JP2016166284A - 新規な有機化合物およびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】近赤外領域に吸収帯を有する新規な有機化合物、並びにそれを用いた赤外吸収材料、薄膜、及び有機エレクトロニクスデバイスの提供。
【解決手段】式(I)で表される有機化合物。
Figure 2016166284

(Z1及びZ2は各々独立にナフタレン環;Z3及びZ4は各々独立に置換/未置換の芳香族炭化水素基又は置換/未置換の芳香族複素環基;X1及びX2は各々独立にハロゲン原子、O、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、又はアリールオキシ基;X1及びX2は互いに結合して環状構造を形成していてもよい;X1はZ3と結合して環状構造を形成していてもよい;X2はZ4と結合して環状構造を形成していてもよい)
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な有機化合物、並びに赤外吸収材料、薄膜、及び有機エレクトロニクスデバイスへの上記有機化合物の利用に関する。本発明は、特に、近赤外領域に吸収帯を有する新規な有機化合物、並びに、この有機化合物を含む赤外吸収材料、薄膜、及び有機エレクトロニクスデバイスに関する。
700〜2000nmの近赤外領域に吸収を有する近赤外吸収材料は、従来から産業上の様々な用途への応用が検討されている。例を挙げると、近赤外吸収材料は、CD−R(Compact Disk-Recordable)等の光情報記録媒体;サーマルCTP(Computer To Plate)、フラッシュトナー定着、レーザー感熱記録等の印刷用途;熱遮断フィルム等の用途に利用されている。さらには、近赤外吸収材料は、選択的に特定波長域の光を吸収するというその特性を用いて、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)フィルター等に用いられる近赤外線カットフィルターや、植物成長調整用フィルム等にも使用されている。一方、近赤外吸収色素は、溶媒に溶解又は分散させることにより、近赤外吸収インクとして使用することも可能である。該近赤外吸収インクによる印字物は、目視では認識が困難であり、近赤外線検出器等でのみで読み取りが可能であることから、例えば偽造防止等を目的とした印字等に使用される。
このような不可視画像形成用の赤外吸収材料としては、無機系の赤外吸収材料と、有機系の赤外吸収材料とが既に知られている。このうち、無機系の赤外吸収材料としては、イッテルビウム等の希土類金属や、銅リン酸結晶化ガラス等が知られている。しかしながら、無機系の赤外吸収材料は、近赤外領域の光の吸収性が十分でないために、不可視画像の単位面積あたりに多量の赤外吸収材料が必要となる。そのため、無機系の赤外吸収材料によって不可視画像を形成した場合、その表面上にさらに可視画像を形成すると、下側の不可視画像の凹凸が表面側の可視画像に影響を与えてしまう。
それに対し、有機系の赤外吸収材料は、近赤外領域の光の吸収性が十分であるために、不可視画像の単位面積あたりの使用量が少なくてすむので、無機系の赤外吸収材料を使用した場合のような不都合は生じない。そのため、現在に至るまで多くの有機系近赤外吸収材料の開発が進められている。
例えば、下記特許文献1には、有機系の近赤外吸収材料として、下記一般式(VI)
Figure 2016166284
(式(VI)において、Metは、2個の水素原子、2価の金属原子、3価もしくは4価の置換金属原子を表し、A1〜A8は、同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアルキルチオ基又は置換もしくは非置換のアリールチオ基を表し、但し、A1とA2、A3とA4、A5とA6、A7とA8の各組み合わせにおいて、その両方が同時に水素原子又はハロゲン原子になることはなく、Y1〜Y16は、同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリールオキシ基、置換もしくは非置換のアルキルチオ基、置換もしくは非置換のアリールチオ基、置換もしくは非置換のアルキルアミノ基、置換もしくは非置換のジアルキルアミノ基、置換もしくは非置換のアリールアミノ基、置換もしくは非置換のジアリールアミノ基、置換もしくは非置換のアルキルアリールアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ニトロ基、ニトリル基、オキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基又はモノもしくはジ置換アミノカルボニル基を表す)
で表されるナフタロシアニン色素化合物が開示されている。
しかしながら、ナフタロシアニン色素化合物は、製造方法の煩雑さ、及び溶解性の調整の困難さがあることから、一般の工業的には、対イオン性色素化合物を近赤外吸収材料として用いることが通常となっている。
下記特許文献2には、赤外領域に光吸収性を有する赤外線吸収物質の例として、下記一般式(VII)
Figure 2016166284
(式中、R2は水素又は炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数2〜5のアルキル基、X-はClO4 -、BF4 -、CCl3COO-、CF3COO-、SbF6 -、C65SO3 -、C25SO3 -、PO4 -のいずれか又は混合物を表す)
で表されるアミニウム化合物が開示されている。
また、下記特許文献3には、近赤外領域に光吸収性を有する有機色素化合物の例として、下記一般式(VIII)
Figure 2016166284
(式中、Y-は過塩素酸イオン等の陰イオンを表す)
で表されるインドレニン化合物が開示されている。
さらに、下記特許文献4には、近赤外領域に吸収帯を持つ有機化合物の例として、下記一般式(IX)
Figure 2016166284
(式中、Rは、水素原子又はアルキル基を示し、更に置換アルキル基、環式アルキル基、アリル基、アラルキル基、置換アラルキル基、置換もしくは無置換アリール基、置換もしくは無置換の複素環基、置換もしくは無置換スチリル基を示し、mは0または1であり、nは、0、1、又は2である。Y-は、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、過塩素酸塩イオン、ベンゼンスルホン酸塩イオン、p−トルエンスルホン酸塩イオン、メチル硫酸塩イオン、エチル硫酸塩イオン、プロピル硫酸塩イオンなどの陰イオンである。)
で表されるポリメチン化合物が開示されている。
特開2007−3944号公報 特開平7−271081号公報 特公平5−37119号公報 特開昭58−219090号公報
しかしながら、前記従来の分子間イオン性錯体を形成し、近赤外領域に吸収を有する有機化合物は、光に対する安定性が低い。そのため、工業的な利用可能性が高く、かつ光耐久性の高い、近赤外領域に吸収帯を有する有機化合物の開発が望まれている。特に、有機光電変換素子をはじめとする種々の有機エレクトロニクスデバイス用途の材料は、正孔輸送性又は電子輸送性、プロセス温度に対する耐熱性等の要求性能が高く、十分な性能を有する材料を提供することが求められている。
また、有機エレクトロニクスデバイス等へ使用可能な加工容易性を有する、近赤外領域に吸収帯を有する有機化合物の開発が望まれている。ここで、加工容易性とは、有機化合物を溶液状態で塗布することが可能である、真空蒸着やスパッタなどの物理堆積法により有機化合物をデバイスへ加工しやすい等、有機化合物の加工プロセスが容易であることを示す。
本発明の目的は、近赤外領域に吸収帯を有する新規な有機化合物を提供することにある。より詳しくは、本発明の目的は、工業的に利用可能で、高光耐久性を持ち、さらに有機エレクトロニクスデバイス等へ使用可能な加工容易性を有する、近赤外吸収有機化合物を提供することにある。本発明の目的は、特に、薄膜トランジスタ、有機光電変換素子、有機太陽電池素子、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子等の有機エレクトロニクスデバイスに応用可能な有機化合物を提供することにある。本発明の他の目的は、この新規な有機化合物を含む赤外吸収材料、薄膜、及び有機エレクトロニクスデバイスを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、ボロンジピロメテン骨格に着目した。そして、種々の検討を重ねた結果、近赤外領域に吸収帯を有する、新規なボロンジピロメテン骨格を含有する有機化合物を開発し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
[1]下記一般式(I)
Figure 2016166284
(Z1及びZ2はそれぞれ独立してナフタレン環を表し、Z3及びZ4はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、X1及びX2はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、酸素原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、又はアリールオキシ基を表し、X1及びX2は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、X1はZ3と結合して環状構造を形成していてもよく、X2はZ4と結合して環状構造を形成していてもよい)
で表される有機化合物。
[2]前項[1]に記載の有機化合物であって、下記一般式(II)
Figure 2016166284
(Z1は及びZ2はそれぞれ独立してナフタレン環を表し、Z3及びZ4はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す)
で表される有機化合物。
[3]前項[1]に記載の有機化合物であって、下記一般式(III)
Figure 2016166284
(Z1は及びZ2はそれぞれ独立してナフタレン環を表し、Z3及びZ4はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す)
で表される有機化合物。
[4]前項[2]に記載の有機化合物であって、
下記一般式(IV)
Figure 2016166284
(Z3及びZ4はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す)
で表される有機化合物。
[5]前項[3]に記載の有機化合物であって、下記一般式(V)
Figure 2016166284
(Z3及びZ4はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す)
で表される有機化合物。
[6]前項[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の有機化合物を含む赤外吸収材料。
[7]前項[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の有機化合物を含む薄膜。
[8]前項[1]乃至[5]のいずれか1項に記載の有機化合物を含む有機エレクトロニクスデバイス。
本発明の有機化合物は、近赤外領域に吸収帯を有する新規な近赤外吸収化合物であり、また、高い光耐久性及び良好な加工容易性(プロセス性)を有する。また、本発明の赤外吸収材料は、本発明の有機化合物を用いたものであるので、新規な赤外吸収材料であり、また、高い光耐久性及び良好な加工容易性を有する。また、本発明の薄膜及び有機エレクトロニクスデバイスは、本発明の有機化合物を用いたものであるので、容易に製造でき、高い光耐久性を有する。
本発明による好ましい薄膜トランジスタの一例を示す断面図である。 本発明による好ましい薄膜トランジスタの他の一例を示す断面図である。 本発明による好ましい薄膜トランジスタのさらに他の一例を示す断面図である。 本発明による好ましい薄膜トランジスタのさらに他の一例を示す断面図である。 本発明による好ましい薄膜トランジスタのさらに他の一例を示す断面図である。 本発明による好ましい薄膜トランジスタのさらに他の一例を示す断面図である。 本発明による好ましい薄膜トランジスタの一例の製造方法を説明するための図である。 本発明による好ましい有機光電変換素子の断面図である。 実施例4の薄膜についての、波長―吸光度の時間変化を示す波長―吸光度グラフである。 比較例1の薄膜についての、波長―吸光度の時間変化を示す波長―吸光度グラフである。 比較例2の薄膜についての、波長―吸光度の時間変化を示す波長―吸光度グラフである。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の有機化合物は、下記一般式(I)
Figure 2016166284
で表される。
上記式(I)中、Z1及びZ2はそれぞれ独立して、ナフタレン環を表し、ピロール環に対するナフタレン環の縮合位置はナフタレン環の1,2位、2,1位、2,3位のいずれでもよい。
上記式(I)中のZ3及びZ4はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Z3及びZ4はそれぞれ、X1又はX2と結合していない場合には1価基であり、X1又はX2と結合して環状構造を形成している場合には2価基である。1価基の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、アズレン基(1価基)等が挙げられるが、フェニル基が好ましい。2価基の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナントリル基、アズレン基(2価基)等が挙げられるが、フェニレン基が好ましい。1価の芳香族複素環基としては、例えば、チオフェン、フラン、ピロール、ピリジン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン等の芳香族複素環化合物から水素を1つ取り去ることにより誘導される1価基が挙げられ、2価の芳香族複素環基としては、これらの芳香族複素環化合物から水素を2つ取り去ることにより誘導される2価基が挙げられる。
上記式(I)中のZ3及びZ4の芳香族炭化水素基や芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、アリール基(芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基)、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、ニトロ基、置換アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、又はアルキルカルバモイル基が挙げられる。上記アリール基としては、前述した1価基の芳香族炭化水素基及び1価基の芳香族複素環基が挙げられる。上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などが挙げられる。上記シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。上記ハロゲン基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。上記アルキルオキシ基としては、酸素原子に上記アルキル基が結合したものが挙げられるが、酸素原子の数、位置、分岐数は問わない。上記アルキルチオ基としては、硫黄原子に上記アルキル基が結合したものが挙げられるが、硫黄原子の数、位置、分岐数は問わない。上記置換アミノ基としては、アミノ基の水素原子が上記各種の置換基で置換されたものが挙げられる。上記アシル基としては、カルボニル基に上記アリール基、アルキル基、又はシクロアルキル基が結合したものが挙げられ、上記アシルオキシ基としては、上記アシル基のカルボニル炭素原子が酸素原子に結合したものが挙げられる。上記アルキルスルファモイル基としては、スルファモイル基の水素原子が上記アルキル基で置換されたものが挙げられる。上記アルキルカルバモイル基としては、カルバモイル基の水素原子が上記アルキル基で置換されたものが挙げられる。また、上記芳香族炭化水素基や芳香族複素環基が有していてもよい置換基の数に特に制限は無く、また、Z3及びZ4が異なる置換基を有することもできる。
1及びX2はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、酸素原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、又はアリールオキシ基を表す。上記アルキルオキシ基としては、前述したアルキルオキシ基が挙げられる。上記アリールオキシ基としては、酸素原子に上記アリール基が結合したものが挙げられるが、酸素原子の数、位置、分岐数は問わない。上記式(I)中のX1及びX2は、アルキルオキシ基又はアリールオキシ基である場合には、互いに結合して環状構造を形成していてもよい。また、上記式(I)中のX1は、アルキルオキシ基又はアリールオキシ基である場合には、Z3と結合して環状構造を形成していてもよく、酸素原子である場合には、Z3と結合して環状構造を形成する。同様に、上記式(I)中のX2は、アルキルオキシ基又はアリールオキシ基である場合には、Z4と結合して環状構造を形成していてもよく、酸素原子である場合には、Z4と結合して環状構造を形成する。
一般式(I)で表される有機化合物において、X1及びX2の両方がフッ素原子又は酸素原子であることが好ましい。すなわち、一般式(I)で表される有機化合物のうちで、下記一般式(II)
Figure 2016166284
で表される有機化合物、及び下記一般式(III)
Figure 2016166284
で表される有機化合物が好ましい。
上記式(II)及び式(III)中のZ1〜Z4の定義は、上記式(I)中のZ1〜Z4の定義と同様であるが、上記式(II)中のZ3及びZ4は1価基であり、上記式(II)中のZ3及びZ4は2価基である。
一般式(II)で表される有機化合物において、Z1及びZ2の両方が、ピロール環に2,3位で縮合したナフタレン環であることが好ましい。すなわち、一般式(II)で表される有機化合物のうちで、下記一般式(IV)
Figure 2016166284
で表される有機化合物が好ましい。
一般式(III)で表される有機化合物において、Z1及びZ2の両方が、ピロール環に2,3位で縮合したナフタレン環であることが好ましい。すなわち、一般式(III)で表される有機化合物のうちで、下記一般式(V)
Figure 2016166284
一般式(II)で表される有機化合物の具体例を下記するが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2016166284
Figure 2016166284
一般式(III)で表される有機化合物の具体例を下記するが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2016166284
一般式(IV)で表される有機化合物の具体例を下記するが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2016166284
Figure 2016166284
一般式(V)で表される有機化合物の具体例を下記するが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2016166284
Figure 2016166284
上記一般式(I)で表される有機化合物は、例えば下記の反応工程 (Yuji Kubo, Yu Minowa, Takayuki Shoda, Kimiya Takeshita; Tetrahedron Letters. 2010, 51, pp.1600-1602を参照)と同様にして得られる。
Figure 2016166284
すなわち、例えば、上記一般式(II)及び(III)で表される有機化合物は、下記反応工程で得られる。
Figure 2016166284
上記反応工程において、化合物(A)及び化合物(B)(Z1とZ2とが同一である場合には、化合物(A)及び化合物(B)は単一の化合物)を反応させて化合物(C)を得る工程(c)は、例えば、アルコール及び酢酸の混合溶媒中、アンモニウム塩(例えば、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム)又はアンモニア水を加えることによって行うことができる。上記反応工程における化合物(C)から一般式(II)で表される有機化合物を得る工程(b)は、例えば化合物(C)を第三級アミン(例えば、トリエチルアミン)の存在下で三フッ化ホウ素類(例えば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体)と反応させることによって行うことができる。上記反応工程における一般式(II)で表される有機化合物から一般式(III)で表される有機化合物を得る工程(c)は、例えば、一般式(II)で表される有機化合物を三臭化ホウ素と反応させることによって行うことができる。
上記一般式(I)で表される有機化合物の精製方法は、特に限定されず、再結晶、カラムクロマトグラフィー及び真空昇華精製等の公知の方法が採用できる。また、必要に応じてこれらの方法を組み合わせて用いても良い。
〔赤外吸収材料、薄膜〕
本発明の赤外吸収材料は、本発明の一般式(I)で表される有機化合物を含有する。本発明の赤外吸収材料は、本発明の一般式(I)で表される有機化合物のみで構成されていてもよいが、本発明の一般式(I)で表される有機化合物以外に、公知の赤外吸収物質を含んでいてもよい。
本発明の一般式(I)で表される有機化合物を含む材料を用いて、薄膜を作製することができる。該薄膜の膜厚は、その用途によって異なるが、通常0.01nm〜10μmであり、好ましくは0.05nm〜3μmであり、より好ましくは0.1nm〜1μmである。
薄膜の形成方法としては、一般的に、真空プロセスである抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法などの気相法;スピンコート法、ドロップキャスト法、ディップコート法、スプレー法などの溶液法;フレキソ印刷法、樹脂凸版印刷法などの凸版印刷法、オフセット印刷法、ドライオフセット印刷法、パッド印刷法などの平版印刷法、グラビア印刷法などの凹版印刷法、シルクスクリーン印刷法などのスクリーン印刷法、謄写版印刷法、リソグラフ印刷法などの孔版印刷法、インクジェット印刷法、マイクロコンタクトプリント法等の印刷法;これらの手法を複数組み合わせた方法等が挙げられる。
上記の中でも、真空プロセスである抵抗加熱蒸着法や、溶液プロセスであるスピンコート法、ディップコート法、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、凸版印刷法等が好ましい。
〔有機エレクトロニクスデバイス〕
本発明の一般式(I)で表される有機化合物をエレクトロニクス用途の材料として用いて、有機エレクトロニクスデバイスを作製することができる。有機エレクトロニクスデバイスとしては、例えば、薄膜トランジスタ、有機光電変換素子、有機太陽電池素子、有機EL素子、有機発光トランジスタ素子、有機半導体レーザー素子などが挙げられる。これらについて詳細に説明する。
〔薄膜トランジスタ〕
薄膜トランジスタは、半導体に接して2つの電極(ソース電極及びドレイン電極)があり、それらの電極間に流れる電流を、ゲート電極と呼ばれるもう一つの電極に印加する電圧で制御するものである。
一般に、薄膜トランジスタ(素子)には、ゲート電極が絶縁膜で半導体と絶縁されている構造(Metal−Insulator−Semiconductor;MIS構造)がよく用いられる。MIS構造において絶縁膜に金属酸化物を用いたものは、MOS(Metal-Oxide-Semiconductor)構造と呼ばれる。薄膜トランジスタ素子の他の構造としては、半導体薄膜に対してショットキー障壁を介してゲート電極が形成されている構造(すなわちMES(MEtal-Semiconductor)構造)もあるが、有機半導体材料を用いた薄膜トランジスタの場合、MIS構造がよく用いられる。
以下、図1A〜図1Fを用いて有機系の薄膜トランジスタのいくつかの態様例を示す。図1A〜図1Fに示す各態様例の薄膜トランジスタは、ソース電極1、半導体層2、ドレイン電極3、絶縁体層4、ゲート電極5を備えており、図1Eに示す態様例の薄膜トランジスタを除いて基板6をさらに備えている。なお、各層2・4や電極1・3・5、基板6の配置は、素子の用途により適宜選択できる。図1A〜図1D、図1Fに示す各態様例の薄膜トランジスタは、基板6と平行な方向に電流が流れるので、横型トランジスタと呼ばれる。図1Aに示す構造はボトムコンタクトボトムゲート構造、図1Bに示す構造はトップコンタクトボトムゲート構造と呼ばれる。また、図1Cに示す構造は、半導体層2上にソース電極1及びドレイン電極3、並びに絶縁体層4を設け、さらに絶縁体層4の上にゲート電極5を形成した構造であり、トップコンタクトトップゲート構造と呼ばれている。図1Dに示す構造は、トップ&ボトムコンタクト型トランジスタと呼ばれる構造である。図1Fに示す構造は、ボトムコンタクトトップゲート構造である。図1Eは、縦型の構造をもつトランジスタ、すなわち静電誘導トランジスタ(SIT)の模式図である。このSITは、電流の流れが平面状に広がるので、一度に大量のキャリアが移動できる。また、このSITは、ソース電極1とドレイン電極3とが縦に配置されているので、電極間距離を小さくできるため、応答が高速である。従って、このSITは、大電流を流す、高速のスイッチングを行うなどの用途に好ましく適用できる。なお、図1Eには基板を示していないが、通常の場合、図1E中のソース電極1又はドレイン電極3の外側には基板が設けられる。
各態様例における各構成要素につき説明する。
基板6は、その上に形成される各層が剥離することなく保持できることが必要である。例えば、樹脂板、樹脂フィルム、紙、ガラス板、石英板、セラミック板などの絶縁性基板;金属や合金などの導電性基板上にコーティング等により絶縁層を形成してなる多層基板;樹脂と無機材料との組み合わせなどの各種組合せからなる複合基板等が使用できる。基板6に使用できる樹脂フィルムの例としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミドなどの樹脂のフィルムが挙げられる。基板6として樹脂フィルムや紙を用いると、薄膜トランジスタに可撓性を持たせることができ、薄膜トランジスタが、フレキシブルで、軽量となり、実用性が向上する。基板6の厚さは、通常1μm〜10mmであり、好ましくは5μm〜5mmである。
ソース電極1、ドレイン電極3、及びゲート電極5には、導電性を有する材料が用いられる。上記導電性を有する材料としては、例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、タングステン、タンタル、ニッケル、コバルト、銅、鉄、鉛、錫、チタン、インジウム、パラジウム、モリブデン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、リチウム、カリウム、ナトリウム等の金属及びそれらを含む合金;InO2、ZnO2、SnO2、酸化錫インジウム(ITO)等の導電性酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ビニレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子化合物;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体;カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料;等が使用できる。また、導電性高分子化合物や半導体には、ドーピングが行われていてもよい。ドーピングに用いるドーパントとしては、例えば、塩酸、硫酸などの無機酸;スルホン酸等の酸性官能基を有する有機酸;PF5、AsF5、FeCl3等のルイス酸;ヨウ素等のハロゲン原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属原子;等が挙げられる。ホウ素、リン、砒素などは、シリコンなどの無機半導体用のドーパントとしても多用されている。
また、上記のドーパント中にカーボンブラックや金属粒子などの導電性粒子を分散させた導電性の複合材料も、上記導電性を有する材料として用いられる。直接、半導体層2と接触するソース電極1およびドレイン電極3では、コンタクト抵抗を低減するために、適切な仕事関数の選択や、表面処理などを行うことが大切になる。
また、ソース電極1とドレイン電極3との間の距離(チャネル長)が、薄膜トランジスタの特性を決める重要なファクターとなる。該チャネル長は、通常0.1〜300μm、好ましくは0.5〜100μmである。チャネル長が短ければ取り出せる電流量は増えるが、逆にコンタクト抵抗の影響など短チャネル効果が発生し、制御が困難となるため、適正なチャネル長が必要である。ソース電極1とドレイン電極3との間の幅(チャネル幅)は、通常10〜10000μm、好ましくは100〜5000μmとなる。また、このチャネル幅は、ソース電極1とドレイン電極3の構造をくし型構造とすることなどにより、さらに長く形成することが可能で、必要な電流量や薄膜トランジスタの構造などにより、適切な長さにする必要がある。
ソース電極1及びドレイン電極3のそれぞれの構造(形)について説明する。ソース電極1の構造とドレイン電極3の構造とはそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。ボトムコンタクト構造の場合には、一般的には、リソグラフィー法を用いてソース電極1、ドレイン電極3、及びゲート電極5を作製し、またソース電極1、ドレイン電極3、及びゲート電極5を直方体の形状に形成するのが好ましい。半導体層2上にソース電極1及びドレイン電極3のあるトップコンタクト構造の場合には、ソース電極1、ドレイン電極3、及びゲート電極5を形成するために、シャドウマスクなどを用いて蒸着することができ、インクジェットなどの手法を用いて電極パターンを直接印刷形成することもできる。ソース電極1、ドレイン電極3、及びゲート電極5の長さ(ソース電極1及びドレイン電極3の長手方向に沿った寸法)は、前記のチャネル幅と同じでよい。ソース電極1、ドレイン電極3、及びゲート電極5の幅(ソース電極1及びドレイン電極3の幅方向に沿った寸法)は、特に規定は無いが、電気的特性を安定化できる範囲で、薄膜トランジスタの面積を小さくするためには短い方が好ましい。ソース電極1、ドレイン電極3、及びゲート電極5の幅は、通常0.1〜1000μmであり、好ましくは0.5〜100μmである。ソース電極1、ドレイン電極3、及びゲート電極5の厚さは、通常0.1〜1000nmであり、好ましくは1〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。ソース電極1、ドレイン電極3、及びゲート電極5には配線が連結されているが、配線もソース電極1、ドレイン電極3、及びゲート電極5とほぼ同様の材料により作製される。
絶縁体層4としては、絶縁性を有する材料が用いられる。上記の絶縁性を有する材料としては、例えば、ポリパラキシリレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のポリマー及びこれらを組み合わせた共重合体;二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル等の金属酸化物;SrTiO3、BaTiO3などの強誘電性金属酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウムなどの窒化物、硫化物、フッ化物などの誘電体;これら誘電体の粒子を分散させたポリマー;等を使用できる。絶縁体層4の層厚は、材料によって異なるが、通常0.1nm〜100μm、好ましくは0.5nm〜50μm、より好ましくは1nm〜10μmである。
半導体層2の材料として、本発明の一般式(I)で表される有機化合物の少なくとも一種が有機半導体材料として用いられる。本発明の一般式(I)で表される有機化合物を含む組成物を用いて薄膜を形成し、薄膜の形成に溶剤を使用した場合には、積極的に溶剤を蒸発させた後に薄膜を使用することが好ましい。後述するが、蒸着方法で半導体層2を形成する場合には、本発明の一般式(I)で表される有機化合物の複数種類の混合物よりも、本発明の一般式(I)で表される有機化合物の単一の化合物を有機半導体材料として用いることが特に好ましい。しかし、上記のように薄膜トランジスタの特性を改善する目的等のための、ドーパント等の添加剤については、これを半導体層2が含有することを妨げない。溶液プロセスで半導体層2を形成する場合には、これに限らない。
上記の添加剤は、半導体層2の材料の総量を1とした場合、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲で添加される。
また、半導体層2についても、複数の層を形成していてもよいが、単層構造であることがより好ましい。半導体層2の層厚は、必要な機能を失わない範囲で、薄いほど好ましい。図1A〜図1D及び図1Fに示すような横型の薄膜トランジスタにおいては、半導体層2に所定以上の膜厚があれば薄膜トランジスタの特性は膜厚に依存しない一方、半導体層2の膜厚が厚くなると漏れ電流が増加してくることが多いためである。必要な機能を示すための半導体層2の層厚は、通常、1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μm、より好ましくは10nm〜3μmである。
本発明の薄膜トランジスタには、例えば、基板6と絶縁体層4との間や、絶縁体層4と半導体層2との間や、素子の外面に、必要に応じて他の層を設けることができる。例えば、半導体層2上に直接、又は他の層を介して、保護層を形成すると、湿度などの外気の影響を小さくすることができる。また、保護層の形成には、素子のON/OFF比を上げることができるなど、電気的特性を安定化できる利点もある。
上記保護層の材料としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリオレフィン等の各種樹脂からなる膜;酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素等の無機酸化膜、及び窒化膜等の誘電体からなる膜等が好ましく用いられ、特に、酸素や水分の透過率や吸水率の小さな樹脂(ポリマー)が好ましい。有機ELディスプレイ用に開発されている保護材料も、上記保護層の材料として使用できる。上記保護層の層厚は、その目的に応じて任意の層厚を選択できるが、通常100nm〜1mmである。
また、半導体層2が積層される基板6又は絶縁体層4などに予め表面処理を行うことにより、薄膜トランジスタの特性を向上させることが可能である。例えば基板6表面の親水性/疎水性の度合いを調整することにより、その上に成膜される膜の膜質を改良しうる。特に、有機半導体材料の膜は、有機半導体材料の分子の配向など、膜の状態によって膜の特性が大きく変わることがある。そのため、基板6などへの表面処理によって、基板6などとその後に成膜される半導体層2との界面部分の分子配向が制御されること、また基板6や絶縁体層4上のトラップ部位が低減されることにより、キャリア移動度等の特性が改良されるものと考えられる。トラップ部位とは、未処理の基板6に存在する例えば水酸基のような官能基を指し、このような官能基が基板6に存在すると、電子が該官能基に引き寄せられ、この結果としてキャリア移動度が低下する。従って、トラップ部位を低減することも、キャリア移動度等の特性の改良には有効な場合が多い。
上記のような特性改良のための表面処理としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン等による疎水化処理;塩酸や硫酸、酢酸等による酸処理;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等によるアルカリ処理;オゾン処理;フッ素化処理;酸素やアルゴン等のプラズマ処理;ラングミュア・ブロジェット膜の形成処理;その他の絶縁体や半導体の薄膜の形成処理;機械的処理;コロナ放電などの電気的処理;、繊維等を利用したラビング処理;それらの組み合わせ等が挙げられる。これらの態様において、例えば基板6、絶縁体層4、半導体層2等の各層を設ける方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法等が適宜採用できる。
次に、本発明に係る薄膜トランジスタ素子の製造方法について、図1Bに示す態様例のトップコンタクトボトムゲート型薄膜トランジスタを例として、図2に基づき以下に説明する。この製造方法は、前記した他の態様の薄膜トランジスタ等にも同様に適用しうるものである。
(薄膜トランジスタの基板6及び基板6の処理)
本発明の薄膜トランジスタは、基板6上に必要な各種の層や電極を設けることで作製される(図2(1)参照)。基板6としては、上記で説明したものが使用できる。この基板6上に前述の表面処理などを行うことも可能である。基板6の厚みは、必要な機能を妨げない範囲で薄い方が好ましい。基板6の厚みは、材料によっても異なるが、通常1μm〜10mmであり、好ましくは5μm〜5mmである。また、必要により基板6に電極の機能を持たせるようにしてもよい。
(ゲート電極5の形成)
まず、基板6上にゲート電極5を形成する(図2(2)を参照)。ゲート電極5の材料としては、上記で説明した導電性を有する材料が用いられる。導電性を有する材料の成膜方法としては、各種の方法を用いることができ、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、熱転写法、印刷法、ゾルゲル法等が採用される。導電性を有する材料の成膜時又は成膜後、所望の形状になるよう、必要に応じてパターニングを行うのが好ましい。パターニングの方法としても、各種の方法を用いうるが、例えば、フォトレジストのパターニングとエッチングとを組み合わせたフォトリソグラフィー法等が挙げられる。また、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法等の印刷法;マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法;これら手法を複数組み合わせた手法等を利用して、パターニングすることも可能である。ゲート電極5の厚みは、材料によっても異なるが、通常0.1nm〜10μmであり、好ましくは0.5nm〜5μmであり、より好ましくは1nm〜3μmである。また、ゲート電極5が基板6を兼ねる場合は、ゲート電極5の厚みは、上記の厚みの範囲より大きくてもよい。
(絶縁体層4の形成)
次に、ゲート電極5上に絶縁体層4を形成する(図2(3)参照)。絶縁体層4の材料としては上記で説明した絶縁性を有する材料等が用いられる。絶縁体層4の形成方法としては、各種の方法を用いうる。絶縁体層4の形成方法としては、例えば、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、キャスト法、バーコート法、ブレードコーティング法などの塗布法;スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット等の印刷法;真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法、CVD(化学気相成長)法などのドライプロセス法等が挙げられる。その他、ゾルゲル法や、熱酸化法などにより金属(シリコン等の半金属を含む)上に金属の酸化物膜を形成する方法(アルミニウム上にアルマイト膜を形成する方法、シリコン上に二酸化シリコン膜を形成する方法等)等が採用される。なお、絶縁体層4と半導体層2とが接する部分においては、両層の界面で半導体を構成する分子、例えば本発明の一般式(I)で表される有機化合物の分子を良好に配向させるために、絶縁体層4に所定の表面処理を行うこともできる。絶縁体層4の表面処理の手法としては、基板6の表面処理と同様のものを用いうる。絶縁体層4の層厚は、その機能を損なわない範囲で薄い方が好ましい。絶縁体層4の層厚は、通常0.1nm〜100μmであり、好ましくは0.5nm〜50μmであり、より好ましくは5nm〜10μmである。
(半導体層2の形成)
次に、本発明の一般式(I)で表される有機化合物を有機半導体材料として使用して、有機半導体層である半導体層2を絶縁体層4上に形成する(図2(4)参照)。半導体層2を形成する方法としては、各種の方法を用いることができる。半導体層2を形成する方法としては、具体的には、スパッタリング法、CVD法、分子線エピタキシャル成長法、真空蒸着法等の、真空プロセスによる形成方法;ディップコート法、ダイコーター法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法等の塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクト印刷法などの印刷法等の、溶液プロセスによる形成方法等が挙げられる。
まず、有機半導体材料を真空プロセスによって成膜し半導体層2を得る方法について説明する。真空プロセスによる有機半導体材料の成膜方法としては、前記の有機半導体材料をルツボや金属のボート中で真空下、加熱し、蒸発した有機半導体材料を基板(基板6、絶縁体層4、ソース電極1及びドレイン電極3などの基材)に付着(蒸着)させる方法、すなわち真空蒸着法が好ましく採用される。この際、真空度は、通常1.0×10-1Pa以下、好ましくは1.0×10-3Pa以下である。また、蒸着時の基板(基材)温度によって半導体層2の特性、ひいては薄膜トランジスタの特性が変化する場合があるので、注意深く基板温度を選択するのが好ましい。蒸着時の基板温度は、通常0〜200℃であり、好ましくは5〜150℃であり、より好ましくは10〜120℃であり、さらに好ましくは15〜100℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
また、蒸着速度は、通常0.001〜10nm/秒であり、好ましくは0.01〜1nm/秒である。有機半導体材料から形成される半導体層2の層厚は、通常1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μm、より好ましくは10nm〜3μmである。
なお、半導体層2を形成するための有機半導体材料を加熱、蒸発させ基板(基材)に付着させる蒸着方法に代えて、その他の手法を用いてもよい。
次いで、溶液プロセスによって有機半導体材料を成膜し半導体層2を得る方法について説明する。本発明の一般式(I)で表される有機化合物を溶剤等に溶解し、さらに必要であれば添加剤などを添加した組成物(インク)を、基板(絶縁体層4、ソース電極1及びドレイン電極3の露出部)上に塗布する。塗布の方法としては、キャスティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ブレードコーティング法、ワイヤバーコーティング法、スプレーコーティング法等のコーティング法;インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法等の印刷法;マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法;これらの手法を複数組み合わせた方法等が挙げられる。
さらに、塗布方法に類似した方法として水面上に上記のインクを滴下することにより作製した有機半導体材料の単分子膜を基板(基材)に移し積層するラングミュア−ブロジェット法、液晶や融液状態の材料を2枚の基板(基材)で挟んで毛管現象で基板間に導入する方法等も採用できる。
成膜時における基板(基材)や組成物の温度などの環境も重要で、基板(基材)や組成物の温度によって薄膜トランジスタの特性が変化する場合があるので、注意深く基板(基材)及び組成物の温度を選択するのが好ましい。基板(基材)温度は、通常0〜200℃であり、好ましくは10〜120℃であり、より好ましくは15〜100℃である。基板(基材)温度の選択は、用いる組成物中の溶剤などに大きく依存するため、注意が必要である。
この方法により作製される半導体層2の層厚は、機能を損なわない範囲で、薄い方が好ましい。半導体層2の層厚が厚くなると、漏れ電流が大きくなる懸念がある。半導体層2の層厚は、通常1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μm、より好ましくは10nm〜3μmである。
このようにして形成された半導体層2(図2(4)参照)は、後処理によりさらに特性を改良することが可能である。例えば、熱処理により、成膜時に生じた半導体層2中の歪みが緩和されること、半導体層2中のピンホール等が低減されること、半導体層2中の配列・配向が制御できると考えられていること等の理由により、半導体層2の特性の向上や安定化を図ることができる。本発明の薄膜トランジスタの作成時には、この熱処理を行うことが特性の向上の為には効果的である。本熱処理は、半導体層2を形成した後に基板を加熱することによって行う。熱処理の温度は、特に制限は無いが、通常、室温から150℃で、好ましくは40〜120℃、さらに好ましくは45〜100℃である。このときの熱処理時間には、特に制限は無いが、通常10秒間〜24時間、好ましくは30秒間〜3時間程度である。熱処理のときの雰囲気は、大気中でもよいが、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下でもよい。
また、半導体層2のその他の後処理方法として、酸素や水素等の酸化性又は還元性の気体や、酸化性又は還元性の液体などで半導体層2を処理することにより、酸化又は還元による特性変化を誘起することもできる。この処理は、例えば、半導体層2中のキャリア密度の増加又は減少の目的で利用することが多い。
また、ドーピングと呼ばれる手法において、微量の元素、原子団、分子、又は高分子を半導体層2に加えることにより、半導体層2の特性を変化させることができる。例えば、酸素、水素、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸;PF5、AsF5、FeCl3等のルイス酸;ヨウ素等のハロゲン原子;ナトリウム、カリウム等の金属原子等を半導体層2にドーピングすることができる。これらのドーピングは、これらのガスを半導体層2に接触させたり、これら溶液に半導体層2を浸したり、これらによる電気化学的なドーピング処理を半導体層2に施したりすることにより、達成できる。ドーピングに用いるこれら材料は、半導体層2の作製後に添加しなくともよく、有機化合物の合成時に添加したり、前記組成物(インク)を用いて半導体層2を形成する場合にその組成物(インク)に添加したり、半導体層2を形成する工程段階で添加したりすることができる。また、蒸着によって半導体層2を形成する場合には、蒸着時に半導体層2を形成する有機半導体材料に、ドーピングに用いる材料を添加して共蒸着したり、半導体層2を作製する時の周囲の雰囲気に混合(ドーピングに用いる材料を存在させた環境下で半導体層2を作製)したり、ドーピング用のイオンを真空中で加速して半導体層2に衝突させてドーピングすることも可能である。
これらのドーピングの効果としては、キャリア密度の増加又は減少による電気伝導度の変化、キャリアの極性の変化(P型、N型)、フェルミ準位の変化等が挙げられる。
(ソース電極1及びドレイン電極3の形成)
次に、半導体層2上にソース電極1及びドレイン電極3を形成する(図2(5)参照)。ソース電極1及びドレイン電極3の形成等の工程は、ゲート電極5の場合に準じて行うことができる。また、ソース電極1及びドレイン電極3においては、半導体層2との接触抵抗を低減するために、各種添加剤などを用いることが可能である。
(保護層7の形成)
次に、必要に応じて半導体層2上に保護層7を形成する(図2(6)参照)。半導体層2上に保護層7を形成すると、外気の影響を最小限にでき、また、薄膜トランジスタの電気的特性を安定化できるという利点がある。保護層7の材料としては、前記のものが使用される。保護層7の層厚は、その目的に応じて任意の層厚を採用できるが、通常100nm〜1μmである。
保護層7を形成するにあたっては、各種の方法を採用しうるが、保護層7が樹脂からなる場合は、例えば、樹脂溶液を塗布後に乾燥させて樹脂膜とする方法;樹脂のモノマーを塗布又は蒸着した後に重合して樹脂膜を成膜する方法等が挙げられる。樹脂膜の成膜後に架橋処理を行ってもよい。保護層7が無機物からなる場合は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の真空プロセスによる形成方法や、ゾルゲル法等の溶液プロセスによる形成方法も、保護層7の形成に用いることができる。
薄膜トランジスタにおいては、半導体層2上の他、各層の間にも必要に応じて保護層を設けることができる。それらの位置に設けられた保護層は、薄膜トランジスタの電気的特性の安定化に役立つ場合がある。
本発明の薄膜トランジスタは、本発明の一般式(I)で表される有機化合物を有機半導体材料として用いているため、比較的低温のプロセスで製造可能である。従って、高温に曝される条件下では使用できなかったプラスチック板、プラスチックフィルム等のフレキシブルな材質の基板も基板6として用いることができる。その結果、軽量で柔軟性に優れた壊れにくい薄膜トランジスタの製造が可能になり、ディスプレイのアクティブマトリクスのスイッチング素子等として薄膜トランジスタを利用することができる。
本発明の薄膜トランジスタは、メモリー回路、信号ドライバー回路、信号処理回路などの、デジタル又はアナログの回路を構成する素子として利用できる。さらにこれら回路を組み合わせることによりIC(集積回路)カードやICタグの作製が可能となる。さらに、本発明の薄膜トランジスタは、化学物質等の外部刺激によりその特性に変化を起こすことができるので、FET(電界効果トランジスタ)センサーとしての利用も可能である。
〔有機EL素子〕
次に、有機EL素子について説明する。
有機EL素子は、固体で自己発光型の大面積カラー表示や照明などの用途に利用できることが注目され、数多くの開発がなされている。有機EL素子の構成としては、陰極と陽極とからなる対向電極の間に、発光層及び電荷輸送層の2層を有する構造のもの;対向電極の間に積層された電子輸送層、発光層、及び正孔輸送層の3層を有する構造のもの;対向電極の間に3層以上の層を有するもの;等が知られており、また、発光層が単層であるもの等が知られている。
ここで、正孔輸送層は、正孔を陽極から注入させ、発光層への正孔を輸送し、発光層への正孔の注入を容易にする機能と、電子をブロックする機能とを有する。また、電子輸送層は、電子を陰極から注入させ、電子を発光層へ輸送し、発光層への電子の注入を容易にする機能と、正孔をブロックする機能とを有する。さらに、発光層においては、それぞれ注入された電子と正孔とが再結合することにより励起子が生じ、その励起子が放射失活する過程で放射されるエネルギーが発光として検出される。
以下に、有機EL素子の好ましい態様を記載する。
有機EL素子は、陽極と陰極との間に1層又は複数層の有機薄膜が形成された素子で、電気エネルギーにより発光する素子である。
有機EL素子において使用されうる陽極は、正孔を、正孔注入層、正孔輸送層、及び発光層に注入する機能を有する電極である。陽極の材料としては、一般的に、仕事関数が4.5eV以上の、金属酸化物や、金属、合金、導電性材料などが適している。陽極の材料としては、具体的には、特に限定されるものでないが、酸化錫(NESA)、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの導電性金属酸化物;金、銀、白金、クロム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステンなどの金属;ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質;ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマー;炭素などが挙げられる。それらの中でも、ITOやNESAを陽極の材料として用いることが好ましい。
陽極は、必要であれば、複数の材料を用いても構成されていてもよく、また2層以上で構成されていてもよい。陽極の抵抗は、有機EL素子の発光に十分な電流を供給できるものであれば限定されないが、有機EL素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが好ましい。例えばシート抵抗値が300Ω/□以下の導電性基板(例えばITO基板)であれば有機EL素子の電極として機能するが、シート抵抗値が数Ω/□程度の導電性基板の供給も可能になっていることから、低抵抗の導電性基板を使用することが望ましい。ITO基板等の陽極の厚みは、抵抗値に合わせて任意に選択することができるが、通常5〜500nm、好ましくは10〜300nmである。ITO基板の陽極材料を成膜する方法としては、蒸着法、電子線ビーム法、スパッタリング法、化学反応法、塗布法などが挙げられる。
有機EL素子において使用されうる陰極は、電子を電子注入層、電子輸送層、及び発光層に注入する機能を有する電極である。陰極の材料としては、一般的に、仕事関数の小さい(おおよそ4eV以下である)金属や合金が適している。陰極の材料としては、具体的には、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられるが、電子注入効率を上げて有機EL素子の特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムが好ましい。合金を使用した陰極としては、これら低仕事関数の金属とアルミニウム若しくは銀等の金属との合金からなる電極、又はこれら低仕事関数の金属とアルミニウム若しくは銀等の金属とを積層した積層構造の電極等が使用できる。積層構造の電極には、フッ化リチウムのような無機塩の使用も可能である。また、陽極側でなく陰極側へ発光を取り出す場合には、陰極を、低温で成膜可能な透明電極としてもよい。陰極の形成方法としては、蒸着法、電子線ビーム法、スパッタリング法、化学反応法、塗布法などが挙げられるが、特に制限されるものではない。陰極の抵抗は、有機EL素子の発光に十分な電流を供給できるものであれば限定されないが、有機EL素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが好ましく、数100〜数Ω/□程度が好ましい。陰極の厚みは、通常5〜500nm、好ましくは10〜300nmである。
さらに、封止や保護のために、酸化チタン、窒化ケイ素、酸化珪素、窒化酸化ケイ素、酸化ゲルマニウムなどの酸化物、窒化物、又はそれらの混合物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子、フッ素系高分子などの材料で陰極を保護し、酸化バリウム、五酸化リン、酸化カルシウム等の脱水剤と共に封止することができる。
また、有機EL素子から発光を取り出すために、一般的には有機EL素子の発光波長領域で十分に透明性を有する基板上に電極(陽極、陰極)を作製することが好ましい。透明性を有する基板としては、ガラス基板やポリマー基板などが挙げられる。ガラス基板は、機械的・熱的強度を保つのに十分な厚みを有していればよく、0.5mm以上の厚みを有することが好ましい。ガラス基板を構成するガラスとしては、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英などが用いられる。上記ガラスは、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよく、無アルカリガラスであることが好ましい。このようなガラスとして、SiO2などのバリアコートを施したソーダライムガラスが市販されているので、これを使用することもできる。また、ポリマー基板を構成するポリマーとしては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂などが挙げられる。
有機EL素子の有機薄膜は、陽極と陰極との間に、1層又は複数の層として形成されている。その有機薄膜に本発明の一般式(I)で表される有機化合物を含有させることにより、電気エネルギーにより発光する本発明の有機EL素子が得られる。
有機薄膜を形成する1層又は複数の層の「層」とは、正孔輸送層、電子輸送層、正孔輸送性発光層、電子輸送性発光層、正孔阻止層、電子阻止層、正孔注入層、電子注入層、発光層、又は下記構成例9)に示すように、これらの層が有する機能を併せ持つ単一の層を意味する。本発明における有機薄膜を形成する層の構成としては、以下の構成例1)から9)が挙げられ、いずれの構成であってもよい。
構成例
1)正孔輸送層/電子輸送性発光層。
2)正孔輸送層/発光層/電子輸送層。
3)正孔輸送性発光層/電子輸送層。
4)正孔輸送層/発光層/正孔阻止層。
5)正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層。
6)正孔輸送性発光層/正孔阻止層/電子輸送層。
7)前記1)から6)の組み合わせのそれぞれにおいて、正孔輸送層もしくは正孔輸送性発光層の前に正孔注入層をさらにもう一層付与した構成。
8)前記1)から7)の組み合わせのそれぞれにおいて、電子輸送層もしくは電子輸送性発光層の前に電子注入層をさらにもう一層付与した構成。
9)前記1)から8)の組み合わせにおいて使用する材料をそれぞれ混合し、この混合した材料を含有する一層のみを有する構成。
なお、前記9)は、一般にバイポーラー性の発光材料と言われる材料で形成される単一の層;又は、発光材料と正孔輸送材料又は電子輸送材料とを含む層を一層設けるだけでもよい。一般的に、多層構造とすることで、電荷、すなわち正孔及び/又は電子を効率良く輸送し、これらの電荷を再結合させることができる。また、一般的に、多層構造とすることで、電荷のクエンチングなどが抑えられることにより、有機EL素子の安定性の低下を防ぎ、発光の効率を向上させることができる。
正孔注入層及び正孔輸送層は、一種類の正孔輸送材料単独で形成されるか、又は二種類以上の正孔輸送材料を混合又は積層することにより形成される。正孔輸送材料としては、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどのトリフェニルアミン類、ビス(N−アリルカルバゾール)又はビス(N−アルキルカルバゾール)類、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体やポルフィリン誘導体に代表される複素環化合物;前記複素環化合物を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリシランなどのポリマー系が好ましく使用できる。上記正孔輸送材料は、有機EL素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる物質であれば、特に限定されるものではない。正孔注入性を向上するための、正孔輸送層と陽極との間に設けられる正孔注入層としては、フタロシアニン誘導体、m−MTDATA(4,4’,4’’−トリス[フェニル(m−トリル)アミノ]トリフェニルアミン)等のスターバーストアミン類;PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))等のポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール誘導体等の高分子系等で作製されたものが挙げられる。
電子輸送層は、一種類の正孔輸送材料単独で形成されるか、又は二種類以上の正孔輸送材料を混合又は積層することにより形成される。電子輸送材料としては、電界を与えられた電極(陽極及び陰極)間において陰極から注入された電子を効率良く輸送することが必要である。電子輸送材料は、電子注入効率が高く、注入された電子を効率良く輸送することが好ましい。そのためには、電子輸送材料は、電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時及び使用時に発生しにくい物質であることが要求される。このような条件を満たす電子輸送材料として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体に代表されるキノリノール誘導体金属錯体、トロポロン金属錯体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、ナフタルイミド誘導体、ナフタル酸誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、キノキサリン誘導体などが挙げられるが、特に限定されるものではない。これらの電子輸送材料は、単独でも用いられるが、異なる電子輸送材料と積層又は混合して使用しても構わない。電子注入性を向上するための、電子輸送層と陰極との間に設けられる電子注入層としては、セシウム、リチウム、ストロンチウムなどの金属や、フッ化リチウムなどが挙げられる。
正孔阻止層は、一種類の正孔阻止性物質単独で形成されるか、あるいは二種類以上の正孔阻止性物質を積層又は混合することにより形成される。正孔阻止性物質としては、バソフェナントロリン、バソキュプロイン等のフェナントロリン誘導体、シロール誘導体、キノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体などが好ましい。正孔阻止性物質は、正孔が陰極側から素子外部に流れ出てしまい発光効率が低下するのを阻止することができる化合物であれば、特に限定されるものではない。
発光層とは、発光する有機薄膜の意味であり、例えば、強い発光性を有する、正孔輸送層(正孔輸送性発光層)、電子輸送層(電子輸送性発光層)、又はバイポーラー輸送層である。発光層は、発光材料(ホスト材料、ドーパント材料など)により形成されていればよく、ホスト材料とドーパント材料との混合物であっても、ホスト材料単独であってもよい。ホスト材料及びドーパント材料のそれぞれは、一種類の材料であっても、複数の材料の組み合わせであってもよい。
ドーパント材料は、ホスト材料の全体に含まれていても、ホスト材料に部分的に含まれていてもよい。ドーパント材料は、積層されていても、分散されていてもよい。発光層として、例えば、前述の正孔輸送層や電子輸送層が挙げられる。発光層に使用される材料としては、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体、ナフタレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェニルブタジエン誘導体、スチリル誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、テトラセン誘導体、ペリレン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、ポルフィリン誘導体、燐光性金属錯体(Ir錯体、Pt錯体、Eu錯体など)などが挙げられる。
有機EL素子の有機薄膜の形成方法は、一般的に、真空プロセスである、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、分子積層法;溶液プロセスである、キャスティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ブレードコーティング法、ワイヤバーコーティング法、スプレーコーティング法等のコーティング法;溶液プロセスである、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法;溶液プロセスである、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法;これらの手法を複数組み合わせた方法等を採用しうる。有機薄膜の各層の厚みは、各層の物質の抵抗値や電荷移動度にもよるので、限定することはできないが、0.5〜5000nmの間から選ばれる。有機薄膜の各層の厚みは、好ましくは1〜1000nm、より好ましくは5〜500nmである。
有機EL素子を構成する有機薄膜のうち、陽極と陰極との間に存在する、発光層、正孔輸送層、電子輸送層などの有機薄膜の1層又は複数層に本発明の一般式(I)で表される有機化合物を含有させることにより、低電気エネルギーでも効率良く発光する有機EL素子が得られる。
本発明の一般式(I)で表される有機化合物は、正孔輸送層や発光層、電子輸送層として好適に用いることができる。本発明の一般式(I)で表される有機化合物は、例えば、前述した電子輸送材料又は正孔輸送材料、発光材料などと組み合わせて使用したり、それら材料と混合して使用したりすることができる。
本発明の一般式(I)で表される有機化合物をドーパント材料と組み合わせてホスト材料として用いるときの、ドーパント材料の具体例としては、特に限定されるものではないが、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのペリレン誘導体、ペリノン誘導体、4−(ジシアノメチレン)−2メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)やその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、オキサジン化合物、スクアリリウム化合物、ビオラントロン化合物、ナイルレッド、5−シアノピロメテン−BF4錯体等のピロメテン誘導体などを用いることができる。さらに、燐光材料として、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体や、Ir錯体、Ru錯体、Pt錯体、Os錯体などのポルフィリン、オルトメタル金属錯体などをドーパント材料として用いることができる。また、2種類のドーパント材料を混合して使用する場合には、ルブレンのようなアシストドーパントを用いてホスト材料(ホスト色素)からのエネルギーを効率良く移動して色純度の向上した発光を得ることも可能である。いずれの場合にも、高輝度特性の有機EL素子を得るためには、蛍光量子収率が高いドーパント材料をドーピングすることが好ましい。
ドーパント材料は、使用量が多すぎると濃度消光現象が起きるため、通常ホスト材料に対して30質量%以下で用いられる。ドーパント材料の使用量は、好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。発光層におけるドーパント材料をホスト材料にドーピングする方法としては、ドーパント材料とホスト材料との共蒸着法によって発光層を形成する方法を用いることができるが、ドーパント材料をホスト材料と予め混合してから同時に蒸着する方法を用いてもよい。また、ドーパント材料をホスト材料にサンドイッチ状に挟んで使用することも可能である。この場合、ドーパント材料を一層又は二層以上のドーパント層として、ホスト材料と積層してもよい。
これらのドーパント層は、単独のドーパント材料で形成してもよく、ドーパント材料をホスト材料等と混合して形成されていてもよい。また、ドーパント材料を、高分子結着剤に溶解又は分散させて用いることも可能である。高分子結着剤としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(メチル)(メタ)アクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリサルフォン、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂;フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などが挙げられる。
有機EL素子は、フラットパネルディスプレイとして好適に使用することができる。また、有機EL素子は、フラットバックライトとしても用いることができ、有色光を発する有機EL素子でも白色光を発する有機EL素子でもフラットバックライトとして使用できる。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ機器、自動車パネル、表示板、標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっている、パソコン用途のための液晶表示装置のバックライトにおいて、従来のバックライトは、蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であったが、本発明の有機EL素子を用いたバックライトは、薄型及び軽量が特徴であるため、上記問題点は解消される。同様に、本発明の有機EL素子は、照明にも有用に用いることができる。
本発明の一般式(I)で表される有機化合物を用いると、発光効率が高く、寿命が長い有機EL素子を得ることができる。さらに、本発明の有機EL素子に本発明の薄膜トランジスタを組み合わせることで、印加電圧のオンオフ現象を電気的に高精度に制御した有機EL素子を低コストで供給することが可能となる。
〔有機太陽電池素子〕
次に、有機太陽電池素子について説明する。
本発明の一般式(I)で表される有機化合物を用いて、フレキシブルで低コストの、有機太陽電池素子を簡便に作製することができる。すなわち、有機太陽電池素子は、色素増感太陽電池の様に電解液を用いないため、柔軟性や寿命向上の点で有利であることが特長である。従来は導電性ポリマーやフラーレンなどを組み合わせた有機薄膜半導体を用いる太陽電池の開発が主流であったが、発電変換効率が問題となっている。
一般に、有機太陽電池素子の構成は、シリコン系の太陽電池と同様に、発電を行う層(発電層)を陽極と陰極ではさみ、光を吸収することで発生した正孔と電子を、各電極で受け取ることで太陽電池として機能する。太陽電池素子の発電層は、p型の材料と、n型の材料と、及びバッファ層などのその他の材料とで構成されており、発電層の材料に有機材料が用いられている太陽電池素子を有機太陽電池素子という。有機太陽電池素子の構造としては、ショットキー接合、ヘテロ接合、バルクヘテロ接合、ナノ構造接合、ハイブリッドなどが挙げられる。有機太陽電池素子は、各材料が効率的に入射光を吸収し、電荷を発生させ、発生した電荷(正孔及び電子)を分離・輸送・収集することで、太陽電池として機能する。
次に、有機太陽電池素子における構成要素について説明する。
有機太陽電池素子における陽極及び陰極は、先に述べた有機EL素子と同様である。陽極及び陰極は、光を効率的に取り込む必要があるため、発電層の吸収波長領域で透明性を有する電極とすることが望ましい。また、有機太陽電池素子が良好な太陽電池特性を有するためには、陽極及び陰極は、シート抵抗が20Ω/□以下であることが好ましい。
有機太陽電池素子における発電層は、少なくとも、本発明の一般式(I)で表される有機化合物を含有する有機薄膜の1層又は複数層から形成されている。有機太陽電池素子は、先に示した構造をとることが可能であるが、基本的に、p型の材料と、n型の材料と、バッファ層とで構成されている。
p型の材料としては、基本的に有機EL素子の項で述べた正孔注入及び正孔輸送層と同様に、正孔を輸送できる化合物;ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアニリン誘導体等のπ共役型ポリマー;カルバゾールやその他複素環を側鎖にもつポリマーが挙げられる。また、p型の材料として、ペンタセン誘導体、ルブレン誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、インジゴ誘導体、キナクリドン誘導体、メロシアニン誘導体、シアニン誘導体、スクアリウム誘導体、ベンゾキノン誘導体なども挙げられる。
n型の材料としては、基本的に有機EL素子の項で述べた電子輸送層と同様に、電子を輸送できる化合物;ピリジン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、キノリン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ベンゾフェナンスロリン類及びその誘導体を持つポリマー、シアノポリフェニレンビニレン誘導体(CN−PPV(シアノポリフェニレンビニレン)など)などの高分子材料;フッ素化フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、ナフタレン誘導体、バソキュプロイン誘導体、C60やC70、PCBM(フェニルC61酪酸メチルエステル)などのフラーレン誘導体などの低分子材料などが挙げられる。p型の材料及びn型の材料としてはそれぞれ、光を効率的に吸収し、電荷を発生させることが好ましく、吸光係数が高い材料が好ましい。
本発明の一般式(I)で表される有機化合物は、特にn型の材料として好適に用いることができる。有機太陽電池素子の発電層用の薄膜の形成方法は、先述の有機EL素子の項で述べた方法と同様でよい。有機薄膜の膜厚などは、有機太陽電池素子の構成によっても異なるが、光を十分に吸収するため、及び短絡を防ぐためには厚いほうが良いが、発生した電荷を輸送する距離は短い方が良いために薄い方が適している。一般的には発電層としての有機薄膜の膜厚は、10〜5000nm程度であることが好ましい。
〔有機半導体レーザー素子〕
本発明の一般式(I)で表される有機化合物は、有機半導体特性を有する化合物であることから、有機半導体レーザー素子としての利用が期待される。すなわち、本発明の一般式(I)で表される有機化合物を含有する有機半導体素子に共振器構造を組み込み、効率的にキャリアを注入して励起状態の密度を十分に高めることができれば、光が増幅されレーザー発振に至ることが期待される。従来、光励起によるレーザー発振が観測されるのみで、電気励起によるレーザー発振に必要とされる、高密度のキャリアを有機半導体素子に注入し、高密度の励起状態を発生させるのは非常に困難と提唱されているが、本発明の一般式(I)で表される有機化合物を含有する有機半導体素子を用いることで、高効率な発光(電界発光)が起こる可能性が期待される。
〔有機発光トランジスタ〕
次に、有機発光トランジスタを説明する。本発明の一般式(I)で表される有機化合物は、有機発光トランジスタにも用いることができる。薄膜トランジスタと有機EL素子とを融合した有機発光トランジスタは、ディスプレイにおける駆動回路トランジスタと発光部とが一体化した構造を持ち、駆動回路トランジスタの占有面積を低減することができ、表示部の開口率を上げることができる。つまり、有機発光トランジスタを使用することにより、部品点数の低減が可能で作製プロセスが単純になることで、さらにコストの安いディスプレイが得られることになる。原理的には、薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極から、それぞれ電子・正孔を有機発光材料中に同時に注入し、再結合させることにより発光させる。発光量の調整は、ゲート電極からの電界によって制御することになる。
有機発光トランジスタの構造は、薄膜トランジスタの項で述べたものと同様でよく、薄膜トランジスタ用半導体層の材料に代えて発光トランジスタ材料を用いることができる。半導体化合物の特性により適宜使用する材料やプロセスを選択することができ、光を外部に取り出すための構成が望ましい。通常の有機トランジスタでは、電子及び正孔の一方だけを注入するのみで良いが、有機発光トランジスタの場合には、半導体層中での電子と正孔との結合により発光するため、電極から効果的な電荷の注入・結合・発光を促す構造であることが好ましい。
〔有機光電変換素子〕
次に、有機光電変換素子について説明する。
本発明の一般式(I)で表される有機化合物は、有機光電変換素子に用いることができる。有機光電変換素子は、上部電極と下部電極である、対向する二つの電極膜間に、光電変換層を含む光電変換部を配置した素子であって、一方の電極膜の上方から光が光電変換部に入射されるものである。有機光電変換素子は、光電変換層が前記の入射光量に応じて電荷(電子及び正孔)を発生し、前記電荷に応じた信号が読み出し用のトランジスタにより読み出され、その信号が光電変換層の吸収波長に応じた入射光量を示す素子である。下部の電極膜には、読み出しのためのトランジスタが接続される場合もある。該有機光電変換素子は、アレイ上に多数配置されていた場合は、入射光量に加え、入射位置情報を示すため、撮像素子となる。また、光の入射に関して、後部に存在する電極を含んだ有機光電変換素子が、より前部に存在する有機光電変換素子によって、吸収波長を邪魔されない場合は、複数の有機光電変換素子が積層していてもよい。さらには、前述の複数の有機光電変換素子がそれぞれ異なる可視光を吸収する場合は多色の撮像素子となり、フルカラーフォトダイオードとなる。
図3に、有機光電変換素子の態様例を示す。
本態様例の有機光電変換素子は、図3に示すように、絶縁基材又は他の有機光電変換素子17と、絶縁基材又は他の有機光電変換素子17上に形成された下部電極16と、下部電極16上に形成された正孔ブロック層15と、正孔ブロック層15上に形成された光電変換部14と、光電変換部14上に形成された電子ブロック層13と、電子ブロック層13上に形成された上部電極12と、上部電極12上に形成された絶縁部11とを備えている。図3中には読み出し用のトランジスタを記載していないが、読み出し用のトランジスタは、下部電極16に接続されていればよく、さらには、読み出し用のトランジスタを構成する半導体が透明であれば、下部電極16の下に読み出し用のトランジスタが形成されていてもよい。有機光電変換素子への光の入射は、光電変換部14以外の構成要素が、光電変換部の吸収波長の光が光電変換部14に入射することを極度に邪魔しないような方向の入射であればよく、上部及び下部のいずれからの入射でもよい。
以下に、図3に示す態様例の有機光電変換素子の各構成要素について説明するが、その構成要素を備える他の態様の有機光電変換素子におけるその構成要素についても同様である。
ここで、光電変換部14は、光電変換層、電子輸送層、正孔輸送層、結晶化防止層、層間接触改良層などの複数の層からなることが多いが、これに限定されるものではない。
光電変換層には、一般的に有機半導体膜が用いられる。その有機半導体膜は、一層でも複数の層であってもよく、一層の場合には、p型有機半導体膜、n型有機半導体膜、又はそれらの混合膜(バルクヘテロ構造)が用いられる。一方、その有機半導体膜は、複数の層である場合は、2〜10層程度であり、p型有機半導体膜、n型有機半導体膜、又はそれらの混合膜(バルクヘテロ構造)のいずれかを積層した構造であり、層間にバッファ層が挿入されていてもよい。
有機半導体膜の材料として、吸収する波長帯に応じ、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、カルバゾール誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、フェニルブタジエン誘導体、スチリル誘導体、キノリン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、ポルフィリン誘導体、燐光性金属錯体(Ir錯体、Pt錯体、Eu錯体など)等の材料を用いることができる。
ここで、正孔輸送層は、光電変換層で発生した正孔を光電変換層から下部電極16へ輸送し、光電変換層から上部電極12への正孔の移動を容易にする機能と、上部電極12への電子移動をブロックする機能とを有する。また、電子輸送層は、発生した電子を光電変換層から下部電極16へ輸送し、光電変換層から下部電極16への電子の移動を容易にする機能と、下部電極16への正孔の移動をブロックする機能を有する。
また、正孔ブロック層15は、光電変換層から下部電極16への正孔の移動を妨げ、光電変換層内での正孔の再結合を防ぎ、暗電流を低減する機能を有する。電子ブロック層13は、光電変換層から上部電極12への電子の移動を妨げ、光電変換層内での再結合を防ぎ、暗電流を低減する機能を有する。また、正孔ブロック層15及び電子ブロック層13は、光電変換層の光吸収を妨げないために、光電変換層の吸収波長での透過率が高いことが好ましく、また、薄膜であることが好ましい。さらに、光電変換層は、入射光を受光することによって電子及び正孔をそれぞれ発生し、発生した正孔及び電子をそれぞれ上部電極12及び下部電極16へ輸送することで、電気信号として読み出し用のトランジスタへ送るものである。
有機光電変換素子において、上部電極12の材料は、光電変換層に含まれる正孔輸送性の光電変換層または正孔輸送層から正孔を取り出して、正孔を捕集するため、正孔輸送性の光電変換層、正孔輸送層などの隣接する層との密着性や、電子親和力、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。有機光電変換素子において、上部電極12に使用される電極膜は、有機光電変換素子において、下部電極16の材料は、光電変換層に含まれる電子輸送性の光電変換層または電子輸送層から電子を取り出して電子を吐き出すため、電子輸送性の光電変換層、電子輸送層などの隣接する層との密着性や、電子親和力、イオン化ポテンシャル、安定性等を考慮して選ばれる。上部電極12及び下部電極16の材料としては、特に限定されるものでないが、NESA、酸化インジウム、ITO、IZOなどの導電性金属酸化物;金、銀、白金、クロム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステンなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質;ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマー;炭素などが挙げられる。また、上部電極12及び下部電極16のそれぞれにおいて、必要であれば、複数の材料を用いてもよく、また2層以上で構成していてもよい。
上部電極12及び下部電極16の抵抗も、有機光電変換素子の受光を必要以上に妨げないものであれば限定されないが、有機光電変換素子の信号強度や、消費電力の観点からは、低抵抗であることが好ましい。例えば、シート抵抗値が300Ω/□以下のITO基板等の導電性基板であれば、有機光電変換素子の上部電極12及び下部電極16として機能するが、数Ω/□程度の導電性基板の供給も可能になっていることから、低抵抗の導電性基板を使用することが望ましい。上部電極12及び下部電極16の厚みは、抵抗値に合わせて任意に選ぶことができるが、通常5〜500nm、好ましくは10〜300nmである。上部電極12及び下部電極16として使用する電極膜の形成方法としては、蒸着法、電子線ビーム法、スパッタリング法、化学反応法、塗布法などが挙げられる。必要に応じて、UV−オゾン処理、プラズマ処理などを電極膜に施すことができる。
上部電極12及び下部電極16には、透明電極膜を使用できる。透明電極膜の材料として特に好ましいのは、ITO、IZO、SnO2、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)、ZnO、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、TiO2、及びFTO(フッ素ドープ酸化スズ)のいずれか1種の材料である。透明電極膜の光透過率は、光電変換層の吸収ピーク波長において、60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
また、光電変換層を複数積層し、積層した光電変換層の間に電極膜を形成する場合、光電変換層間の電極は、それぞれの光電変換層が検出する光以外の波長の光を透過させる必要があり、吸収光に対し、好ましくは90%、さらに好ましくは95%以上の光を透過する材料を用いることが好ましい。
電極膜は、プラズマフリーで作製することが好ましい。プラズマフリーで電極膜を作成することで、プラズマが基板に与える影響を少なくすることができ、光電変換特性を良好にすることができる。ここで、プラズマフリーとは、電極膜の成膜中にプラズマが発生しないか、またはプラズマ発生源から基体までの距離が、2cm以上、好ましくは10cm以上、さらに好ましくは20cm以上であり、基体に到達するプラズマが減ずるような状態を意味する。
電極膜の成膜中にプラズマが発生しない装置としては、例えば、電子線蒸着装置(EB蒸着装置)やパルスレーザー蒸着装置などがある。EB蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をEB蒸着法と言い、パルスレーザー蒸着装置を用いて透明電極膜の成膜を行う方法をパルスレーザー蒸着法と言う。
成膜中に発生するプラズマを減ずることができるような状態を実現できる装置(プラズマフリーである成膜装置)については、例えば、対向ターゲット式スパッタ装置や、アークプラズマ蒸着装置などが考えられる。
TCO(透明導電性酸化物)などの透明導電膜を電極膜として使用した場合、DC(直流)ショート、あるいはリーク電流増大が生じる場合がある。この原因の一つは、光電変換膜に導入される微細なクラックがTCOなどの緻密な透明導電膜によって被覆されることにより、この透明導電膜と反対側の電極膜との間の導通が増すためと考えられる。そのため、Al電極膜などのような膜質が比較的劣る電極膜の場合、リーク電流の増大は生じにくい。電極膜の膜厚を、光電変換層の厚み(クラックの深さ)に対して制御することにより、リーク電流の増大を大きく抑制できる。
通常、電極膜(導電性膜)をある範囲より薄くすると、急激な抵抗値の増加をもたらすが、本発明の有機光電変換素子では、電極膜のシート抵抗は、好ましくは100〜10000Ω/□でよく、膜厚の範囲の自由度は大きい。また、透明電極膜(透明導電性薄膜)は、厚みが薄いほど吸収する光の量は少なくなり、一般に光透過率が増す。光透過率の増加は、光電変換層での光吸収を増大させ、光電変換能を増大させるため、非常に好ましい。
正孔ブロック層15は、正孔阻止性物質単独で、又は二種類以上の物質を積層又は混合することで、形成される。正孔阻止性物質としては、バソフェナントロリン、バソキュプロイン等のフェナントロリン誘導体、シロール誘導体、キノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体などが用いられる。しかしながら、正孔阻止性物質は、正孔が光電変換層から下部電極16に流れ出てしまうのを阻止することができる化合物であれば、特に限定されるものではない。本発明の一般式(I)で表される有機化合物は、特に正孔ブロック層15の材料として好適に用いることができる。有機光電変換素子の正孔ブロック層15を構成する有機薄膜の形成方法は、後述のとおりでよい。正孔ブロック層15の厚みは、リーク電流を防止する目的には厚い方が良いが、光入射時の信号読み出しには十分な電流量が必要であるため、正孔ブロック層15の厚みは、なるべく薄い方が良い。正孔ブロック層15の厚みは、一般的には、5〜500nm程度であることが好ましい。
有機光電変換素子の有機薄膜の形成方法としては、一般的に、真空プロセスである、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、分子積層法;溶液プロセスである、キャスティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、ブレードコーティング法、ワイヤバーコーティング法、スプレーコーティング法等のコーティング法;溶液プロセスである、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法;溶液プロセスである、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法;これらの手法を複数組み合わせた方法等を採用しうる。有機薄膜の各層の厚みは、それぞれの物質の抵抗値・電荷移動度にもよるので限定することはできないが、0.5〜5000nmの間から選ばれる。有機薄膜の各層の厚みは、好ましくは1〜1000nm、より好ましくは5〜500nmである。
有機光電変換素子を構成する有機薄膜のうち、電極間に存在する、光電変換層、正孔輸送層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子ブロック層などの有機薄膜の1層又は複数層に本発明の一般式(I)で表される有機化合物を含有させることにより、弱い光エネルギーでも効率よく電気信号に変換できる有機光電変換素子が得られる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例中において、Mはモル濃度を表し、反応温度は、特に断りのない限り反応系内の内温を記載した。
合成例にて得られた各種の化合物は、必要に応じてMS(質量分析スペクトル)、NMR(核磁気共鳴)スペクトルの測定を行うことによりその構造式を決定した。
〔実施例1〕
〔化合物(202)の合成〕
Figure 2016166284
窒素(N2)雰囲気下、2−アセチルナフタレン(201)(1.00g,5.88mmol)の乾燥エタノール(EtOH)/酢酸(AcOH)混合溶液(エタノールと酢酸との体積混合比=5:1、12.0mL)に、カルバミン酸tert−ブチル(1.16g,8.81mmol)を加えて溶解させ、85℃で撹拌した。反応液を徐々に空冷し、析出した白色固体を濾別し、エタノールで洗浄することで、目的の化合物(202)を得た(収率:82.9%、収量:1.3844g)。
化合物(202)の1H NMRスペクトル及びFAB(高速原子衝撃)−MSの測定結果を以下に示す。
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ(ppm)=8.133(dd,1H,8.71 and 1.82 Hz,Hg),8.080(d,1H,1.56Hz,Ha),7.812−7.874(m,2H,Hb,e),7.815(d,1H,8.52Hz,Hf),7.754(s,1H,Hi),7.496(t,1H,3.38Hz,Hc),7.464(t,1H,3.45Hz,Hd),2.310(s,3H,Hh),1.574(s,9H,Hj
FAB−MS:m/z=285[M+H]+
〔化合物(203)の合成〕
Figure 2016166284
ガラス耐圧容器内に、上記化合物(202)(8.53g,30.00mmol)、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)(0.68g,3.03mmol)、及びベンズアルデヒド(9.1mL,90.00mmol)を入れ、蒸留1,2−ジクロロエタン(100mL)に溶解させた。得られた溶液を撹拌しながら、tert−ブチルヒドロペルオキシドのデカン溶液(22mL,120.0mmol)を少しずつ溶液に添加した。反応液を70℃で6時間加熱した後、放冷し、飽和炭酸ナトリウム水溶液を加えた。反応液をジクロロメタン(CH2Cl2)で抽出し、有機層を飽和炭酸ナトリウム水溶液と水とで洗浄した。この有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した後、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(順相、充填剤:シリカゲル、展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン)で精製し、目的の化合物(203)を得た(収量:2.37g、収率:29%)。
化合物(203)の1H NMRスペクトル及びFAB−MSの測定結果を以下に示す。
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ(ppm)=8.390(s,1H,Ha),8.007−8.038(m,1H,Hb),7.8731−7.9157(m,2H,He,f),7.800(dt,2H,J=6.60 and 1.21 Hz,Hh,l),7.654−7.688(m,2H,Hi,k),7.551(tt,1H,J=7.38 and 1.63 Hz,Hj),7.428(tt,2H,J=7.41 and 1.39 Hz,Hc,d),2.6434(s,3H,Hg
FAB−MS:m/z=275[M+H]+
〔化合物(204)の合成〕
Figure 2016166284
上記化合物(203)(1.8417g,6.714mmol)をエタノール(71.5mL)及び酢酸(14.5mL)に溶解し、65℃に加熱して酢酸アンモニウム(NH4OAc)(3.223g,41.81mmol)、塩化アンモニウム(NH4Cl)(0.375g,7.011mmol)を加え、90℃に昇温して3時間撹拌した。反応液を空冷して飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和したのち、生じた固体を濾過により回収した。この固体を塩化メチレン/エタノールで再沈殿することにより、目的の化合物(204)を得た(収量:225.0mg、収率:14%)。
化合物(204)の1H NMRスペクトル及びFAB−MSの測定結果を以下に示す。
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ(ppm)=8.542(s,2H,Hg),8.427(s,2H,Hb),8.160(d,4H,J=7.50Hz,Hc,Hf),7.948(dd,4H,J=8.09 and 2.87 Hz,Hh,Hl),7.767(s,1H,Ha),7.622(t,4H,J=7.52Hz,Hd,He),7.485(t,2H,J=7.14Hz,Hj),7.412(t,2H,J=8.83Hz,Hi),7.384(t,2H,J=7.51Hz,Hk
FAB−MS:m/z=496[M]+
〔有機化合物(3)の合成〕
Figure 2016166284
窒素雰囲気下、上記化合物(204)(0.225g,0.453mmol)を乾燥トルエン(18mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.2mL)を加え80℃に加熱した後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(BF3−Et2O)(1.0mL,7.962mmol)を滴下して100℃に昇温させ、一晩撹拌した。反応液を空冷した後、水を加えて反応を停止させた。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(順相、充填剤:シリカゲル、展開溶媒:ヘキサン/塩化メチレン)により精製し、有機化合物(3)を得た(収量:129.2mg、収率:52%)。
有機化合物(3)の1H NMRスペクトル、FAB−MS、及び元素分析の測定結果を以下に示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3) δ(ppm)=8.457(s,2H,Hg),8.199(s,2H,Hb),8.054(s,1H,Ha),7.966(d,2H,J=8.65Hz,Hh),7.931(d,4H,J=7.10Hz,Hc,Hf),7.850(d,2H,J=8.35Hz,Hl),7.573(t,4H,J=7.22Hz,Hd,He),7.528(t,2H,J=7.18Hz,Hj),7.462(t,2H,J=7.40Hz,Hi),7.361(t,2H,J=7.20Hz,Hk
FAB−MS:m/z=544[M]+
元素分析:理論値(質量%):C,81.63;H,4.26;N,5.15
実測値(質量%):C,81.48;H,4.30;N,5.18
〔実施例2〕
〔化合物(205)の合成〕
Figure 2016166284
ベンズアルデヒドの代わりに2−メトキシベンズアルデヒドを使う以外は実施例1における化合物(203)の合成と同様の手法で、前記化合物(202)から化合物(205)を得た。
化合物(205)の1H NMRスペクトルの測定結果を以下に示す。
1H NMR(300MHz,CDCl3) δ(ppm)=2.59(s,3H,Hl),3.64(s,3H,Hg),6.97(d,1H,J=8.28Hz,Hk),7.05(td,1H,J=7.49Hz,J=0.95Hz,Hi),7.51(ddd,1H,J=8.31Hz,J=7.43Hz,J=1.73Hz,Hj),7.59−7.63(m,2H,Hc,Hd),7.71(dd,1H,J=7.68Hz,J=1.82Hz,Hh),7.83−7.85(m,2H,He,Hf),7.94−7.98(m,1H,Hb),8.15(s,1H,Ha
〔有機化合物(9)の合成〕
Figure 2016166284
シールドチューブ内に化合物(205)(0.404g,1.32mmol)を入れ、エタノール(14.8mL)及び酢酸(4.6mL)に溶解し、氷浴下で28質量%アンモニア水(6ml)を滴下し、85℃で一晩加熱した。反応液に水(100ml)を加えて反応を停止した後、析出した固体を濾取した。
乾固体を乾燥トルエン(20ml)に溶解し、トリエチルアミン(0.25ml,1.83mmol)を加え、80℃に昇温した後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(BF3−Et2O)(0.83ml,6.61mmol)を滴下し、一晩100℃に加熱した。反応液に水(100ml)を加えることで反応を停止した後、塩化メチレン(150ml)で抽出し、有機層を水(100ml)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(充填剤:3質量%水処理中性アルミナ、展開溶媒:塩化メチレン)で原点吸着成分と、Rf値の高い成分とを分離し、引き続き、カラムクロマトグラフィー(充填剤:3質量%水処理中性アルミナ、展開溶媒:ベンゼン)により固体を得た。得られた固体をヘキサンで洗浄することで、有機化合物(9)を得た(収量:7.4mg、収率1.86%)。
有機化合物(9)の1H NMRスペクトルの測定結果を以下に示す。
1H NMR(500MHz,CDCl3) δ(ppm)=3.69(s,3H,Hh),3.76(s,3H,Hh'),7.04−7.10(m,3H,Hi',Hi,Hk'),7.12(td,1H,J=4.53Hz,J=0.52Hz,Hk),7.32(ddd,2H,J=4.86Hz,J=4.10Hz,J=0.56Hz,Hd',Hd),7.43(ddd,2H,J=4.89Hz,J=4.07Hz,J=0.68Hz,He',He),7.46−7.50(m,2H,Hj',Hj),7.59(d,1H,J=4.35Hz,Hl'),7.71(d,1H,J=4.53Hz,Hl),7.80(d,2H,J=5.10Hz,Hc',Hc),7.92−7.96(m,4H,Hf',Hf,Hg',Hg),8.03(s,1H,Ha),8.43(s,2H,Hb',Hb
〔実施例3〕
〔有機化合物(33)の合成〕
Figure 2016166284
シールドチューブ内に、前記化合物(205)(0.2426g,0.7972mmol)を入れ、エタノール(9.0ml)及び酢酸(2.8ml)を加えて溶解させた。水浴下で28質量%アンモニア水(3.4ml)を滴下し、85℃で一晩加熱した。反応終了後、水でクエンチし、析出した固体を濾過により得た。
得られた固体(0.1811g,0.3253mmol)を乾燥トルエン(10ml)溶解させ、トリエチルアミン(0.17ml,1.226mmol)を加えて撹拌させた。80℃に昇温した後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(0.50ml,3.963mmol)を滴下し、徐々に100℃まで昇温し100℃で一晩加熱した。反応終了後、水を加えてクエンチした後、ジクロロメタンで分液し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させた。その後、溶媒を留去し、乾燥させた。
窒素雰囲気下、乾燥させた粗生成物を乾燥ジクロロメタン(35ml)に溶解し、氷浴下で0℃に冷却した。そこに、三臭化ホウ素(BBr3)(17質量%ジクロロメタン溶液,約1M)を2.2ml滴下し、そのまま2時間撹拌させた。氷浴を外した後、反応液を40℃で一晩撹拌した。TLC(薄層クロマトグラフィー)で反応の終了を確認した後、水浴下で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクエンチした。得られた粗生成物をメタノールで再沈殿し、析出した固体を濾過により回収し、目的の有機化合物(33)(収量:11.1mg)を得た。有機化合物(33)のAPCI(大気圧化学イオン化法) MSの測定結果を以下に示す。
APCI MS:m/z=536.1242205([M+])
〔実施例4:近赤外吸収薄膜の作製及び耐光性試験〕
ガラス基板上に、上記実施例1で得た有機化合物(3)を、抵抗加熱真空蒸着により膜厚90nmとなるように成膜し、薄膜の試験片を作製した。
作製した試験片について、耐光性の評価を実施した。すなわち、まず、光照射前(0分後)の試験片について、紫外可視吸収スペクトル測定装置にて、試験片の波長300〜1100nmの吸光度を測定した。次に、試験片を、スガ試験機株式会社製の低温サイクルキセノンウェザーメーター(型番「XL75」)内に設置し、放射照度10万Lux、湿度60%RH、温度24℃の条件下で光照射を行った。光照射開始から一定時間経過後(150分後、300分後、及び1200分後)、試験片を取り出し、紫外可視吸収スペクトル測定装置にて、波長300〜1100nmの吸光度の時間変化を測定した。得られた波長―吸光度グラフを図4に示す。なお、ガラス基板に代えてITO透明導電膜付きのガラス板(ジオマテック株式会社製、ITO透明導電膜の膜厚150nm)を用いた場合にも、図4と同様の測定結果が得られた。
〔比較例1:近赤外吸収薄膜の作製及び耐光性試験〕
ガラス基板上に、日本化薬株式会社製の赤外吸収シアニン色素「KAYASORB(登録商標) CY−10」の0.2質量%アセトン溶液を、2000rpmにてスピンコート成膜し、100℃で30分間乾燥処理を行い、薄膜の試験片を作製した。
作製した試験片について、耐光性の評価を実施した。すなわち、まず、光照射前(0分後)の試験片について、紫外可視吸収スペクトル測定装置にて、試験片の波長300〜1100nmの吸光度を測定した。次に、試験片を、スガ試験機株式会社製の低温サイクルキセノンウェザーメーター(型番「XL75」)内に設置し、放射照度10万Lux、湿度60%RH、温度24℃の条件下で光照射を行った。光照射開始から一定時間経過後(30分後、60分後、及び90分後)、試験片を取り出し、紫外可視吸収スペクトル測定装置にて、波長300〜1100nmの吸光度の時間変化を記録した。得られた波長―吸光度グラフを図5に示す。
〔比較例2:近赤外吸収薄膜の作製及び耐光性試験〕
ガラス基板上に、日本化薬株式会社製の赤外吸収シアニン色素「KAYASORB(登録商標) IR−820(B)」の0.2質量%アセトン溶液を、2000rpmにてスピンコート成膜し、100℃で30分間乾燥処理を行い、薄膜の試験片を作製した。
作製した試験片について、耐光性の評価を実施した。すなわち、まず、光照射前(0分後)の試験片について、紫外可視吸収スペクトル測定装置にて、試験片の波長300〜1100nmの吸光度を測定した。次に、試験片を、スガ試験機株式会社製の低温サイクルキセノンウェザーメーター(型番「XL75」)内に設置し、放射照度10万Lux、湿度60%RH、温度24℃の条件下で光照射を行った。光照射開始から一定時間経過後(60分後、150分後、300分後、及び1200分後)、試験片を取り出し、紫外可視吸収スペクトル測定装置にて、波長300〜1100nmの吸光度の時間変化を記録した。得られた波長―吸光度グラフを図6に示す。
図4から明らかなように、本発明の一例に係る有機化合物(3)は、良好な近赤外吸収性を示したことから、有機近赤外吸収化合物(近赤外領域に吸収帯を持つ有機化合物)であると言える。さらに、図4乃至図6から明らかなように、本発明の一例に係る有機化合物(3)は、非常に良好な耐光性を示したことから、高耐光性の有機近赤外吸収化合物であると言える。また、本発明の一例に係る有機化合物(3)を用いた薄膜は、近赤外吸収薄膜として機能することから、高耐久性の有機エレクトロニクスデバイス用材料であると言える。
本発明の有機化合物は、赤外光吸収材料として有用である。特に、本発明の有機化合物は、有機エレクトロニクスデバイス用の材料として効果的に用いられる。このため、本発明は、産業上の利用可能性が高い。
1 ソース電極
2 半導体層
3 ドレイン電極
4 絶縁体層
5 ゲート電極
6 基板
7 保護層
11 絶縁部
12 上部電極
13 電子ブロック層
14 光電変換部
15 正孔ブロック層
16 下部電極
17 絶縁基材、もしくは他の有機光電変換素子

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 2016166284
    (Z1及びZ2はそれぞれ独立してナフタレン環を表し、Z3及びZ4はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、X1及びX2はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、酸素原子、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、又はアリールオキシ基を表し、X1及びX2は互いに結合して環状構造を形成していてもよく、X1はZ3と結合して環状構造を形成していてもよく、X2はZ4と結合して環状構造を形成していてもよい)
    で表されることを特徴とする有機化合物。
  2. 請求項1に記載の有機化合物であって、
    下記一般式(II)
    Figure 2016166284
    (Z1は及びZ2はそれぞれ独立してナフタレン環を表し、Z3及びZ4はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す)
    で表されることを特徴とする有機化合物。
  3. 請求項1に記載の有機化合物であって、
    下記一般式(III)
    Figure 2016166284
    (Z1は及びZ2はそれぞれ独立してナフタレン環を表し、Z3及びZ4はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す)
    で表されることを特徴とする有機化合物。
  4. 請求項2に記載の有機化合物であって、
    下記一般式(IV)
    Figure 2016166284
    (Z3及びZ4はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す)
    で表されることを特徴とする有機化合物。
  5. 請求項3に記載の有機化合物であって、
    下記一般式(V)
    Figure 2016166284
    (Z3及びZ4はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す)
    で表されることを特徴とする有機化合物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の有機化合物を含むことを特徴とする赤外吸収材料。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の有機化合物を含むことを特徴とする薄膜。
  8. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の有機化合物を含むことを特徴とする有機エレクトロニクスデバイス。
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