JP2010151635A - メタノール濃度の検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】弾性表面波を利用した濃度センサを用いて、メタノール濃度を検出する際、その濃度を精度良く算出可能とする。
【解決手段】ショートチャンネル34Aおよびオープンチャンネル34Bを有する自励式の濃度センサ10を用いてメタノール濃度を検出する。その際、ショートチャンネル側およびオープンチャンネル側の各閉ループ回路22A、22Bから出力される発振周波数fs、foおよびゲイン調整電圧Vs、Voを予め実測しておき、その実測値を用いて、各出力値fs、fo、Vs、Voを算出するための4つの近似式を、メタノール濃度および蟻酸濃度を係数、環境温度を変数として設定する。そして、メタノール濃度および蟻酸濃度に対する感度は低いが環境温度に対しては敏感に反応する発振周波数fsの実測値を用いて、環境温度範囲を絞り込んだ上で、上記各近似式から環境温度の解を求め、その算出結果からメタノール濃度を得る。
【選択図】図1

Description

本願発明は、弾性表面波を利用して被検溶液中の化学物質濃度を検出するように構成された濃度センサを用いて、メタノール濃度を検出する方法に関するものである。
従来より、被検溶液中の化学物質濃度(例えばメタノール濃度)を検出するための濃度センサとして、弾性表面波を利用したものが知られている。
この濃度センサは、そのセンサ本体として、例えば「特許文献1」に記載されているように、圧電基板上に1対の交差指電極が所定間隔を置いて配置されてなるチャンネル部を備えた構成となっている。
そして、この濃度センサにおいては、一方の交差指電極を励振させて圧電基板上に弾性表面波を発生させるとともに、これにより他方の交差指電極まで伝播した弾性表面波を該交差指電極で受振させる構成となっている。その際、弾性表面波の伝播速度は化学物質濃度により変化するので、他方の交差指電極で受振した弾性表面波の周波数に基づいて濃度検出を行うことが可能となる。
従来の濃度センサの多くは、上記「特許文献1」にも記載されているように、一方の交差指電極の励振を、該交差指電極に所定の高周波信号電圧を印加することにより行う、いわゆる他励式の濃度センサとして構成されている。
その際「特許文献2」には、このような他励式の濃度センサにおいて、そのセンサ本体のチャンネル部として、両交差指電極間における圧電基板上の領域が、両交差指電極のアース電極指に短絡された導電層によって覆われているショートチャンネルと、両交差指電極間における圧電基板上の領域が露出しているオープンチャンネルとを備えた構成で、かつ、両チャンネル部が並列で配置された構成が記載されている。
そして、この「特許文献2」に記載された濃度センサにおいては、ショートチャンネルにおける弾性表面波の伝播速度と、オープンチャンネルにおける弾性表面波の伝播速度との差に基づいて、濃度検出を行う構成となっている。
特開2005−315646号公報 特開平5−256753号公報
上記従来の濃度センサは、いずれも他励式の濃度センサとして構成されているが、チャンネル部に発振用回路を接続して閉ループ回路を構成し、これにより自励発振を生起させる、いわゆる自励式の濃度センサとして構成することも可能である。
その際、この自励式の濃度センサの発振用回路として、高周波増幅器とそのゲインを調整する自動利得制御回路とを備えた構成とした上で、この発振用回路をショートチャンネルおよびオープンチャンネルの各々に接続して、それぞれ閉ループ回路を構成するようにすれば、ショートチャンネル側の発振用回路の高周波増幅器から出力される発振周波数信号およびその自動利得制御回路から出力されるゲイン調整電圧信号と、オープンチャンネル側の発振用回路の高周波増幅器から出力される発振周波数信号およびその自動利得制御回路から出力されるゲイン調整電圧信号とに基づいて、被検溶液中の化学物質濃度を算出することが可能となる。そして、このような構成を採用することにより、他励式の濃度センサに比して、濃度検出を精度良く行うことが可能となる。
しかしながら、例えば、燃料電池に供給されるメタノール燃料等を被検溶液として、そのメタノール濃度を検出するような場合には、その被検溶液中に目的物質であるメタノール以外に蟻酸が多く含まれているので、単に自励式の濃度センサを採用しただけでは、被検溶液中のメタノール濃度を精度良く検出することは困難である。
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、弾性表面波を利用して被検溶液中の化学物質濃度を検出するように構成された濃度センサを用いて、メタノール濃度を検出する際、その濃度を精度良く算出することができる、メタノール濃度の検出方法を提供することを目的とするものである。
本願発明は、ショートチャンネルおよびオープンチャンネルを有する自励式の濃度センサを用いてメタノール濃度を検出するようにした上で、その各チャンネル部から出力される発振周波数信号およびゲイン調整電圧信号の値を用いてメタノール濃度を算出する際、その算出方法に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
すなわち、本願発明に係るメタノール濃度の検出方法は、
圧電基板上に、1対の交差指電極が所定間隔を置いて配置されてなる第1のチャンネル部と、この第1のチャンネル部と並列で1対の交差指電極が所定間隔を置いて配置されてなる第2のチャンネル部とが形成されてなるセンサ本体と、
このセンサ本体の各チャンネル部に接続され、該チャンネル部とで自励発振を生起させる閉ループ回路を構成する第1および第2の発振用回路と、を備えてなり、
上記第1のチャンネル部が、該チャンネル部の両交差指電極間における上記圧電基板上の領域を、これら両交差指電極のアース電極指に短絡された導電層で覆ったショートチャンネルとして構成されるとともに、上記第2のチャンネル部が、該チャンネル部の両交差指電極間における上記圧電基板上の領域を露出させたオープンチャンネルとして構成されており、
上記各発振用回路が、高周波増幅器と、この高周波増幅器のゲインを調整する自動利得制御回路とを備えてなり、
上記各チャンネル部における1対の交差指電極のうち、一方の交差指電極を励振させて上記圧電基板上に弾性表面波を発生させるとともに、他方の交差指電極まで伝播した上記弾性表面波を該交差指電極で受振させるように構成された濃度センサを用いて、被検溶液中のメタノール濃度を検出する方法において、
上記第1の発振用回路の高周波増幅器から出力される発振周波数fsおよび自動利得制御回路から出力されるゲイン調整電圧Vsの各信号と、上記第2の発振用回路の高周波増幅器から出力される発振周波数foおよび自動利得制御回路から出力されるゲイン調整電圧Voの各信号とに基づいて、被検溶液中のメタノール濃度を算出する際、
上記被検溶液中のメタノール濃度および蟻酸濃度を、それぞれ複数の濃度水準に設定した状態で、環境温度を変化させたときの、上記4つの信号の出力値fs、Vs、fo、Voを、予め実測しておき、
上記各濃度水準毎に、上記4つの出力値fs、Vs、fo、Voを、環境温度を変数として第1の近似式で表わし、
これら第1の近似式の各々に、上記4つの出力値fs、Vs、fo、Voの実測値をそれぞれ代入することにより、任意のメタノール濃度および蟻酸濃度に対する上記4つの出力値fs、Vs、fo、Voを、環境温度を変数として第2の近似式で表わし、
上記出力値fsに関する上記第2の近似式に基づいて、環境温度範囲を絞り込み、
この絞り込んだ環境温度範囲内で、メタノール濃度の範囲をm等分して(m+1)の濃度水準を設定するとともに蟻酸濃度の範囲をn等分して(n+1)の濃度水準を設定し、これら(m+1)×(n+1)通りの濃度組合せについて、上記4つの出力値fs、Vs、fo、Voを、環境温度を変数として第3の近似式で表わし、
これら第3の近似式の各々に、上記各出力値fs、Vs、fo、Voの実測値をそれぞれ代入して、4つの環境温度T(fs)、T(Vs)、T(fo)、T(Vo)を上記各濃度組合せ毎に算出するとともに、これら4つの環境温度T(fs)、T(Vs)、T(fo)、T(Vo)の分散を上記各濃度組合せ毎に算出し、
上記分散が最小になった濃度組合せを構成しているメタノール濃度の値を、濃度算出結果とする、ことを特徴とするものである。
上記「環境温度範囲」の絞込みは、出力値fsに関する第2の近似式に基づいて行われるものであれば、その具体的な絞込み方法は特に限定されるものではない。
上記「m」および「n」の値は、2以上の整数であれば、その具体的な値は特に限定されるものではない。
上記構成に示すように、本願発明に係るメタノール濃度の検出方法は、ショートチャンネルおよびオープンチャンネルを有する自励式の濃度センサを用いて、被検溶液中のメタノール濃度を検出する際、ショートチャンネル側の発振用回路の高周波増幅器から出力される発振周波数fsおよびその自動利得制御回路から出力されるゲイン調整電圧Vsの各信号と、オープンチャンネル側の発振用回路の高周波増幅器から出力される発振周波数foおよびその自動利得制御回路から出力されるゲイン調整電圧Voの各信号とに基づいて、被検溶液中のメタノール濃度を算出するようになっている。
その際、本願発明においては、ショートチャンネル側の発振用回路の高周波増幅器から出力される発振周波数fsは、環境温度に対しては敏感に反応するが、メタノール濃度および蟻酸濃度に対しては感度が低く、このため環境温度を推定するのに適している、という点に着目し、4つの出力値fs、Vs、fo、Voを、メタノール濃度および蟻酸濃度を係数とするとともに環境温度を変数とする所定の近似式で表わした上で、発振周波数fsの実測値を用いて環境温度範囲を絞り込み、そして、上記各出力値fs、Vs、fo、Vo毎に設定された近似式から環境温度の解を求め、その結果からメタノール濃度を算出するようにしている。
このメタノール濃度の算出の具体的な手順は、以下のとおりである。
(1)被検溶液中のメタノール濃度および蟻酸濃度を、それぞれ複数の濃度水準に設定した状態で、環境温度を変化させたときの、4つの出力値fs、Vs、fo、Voを、予め実測しておく。
(2)これら各濃度水準毎に、4つの出力値fs、Vs、fo、Voを、環境温度を変数として第1の近似式で表わす。
(3)これら第1の近似式の各々に、4つの出力値fs、Vs、fo、Voの実測値をそれぞれ代入することにより、任意のメタノール濃度および蟻酸濃度に対する4つの出力値fs、Vs、fo、Voを、環境温度を変数として第2の近似式で表わす。
(4)出力値fsに関する第2の近似式に基づいて、環境温度範囲を絞り込む。
(5)この絞り込んだ環境温度範囲内で、メタノール濃度の範囲をm等分して(m+1)の濃度水準を設定するとともに蟻酸濃度の範囲をn等分して(n+1)の濃度水準を設定し、これら(m+1)×(n+1)通りの濃度組合せについて、4つの出力値fs、Vs、fo、Voを、環境温度を変数として第3の近似式で表わす。
(6)これら第3の近似式の各々に、各出力値fs、Vs、fo、Voの実測値をそれぞれ代入して、4つの環境温度T(fs)、T(Vs)、T(fo)、T(Vo)を、上記各濃度組合せ毎に算出するとともに、これら4つの環境温度T(fs)、T(Vs)、T(fo)、T(Vo)の分散を、上記各濃度組合せ毎に算出する。
(7)この分散が最小になった濃度組合せを構成しているメタノール濃度の値を、その濃度算出結果とする。
以上の手順でメタノール濃度を算出することにより、被検溶液中にメタノール以外に蟻酸が含まれている場合であっても、メタノール濃度を精度良く算出することができる。
このように本願発明によれば、弾性表面波を利用して被検溶液中の化学物質濃度を検出するように構成された濃度センサを用いて、メタノール濃度を検出する際、その濃度を精度良く算出することができる。
しかも本願発明においては、メタノール濃度だけでなく蟻酸濃度についても精度良く算出することができ、また、環境温度についても同時に算出することができる。
上記構成において、環境温度範囲の具体的な絞込み方法が特に限定されないことは、上述したとおりであるが、この絞込みを、出力値fsに関する第2の近似式に、出力値fsの実測結果に応じて、想定されるメタノール濃度および蟻酸濃度の各々の最小値および最大値を代入することにより行うようにすれば、その絞込みを適切に行うことができる。
すなわち、出力値fsの実測結果から、同じ環境温度という条件下で、例えば、メタノール濃度が低くかつ蟻酸濃度が高いときに出力値fsが最小値を示すとともに、メタノール濃度が高くかつ蟻酸濃度が低いときに出力値fsが最大値を示す結果が得られたのであれば、出力値fsに関する第2の近似式に、想定されるメタノール濃度の最小値および想定される蟻酸濃度の最大値を代入して得られる環境温度を最小値として設定するとともに、想定されるメタノール濃度の最大値および想定される蟻酸濃度の最小値を代入して得られる環境温度を最大値として設定することにより、環境温度範囲の絞込みを行うことができる。
上記構成において、分散が最小になった濃度組合せを構成しているメタノール濃度の値および蟻酸濃度の値をそれぞれ中心にして、メタノール濃度の範囲および蟻酸濃度の範囲をさらに絞り込み、これに対応する環境温度範囲内で、第3の近似式を再度算出するようにすれば、これに基づいて算出される分散から導かれるメタノール濃度の値を、より精度の高いものとすることができる。
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
図1は、本願発明の一実施形態に係るメタノール濃度の検出方法に用いられる濃度センサ10を示すブロック図である。
本実施形態に係るメタノール濃度の検出方法について説明する前に、この濃度センサ10の構成について説明する。
同図に示すように、本実施形態に係る濃度センサ10は、センサユニット20と、このセンサユニット20に接続された制御ユニット50とを備えてなっている。その際、センサユニット20は、センサ本体30と、第1および第2の発振用回路40A、40Bとを備えてなっている。
そして、この濃度センサ10は、そのセンサ本体30を被検溶液中に配置した状態で、この被検溶液に含まれている特定の化学物質(例えばメタノール)の濃度を検出するようになっている。
センサ本体30は、圧電基板32上に、1対の交差指電極34A1、34A2が所定間隔を置いて配置されてなる第1のチャンネル部34Aと、この第1のチャンネル部34Aと並列で1対の交差指電極34B1、34B2が上記所定間隔と同じ間隔を置いて配置されてなる第2のチャンネル部34Bとが形成された構成となっている。
第1のチャンネル部34Aは、その一方の交差指電極34A1における一方の電極指が入力用電極指34Aiを構成しており、また、その他方の交差指電極34A2における一方の電極指が出力用電極指34Aoを構成している。
一方、第2のチャンネル部34Bは、その一方の交差指電極34B1における一方の電極指が入力用電極指34Biを構成しており、また、その他方の交差指電極34B2における一方の電極指が出力用電極指34Boを構成している。
そして、第1のチャンネル部34Aの各交差指電極34A1、34A2における他方の電極指と、第2のチャンネル部34Bの各交差指電極34B1、34B2における他方の電極指とが、共通のアース電極指34gを構成している。
これら各チャンネル部34A、34Bにおいては、その一方の交差指電極34A1、34B1が励振することにより圧電基板32上に横波型の弾性表面波を発生させるように構成されており、そして、これにより圧電基板32上をその他方の交差指電極34A2、34B2まで伝播した弾性表面波を、これら各交差指電極34A2、34B2で受振するように構成されている。
第1および第2のチャンネル部34A、34Bは、互いに線対称の構成を有しており、かつ互いに隣接して配置されているが、以下の構成が両者間で異なっている。
すなわち、第1のチャンネル部34Aは、その交差指電極34A1、34A2間における圧電基板32上の領域が、アース電極指34gに短絡された導電層34A3で覆われたショートチャンネルとして構成されている。一方、第2のチャンネル部34Bは、その交差指電極34B1、34B2間における圧電基板32上の領域が露出したオープンチャンネルとして構成されている。
以下、第1のチャンネル部34Aを「ショートチャンネル34A」、第2のチャンネル部34Bを「オープンチャンネル34B」という。
第1および第2の発振用回路40A、40Bは、第1の発振用回路40Aがショートチャンネル34Aに接続されており、第2の発振用回路40Bがショートチャンネル34Bに接続されている。そして、発振用回路40Aは、ショートチャンネル34Aとで、自励発振を生起させる閉ループ回路22Aを構成するようになっており、発振用回路40Bは、オープンチャンネル34Bとで、自励発振を生起させる閉ループ回路22Bを構成するようになっている。
ショートチャンネル側の発振用回路40Aは、高周波増幅器42Aと、自動利得制御回路44Aと、ローパスフィルタ46Aとで構成されている。
高周波増幅器42Aは、ショートチャンネル34Aの出力用電極指34Aoから出力される発振周波数信号を増幅して、これをショートチャンネル34Aの入力用電極指34Aiに戻すように構成されている。
自動利得制御回路44Aは、高周波増幅器42Aからの出力信号(すなわちショートチャンネル34Aへの入力信号)の電圧振幅を一定に維持することにより、高周波増幅器42Aのゲイン調整を行うようになっている。
ローパスフィルタ46Aは、閉ループ回路22Aにおいて発振させようとする周波数(例えば50MHz)よりも高い周波数領域での発振を阻止するために、ショートチャンネル34Aの出力用電極指34Aoと高周波増幅器42Aとの間に配置されている。
オープンチャンネル側の発振用回路40Bも、ショートチャンネル側の発振用回路40Aと同様の構成を有している。すなわち、この発振用回路40Bは、高周波増幅器42Bと、自動利得制御回路44Bと、ローパスフィルタ46Bとで構成されている。
そして、センサユニット20は、ショートチャンネル側の発振用回路40Aにおける高周波増幅器42Aから出力される発振周波数fsの信号および自動利得制御回路44Aから出力されるゲイン調整電圧(AGC電圧)Vsの信号と、オープンチャンネル側の発振用回路40Bにおける高周波増幅器42Bから出力される発振周波数foの信号および自動利得制御回路44Bから出力されるゲイン調整電圧Voの信号とを、制御ユニット50に入力するようになっている。
制御ユニット50は、CPU52と、このCPU52に接続された周波数カウンタ54およびA/D変換器56とを備えてなっている。
周波数カウンタ54には、ショートチャンネル側の閉ループ回路22Aから出力される発振周波数fsの信号と、オープンチャンネル側の閉ループ回路22Bから出力される発振周波数foの信号とが入力されるようになっている。そして、この周波数カウンタ54において、これら各発振周波数fs、foの計測を行うようになっている。
A/D変換器56には、ショートチャンネル側の閉ループ回路22Aから出力されるゲイン調整電圧Vsの信号と、オープンチャンネル側の閉ループ回路22Bから出力されるゲイン調整電圧Voの信号とが入力されるようになっている。そして、このA/D変換器56において、これら各ゲイン調整電圧Vs、Voの信号をA/D変換するようになっている。
CPU52は、周波数カウンタ54で計測された各発振周波数信号の出力値fs、foと、A/D変換された各ゲイン調整電圧信号の出力値Vs、Voとに基づいて、被検溶液中の化学物質濃度を算出するようになっている。
なお、センサユニット20における各発振用回路40A、40Bの高周波増幅器42A、42Bと、その電源60との間には、オンオフスイッチ62A、62Bがそれぞれ配置されている。これら各オンオフスイッチ62A、62Bは、CPU52からの制御信号により、その開閉動作が行われるようになっている。
このCPU52による化学物質濃度の算出は、次のようにして行われるようになっている。
すなわち、発振周波数fsは、ショートチャンネル34Aの圧電基板32上を伝播する弾性表面波の速度に応じた値となり、また、発振周波数foは、オープンチャンネル34Bの圧電基板32上を伝播する弾性表面波の速度に応じた値となる。
一方、被検溶液中の化学物質濃度が変化すると、これに伴って被検溶液の誘電率も変化する。そして、この誘電率が変化すると、弾性表面波の伝播速度も変化する。その際、ショートチャンネル34Aとオープンチャンネル34Bとでは、導電層34A3の有無の差により、誘電率の変化に対する弾性表面波の伝播速度の変化の度合が異なったものとなる。
そして、この弾性表面波の伝播速度の差が、ショートチャンネル側の閉ループ回路22Aから出力される発振周波数fsとオープンチャンネル側の閉ループ回路22Bから出力される発振周波数foとの差となって現れる。また、各ゲイン調整電圧Vs、Voは、弾性表面波が伝播する際のエネルギの減衰の度合に応じた値となる。
そこで、これら発振周波数fs、foおよびゲイン調整電圧Vs、Voという4つの出力値を用いて、所定のアルゴリズムに基づいて演算を行うことにより、被検溶液中の化学物質濃度を算出するようになっている。
本実施形態においては、被検溶液中に、目的物質であるメタノール以外に蟻酸が含まれている場合であっても、メタノール濃度を精度良く算出することができるようにするため、以下に示すような算出方法を採用している。
図2は、メタノール濃度、蟻酸濃度、環境温度の各々に対する発振周波数fs、発振周波数fo、ゲイン調整電圧(AGC電圧)Vs、ゲイン調整電圧Voの、理論上の特性を示すグラフである。ここで、環境温度とは、センサ本体30のごく近傍の周囲温度を意味するものである。
同図(a)に示すように、メタノール濃度が増大すると、発振周波数fs、ゲイン調整電圧Vs、ゲイン調整電圧Voは変化しないが、発振周波数foは直線的に大きく増大する。
同図(b)に示すように、蟻酸濃度が増大すると、発振周波数fsは変化しないが、発振周波数foは直線的に大きく減少し、ゲイン調整電圧Vsは直線的に幾分増大し、ゲイン調整電圧Voは直線的に比較的大きく増大する。
同図(c)に示すように、環境温度が上昇すると、発振周波数fsは直線的に比較的大きく減少し、発振周波数foは直線的に幾分減少し、ゲイン調整電圧Vs、ゲイン調整電圧Voは変化しない。
以上の特性から、発振周波数fsは、理論上、環境温度の変化に対しては大きく変化する一方、メタノール濃度の変化や蟻酸濃度の変化に対しては変化しないことが分かる。
そこで、本実施形態においては、発振周波数fs、発振周波数fo、ゲイン調整電圧Vs、ゲイン調整電圧Voという4つの出力値を、メタノール濃度Mおよび蟻酸濃度Fを係数とするとともに環境温度Tを変数とする近似式で表わした上で、発振周波数fsの実測値を用いて環境温度範囲を絞り込み、そして、上記各出力値fs、Vs、fo、Vo毎に設定された近似式から環境温度Tの解を求め、その結果からメタノール濃度Mを算出するようにしている。
以下、このメタノール濃度Mの算出方法を具体的に説明する。
<1>基本的な濃度算出の考え方
4つの出力値fo、Vo、fs、Vsは、外乱要因を除けば、3つの入力すなわち環境温度Tと蟻酸濃度Fとメタノール濃度Mとにより決まる。数式で示すと、式(1)のようになる。
Figure 2010151635
例えば、上式(1)に環境温度Tと蟻酸濃度Fとメタノール濃度Mを当てずっぽうに入れたとして、その計算結果がセンサユニット20からの各出力値fo、Vo、fs、Vsと一致したとすれば、この当てずっぽうの値が、求めているメタノール濃度Mになり、同時に蟻酸濃度Fと環境温度Tも得られることとなる。
ただし、これは算出の考え方としての説明であって、実際に当てずっぽうの値で答えが得られる確率は非常に低いため、実現は不可能である。また、式を理論的に求めることも不可能である。
次に、この考え方を元にして、算出方法を具体化していく。
<2>事前準備
式(1)を理論的に求めるのは不可能であるが、実験データより近似式の形で表わすことは不可能ではない。
そこで、事前準備として、次のような実験を行っておく。
すなわち、メタノール濃度Mと蟻酸濃度Fとを、それぞれ3水準M=0,5,10[wt%]、F=0,0.05,0.10[wt%]で、9通りの組合せ(M,F)=(0,0)、(5,0)、(10,0)、(0,0.05)、(5,0.05)、(10,0.05)、(0,0.1)、(5,0.1)、(10,0.1) の水溶液をつくり、これをセンサ本体30に負荷して、環境温度Tを変化させたときの、4出力値fo、Vo、fs、Vsの特性を実験により求める。
液体に含まれる物質の濃度を連続可変させることは非常に難しいため、ここでは、実験で連続可変させる要素として環境温度Tを選んだ。
<3>第1の近似式の算出
上記実験によって得られたデータは、パラメータ(M,F)によって決まる出力値fo、Vo、fs、Vsの環境温度特性となる。この環境温度特性は環境温度Tの2次式でよく近似できることが、過去の実験より分かっている。
M=0[wt%] のときをM00、M=5[wt%] のときをM05、M=10[wt%]のときをM10、F=0[wt%] のときをF0.00、F=0.05[wt%]のときをF0.05、F=0.10[wt%]のときをF0.10で示すことにして、オープンチャンネル34Bの発振周波数foの近似式を示すと、以下のようになる。
Figure 2010151635
これにより、出力値foに関する第1の近似式が得られることとなる。なお、この出力値fo以外の3出力値Vo、fs、Vsの各々に関する第1の近似式についても、同様な式となる。
式(2)〜(10)では、環境温度Tについては任意の値をとることができるが、メタノール濃度Mおよび蟻酸濃度Fはとびとびの値しかとることができない。このため、例えば、M=3[wt%] 、F=0.01[wt%]のときの出力値foは、この段階では算出することができない。
<4>第2の近似式の算出
これら9つの式から、任意の濃度(Mm,Ff)における出力値foの近似式(101)を、第2の近似式として求める方法を次に説明する。
Figure 2010151635
実験で取得しやすい形にするため、設定濃度(M,F)における環境温度Tを変数とする2次の近似式を求めている。メタノール濃度Mと蟻酸濃度Fに対する4出力値fo、Vo、fs、Vsは、特殊な特性ではなく、範囲を絞れば環境温度Tと同じように低次の式で近似できることが実験データから確認されている。ここでは次数を2とする。
図3は、発振周波数foに関する第2の近似式を算出する過程を説明するための図である。
同図に示すように、求めたい式(101)の精度を上げるため、環境温度Tの中心値をT0とし、それより少し低いT1と少し高いT2との間に環境温度Tの範囲を限定する。そして、このとき蟻酸濃度Fと環境温度Tを固定して、メタノール濃度Mを変数とした場合の近似式を考えると、
T=T0のとき、
Figure 2010151635
T=T1のとき、
Figure 2010151635
T=T2のとき、
Figure 2010151635
となる。
これら式(11)〜(19)の係数は、式(2)〜(10)に環境温度T=T0,T1,T2を入れて計算した出力値foの値より求める。
例えば、式(11)の3つの係数
Figure 2010151635
は、式(2)、(3)、(4)にT=T0を入れて求めた
Figure 2010151635
で、式(11)の連立方程式(20)をつくり、これを解けば求められる。
Figure 2010151635
同様に、式(12)の係数は、式(5)、(6)、(7)にT=T0を入れて求めたfo、
式(13)の係数は、式(8)、(9)、(10)にT=T0を入れて求めたfo、
式(14)の係数は、式(2)、(3)、(4)にT=T1を入れて求めたfo、
式(15)の係数は、式(5)、(6)、(7)にT=T1を入れて求めたfo、
式(16)の係数は、式(8)、(9)、(10)にT=T1を入れて求めたfo、
式(17)の係数は、式(2)、(3)、(4)にT=T2を入れて求めたfo、
式(18)の係数は、式(5)、(6)、(7)にT=T2を入れて求めたfo、
式(19)の係数は、式(8)、(9)、(10)にT=T2を入れて求めたfo、から求める。
以上で、式(11)〜(19)の係数をすべて求めることができる。その際、蟻酸濃度Fは、F=0,0.05,0.10[wt%] に限定されるが、メタノール濃度Mについては、3水準の固定値でなく任意の値で近似値として、出力値foを求めることができる。環境温度Tについては、この計算前に任意でT0(または、T1、T2)と決めているので、式の自由度を限定する項目とならない。これにより、T1を例にとれば、図3の式(14)〜(16)で示される曲線がプロット可能となった。
次に、蟻酸濃度Fについても、同様の方法で、3水準だけでなく任意の濃度値を近似式で扱えるようにする。環境温度T=T0,T1,T2とメタノール濃度M=Mmに固定して、蟻酸濃度Fを変数とした場合の近似式を考えると、
T=T0のとき、
Figure 2010151635
T=T1のとき、
Figure 2010151635
T=T2のとき、
Figure 2010151635
となる。
これら式(21)〜(23)の係数は、式(11)〜(19)にメタノール濃度M=Mmを代入して計算した出力値foから求める。
例えば、式(21)の3つの係数
Figure 2010151635
は、式(11)、(12)、(13)にM=Mmを代入して計算した
Figure 2010151635
を使用して、式(21)で連立方程式(24)を立てて、これを解くことにより求められる。
Figure 2010151635
同様に、式(22)の係数は、式(14)、(15)、(16)にメタノール濃度M=Mmを代入して計算した出力値foから求める。また、式(23)の係数は、式(17)、(18)、(19)から求める。
ここまでで、任意の環境温度T0、メタノール濃度Mm、蟻酸濃度Ffに対する出力値fo(近似式による解)が求められるようになった。すなわち、図3に破線で示す式(21)〜(23)で示される曲線がプロット可能となった。
最後に、式(21)〜(23)から式(101)の係数を求める。式(21)、(22)、(23)に蟻酸濃度F=Ffを代入し、
Figure 2010151635
を計算する。
これらより、式(101)で連立方程式(25)を立て、各係数
Figure 2010151635
を求める。
Figure 2010151635
以上で、実験で求めた第1の近似式(2)〜(10)から、式(101)を、出力値foに関する第2の近似式として算出することができる。
これは、環境温度T、メタノール濃度M、蟻酸濃度Fに対して出力値foが2次式で近似できることと、環境温度T、メタノール濃度M、蟻酸濃度Fの相互影響度が小さいことが前提となる。
この出力値foの式(101)の場合と全く同様の方法で、他の3つの出力値Vo、fs、Vsの、式(101)に相当する近似式(201)、(301)、(401)も、第2の近似式として求めることができる。
Figure 2010151635
<5>環境温度範囲の絞込み
上述したように、ショートチャンネルの発振周波数fsは、他の出力値Vo、fo、Vsと比較して、環境温度Tに対しては敏感に反応するが、メタノール濃度Mおよび蟻酸濃度Fに対しては感度が低く、環境温度Tを推定するのに適している。
その際、上記<2>事前準備において行った実験の結果として、例えば、図2(a)、(b)に破線で示すように、環境温度Tが同一のときでも、発振周波数fsが、メタノール濃度Mおよび蟻酸濃度Fの変化に対して理論どおり一定値には維持されず、メタノール濃度Mが低くかつ蟻酸濃度Fが高いときに最小値を示すとともに、メタノール濃度Mが高くかつ蟻酸濃度Fが低いときに最大値を示した、と仮定する。
このような場合には、式(301)に、想定されるメタノール濃度Mの最小値と蟻酸濃度Fの最大値を代入するとともに、実測された発振周波数の出力値fs[Hz]を左辺に代入して、環境温度Tの2次式の解を求めると、このときの環境温度Tが推定最低環境温度Tc−[℃]となる。逆に、式(301)に、想定するメタノール濃度Mの最大値と蟻酸濃度Fの最小値とを代入するとともに、実測された発振周波数の出力値fs[Hz]を左辺に代入して、環境温度Tの2次式の解を求めると、このときの環境温度Tが推定最大環境温度Tc+[℃]となる。これにより、センサ本体30の環境温度Tを、Tc−〜Tc+[℃]という狭い範囲内の値に絞り込むことができる。その際、2次式の解は通常2個あるが、求めた解のうち一方は現実と大きく外れた値となるので、正しい値の方を選択する。なお、想定されるメタノール濃度Mの最小値、最大値と蟻酸濃度Fの最小値、最大値とが第1の近似式での濃度範囲に一致している場合には、式(301)を使用する必要はなく、それぞれ式(8)と式(4)を使用すればよい。
このようにして環境温度範囲が絞り込まれると、近似式(101)〜(401)の係数を算出する際に、その精度を上げることができる。すなわち、絞り込まれた温度範囲で式(25)を再計算する。環境温度T=60[℃]付近の計算をするのに、広範囲の環境温度0〜70[℃]の近似式を使うより環境温度50〜70[℃]の近似式を使った方が、算出の精度が高くなることは、容易に理解されるところである。
<6>第3の近似式の算出
次に、想定されるメタノール濃度範囲をm等分するとともに、想定される蟻酸濃度範囲をn等分する。そして、これらすべての組合せ(すなわち(m+1)×(n+1)通りの組合せ)の各々に対する近似式を、第3の近似式として求める。
ここで、メタノール濃度の(m+1)水準を、M,M,M,M,…,Mとし、蟻酸濃度の(n+1)水準を、F,F,F,F,…,F、とする。そして、上述した方法で、任意の濃度組合せ(M,F)に対する第2の近似式(101)、(201)、(301)、(401)を、第3の近似式(102)、(202)、(302)、(402)として、その係数を求める。
Figure 2010151635
<7>メタノール濃度Mおよび蟻酸濃度Fの推定
上記(m+1)×(n+1)通り得られる環境温度Tの値について、その妥当性を調べる。
上記手順で係数が求められた式(102)、(202)、(302)、(402)に対して、上記実測により得られた4つの出力値fo、Vo、fs、Vsの値を、その左辺に代入して、環境温度Tを求める。2次式の解は2つあるが、求めた解のうち一方は現実と大きく外れた値となるので、正しい値の方を選択する。
このとき得られる式(102)、(202)、(302)、(402)の解を、それぞれT(fo)、T(Vo)、T(fs)、T(Vs)とする。
この場合において、もし濃度組合せ(M,F)が正解であったとしたならば、理想的には、4つの解T(fo)、T(Vo)、T(fs)、T(Vs)は、すべて同じ値になるはずである。しかしながら、実際には、測定や近似の誤差もあり、濃度組合せに寸分の違いがなくても、同じ環境温度値になることはあり得ない。
そこで、(m+1)×(n+1)通りの濃度組合せ(M,F)において、これら4つの解T(fo)、T(Vo)、T(fs)、T(Vs)の分散σを、式(26)、(27)により求める。
Figure 2010151635
これにより得られた上記(m+1)×(n+1)通りの濃度組合せ(M,F)の各々についての分散σの値の中で、その値が最も小さい濃度組合せ(M,F)のときの環境温度値が正解に近いものと判断することができる。その濃度組合せ(M,F)が求めるメタノール濃度であり、蟻酸濃度である。
<8>解像度の向上
さらに、この解の精度を上げるために、この正解に近い濃度組合せ(M,F)の近傍に想定濃度範囲を絞り込み、これに対応する環境温度範囲内で、上記<5>〜<7>の処理を行い、再度分散σを求める。
そして、これを何度か繰り返すことにより、推定値の解像度を高くする。
例えば、最初に、メタノール濃度Mについては、0〜10[wt%]の範囲を想定し、これを10等分しているので、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10[wt%]の11水準となり、また、蟻酸濃度Fについては、0〜0.1[wt%]の範囲を想定し、これを10等分しているので、0、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1[wt%]の11水準となり、その濃度組合せは11×11=121通りとなる。仮に、これら濃度組合せの中から、メタノール濃度Mが3[wt%]で、蟻酸濃度Fが0.02[wt%]のときの分散σが最も小さくなったとすれば、次には、メタノール濃度Mの想定範囲を2.5〜3.5[wt%]、蟻酸濃度Fの想定範囲を0.015〜0.025[wt%]にして、これを10等分するようにすればよい。
以上詳述したように、本実施形態に係るメタノール濃度の検出方法は、ショートチャンネル34Aおよびオープンチャンネル34Bを有する自励式の濃度センサ10を用いて、被検溶液中のメタノール濃度を検出する際、ショートチャンネル側の出力値である発振周波数fsおよびゲイン調整電圧Vsと、オープンチャンネル側の出力値である発振周波数foおよびゲイン調整電圧Voとに基づいて、メタノール濃度Mを算出するようになっているが、その際、4つの出力値fs、Vs、fo、Voを、メタノール濃度Mおよび蟻酸濃度Fを係数とするとともに環境温度Tを変数とする近似式で表わした上で、メタノール濃度Mおよび蟻酸濃度Fに対する感度は低いが環境温度Tに対しては敏感に反応する発振周波数fsの実測値を用いて環境温度範囲を絞り込んで、上記近似式から環境温度Tの解を求め、その結果からメタノール濃度Mを算出するようになっているので、被検溶液中にメタノール以外に蟻酸が含まれている場合であっても、メタノール濃度を精度良く算出することができる。
したがって本実施形態によれば、弾性表面波を利用して被検溶液中の化学物質濃度を検出するように構成された濃度センサ10を用いて、メタノール濃度Mを検出する際、その濃度を精度良く算出することができる。
しかも本実施形態によれば、メタノール濃度Mだけでなく蟻酸濃度Fについても精度良く算出することができる。
さらに本実施形態においては、環境温度範囲の絞込みを、出力値fsに関する第2の近似式に、出力値fsの実測結果に応じて、想定されるメタノール濃度Mおよび蟻酸濃度Fの各々の最小値および最大値を代入することにより行うようになっているので、その絞込みを適切に行うことができる。
例えば、出力値fsの実測結果から、同じ環境温度T0という条件下で、メタノール濃度Mが低くかつ蟻酸濃度Fが高いときに出力値fsが最小値を示すとともに、メタノール濃度Mが高くかつ蟻酸濃度Fが低いときに出力値fsが最大値を示す結果が得られたのであれば、出力値fsに関する第2の近似式に、想定されるメタノール濃度Mの最小値および想定される蟻酸濃度Fの最大値を代入して得られる環境温度Tc−を最小値として設定するとともに、想定されるメタノール濃度Mの最大値および想定される蟻酸濃度Fの最小値を代入して得られる環境温度Tc+を最大値として設定することにより、環境温度範囲の絞込みを行うことができる。
さらに本実施形態においては、分散σが最小になった濃度組合せを構成しているメタノール濃度Mの値および蟻酸濃度Fの値をそれぞれ中心にして、メタノール濃度Mの範囲および蟻酸濃度Fの範囲をさらに絞り込み、これに対応する環境温度範囲内で、第3の近似式を再度算出するようになっているので、これに基づいて算出される分散σから導かれるメタノール濃度Mの値を、より精度の高いものとすることができる。
ところで、上記実施形態においては、プログラミングや実験データの取得の容易さなどから、近似式を2次式にしているが、実際の特性に合わせて次数を増やしたり、違う関数にしたりすることも可能である。そして、このようにすることにより、推定精度を高めることが可能となる。ただし、次数を増やすようにした場合には、元になる近似式の数も増やす必要がある。
なお、上記実施形態において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
本願発明の一実施形態に係るメタノール濃度の検出方法に用いられる濃度センサを示すブロック図 メタノール濃度、蟻酸濃度、環境温度の各々に対する発振周波数fs、発振周波数fo、ゲイン調整電圧Vs、ゲイン調整電圧Voの理論上の特性を示すグラフ 上記実施形態において、発振周波数foに関する第2の近似式を算出する過程を説明するための図
符号の説明
10 濃度センサ
20 センサユニット
22A ショートチャンネル側の閉ループ回路
22B オープンチャンネル側の閉ループ回路
30 センサ本体
32 圧電基板
34A ショートチャンネル(第1のチャンネル部)
34Ai、34Bi 入力用電極指
34Ao、34Bo 出力用電極指
34A1、34A2、34B1、34B2 交差指電極
34A3 導電層
34B オープンチャンネル(第2のチャンネル部)
34g アース電極指
40A ショートチャンネル側の発振用回路(第1の発振用回路)
40B オープンチャンネル側の発振用回路(第2の発振用回路)
42A、42B 高周波増幅器
44A、44B 自動利得制御回路
46A、46B ローパスフィルタ
50 制御ユニット
52 CPU
54 周波数カウンタ
56 A/D変換器
60 電源
62A、62B オンオフスイッチ
F 蟻酸濃度
fo、fs 発振周波数
M メタノール濃度
T 環境温度
Vo、Vs ゲイン調整電圧

Claims (3)

  1. 圧電基板上に、1対の交差指電極が所定間隔を置いて配置されてなる第1のチャンネル部と、この第1のチャンネル部と並列で1対の交差指電極が所定間隔を置いて配置されてなる第2のチャンネル部とが形成されてなるセンサ本体と、
    このセンサ本体の各チャンネル部に接続され、該チャンネル部とで自励発振を生起させる閉ループ回路を構成する第1および第2の発振用回路と、を備えてなり、
    上記第1のチャンネル部が、該チャンネル部の両交差指電極間における上記圧電基板上の領域を、これら両交差指電極のアース電極指に短絡された導電層で覆ったショートチャンネルとして構成されるとともに、上記第2のチャンネル部が、該チャンネル部の両交差指電極間における上記圧電基板上の領域を露出させたオープンチャンネルとして構成されており、
    上記各発振用回路が、高周波増幅器と、この高周波増幅器のゲインを調整する自動利得制御回路とを備えてなり、
    上記各チャンネル部における1対の交差指電極のうち、一方の交差指電極を励振させて上記圧電基板上に弾性表面波を発生させるとともに、他方の交差指電極まで伝播した上記弾性表面波を該交差指電極で受振させるように構成された濃度センサを用いて、被検溶液中のメタノール濃度を検出する方法において、
    上記第1の発振用回路の高周波増幅器から出力される発振周波数fsおよびその自動利得制御回路から出力されるゲイン調整電圧Vsの各信号と、上記第2の発振用回路の高周波増幅器から出力される発振周波数foおよびその自動利得制御回路から出力されるゲイン調整電圧Voの各信号とに基づいて、被検溶液中のメタノール濃度を算出する際、
    上記被検溶液中のメタノール濃度および蟻酸濃度を、それぞれ複数の濃度水準に設定した状態で、環境温度を変化させたときの、上記4つの信号の出力値fs、Vs、fo、Voを、予め実測しておき、
    上記各濃度水準毎に、上記4つの出力値fs、Vs、fo、Voを、環境温度を変数として第1の近似式で表わし、
    これら第1の近似式の各々に、上記4つの出力値fs、Vs、fo、Voの実測値をそれぞれ代入することにより、任意のメタノール濃度および蟻酸濃度に対する上記4つの出力値fs、Vs、fo、Voを、環境温度を変数として第2の近似式で表わし、
    上記出力値fsに関する上記第2の近似式に基づいて、環境温度範囲を絞り込み、
    この絞り込んだ環境温度範囲内で、メタノール濃度の範囲をm等分して(m+1)の濃度水準を設定するとともに蟻酸濃度の範囲をn等分して(n+1)の濃度水準を設定し、これら(m+1)×(n+1)通りの濃度組合せについて、上記4つの出力値fs、Vs、fo、Voを、環境温度を変数として第3の近似式で表わし、
    これら第3の近似式の各々に、上記各出力値fs、Vs、fo、Voの実測値をそれぞれ代入して、4つの環境温度T(fs)、T(Vs)、T(fo)、T(Vo)を上記各濃度組合せ毎に算出するとともに、これら4つの環境温度T(fs)、T(Vs)、T(fo)、T(Vo)の分散を上記各濃度組合せ毎に算出し、
    上記分散が最小になった濃度組合せを構成しているメタノール濃度の値を、濃度算出結果とする、ことを特徴とするメタノール濃度の検出方法。
  2. 上記環境温度範囲の絞込みを、上記出力値fsに関する上記第2の近似式に、上記出力値fsの実測結果に応じて、想定されるメタノール濃度および蟻酸濃度の各々の最小値および最大値を代入することにより行う、ことを特徴とする請求項1記載のメタノール濃度の検出方法。
  3. 上記分散が最小になった濃度組合せを構成しているメタノール濃度の値および蟻酸濃度の値をそれぞれ中心にして、メタノール濃度の範囲および蟻酸濃度の範囲をさらに絞り込み、これに対応する環境温度範囲内で、上記第3の近似式を再度算出する、ことを特徴とする請求項1または2記載のメタノール濃度の検出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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