δα/kが、純水(20℃)及び測定溶液の濃度の相違に起因するものなのか、純水(20℃)及び測定溶液の温度の相違に起因するものなのか、明確にする必要がある。
そこで、伝搬速度変化ΔV/V及び伝搬振幅変化Δα/kが、純水(20℃)及び測定溶液の温度の相違に起因する寄与をほぼ有さないようにし、純水(20℃)及び測定溶液の濃度の相違に起因する寄与のみを有するようにする。
つまり、測定溶液の溶媒(純水)の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/V及び伝搬振幅変化Δα/kの温度変化と、LiTaO基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/V及び伝搬振幅変化Δα/kの温度変化と、が相殺されることにより、測定溶液の溶媒(純水)及びLiTaO基板の温度変化が補償されるようにする。
すると、伝搬速度変化ΔV/V及び伝搬振幅変化Δα/kから、純水(20℃)及び測定溶液の温度の相違に起因する寄与を差し引いたうえで、純水(20℃)及び測定溶液の濃度の相違に起因する寄与を抽出する必要がなくなる。
本発明の純水及びLiTaO基板の温度変化の補償方法を図2に示す。
測定溶液の溶媒(純水)の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化を、温度が上昇するにつれてΔV/Vが大きく増加するプロットにより示す。このプロットは、数式1において、ε’として、純水(任意温度)の比誘電率(数式5のTに任意温度を設定)を代入し、εとして、純水(20℃)の比誘電率(数式5のTに20℃を設定)を代入し、σ’として、純水(任意温度)の導電率0を代入し、K として、LiTaO基板の通常のウェハーカット角度36°の電気機械結合係数を代入して得られる。
Figure 2016166758
LiTaO基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化を、温度が上昇するにつれてΔV/Vが大きく減少するプロットにより示す。このプロットは、LiTaO基板の温度変化に対するΔV/Vの温度変化の文献値から得られる。あるいは、空気を伝搬路に負荷したうえで、LiTaO基板を温度変化させて得られる。
測定溶液の溶媒(純水)及びLiTaO基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化を、温度が上昇するにつれてΔV/Vがわずかに減少するプロットにより示す。このプロットは、測定溶液の溶媒(純水)の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、LiTaO基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、を加算して得られる。あるいは、測定溶液の溶媒(純水)を伝搬路に負荷したうえで、測定溶液の溶媒(純水)及びLiTaO基板を温度変化させて得られる。
このように、測定溶液の溶媒(純水)及びLiTaO基板の温度が上昇するにつれて、伝搬速度変化ΔV/Vは、ほとんど減少しておらず、温度依存性をほとんど有していない。なぜならば、測定溶液の溶媒(純水)の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、LiTaO基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化で、符号が逆転しており絶対値がほぼ等しいからである。
とはいえ、測定溶液の溶媒(純水)及びLiTaO基板の温度が上昇するにつれて、伝搬速度変化ΔV/Vは、わずかに減少しており、温度依存性をわずかに有している。伝搬速度変化ΔV/Vの温度依存性をなくす方法として、以下の方法が挙げられる。
第1の方法として、測定溶液の溶媒(純水)の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、LiTaO基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、が相殺されるように、LiTaO基板のウェハーカット角度が設定される。
本発明のLiTaO基板の電気機械結合定数の設定方法を図3に示す。y軸方向には、図2における伝搬速度変化ΔV/Vの(0℃又は85℃での最大値)−(85℃又は0℃での最小値)、つまり、伝搬速度変化ΔV/Vの温度依存性の大きさを示す。x軸方向には、LiTaO基板の電気機械結合定数K を示す。これら2つのパラメータは、図3に示した直線により表わされる。伝搬速度変化ΔV/Vの温度依存性をなくすためには、LiTaO基板の電気機械結合定数K を〜3%に設定すればよいことが分かる。
本発明のLiTaO基板のウェハーカット角度の設定方法を図4に示す。y軸方向には、LiTaO基板の電気機械結合定数K を示す。x軸方向には、LiTaO基板のウェハーカット角度を示す。これら2つのパラメータは、図4に示した2次曲線により表される。LiTaO基板の電気機械結合定数K を〜3%に設定するためには、LiTaO基板のウェハーカット角度を〜22°に設定すればよいことが分かる。
第1の方法では、測定溶液の溶媒(純水)の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度に対する変化率を微調整することができる。具体的には、図2における温度が上昇するにつれてΔV/Vが大きく増加するプロットについて、傾きの符号を正にしたまま傾きの絶対値を大きくすることにより、図2における温度が上昇するにつれてΔV/Vがわずかに減少するプロットについて、温度依存性をなくすことができる。
第2の方法として、測定溶液の溶媒(純水)の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、LiTaO基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、が相殺されるように、解放伝搬路3の電気的絶縁部(金属薄膜で覆われる部分)及び電気的接続部(金属薄膜で覆われない部分)の面積比率が設定される。
ここで、電気的絶縁部及び電気的接続部が、解放伝搬路3中で表面弾性波の伝搬方向と平行方向に交互に配置される、グレーティング構造を採用してもよい。または、電気的絶縁部及び電気的接続部が、解放伝搬路3中で表面弾性波の伝搬方向と垂直方向に交互に配置される、グレーティング構造を採用してもよい。要は、電気的絶縁部及び電気的接続部が、解放伝搬路3中で所望の面積比率を保って配置されればよい。
本発明の解放伝搬路の電気的絶縁部及び電気的接続部の面積比率の設定方法を図5に示す。解放伝搬路3が全く金属薄膜で覆われない構造では、LiTaO基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度に対する変化率は、−48.5ppm/degであった。解放伝搬路3が完全に金属薄膜で覆われる構造では、LiTaO基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度に対する変化率は、−35.8ppm/degであった。解放伝搬路3が金属薄膜で覆われる/覆われない部分をグレーティング構造で配置することにより、LiTaO基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度に対する変化率は、上記の値の間で微調整することができる。
第2の方法では、LiTaO基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度に対する変化率を微調整することができる。具体的には、図2における温度が上昇するにつれてΔV/Vが大きく減少するプロットについて、傾きの符号を負にしたまま傾きの絶対値を小さくすることにより、図2における温度が上昇するにつれてΔV/Vがわずかに減少するプロットについて、温度依存性をなくすことができる。
第1、2の方法は、単独で用いてもよく、併せて用いてもよい。伝搬速度変化ΔV/Vの温度依存性をなくすことができるならば、他の方法を用いてもよい。
なお、測定溶液の溶媒(純水)の温度変化に起因する伝搬振幅変化Δα/kの温度変化は、数式2において純水の導電率が0であることから、0である(ただし、不純物や配管系からの溶出物が純水に混ざるとき、導電率が有限値を持つことがあり得る)。また、LiTaO基板の温度変化に起因する伝搬振幅変化Δα/kの温度変化は、数式2において空気の導電率が0であることから、0である。つまり、測定溶液の溶媒(純水)及びLiTaO基板の温度変化は、伝搬振幅変化Δα/kについて補償されている。
本発明の溶液物性測定方法を示すフローチャートを図6に示す。
溶液物性測定前に、測定溶液の溶媒(純水)の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、LiTaO基板の温度変化に起因する伝搬速度変化ΔV/Vの温度変化と、が相殺されることにより、測定溶液の溶媒(純水)及びLiTaO基板の温度変化は、伝搬速度変化ΔV/Vについて補償されている(ステップS1)。
溶液物性測定前に、測定溶液の溶媒(純水)の温度変化に起因する伝搬振幅変化Δα/kの温度変化と、LiTaO基板の温度変化に起因する伝搬振幅変化Δα/kの温度変化と、がともに0であることにより、測定溶液の溶媒(純水)及びLiTaO基板の温度変化は、伝搬振幅変化Δα/kについて補償されている(ステップS2)。
純水(20℃)を伝搬路に負荷したうえで、伝搬速度測定部6は、伝搬速度Vを測定し、伝搬振幅測定部7は、伝搬振幅αを測定する(ステップS3)。
測定溶液を伝搬路に負荷したうえで、伝搬速度測定部6は、伝搬速度V+ΔVを測定し、伝搬振幅測定部7は、伝搬振幅α+Δαを測定する(ステップS4)。
ステップS3、S4の結果に基づいて、伝搬速度測定部6は、伝搬速度変化ΔV/Vを測定し、伝搬振幅測定部7は、伝搬振幅変化Δα/kを測定する(ステップS5)。
溶液物性測定部8は、伝搬速度変化ΔV/V及び伝搬振幅変化Δα/kにより、測定溶液の比誘電率ε’及び測定溶液の導電率σ’を測定する(ステップS6)。
溶液物性測定部8は、測定溶液の比誘電率ε’又は測定溶液の導電率σ’により、測定溶液の濃度を測定して(ステップS7)、一連の処理を終了する。
本発明の表面弾性波センサ及び溶液物性測定方法は、温度が十分に管理されていない環境下や、温度が大幅に変化しうる環境下(例えば、直接メタノール燃料電池)でも、表面弾性波を用いて溶液の物性を簡便にかつ精度よく測定することができる。
S:表面弾性波センサ
1:櫛状電極部
2:短絡伝搬路
3:解放伝搬路
4:櫛状電極部
5:信号差分測定部
6:伝搬速度測定部
7:伝搬振幅測定部
8:溶液物性測定部

Claims (5)

  1. 溶液の物性を測定する表面弾性波センサであって、
    標準液体を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度に対する、前記溶液を前記伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度の変化を測定する伝搬速度測定部と、
    前記溶液の溶媒の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、表面弾性波基板の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、が相殺されることにより、前記溶液の溶媒及び前記表面弾性波基板の温度変化が補償された状態で、前記伝搬速度変化に基づいて、前記溶液の物性を測定する溶液物性測定部と、
    を備えることを特徴とする表面弾性波センサ。
  2. 前記溶液の溶媒の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、前記表面弾性波基板の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、が相殺されるように、前記表面弾性波基板のウェハーカット角度が設定される
    ことを特徴とする、請求項1に記載の表面弾性波センサ。
  3. 前記溶液の溶媒の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、前記表面弾性波基板の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、が相殺されるように、解放伝搬路の電気的絶縁部及び電気的接続部の面積比率が設定される
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の表面弾性波センサ。
  4. 前記溶液の溶媒及び前記標準液体は、純水であり、
    前記表面弾性波基板は、LiTaO基板である
    ことを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の表面弾性波センサ。
  5. 表面弾性波センサを用いて溶液の物性を測定する方法であって、
    標準液体を伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度に対する、前記溶液を前記伝搬路に負荷したときの表面弾性波の伝搬速度の変化を測定する伝搬速度測定ステップと、
    前記溶液の溶媒の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、表面弾性波基板の温度変化に起因する前記伝搬速度変化の温度変化と、が相殺されることにより、前記溶液の溶媒及び前記表面弾性波基板の温度変化が補償された状態で、前記伝搬速度変化に基づいて、前記溶液の物性を測定する溶液物性測定ステップと、
    を順に備えることを特徴とする溶液物性測定方法。
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