JP2016166430A - 耐油性紙材及びその製造方法、並びに組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温環境下における耐油性が向上された耐油性紙材を提供する。
【解決手段】紙材と、前記紙材のコート層を有さない面の少なくとも一部に含浸された水性フッ素樹脂と、を有することを特徴とする耐油性紙材。
【選択図】なし
【解決手段】紙材と、前記紙材のコート層を有さない面の少なくとも一部に含浸された水性フッ素樹脂と、を有することを特徴とする耐油性紙材。
【選択図】なし
Description
本発明は、耐油性紙材及びその製造方法、並びにその製造方法で用いられる組成物に関する。
唐揚げやコロッケ等の、油を含んだ食品を紙箱に収納すると、当該食品に含まれている油が紙箱にしみ込むことで、しみ跡が生じたり、極端な場合は油が紙箱の外側にしみ出したりする、という問題があった。
上述した油のしみ出しの問題は、紙箱の内面側となる面に耐油性のプラスチックフィルム層を設けることで解決することができるが、当該プラスチックフィルム層を形成する際に用いられるプラスチックとしては、撥油性が良好な水性フッ素樹脂が挙げられる。しかし、紙箱を構成する紙材に対する水性フッ素樹脂の密着性は必ずしも十分ではないため、水性フッ素樹脂からなる膜が形成されている紙材に折り曲げ等の負荷をかけると当該膜の一部が紙材から剥がれることで紙材自体の耐油性が低下する、という問題があった。
この問題に対して、特許文献1では、紙材と水性フッ素樹脂からなる層との間に水性ウレタン樹脂を含むアンカーコート層を設けて紙材に対する水性フッ素樹脂からなる層の密着性を向上させる手法が開示されている。
しかし、特許文献1の手法で得られた紙材から作製した紙箱に唐揚げやコロッケ等を入れて高温環境下で保管をすると、時間の経過と共に食品に含まれる油のしみ出しが発生するという問題があった。即ち、特許文献1の手法で得られた紙材では、唐揚げやコロッケ等を保温する什器のような高温環境下における耐油性が不十分であった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされるものであり、その目的は、高温環境下における耐油性が向上された耐油性紙材及びその製造方法、並びに組成物を提供することにある。
上記の課題を解決するために成された本発明の構成は以下の通りである。
即ち、本発明の耐油性紙材は、紙材と、前記紙材のコート層を有さない面の少なくとも一部に含浸された水性フッ素樹脂と、からなることを特徴とする。
本発明の耐油性紙材においては、透気度が3500秒以下であることが好ましい。
また本発明の耐油性紙材の製造方法は、少なくとも、紙材に、水性フッ素樹脂と、有機極性溶媒と、水と、を有する組成物を浸透させる浸透工程を有し、
前記紙材の透気度が3500秒以下であり、
前記組成物の表面張力が20mN/m〜28mN/mであることを特徴とする。
前記紙材の透気度が3500秒以下であり、
前記組成物の表面張力が20mN/m〜28mN/mであることを特徴とする。
本発明の耐油性紙材の製造方法においては、前記水性フッ素樹脂の固形分が、前記組成物に対して1.25%以上含まれていることが好ましい。
本発明の耐油性紙材の製造方法においては、前記水性フッ素樹脂の固形分が、前記組成物に対して1.25%以上15%以下含まれることが好ましい。
本発明の耐油性紙材の製造方法においては、前記有機極性溶媒が、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールから選択されるアルコールであることが好ましい。
本発明の耐油性紙材の製造方法においては、前記水が、前記組成物に対して3%〜50%含まれるのが好ましい。
本発明の耐油性紙材の製造方法においては、前記浸透工程が、前記紙材のコート層を有していない面に前記組成物を塗布する工程であるのが好ましい。
本発明の耐油性紙材の製造方法においては、前記浸透工程が、グラビア印刷方式で行われることが好ましい。
また本発明の組成物は、水性フッ素樹脂と、有機極性溶媒と、水と、を有し、
表面張力が20mN/m〜28mN/mであることを特徴とする。
表面張力が20mN/m〜28mN/mであることを特徴とする。
本発明によれば、高温環境下における耐油性が向上された耐油性紙材及びその製造方法、並びに組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。尚、以下の説明において、「%」は、特に説明がない限り、重量%をいう。
(1)耐油性紙材
本発明の耐油性紙材は、紙材と、この紙材のコート層を有さない面の少なくとも一部に含浸された水性フッ素樹脂と、を有する。
本発明の耐油性紙材は、紙材と、この紙材のコート層を有さない面の少なくとも一部に含浸された水性フッ素樹脂と、を有する。
本発明において、紙材に水性フッ素樹脂が含浸されたとは、紙材の内部に水性フッ素樹脂が存在することをいう。ここで、紙材の内部に水性フッ素樹脂が存在している態様としては、例えば、紙材を構成する繊維と繊維との間にある空間に水性フッ素樹脂が入り込む態様や、紙材の内部において紙材を構成する繊維と水性フッ素樹脂のポリマー鎖とが絡み合う態様が挙げられる。ただし、本発明においては、紙材に水性フッ素樹脂が完全に含浸されている必要はなく、水性フッ素樹脂の一部が紙材の表面上に存在していてもよい。
本発明のように、紙材に水性フッ素樹脂を含浸させると、水性フッ素樹脂が含浸された部分の紙材の表面には膜が形成されるわけではないため、当該表面において毛細管現象が起こらない。これにより、高温環境下に長時間紙材を置いたとしても水性フッ素樹脂が有する撥油性を発揮させることができる。このため、本発明の耐油性紙材は、従来のものと比較して高温環境下における耐油性が向上される。
(1−1)紙材(原紙)
本発明において用いられる紙材(原紙)は、水性フッ素樹脂を塗布する面、即ち、水性フッ素樹脂が含浸される面には、コート層を有していない。ここでいうコート層とは、主に美感や平滑さを高めるために紙材の表面に塗工した層のことをいう。一般的に、クレー(カオリン)や炭酸カルシウム等の白色顔料と、デンプン等の接着剤(バインダー)を混合したものを紙材の表面に塗工して形成される層がコート層である。また、シリコン等を塗工して形成される層も同じ効果を期待できるため、コート層となる。
本発明において用いられる紙材(原紙)は、水性フッ素樹脂を塗布する面、即ち、水性フッ素樹脂が含浸される面には、コート層を有していない。ここでいうコート層とは、主に美感や平滑さを高めるために紙材の表面に塗工した層のことをいう。一般的に、クレー(カオリン)や炭酸カルシウム等の白色顔料と、デンプン等の接着剤(バインダー)を混合したものを紙材の表面に塗工して形成される層がコート層である。また、シリコン等を塗工して形成される層も同じ効果を期待できるため、コート層となる。
本発明の耐油性紙材を構成する紙材(原紙)としては、透気度が3500秒以下のものが用いられる。ここで透気度が3500秒を超えると、紙材に水性フッ素樹脂が含浸しづらくなり紙材自体の耐油性が低下する。本発明において、紙材の透気度は、好ましくは、2500秒以下であり、より好ましくは、30秒以上1000秒以下である。尚、紙材の透気度は、例えば、王研式評価法によって評価することができる。
透気度が3500秒以下である紙材として、例えば、フロッシュホワイトS(日本製紙製)、CKB(ストラエンソ製)、パフォーマナチュア(ストラエンソ製)、タフアイボリー(北越紀州製紙製)、シェリイS(中越紙パルプ製)、ウルトラH(日本製紙製)等が挙げられる。
尚、本発明の耐油性紙材を構成する紙材の透気度は、水性フッ素樹脂を含浸させる前後においてあまり変動しない。このため、本発明の耐油性紙材の透気度は、好ましくは、3500秒以下であり、より好ましくは、2500秒以下であり、特に好ましくは、30秒以上1000秒以下である。
(1−2)水性フッ素樹脂
本発明の耐油性紙材を構成する水性フッ素樹脂は、親水性のフッ素樹脂である。ところで、フッ素樹脂は本来疎水性の高分子樹脂であるため、フッ素樹脂に親水性を具備させるには、例えば、下記(a)、(b)によりフッ素樹脂に親水性置換基を導入させる必要がある。
(a)高分子反応によるフッ素樹脂のポリマー鎖への親水性置換基の導入
(b)親水性置換基を有するモノマーを用いた重合反応によるフッ素樹脂の合成
本発明の耐油性紙材を構成する水性フッ素樹脂は、親水性のフッ素樹脂である。ところで、フッ素樹脂は本来疎水性の高分子樹脂であるため、フッ素樹脂に親水性を具備させるには、例えば、下記(a)、(b)によりフッ素樹脂に親水性置換基を導入させる必要がある。
(a)高分子反応によるフッ素樹脂のポリマー鎖への親水性置換基の導入
(b)親水性置換基を有するモノマーを用いた重合反応によるフッ素樹脂の合成
フッ素樹脂に親水性を具備させるための親水性置換基としては、ヒドロキシメチル基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−NH2)、スルホキシル基(−SO3H)等が挙げられる。
これら親水性置換基の導入先となるフッ素樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、2種類以上のフッ化エチレン(テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル)を組み合わせてなる共重合体、フッ化エチレン(テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル)とエチレンとの共重合体等が挙げられる。
(2)耐油性紙材の製造方法
次に、本発明の耐油性紙材の製造方法について説明する。本発明の耐油性紙材は、例えば、下記に示される工程を経て製造される。
(2a)紙材に浸透させる組成物を調製する工程(調製工程)
(2b)(2a)で調製した組成物を紙材に浸透させる工程(浸透工程)
(2c)組成物が浸透されている紙材を乾燥させる工程(乾燥工程)
次に、本発明の耐油性紙材の製造方法について説明する。本発明の耐油性紙材は、例えば、下記に示される工程を経て製造される。
(2a)紙材に浸透させる組成物を調製する工程(調製工程)
(2b)(2a)で調製した組成物を紙材に浸透させる工程(浸透工程)
(2c)組成物が浸透されている紙材を乾燥させる工程(乾燥工程)
以下、各工程について説明する。また以下の工程で用いられる本発明の組成物についても併せて説明する。
(2−1)調製工程
本発明の組成物は、紙材に浸透させる目的で用いられるものであり、少なくとも水性フッ素樹脂と、有機極性溶媒と、水と、を有する。
本発明の組成物は、紙材に浸透させる目的で用いられるものであり、少なくとも水性フッ素樹脂と、有機極性溶媒と、水と、を有する。
組成物に含まれる水性フッ素樹脂は、上述の親水性のフッ素樹脂である。ここで、本工程(調製工程)で使用される水性フッ素樹脂は、組成物中で他の物質・溶媒と混和できる態様であるならば、その具体的態様は特に限定されない。取扱いの容易さという観点で、エマルジョンや溶液の態様が好ましい。
本工程で使用することができる水性フッ素樹脂として、例えば、AG−E070(旭硝子製)、ソルベラPT5060(ソルベイ社製)、ユニダインTG8111(ダイキン製)、ユニダインTG8811(ダイキン製)等が挙げられる。
本発明において、組成物に含まれる水性フッ素樹脂は、好ましくは、その固形分が組成物に対して1.25%以上含まれる。より好ましくは、1.25%〜15%の割合で含まれる。ここで、組成物に対する水性フッ素樹脂の固形分の含有量が1.25%未満の場合、水性フッ素樹脂の含浸による耐油性の向上の効果が現われにくくなることがある。一方、水性フッ素樹脂の固形分の含有量が15%を超えると、水性フッ素樹脂が紙材へ含浸しにくくなる結果、やはり耐油性の向上の効果が現われにくくなることがある。
組成物に含まれる有機極性溶媒は、水性フッ素樹脂を紙材に含浸させる役割を果たす溶媒である。また本工程で使用される有機極性溶媒は、例えば、比較的温和な条件(例えば、100℃以下の温度条件)で蒸発すること、人体に有害でないこと等の要件を満たす溶媒から適宜選択される。
本工程で使用される有機極性溶媒として、アルコール等が挙げられる。好ましくは、アルコールである。より好ましくは、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールから選択されるアルコールである。
本発明において、有機極性溶媒は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を適宜混合して使用してもよい。
本発明の組成物には水が含まれる。本発明の組成物に含まれる水として、例えば、組成物を調製する際に使用されるエマルジョンや溶液の溶媒に由来するもの、本発明の組成物を調製する際に添加される水等が挙げられる。本発明において、組成物に含まれる水の含有量は、好ましくは、3%〜50%であり、より好ましくは、3%〜30%であり、特に好ましくは、3%〜15%である。
本発明において、本工程で調製される組成物には、水性フッ素樹脂、有機極性溶媒及び水の他に、界面活性剤、PVA等が含まれていてもよい。
本発明において、本工程で調製される組成物は、その表面張力が20mN/m〜28mN/mである。組成物の表面張力をこの範囲に制御することにより、組成物中の水性フッ素樹脂を紙材へ効率的に含浸させることができる。本発明において、組成物の表面張力は、好ましくは、20mN/m〜23mN/mである。
本工程で調製される組成物の表面張力は、組成物に含まれる水性フッ素樹脂及び極性有機溶媒の含有量や組成物に含まれ得る水の含有量等によって変化する。
例えば、組成物中の水性フッ素樹脂の含有量が増加すると、組成物の表面張力が大きくなる傾向にある。一方、組成物中の有機極性溶媒の含有量が増加すると、組成物の表面張力が小さくなる傾向にある。ただし、有機極性溶媒そのものの表面張力よりも小さくなることはない。特に、有機極性溶媒がメタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールから選択されるアルコールである場合、この傾向は顕著に現われる。他方、組成物に含まれ得る水の含有量が増加すると、組成物の表面張力が大きくなる傾向にある。
以上の傾向を考慮しつつ、少なくとも組成物中の水性フッ素樹脂及び有機極性溶媒の含有量を適宜調整する。尚、組成物の表面張力は、例えば、懸適法(ペンダントドロップ法)で評価することができる。
(2−2)浸透工程
本発明においては、組成物を紙材に浸透させることができるのであれば、紙材に組成物を浸透させる具体的方法は、特に限定されない。尚、本発明においては、一方の面にコート層を有する紙材を使用することができるが、一方の面にコート層を有する紙材を使用する場合、コート層を有していない面に前工程で調製した組成物を塗布するのが好ましい。組成物を紙材に浸透させる方法として、好ましくは、グラビア印刷方式である。グラビア印刷方式では、紙材へ浸透させるために使用される組成物の量を節約することができるからである。また本発明においては、組成物を紙材に浸透させる方法としてはグラビア印刷方式に限らず、グラビア印刷方式(凹版印刷)と同様の機構である印刷機やコーターを用いる方法も採用することができる。
本発明においては、組成物を紙材に浸透させることができるのであれば、紙材に組成物を浸透させる具体的方法は、特に限定されない。尚、本発明においては、一方の面にコート層を有する紙材を使用することができるが、一方の面にコート層を有する紙材を使用する場合、コート層を有していない面に前工程で調製した組成物を塗布するのが好ましい。組成物を紙材に浸透させる方法として、好ましくは、グラビア印刷方式である。グラビア印刷方式では、紙材へ浸透させるために使用される組成物の量を節約することができるからである。また本発明においては、組成物を紙材に浸透させる方法としてはグラビア印刷方式に限らず、グラビア印刷方式(凹版印刷)と同様の機構である印刷機やコーターを用いる方法も採用することができる。
ただし、使用される組成物の性質、例えば、組成物の粘度等の観点から、グラビア印刷方式以外の印刷方式の中でも、スクリーン印刷方式、フレキソ印刷方式、オフセット印刷方式といった印刷方式は利用することはできない。
一方、グラビア印刷方式を用いて紙材に組成物を浸透させる場合、版と接触する紙材の面にはコート層が設けられていないことが好ましい。コート層が設けられていると、このコート層が紙材に組成物を浸透させる際に支障となるからである。仮に、片方の面にコート層を有する紙材に組成物を浸透させる場合は、コート層がないもう一方の面に版を接触させるのが好ましい。
(2−3)乾燥工程
浸透工程の後、組成物を浸透させた紙材を乾燥させることで、本発明の耐油性紙材が得られる。組成物を浸透させた紙材を乾燥させる方法としては、特に限定されず、自然乾燥、加熱乾燥のいずれも採用することができる。加熱乾燥を選択する場合、加熱温度としては、通常、組成物に含まれる溶媒(有機極性溶媒、水)が蒸発される温度とする。
浸透工程の後、組成物を浸透させた紙材を乾燥させることで、本発明の耐油性紙材が得られる。組成物を浸透させた紙材を乾燥させる方法としては、特に限定されず、自然乾燥、加熱乾燥のいずれも採用することができる。加熱乾燥を選択する場合、加熱温度としては、通常、組成物に含まれる溶媒(有機極性溶媒、水)が蒸発される温度とする。
(2−4)その他
尚、以上説明した製造プロセスのうち、浸透工程や浸透工程と乾燥工程とを組み合わせたプロセスについては、場合によっては2回以上行ってもよい。特に、組成物中に水性フッ素樹脂が十分に含まれていない場合に、紙材により多くの水性フッ素樹脂を含浸させる目的で、浸透工程や浸透工程と乾燥工程とを組み合わせたプロセスを2回以上行ってもよい。ただし、製造コスト等の問題から、浸透工程及び乾燥工程は1回で完結させるのが好ましい。
尚、以上説明した製造プロセスのうち、浸透工程や浸透工程と乾燥工程とを組み合わせたプロセスについては、場合によっては2回以上行ってもよい。特に、組成物中に水性フッ素樹脂が十分に含まれていない場合に、紙材により多くの水性フッ素樹脂を含浸させる目的で、浸透工程や浸透工程と乾燥工程とを組み合わせたプロセスを2回以上行ってもよい。ただし、製造コスト等の問題から、浸透工程及び乾燥工程は1回で完結させるのが好ましい。
(1)組成物の調製
まず、後述する浸透工程で使用する組成物を調製した。
まず、後述する浸透工程で使用する組成物を調製した。
(1−1)使用した材料
以下に、実施例(実施例1〜12)及び比較例(比較例1〜14)のいずれかにおいて、組成物の調製の際に使用した材料を示す。
水性フッ素樹脂:ソルベイ社製、ソルベラPT5060(エマルジョン状、固形分25%含有)
有機極性溶媒:エタノール
水:精製水
PVA:クラレ社製、クラレ117(溶液状、固形分10%含有)
以下に、実施例(実施例1〜12)及び比較例(比較例1〜14)のいずれかにおいて、組成物の調製の際に使用した材料を示す。
水性フッ素樹脂:ソルベイ社製、ソルベラPT5060(エマルジョン状、固形分25%含有)
有機極性溶媒:エタノール
水:精製水
PVA:クラレ社製、クラレ117(溶液状、固形分10%含有)
各実施例及び比較例において、それぞれ下記表1に示す割合で、水性フッ素樹脂、有機極性溶媒、水及びPVAのいずれかを混合して組成物を調製した。
(1−2)組成物の表面張力の評価
各実施例及び比較例にて調製した組成物は、DropMaster DM−SA(共和界面科学社製)を用いて、懸適法(ペンダントドロップ法)により表面張力の評価を行った。結果を表1に示す。
各実施例及び比較例にて調製した組成物は、DropMaster DM−SA(共和界面科学社製)を用いて、懸適法(ペンダントドロップ法)により表面張力の評価を行った。結果を表1に示す。
(2)紙材への組成物の浸透(浸透工程)
次に、上記(1)で調製した組成物を、紙材に浸透させた。
次に、上記(1)で調製した組成物を、紙材に浸透させた。
(2−1)紙材
ここで、実施例及び比較例で使用した紙材及び当該紙材の斤量を以下に挙げる。
フロッシュホワイトS(日本製紙製)255g/m2
CKB(ストラエンソ製)210g/m2
パフォーマナチュア(ストラエンソ製)230g/m2
タフアイボリー(北越紀州製紙製)230g/m2
ハイパール 230g/m2
ハイクリーンコート 260g/m2
パールカード 260g/m2
ウルトラH(日本製紙製)230g/m2
OKフレース 230g/m2
ここで、実施例及び比較例で使用した紙材及び当該紙材の斤量を以下に挙げる。
フロッシュホワイトS(日本製紙製)255g/m2
CKB(ストラエンソ製)210g/m2
パフォーマナチュア(ストラエンソ製)230g/m2
タフアイボリー(北越紀州製紙製)230g/m2
ハイパール 230g/m2
ハイクリーンコート 260g/m2
パールカード 260g/m2
ウルトラH(日本製紙製)230g/m2
OKフレース 230g/m2
(2−2)透気度の評価方法
上記紙材は、王研式透気度平滑度試験機デジタル型(熊谷理機工業社製)を用いて、JISP8155(王研法)により組成物を浸透させる前における透気度を評価した。結果を下記表2に示す。
上記紙材は、王研式透気度平滑度試験機デジタル型(熊谷理機工業社製)を用いて、JISP8155(王研法)により組成物を浸透させる前における透気度を評価した。結果を下記表2に示す。
(2−3)組成物の浸透
実施例及び比較例において、紙材に組成物を浸透させる方法としては、グラビア印刷法又はフレキソ印刷法を選択した。ここで、グラビア印刷法を選択する場合、印刷機として、Kプリンティングプルーファー(RK Print Coat Instruments社製)を用い、100L/40μm(1インチ当たりのセル容量:0.02cm3)の印刷版を用いた。一方、フレキソ印刷法を選択する場合、印刷機として、フレキシプルーフ100(RK Print Coat Instruments社製)を用いた。各実施例及び比較例において選択した紙材及び印刷方式(組成物の浸透方法)を下記表3に示す。尚、比較例2の原紙は、両面にコート層が設けられており、それ以外は、片面にコート層を有す原紙であり、比較例2以外の原紙においてはコート層を有さない面に組成物を浸透させた。
実施例及び比較例において、紙材に組成物を浸透させる方法としては、グラビア印刷法又はフレキソ印刷法を選択した。ここで、グラビア印刷法を選択する場合、印刷機として、Kプリンティングプルーファー(RK Print Coat Instruments社製)を用い、100L/40μm(1インチ当たりのセル容量:0.02cm3)の印刷版を用いた。一方、フレキソ印刷法を選択する場合、印刷機として、フレキシプルーフ100(RK Print Coat Instruments社製)を用いた。各実施例及び比較例において選択した紙材及び印刷方式(組成物の浸透方法)を下記表3に示す。尚、比較例2の原紙は、両面にコート層が設けられており、それ以外は、片面にコート層を有す原紙であり、比較例2以外の原紙においてはコート層を有さない面に組成物を浸透させた。
紙材に組成物を浸透させた後で再度紙材の透気度を測定したところ、いずれのサンプルにおいても組成物を浸透させる前と後とにおいて紙材の透気度の変化はなかった。また表3に示されているが、比較例4においては、組成物を紙材に浸透させることができなかった。これは、紙材に組成物を浸透させる際に用いられる版の上に組成物を乗せることが困難であるため、印刷しても、紙面上にごくわずかの量しか組成物を浸透できなかったからである。また表3より、比較例9及び10においても、組成物を紙材に浸透させることができなかった。これは、用いた組成物の表面張力が大きすぎるため、紙面上に組成物を塗布することはできるが紙面内に浸透させることができなかったからである。一方、組成物を紙材に浸透させることができたものについては、組成物を浸透させた紙材を乾燥させることでサンプルを得た。
(3)耐油性の評価
得られたサンプルについて、以下に説明する方法により耐油性の評価を行った。具体的には、サンプルの表面にサラダ油を滴下した後、このサンプルを85℃の温度環境下で24時間置いた。尚、サンプルを上記温度環境下に置き始めてから1時間ごとにサンプルを観察して油のしみ出しがあるかないかを確認した。以下に評価基準を示す。
○:24時間後においてもサラダ油が滴下した面の裏面に染み出さない、又は24時間後においてサラダ油が滴下した面の裏面に染み出したしみの直径が2mm未満である。
×:24時間においてサラダ油が滴下した面の裏面に染み出したしみの直径が2mm以上である。
得られたサンプルについて、以下に説明する方法により耐油性の評価を行った。具体的には、サンプルの表面にサラダ油を滴下した後、このサンプルを85℃の温度環境下で24時間置いた。尚、サンプルを上記温度環境下に置き始めてから1時間ごとにサンプルを観察して油のしみ出しがあるかないかを確認した。以下に評価基準を示す。
○:24時間後においてもサラダ油が滴下した面の裏面に染み出さない、又は24時間後においてサラダ油が滴下した面の裏面に染み出したしみの直径が2mm未満である。
×:24時間においてサラダ油が滴下した面の裏面に染み出したしみの直径が2mm以上である。
各実施例及び比較例(比較例4、9及び10を除く)における評価結果を下記表4に示す。
表4より、本発明に係る耐油性紙材は、高温環境下に長時間置いた場合においても耐油性を発揮することがわかった。
Claims (10)
- 紙材と、前記紙材のコート層を有さない面の少なくとも一部に含浸された水性フッ素樹脂と、からなることを特徴とする耐油性紙材。
- 透気度が3500秒以下であることを特徴とする請求項1に記載の耐油性紙材。
- 少なくとも、紙材に、水性フッ素樹脂と、有機極性溶媒と、水と、を有する組成物を浸透させる浸透工程を有し、
前記紙材の透気度が3500秒以下であり、
前記組成物の表面張力が20mN/m〜28mN/mであることを特徴とする耐油性紙材の製造方法。 - 前記水性フッ素樹脂の固形分が、前記組成物に対して1.25%以上含まれていることを特徴とする請求項3に記載の耐油性紙材の製造方法。
- 前記水性フッ素樹脂の固形分が、前記組成物に対して1.25%以上15%以下含まれることを特徴とする請求項3又は4に記載の耐油性紙材の製造方法。
- 前記有機極性溶媒が、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールから選択されるアルコールであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の耐油性紙材の製造方法。
- 前記水が、前記組成物に対して3%〜50%含まれることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の耐油性紙材の製造方法。
- 前記浸透工程が、前記紙材のコート層を有していない面に前記組成物を塗布する工程であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の耐油性紙材の製造方法。
- 前記浸透工程が、グラビア印刷方式で行われることを特徴とする請求項3〜8のいずれか一項に記載の耐油性紙材の製造方法。
- 水性フッ素樹脂と、有機極性溶媒と、水と、を有し、
表面張力が20mN/m〜28mN/mであることを特徴とする組成物。
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2015
- 2015-03-09 JP JP2015045679A patent/JP2016166430A/ja active Pending
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